JP4219249B2 - 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は液滴吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像形成装置として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク流路内の圧力を変化させてインクを加圧するための圧力変換手段とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。
インクジェットヘッドとしては、例えば、液室内のインクを加圧する圧力を発生するための圧力変換手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて、駆動手段の変位で液室の壁面を形成する弾性変形可能な振動板を変形させて液室内容積/圧力を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のものが知られている。
特開平8−108534号公報
このようなインクジェットヘッドの一例を図18及び図19に示している。なお、図18は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図19は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。
このインクジェットヘッドは、液室基板211とノズル板218とを接合して、インク滴を吐出するノズル213に連通した加圧液室214、加圧液室214に連通部220を介してインクを供給する共通液室219を形成し、加圧液室214の壁面の一部を形成する振動板216の面外側にベース基板212に設けた圧電素子217を接合している。
この振動板216は、圧電素子217の変形に伴い弾性変形するが、圧電素子217の変位を効率よく加圧液室214の容積変化にするために、振動板216は通常、加圧液室214を構成する他の面よりも剛性を小さく(=コンプライアンスを大きく)している。また、共通液室219は図示しないインクタンクに接続され、液室基板211とベース基板212との間には支持部材221を設けている。
ここで、圧電素子217に図示しない駆動回路から電圧を加えることで圧電素子217は変形を生じ、振動板216を加圧液室214の容積が増加または減少するように変形させる。加圧液室214の容積を増加させた場合は加圧液室214の内部圧力は減少するので、共通液室219から連通部220を通ってインクが加圧液室214に補充される。
その後に加圧液室214の内部圧力を増加させるような駆動を行う。すなわち、加圧液室214の容積を減少させるように圧電素子217を駆動させた場合は、加圧液室214の内部圧力が増加するので、ノズル213からインクが押し出されてインク滴222となって飛翔し、図示しない被記録媒体(紙など)にインク滴が付着することで記録を行うことができる。
なお、ヘッド構成は圧電素子を用いるものだけでなく、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するための圧力変換手段として備えたものなどもある。
ところで、前記のようにインクジェットヘッドで液滴を吐出する場合、加圧液室の圧力を増加させる必要がある。また、ここで発生する圧力は、インク滴を飛ばすと同時に共通液室へと伝播するが、この圧力が再び加圧液室側へ伝わると、加圧液室の圧力が変動する。
特に、ノズル数の多いヘッドにおいて、多チャンネル駆動するときの圧力変動は大きく、液室の共振(相互干渉)の原因になるとともに、この振動の共振周波数が印写を行う駆動周波数と一致すると、滴吐出に影響して画質が低下するという不具合が発生する。
これを防ぐためには、共通液室における圧力減衰効率を高める必要があるが、その手段としては、一般に共通液室の体積を大きく取ることが行われる他、特許文献2に記載されているように、液室と共通液室との間に、液室内の圧力変化を吸収するためのダンパー部を備えることが行われている。
特開平06−191030
また、目的は異なるが、インクジェットヘッドの共通液室に外部からインクを供給するときの圧力変動を低減するために、インクタンクからヘッドへのインク供給路中にインク供給圧の変動を吸収するためのダンパーを設けたものがある。
特開2000−158668
しかしながら、特許文献2に記載されたヘッドにあっては、個別液室単位でダンパーを設けているために、ダンパー部の剛性を十分に下げることが難しく、効果的な圧力吸収を行うことが難しく、構成も複雑になる。特に、近年、記録速度の高速化に対応するため、ヘッドのノズル数は増える傾向にあり、特許文献2に記載された構成を適用することは困難であるという課題がある。
また、特許文献3に記載されたものは、インク供給の脈動を低減するものであって、ヘッドの駆動に伴う共通液室の圧力変動を吸収するものではない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、共通液室の共振を低減しつつ効率的に圧力変動を減衰することで高速、高品質で記録のできる液滴吐出ヘッド及びこの液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、
複数のノズルが各々連通する複数の液室に液体を供給するための共通液室を有する液滴吐出ヘッドにおいて、
前記液室の並び方向をX方向としたときに、前記共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性圧力吸収体面とし、
この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の厚さが両端部の平均の厚さよりも厚い
