以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1に、本発明の塗布装置を適用できる一構成例としての塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえばLCD基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、この処理システムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
この塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、角型のガラス基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平方向たとえばY方向に4個まで並べて載置可能なカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
プロセスステーション(P/S)16は、システム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、洗浄プロセス部24と、第1の熱的処理部26と、塗布プロセス部28と、第2の熱的処理部30とを横一列に配置している。一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部のプロセスラインBには、第2の熱的処理部30と、現像プロセス部32と、脱色プロセス部34と、第3の熱的処理部36とを横一列に配置している。このライン形態では、第2の熱的処理部30が、上流側のプロセスラインAの最後尾に位置するとともに下流側のプロセスラインBの先頭に位置しており、両ラインA,B間に跨っている。
両プロセスラインA,Bの間には補助搬送空間38が設けられており、基板Gを1枚単位で水平に載置可能なシャトル40が図示しない駆動機構によってライン方向(X方向)で双方向に移動できるようになっている。
上流部のプロセスラインAにおいて、洗浄プロセス部24は、スクラバ洗浄ユニット(SCR)42を含んでおり、このスクラバ洗浄ユニット(SCR)42内のカセットステーション(C/S)10と隣接する場所にエキシマUV照射ユニット(e−UV)41を配置している。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42内の洗浄部は、基板Gをコロ搬送またはベルト搬送により水平姿勢でラインA方向に搬送しながら基板Gの上面(被処理面)にブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すようになっている。
洗浄プロセス部24の下流側に隣接する第1の熱的処理部26は、プロセスラインAに沿って中心部に縦型の搬送機構46を設け、その前後両側に複数の枚葉式オーブンユニットを基板受け渡し用のパスユニットと一緒に多段に積層配置してなる多段ユニット部またはオーブンタワー(TB)44,48を設けている。
たとえば、図2に示すように、上流側のオーブンタワー(TB)44には、基板搬入用のパスユニット(PASSL)50、脱水ベーク用の加熱ユニット(DHP)52,54およびアドヒージョンユニット(AD)56が下から順に積み重ねられる。ここで、パスユニット(PASSL)50は、スクラバ洗浄ユニット(SCR)42からの洗浄処理の済んだ基板Gを第1の熱的処理部26内に搬入するためのスペースを提供する。下流側のオーブンタワー(TB)48には、基板搬出用のパスユニット(PASSR)60、基板温度調整用の冷却ユニット(CL)62,64およびアドヒージョンユニット(AD)66が下から順に積み重ねられる。ここで、パスユニット(PASSR)60は、第1の熱的処理部26で所要の熱処理の済んだ基板Gを下流側の塗布プロセス部28へ搬出するためのスペースを提供する。
図2において、搬送機構46は、鉛直方向に延在するガイドレール68に沿って昇降移動可能な昇降搬送体70と、この昇降搬送体70上でθ方向に回転または旋回可能な旋回搬送体72と、この旋回搬送体72上で基板Gを支持しながら前後方向に進退または伸縮可能な搬送アームまたはピンセット74とを有している。昇降搬送体70を昇降駆動するための駆動部76が垂直ガイドレール68の基端側に設けられ、旋回搬送体72を旋回駆動するための駆動部78が昇降搬送体70に取り付けられ、搬送アーム74を進退駆動するための駆動部80が回転搬送体72に取り付けられている。各駆動部76,78,80はたとえば電気モータ等で構成されてよい。
上記のように構成された搬送機構46は、高速に昇降ないし旋回運動して両隣のオーブンタワー(TB)44,48の中の任意のユニットにアクセス可能であり、補助搬送空間38側のシャトル40とも基板Gを受け渡しできるようになっている。
