JP4056052B2 - 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、圧力室、加圧液室、流路等とも称される。)と、この液室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】
インクジェットヘッドとしては、液室内のインクを加圧する圧力を発生するための駆動手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて、駆動手段の変位で液室の壁面を形成する弾性変形可能な振動板を変形させて液室内容積/圧力を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のものが知られている。
【0004】
このインクジェットヘッドは、圧電素子を充放電することで変形させ、圧電素子に当接した振動板を変位させ、振動板が加圧液室の容積を収縮するように変位することで加圧液室内部の圧力が上昇し、インク滴をノズルから吐出させるものであり、インク滴を吐出した後は、加圧液室の容積を膨張させるように振動板に変位を与えるべく、圧電素子を変形させる。
【0005】
このようなインクジェットヘッドの一例を図22及び図23に示している。なお、図22は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図23は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。
【0006】
このインクジェットヘッドは、液室基板211とノズル板218とを接合して、インク滴を吐出するノズル213に連通した加圧液室214、加圧液室214に連通部220を介してインクを供給する共通液室219を形成し、加圧液室214の壁面の一部を形成する振動板216の面外側にベース基板212に設けた圧電素子217を接合している。
【0007】
この振動板216は、圧電素子217の変形に伴い弾性変形するが、圧電素子217の変位を効率よく加圧液室214の容積変化にするために、振動板216は通常、加圧液室214を構成する他の面よりも剛性を小さく(=コンプライアンスを大きく)している。また、共通液室219は図示しないインクタンクに接続され、液室基板211とベース基板212との間には支持部材221を設けている。
【0008】
ここで、圧電素子217に図示しない駆動回路から電圧を加えることで圧電素子217は変形を生じ、振動板216を加圧液室214の容積が増加または減少するように変形させる。加圧液室214の容積を増加させた場合は加圧液室214の内部圧力は減少するので、共通液室219から連通部220を通ってインクが加圧液室214に補充される。
【0009】
その後に加圧液室214の内部圧力を増加させるような駆動を行う。すなわち、加圧液室214の容積を減少させるように圧電素子217を駆動させた場合は、加圧液室214の内部圧力が増加するので、ノズル213からインクが押し出されてインク滴222となって飛翔し、図示しない記録媒体(紙など)にインク滴が付着することで記録を行うことができる。
【0010】
このように、振動板を用いたインクジェットヘッドにおけるインク滴の形成は、振動板の変位がその源であり、さらにその駆動源である圧電素子との接合部分の構成は、インクジェットヘッドの特性を左右する重要な要素であるといえる。
【0011】
そこで、従来のインクジェットヘッドにおいては、特許第3147132号公報や特許第3070625号公報等に開示されているように、振動板に圧電素子と接合するための島状凸部を形成することが行われている。
【0012】
このような従来のインクジェットヘッドの構成について図24乃至図27を参照して説明する。なお、図24は同ヘッドの斜視説明図、図25は図24の要部拡大説明図、図26は他の例の振動板の斜視説明図、図27は同ヘッドの模式的斜視図である。なお、図22及び図23に対応する部分には同一符号を付して説明を簡略化する。
【0013】
このインクジェットヘッドでは、加圧液室214の壁面の一つを形成している振動板216には凹部223が設けられて薄肉部226を形成している。圧電素子217が振動板216に当接する部分には厚肉部である島状凸部224が形成されている。すなわち、薄肉部226は厚肉部である島状凸部224の全周を均一な厚さで取り巻いている。
【0014】
圧電素子217は加圧液室214に対応しており、厚肉部225によって圧電素子217が当接する島状凸部224を隔てている凹部223を区画している。なお、図26の振動板216は薄肉部226を形成し、その中に厚肉部である島状凸部224を形成したものである。
【0015】
このような島状凸部に圧電素子を当接して圧電素子を駆動することで、駆動した圧電素子の振動が隣接する他の加圧液室に伝播する量が少なくなり、また、圧電素子の変位を効率的に加圧液室の容積変化、すなわち圧力変化へと変換することができる。
【0016】