構成とした。
また、圧力吸収体面を形成する部材は、少なくとも薄肉部と厚肉部の2種類の厚さを有していることが好ましい。この場合、圧力吸収体面を形成する部材はX方向の両端部が薄肉部、中央部が厚肉部であることが好ましい。そして、圧力吸収体面を形成する部材は、積層構造をなし、薄肉部と厚肉部で積層数が異なっていることが好ましい。
また、圧力吸収体面を形成する部材はNiからなることが好ましい。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、
複数のノズルが各々連通する複数の液室に液体を供給するための共通液室を有し、ベース基板上に前記液室内の圧力を変化させるための複数の圧力変換手段を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記液室の並び方向をX方向としたときに、前記共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性圧力吸収体面とし、
この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の剛性が両端部の平均の剛性よりも高い
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、液室の並び方向をX方向としたときに、共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性の低い圧力吸収体面とし、この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の厚さが両端部の平均の厚さよりも厚い構成とし、あるいは、液室の並び方向をX方向としたときに、共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性の低い圧力吸収体面とし、この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の剛性が両端部の平均の剛性よりも高い構成としたので、圧力吸収体面の剛性を維持しつつ共振周波数の低下を抑制することができて、ヘッドの駆動周波数と圧力吸収体面の共振周波数を異ならせることができ、高速駆動時においても安定した滴吐出特性が得られる。そして、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えているので、高速で高画質記録を行うことができる。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えたものである。
本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、共通液室の1つの壁面を圧力吸収体面とし、この圧力吸収体面を形成する部材は厚さが均一でない構成とし、あるいは、剛性が異なる部分を有する構成としたので、圧力吸収体面の剛性を維持しつつ共振周波数の低下を抑制することができて、ヘッドの駆動周波数と圧力吸収体面の共振周波数を異ならせることができ、高速駆動時においても安定した滴吐出特性が得られる。そして、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えているので、高速で高画質記録を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図3は図2のA−A線に沿う同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。ここで、図3は他と異なり上限反転して図示している。
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路形成基板(液室基板)1と、この流路形成基板1の下面に接合した振動板2と、流路形成基板1の上面に接合したノズル板3と、後述するフレーム部材14を有し、これらによってインク滴を吐出するノズル5が連通する流路である加圧液室6、加圧液室6に流体抵抗部となるインク供給路(連通部)7を介してインクを供給する共通液室8を形成している。
そして、振動板2の面外側(液室6と反対面側)に各加圧液室6に対応して駆動手段としての積層型圧電素子12を接合し、この積層型圧電素子12はベース基板13に接合して固定している。
そして、フレーム部材14には流路形成基板1と共に共通液室8を形成する掘り込み部及びこの共通液室8に外部からインクを供給するためのインク供給口(連通管)9を形成し、この連通管9は図示しないインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
さらに、圧電素子12には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル18を接続し、このFPCケーブル18には各圧電素子12に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)19を実装している。
ここで、流路形成基板1は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、各加圧液室6となる貫通穴、インク供給路(連通管)7を構成する溝部をそれぞれ形成している。
振動板2はニッケルの金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法で製造している。ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径10〜30μmのノズル5を形成し、流路形成基板1に接着剤接合している。なお、共通液室8の長手方向の端部に対応するノズル5a(図3参照)あるいは両端部のノズル5aに対応する加圧液室は画像形成には用いずに、気泡排出の吸引用として設けたダミーノズルとすることもできる。
このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。このノズル板3の周囲とヘッドフレーム14との間には封止剤20を充填している。この封止剤20は接着の役割も兼ねている。
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、圧電素子12に対して選択的に20〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加された圧電素子12が積層方向(d33方向を用いる場合)に変位して振動板2をノズル5方向に変形させ、加圧液室6の容積/体積変化によって加圧液室6内のインクが加圧され、ノズル5からインク滴が吐出(噴射)される。
そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室6内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性によって加圧液室6内には若干の負圧が発生する。この状態の下において、圧電素子12への電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って加圧液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、インク供給口9から共通液室8、流体抵抗部であるインク供給路(連通部)7を経て加圧液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル5のインクメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために圧電素子12にパルス電圧を印加しインク滴を吐出させる。
なお、上記の説明ではノズルは上向きで図示している(図3以外)が、画像を形成する部材、例えば紙などに向けてインクを噴射する場合は、インクを噴射する向きは鉛直下向きである場合が多く、本発明においても、画像形成時、即ちインク噴射時には水平に搬送される画像形成部材(紙など)の鉛直方向上から、インク滴が画像形成部材に向かって飛翔する。
次に、このインクジェットヘッドの共通液室の構造について図4ないし図6をも参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの共通液室部分を説明する液室の並び方向に沿う要部拡大断面説明図であり、共通液室とインク供給口部分を抜き出して図示している。また、図5は圧力吸収体部分の平面説明図、図6は同圧力吸収体部分の他の例を示す平面説明図である。
このヘッドでは、共通液室8をフレーム部材14及びこのフレーム部材14よりも剛性の低い圧力吸収体(圧力吸収面を形成する部材)21によって形成することで、液室の並び方向をX方向としたとき、共通液室8のX方向に沿う壁面のうちの少なくとも一面を他の壁面より剛性が低く圧力を吸収するための圧力吸収体面21aとしている。
ここで、圧力吸収体面21aを形成する圧力吸収体21は、図4に示すように、X方向の厚さが均一ではなく、中央部付近が平均的に厚肉、両端部付近が薄肉である構成となっている。具体的には、X方向で圧力吸収体面21aを3分割したとき、3分割した中央部の平均厚さは、両端部の平均厚さよりも厚い構造とし、中央部に厚肉部23を、両端部に薄肉部22を形成している。なお、この例では、3分割として3等分の例を示しているが、後述するように、3分割して中央部を厚肉部23とすることでもよい。このとき、厚肉部23は薄肉部22よりも剛性が高くなり、圧力吸収体21は剛性の異なる複数の部分を有していることになる。
この場合、圧力吸収体21は、振動板2を形成する薄肉部22となる第1層21Aと、この第1層21A上に設けられ、第1層21Aとともに厚肉部23を形成する第2層21Bとの積層構造としている。このように、圧力吸収体21を積層構造とすることで容易に厚さを不均一にすることができ、また、複数層の一部を振動板2と同じ層で形成することができるようにより、振動板形成工程で圧力吸収体21を同時に形成することができ、製造工程を簡略化することができる。
なお、ここでは、薄肉部22と厚肉部23の境界部分において、肉厚に段差が生じているが、このような段差を設けず、例えば、厚肉部から薄肉部への厚みを連続的に変化させ傾斜状の構造にすることもでき、このようにしても、圧力吸収体21の厚さを不均一にし、剛性の異なる部分を有する構成とすることができる。また、薄肉部22と厚肉部23を設ける領域配分は、上記のように3等分に限られるものではなく、当該圧力吸収体の材質、大きさなどに応じて、最適の配分及び位置を決定すればよい。
また、圧力吸収体21の薄肉部21Aと厚肉部21Bは、図5に示すように、X方向と直交する方向の幅(薄肉部21Aの短手方向の幅Uy)を同じにすることができるし、あるいは、図6に示すように、薄肉部21Aの短手方向の幅Uyよりも厚肉部21Bの幅を小さくすることもできる。
このように、圧力吸収体の厚さが不均一となる構成にすることで、共通液室の構造振動が複雑化し、低周波数での大きな振動モードの発生を抑制することができ、駆動周波数と共通液室8の共振周波数が重複することを防止できる。
また、圧力吸収体が剛性の異なる複数の部分を有する構成にすることで、共通液室の構造振動が複雑化し、低周波数での大きな振動モードの発生を抑制することができ、駆動周波数と共通液室8の共振周波数が重複することを防止できる。なお、圧力吸収体が剛性の異なる複数の部分を有する構成としては、部分的に厚さを異ならせる以外にも、例えば部分的に材質を異ならせることによっても達成できる。
