JP4221831B2 - 車輪用転がり軸受ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係る車輪用転がり軸受ユニットは、FF車(前置エンジン前輪駆動車)又は4WD車(四輪駆動車)の前輪を、懸架装置に対して回転自在に支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、外輪と内輪とを転動体を介して回転自在に組み合わせた車輪用転がり軸受ユニットが、各種使用されている。又、操舵輪であると同時に駆動輪でもあるFF車或は4WD車の前輪を支持する為の車輪用転がり軸受ユニットは、等速ジョイントと組み合わせて、車輪に付与された舵角に拘らず、駆動軸の回転を上記車輪に対して円滑に(等速性を確保して)伝達する必要がある。この様な等速ジョイントと組み合わせて、しかも比較的小型且つ軽量に構成できる車輪用転がり軸受ユニットとして従来から、特開平11−37146号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
図4は、この公報に記載された従来構造を示している。車両への組み付け状態で、懸架装置に支持した状態で回転しない外輪1(外輪相当部材)は、外周面にこの懸架装置に支持する為の第一の取付フランジ2を、内周面に複列の外輪軌道3、3を、それぞれ有する。上記外輪1の内径側には、第一、第二の内輪部材4、5を組み合わせて成るハブ6(内輪相当部材)を配置している。このうちの第一の内輪部材4は、外周面の外端寄り(外端とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側となる端を言い、図4の左端。又、請求項の「一端」に相当する。)部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジ7を、同じく内端寄り(内端とは、自動車への組み付け状態で、車両の幅方向中央寄りとなる端部を言い、図4の右端。又、請求項の「他端」に相当する。)部分に第一の内輪軌道8を、それぞれ設けた円筒状に形成している。そして、この第一の内輪部材4の内周面の中間部に雌スプライン部9を、同じく内端部にこの雌スプライン部9よりも大径の内方側円筒面部10を、互いに同心に設けている。
【0004】
これに対して、上記第二の内輪部材5は、外端部を上記第一の内輪部材4をがたつきなく外嵌固定する為の嵌合支持部11とし、内端部を等速ジョイント12の外輪となるハウジング部13とし、中間部外周面に第二の内輪軌道14を設けている。又、上記嵌合支持部11の外周面の中間部に、上記雌スプライン部9とスプライン係合する雄スプライン部15を、同じく基端部に、上記内方側円筒面部10と嵌合する外方側円筒面部16を、互いに同心に設けている。又、上記嵌合支持部11の先端部は、上記雄スプライン部15よりも小径の雄ねじ部17としている。
【0005】
上記第一の内輪部材4と上記第二の内輪部材5とを結合してハブ6とする際には、上記嵌合支持部11を上記第一の内輪部材4の内径側に挿通し、上記雌スプライン部9と上記雄スプライン部15とをスプライン係合させると共に、上記内方側円筒面部10と上記外方側円筒面部16とを締り嵌めにより嵌合させる。これと共に、上記雄ねじ部17にナット18を螺合し、更に緊締する事により、上記第一の内輪部材4と上記第二の内輪部材5とを結合する。
【0006】
そして、上記各外輪軌道3、3と上記第一、第二の内輪軌道8、14との間にそれぞれ複数個ずつの転動体19、19を転動自在に設ける事により、前記外輪1の内周面と上述の様に構成するハブ6の外周面との間に、複列外向き(背面組み合わせ型の)アンギュラ玉軸受を設けている。これにより、上記ハブ6を、上記外輪1の内径側に、回転自在に支持している。更に、上記外輪1の両端開口部と上記ハブ6の中間部外周面との間には、ステンレス鋼板等の金属製で略円筒状のカバー20a、20bと、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で円環状のシールリング21a、21bとを設けている。