図1は、本発明の媒体処理装置の実施の形態の一例を示す説明図である。この図1は、通帳伝票プリンタのATPユニットを示し、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。1はベースブロック、2はこのベースブロック1に一体に設けた下面搬送ガイドで、ベースブロック1は、樹脂の一体成形品とする。
この下面搬送ガイド2は、水平面2aと、この水平面2aから滑らかに下降する斜面2bとから構成される。3は上面搬送ガイドで、この上面搬送ガイド3は前記下面搬送ガイド2の斜面2bと対向してベースブロック1に取り付けられる。4はベースブロック1に回転可能に取り付けた搬送フィードローラで、この搬送フィードローラ4は、下面搬送ガイド2の斜面2bの部分に対向して設けられ、パルスモータの回転をギヤ列やシャフト等を介して受けて回転するもので、通帳を挟み込んだ状態で回転して、該通帳を搬送する。
5はベースブロック1に回転可能に取り付けたターンページローラアッセンブリで、このターンページローラアッセンブリ5は、下面搬送ガイド2の水平面2aの上方に設けられる。6はベースブロック1に回転可能かつ上下動可能に取り付けた押し付けフィードローラで、前記ターンページローラアッセンブリ5と対向して下面搬送ガイド2の水平面側に設けられる。
図2はターンページローラアッセンブリの詳細を示す正面図で、ターンページローラアッセンブリの構造と、ターンページローラアッセンブリと押し付けフィードローラの位置関係を示す。7はターンページローラアッセンブリ5に設けられたアイドルローラで、このアイドルローラ7は、通帳の幅に合わせて、所定の間隔を開けて2個設けられている。8はこのアイドルローラ7に隣接して、それぞれその内側に設けられるターンページローラで、アイドルローラ7およびターンページローラ8はシャフト9に取り付けられている。前記アイドルローラ7は、通帳に接触する円周面の摩擦係数が低くなるように、低摩擦部材で形成する。また、アイドルローラ7はシャフト9に回転自在に取り付けられ、ターンページローラ8はシャフト9に固定した状態で取り付けられ、アイドルローラ7は、常時回転自在な状態となっている。
図3はターンページローラの詳細を示す説明図で、ターンページローラ8は、円周面の一部に、前記アイドルローラ7の円周面の径より大きい径を持つ突出部10aを備えたゴム部10bを取り付けた扇型のローラである。押し付けフィードローラ6は、アイドルローラ7とターンページローラ8の突出部10aの両方に通帳を押し付けられるように、アイドルローラ7のターンページローラ8と隣接する側と、ターンページローラ8のアイドルローラ7と隣接する側の両方と対向する位置に設けられる。
押し付けフィードローラ6は、通帳をアイドルローラ7に押し付けた状態で回転することで、通帳を搬送する機能と、通帳をアイドルローラ7に押し付けた状態で停止状態を保ち、ターンページローラアッセンブリ5が回転してページめくりを行う際、通帳全体を押さえるとともに、突出部10aと最上位のページとの間に十分な摩擦力を得られるようにする機能とを併せ持つ。
また、ターンページローラアッセンブリ5は、通帳搬送時は、停止していることで、アイドルローラ7が押し付けフィードローラ6に対するプレッシャローラとなる機能と、回転することで、ターンページローラ8の突出部10aでページめくりを行う機能とを併せ持つ。このように、押し付けフィードローラ6とターンページローラアッセンブリ5は、1つの部品で複数の機能を持たせてあるので、コストの低減を図ることができる。
図1に戻り、11はスリットディスクで、このスリットディスク11は前記シャフト9に取り付けられ、ターンページローラアッセンブリ5とともに回転する。12はスリットセンサで、スリットディスク11が回転することにより、スリットセンサ12の出力が変化する。スリットセンサ12は光透過型のセンサであり、光軸が遮られた状態がON、光軸が通った状態をOFFとする。
図4はスリットディスクの形状を示す説明図で、スリットディスク11の形状とターンページローラアッセンブリ5の突出部10aの関係を示す。スリットディスク11は、所定の長さの円弧を持つ径の大きい部分と、径の小さい部分を組み合わせて2個のエッジ部を備えるとともに、径の大きい部分に1個のスリットを設けた形状である。11aは第1のエッジ部で、スリットディスク11を矢印A方向に回転させたとき、スリットセンサ12のところをこの第1のエッジ部11aが通過すると、スリットセンサ12の出力は、ONからOFFに変化する。また、スリットディスク11を反対に矢印B方向に回転させたとき、スリットセンサ12のところをこの第1のエッジ部11aが通過すると、スリットセンサ12の出力は、OFFからONに変化する。