第1の熱的処理部26の下流側に隣接する塗布プロセス部28は、図1に示すように、レジスト塗布ユニット(CT)82と減圧乾燥ユニット(VD)84とをプロセスラインAに沿って一列に配置している。塗布プロセス部28内の構成は後に詳細に説明する。
塗布プロセス部28の下流側に隣接する第2の熱的処理部30は、上記第1の熱的処理部26と同様の構成を有しており、両プロセスラインA,Bの間に縦型の搬送機構90を設け、プロセスラインA側(最後尾)に一方のオーブンタワー(TB)88を設け、プロセスラインB側(先頭)に他方のオーブンタワー(TB)92を設けている。
図示省略するが、たとえば、プロセスラインA側のオーブンタワー(TB)88には、最下段に基板搬入用のパスユニット(PASSL)が配置され、その上にプリベーク用の加熱ユニット(PREBAKE)がたとえば3段積みに重ねられてよい。また、プロセスラインB側のオーブンタワー(TB)92には、最下段に基板搬出用のパスユニット(PASSR)が配置され、その上に基板温度調整用の冷却ユニット(COL)がたとえば1段重ねられ、その上にプリベーク用の加熱ユニット(PREBAKE)がたとえば2段積みに重ねられてよい。
第2の熱的処理部30における搬送機構90は、両オーブンタワー(TB)88,92のそれぞれのパスユニット(PASSL),(PASSR)を介して塗布プロセス部28および現像プロセス部32と基板Gを1枚単位で受け渡しできるだけでなく、補助搬送空間38内のシャトル40や後述するインタフェースステーション(I/F)18とも基板Gを1枚単位で受け渡しできるようになっている。
下流部のプロセスラインBにおいて、現像プロセス部32は、基板Gを水平姿勢で搬送しながら一連の現像処理工程を行う、いわゆる平流し方式の現像ユニット(DEV)94を含んでいる。
現像プロセス部32の下流側には脱色プロセス部34を挟んで第3の熱的処理部36が配置される。脱色プロセス部34は、基板Gの被処理面にi線(波長365nm)を照射して脱色処理を行うためのi線UV照射ユニット(i−UV)96を備えている。
第3の熱的処理部36は、上記第1の熱的処理部26や第2の熱的処理部30と同様の構成を有しており、プロセスラインBに沿って縦型の搬送機構100とその前後両側に一対のオーブンタワー(TB)98,102を設けている。
図示省略するが、たとえば、上流側のオーブンタワー(TB)98には、最下段に基板搬入用のパスユニット(PASSL)が置かれ、その上にポストベーキング用の加熱ユニット(POBAKE)がたとえば3段積みに重ねられてよい。また、下流側のオーブンタワー(TB)102には、最下段にポストベーキング・ユニット(POBAKE)が置かれ、その上に基板搬出および冷却用のパス・クーリングユニット(PASSR・COL)が1段重ねられ、その上にポストベーキング用の加熱ユニット(POBAKE)が2段積みに重ねられてよい。
第3の熱的処理部36における搬送機構100は、両多段ユニット部(TB)98,102のパスユニット(PASSL)およびパス・クーリングユニット(PASSR・COL)を介してそれぞれi線UV照射ユニット(i−UV)96およびカセットステーション(C/S)14と基板Gを1枚単位で受け渡しできるだけでなく、補助搬送空間38内のシャトル40とも基板Gを1枚単位で受け渡しできるようになっている。
インタフェースステーション(I/F)18は、隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置104を有し、その周囲にバッファ・ステージ(BUF)106、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108および周辺装置110を配置している。バッファ・ステージ(BUF)106には定置型のバッファカセット(図示せず)が置かれる。エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108は、冷却機能を備えた基板受け渡し用のステージであり、プロセスステーション(P/S)16側と基板Gをやりとりする際に用いられる。周辺装置110は、たとえばタイトラー(TITLER)と周辺露光装置(EE)とを上下に積み重ねた構成であってよい。搬送装置104は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アーム104aを有し、隣接する露光装置12や各ユニット(BUF)106、(EXT・COL)108、(TITLER/EE)110と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
図3に、この塗布現像処理システムにおける処理の手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれかのカセットCの中から1つの基板Gを取り出し、プロセスステーション(P/S)16の洗浄プロセス部24のエキシマUV照射ユニット(e−UV)41に搬入する(ステップS1)。
