JP4211130B2 - 次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法 - Google Patents

次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、次亜塩素酸ソーダ5水和物(NaOCl・5H2O) の製造法及び次亜塩素酸ソーダ水溶液の製造法に係り、特に、塩化ナトリウム濃度(NaCl濃度)が極めて低い種々の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造するのに適した高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸ソーダ(NaOCl) は、優れた殺菌作用や漂白作用を有することが知られており、一般的には水溶液の状態で、一般工業薬品として、また、プール、上水道、下水道、及び家庭用等の殺菌用途に、更には製紙工業、繊維工業等における漂白用途や排水処理用薬品として広く用いられている。そして、製品の次亜塩素酸ソーダ水溶液としては、一般に有効塩素濃度12重量%程度が基準とされており、反応副生物である塩化ナトリウム(NaCl)を約10重量%程度含有する汎用の次亜塩素酸ソーダ水溶液と、NaCl濃度が4重量%以下の低NaCl次亜塩素酸ソーダ水溶液とが市販されている。
【0003】
しかしながら、近年、輸送・保管時の優れた低分解性や、酸化剤等の有機反応原料として用いる際における副反応抑制の観点から、NaCl濃度が例えば1重量%以下と極めて低くて安定性に優れた次亜塩素酸ソーダ水溶液が求められている。
【0004】
そして、このようにNaCl濃度が極めて低い所定の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造する方法として、原料に高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を用いるか、あるいは、低濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液からの蒸発操作により高濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得てこれを水で希釈し、所望の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法と、次亜塩素酸ソーダを5水和物の形で結晶として析出させ、得られた次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を水に溶解して所望の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法が知られている。
【0005】
前者の高濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得てこれを水で希釈し、所望の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法は、例えば、特開平6−345411号公報に記載の、有効塩素濃度とNaCl濃度との関係から、必要な有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得て、これを水で希釈するものである。
【0006】
特開平6−345411号公報には、例えば水酸化ナトリウム濃度(NaOH濃度)48重量%以上の水酸化ナトリウム水溶液と塩素を反応させ、この反応により析出した塩化ナトリウムを固液分離して、有効塩素濃度38重量%以上、NaCl濃度3重量%以下の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を得て、この高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を水で希釈することにより、有効塩素濃度13重量%程度でNaCl濃度1重量%以下の低塩化ナトリウム次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、この方法は、以下の課題を有する。すなわち、有効塩素濃度が高いと次亜塩素酸ソーダの分解速度が早くなるため、次亜塩素酸ソーダ水溶液の有効塩素濃度を高くするほど原料原単位が悪化し、有効塩素濃度38重量%もの高濃度では原料原単位が非常に悪い。
【0008】
また、特開平11−21105号公報に以下の記載がある。すなわち、▲1▼反応槽及び循環配管内での塩化ナトリウムの析出量が多いため、塩化ナトリウムが熱交換器の内壁に付着して閉塞等が起こりやすく、作業が煩雑になる、▲2▼原料である高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を調製するためにはフレーク状の水酸化ナトリウムを溶解する設備が必要である、▲3▼生成する次亜塩素酸ソーダが分解されない低温条件下では、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液の粘度が高く、この水酸化ナトリウム水溶液内での塩素の均一分散性が悪く、局部的に過塩素化が起こり、生成した次亜塩素酸ソーダが分解する虞がある、▲4▼低温で高濃度の水酸化ナトリウム水溶液、例えば30℃以下で54重量%以上の水酸化ナトリウム水溶液は凝固するため、水酸化ナトリウムの溶解槽や反応槽の供給配管内等での温度管理が難しい、▲5▼次亜塩素酸ソーダの分解率が高い条件下では、原料の水酸化ナトリウムの濃度を上げても高濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液は得られない、等である。