これらカバー20a、20b及びシールリング21a、21bは、上記複数の転動体19、19を設置した部分と外部とを遮断し、この部分に存在するグリースが外部に漏出するのを防止すると共に、この部分に雨水、塵芥等の異物が侵入する事を防止する。又、上記第二の内輪部材5の中間部内側には、この第二の内輪部材5の内側を塞ぐ隔板部22を設けて、この第二の内輪部材5の剛性を確保すると共に、この第二の内輪部材5の外端開口からこの第二の内輪部材5の内側に入り込んだ異物が、前記ハウジング部13の内側に設けた等速ジョイント12部分にまで達する事を防止している。
【0007】
又、上記等速ジョイント12は、前記ハウジング部13と、内輪23と、保持器24と、複数個の玉25とから成る。このうちの内輪23は、エンジンによりトランスミッション及びデファレンシャルギヤを介して回転駆動される、図示しない駆動軸の先端部に固定される。この内輪23の外周面には、それぞれが断面円弧形である複数本の内側係合溝26を、円周方向に亙り等間隔に、それぞれ円周方向に対し直角方向に形成している。又、上記ハウジング部13の内周面で上記内側係合溝26と対向する位置には、やはりそれぞれが断面円弧形である複数本の外側係合溝27を、円周方向に対し直角方向に形成している。又、上記保持器24は、断面円弧状で全体を円環状に形成しており、上記内輪23の外周面とハウジング部13の内周面との間に挟持している。この保持器24の円周方向複数個所で、上記内側、外側両係合溝26、27に整合する位置には、それぞれポケット28を形成し、これら各ポケット28の内側にそれぞれ1個ずつ、上記玉25を保持している。これら各玉25は、それぞれ上記各ポケット28に保持された状態で、上記内側、外側両係合溝26、27に沿い転動自在である。
【0008】
上述の様に構成する車輪用転がり軸受ユニットを車両に組み付ける際には、第一の取付フランジ2により外輪1を懸架装置に支持し、第二の取付フランジ7により駆動輪でもある前輪を第一の内輪部材4に固定する。又、エンジンによりトランスミッションを介して回転駆動される、図示しない駆動軸の先端部を、等速ジョイント12を構成する内輪23の内側にスプライン係合させる。自動車の走行時には、上記内輪23の回転を、複数の玉25を介して第二の内輪部材5を含むハブ6に伝達し、上記前輪を回転駆動する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来構造の場合、前記内方側円筒面部10と前記外方側両円筒面部16との嵌合部37は、上記第一の内輪部材4と前記第二の内輪部材5との結合部のがたつきを抑えると共に、これら両内輪部材4、5同士を結合して成る、ハブ6の曲げ剛性を向上させる為の部位である。従って、このハブ6の曲げ剛性を十分に確保する為には、上記嵌合部37に大きなモーメントが加わらない様な設計を行ない、この嵌合部37の耐久性を十分に確保する必要がある。ところが、従来は、この様な嵌合部37の耐久性を確保する為の設計が、積極的に行なわれてはいなかった。
【0010】
上述の様な嵌合部37の耐久性を確保する為の設計を行なう場合には、この嵌合部37にどの様なモーメントが加わるかを十分に検討する必要がある。そこで、自動車の走行頻度の高い直進走行時に、上記嵌合部37にどの様なモーメントが加わるかに就いて、図5を参照しつつ、以下に検討する。先ず、上記従来構造を構成するハブ6には、路面から鉛直方向上向きの反力Nが、車輪を構成するタイヤのトレッド面を介して加わる。尚、この反力Nを表すベクトルは、上記タイヤの接地点中心(上記トレッド面と路面との接触部のうち、この路面からトレッド面に加わるラジアル荷重の重心が存在する部分)を通る鉛直線α上に存在する。これと共に、上記ハブ6には、外側(図5の左側)、内側(図5の右側)の各転動体列から、それぞれ鉛直方向下向きのラジアル荷重FR1、FR2と、互いに軸方向逆向きのスラスト荷重FA1、FA2とが加わる。尚、これら各荷重FR1、FA1、FR2、FA2は、それぞれ上記各転動体列の作用点(転動体列を構成する各転動体19、19の接触線と、この転動体列の中心軸との交点)O1 、O2 に加わる。