すなわち、滴吐出時に圧力室から共通液室に伝播する圧力振動が他の圧力室に伝播することを防ぐためには、共通液室における圧力減衰効率を高める必要があるが、その手段として、共通液室の壁面の一部を剛性の低い部材、もしくは構造とし、壁面そのものの振動によって圧力変動を減衰させる方法、又は共通液室の壁面にゴム等の弾性の低い部材をコーティングすることによって、その部材の表面の変形によって圧力変動を減衰させる方法等が考えられる。これらのうち、壁面そのものの振動によって圧力変動を減衰させる方法は、製造の容易さ(コスト面及び工法的難易度)と減衰効率の良さから特に優れている。
しかしながら、共通液室の壁面の剛性を下げ、振動が容易に起こる構成とすると、壁面そのものの共振により共通液室の圧力変動が発生するという問題が生じる。
これを具体的に説明すると、図7に示すように共通液室の壁面の一部をすべて薄肉部22で形成して剛性を下げた圧力吸収体21とした場合、駆動周波数4kHzで駆動したときの共通液室の壁面の振動モードは図8に示すようになった。また、共通液室の壁面の剛性を下げないで、駆動周波数16.8kHzで駆動したときの共通液室の壁面の振動モードは図9に示すようになった。なお、図8又は図9に示した例の共通液室の壁面の面積はそれぞれ同じであり、壁面を形成する部分の厚さを変えることによって異なる剛性の壁面を構成したものである。
これらの図8及び図9から分かるように、共通液室の壁面の面積の剛性を下げて圧力吸収体を構成した場合の共振周波数は、剛性を下げないときの周波数に比べて低い周波数帯に推移する。したがって、インク滴を吐出させる周期が短くなる、すなわち、ヘッドの駆動周波数が高くなると、この共通液室壁面の共振周波数と重なる場合が生じる。通常、インクジェットヘッドの駆動周波数としては、数kHzから十数kHzの周波数帯が用いられており、この駆動周波数は共通液室の壁面の共振周波数より低いが、剛性を下げた壁面では共振周波数が低くなるため、共振周波数が記録ヘッドの駆動周波数帯域に重なる場合が生じる。
この共通液室壁面の共振点では、壁面の振動に伴い共通液室の圧力自体が大きく変動するため、共通液室の壁面の剛性を下げて圧力吸収体とした場合、共通液室の圧力変化の周波数特性は、図10に示すように共振周波数において大きな圧力変動値を示すようになる。
このように、本来、共通液室の圧力を減衰させるべき圧力吸収体が、圧力吸収体自体を設けることにより、逆に、共通液室の圧力変動を増大させる結果となる。そして、これを避けるためには、記録ヘッドの駆動周波数を共振周波数に重ならない帯域に設定する必要があり、記録ヘッドの駆動条件が制約されることとなる。
特に、インクジェット記録装置の高速化に対応するため、記録ヘッドのノズル数は増える傾向にあるが、ノズル数の増加、すなわち、個別液室の数が増えることに伴い、共通液室の長さ(液室並び方向の長さ)が長くなり、その結果、圧力吸収体の長さも長くしなければならない。圧力吸収体の長さがながくなることによって、剛性が一段と下がることになり、共通液室壁面の共振点がさらに低周波数側にシフトするため、記録ヘッドの駆動周波数を共振周波数に重ならない帯域にするためには、更に駆動条件設定を厳しくしなければならない。特に、ライン型ヘッドのように、ノズル数が多く、それに伴う共通液室長が長いヘッドにおいては、発生する圧力変動が大きいため問題となる。
これに対して、本発明のように全体を薄肉部22である圧力吸収体とせずに、厚肉部23を含む圧力吸収体21とすることによって、圧力減衰効果を得ながら、共振周波数の低下を抑えることができる。したがって、高速駆動時においても安定した滴吐出特性が得られる。
ここで、本発明に係る圧力吸収体を備えた共通液室の圧力変化の周波数特性の評価結果を図11に示している。この周波数特性は、図4において、圧力吸収体面21aのX方向長の両端35%の領域を薄肉部22とし、残りの中央部30%の領域を厚肉部23としたときの周波数特性である。この図11と前述した図10の圧力吸収体面全体を薄肉部とした構造の共通液室圧力変化の周波数特性とを比較すると分かるように、図7に示す全体が薄肉部の圧力吸収体の方が剛性は低いが、本発明に係る圧力吸収体の方が高い圧力減衰効果を得られる。
また、本実施形態においては、図4に示すように、圧力吸収体21はX方向の両端が支持された構造となっているが、両端の支持部付近の厚さを薄くする、つまり、剛性を下げることにより、圧力吸収体21全体の変形量を大きくすることができる。これにより、部分的に圧力吸収体21の厚みを増し、その部分の圧力吸収体21としての機能が低下しても、全体で見た場合の機能の低下は最低限に抑えることができる。
また、共通液室8の両端部は、共通液室8で圧力の共振が発生した場合、圧力変動を最も受けやすいことから、圧力変動量の多いところに、圧力吸収効果の高い薄肉部22を設けることで、効率の良い圧力減衰効果を得ることができる。
さらに、圧力吸収体21は、薄肉部22と厚肉部23の2種類の厚さから構成され、X方向の両端部が薄肉部22、中央部が厚肉部23とする構造とすることにより、構造が単純化され、製作がしやすく、また圧力減衰効果を高めることができる。
また、圧力吸収体21は、積層構造をなし、薄肉部22を構成する層に、更に層を重ねて厚肉部23を構成することで、より簡単な工法で厚さの異なる圧力吸収体を形成することが可能となる。なお、本実施形態においては、薄肉部21が1層、厚肉部22が2層となっているが、それ以外の構造、例えば薄肉部21が1層、厚肉部が3層という構成にすることなどもできる。