エキシマUV照射ユニット(e−UV)41内で基板Gは紫外線照射による乾式洗浄を施される(ステップS2)。この紫外線洗浄では主として基板表面の有機物が除去される。紫外線洗浄の終了後に、基板Gは、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22によって洗浄プロセス部24のスクラバ洗浄ユニット(SCR)42へ移される。
スクラバ洗浄ユニット(SCR)42では、上記したように基板Gをコロ搬送またはベルト搬送により水平姿勢でプロセスラインA方向に平流しで搬送しながら基板Gの上面(被処理面)にブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより、基板表面から粒子状の汚れを除去する(ステップS3)。そして、洗浄後も基板Gを平流しで搬送しながらリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。
スクラバ洗浄ユニット(SCR)42内で洗浄処理の済んだ基板Gは、第1の熱的処理部26の上流側オーブンタワー(TB)44内のパスユニット(PASSL)50に平流しで搬入される。
第1の熱的処理部26において、基板Gは搬送機構46により所定のシーケンスで所定のオーブンユニットに順次移送される。たとえば、基板Gは、最初にパスユニット(PASSL)50から加熱ユニット(DHP)52,54の1つに移され、そこで脱水処理を受ける(ステップS4)。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)62,64の1つに移され、そこで一定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。しかる後、基板Gはアドヒージョンユニット(AD)56に移され、そこで疎水化処理を受ける(ステップS6)。この疎水化処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)62,64の1つで一定の基板温度まで冷却される(ステップS7)。最後に、基板Gは下流側オーブンタワー(TB)48内のパスユニット(PASSR)60に移される。
このように、第1の熱的処理部26内では、基板Gが、搬送機構46を介して上流側の多段オーブンタワー(TB)44と下流側のオーブンタワー(TB)48との間で任意に行き来できるようになっている。なお、第2および第3の熱的処理部30,36でも同様の基板搬送動作が行なわれる。
第1の熱的処理部26で上記のような一連の熱的または熱系の処理を受けた基板Gは、下流側オーブンタワー(TB)48内のパスユニット(PASSR)60から下流側隣の塗布プロセス部28の搬入ユニット(IN)81へ移され、搬入ユニット(IN)81からレジスト塗布ユニット(CT)82へ移される。
レジスト塗布ユニット(CT)82において、基板Gは、後述するようにスリット型のレジストノズルを用いるスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液を塗布される。次いで、基板Gは、下流側隣の減圧乾燥ユニット(VD)84で減圧による乾燥処理を受ける(ステップS8)。
上記のようなレジスト塗布処理を受けた基板Gは、減圧乾燥ユニット(VD)84から隣の第2の熱的処理部30の上流側オーブンタワー(TB)88内のパスユニット(PASSL)に搬入される。
第2の熱的処理部30内で、基板Gは、搬送機構90により所定のシーケンスで所定のユニットに順次移送される。たとえば、基板Gは、最初にパスユニット(PASSL)から加熱ユニット(PREBAKE)の1つに移され、そこでプリベーキングの加熱処理を受ける(ステップS9)。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)の1つに移され、そこで一定の基板温度まで冷却される(ステップS10)。しかる後、基板Gは下流側オーブンタワー(TB)92側のパスユニット(PASSR)を経由して、あるいは経由せずにインタフェースステーション(I/F)18側のエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108へ受け渡される。
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、エクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108から周辺装置110の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる(ステップS11)。