【0011】
次に、便宜上、前記第二の内輪部材5が前記第一の内輪部材4に、上記嵌合部37で支持されていると考えると、この嵌合部37には、上記内側の転動体列から作用するラジアル荷重FR2に基づき、FR2・S2 なる大きさのモーメントM2 が加わる。ここで、S2 は、上記嵌合部37の軸方向に関する中心点O37と上記内側の転動体列の荷重の作用点O2 との間の、軸方向に亙る間隔である。尚、上記作用点O2 に加わるスラスト荷重FA2は、上記嵌合部37に加わるモーメントとしては作用しない。上述の様に、便宜上、上記第二の内輪部材5が上記第一の内輪部材4に、上記嵌合部37で支持されていると考えた理由は、この様に考えれば、この嵌合部37に加わるモーメントに寄与する荷重が上記内側の転動体列から作用するラジアル荷重FR2のみとなって、上記嵌合部37に加わるモーメントを考え易くなる為である。
【0012】
反対に、上記第一の内輪部材4が上記第二の内輪部材5に、上記嵌合部37で支持されていると考えると、この嵌合部37には、上記外側の転動体列から作用するラジアル荷重FR1に基づき、FR1・S1 なる大きさのモーメントM1 が加わる。ここで、S1 は、上記中心点O37と上記外側の転動体列の荷重の作用点O1 との間の、軸方向に亙る間隔である。尚、この場合も、上記作用点O1 に加わるスラスト荷重FA1は、上記嵌合部37に加わるモーメントとしては作用しない。これと共に、上記嵌合部37には、上記路面からの反力Nに基づき、N・S3 なる大きさのモーメントM3 が加わる。ここで、S3 は、上記中心点O37と上記タイヤの接地点中心を通る鉛直線αとの間の、軸方向に亙る間隔である。この結果、上述の様に第一の内輪部材4が第二の内輪部材5に、上記嵌合部37で支持されていると考えた場合、上記嵌合部37には、上記両モーメントM1 、M3 を合成した、モーメントM1 ′{=M1 −M3 (モーメントM1 の向きを正にとった。)}が加わる。
【0013】
上述の様に嵌合部37に加わるモーメントの種類{M1 ′(=M1 −M3 )、M2 }が分かったので、次に、上記嵌合部37の耐久性を十分に確保する為の手段に就いて検討する。この嵌合部37の耐久性を十分に確保する為には、この嵌合部37に加わる、上記各モーメントM1 ′、M2 の大きさを小さくすれば良い。又、この場合、釣り合いの条件から、上記両モーメントM1 ′、M2 の大きさは互いに等しい。従って、上記嵌合部37の耐久性を十分に確保する為には、上記各モーメントM1 ′、M2 のうちの何れか一方のモーメントの大きさを小さくする設計を行なえば良い。
本発明の車輪用転がり軸受ユニットは、上述の様な検討の末になされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の車輪用転がり軸受ユニットは、前述した従来構造と同様に、外周面に懸架装置に支持する為の第一の取付フランジを、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有し、使用時にも回転しない外輪相当部材と、外周面の外端寄り部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジを、同じく中間部に複列の内輪軌道を、それぞれ設け、内端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした、使用時に回転する内輪相当部材と、上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備える。そして、このうちの内輪相当部材は、第一の内輪部材と第二の内輪部材とを組み合わせて成り、このうちの第一の内輪部材は、外周面の外端寄り部に上記第二の取付フランジを、同じく内端寄り部に上記複列の内輪軌道のうちの一方の内輪軌道を、それぞれ設けた筒状に形成すると共に、内周面の中間部に雌スプライン部を、同じく内端部にこの雌スプライン部よりも大径の内方側円筒面部を、互いに同心に設けたものであり、上記第二の内輪部材は、外端部を上記第一の内輪部材をがたつきなく外嵌固定する為の嵌合支持部とし、中間部外周面に上記複列の内輪軌道のうちの他方の内輪軌道を設け、内端部を上記ハウジング部とすると共に、上記嵌合支持部の外周面に、上記雌スプライン部とスプライン係合する雄スプライン部と、上記内方側円筒面部と締め代を持って嵌合する外方側円筒面部とを、互いに同心に形成したものである。
