JP4211337B2 - 照明器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の壁面などの取付面に直付けされる照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の照明器具としては、図9〜図12に示すような構造を有するものが従来より提供されている(例えば特許文献1参照)。この照明器具は、建物の壁面のような取付面に固定されたフランジ31と、フランジ31に一端が固定されたアーム32と、アーム32の他端に回動自在に支持された器具本体30とを備える。
【0003】
器具本体30は上面の中央部に開口が設けられ、開口の奥にランプ33を装着するランプソケット34が配設されており、開口を塞ぐようにして平板状の透明なガラスパネル35が取り付けられている。また、器具本体30の内部には、ランプ33からの光を反射し、ガラスパネル35を通して所望の方向に配光する反射鏡36が設けられている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−11750号公報(段落番号[0002]及び図1参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した照明器具では、フランジ31を建物の壁面のような取付面に直付けしているので、ガラスパネル35が透明であれば、ランプ33に最も接近した照明器具の取付面に、ランプ33からの直射光の一部が器具本体30の開口縁で遮られることによってできる影、すなわちガラスパネル35の周縁部を示す境界線が映ることになり、光の照射される範囲と照射されない範囲との境界線が照射面にくっきりと現れるという問題があった。図11中の範囲Dはランプ33の直射光が照射される範囲を示しており、範囲Dの境界に光の照射される範囲と照射されない範囲との境界線L2が現れることになる。
【0006】
また、ランプ33からの直射光の一部は、ガラスパネル35の内側面で反射された後、反射鏡36で反射されてガラスパネル35を透過し、所望の方向に配光されるのであるが、反射鏡36により反射された拡散光の一部が器具本体30の開口縁で遮られて、ガラスパネル35の周縁部を示す境界線が取付面に映ってしまう。図11中の範囲Cは反射鏡36からの拡散光が照射される範囲を示しており、ランプ33の直射光と色温度が異なるため範囲Cの境界に線L1が映ることになる。
【0007】
上述のように照明器具を取付面に直付けすると、ランプ33に近接した取付面にランプ33からの光による境界線が現れるため、照射面の均斉度が悪化するという問題があった。
【0008】
近年、建築照明における照明計画では壁面や天井面などの照射面に均斉度良く光を照射させることが望まれており、照明器具の取付面を均斉度良く照射するために、ガラスパネル35の表面を拡散面とすることが考えられるが、ガラスパネル35の表面を拡散面にすると、均斉度は改善されるものの、反射鏡36で制御した配光が拡散されてしまい、所望の配光が得られないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、反射鏡により所望の配光制御を行うとともに、器具本体の取付面に均斉度良く光を照射させることができる照明器具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、一面に設けた開口を上側に向けた状態で建物の壁に直付けされる器具本体の内部に、開口に臨んで配置される光源と、光源を点灯させる点灯回路と、略平板状であって法線方向を壁面の法線方向と略直交させた状態で開口を塞ぐように配置される透光パネルと、光源からの光を反射し透光パネルの略中央を通して所望の方向に配光する反射鏡とを収納して成り、透光パネルの主表面において、壁側の部位と壁面に沿う方向の両側部とを少なくとも含む周辺部に、拡散面を設けることによって入射光に対する拡散透過光の比率である拡散透過率を主表面の中央部よりも高くした拡散透過部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、拡散透過部の拡散透過率を、透光パネルの主表面における中央部側から周辺部側にかけて徐々に高くしたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、拡散透過部の拡散透過率が少なくとも約50%であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、透光パネルの主表面において壁側の部位に設けた拡散透過部は、光源からの直射光が透過する部位に設けられたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
【0015】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の照明器具は、建物の外壁のような取付面20に取付ボルト22を用いて固定された取付板21に直付けされる器具本体1を備え、器具本体1の内部には例えば両口金形の直管形HIDランプのようなランプ2(光源)や、従来周知の電子式安定器からなる点灯回路ブロック3が納装されている。
【0017】
器具本体1は、側面視の形状が略直角三角形に形成された三角柱状であって、直角に交差する2つの側面の内、面積の小さい方の側面が取付面20と当接し、もう一方の側面が上向きとなるようにして取付面20に取り付けられており、残りの一側面は円周面となっている。器具本体1の上面には開口1aが設けられ、開口1aの奥にはランプ2を装着するランプソケット4,4が配設されている。器具本体1の開口1aは矩形板状のガラスパネル5(透光パネル)で塞がれ、パネル枠8によって固定されており、ガラスパネル5はランプ2の光の照射方向の前方に、法線方向が取付面20の法線方向と略直交するように配置されている。また、開口1aの奥には、ランプ2からの光を反射し、ガラスパネル5の略中央を通して所望の方向に配光する反射鏡7がランプ2の周囲に配置されている。なお、反射鏡7は取付面20に対して略垂直な面(例えば建物の軒天井や天井など)が主照射面となるように配光を制御している。