以上のように、圧力吸収体21の薄肉部22と厚肉部23の構成は、薄肉部21のX方向の長さを長くすれば、高い圧力減衰効果が得られるが、圧力吸収体面21a、即ち圧力吸収体21の振動による圧力変動が低い周波数で発生するようになる。逆に、薄肉部21のX方向の長さを短くすれば、圧力吸収体面21aの振動は改善されるが、圧力減衰効果は低下する。
したがって、本発明を実施するにあたっては、圧力吸収体の寸法や厚さ、材料の弾性率等について十分検討し、最適構造を得るためのサイズや部材の選定をする必要がある。
そこで、圧力吸収体及びヘッド全体の構造を変えた表1に示すような32種類の印字ヘッドを作製し、噴射試験による次のような評価を実施した。
評価A:相互干渉評価・・・圧力吸収体が十分に機能しているか。
評価B:周波数依存評価・・・圧力吸収体の共振が噴射特性に影響を与えていないか。
評価Aは、実際にプリンタにヘッドを搭載して評価チャートの印字を行い、印字サンプルの画像異常の発生有無で判定を行った(異常なし=○、異常あり=×)。評価Bは、ヘッド単体にて、駆動周波数を変えながらインク滴を飛ばし、そのときの滴吐出特性(インク滴噴射速度、インク滴吐出体積,噴射曲がり等)を観測し、特性に周波数依存がみられるか否かを評価した(周波数依存なし=○、周波数依存あり=×)。
そして、これらの評価に影響を及ぼすと思われる構造因子として、以下の項目を選択した。Ud、Uy、Uxの位置については、図4ないし図6に示したとおりである。
薄肉部22の厚さ Ud(m)
薄肉部22の短手方向長さ Uy(m)
薄肉部22の長手方向(X方向)の長さ Ux(μm)
薄肉部22のヤング率 E(Pa)
以上を変数とみなし、
K=Ud×Uy×Ux×E
とおき、aからdをフィッティングパラメータと考え、これを最適化することで、Kというひとつのパラメータで圧力吸収体の性能を指標化することを考えた。
その結果、a=2、b=−2.5、c=−3.5、d=2/3とおけば、現象をよく表すことが出来ることがわかった。
以上の結果を表1に示す。これから、Kの値を、2×1010〜9×1010の範囲に収めれば、評価A、Bとも良好な結果が得られることがわかる。
Figure 0004219249
すなわち、圧力吸収体面を形成する部材21は、薄肉部22の厚さをUd(m)、薄肉部22の短手方向長さをUy(m)、薄肉部22のX方向長さをUx(m)、薄肉部22のヤング率をE(Pa)としたときに、次の(1)式の関係を充足することによって、圧力吸収体の剛性と圧力吸収体の共振周波数を最適化することができて、確実に、高速駆動でも安定した噴射特性を得ることができる。
Figure 0004219249
ここで、ノズル数の増加に伴い、ヘッドが大型(長尺)化し、圧力吸収体面積が更に増大した場合、圧力吸収体を形成する部材として樹脂のように柔らかい部材を用いると、低周波数帯における圧力吸収体の共振が多く発生するようになる。また、大面積の軟部材は加工が難しいことから、多少剛性が高くても、圧力吸収体の部材は硬い材料を用いることが好ましい。しかし、剛性が高い部材でも十分な圧力吸収効果を得ることができる。
そこで、ノズル数200ビットを超えるヘッドを用いて、圧力吸収体を形成する部材を変えて共通液室の圧力共振特性を調べた。この結果を図12に示している。
ここでは、圧力共振の程度をあらわす簡単な指標として、ヘッドの駆動周波数帯を1〜16kHzと想定し、圧力共振発生時の圧力変動値の合計により、比較を行っている。例えば、図11の特性では、4kHzと10kHzと10.8kHzに共振点があり、それぞれ圧力変動値は0.8、1.1、0.5となっているので、0.8+1.1+0.5=2.4 と算出することができる。なお、ここでは、これを「圧力共振指数」と称する。
この図12から分かるように、圧力吸収体のヤング率が、100MPa以下となると、急激に圧力共振指数は増大する。すなわち、共通液室の圧力変動が滴吐出特性に影響を与えやすくなる。したがって、圧力吸収体21を形成する部材としてはヤング率が100Pa以上の部材を用いることが好ましい。
このように、圧力吸収面を形成する部材としてヤング率100Pa以上の部材を用いることにより、ノズル数が増え、ヘッド寸法が大きくなることにより発生する、圧力吸収体の大面積化による共振周波数の低下を抑えることができ、特にノズルの多い長尺ヘッドであっても安定した噴射特性を得ることができる。
このような部材としては、Niが適している。すなわち、Niはヤング率が150MPa程度であって、圧力吸収体面を形成する部材として上述した要求を満足し、しかも加工性にも優れている。
さらに、圧力吸収体21のX方向長さTxの中で、薄肉部22の占める長さUxは重要である。薄肉部22の割合を減らすと、十分な圧力吸収効果を得られなくなる。これは、薄肉部22の構造的なダンピング能力が変化する他、厚肉部23が長くなることにより、共通液室全体の圧力を十分に吸収することが出来なくなることによる。逆に、薄肉部22の割合を増やすと、前述のように圧力吸収体の振動が問題となる。
そこで、薄肉部22のX方向長さUxと、圧力吸収体21全体の長さTxの比を変えた印字ヘッドを用意し、噴射特性の評価を行った。その結果は、表2のとおりである。
Figure 0004219249
この結果より、UxとTxの比(Ux/Tx)は、0.25から0.45の範囲内に設定することが好ましいということが分かる。
すなわち、薄肉部22のX方向長さをUx(μm)、圧力吸収体面全体のX方向長さをTx(μm)としたときに、次の(2)式の関係を充足することにより、圧力吸収体の構造を最適化することができるので、より確実に、圧力吸収と共振の抑制を行うことができて、噴射特性を安定化することができる。
Figure 0004219249
次に、本発明に係る他の実施形態について図13を参照して説明する。