特に、本発明の車輪用転がり軸受ユニットに於いては、上記内方側、外方側両円筒面部同士の嵌合部の他端縁を、複列の転動体列同士の間部分の軸方向中央位置よりも他端側に位置させると共に、上記第二の取付フランジに支持した車輪を構成するタイヤの接地点中心(このタイヤのトレッド面と路面との接触部のうち、この路面からトレッド面に加わるラジアル荷重の重心が存在する部分)を通る鉛直線を、上記複列の転動体列同士の間部分で、この間部分の軸方向中央位置よりも一端側に位置させている。
【0015】
【作用】
上述の様に構成する本発明の車輪用転がり軸受ユニットによれば、内方側、外方側両円筒面部同士の嵌合部に加わるモーメントを十分に小さくできる。この為、上記嵌合部の耐久性を十分に確保して、内輪相当部材の曲げ剛性が低下する事を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、内方側、外方側両円筒面部10、16同士の嵌合部37と、車輪を構成するタイヤの接地点中心を通る鉛直線αと、複列に亙り設けた転動体19、19の軸方向中央位置との、それぞれの位置関係を規制した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造の場合と同様であるから、重複する部分の説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分、並びに上記従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0017】
第一の内輪部材4aの外端寄り部(図1の左寄り部)外周面に形成した第二の取付フランジ7には、自動車の車輪を構成するホイール29及び制動装置であるディスクブレーキを構成するロータ30を、複数本のスタッド31とナット32とにより支持固定している。又、上記ホイール29の外径側部分には、図示しないタイヤを組み付けている。又、本発明の場合、このタイヤの接地点中心を通る鉛直線αが、複列の転動体列同士の間部分(各列の転動体19、19の中心点同士の間部分)には存在するが、この間部分の軸方向中央位置(鉛直線β)よりも軸方向外側(図1の左側)に位置する様に、車輪用転がり軸受ユニットの各部の寸法を規制している。これと共に、上記嵌合部37の内端縁(図1の右端縁)を、上記鉛直線βよりも軸方向内側(図1の右側)に位置させている。そして、この様な構成を採用する事により、上記嵌合部37に加わるモーメントを小さくして、この嵌合部37の耐久性を十分に確保している。尚、図示の例では、上記鉛直線α、βが、何れもこの嵌合部37を通過する様にしている。上述の様な構成を採用する事により、上記嵌合部37に加わるモーメントを小さくできる理由に就いては、後述する。
【0018】
又、上述の様に嵌合部37の内端縁を上記鉛直線βよりも軸方向内方に位置させる為に、本例の場合には、この嵌合部37の全体を軸方向内方にずらす事はせず、この嵌合部37(即ち、上記内方側、外方側両円筒面部10、16)の内端縁を軸方向内方に延長させて、この嵌合部37全体の軸方向寸法を大きくしている。図示の例では、上記嵌合部37の内端縁を十分に延長させるべく、この嵌合部37の内端縁部分に存在する、第一の内輪部材4aの内端面と第二の内輪部材5aの中間部外周面に形成した段部33との当接部を、内側(図1の右側)の転動体列の近傍部分にまで近づけて配置している。