【0009】
ところで、この特開平11−21105号公報には、有効塩素濃度が低くてNaCl濃度が高い次亜塩素酸ソーダ水溶液を、次亜塩素酸ソーダ水溶液の飽和蒸気圧の120%以下の圧力下に20〜40℃で減圧蒸留することにより、有効塩素濃度を24〜46重量%に濃縮すると共に、その際に析出した塩化ナトリウムを除去し、次いで水で希釈して有効塩素濃度20重量%以下及びNaCl濃度4重量%以下の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法が記載されている。
【0010】
しかしながら、この方法においては、分解をできるだけ抑制するために次亜塩素酸ソーダ水溶液の液温を20〜40℃に維持する必要があるが、高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の水蒸気圧が例えば20℃で5mmHg前後と非常に低く、極めて低い圧力下での減圧蒸留が必要になる。このような極めて低い圧力下での減圧蒸留は、実験室的には問題がないが、工業的には真空維持装置が非常に大型化し、この問題が解消するために凝縮器を使用すると、この凝縮器では例えば5mmHg前後では1〜2℃程度の凝縮温度が必要になり、冷媒として氷点以下の温度のものを使用する必要が生じるほか、実際的には凝縮器で結氷が生じて伝熱障害が起き、煩雑なこの結氷の除去作業の必要が生じる等、凝縮器を用いる方法も工業的に適した方法であるとはいえない。また、有効塩素濃度が高い場合には、上述したように、分解速度が大きくて原料原単位が悪く、また、得られる製品も有効塩素濃度13重量%にした場合でNaCl濃度0.8重量%程度にすぎない。
【0011】
また、後者の次亜塩素酸ソーダ5水和物を結晶として取り出し、この次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を水に溶解して所望の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る方法としては、以下の技術が知られている。
例えば、丸善(株)発行「新実験化学講座8、無機化合物の合成II」第468頁には、30〜35重量%の水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを吸収せしめ、溶液中の有効塩素濃度が20重量%程度になったところで沈殿した塩化ナトリウムを濾過して分離し、得られた濾液を−20℃まで冷却して次亜塩素酸ソーダ5水和物を析出させ、次いで5℃まで加温してから濾過して次亜塩素酸ソーダ5水和物の粗結晶を回収し、この粗結晶に少量の水を加えて30℃に加熱して溶解し、再び冷却して次亜塩素酸ソーダ5水和物を再結晶せしめ、濾過して所望の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を得る方法が記載されている。
【0012】
しかしながら、この方法では、塩化ナトリウムを除去して得られた濾液を−20℃まで冷却して結晶を析出させる必要があり、極めて大きな冷凍能力のある装置を必要とするほか、水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを吸収させて得られた反応混合物について、濾過→−20℃まで冷却→5℃まで加熱→濾過→濾滓に水を添加→加熱溶解→冷却→濾過の操作を行わなければならず、工程数が多くて工業的に実施するには不向きである。また、この方法には、一旦−20℃まで冷却して結晶を析出させても、5℃まで加熱して結晶を溶解させるので、冷却−加熱の熱量が多く、そのエネルギーに対して得られる結晶の量が少ないという問題もある。
【0013】
また、特開昭56−22604号公報には、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液に塩素を導入し、析出した副生塩化ナトリウムを分離除去して得られた次亜塩素酸ソーダ水溶液(次亜液)を水で希釈して残存塩化ナトリウムを溶解せしめると共にNaCl濃度を未飽和領域まで低下させ、得られた希釈調整次亜液を次亜塩素酸ソーダの飽和温度以下で塩化ナトリウムの飽和温度以上の温度に冷却し、この冷却溶液から高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物を種晶として次亜塩素酸ソーダ5水和物を析出せしめる方法が提案されている。
【0014】
しかしながら、この方法においては、次亜塩素酸ソーダ水溶液中に残存する塩化ナトリウムを溶解させるために水を添加して希釈し、次亜塩素酸ソーダ5水和物を析出せしめて濾過した後の濾液を塩素化反応装置に循環せしめている。しかし、本来このような循環系に水酸化ナトリウム水溶液と塩素のみを加え、塩化ナトリウム結晶と次亜塩素酸ソーダ5水和物のみを抜き出す定常的な運転を行なうためには、水収支のみの下式で考えると、分解率ゼロの場合でも、原料の水酸化ナトリウム水溶液におけるNaOH濃度を約53重量%という高濃度にする必要がある。