この実施形態では、圧力吸収体21は、薄肉部22の領域の一部に、第2の厚肉部24を備えた構成としている。
このように、第2の厚肉部24を備えることにより、共通液室壁面の共振周波数が更に高周波数側にシフトされ、ヘッド駆動周波数帯域内における共振点の発生を更に抑えることができる。
また、第2の厚肉部24を備えることにより、薄肉部22の強度が増し、ヘッドの加工がより容易になるという効果もある。その一例として、第2の厚肉部24の有無による、共通液室の圧力変化特性を比較した。その結果を図14に示している。
この結果より、第2の厚肉部24を備えたヘッドは、第2の厚肉部24を備えていないヘッドと比較して、より圧力変化が少ない良好な特性が得られることが分かる。
このように、圧力吸収体には薄肉部の領域に第2の厚肉部を設けることによって、圧力吸収体の共振周波数を更に駆動周波数と離すことができるので、安定した噴射特性をより効果的に得ることができる。また、圧力吸収体の強度が増すため、組み立て時の取り扱いが容易になり、製造作業性が向上する。
ここで、第2の厚肉部24の厚さは、厚肉部23と同一とすることで、厚肉部23と第2の厚肉部24を同時に形成することができ、加工の簡素化と製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明に係る更に他の実施形態について図15を参照して説明する。
この実施形態では、フレーム部材14の共通液室8を形成する壁面の一部に圧力吸収体21を設けている。この場合、圧力吸収体21の背面側にはダンパー室25を形成して、圧力吸収体21の変位を可能とし、またダンパー室25は図示しないが大気連通路を介して大気と連通していることが好ましい。このようにしても、振動板2で圧力吸収体21の一部を形成することによる作用効果以外は、前記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
以上のように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、共通液室の1つの壁面を圧力吸収体面とし、この圧力吸収体面を形成する部材は厚さを不均一とし、あるいは、剛性の異なる複数の部分を有する構成としたので、剛性を維持しつつ共振周波数の低下を抑制することができて、ヘッドの駆動周波数と圧力吸収体面の共振周波数を異ならせることができ、高速駆動時においても安定した滴吐出特性を得ることができる。
特に、本発明による液滴吐出ヘッドは、ライン型の記録ヘッドに適用するのが好ましい。すなわち、ライン型記録ヘッドは、ビット数が大きく、圧力吸収体のX方向の長さが長くなり、本発明が問題とする圧力吸収体自体の共振が顕著に発生するようになる。そこで、本発明を適用することによって、剛性を維持しつつ圧力変化を吸収できるようになり、フルライン型の長尺ヘッドでも、安定した滴吐出特性を得ることができるようになる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
SUS製の支持基板(ベース基板11)に圧力変換手段としての積層型圧電素子を嫌気性接着剤を用いて接合し、ダイシングソーを用いてこの圧電素子に溝加工を施して、各圧力室6に対応するよう分離した圧電素子12を形成した。この溝加工した圧電素子12の側面に通電部材としてのFPC18をはんだを用いて接合し、アクチュエータユニットを形成した。
一方、電鋳工法で製作したノズル板3と振動板2、及びエッチング工法で製作したシリコン製の流路板(液室基板)1を高精度に位置決め積層し、それぞれの界面をエポキシ接着剤で接合した。そして、振動板2の裏面にアクチュエータユニットの圧電素子12の上面をエポキシ接着剤で接合した。
これに、長手方向長さ35mm、短手方向長さ1mm、深さ2mmの共通液室8を形成する樹脂製のフレーム部材14を、振動板2の裏面及びベース基板11の端面で嫌気性接着剤で接着し、インクジェットヘッドを製作した。
このとき、フレーム部材14の共通液室8となる開口部は、振動板2により塞がれる。そこで、この振動板2は厚さ3μm及び27μmの2層のNi電鋳による積層構造として、共通液室8を閉塞する部分は、共通液室長手方向で、端部12mmの領域を1層(厚さ3μm)で形成した薄肉部22とし、中央部は1層及び2層(厚さ3μm+27μm=30μm)で形成した厚肉部23とした。
このようにして製作した200ビット分のノズル5を持つインクジェットヘッドを、プリンタに搭載して印字試験を行った。
この結果、全ノズルからインクを吐出して印字するマルチ印字を行った場合でも、不良画質を発生することのない、良好な結果を得た。
比較のため、共通液室を閉塞している振動板を全て1層(3μm)の薄肉部としたインクジェットヘッドを製作し、同様にプリンタに搭載して印字試験を行った場合には、不良画質が発生した。
これにより、本発明は液滴噴射特性が改善されることが確認できた。
(実施例2)
SUS製の支持基板(ベース基板11)に圧力変換手段としての積層型圧電素子を嫌気性接着剤を用いて接合し、ダイシングソーを用いてこの圧電素子に溝加工を施して、各圧力室6に対応するよう分離した圧電素子12を形成した。この溝加工した圧電素子12の側面に通電部材としてのFPC18をはんだを用いて接合し、アクチュエータユニットを形成した。
一方、電鋳工法で製作したノズル板3と振動板2、及びエッチング工法で製作したシリコン製の流路板(液室基板)1を高精度に位置決め積層し、それぞれの界面をエポキシ接着剤で接合した。そして、振動板2の裏面にアクチュエータユニットの圧電素子12の上面をエポキシ接着剤で接合した。
これに、長手方向長さ63mm、短手方向長さ2.5mm、深さ3mmの共通液室8を形成する樹脂製のフレーム部材14を、振動板2の裏面及びベース基板11の端面で嫌気性接着剤で接着し、インクジェットヘッドを製作した。