この様に本例の場合には、上記嵌合部37の軸方向寸法を大きくしている為、上記第二の内輪部材5aに対する上記第一の内輪部材4aの支持強度、並びに上記嵌合部37のモーメント荷重に対する負荷能力を十分に大きくできる。尚、上述の様に嵌合部37の軸方向寸法を大きくする手段としては、この嵌合部37の外端縁を軸方向外方に延長させる事も有効である。この場合、組み立て時に於ける雌スプライン部9と雄スプライン部15との係合等を考慮しても、設計上可能であれば、この嵌合部37の外端縁を外側(図1の左側)の転動体列よりも更に軸方向外方に延長させる事が、上記嵌合部37の軸方向寸法を十分に確保する上で好ましい。
【0019】
尚、本例の場合、上記第一、第二の内輪部材4a、5aを結合してハブ6aとすべく、この第一の内輪部材4aの内端面と上記段部33とを当接させた状態で、各転動体19、19に適切な予圧が付与される様に、各部の寸法を規制している。又、本例の場合、上記嵌合部37に持たせる締め代の大きさを、15〜40μm程度と大きくする事により、この嵌合部37の嵌合強度を十分に確保している。又、上記内方側、外方側両円筒面部10、16の表面に、それぞれ高周波焼き入れ等による硬化処理を施している。これにより、これら両円筒面部10、16に、上記嵌合部37に加わる大きな接触面圧に耐え得る強度を付与している。
【0020】
上述の様に構成する本例の車輪用転がり軸受ユニットの場合には、上記嵌合部37に加わるモーメントを小さくできる。この理由に就いて、前述の図5を参照しつつ、以下に説明する。タイヤの接地点中心から加わる反力Nは、複列の転動体列の作用点O1 、O2 に加わるラジアル荷重FR1、FR2として分配される。本発明の様に上記反力N(前記鉛直線α上のベクトル)が、複列の転動体列同士の間部分で、この間部分の軸方向中央位置よりも軸方向外方にずれている場合には、上記内側の転動体列の作用点O2 に加わるラジアル荷重FR2が、外側の転動体列の作用点O1 に加わるラジアル荷重FR1よりも小さくなる。この為、上記内側の転動体列の作用点O2 に加わるラジアル荷重FR2に基づいて、上記嵌合部37に作用するモーメントM2 (=FR2・S2 )を小さくできる。
【0021】
更に、本例の場合、上記嵌合部37の内端縁を上記複列の転動体列同士の間部分の軸方向中央位置よりも軸方向内方に位置させている。この為、この嵌合部37の軸方向に関する中心点O37が上記内側の転動体列の作用点O2 に近づき、これら両点O37、O2 同士の軸方向に亙る間隔S2 が小さくなる。この為、やはり、上記ラジアル荷重FR2に基づいて上記嵌合部37に作用するモーメントM2 (=FR2・S2 )を小さくできる。一方、前述の[本発明が解決しようとする課題]の部分で説明した様に、上記嵌合部37には、上記反力N及び外側の転動体列の作用点O1 に作用するラジアル荷重FR1に基づくモーメントM1 ′が加わる。この場合、釣り合いの条件から、上記両モーメントM1 ′、M2 の大きさは互いに等しい。従って、上記モーメントM2 を小さくした事に伴い、上記モーメントM1 ′も小さくできる。この為、本例の場合には、上記嵌合部37に加わるモーメントを小さくでき、この嵌合部37の耐久性を十分に確保できる。
【0022】
尚、上述の説明では、各部分に加わる荷重やモーメントに就いて、自動車の走行頻度の高い直進走行時に加わるものだけを考慮した。これに対して、自動車が旋回走行する場合には、図2に示す様に、自動車38に遠心力Fが加わり、車輪を構成するタイヤ39a、39bには、路面からの反力としてラジアル荷重R1 、R2 の他に、スラスト荷重A1 、A2 が加わる。又、上述の様な遠心力Fが上記自動車38の重心に作用する事に基づき、車体がロールして荷重移動する為、旋回方向外周側(図2の左側)のタイヤ39bの接地圧の方が、内周側(図2の右側)のタイヤ39aの接地圧よりも高くなる。この為、旋回方向外周側のタイヤ39bに加わる路面からの反力R2 、A2 の方が、旋回方向内周側のタイヤ39aに加わる路面からの反力R1 、A1 よりも大きくなる。
【0023】