11bは第2のエッジ部で、スリットディスク11を矢印A方向に回転させたとき、スリットセンサ12のところをこの第2のエッジ部11bが通過すると、スリットセンサ12の出力は、OFFからONに変化する。また、スリットディスク11を反対に矢印B方向に回転させたとき、スリットセンサ12のところをこの第2のエッジ部11bが通過すると、スリットセンサ12の出力は、ONからOFFに変化する。
11cはスリット部で、スリットディスク11を矢印A方向に回転させたときも、スリットディスク11を反対に矢印B方向に回転させたときも、スリットセンサ12のところをこのスリット部11cが通過すると、スリットセンサ12の出力は、ONからOFFに変化した後、短い時間でONに変化する。下面搬送ガイド2の水平面2aを図4に一点鎖線で示す位置としたとき、突出部10aがほぼ真上にある状態を、ターンページローラアッセンブリ5のホームポジションとする。そして、シャフト9が回転してターンページローラアッセンブリ5およびスリットディスク11が回転すると、スリットセンサ12の出力から、突出部10aの位置を管理する。
図1に戻り、13はフロントオープンガイド、14はリアオープンガイドで、フロントオープンガイド13とリアオープンガイド14は下面搬送ガイド2の水平面2aと対向して設けられ、フロントオープンガイド13は、ターンページローラアッセンブリ5に対して、通帳の取り込み方向手前に位置し、リアオープンガイド14は、ターンページローラアッセンブリ5に対して、通帳の取り込み方向後方に位置しており、フロントオープンガイド13とリアオープンガイド14は、上面搬送ガイドの機能を持つともに、ページめくりの時は、ターンページローラアッセンブリ5によりめくられたページに押し上げられるようになっている。
フロントオープンガイド13の下面搬送ガイド2と対向する面は、ターンページローラアッセンブリ5方向に行くに従い上方に向けて湾曲した形状で、リアオープンガイド14の下面搬送ガイド2と対向する面は、ターンページローラアッセンブリ5方向に行くに従い上方に向けて湾曲した形状となっている。13aはフロントオープンガイド13に設けた突起で、この突起13aはフロントオ−プンガイド13のターンページローラアッセンブリ5側と反対側の端部に設けられ、この突起13aをベースブロック2に設けた支持部で支持することで、フロントオープンガイド13は、この突起13aを支点に、ターンページローラアセンブリ5側が開閉する。
14aはリアオープンガイド14に設けた突起で、この突起14aはリアオ−プンガイド14のターンページローラアッセンブリ5側と反対側の端部に設けられ、この突起14aをベースブロック2に設けた支持部で支持することで、リアオープンガイド14は、この突起14aを支点に、ターンページローラアセンブリ5側が開閉する。
15aおよび15bはターンページローラアッセンブリ5に設けたカムである、このカム15aおよび15bは、シャフト9に固定した状態で取り付けられ、ターンページローラ8と一緒に回転する。そして、カム15aにより、ターンページローラアッセンブリ5がホームポジションにあるときに、フロントオープンガイド13とターンページローラアッセンブリ5のアイドルローラ7およびターンページローラ8の突出部10aとゴム部10bとの間に隙間が開くようにし、カム15bにより、ターンページローラアッセンブリ5がホームポジションにあるときに、リアオープンガイド14とターンページローラアッセンブリ5のアイドルローラ7およびターンページローラ8の突出部10aとゴム部10bとの間に隙間が開くようにする。
図5はカムと各オープンガイドの関係を示す説明図で、図5(a)はカム15aとフロントオープンガイド13との関係を示し、図5(b)はカム15bとリアオープンガイド14との関係を示す。また、図5(a),(b)とも、ターンページローラアッセンブリ5はホームポジションにあるものとする。13bはフロントオープンガイド13に設けた押し上げ部で、ターンページローラアッセンブリ5がホームポジションにあるとき、カム15aがこの押し上げ部13bに接することで、フロントオープンガイド13を突起13aを支点に回転して押し上げられ、該フロントオープンガイド13とターンページローラアッセンブリ5との間に隙間が開いた状態となる。