【0018】
ここで、ガラスパネル5の内側面(ランプ2側の面)には、取付面20側の部位と、取付面20に沿う方向(図1(a)中の上下方向)の両側部とを少なくとも含む周辺部に、櫛歯状の模様6aをシルク印刷して半透明にしてあり、模様6aを印刷した周辺部がガラスパネル5の中央部よりも光の拡散透過率が高い拡散透過部6となっている。
【0019】
このようにガラスパネル5の中央部は略透明とし、周辺部に模様6aをシルク印刷して中央部よりも拡散透過率の高い拡散透過部6を形成してあるので、拡散透過部6を透過した光を拡散させることで、光の均斉度を高めて、取付面や取付面に交差する面にランプ2からの光による境界線がくっきりと映るの防止できる。また反射鏡7は、取付面20と略垂直な面(例えば建物の天井や軒天井など)が主照射面となるように配光を制御しているので、反射鏡7によって反射された光はガラスパネル5の略中央を透過することになり、ガラスパネル5の中央部には拡散透過部6を形成していないので、反射鏡7で反射された光が拡散されることはなく、所望の方向に配光することができる。
【0020】
また、ガラスパネル5にシルク印刷した模様6aは、ガラスパネル5の3辺に沿って串状(楔状)の模様を複数並べたような模様となっており、個々の串状の模様は中央部から周辺部にかけて徐々に幅寸法が大きくなるような模様となっているので、拡散透過部6の拡散透過率はガラスパネル15の中央部と連続し、中央部側から周辺部側にかけて徐々に高くなるから、照射面に照射される光の均斉度が向上するという利点がある。
【0021】
尚、本実施形態ではガラスパネル5の内側面における周辺部に櫛歯状の模様6aをシルク印刷しているが、拡散透過部6を櫛歯状の模様6aに限定する趣旨のものではなく、中央部よりも拡散透過率が高くなるのであれば、どのような模様をシルク印刷しても良く、図4及び図5に示すように、櫛歯状の模様6aの代わりにドットパターン状の模様6bをシルク印刷して拡散透過部6を形成しても良い。模様6bはガラスパネル5の各辺に沿って配列された複数列のドットからなり、ガラスパネル5の中央部から周辺部にかけてドットの大きさが徐々に大きくなっているので、拡散透過部6の拡散透過率が中央部から周辺部にかけて徐々に高くなり、照射面に照射される光の均斉度をさらに向上させている。
【0022】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図6〜図8を参照して説明する。本実施形態の照明器具は、略円筒状の灯体11aと、灯体11aの外周面に突設された直方体状のフランジ部11bからなる器具本体11を備え、建物の外壁のような取付面に取付板を介してフランジ部11bを直付けするようになっている。
【0023】
灯体11aの内周面には、軸方向における略中央部にランプ12が装着されるランプソケット14が配設され、軸方向の両端部には円板状のガラスパネル15,15がそれぞれ取り付けられており、各ガラスパネル15はランプ12の光の照射方向の前方に、法線方向が取付面の法線方向と略直交するように配置されている。
【0024】
また、灯体11aの内部には、ガラスパネル15とランプ12との間の部位に、それぞれ、ランプ12からの光を反射し、ガラスパネル15の略中央を通して所望の方向に配光する反射鏡17が配置されており、反射鏡17は狭角形の配光特性を有している。
【0025】
また、フランジ部11bの内部にはランプソケット14に装着されたランプ12を点灯させる点灯回路ブロック13などが納装されている。
【0026】
ここで、図6(b)及び図7に示すように、ガラスパネル15の内側面(ランプ12側の面)の周辺部には櫛歯状の模様16aをシルク印刷して半透明にしてあり、模様16aを印刷した周辺部はガラスパネル15の中央部よりも光の拡散透過率が高い拡散透過部16となっている。
【0027】
このようにガラスパネル15の中央部は略透明とし、周辺部に模様16aをシルク印刷して中央部よりも拡散透過率の高い拡散透過部16を形成してあるので、拡散透過部16を透過した光を拡散させて光の均斉度を高め、取付面や取付面に交差する面にランプ12からの光による境界線がくっきりと映るの防止できる。また反射鏡17の配光は比較的狭角となっており、取付面と略垂直な面(例えば建物の天井や軒天井など)が主照射面となるように配光を制御しているので、反射鏡17によって反射された光はガラスパネル15の略中央を透過することになり、ガラスパネル15の中央部には拡散透過部16を形成していないので、反射鏡17で反射された光が拡散されることはなく、所望の方向に配光することができる。
【0028】
また、ガラスパネル15に形成した模様16aは、円板状のガラスパネル15の円周部に沿って串状(楔状)の模様を複数並べたような模様となっており、個々の串状の模様は中央部から周辺部にかけて徐々に幅寸法が大きくなるような模様となっているので、拡散透過部16の拡散透過率は、ガラスパネル15の中央部と連続し、中央部側から周辺部側にかけて徐々に高くなるから、照射面に照射される光の均斉度が向上するという利点がある。
【0029】
尚、本実施形態ではガラスパネル15の内側面における周辺部に櫛歯状の模様16aをシルク印刷しているが、拡散透過部16を櫛歯状の模様16aに限定する趣旨のものではなく、中央部よりも拡散透過率が高くなるのであれば、どのような模様をシルク印刷しても良く、櫛歯状の模様6aの代わりにドットパターン状の模様をシルク印刷しても良い。
【0030】