そこで、次に、上述の様に路面から大きな反力R2 、A2 を受ける、旋回方向外周側のタイヤ39bを支持する車輪用転がり軸受ユニットに就いて考える。この旋回方向外周側のタイヤ39bを支持する車輪用転がり軸受ユニットには、路面からこのタイヤ39bに加わるスラスト荷重A2 に基づいて、モーメント(軸受ユニットの中心軸から接地面までの垂直距離をXとした場合に、A2 ・Xの大きさのモーメント)が作用する。又、このスラスト荷重A2 に基づくモーメントは、外側(図5の左側)の転動体列の作用点O1 に加わるラジアル荷重FR1を低減させつつ、内側(図5の右側)の転動体列の作用点O2 に加わるラジアル荷重FR2を増大させる方向に作用する。
【0024】
従って、自動車38の旋回走行時には、旋回方向外周側のタイヤ39bを支持する車輪用転がり軸受ユニットを構成する、内側の転動体列に最も大きなラジアル荷重が作用する。この為、本発明の場合には、この内側の転動体列の耐久性を確保する観点からも、前述した様に鉛直線αを鉛直線βよりも軸方向外方に配置する事により、上記内側の転動体列に作用するラジアル荷重FR2を、積極的に小さくする様にしている。尚、本例の様に上記鉛直線α(路面からの反力N)を上記鉛直線βよりも軸方向外方にずらせる場合には、このずらせる量を調節して、複列の転動体列の剥離寿命に大きな差が生じない様にするのが好ましい。この場合に、上記両鉛直線α、β同士のずれ量は、外側の転動体列と内側の転動体列との作用点間距離をS(図5のS1 +S2 )とした場合に、この作用点間距離Sの5〜15%程度とするのが好ましい。例えば、一般的な乗用車用の車輪用転がり軸受ユニットの場合で、2〜6mm程度とする。
【0025】
又、図1に示した本例の場合、上記ハブ6aに加わるモーメントは、上記内方側、外方側両円筒面部10、16同士の嵌合部37で支承する他、前記第一の内輪部材4aの内端面と前記段部33との当接部、並びに嵌合支持部11の先端部に螺合・緊締したナット18と上記第一の内輪部材4aの内周面外端寄り部に設けた段部34との当接部でも支承する。そこで、これら各当接部で支承し得る上記モーメントの割合を大きくして、上記嵌合部37に大きなモーメント荷重が加わらない様にすべく、上記両当接部同士の軸方向に亙る間隔Lと、これら各当接部の直径方向に亙る幅寸法H18、H33とを、それぞれ可及的に大きくするのが好ましい。
【0026】
尚、実際に本発明を実施する場合、前述した鉛直線αの軸方向に亙る位置は、前記第二の取付フランジ7に支持固定するホイール29のオフセット量{このホイール29の上記第二の取付フランジ7に対する取付面と、このホイール29の幅方向の中心線(キャンバー角を0と仮定した場合に、上記鉛直線αと一致する直線)との軸方向に亙る間隔}δの大きさにより異なる。従って、本発明を実施する場合には、上記第二の取付フランジ7に支持するホイール29のオフセット量δ及びキャンバー角を考慮して、構成各部材の寸法を規制する。
【0027】
次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、第二の内輪部材5bを構成する嵌合支持部11aの先半部を円筒部35とし、この円筒部35の外周面に雄スプライン部15を構成する多数の雄スプライン溝を、それぞれこの円筒部35の(先端部を含んで)全長に亙り形成している。又、この様な円筒部35の先端部で、第一の内輪部材4bの中間部内周面に設けた雌スプライン部9の外端(図2の左端)開口から突出した部分は、直径方向外方に塑性変形させて、かしめ部36としている。そして、このかしめ部36と上記第二の内輪部材5bの中間部外周面に設けた段部33との間で上記第一の内輪部材4bを挟持する事により、ハブ6bとしている。
【0028】