2NaOH+Cl2 +4H2 O→NaOCl・5H2 O+NaCl
【0015】
そして、NaOH濃度が約53重量%より低い場合には、循環系内に水が蓄積していくことになり、定常運転を刷るためにはこの水を系外に排出する必要がある。例えば、反応により生成した次亜塩素酸ソーダ水溶液の一部を系外に排出する必要が生じる。しかし、特開昭56−22604号公報記載の方法では、逆に水を添加しているために、次亜塩素酸ソーダ水溶液の濃度は次第に低下し、その結果得られる次亜塩素酸ソーダ5水和物の量も次第に低下し、長期間の運転ができないという問題がある。仮に同一収量の次亜塩素酸ソーダ5水和物を得ようとする場合は、冷却温度を運転時間と共に下げる必要があり、運転時間を長くするほど大きな冷凍能力が必要になる。次亜塩素酸ソーダ水溶液を系外に排出する場合でも、水を循環系に加えているので、排出すべき量が非常に多くなってしまい、その結果として、次亜塩素酸ソーダ水溶液に対する次亜塩素酸ソーダ5水和物の生産比が著しく小さくなってしまう。これを避けるためには、原料水酸化ナトリウム水溶液のNaOH濃度を次第に上げていく必要があり、固形水酸化ナトリウムを用いる必要が生じて操業が煩雑になる。
【0016】
更に、11℃の晶析に0℃まで冷却しており、冷却温度を下げると冷凍機の冷凍能力が低下することを考えると、本来必要である以上に大きな冷凍機が必要になる。また、この方法において得られる次亜塩素酸ソーダ水溶液には、有効塩素濃度が13重量%程度で、NaCl濃度が比較的高い0.7重量%程度になり、比較的多くの塩化ナトリウムが含まれてしまう。
【0017】
また、佐世保高専研究報告第7号第133頁には、10℃以下であって有効塩素濃度30%以上の次亜塩素酸ソーダ水溶液に次亜塩素酸ソーダ5水和物の種晶を添加して次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を得る方法が記載されているが、有効塩素濃度13%で塩化ナトリウムを0.8重量%程度含む製品が得られるにすぎない。
更に、特開平6−345411号公報では、詳細な製法は明記されていないが、晶析法で得た次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を水で溶解し、希釈して得られた従来法の有効塩素濃度13%の次亜塩素酸ソーダ水溶液には、塩化ナトリウムが約0.6重量%含まれていると記載されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を得てこれを水で希釈する方法では、前述のように、種々の課題を有する。また、現実的には、得られた有効塩素濃度13重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液のNaCl濃度は0.6重量%程度までが限界である。そこで、上記の課題を解決するためには、原理的には晶析法が適しているはずであるが、従来技術では、塩化ナトリウムが共晶するため、NaCl濃度はやはり0.6重量%程度までが限界である。
【0019】
そこで、本発明者らは、上述した従来の有効塩素濃度13重量%でNaCl濃度1重量%以下の低NaCl次亜塩素酸ソーダ水溶液を得るための製造法における種々の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塩素化工程での水酸化ナトリウム水溶液のNaOH濃度と反応温度を所定の範囲に制御してこの塩素化工程で得られる次亜塩素酸ソーダ水溶液の NaOCl濃度を30重量%以上の高濃度に維持し、晶析工程では、冷却器と晶出器とが一体となった晶析槽において、冷却温度を所定の範囲に維持することにより、水で希釈する等の特別な手段を採ることなく、NaCl濃度が低くて高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を容易に製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【0020】
従って、本発明の目的は、NaCl濃度が低くて高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を工業的に容易に製造することができる次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上述したNaCl濃度の低い高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物を用いてNaCl濃度が0.1〜0.2重量%程度と極めて低い有効塩素濃度13%の次亜塩素酸ソーダ水溶液を工業的に有利に製造することができる次亜塩素酸ソーダ水溶液の製造法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、塩素化工程で38〜60重量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素を導入して反応温度25〜30℃で塩素化し、析出した副生塩化ナトリウムの結晶を分離除去して次亜塩素酸ソーダ濃度30〜38重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を回収し、晶析工程ではこの塩素化工程で回収された高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を次亜塩素酸ソーダ5水和物の種晶の存在下に冷却温度12〜22℃まで冷却して次亜塩素酸ソーダ5水和物を析出せしめ、次いで固液分離して次亜塩素酸ソーダ5水和物を得ることを特徴とする次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法である。