また、実施形態1のガラスパネル5は矩形板状であって一辺を除いた周辺部に拡散透過部6を形成しているので、ガラスパネル5を器具本体1に取り付ける際には拡散透過部6の形成されていない辺が取付面と反対側に位置するようにガラスパネル5を取り付ける必要があるが、本実施形態ではガラスパネル15を円板状とし、ガラスパネル15の円周部の全周に拡散透過部16を形成しているので、ガラスパネル15を取り付ける際にガラスパネル15の方向性がなく、組立作業の作業性が向上する。
【0031】
ところで、上述した各実施形態では透光パネルとしてガラスパネルを用いているが、透光パネルをガラスパネルに限定する趣旨のものではなく、透光性を有する樹脂製のパネルを用いても良い。また、上述した拡散透過部6,16の拡散透過率は少なくとも約50%であることが望ましく、光の均斉度を十分高くして、ランプ12の光による境界線を目立たなくできる。
【0032】
また、本発明は上記の各実施形態に限定される趣旨のものではなく、本発明の技術思想の範囲内で適宜改変が可能である。
【0033】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、一面に設けた開口を上側に向けた状態で建物の壁に直付けされる器具本体の内部に、開口に臨んで配置される光源と、光源を点灯させる点灯回路と、略平板状であって法線方向を壁面の法線方向と略直交させた状態で開口を塞ぐように配置される透光パネルと、光源からの光を反射し透光パネルの略中央を通して所望の方向に配光する反射鏡とを収納して成り、透光パネルの主表面において、壁側の部位と壁面に沿う方向の両側部とを少なくとも含む周辺部に、拡散面を設けることによって入射光に対する拡散透過光の比率である拡散透過率を主表面の中央部よりも高くした拡散透過部が設けられたことを特徴とし、透光パネルには、取付面側の部位と取付面に沿う方向の両側部とを少なくとも含む周辺部に拡散透過部が設けられているので、光源に最も近接した取付面や取付面に交差する面に照射される光を拡散透過部で拡散させることで、光源からの光によって発生する境界線を目立たなくして、取付面を含む照射面に照射される光の均斉度を向上させることができ、且つ、透光パネルの中央部には拡散透過部を設けていないので、反射部からの光が拡散されることはなく、所望の配光を得ることができる。
【0034】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、拡散透過部の拡散透過率を、透光パネルの主表面における中央部側から周辺部側にかけて徐々に高くしたことを特徴とし、拡散透過率を徐々に変化させることで、照射面に照射される光の均斉度がより向上するという効果がある。
【0035】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、透光パネルの主表面において壁側の部位に設けた拡散透過部は、光源からの直射光が透過する部位に設けられたことを特徴とし、拡散透過部が無い場合は光源からの直射光が透光パネルの外側の部位で遮られることによってできる境界線が照射面に発生するが、透光パネルの周辺部に設けた拡散透過部は、直射光が透過する透光パネルの部位に設けられているので、直射光によって照射面に発生する境界線を目立たなくして、光の均斉度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の照明器具を示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図2】同上を示し、図1(a)のA部拡大図である。
【図3】同上の外観斜視図である。
【図4】同上の別の照明器具を示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図5】同上を示し、図4(a)のB部拡大図である。
【図6】実施形態2の照明器具を示し、(a)は一部破断せる側面図、(b)は一部破断せる上面図である。
【図7】同上の要部拡大図である。
【図8】同上の外観斜視図である。
【図9】従来の照明器具を示し、(a)は一部破断せる上面図、(b)は側面図である。
【図10】同上を示し、(a)は一部破断せる側面図、(b)は要部拡大断面図である。
【図11】同上の配光を説明する説明図である。
【図12】同上の配光を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 器具本体
2 ランプ
3 点灯回路ブロック
5 ガラスパネル
6 拡散透過部
Claims (4)
- 一面に設けた開口を上側に向けた状態で建物の壁に直付けされる器具本体の内部に、前記開口に臨んで配置される光源と、前記光源を点灯させる点灯回路と、略平板状であって法線方向を壁面の法線方向と略直交させた状態で前記開口を塞ぐように配置される透光パネルと、前記光源からの光を反射し前記透光パネルの略中央を通して所望の方向に配光する反射鏡とを収納して成り、前記透光パネルの主表面において、前記壁側の部位と壁面に沿う方向の両側部とを少なくとも含む周辺部に、拡散面を設けることによって入射光に対する拡散透過光の比率である拡散透過率を前記主表面の中央部よりも高くした拡散透過部が設けられたことを特徴とする照明器具。
- 前記拡散透過部の拡散透過率を、透光パネルの主表面における中央部側から周辺部側にかけて徐々に高くしたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
- 前記拡散透過部の拡散透過率が少なくとも約50%であることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
- 前記透光パネルの主表面において前記壁側の部位に設けた拡散透過部は、前記光源からの直射光が透過する部位に設けられたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
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