14bはリアオープンガイド14に設けた押し上げ部で、ターンページローラアッセンブリ5がホームポジションにあるとき、カム15bがこの押し上げ部14bに接することで、リアオープンガイド14を突起14aを支点に回転して押し上げられ、該リアオープンガイド14とターンページローラアッセンブリ5との間に隙間が開いた状態となる。
なお、カム15aとカム15bはそれぞれ偏心しており、後述するページめくり動作でターンページローラアッセンブリ5を回転させたとき、ページをめくる過程で、その回転方向に応じて、カム15aが押し上げ部13bに接触を開始してフロントオープンガイド13を押し上げるか、カム15bが押し上げ部14bに接触を開始してリアオープンガイド14を押し上げる動作を行う。
図1に戻り、16はページがはね上げられたことを検知するセンサであり、このセンサ16を受光素子とすると、発光素子は、後述する印字ユニットの後端に設ける。このセンサ16は、リアオープンガイド14の開閉の妨げにならないように、該リアオープンガイド14を避けて左右にポストを立て、このポスト間にビームを渡して、このビームに取り付けてある。
次に、通帳伝票プリンタの全体の構成の概略を説明する。図6は通帳伝票プリンタの外観斜視図、図7は通帳伝票プリンタの概略構成図である。通帳伝票プリンタは、その正面側に、種類の異なる媒体を受け入れるため、2段のステージが設けてある。ここでは、上の段が媒体の中の伝票等を受け入れるための伝票ステージ17aで、下の段が媒体の中の通帳等を受け入れるための通帳ステージ17bである。18はオペレータが操作をするボタン等が設けられた操作部である。
19aは通帳伝票プリンタ内の正面側に実装されるインサータユニットである。このインサータユニット19aは、オペレータによる通帳や伝票等の媒体のセットを受け、セットされた媒体を取り込んだり、処理の終了した媒体を排出する機能等を備える。19bは前記インサータユニット19aに続いて該インサータユニット19aの後ろ側に実装される印字ユニットである。この印字ユニット19bは、媒体への印字、通帳に印刷されたページマークの読み取り、および印字のための印字済行の読み取り等の機能を備える。
19cは前記印字ユニット19bに続いて該印字ユニット19bの後ろ側に実装されるATPユニットである、このATPユニット19cは、通帳のページめくりを行う機能を有する。19dは前記印字ユニット19bに続いて、ATPユニット19cの上側に実装される電源ユニットである。
次に、インサータユニット19aの説明を行う。20aは伝票ステージ17aおよび通帳ステージ17bにおいて媒体を搬送する搬送フィードローラ、20bは前記搬送フィードローラ20aに媒体を押し付ける搬送プレッシャローラである。21aは媒体を基準面に突き当てるための搬送を行う幅寄せフィードローラ、21bは前記幅寄せフィードローラ21aに媒体を押し付ける幅寄せプレッシャローラである。
22は前記伝票ステージ17aによる搬送経路と通帳ステージ17bによる搬送経路の合流点に設けられたブレードで、媒体の搬送方向を切り換える。なお、図示しないが、通帳ステージ17bには、磁気ヘッドが設けてある。次に印字ユニット19bの説明を行う。印字ユニット19bは、アッパーフレームユニット24とロアフレームユニット25より構成され、アッパーフレームユニット24には、印字ヘッド部26とこの印字ヘッド部26を支持するメインシャフト27とサブシャフト28等が実装され、ロアフレームユニット25には、プラテン29、このプラテン29を上下動可能に支持する機構、プラテン駆動用のパルスモータ、媒体を搬送する搬送フィードローラ30、媒体搬送路31を構成する上面ガイドおよび下面ガイド等が実装され、さらに、通帳のページマークを読み取る読取センサ32が取付られている。
また、アッパーフレームユニット24は、メインシャフト27の取り付け部を支点にして、ロアフレームユニット25に対して開閉可能となっている。媒体搬送路31の装置正面側は、前記インサータユニット19aのブレード22の部分と繋がり、印字ユニット19bで処理の終了した媒体を排出する場合、その媒体の種類に応じてブレード22が作動し、媒体搬送路31を搬送される媒体が伝票ステージ17aか通帳ステージ17bに送り込まれる。また、ブレード22を作動させて通帳ステージ17bと媒体搬送路31を接続しておき、通帳ステージ17bにセットされた媒体(通帳)を媒体搬送路31に送り込むか、ブレード22を作動させて伝票ステージ17aと媒体搬送路31を接続しておき、伝票ステージ17bにセットされた媒体(伝票)を媒体搬送路31に送り込むことができるようになっている。