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると(ステップS11)、先ず周辺装置110のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される(ステップS12)。しかる後、基板Gはエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108に戻される。インタフェースステーション(I/F)18における基板Gの搬送および露光装置12との基板Gのやりとりは搬送装置104によって行われる。
プロセスステーション(P/S)16では、第2の熱的処理部30において搬送機構90がエクステンション・クーリングステージ(EXT・COL)108より露光済の基板Gを受け取り、プロセスラインB側のオーブンタワー(TB)92内のパスユニット(PASSR)を介して現像プロセス部32へ受け渡す。
現像プロセス部32では、該オーブンタワー(TB)92内のパスユニット(PASSR)から受け取った基板Gを現像ユニット(DEV)94に搬入する。現像ユニット(DEV)94において基板GはプロセスラインBの下流に向って平流し方式で搬送され、その搬送中に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理工程が行われる(ステップS13)。
現像プロセス部32で現像処理を受けた基板Gは下流側隣の脱色プロセス部34へ平流しで搬入され、そこでi線照射による脱色処理を受ける(ステップS14)。脱色処理の済んだ基板Gは、第3の熱的処理部36の上流側オーブンタワー(TB)98内のパスユニット(PASSL)に搬入される。
第3の熱的処理部36において、基板Gは、最初に該パスユニット(PASSL)から加熱ユニット(POBAKE)の1つに移され、そこでポストベーキングの加熱処理を受ける(ステップS15)。次に、基板Gは、下流側オーブンタワー(TB)102内のパスクーリング・ユニット(PASSR・COL)に移され、そこで所定の基板温度に冷却される(ステップS16)。第3の熱的処理部36における基板Gの搬送は搬送機構100によって行われる。
カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、第3の熱的処理部36のパスクーリング・ユニット(PASSR・COL)から塗布現像処理の全工程を終えた基板Gを受け取り、受け取った基板Gをステージ20上のいずれかのカセットCに収容する(ステップS1)。
この塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部28、特にレジスト塗布ユニット(CT)82に本発明を適用することができる。以下、図4〜図17を参照して本発明を塗布プロセス部28に適用した一実施形態を説明する。
図4および図5に、塗布プロセス部28におけるレジスト塗布ユニット(CT)82、減圧乾燥ユニット(VD)84およびエッジリムーバ・ユニット(ER)86の要部の構成を示す。これらの塗布系処理ユニット群(CT)82、(VD)84、(ER)86は支持台112の上に処理工程の順序にしたがって横一列に配置されている。支持台112の両側に一対のガイドレール114,114が敷設され、両ガイドレール114,114に沿って平行移動する一組または複数組の搬送アーム116,116により、ユニット間で基板Gを直接やりとりできるようになっている。
レジスト塗布ユニット(CT)82は、微細径吐出型のレジストノズル120を用いて基板Gの上面または被処理面(デバイス形成面)にレジスト液を塗布するための塗布処理部122と、レジストノズル120のレジスト吐出機能を正常に維持またはリフレッシュするためのリフレッシュ部124と、ユニット内の各部を制御するコントローラ(図示せず)とを有している。
塗布処理部122は、上面が開口しているカップ状の処理容器126と、この処理容器126内で基板Gを水平に載置して保持するためのステージ128と、このステージ128を固定して、あるいは昇降可能および/または回転可能に支持するステージ支持部130と、ステージ128上の基板Gに対して上方からレジスト液を走査方式で基板全面に滴下するように長尺状のレジストノズル120を一定方向(X方向)で駆動するノズル走査機構132とを有している。
ノズル走査機構132は、塗布処理部122とリフレッシュ部124とを間に挟んでX方向に延びる一対のXガイドレール134,134を敷設し、Y方向に延びるノズル支持体136を両Xガイドレール134,134の間に架け渡して図示しない直進駆動手段によりX方向で移動させるようにしている。レジストノズル120は、ステージ128上の基板Gを一端から他端までカバーする長さでY方向に延びる長尺状のノズル本体を有しており、ノズル支持体136に昇降可能に取り付けられている。ノズル支持体136には、レジストノズル120の真下でノズルから垂れ落ちる液を受けるための第1の位置とレジストノズル120の昇降空間の外(側方)に退避する第2の位置との間でX方向に移動可能に構成されたドレインパン138も取り付けられている。