又、本例の場合、雌スプライン部9には、全長に亙り焼き入れ硬化処理を施しているが、上記雄スプライン部15には、上記かしめ部36を形成する先端部を除いた部分にのみ焼き入れ硬化処理を施している。これにより、上記円筒部35の先端部が直径方向外方に塑性変形できる様にし、上記かしめ部36の形成を自在としている。尚、本例を実施するに当たり、上記各雄スプライン溝は、上記かしめ部36を形成する部分である、上記円筒部35の先端部にまで形成する必要はない。但し、図示の例の場合には、上記各雄スプライン溝の加工を容易にする為に、これら各雄スプライン溝を上記円筒部35の先端縁まで形成している。この様に構成する本例の場合、上述した第1例に比べて、ナット18(図1参照)を使わない分、部品点数の削減に伴う軽量化とコスト低減とを図れる。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0029】
【発明の効果】
本発明の車輪用転がり軸受ユニットは、以上に述べた通り構成され作用する為、内方側円筒面部と外方側円筒面部との嵌合部の耐久性を十分に確保して、ハブの剛性が低下する事を防止できる。この結果、車輪用転がり軸受ユニットの耐久性向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面図。
【図2】自動車の旋回走行時に加わる力を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。
【図4】従来構造の1例を示す部分断面図。
【図5】ハブに作用する荷重を示す模式図。
【符号の説明】
1 外輪
2 第一の取付フランジ
3 外輪軌道
4、4a、4b 第一の内輪部材
5、5a、5b 第二の内輪部材
6、6a、6b ハブ
7 第二の取付フランジ
8 第一の内輪軌道
9 雌スプライン部
10 内方側円筒面部
11、11a 嵌合支持部
12 等速ジョイント
13 ハウジング部
14 第二の内輪軌道
15 雄スプライン部
16 外方側円筒面部
17 雄ねじ部
18 ナット
19 転動体
20a、20b カバー
21a、21b シールリング
22 隔壁部
23 内輪
24 保持器
25 玉
26 内側係合溝
27 外側係合溝
28 ポケット
29 ホイール
30 ロータ
31 スタッド
32 ナット
33 段部
34 段部
35 円筒部
36 かしめ部
37 嵌合部
38 自動車
39a、39b タイヤ

Claims (1)

  1. 外周面に懸架装置に支持する為の第一の取付フランジを、内周面に複列の外輪軌道を、それぞれ有し、使用時にも回転しない外輪相当部材と、外周面の一端寄り部分に車輪を支持する為の第二の取付フランジを、同じく中間部に複列の内輪軌道を、それぞれ設け、他端部を等速ジョイントの外輪となるハウジング部とした、使用時に回転する内輪相当部材と、上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備え、このうちの内輪相当部材は、第一の内輪部材と第二の内輪部材とを組み合わせて成り、このうちの第一の内輪部材は、外周面の一端寄り部に上記第二の取付フランジを、同じく他端寄り部に上記複列の内輪軌道のうちの一方の内輪軌道を、それぞれ設けた筒状に形成すると共に、内周面の中間部に雌スプライン部を、同じく他端部にこの雌スプライン部よりも大径の内方側円筒面部を、互いに同心に設けたものであり、上記第二の内輪部材は、一端部を上記第一の内輪部材をがたつきなく外嵌固定する為の嵌合支持部とし、中間部外周面に上記複列の内輪軌道のうちの他方の内輪軌道を設け、他端部を上記ハウジング部とすると共に、上記嵌合支持部の外周面に、上記雌スプライン部とスプライン係合する雄スプライン部と、上記内方側円筒面部と嵌合する外方側円筒面部とを、互いに同心に形成したものである車輪用転がり軸受ユニットに於いて、上記内方側、外方側両円筒面部同士の嵌合部の他端縁を、複列の転動体列同士の間部分の軸方向中央位置よりも他端側に位置させると共に、上記第二の取付フランジに支持した車輪を構成するタイヤの接地点中心を通る鉛直線を、上記複列の転動体列同士の間部分で、この間部分の軸方向中央位置よりも一端側に位置させた事を特徴とする車輪用転がり軸受ユニット。
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