このとき、フレーム部材14の共通液室8となる開口部は、振動板2により塞がれる。そこで、この振動板2は厚さ3μm、15μm、15μmの3層のNi電鋳による積層構造として、共通液室8を閉塞する部分は、共通液室長手方向で、端部20mmの領域を1層及び2層(厚さ3μm+15μm=18μm)で形成した薄肉部22とし、中央部は1層ないし3層(厚さ3μm+15μm+15μm=33μm)で形成した厚肉部23とした。
このようにして製作した360ビット分のノズル5を持つインクジェットヘッドを、プリンタに搭載して印字試験を行った。
この結果、全ノズルからインクを吐出して印字するマルチ印字を行った場合でも、不良画質を発生することのない、良好な結果を得た。
比較のため、共通液室を閉塞している振動板を全て1層(3μm)の薄肉部としたインクジェットヘッドを製作し、同様にプリンタに搭載して印字試験を行った場合には、不良画質が発生した。
これにより、本発明は液滴噴射特性が改善されることが確認できた。
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例について図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同記録装置の斜視説明図、図24は同記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部112等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙113を手差しで給紙するための手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カセット114或いは手差しトレイ115から給送される用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ116に排紙する。
印字機構部112は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド12と従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123にはヘッド124に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ125を交換可能に装着している。
インクカートリッジ125は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ123は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド122に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動プーリ129との間にタイミングベルト130を張装し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に固定しており、主走査モータ127の正逆回転によりキャリッジ123が往復駆動される。
一方、給紙カセット114にセットした用紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ローラ131及びフリクションパッド132と、用紙113を案内するガイド部材133と、給紙された用紙113を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ134は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ123の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材139を設けている。この印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車144と、排紙経路を形成するガイド部材145,146とを配設している。
記録時には、キャリッジ123を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動することにより、停止している用紙113にインクを吐出して1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド124を構成する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドは、共通液室の圧力変動を吸収できるとともに共振を抑制することができるので、相互干渉がなく、安定した敵吐出特性を有するので、高画質画像を記録することができる。
また、キャリッジ123の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良を回復するための回復装置147を配置している。回復装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこの回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド124の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載しているので、高速駆動で安定した滴吐出特性を得ることができる。