次にATPユニットの説明を行う。ATPユニット19cは、上述したように、ベースブロック1に、上面搬送ガイド3、搬送フィードローラ4、ターンページローラアッセンブリ5、押し付けフィードローラ6、フロントオープンガイド13、リアオープンガイド14、センサ16、搬送フィードローラ4および押し付けフィードローラ6を駆動するモータ、ターンページローラアッセンブリ5を駆動するモータ、押し付けフィードローラ6を上下動させるモータ等を備えており、ATPユニット19cは、ベースブロック1に各部品を取り付けて組み立てた後、通帳伝票プリンタの筐体に、装置正面側にフロントオープンガイド13が来るように実装される。また、ATPユニット19cの媒体搬送路33は、後端側が下降した形状となっており、これにより、ATPユニット19cのこの部分の高さを低くして電源ユニット19dの実装スペースを稼ぐとともに、ATPユニット19cの長さを短くしている。従来、通帳伝票プリンタでは、筐体にフレームを取り付け、このフレームに各部品を取り付けることで、ATP機構を組み立てていた。これに対して、本実施の形態のように、ATP機構をユニット化することで、コストの低減を図ることができる。
ATPユニット19cの媒体搬送路33の装置正面側は、前記印字ユニット19bの媒体搬送路31の装置後ろ側と繋がり、ページめくりが必要と判断された通帳が媒体搬送路31から送り込まれ、ページめくりの終わった通帳を媒体搬送路31に送り込む。ATPユニット19cのターンページローラアッセンブリ5の上方には、印字ユニット19bの後端面と、電源ユニット19dの前端面との間により形成される空間19eが有り、この空間19eに、ターンページローラアッセンブリ5によりはね上げた通帳のページが入るようになっている。
34はセンサ16と対になるセンサで、印字ユニット19bの後端面に設けられる。センサ16を受光素子とすると、センサ34は発光素子であり、通帳のページはね上げられて光軸が遮られると、センサ16の出力がOFFからONに変化し、これにより、通帳が所定位置まではね上げられたことを検知できる。図8はアッパフレームユニットを開いた状態を示す説明図で、印字ユニット19bは、インクリボンの交換等のため、アッパーフレームユニット24がメインシャフト27の取り付け部を支点に開閉できるようになっている。アッパーフレームユニット24を開くと、前記空間19eにアッパフレームユニット24の後端面が入り込む。これにより、発光素子であるセンサ34からの光軸が変位し、受光素子であるセンサ16はOFFからONとなる。このため、ページめくり動作を行っていない時に、センサ16がOFFになると、アッパフレームユニット24が開いたものと判断できるものであり、通帳のページがはね上げられたことを検知するセンサと、印字ユニット19bのアッパフレームユニット24が開いたことを検知するセンサを共用化できる。
図9は通帳伝票プリンタの制御ブロック図である。35は主制御部で、この主制御部35にインサータユニット19a、印字ユニット19b、ATPユニット19c、電源ユニット19dが接続される。なお、図9では、インサータユニット19a、印字ユニット19b、電源ユニット19dの構成は図示しない。
36はDCモータで、ターンページローラアッセンブリ5を駆動する。37はパルスモータで、搬送フィードローラ4、押し付けフィードローラ6を駆動する。38はパルスモータで、押し付けフィードローラ6を上下動させる。12はスリットセンサ、16はセンサである。
図10〜図13は本実施の形態の動作を示す説明図で、以下にページめくり動作を説明する。ここで、通帳の挿入方向について説明する。閉じた通帳を通帳ステージ17bにセットする場合、綴じ部が挿入方向先端にくるようにセットする。また、開いた通帳をセットする場合は、表紙側が挿入方向先端にくるようにセットする。以下の動作の説明は、開いた通帳の場合を例に説明する。