一方、島状の凸部を有さず、圧電素子が当接している振動板の厚さが、加圧液室を構成している壁面全体にわたって一様であるヘッドとして、例えば特開2002−86713号公報や特開2002−964675号公報に開示されているものがある。このようなヘッドの一例を図28に示している。なお、図22及び図23に対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェットヘッドにあっては、振動板に形成する島状凸部は、加圧液室を区画する境界から一定の距離を置いて形成する必要があるため、島状凸部の全周にわたって均一な幅の薄肉部を形成しなければならず、製造上、一段高い寸法精度や位置決め精度が要求される。
【0018】
また、島状凸部の長辺は圧電素子の先端部の長辺よりも長く、さらに薄肉部の間隔も必要とされることから、ヘッド全体を小型化することが困難であるという問題があり、高密度配列への対応が課題となる。しかも、液室内部の容積変化は凸部の寸法と圧電素子の変位量から決まるので、凸部の寸法は高精度にする必要があるが、長い寸法のものを高精度に作製することが難しく、歩留まりが低下し、コストが高くなる。
【0019】
さらに、平板上振動板のように全面が薄肉部である振動板を用いた場合、薄肉部の面積が大きい振動板を構成要素としている加圧液室は、加圧液室全体としての剛性が小さくなり(=コンプライアンスが大きくなり)、加圧液室の内部圧力を増加させる際の効率が悪くなるとともに、インク滴噴射時のメニスカスの制御性に劣るという課題もある。
【0020】
加えて、圧電素子を駆動したときに、島状凸部は、全周の薄肉部で弾性変形による歪みが発生しており、凸部または薄肉部の形成時のバラツキ等の予期せぬ不具合によって起こった応力集中で、振動板が破断するおそれもある。多数の加圧液室をバラツキなく形成するためには、製造工程が煩雑になりかねず、様々な装置の開発が求められ、また、コストの上昇を招くという課題もある。
【0021】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、厚肉部の精度を落とすことができて、歩留まり向上、低コスト化、液室の剛性の向上を図れ、これにより噴射効率の改善、信頼性の向上を図れるようにすることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板は、駆動手段の変位により変形する薄肉部と支持部材に固定されて変形しない第1の厚肉部と駆動手段に固定され駆動手段と共に変位する第2の厚肉部とからなり、液室に対応する薄肉部の領域は第2の厚肉部で液室短手方向に2つに分離され、薄肉部の液室長手方向の長さは液室の長手方向の長さよりも長く、薄肉部は、並列に配置された複数の液室からなる2つの液室列にまたがって形成されている構成とした。
【0023】
ここで、駆動手段は積層型圧電素子である構成とできる。また、駆動手段は、振動板の法線方向の変位が、d33方向である圧電素子で構成されている構成とでき、この場合、駆動手段は、液室長手方向の両端部に電界が生じない不活性域を有し、不活性域の少なくとも一方が液室の長手方向の隔壁に振動板を介して接合されている構成とできる。
【0024】
また、振動板に形成された薄肉部の角部は曲面に形成されている構成とできる。また、厚肉部の一部分の厚さが他の部分より薄い構成とできる。
【0025】
本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。まず、本発明を適用する液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドについて図1乃至図5を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズルと液室の千鳥配置を説明する平面説明図、図3は同ヘッドの液室長手方向で図2のA−A線に沿う断面説明図、図4は図3の要部拡大説明図、図5は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図、図6は同ヘッドの部分拡大斜視説明図である。
【0027】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路形成基板(液室基板)1と、この流路形成基板1の下面に接合した振動板2と、流路形成基板1の上面に接合したノズル板3と、後述するフレーム部材17(図1では図示省略)を有し、これらによってインク滴を吐出するノズル5が連通する流路(インク液室)である加圧液室6、加圧液室6にインクを流体抵抗部となるインク供給路7を介してインクを供給する共通液室8を形成している。
【0028】
ここで、ノズル5及び加圧液室6は、図2に示すように、それぞれ2列に配置し(一方のノズル5の列を「ノズル列5A」、他方のノズル5の列を「ノズル列5B」という)、一方のノズル列5Aのノズル5及び対応する加圧液室6と、他方のノズル列5Bのノズル5及び対応する加圧液室6とは、ノズルピッチの半分だけずらして千鳥状に配置している。したがって、一方のノズル列5Aのノズル5に対応する他方のノズル列5Bでは加圧液室6の隔壁20が存在することになる。
【0029】
そして、振動板2の面外側(液室6と反対面側)に各加圧液室6に対応して駆動手段としての積層型圧電素子12を接合し、この積層型圧電素子12はベース基板13に接合して固定している。
【0030】