リフレッシュ部124は、減圧乾燥ユニット(VD)84側で塗布処理部122の隣に設置されており、超音波洗浄部140と溶剤雰囲気室142とを一体型に並設して昇降機構144により昇降可能に構成するとともに、Y方向に移動可能な走査型のノズル洗浄部146を備えている。リフレッシュ部124内の各部の構成および作用は後に詳しく述べる。
減圧乾燥ユニット(VD)84は、上面が開口しているトレーまたは底浅容器型の下部チャンバ148と、この下部チャンバ148の上面に気密に密着または嵌合可能に構成された蓋状の上部チャンバ150とを有している。下部チャンバ148はほぼ四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して支持するためのステージ152が配設され、底面の四隅には排気口154が設けられている。下部チャンバ148の下から各排気口154に接続する排気管156は真空ポンプ(図示せず)に通じている。下部チャンバ148に上部チャンバ150を被せた状態で、両チャンバ148,150内の処理空間を該真空ポンプにより所定の真空度まで減圧できるようになっている。
エッジリムーバ・ユニット(ER)86には、基板Gを水平に載置するたとえばアルミニウム板からなるステージ158と、基板Gをステージ158上で位置決めするアライメント機構160と、基板Gの四辺の周縁部(エッジ)から余分なレジストを除去する4個のリムーバヘッド162等が設けられている。アライメント機構160がステージ158上で基板Gを設定位置に位置決めし、かつ水平姿勢に固定保持した状態で、各リムーバヘッド162が基板Gの各辺に沿って移動しながら、基板各辺の周縁部に付着している余分なレジストを溶剤たとえばシンナーで溶解して除去するようになっている。
図6〜図15に、レジスト塗布ユニット(CT)82におけるリフレッシュ部124内の各部の構成を示す。より詳細には、超音波洗浄部140および溶剤雰囲気室142について、図6および図7は内部構造を示す断面図、図8は内部構造を示す平面図、図9は図8のJ−J線で見た一部断面側面図、図10は要部の構成を示す斜視図、図11は超音波洗浄部140内の超音波振動筐体の構成を示す斜視図であり、図12の(A)、(B)は温度センサの取付構造を示す図8のK−K線断面図およびL−L線断面図、図13は液面センサの取付構造を示す一部断面側面図である。また、走査型ノズル洗浄部146について、図14および図15は要部の構成を示す斜視図および平面図である。
図6〜図11において、超音波洗浄部140は、レジストノズル120の全長をカバーする長さでY方向に延在する長尺状の洗浄槽164を有し、この洗浄槽164内にすっぽり収まる角柱状の超音波振動筐体166を設けている。超音波振動筐体166は、たとえばステンレス鋼(SUS)の板材からなり、1個または複数固の超音波振動子168を内蔵している(図11)。筐体内で各超音波振動子168は超音波振動筐体166の上面に溶接等で接合されており、各超音波振動子168より出力された超音波が超音波振動筐体166の上面つまり超音波振動面166aより上方に向けて放射されるようになっている。図11に示すように、超音波振動筐体166の一端面には、超音波振動子168に駆動用の電力または信号を供給するための電気ケーブル163がコネクタ部165を介して接続または引き込まれている。図8および図9に示すように、超音波振動筐体166は、コネクタ部165側の一端面をOリング167を介して洗浄槽164の内壁に水密に密着させ、電気ケーブル163を洗浄槽164の外へ引き出している。この取付のために、コネクタ部165の外周に雄ネジを形成し、洗浄槽164の外側からナット169を螺合させてよい。
図6、図7および図10に示すように、超音波洗浄部140の洗浄槽164内で、超音波振動筐体166は、隣の溶剤雰囲気室142側の壁面170にぴったり寄せて配置され、反対側の壁面172との間にスペース173を空けている。このスペース173の底面には、洗浄槽164の長手方向に一定の間隔を置いて複数個の溶剤導入口174が設けられている。これらの溶剤導入口174には、溶剤供給用の配管176を介して溶剤供給源(図示せず)が接続されている。溶剤供給管176には開閉弁178が設けられている。開閉弁178を開けて上記溶剤供給源よりレジスト用の溶剤たとえばシンナーSを溶剤導入口174より洗浄槽164内に導入できるようになっている。洗浄槽164内でシンナーSは超音波洗浄のための洗浄液に用いられる。
また、洗浄槽164内で超音波振動筐体166はその下面を槽底から浮かすようにして複数個の突起状台座180の上に載置され、超音波振動筐体166の配置位置の下に排液口182が設けられている。この排液口182は排液用の配管184を介してドレインつまり排液処理部(図示せず)に通じている。配管184に設けられる開閉弁186は、通常は閉じており、洗浄槽164内のシンナーSを抜く時に開けられる。