主制御部35は、印字ユニット19bで通帳に印字をするに当たり、あるいは、印字を行っているときに、読取センサ32の出力を受けての読取結果等から、ページめくりが必要であると判断すると、印字ユニット19bの図示しないパルスモータを駆動するとともに、パルスモータ37を駆動することで搬送フィードローラ30と搬送フィードローラ4と押し付けフィードローラ6を回転させて、図10(a)に示すように、通帳40を、印字ユニット19bからページめくりを行うページがターンページローラアッセンブリ5の下の所定の位置に来るように搬送する。上述したように、通帳40の挿入方向は、表紙側が挿入方向先端にくるようになっているので、ページめくりが必要であると判断された場合、そのページは綴じ部40aより後ろのページとなる。よって、通帳40は、綴じ部40aがターンページローラアッセンブリ5を通過してから、所定量搬送された位置で停止させることになる。
このとき、ターンページローラアッセンブリ5は、突出部10aが上側にくるホームポジションにあって、回転させない。また、押し付けフィードローラ6は、パルスモータ38を駆動することで所定量上昇させて、通帳40をアイドルローラ7に押し付けられる状態として、搬送力が生じるようにしている。通帳40が上記所定の位置まで搬送されると、主制御部35は印字ユニット19bの図示しないパルスモータの駆動を停止するとともに、パルスモータ37の駆動を停止して、搬送フィードローラ30と搬送フィードローラ4と押し付けフィードローラ6の回転を停止させて通帳40を停止させる。
ここで、ターンページローラアッセンブリ5および押し付けフィードローラ6と、搬送フィードローラ4との距離は、綴じた状態の通帳40をターンページローラアッセンブリ5および押し付けフィードローラ6と、搬送フィードローラ4の両方でクランプできる位置関係としてあり、閉じた状態の通帳40の表紙をめくる場合にも対応可能としてある。
また、上述したように、綴じ部40aより後ろのページをめくる場合、上記所定の位置まで通帳40を搬送すると、綴じ部40aが図1で説明した斜面2bに入る位置となる。次に、押し付けフィードローラ6による押し付け力を、通帳40のページめくりを行う部分の厚みによって変える。
すなわち、通帳40に印字を行う場合、主制御部35は印字ユニット19bでの処理で、最適なプラテンギャップを得るため、通帳40の印字すべき部分の厚みをプラテン29の移動量等を用いて求めている。そして、ページめくりを行うページは、この印字すべき部分側にあるので、ページめくりを行う部分の厚みを認識可能である。そこで、押し付けフィードローラ6の位置を、ページめくりを行う部分の厚みによって変える。主制御部35は、ページめくりを行う部分が厚い場合、すなわち、ページめくりを行うページの下にあるページの枚数が多い場合は、押し付けフィードローラ6による押し付け力が弱くなり、ページめくりを行うページの部分が薄い場合、すなわち、ページめくりを行うページの下にあるページの枚数が少ない場合は、押し付けフィードローラ6による押し付け力が強くなるように、パルスモータ38を駆動して押し付けフィードローラ6の位置を変える。このように、押し付けフィードローラ6による押し付け力を通帳40のページめくりを行う部分の厚みによって変えることで、以下に説明する突出部10aにより最上位のページを持ち上げる際、2枚目以降のページがつられて持ち上げられることを防ぐことができる。
次に、主制御部35は、DCモータ36を駆動してターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させる。ホームポジションにあるターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させると、図10(b)に示すように、突出部10aが、ページめくりを行うページに、綴じ部40aの反対側から接触を開始する。通帳40全体は、搬送フィードローラ4にクランプされて動かないので、ターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させると、図11(a)に示すように、突出部10aに接触したページが弓形に持ち上げられ、リアオープンガイド14の湾曲した部分に入る。ここで、突出部10aはアイドルローラ7の円周面より突出しているので、通帳40のページめくりを行うページに接することができる。また、ターンページローラ8を扇型とすることで、ターンページローラ8の突出部10a以外の部分が、通帳40のページめくりを行うページに接しにくくして、突出部10aで確実にページめくりが行えるようになっている。