【0022】
また、本発明は、このようにして得られた次亜塩素酸ソーダ5水和物を水に溶解して所定の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造する次亜塩素酸ソーダ水溶液の製造法である。
【0023】
本発明において、塩素化工程では、水酸化ナトリウム水溶液のNaOH濃度が38〜60重量%であり、また、その反応温度が25〜30℃に維持され、これによって析出した副生塩化ナトリウムの結晶を分離除去して得られる次亜塩素酸ソーダ水溶液の NaOCl濃度を30〜38重量%の高濃度にすることができる。
【0024】
一般的に考えると、 NaOCl−NaCl−H2O の3成分系において、冷却によりNaClが析出している状態で、NaClを除去し、その濾液を更に冷却すると NaOCl・5H2OだげでなくNaClも引き続いて析出するのが常識であり、従来の技術でもこの現象が起きている。しかし、本発明は NaOCl・5H2Oのみの晶析が可能なことを見いだした訳であり、これは極めて驚くべきことである。本尭明者等は、何故このようなことが可能かについて、以下のように考えている。
【0025】
晶析法の原理は、図1によって説明される。図1は、次亜塩素酸ソーダ水溶液を冷却した際に析出する結晶を示した概念的な相図である。実際には残留NaOH、NaClO3等が数%存在し、純粋な3成分系ではないが、これらを無視した説明のための概念的・定性的な図であり、本特許を制限するものではない。後述する図2〜4についても同様である。
【0026】
図1中曲線は、冷却温度における溶解度曲線であり、温度によって変化する。曲線▲1▼はNaClの溶解度曲線、曲線▲2▼は NaOCl・5H2Oの溶解度曲線を示す。領域Aに存在する組成の次亜塩素酸ソーダ水溶液は、 NaOCl・5H2O結晶のみが析出する。領域Bの組成の次亜塩素酸ソーダ水溶液は、 NaOCl・5H2O結晶とNaCl結晶が共晶する。領域Cの組成の次亜塩素酸ソーダ水溶液は、NaCl結晶のみが析出する。領域Dの組成の次亜塩素酸ソーダ水溶液は、結晶析出は生じない。この事実から、例えば NaOCl・5H2Oの晶析を行う場合、30℃で得られた次亜塩素酸ソーダ水溶液の組成が図1の領域Aに位置すれば、NaCl結晶は析出せずに、 NaOCl・5H2O結晶のみが析出する。
【0027】
図2は図1の部分拡大図である。図2中曲線▲1▼は、特開平6−345411号公報に記載のデータを NaOCl−NaCl−H2O の3成分系と見なして示したものである。また、従ってNaOH、NaClO3等の濃度や温度によって図2中曲線▲1▼の位置も若干変動する。なお、 NaOCl濃度がゼロの点は、NaClのH2O への溶解度を示した。温度が特閉平6−345411号公報には明記されていないが、次亜塩素酸ソーダ水溶液の一般的な製造温度25〜30℃程度と考えられる。図2において、例えぱ14℃の溶解度曲線は、曲線▲2▼及び▲3▼のように示されると考えられる。
【0028】
図2中曲線▲2▼はNaCl側の溶解度を示したものであり、NaCl−H2O 系のNaClの溶解度は温度による変化が僅かであるという事実より推定される曲線である。図2中曲線▲3▼は、 NaOCl−H2O 系の NaOCl・5H2Oの溶解度から推定したものである。図2中三角形abc内が NaOCl・5H2Oの晶析を行った際にNaClが共晶しない領域である。図2では、例えば、25℃で得られた次亜塩素酸ソーダ水溶液の組成を示す点Xは辺ca上にあり、14℃の晶析では、かろうじて共晶しない領域にある。実際のNaOH、NaClO3等が加わった状態においてもNaClが共晶するか否かはきわどい間題である。
【0029】
図2中曲線▲4▼及び▲5▼は、−20℃の低温における溶解度曲線の概略の予想である。図2中曲線▲4▼において、NaOCl 浸度がゼロのときの値は文献"sodium chloride" から求め、この点を通り図2中曲線▲1▼に平行になるように引いたものである。文献"sodium chloride" では、0.1℃以下では、温度による変化は急激なものとなる。従って、図2中NaCl側溶解度曲線の位置も0.1℃以下では温度の変化に対して大きく左に動く。また、0.1℃以下では、図2中点Xの組成の液から析出する結晶は NaOCl・5H2O、NaCl・2H2Oになる.このように、−20℃程度の低温まで冷却すると、 NaOCl・5H2Oと共にNaCl・2H2Oが共晶することが予想される。
【0030】
丸善(株)発行「新実験化学講座8、無機化合物の合成II」第468頁に記載の方法では、−20℃まで一旦冷却した次亜塩素酸ソーダ水溶液を5℃まで加熱して濾過し、得られた濾滓に水を添加して加熱溶解し、再び冷却するという操作を行っている。ここで、−20℃まで冷却するのは、もともと次亜塩素酸ソーダ水溶液中には NaOCl・5H2Oの種晶が存在しないために、相図上で NaOCl・5H2O結晶が発生する条件になっても核発生がすぐには起きない。核発生を行わせるのには−20℃まで過冷却する必要があるのである。ただし、−20℃まで冷却すると、前述のように、NaCl・2H2Oが共晶する。このため、 NaOCl・5H2O結晶を一部残して、共晶したNaCl・2H2O結晶を溶解するために5℃まで加熱する。