洗浄槽164の上面には、図6、図7および図10に示すように、超音波振動筐体166と対向して長手方向に延びるスリット状の開口188aを設けた蓋体188が取り付けられている。この蓋体188の開口188aは、レジストノズル120のノズル部120aを幾らか余裕(隙間)を開けて通す大きさに形成されている。図示のように、レジストノズル120のノズル部120aは、長尺型直方体形状のノズル本体のほぼ全長に亘って垂直下方にテーパ状に突出し、下端に多孔型またはスリット型の微細径吐出口(図示せず)を有している。レジストノズル120の下面を洗浄槽164の蓋体188に上方から合わせると、ノズル部120aだけが開口188aを通り抜けてほぼ密閉状態の槽内に入り、下端部の吐出口付近の部位が洗浄槽164内のシンナー浴に浸かれるようになっている(図7、図10)。
洗浄槽164の内壁のうち、溶剤雰囲気室142側の壁面170は洗浄槽164と溶剤雰囲気室142とを隔てるための隔壁を構成している。この隔壁170の上端部には、蓋体188(または蓋体202)との間に隙間を形成するオーバーフロー用の切欠き170aが長手方向に一定ピッチで多数設けられている。洗浄槽164内でシンナーSの液面が切欠き170aを超えると、切欠き170aを通って隣の溶剤雰囲気室142側へ溢れ出るようになっている(図7)。
溶剤雰囲気室142は、図6〜図8および図10に示すように、レジストノズル120の全長をカバーする長さで洗浄槽164の隣に一体に設けられている。室内には、内壁に沿って周回方向に延在する(水平方向で一周する)上端の開口した回廊状の溝部192が溶剤溜め部として形成されるとともに、この溶剤溜め部192の内側(室内の中心部)に排液口194に通じるドレイン溝196が形成されている。排液口194には外部の排液処理部(図示せず)に通じる配管198が接続され、配管198に開閉弁200が設けられている。洗浄槽164との境界壁または隔壁170の切欠き170aから溶剤雰囲気室142側に溢れてきたシンナーSは隔壁170の壁伝いに流れ落ちて溶剤溜め部192に導かれる。そして、溶剤溜め部192に溜まったシンナーSは蒸発し、付近にシンナーの蒸気が立ち篭めるようになっている。また、溶剤溜め部192で溢れたシンナーSは、ドレイン溝196へ流れ落ちるようになっている。ドレイン溝196に流れ落ちたシンナーSは排液口194から排液管198に送られる。
溶剤雰囲気室142の上面には、ドレイン溝196と対向して長手方向に延びるスリット状の開口202aを設けた蓋体202が取り付けられている。この蓋体202の開口202aも、レジストノズル120のノズル部120aを幾らか余裕(隙間)を開けて通す大きさに形成されている。レジストノズル120の下面を溶剤雰囲気室142の蓋体202に上方から合わせると、ノズル部120aだけが開口202aを通り抜けてほぼ密閉状態の室内に入り、下端部の吐出口がドレイン溝196と対向して、室内に立ち篭めるシンナーSの蒸気に曝されるようになっている(図6)。
図8および図12に示すように、溶剤雰囲気室142内の一端部に縦方向に延びるざぐり穴204が形成され、このざぐり穴204に温度センサ206が感温部206aを頂上位置にして収容されている。センサ取付のために、センサ保持板208、取付ボルト210等が用いられている。洗浄槽164側から隔壁170の切欠き170aを通って溶剤雰囲気室142側に溢れ落ちてきたシンナーSの一部が温度センサ206の感温部206に触れてざぐり穴204内に溜まるようになっている。ざぐり穴204でいっぱいになったシンナーSは、隣の溶剤溜め部192に移るか、あるいはドレイン溝196へ流れ落ちるようになっている。温度センサ206は、感温部206に触れるシンナーSの温度を検知し、検知した温度を表す電気信号を電気ケーブル212を介してコントローラに送る。コントローラは、温度センサ206の出力信号に基づいて洗浄槽164へのシンナーSの導入を制御するようになっている。
一方、図8および図13に示すように、溶剤雰囲気室142の他端部の外では、洗浄槽164の上端部と下端部とに間に配管214が接続され、この配管214の途中に洗浄槽164内の液面レベルを検出するための液面センサ216が設けられている。この液面センサ216の出力信号もコントローラに与えられる。