主制御部35は、スリットセンサ12の出力から、スリット部11cを検知すると、DCモータ36の駆動を停止して、ターンページローラアッセンブリ5の回転を停止する。ターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させたときにスリット部11cがスリットセンサ12のところにくると、図11(b)に示すように、弓形に持ち上げられたページ40bは、突出部10aに接触していることにより、落ちることはない。また、ページが弓形になる過程で、リアオープンガイド14に接触するが、リアオープンガイド14は突起14aを支点に開閉自在に支持されており、かつ、通帳40の弓形となった部分がリアオープンガイド14の湾曲した部分に入り込んで接触しているので、該リアオープンガイド14は弓形になったページ40bにより容易に押し上げられるとともに、その自重で持ち上げられたページ40bを押し付けて、弓形の山が、綴じ部40aと反対側の開放側にくるようにして、後述するはね上げ動作を行いやすくする。さらに、通帳40の弓形となったページ40bでリアオープンガイド14を持ち上げる際、突出部10aと弓形に持ち上げられたページ40bとの間の摩擦力とリアオープンガイド14の自重の関係等のバランスで、該リアオープンガイド14を持ち上げにくいような状況になっても、ターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させて行く過程で、図5(b)で説明したカム15bがリアオープンガイド14の押し上げ部14bに接触を開始することで該リアオープンガイド14を押し上げる力が加わるので、弓形となったページ40bによる押し上げ力に加えてこのカム15bによる押し上げ力が加わることで、リアオープンガイド14は弓形になったページ40bにより容易に押し上げられる。
次に、主制御部35は、パルスモータ38を駆動して、図12(a)に示すように、押し付けフィードローラ6を下げて、ターンページローラアッセンブリ5への押し付け力を解除する。このとき、突出部10aに接触している最上位のページ40bは落ちることはないが、そのページより下のページは、押し付けフィードローラ6による押し付け力が解除されるので、最上位のページ40bにつられて持ち上げられていても、元に戻り、複数枚のページがめくられることを防いでいる。
次に、主制御部35はパルスモータ37を駆動して、搬送フィードローラ4を戻し方向に回転させる。このとき、押し付けフィードローラ6も回転するが、通帳40に接していないので、押し付けフィードローラ6の部分では搬送力が生じない。搬送フィードローラ4を戻し方向に回転させると、図12(b)に示すように、通帳40が戻し方向に移動する。通帳40が戻し方向に移動すると、最上位のページ40bは突出部10aに接触したままなので、弓形の山が高くなる。
主制御部35は通帳40を所定量戻すと、パルスモータ37を駆動して、搬送フィードローラ4を停止させる。なお、この通帳40の戻し量は、後述するリトライ時には増やす方向に変化させ、めくりを行いやすくする。次に、主制御部35は、DCモータ36を駆動して、ターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向にさらに回転させる。すると、図13(a)に示すように、突出部10aに接触している最上位のページ40bは、はね上げられた後、ページ自身の腰により弓形の状態から延びるとともに、リアオープンガイド14の自重により、ターンページローラアッセンブリ5上に落ちる。このとき、リアオープンガイド14のターンページローラアッセンブリ5側は、上方の向けて湾曲した形状となっているので、はね上げられたページ40bを自重により押し付けても、そのページを大きく湾曲させることはない。そして、ページがはね上げられたことは、センサ16の出力から認識できる。
上述したように、突出部10aにより通帳40の最上位のページ40bが弓形に持ち上げられているとき、該ページ40bはリアオープンガイド14により押さえ付けているので、弓形の山が開放側に来るようになっている。さらに、綴じ部40aが図1に示す斜面2bに入っているので、通帳40が反った状態となっており、めくろうとしている水平面2a側にあるページには、ページ自身の腰で、はね上がろうとする力が生じている。よって、突出部10aによるはね上げが行いやすくなっている。