なお、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、これらの複合機などにも適用することができる。また、インク以外の液体、例えばDNA試料やレジスト、パターン材料などを吐出する液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置、或いはこれらを備える画像形成装置にも適用することができる。さらに、本発明に係る液滴吐出ヘッドの圧力変換手段(アクチュエータ手段)は、圧電型アクチュエータに限るものではなく、静電型アクチュエータ、サーマル型アクチュエータ、形状記憶合金を用いたアクチュエータなどを使用することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視説明図である。 同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 同ヘッドのノズル並び方向に沿う共通液室部分の断面説明図である。 同ヘッドの共通液室部分の液室の並び方向に沿う要部拡大断面説明図である。 圧力吸収体の平面説明図である。 同圧力吸収体の他の例を示す平面説明図である。 比較例の共通液室部分の液室の並び方向に沿う要部拡大断面説明図である。 比較例を駆動周波数4kHzで駆動したときの共通液室の壁面の振動モードの説明図である。 比較例を駆動周波数16.8kHzで駆動したときの共通液室の壁面の振動モードの説明図である。 比較例の共通液室の圧力変動特性の説明図である。 本発明に係る圧力吸収体を備えた共通液室の圧力変動特性の説明図である。 圧力吸収体のヤング率と共通液室の圧力共振特性の説明図である。 本発明の他の実施形態の説明に供する圧力吸収体の平面説明図である。 同実施形態の作用説明に供する共通液室の圧力変化特性の説明図である。 本発明の更に他の実施形態の説明に供するヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す斜視説明図である。 同装置の機構部の説明に供する側面説明図である。 従来の液滴吐出ヘッドの説明に供する液室長手方向に沿う断面説明図である。 同ヘッドの説明に供する液室短手方向に沿う断面説明図である。
符号の説明
1…流路(液室)基板
2…振動板
3…ノズル基板
5…ノズル孔
6…加圧液室
7…インク供給路
8…共通液室
9…インク供給口
11…ベース基板
12…圧電素子
13…ベース基板
14…フレーム部材
18…FPCケーブル
19…駆動回路(ドライバIC)
20…封止剤
21…圧力吸収体
22…薄肉部
23…厚肉部
24…第2の厚肉部
25…ダンパー室

Claims (9)

  1. 複数のノズルが各々連通する複数の液室に液体を供給するための共通液室を有する液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記液室の並び方向をX方向としたときに、前記共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性圧力吸収体面とし、
    この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の厚さが両端部の平均の厚さよりも厚い
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力吸収体面を形成する部材は、少なくとも薄肉部と厚肉部の2種類の厚さを有していることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力吸収体面を形成する部材は前記X方向の両端部が薄肉部、中央部が厚肉部であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項2又は3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力吸収体面を形成する部材は、積層構造をなし、前記薄肉部と厚肉部で積層数が異なっていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、圧力吸収体面を形成する部材はNiからなることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液室の少なくとも一面を形成する振動板と前記圧力吸収体面を形成する部材の少なくとも一部が同一の層で一体形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 複数のノズルが各々連通する複数の液室に液体を供給するための共通液室を有し、ベース基板上に前記液室内の圧力を変化させるための複数の圧力変換手段を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記液室の並び方向をX方向としたときに、前記共通液室のX方向に沿う壁面の内の少なくとも一つの面は他の壁面よりも剛性圧力吸収体面とし、
    この圧力吸収体面を形成する部材はX方向で圧力吸収体面を3分割したとき、3分割した中央部の平均の剛性が両端部の平均の剛性よりも高い
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項1ないしのいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、このヘッドはライン型の記録ヘッドであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 液滴吐出ヘッドを備えて被記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、請求項1ないしのいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
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