【0031】
しかし、実際には結晶として NaOCl・5H2O、NaCl・2H2O以外にも、NaCl結晶が存在していると考えられる。−20℃までの冷却時、次亜塩素酸ソーダ水溶液中には、NaCl結晶が若干残存しているので、これが種晶となりNaCl結晶が先ず析出する。その後、 NaOCl・5H2OとNaCl・2H2Oの核発生により NaOCl・5H2OとNaCl・2H2Oが先に析出したNaCl結晶を包み込むようにして析出するのである。従って、5℃まで加熱しても、NaCl・2H2Oは NaOCl・5H2Oに包まれていない分については溶解するが、 NaOCl・5H2Oに包み込まれたNaCl結晶は溶解しない。このために、その後加熱溶解、冷却、濾過という再結晶操作を行っているのである。
【0032】
このように、 NaOCl・5H2O結晶がNaCl結晶を包み込んでしまう現象は、特開昭56−22604号公報の記載からも推察できる。すなわち、次亜塩素酸ソーダ水溶液から NaOCl・5H2O結晶を得る場合、残存NaCl結晶及ぴ冷却によりあらたに析出するNaCl結晶が種晶となって、 NaOCl・5H2Oの析出が誘起され、 NaOCl・5H2OはNaClとの共晶の形態で析出する、との記載がある。この場合、 NaOCl・5H2Oの晶析時に残存NaCl結晶を含んでおり、更に NaOCl・5H2O種晶を添加していないことは記載から明らかである。種晶のない溶液から晶析を行っても直ちに核発生はせず、核発生までの誘導時間が必要であることは一般に知られているが、この場合も次亜塩素酸ソーダ水溶液を冷却しても、 NaOCl・5H2Oの核は直ちに発生しない。この間、NaClは残存結晶が種晶となり、析出が進行する。この状態を相図に示したのが図3である。
【0033】
図3中実線で示した曲線が晶析温度における溶解度曲線、点Xが次亜塩素酸ソーダ水溶液の組成であるとする。この溶解度曲線は、種晶としてNaClと NaOCl・5H2Oの結晶が存在する場合のものであり、特開昭56−22604号公報記載のように、 NaOCl・5H2O結晶が存在しない状態で晶析を行うと、 NaOCl・5H2O析出までの誘導時間の間の過冷却時は、点線で示した溶解度曲線となる。この点線で示した溶解度曲線に対して、点XはNaClのみの析出領域に位置しているため、誘導時間の間はNaClが析出する。このNaClの析出は、本来 NaOCl・5H2O結晶が存在していればないものである。その後、NaCl結晶が種晶となって NaOCl・5H2Oが析出し、実線の溶解度曲線になり、NaCl結晶は溶解して点aで示される NaOCl・5H2O結晶と、点dで示される母液とに分離しようとする。しかし、このとき NaOCl・5H2O結晶はNaClを種晶としてNaCl結晶を包み込むように析出する。特開昭56−22604号公報に、共晶したNaCl分は洗浄液で洗浄してもほとんど除去されないとの記載があるのは、 NaOCl・5H2OがNaCl結晶を包み込むためであると考えられる。
【0034】
従って、特閉昭56−22604号公報で共晶と称している現象は、点線で示した溶解度曲線に対する共晶であり、 NaOCl・5H2O種晶が存在していた場合は、実線で示した溶解度曲線であったとするとNaClの共晶はなく、 NaOCl・5H2O結晶のみが得られていたはずである。また、特開昭56−22604号公報に記載の方法においては、 NaOCl・5H2Oの晶析を行う晶析器を、冷却器と晶出器に分割しているため、 NaOCl・5H2O種晶が晶出器に存在していても、冷却器において上述したNaClの析出が生じてしまう。これを防ぐために循環系に水を添加してNaClの析出を防いでいる。これは、図4で示される相図上では、点Xで示される次亜塩素酸ソーダ水溶液の組成を点X’の組成にすることであり、これによってNaClの共晶を防ぐ意図であると考えられる。しかしながら、冷却器では晶出器での析出熱を考慮して晶析温度よりも過度に冷却する必要があり、このため、例えぱ11℃の晶析を行うのに0℃程度まで冷却している。このため、たとえ水で希釈してNaClの溶解度以下にしていても、このように低い温度まて過冷却すると、前述したように過冷却によるNaClが析出すると考えられる。晶出器では、このNaClを包み込むようにして NaOCl・5H2Oが析出するので、結晶の洗浄作業を行ってもNaClは溶解せずに残存する。このため、このようにして得られた NaOCl・5H2Oの結晶を水で溶解し、希釈して有効塩素濃度13重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液を調製しても、NaCl濃度は比較的高く、0.7重量%程度は含まれてしまう。
【0035】
また、佐世保高専研究報告第7号第133頁の方法では、種晶を用いているが、10℃以下から晶析を行っているため、溶解度曲線と次亜塩素酸ソーダ水溶液との位置関係からNaClが共晶するために、有効塩素慶度13質量%でNaClを0.8重量%程度含んでしまう。
【0036】