主制御部35は、スリットセンサ12の出力から、第1のエッジ11aを検知すると、DCモータ36の回転を停止する。これにより、ターンページローラアッセンブリ5はホームポジションで停止する。なお、ターンページローラアッセンブリ5を駆動するモータはDCモータ36を用いるので、ターンページローラアッセンブリ5を矢印A方向に回転させて、スリットセンサ12が第1のエッジ部11aを検知することで、DCモータ36の回転を停止させると、完全に停止するまでの時間が若干かかるので、第1のエッジ部11aと突出部10aの位置関係は、スリットセンサ12を第1のエッジ部11aが通過してから、所定の角度回転してから、突出部10aがほぼ真上を向くような位置関係としてある。
また、スリットディスク11は、2個のエッジ部11a,11bと1個のスリット11cを設けた形状とすることで、スリットセンサ12の出力は、1方向の回転の中で、ONからOFF、OFFからON、短いOFFの3通りのみであり、主制御部35は、スリットの数の計数や、スリット間隔の比較を行うことなく、ターンページローラアッセンブリ5の位置を管理できる。
また、ターンページローラアッセンブリ5がホームポジションとなると、図5で説明したように、カム15bによりリアオープンガイド14が持ち上げられており、リアオープンガイド14とターンページローラアッセンブリ5のアイドルローラ7、突出部10a、ゴム部10bとの間には隙間が空いており、この隙間に、はね上げられたページ40bが入っている。
次に、主制御部35は、パルスモータ38を駆動して押し付けフィードローラ6を上げて、該押し付けフィードローラ6により通帳40をアイドルローラ7に押し付けるとともに、パルスモータ37と図示しない印字ユニット19bのパルスモータを駆動して、搬送フィードローラ30、搬送フィードローラ4および押し付けフィードローラ6を戻し方向に回転する。すると、図13(b)に示すように、はね上げられた最上位のページ40bが、リアオープンガイド14とターンページローラアッセンブリ5との間の隙間から引き抜かれ、ページめくりが完了する。このとき、はね上げられた最上位のページ40bは、リアオープンガイド14とターンページローラアッセンブリ5との間の隙間から引き抜かれ、かつ、リアオープンガイド14のターンページローラアッセンブリ5側は、上方の向けて湾曲した形状となっているので、はね上げられたページ40bを自重により押し付けても、そのページを抜き取り方向と反対に大きく湾曲させることはないので、強い負荷がかかることはない。
ここで、センサ16の出力からページがはね上げられなかったと判断すると、主制御部35は、リトライ動作を行う。すなわち、ターンページローラアッセンブリ5を上述したようにホームポジションに戻した後、パルスモータ37を駆動することで搬送フィードローラ4と押し付けフィードローラ6を回転させ、通帳40を所定量先送りする。この先送り量は、弓形となったページ40bの山を高くするために通帳40を戻し方向に搬送したときの戻し量と同じとし、通帳40を再度ページめくりをする位置に戻す。
そして、上述した動作でページめくりを行うが、弓形となったページ40bの山を高くするために通帳40を戻し方向に搬送する際、前回の戻し量より多く搬送して、より山が高くなるようにしてページのはね上げを行いやすくする。通帳40のページめくりを行う場合、上述した通帳の挿入方向により、綴じ部40aがリアオープンガイド14側にある位置で行うこととなり、複数枚めくってしまった場合で戻す場合に、綴じ部40aをフロントオープンガイド13側に位置させて、ターンページローラアッセンブリ5を上述した説明と反対方向に回転させてページめくりを行う。このため、フロントオープンガイド13とリアオープンガイド14とでは、リアオープンガイド14を押し上げてページめくりを行う割合の方が高い。そして、中紙に比べて厚みのある表紙をめくる場合も、綴じ部40aがリアオープンガイド14側にある位置で行うこととなる。上述したページめくりの過程で、ターンページローラアッセンブリ5の突出部10aで最上位のページ40bを持ち上げるとき、リアオープンガイド14を押し上げることになるが、支点となる突起14aまでの距離が長い方がリアオープンガイド14が押し上げやすく、かつ、ページをはね上げやすい。これに対して、ATPユニット19cの長さは、装置全体の長さがら決められてくる。そこで、リアオープンガイド14を長くし、フロントオープンガイド13は相対的に短くすることで、ATPユニット19cを短い長さとしながらも、順方向のめくりの精度を落とすことがないようにしてあり、表紙のような厚紙でも、めくりが行えるようになっている。