この圧電素子12は、圧電材料層と内部電極とを交互に積層したものである。この場合、圧電素子12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることも、圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内インクを加圧する構成とすることもできる。
【0031】
また、流路形成基板1、振動板2及びノズル板3の外周部をエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17に接着接合し、このフレーム部材17とベース基板13とは図示しない部分で接着剤などで相互に固定している。このフレーム部材17には前述したように共通液室8を形成し、外部から共通液室8にインクを供給するためのインク供給口を形成している。なお、フレーム部材17は2つの部品に分けているが1つの部品で構成することもできる。
【0032】
さらに、圧電素子12には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル18を接続し、このFPCケーブル18には各圧電素子12に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)19を実装している。
【0033】
ここで、流路形成基板1は、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、各加圧液室6となる貫通穴、インク供給路7となる溝部をそれぞれ形成している。この場合、各加圧液室6は隔壁20によって区画している。
【0034】
振動板2はニッケルの金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法で製造している。この振動板2は加圧液室6に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部21及び圧電素子12の一端を当接させて接合するための中央厚肉部22を形成するとともに、隔壁20に対応する部分にも周囲厚肉部23を形成し、平坦面側を流路形成基板1に接着剤接合している。
【0035】
この振動板2の液室間隔壁20に対応する周囲厚肉部23とベース基板13との間には支持部材25を介設している。これにより、振動板2とベース基板13は、圧電素子12と支持部材25の両方で連接され、上部の加圧液室6の剛性を保つとともに、圧電素子12の変形による振動板2の中央厚肉部22の変位効率を向上させている。なお、この支持部材25は圧電素子12と同じ構成とすることができる。
【0036】
ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径10〜30μmのノズル5を形成し、流路形成基板1に接着剤接合している。このノズル板3としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。このノズル板3の周囲とフレーム部材17との間には封止剤26を充填している。この封止剤26は接着の役割も兼ねている。
【0037】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、圧電素子12に対して選択的に20〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加された圧電素子12が積層方向(d33方向を用いる場合)に変位して振動板2をノズル5方向に変形させ、加圧液室6の容積/体積変化によって加圧液室6内のインクが加圧され、ノズル5からインク滴が吐出(噴射)される。
【0038】
そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室6内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性によって加圧液室6内には若干の負圧が発生する。この状態の下において、圧電素子12への電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って加圧液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、共通液室8、流体抵抗部であるインク供給路7を経て加圧液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル5のインクメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために圧電素子12にパルス電圧を印加しインク滴を吐出させる。
【0039】
そこで、このインクジェットヘッドにおける振動板2の構成の詳細について、まず1つの加圧液室6に対応する部分を例にして図7をも参照して説明する。同図は1チャンネル分の模式的要部拡大斜視説明図である。
先ず、振動板2の第1例について図7を参照して説明すると、振動板2は、薄肉部21と第2の厚肉部である中央厚肉部22及び第1の厚肉部である周囲厚肉部23から構成され、圧電素子12が当接する(ここでは接合する)中央厚肉部22によって、薄肉部分は2つの薄肉部21、21に領域を分離されている。
【0040】