また、特開平6−345411号公報における晶析法では、詳細な製法は明記されていないが、上記の従来のいずれかの方法によったためにNaClが共晶したと考えられ、有効塩素濃度13重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液には、NaClが約0.6重量%含まれるとの記載がある。
【0037】
図2に示したように、NaClが共晶するか否かは微妙な間題ではあるが、本発明者等は、 NaOCl濃度30〜38重量%、冷却温度10〜22℃、好ましくは12〜18℃では、NaClが共晶することなしに、 NaOCl・5H2O結晶のみを晶析できることを見いだした。このとき重要なことは、次亜塩素酸ソーダ水溶液の過冷却によるNaClの共晶を防ぐために、 NaOCl・5H2Oの種晶を添加し、かつ従来よりも高い温度で晶析を行うことである。
【0038】
NaOH濃度は NaOCl濃度が30〜38重量%になるように決められる数字であり、分解率とも関係する。分解率がゼロならばNaOH濃度は38重量%、分解率が著しく高い場合はNaOH濃度は60重量%程度になるが、好ましくは38〜48重量%である。
【0039】
また、次亜塩素酸ソーダ水溶液の濃度がこの範囲を外れると、図1中領域Bに属することになり、NaClが共晶する。また、冷却温度が22℃より高いと、図1中領域Dに属し、 NaOCl・5H2Oが析出しない。また、冷却温度が10℃より低いと、図1中領域Bに属してNaClが共晶するほか、スラリーの固体体積分率が大きくなって流動性が無くなり、排出が困難である。この晶析工程での NaOCl濃度を30〜38童量%、冷却温度を最適な12〜18℃に維持することにより、NaClを共晶させず、析出する NaOCl・5H2Oに取り込まれるNaClの濃度を可及的に低減せしめることができる。
【0040】
更に、この晶析工程は、冷却器と晶出器とが一体化した晶析器において、高純度次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を種晶とする種晶の存在下に操業される。冷却器と晶出器を分離すると、前述したように液の過冷却による塩化ナトリウムの析出が起こる。本発明の晶析工程では、冷却器と晶出器とが一体化した晶析器を用い、晶析時に次亜塩素酸ソーダ5水和物の種晶を存在させることにより、次亜塩素酸ソーダ5水和物の種晶の存在下での相図どおりの析出が起き、次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶内に不純物である塩化ナトリウムが取り込まれるのをより効果的に低減できるものと考えられる。
【0041】
そして、本発明においては、塩素化工程で得られた高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の一部を反応系外に抜き出すと共に、次亜塩素酸ソーダ5水和物を固液分離して回収された濾液を塩素化工程に循環せしめることにより、連続運転可能なプロセスを構成することができる。
ここで、反応系外に抜き出された高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の一部は、必要により水で希釈され、所定の有効塩素濃度を有する次亜塩素酸ソーダ水溶液とされる。この次亜塩素酸ソーダ水溶液は、晶析温度によって次亜塩素酸ソーダ水溶液のNaCl濃度を低くすることができるので、NaCl濃度4重量%以下の低NaCl次亜塩素酸ソーダ水溶液として充分に製品価値があるものを得ることができる。
【0042】
また、塩素化工程で得られた高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の一部を反応系外に抜き出すことなく、次亜塩素酸ソーダ5水和物を固液分離して回収された濾液を水で希釈し、所定の有効塩素濃度を有する次亜塩素酸ソーダ水溶液とすることもできる。この次亜塩素酸ソーダ水溶液も晶析温度によってNaCl濃度を低くすることができ、NaCl濃度4重量%以下の低NaCl次亜塩素酸ソーダ水溶液として製品価値があるものを得ることができる。
【0043】
本発明においては、以上のようにして製造されたNaCl濃度が低くて高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を用い、これを水で希釈してNaCl濃度が例えば1重量%以下と極めて低い所望の有効塩素濃度を有する次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0045】
実施例1
図5のプロセスフローにおいて、塩素化反応器AにはNaOH濃度45重量%の水酸化ナトリウム水溶液を500kg/hrの速度で導入し、この水酸化ナトリウム水溶液中には冷却して25〜30℃に維持しながら塩素を193kg/hrの速度で導入し、平均滞留時間6時間で塩素化を行った。
【0046】
この塩素化反応器Aからは反応混合物を693kg/hrの速度で抜き出し、濾過して析出した塩化ナトリウム151kg/hrを分離除去すると共に、 NaOCl濃度30.8重量%及びNaCl濃度5.4重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液542kg/hrを得た。
【0047】