走査型のノズル洗浄部146(図4、図5)は、図14および図15に示すような可動型の洗浄ヘッド220を有している。この洗浄ヘッド220の上面には、レジストノズル120のノズル部120aの下端部を十分な余裕(隙間)をもって入れられるY方向に延びる溝部222が形成されており、この溝部222の相対向する内壁にはY方向一列に多数の洗浄ノズル224が設けられている。これらの洗浄ノズル224は、ノズル洗浄部146のアーム部228内を通る配管(図示せず)を介して洗浄液供給源(図示せず)に接続されており、レジストノズル120のノズル部120aの下端部に向けて洗浄液たとえばシンナーを噴射する。また、洗浄ノズル224の両端外側にはガスノズル226が取り付けられている。これらのガスノズル226は、ノズル洗浄部146のアーム部228内を通る配管(図示せず)を介して乾燥ガス供給源(図示せず)に接続されており、ノズル部120aの下端部に向けて乾燥用のガスたとえばN2ガスを噴き掛ける。もっとも、両端外側のガスノズル226が全部同時に作動することはなく、洗浄ヘッド220の移動する方向(走査方向)において洗浄ノズル224の後方に位置するガスノズル226のみが乾燥用ガスを噴出するようになっている。溝部222の底穴222aはノズル洗浄部146のアーム部228内を通る配管(図示せず)を介してバキューム源(図示せず)に接続されており、ノズル部120aより落下した液はバキューム力で溝部222に受け集められて回収されるようになっている。
ノズル洗浄部146の洗浄ヘッド220はアーム部228を介してY方向直進駆動部230に接続されている(図4、図5)。Y方向直進駆動部230は、たとえばガイド付きのボールネジ機構またはリニアモータ機構等で構成されてよく、レジストノズル120に対して図14に示すように向き合った位置関係で洗浄ヘッド220をY方向に直進移動させる。
図16および図17に、レジストノズル120に付随してノズル支持体136に取り付けられているドレインパン138の構成例を示す。ドレインパン138は、レジストノズル120の全長をカバーする長さでY方向に延在する長尺状の受皿からなり、上面にスリット状の開口138aを有している。ノズル支持体136には、ドレインパン138の両端部にシリンダロッド232aを結合させたシリンダ232が取り付けられている。図16に示すように、シリンダ232がシリンダロッド232aを伸ばすと、ドレインパン138はレジストノズル120の側方の位置へ退避し、レジストノズル120はドレインパン138とぶつかることなく昇降移動することができる。図17に示すように、シリンダ232がシリンダロッド232aを引くと、ドレインパン138はレジストノズル120の真下の位置へ移動し、この位置でレジストノズル120の吐出口付近から垂れ落ちる液を開口138aの中に受けるようになっている。ドレインパン138には排液処理部(図示せず)に通じる排液管(図示せず)が接続されている。
次に、この実施形態のレジスト塗布ユニット(CT)82における全体の動作ないし作用を説明する。
上記のように、第1の熱的処理部26(図1)で所定の熱処理を受けた基板Gが下流側オーブンタワー(TB)48内のパスユニット(PASSR)60(図2)からレジスト塗布ユニット(CT)82に搬入される。レジスト塗布ユニット(CT)82において、基板Gが搬入されるまでの期間中、レジストノズル120は図6に示すようにしてリフレッシュ部124の溶剤雰囲気室142で待機している。この待機期間中、溶剤雰囲気室142内で、レジストノズル120のノズル部120aの下端部は溶剤溜め部192から立ち篭めるシンナーSの蒸気に曝されているため、ノズル内(特に吐出口付近)のレジスト液が乾燥して凝固するようなことはない。また、定期的に、あるいは必要に応じて、ダミーディスペンスが実行され、レジストノズル120内の残留レジスト液がドレイン溝196に向けて吐き出される。このダミーディスペンスによってドレイン溝196はレジストで汚れる。しかし、後述するように、隣の超音波洗浄部140による超音波洗浄が行われる際に、これに付随してドレイン溝196の洗浄が自動的に行われるようになっている。
隣のパスユニット(PASSR)60から基板Gがレジスト塗布ユニット(CT)82に搬入されると、これと同時または前後して、レジストノズル120がリフレッシュ部124の溶剤雰囲気室142から退出する。この退出のために、ノズル支持体136がレジストノズル120を上昇移動させてもよいが、走査型ノズル洗浄部146に作業スペースを明け渡しできる点で、昇降機構144(図5、図9)が溶剤雰囲気室142と超音波洗浄部140の洗浄槽144とを最下位の位置(退避位置)まで下降移動させるのが好ましい。
こうして退避位置まで下降した溶剤雰囲気室142および超音波洗浄部140と入れ替わるようにして、走査型ノズル洗浄部146が図14に示すように洗浄ヘッド220をレジストノズル120の下に付ける。そして、洗浄ノズル224より洗浄液(シンナー)をレジストノズル120のノズル部120a下端部に噴き付けながら、直進駆動部230の駆動によって洗浄ノズル224をレジストノズル120の一端から他端までY方向に直進移動させる。レジストノズル120のノズル部120aには洗浄ノズル224からの洗浄液に続けてガスノズル226より乾燥ガスを噴き掛けられるうえ、洗浄ヘッド220の溝部222側からバキューム力(吸引力)が働くため、ノズル部120aに当たった洗浄液は風圧とバキューム力で瞬時に離脱して溝部222に回収される。こうして、レジストノズル120の吐出口付近に付着していた汚れ(特にレジスト汚れ)が走査型ノズル洗浄部146により短時間で除去される。