中央厚肉部22は、加圧液室6の長手方向(液室長手方向)に沿って形成し、薄肉部21は中央厚肉部22を挟んで対称な位置に、加圧液室6の長手方向に沿って細長く設けている(その範囲を規定した本発明の異なる例については後述する。)。これにより、駆動時における加圧液室6内の圧力変化が対称となって相互干渉を防止することができる。
【0041】
周囲厚肉部23は加圧液室6に対して薄肉部21及び中央厚肉部22を1つずつ(1チャンネル毎に)区画している厚肉部であり、前述したように支持部材25を介してベース基板13と接続している。この周囲厚肉部23と中央厚肉部22との厚みは異ならせ、中央厚肉部22の厚みを周囲厚肉部23の厚みより薄く形成している。
【0042】
この振動板2の中央厚肉部22に圧電素子12を接合し、前述したように、ドライバICからの駆動信号を与えることで圧電素子12が伸縮して、加圧液室6の内部圧力を適切に制御することでインク滴が噴射する。このとき、圧電素子12の変形は、中央厚肉部22の変形にも用いられることから、効率の低下についての数値シミュレーションを行ったところ、加圧液室6の内部圧力は十分上昇し、加圧液室内部圧力の時間変化も従来のものと比較して、大きな位相変化や圧力変化量の特異点等も見られなかった。
【0043】
したがって、振動板2への圧電素子12の当接部分を厚肉化する場合、当接部分をその周囲を薄肉部で取り巻いた島状凸部(図27の例)にせず、加圧液室6の長手方向に沿って形成した厚肉部22で薄肉部21を分離した当接部であっても、良好なインク滴の噴射速度や噴射滴体積などの特性を得ることができる。
【0044】
そして、従来の島状凸部の形状にした場合に比べて、次のような利点がある。すなわち、これによれば、厚肉部の面積を増加させつつ、振動板の変位量を確保できることになり、加圧液室の剛性を高めて滴噴射の制御性を向上することができる。また、島状凸部を形成しないので、凸部の寸法精度に起因する加圧液室の容積変動量を抑えることができ、特性バラツキが低減する。
【0045】
すなわち、従来例に比較して、振動板2に形成した薄肉部21の面積が小さいので、加圧液室6の剛性が高くなる。したがって、固有振動数が大きくなり、より高い周波数での駆動が可能になる。また、圧電素子12の駆動変位に対する加圧液室6の内部圧力の追随性が向上することにもなり、内部圧力、すなわちインク滴噴射に関する高精度な制御が可能となる。特に、ノズル5を加圧液室6の端部に設置した場合、周囲厚肉部23があるためにノズル5直下の振動板2の剛性を高くすることができる。
【0046】
インクジェットヘッドにおいて、圧電素子で駆動する部分以外の構成要素は、印字動作時の振動等、ヘッド外部からの不要な外力の影響を排除するため、できるだけ剛性を高めることが好ましい。したがって、振動板2も、圧電素子12が当接する部分(中央厚肉部22)以外の周囲厚肉部23の厚さはできるだけ厚くすることが好ましい。
【0047】
次に、振動板2の第2例について図8を参照して説明する。同図は1チャンネル分の模式的要部拡大斜視説明図である。
この例では、振動板2には薄肉部21と中央厚肉部22及び周囲厚肉部23を形成するが、液室長手方向に沿って設けられていて薄肉部21を分離している中央厚肉部22の厚さは、チャンネル毎に1つずつ区画している周辺厚肉部23の厚さと同じにしたものである。
【0048】
このように構成すれば、振動板2の厚さは薄い部分(薄肉部21)と厚い部分ところの2種類だけなので、製造工程が簡単になり、コストや精度を大きく向上することができる。
【0049】
このインクジェットヘッドは、前記実施形態と同様に中央厚肉部22に圧電素子12を接合し、ドライバICからの駆動信号に従って伸縮させて、加圧液室6の内部圧力を適切に制御することで、インク滴を噴射する。このとき、圧電素子12の変位が振動板2の中央厚肉部22を変形させるので、中央厚肉部22の剛性は低い、すなわち中央厚肉部22の厚さは薄い方が圧電素子12の効率は向上する。しかし、中央厚肉部22の厚さを薄くすると、周囲厚肉部23の厚さも薄くなってしまい、ヘッド全体の剛性も小さくなってしまうおそれがあるが、振動板2は流路形成基板1や図示しないフレーム部材17に接合されているので、その接合部分を強固にすることで、ヘッド全体の剛性の低下は防止できる。
【0050】
ここで、圧電素子12について説明すると、圧電素子12は、振動板2が加圧液室6の内部圧力を増減するように駆動するので、ベース基板13と振動板2との距離を伸縮するように構成する。低電圧での駆動が好ましいので、前述したように、圧電材料と電極材料を交互に複数積層して形成した積層型圧電素子を用いることが好ましく、その際、圧電方向としてd31とd33のいずれを用いても上述した作用効果を得ることができる。
【0051】
そこで、特にd33変位を用いた場合の圧電素子長さと厚肉部の長さの関係の第1例について図9を参照して説明する。同図は1チャンネル分の模式的断面説明図である。
ここで、圧電素子32は圧電層33と電極層(内部電極)34とを交互に積層した積層型圧電素子であり、内部電極33は交互に反対の端面に引き出している。この圧電素子32においては、内部電極34、34で圧電層33が挟まれた部分(領域)が電界を発生して変位を生じる活性域35となり、液室長手方向の両端部では一方端面からの内部電極34のみで他方端面からの内部電極34が存在しないので、その両端部分は電圧を印加しても変位を生じない不活性域36、36となる。