次に、上記塩素化工程で得られた高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を、底部から抜き出したスラリーを頂部から装置内に戻す循環系を備えた晶析装置(冷却兼晶出器)に装入し、この晶析装置内では高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶からなる長さ2,000〜3,000μm、幅100〜200μmの種晶170gの存在下に12℃に冷却し、スラリーを21,000kg/hrの速度で循環させることにより析出した結晶を粉砕しながら平均滞留時間13hrで晶析した。
【0048】
この晶析工程で得られたスラリーを遠心濾過機により固液分離し、付着濾液を含んだウエットの結晶172kg/hrを得ると共に、 NaOCl濃度24.9重量%及びNaCl濃度7.4重量%の濾液370kg/hrを回収した。
得られたウエットの結晶は、長さ500〜1000μm及び幅100〜300μmであってアスペクト比1.7〜10の針状結晶であり、 NaOCl濃度が44.3重量%であってNaCl濃度が0.5重量%であった。
【0049】
上記ウエットの結晶をそのまま純水に溶解し、有効塩素濃度13重量%に調整して得られた次亜塩素酸ソーダ水溶液はそのNaCl濃度が0.2重量%であった。また、上記濾液を純水で希釈し、有効塩素濃度13重量%に調整して得られた次亜塩素酸ソーダ水溶液はそのNaCl濃度が4.0重量%であった。
【0050】
この実施例1において、高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の晶析操作中に塩化ナトリウムの結晶が次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶と共に析出したか否かを物質収支の計算で調べた結果、塩化ナトリウムの共晶は認められなかった。
【0051】
実施例2
図5のプロセスフローにおいて、塩素化反応器AにNaOH濃度48重量%の水酸化ナトリウム水溶液500kg/hrと塩素206kg/hrとを導入して塩素化を行い、また、晶析工程では冷却温度16℃に制御した以外は、上記実施例1と同様にして次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶と次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造した。
【0052】
塩素化工程では NaOCl濃度35.7重量%及びNaCl濃度が4.1重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液524kg/hrが得られた。
晶析工程では、長さ500〜1000μm及び幅100〜300μmであってアスペクト比1.7〜10の針状結晶であり、 NaOCl濃度44.4重量%及びNaCl濃度0.3重量%のウエットの結晶263kg/hrが得られた。
【0053】
更に、回収された濾液261kg/hrは NaOCl濃度が27.0重量%であってNaCl濃度が7.2重量%であり、これを純水で希釈して得られた NaOCl濃度13.6重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液518kg/hrはそのNaCl濃度が3.6重量%であった。
【0054】
実施例3
図6のプロセスフローにおいて、塩素化反応器BにはNaOH濃度48重量%の水酸化ナトリウム水溶液500kg/hrと塩素213kg/hrとを導入すると共に、析出した次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を濾過して回収された濾液261kg/hrを循環させて導入し、実施例1と同様に塩素化を行って NaOCl濃度33.0重量%及びNaCl濃度4.9重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液806kg/hrを得た。
【0055】
この高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液は、その一部417kg/hrを抜き出して純水で希釈し、 NaOCl濃度13.6重量%及びNaCl濃度2.0重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液1009kg/hrとし、また、残り389kg/hrについては、冷却温度16℃に制御された晶析装置に導入し、実施例1と同様にして晶析し、固液分離して得られた濾液261kg/hrを上述のように塩素化反応器Bに循環させると共に、ウエットの結晶129kg/hrを得た。
【0056】
得られた結晶は、長さ500〜1000μm及び幅100〜300μmであってアスペクト比1.7〜10の針状結晶であり、 NaOCl濃度が44.4重量%であってNaCl濃度が0.6重量%であった。
【0057】
実施例4
図6のプロセスフローにおいて、塩素化反応器BにはNaOH濃度48重量%の水酸化ナトリウム水溶液500kg/hrと塩素213kg/hrとを導入すると共に、析出した次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を濾過して回収された濾液500kg/hrを循環させて導入し、実施例1と同様に塩素化を行って NaOCl濃度31.8重量%及びNaCl濃度5.1重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液1044kg/hrを得た。