【0052】
そして、d33変位を利用する圧電素子32の一方の不活性域36は、加圧液室6を区画する隔壁(外壁部を含む)20に対向した位置に配置している。この場合、圧電素子32の長さLpと中央厚肉部22の長さLsとの関係は、いずれが長くても良い。圧電素子32の活性域35の変位は、不活性域36の近傍では元々小さいので、隔壁20による圧電素子32の変位の抑制には大きな影響を与えない。
【0053】
このように圧電素子32の一方の不活性域36のみを隔壁20で抑制する構成にすることで、圧電素子32と振動板2の接合時に位置ずれを生じたとしても、振動板2の変位領域のずれが小さくなり、特性のバラツキを抑制することができる。
【0054】
次に、圧電素子長さと厚肉部の長さの関係の第2例について図10を参照して説明する。同図は1チャンネル分の模式的断面説明図である。
ここでは、圧電素子32の各不活性域36、36は、加圧液室6を区画する隔壁(外壁部を含む)20に対向した位置に配置している。この場合、圧電素子32の長さLpは中央厚肉部の長さLsよりも長くなる。圧電素子32の活性域35の変位は、不活性域36、36の近傍では元々小さいので、隔壁20による圧電素子32の変位の抑制には大きな影響を与えない。逆に、圧電素子32の不活性域36、36が、ベース基板13と振動板2を接合する支持部材として働くので、流路形成基板1を強固にすることができ、ヘッド全体の剛性を向上できる。
【0055】
ここで、圧電素子32の活性域35が、加圧液室6を構成/区画する長手方向両側の隔壁20に対向した位置には存在しないように構成すると、圧電素子32の駆動時に隔壁20に変位を与えることがないので、不要な振動変位が加圧液室6に生じることがなく、また、圧電素子32の変位効率を阻害することもなくなる。
【0056】
次に、圧電素子長さと厚肉部の長さの関係の第3例について図11を参照して説明する。
ここでは、圧電素子32の活性域35の液室長手方向の長さを振動板2の中央厚肉部22の液室長手方向の長さよりも短くし、不活性域36が中央厚肉部22に対応する領域まで入り込むようにしている。
【0057】
すなわち、圧電素子32の各不活性域36、36は、加圧液室6を区画する隔壁(外壁部を含む)20に対向した位置に配置するとともに、活性域35の変形によって振動板2が変位する領域にも不活性域36、36を配している。この場合も、圧電素子32の長さLpは中央厚肉部22の長さLsよりも長くなる。
【0058】
圧電素子32の不活性域35の変位は非常に小さいので、圧電素子32の不活性域36、36が、ベース基板13と振動板2を接合する支持部材として働き、流路形成基板1を強固にすることができる。その上、圧電素子32と振動板2の接合時に位置ずれを生じたとしても、加圧液室6の内部から見た圧電素子32の活性域35の大きさは変わらないことになり、特性のバラツキを抑制することができる。
【0059】
次に、圧電素子の幅と厚肉部の幅の関係について図12を参照して説明する。同図は1チャンネル分の模式的断面説明図である。
ここでは、圧電素子32が振動板2に当接する部分の、加圧液室6の短手方向の長さ(=幅Wp)は、振動板2に設けた中央厚肉部22の加圧液室6の短手方向の長さ(=幅Ws)より長くする。
【0060】
このように構成することで、圧電素子32を周囲厚肉部23に接合する位置が図12の左右方向に多少ずれても、両者が当接する領域の面積を一定に確保することができるので、特性のバラツキを抑えることができる。
【0061】
以上は、ノズル列が一列の場合での説明であるので、次に前述したように2つのノズル列5A、5Bを有し、ノズル列5A、5Bを千鳥状に配置した場合の振動板2の第3例について図13を参照して説明する。なお、同図は同実施形態の振動板を圧電素子側から見た模式図で、実際には見えない各加圧液室の外形の一部とノズルを破線で示している。また、圧電素子や、以下の説明に不要な構成は省略している(以下、図17まで同様)。
【0062】
ここでは、振動板2に設けた薄肉部21は、その各々を、ノズル列5Aの加圧液室6とノズル列5Bの加圧液室6とで共有している。この場合、ノズル列5Aの加圧液室6とノズル列5Bの加圧液室6は千鳥状配置であるので、両端の加圧液室を除いて、一方のノズル列の加圧液室6に対応する振動板2に設けた薄肉部21、21は他方のノズル列の2つの加圧液室6に対応することになる。
【0063】
このように、2つのノズル列に対応する加圧液室6、6で振動板2の薄肉部21を共有することにより、振動板2の薄肉部21の作製が容易になり、厚さの均一な薄肉部21を形成し易くなり、特性バラツキの少ないヘッドが得られる。
【0064】
次に、2つのノズル列5A、5Bを有し、ノズル列5A、5Bを平行配置した場合の振動板2の第4例について図14を参照して説明する。
ここでは、2つのノズル列5A、5Bを有し、ノズル列5A、5Bを同じ位置、すなわち、ノズル列方向において各ノズル列5A、5Bのノズル位置がノズル列方向と直交する方向で同じである配置にしている。
【0065】
そして、第3例と同様に、2つのノズル列に対応する加圧液室6、4で振動板2の薄肉部21を共有している。この場合は、2つのノズル列5A、5Bの対応する1つの加圧液室6、6同士で振動板2の薄肉部21を共有することになる。
【0066】
前述した千鳥配置のノズルは、通常、画素形成密度を向上させるために用いられるが、図14の平行配置では、そのような効果は期待できない。ただし、例えば、ノズル列5Aからノズル列5Bへ向かう方向を主走査方向とする場合(ここで、方向を定義しているので、A→BでもB←Aでも同様である)、ノズル列間ピッチを適宜選択することで、ノズル列が1つの場合と比較して、同じ印刷速度を達成するのための画素形成周波数を下げることができるため、安定したインク噴射が行えたり、ノズル列が1つのときと液滴形成周波数が同じ場合には、画素形成周波数が2倍になり、高速な印刷が行えることになる。
【0067】
次に、複数のノズル列5A、5Bを有する場合で振動板2の薄肉部を共有しないが、ノズル列5Aとノズル列5Bの間の隔壁に対応する部分を厚肉部とした振動板2の第5例について図15を参照して説明する。
2つのノズル列5Aとノズル列5Bの間の隔壁は、それぞれのノズル列内での隣接加圧液室間の隔壁20と同様、振動板2と流路形成基板(ここでは図示を省略している。)を強固に接合するためにも、押え部分は厚肉部となっているほうが好ましい。
【0068】
そこで、同図に示すように、振動板2の薄肉部21は共有されてはいないが、共有している状態から、ノズル列5A、5B間に対応して厚肉部24を配している。
【0069】
流路形成基板1と振動板2とを一体に作製せず、別体として作製した後に接着剤等で接合する際には、両者を押し当てる必要がある。このとき、強固な接合を得る場合は、押え部分をしっかりと保持しなければならない。したがって、ノズル列5Aとノズル列5Bの間に対応した位置に厚肉部24を設けることによって、流路形成基板1と振動板2の接合時にしっかりとした押えを行うことができ、ヘッドとしての性能を確保できる。
【0070】
次に、薄肉部を加圧液室長さよりも短くした振動板2の第6例について図16を参照して説明する。
加圧液室6を構成する壁(隔壁20を含む)の剛性は大きい、すなわち硬い方が好ましい。そこで、同図に示すように、振動板2に設けた薄肉部21の領域を狭くし、厚肉部24の領域を広くする。また、上述したように、加圧液室基板1と振動板2との強固な接合のためには、加圧液室6間の隔壁20に対応する振動板2の部分は厚肉部で形成されているほうが好ましい。
【0071】
したがって、同図に示すように、振動板2の薄肉部21を、加圧液室6の長手方向長さよりも短くし、かつ、加圧液室6の振動板領域の内側に位置するように形成する。これにより、加圧液室6と振動板2の接合部の間には厚肉部が必ず存在することになり、液室の剛性を高めると共に十分な接合性を確保できる。
【0072】
次に、薄肉部の角部を曲面にした振動板2の第7例について図17を参照して説明する。
圧電素子12によって振動板2を変形させた場合、振動板2の薄肉部21と厚肉部22、23の境に応力の集中が生じ易く、圧電素子による駆動を繰り返すと、応力が集中した箇所から振動板の破壊が起こってしまうことがある。
【0073】
そこで、同図(a)に示すように、振動板2に形成する薄肉部21の角部21aにRを設けて曲面に形成する。このようにすれば、振動板2に形成する薄肉部21の角部21aに応力が集中しないように緩和することができ、同図(b)に示すように、薄肉部21の角部21bでひび割れ28が発生することを防ぐことができ、ヘッドの耐久性や信頼性が向上する。
【0074】
次に、振動板2の第8例について図18を参照して説明する。同図は1チャンネル分の斜視説明図である。
この例では、振動板2は薄肉部21と中央厚肉部41及び周囲厚肉部23から構成されている。加圧液室長手方向に沿って設けられていて薄肉部21を分離する中央厚肉部41は、圧電素子12と当接する領域となっている第1の中央厚肉部(第1厚肉部)42と、周囲厚肉部23と連結する第2厚肉部である厚肉連結部43とを有し、第1の中央厚肉部41よりも厚肉連結部43の厚さが薄く、またこの厚肉連結部43の厚さは厚肉部23の厚さとも異なった厚さに形成している。
【0075】
この場合、従来のような島状凸部とは異なり、中央厚肉部41は均一の厚さである薄肉部21で全周を取り囲まれてはいない。したがって、圧電素子12が伸縮駆動する際、振動板2に生じる最大応力を厚肉連結部43を設けることで小さくしながら、圧電素子12の効率もできるだけ減少させずに、かつ、加圧液室6全体の剛性も確保することができる。
【0076】
さらに、振動板2の第9例について図19を参照して説明する。同図は1チャンネル分の斜視説明図である。
この例では、振動板2の中央厚肉部22は周囲厚肉部23と同じ厚さに形成するとともに、加圧液室長手方向で一部分を除去して、分離している薄肉部21、21間と同じ厚さの架橋薄肉部21aとしている。このように、中央厚肉部22であった領域をわずかに薄肉部とすることで、圧電素子12の変形に伴う振動板2の変形を容易にしつつ、加圧液室6のコンプライアンスを確保する。
【0077】