【0058】
この高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液は、その一部375kg/hrを抜き出して純水で希釈し、 NaOCl濃度13.6重量%及びNaCl濃度2.2重量%の次亜塩素酸ソーダ水溶液874kg/hrとし、また、高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の残り669kg/hrについては、冷却温度16℃に制御された晶析装置に導入し、実施例1と同様にして晶析し、固液分離して得られた濾液500kg/hrを上述のように塩素化反応器Bに循環させると共に、ウエットの結晶170kg/hrを得た。
【0059】
得られた結晶は、長さ500〜1000μm及び幅100〜300μmであってアスペクト比1.7〜10の針状結晶であり、 NaOCl濃度が44.5重量%であってNaCl濃度が0.6重量%であった。
【0060】
実施例5
図5のプロセスフローにおいて、塩素化反応器AにNaOH濃度45重量%の水酸化ナトリウム水溶液500kg/hrと塩素193kg/hrとを導入して塩素化を行い、上記実施例1と同様にして NaOCl濃度32.8重量%及びNaCl濃度5.0重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液529kg/hrを得た。
【0061】
この高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を実施例1と同様にして冷却温度16℃に制御された晶析装置で晶析し、長さ500〜1000μm及び幅100〜300μmであってアスペクト比1.7〜10の針状結晶であり、 NaOCl濃度43.9重量%及びNaCl濃度0.7重量%のウエットの結晶188kg/hrを得ると共に、 NaOCl濃度26.6重量%及びNaCl濃度7.4重量%の濾液(高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液)342kg/hrを得た。
【0062】
上で得られた結晶188kg/hrを更に遠心濾過機により5℃の水20kg/hrで洗浄し、 NaOCl濃度44.5重量%及びNaCl濃度0.4重量%のウエットの結晶129kg/hrを得た。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、NaCl濃度が低くて高純度の次亜塩素酸ソーダ5水和物の結晶を工業的に容易に製造することができ、特にNaCl濃度が例えば0.1〜0.2重量%程度と極めて低い所望の有効塩素濃度を有する次亜塩素酸ソーダ水溶液を工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、 NaOCl−NaCl−H2O の3成分系の相図を示すグラフ図である。
【図2】 図2は、図1の部分拡大図である。
【図3】 図3は、 NaOCl・5H2O結晶がNaCl結晶を包み込んでしまう現象を説明するための図2と同様の相図を示す部分拡大図である。
【図4】 図4は、NaClの共晶を防止する目的で循環系に水を添加する従来方法を説明のために相図で示したグラフ図である。
【図5】 図5は、実施例1、2及び5で採用した本発明の製造プロセスを示すフローチャートである。
【図6】 図6は、実施例3及び4で採用した本発明の製造プロセスを示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. 塩素化工程で38〜60重量%水酸化ナトリウム水溶液に塩素を導入して反応温度25〜30℃で塩素化し、析出した副生塩化ナトリウムの結晶を分離除去して次亜塩素酸ソーダ濃度30〜38重量%の高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を回収し、晶析工程では、冷却器と晶出器とが一体となった晶析槽において、塩素化工程で回収された高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液を次亜塩素酸ソーダ5水和物の種晶の存在下に冷却温度12〜22℃まで冷却して次亜塩素酸ソーダ5水和物を析出せしめ、次いで固液分離して次亜塩素酸ソーダ5水和物を得ることを特徴とする次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法。
  2. 塩素化工程で得られた高濃度次亜塩素酸ソーダ水溶液の一部を反応系外に抜き出すと共に、次亜塩素酸ソーダ5水和物を固液分離して回収された濾液を塩素化工程に循環せしめる請求項1に記載の次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法。
  3. 次亜塩素酸ソーダ5水和物を固液分離して回収された濾液を水で希釈して次亜塩素酸ソーダ水溶液を得る請求項1又は2に記載の次亜塩素酸ソーダ5水和物の製造法。
  4. 請求項1〜3で得られた次亜塩素酸ソーダ5水和物を水に溶解して所定の有効塩素濃度の次亜塩素酸ソーダ水溶液を製造する次亜塩素酸ソーダ水溶液の製造法。
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