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の一例について図20及び図21を参照して説明する。なお、図20は同記録装置の斜視説明図、図21は同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0078】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部112等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙113を手差しで給紙するための手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カセット114或いは手差しトレイ115から給送される用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ116に排紙する。
【0079】
印字機構部112は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド12と従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方向(図21で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123にはヘッド124に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ125を交換可能に装着している。
【0080】
インクカートリッジ125は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
【0081】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0082】
ここで、キャリッジ123は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド122に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動プーリ129との間にタイミングベルト130を張装し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に固定しており、主走査モーター127の正逆回転によりキャリッジ123が往復駆動される。
【0083】
一方、給紙カセット114にセットした用紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ローラ131及びフリクションパッド132と、用紙113を案内するガイド部材133と、給紙された用紙113を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ134は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0084】
そして、キャリッジ123の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材139を設けている。この印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車144と、排紙経路を形成するガイド部材145,146とを配設している。
【0085】
記録時には、キャリッジ123を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動することにより、停止している用紙113にインクを吐出して1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド124を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはインク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されているので、安定して高い画像品質の画像を記録することができる。
【0086】
また、キャリッジ123の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良を回復するための回復装置147を配置している。回復装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこの回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0087】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド124の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0088】
このように、このインクジェット記録装置では本発明に係る液滴の噴射特性が向上し、小型で特性のバラツキが少ない液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載するので、高速で、高画質記録を行うことができる。
【0089】
なお、上記実施形態においては、液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドとして、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振動板は、駆動手段の変位により変形する薄肉部と支持部材に固定されて変形しない第1の厚肉部と駆動手段に固定され駆動手段と共に変位する第2の厚肉部とからなり、液室に対応する薄肉部の領域は第2の厚肉部で液室短手方向に2つに分離され、薄肉部の液室長手方向の長さは液室の長手方向の長さよりも長く、薄肉部は、並列に配置された複数の液室からなる2つの液室列にまたがって形成されている構成としたので、厚肉部の精度を落とすことができて、歩留まり向上、低コスト化、液室の剛性の向上を図れ、これにより噴射効率の改善、信頼性の向上を図れるようになる。
【0092】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したので、高品質の画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの要部平面説明図
【図3】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図4】図3の要部拡大説明図
【図5】同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図
【図6】同ヘッドの要部拡大斜視説明図
【図7】振動板の第1例の説明に供する要部拡大模式的斜視説明図
【図8】振動板の第2例の説明に供する要部拡大模式的斜視説明図
【図9】圧電素子と厚肉部の液室長手方向長さの関係の第1例の説明に供する模式的断面説明図
【図10】同じく第2例の説明に供する模式的断面説明図
【図11】同じく第3例の説明に供する模式的断面説明図
【図12】同じく第4例の説明に供する模式的断面説明図
【図13】振動板の第3例の説明に供する要部模式的平面説明図
【図14】振動板の第4例の説明に供する要部模式的平面説明図
【図15】振動板の第5例の説明に供する要部模式的平面説明図
【図16】振動板の第6例の説明に供する要部模式的平面説明図
【図17】振動板の第7例の説明に供する要部模式的平面説明図
【図18】振動板の第8例の説明に供する要部模式的斜視説明図
【図19】振動板の第9例の説明に供する要部模式的斜視説明図
【図20】本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図21】同記録装置の機構部の側面説明図
【図22】ピエゾ型インクジェットヘッドの説明に供する液室長手方向に沿う模式的断面説明図
【図23】同じく液室短手方向に沿う模式的断面説明図
【図24】従来のインクジェットヘッドの説明に供する斜視説明図
【図25】図24の要部拡大説明図
【図26】他の例の振動板の斜視説明図
【図27】同ヘッドの模式的斜視図
【図28】従来のインクジェットヘッドの他の例の説明に供する断面説明図
【符号の説明】
1…流路形成基板、2…振動板、3…ノズル板、5…ノズル、5A、5B…ノズル列、6…加圧液室、7…インク供給路、8…共通液室、12、32…圧電素子、13…ベース基板、17…フレーム部材、20…隔壁、21…薄肉部、22、41…中央厚肉部、23…周囲厚肉部、42…第1厚肉部、43…第2厚肉部。
Claims (7)
- 液滴を吐出する複数のノズルと、このノズルが連通する液室と、この液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板と、この振動板に一端が当接されて前記液室内の液体を加圧する圧力を発生するための駆動手段と、前記駆動手段の他端が接合されている支持基板と、前記液室の隔壁に対応する位置で前記支持基板と振動板とを連接する支持部材とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記振動板は、前記駆動手段の変位により変形する薄肉部と前記支持部材に固定されて変形しない第1の厚肉部と前記駆動手段に固定され駆動手段と共に変位する第2の厚肉部とからなり、
前記液室に対応する薄肉部の領域は前記第2の厚肉部で液室短手方向に2つに分離され、前記薄肉部の液室長手方向の長さは前記液室の長手方向の長さよりも長く、
前記薄肉部は、並列に配置された複数の前記液室からなる2つの液室列にまたがって形成されている
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記駆動手段は積層型圧電素子であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記駆動手段は、前記振動板の法線方向の変位が、d33方向である圧電素子で構成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記駆動手段は、液室長手方向の両端部に電界が生じない不活性域を有し、前記不活性域の少なくとも一方が前記液室の長手方向の隔壁に振動板を介して接合されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板に形成された薄肉部の角部は曲面に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記厚肉部の一部分の厚さが他の部分より薄いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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