上記のような走査型ノズル洗浄部146によるノズル洗浄が終了すると、ノズル支持体136側でそれまでレジストノズル120の側方位置(退避位置)で控えていたドレインパン138をレジストノズル120の下に潜り込ませる(図17)。これにより、レジストノズル120に付着または残留していた洗浄液が垂れ落ちたとしても、ドレインパン138の中に捕捉される。こうして、リフレッシュ部124で吐出機能をリフレッシュさせたレジストノズル120がノズル走査機構132によって塗布処理部122へ送られる。一方、塗布処理部122の処理容器126内には、隣のパスユニット(PASSR)60から搬入された基板Gがステージ128上に載置される。
塗布処理部122では、ドレインパン138をレジストノズル120の側方へ退かせたうえで、ノズル走査機構132によってレジストノズル120を基板Gの上方でX方向に移動させ、同時にレジストノズル120の吐出口よりレジスト液をライン状に滴下させる。こうして、レジストノズル120がX方向で基板Gの一端から他端まで走査し終えると、基板G上には一定の膜厚でレジスト液の塗布膜が形成される。この実施形態では、レジストノズル120の走査開始位置をリフレッシュ部124とは反対側に設定し、リフレッシュ部124に接近する向き(図4の左→右の向き)のX方向で走査を行ってよく、塗布走査を終えたレジストノズル120をそのまま直進移動させてリフレッシュ部124へ帰還させてよい。なお、塗布走査を終えた時点で、ドレインパン138をレジストノズル120の下に移動させ、レジストノズル120の吐出口付近から垂れ落ちるレジスト液をドレインパン138に受けさせる。
塗布走査を終えてリフレッシュ部124に戻ったレジストノズル120は、最初に溶剤雰囲気室142に送られてもよく、あるいは超音波洗浄部140に送られてもよい。次の塗布処理が行われるまでの待機時間中、レジストノズル120はリフレッシュ部124内の任意の場所で任意の手当てを受けることができる。とりわけ、レジストノズル120は、定期的あるいは随時、超音波洗浄部140で超音波洗浄を受けることができる。
レジストノズル120に超音波洗浄を施すときは、昇降機構144(図5、図9)により超音波洗浄部140の洗浄槽164を所定の高さ位置に合わせ、ノズル支持体136側がドレインパン138を退避位置へ退かしてレジストノズル120のノズル部120aを洗浄槽164の蓋体188の開口188aに挿し込む。こうして、洗浄槽164内でノズル部120aの下端部つまり吐出口付近の部位が超音波の付加されたシンナー浴に浸かることができる(図7、図10)。
この際、超音波洗浄部140側では、洗浄槽164内でノズル部120aの下端部が所定の深さまで浸かるようにシンナー浴の液面レベルを調整する。図7に示すように、レジストノズル120のノズル部120aがシンナー浴に浸かっているときは液面が隔壁170の切欠き170aを越えて、洗浄槽164から隣の溶剤雰囲気室142へシンナーSがオーバーフローするようになっている。一方で、超音波洗浄中は溶剤導入口178より洗浄槽164内へシンナーSの新液を供給し続ける。図7に示すように、洗浄槽164の底の溶剤導入口178より上昇流で導入されたシンナーSは、超音波発振筐体166の側面に沿ってスペース173を通り抜け、ノズル部120a付近を横断するようにしてオーバーフローの出口170aに向って流れる。こうして、レジストノズル120のノズル部120aは洗浄槽164内でシンナー新液の流れの中に浸かることになる。
超音波発振筐体166は、その上面(超音波振動面)166aより上方つまりレジストノズル120のノズル部120aに向けてシンナー浴に所望の周波数(たとえば38kHz)および所望の出力(たとえば600W)で超音波を放射する。この超音波の付与により、被洗浄物(ノズル部120aの吐出口付近の部位)を単にシンナー浴に浸けるのとは異なり、いわゆるキャビテーション作用により微細径の吐出口でもその中の汚れを確実に剥離除去できるとともに、シンナーの化学的溶解作用を促進させ、短時間で最大限の洗浄効果を得ることができる。超音波洗浄時の超音波発振筐体166の上面(超音波振動面)166aの深さDは任意に設定されてよいが、好ましくは、シンナー浴の振動を超音波振動子の振動周波数に共鳴または共振させるような深さ、たとえば超音波振動の1/2波長の整数倍に設定されてよい。
また、超音波洗浄中はシンナー浴の温度(液温)が上昇するので、液温管理も重要である。この点、この実施形態では、溶剤雰囲気室142内に設置された温度センサ206が洗浄槽164から溢れてきた直後のシンナーSの温度を検出し、センサ出力信号(検出温度)に基づいてコントローラにより洗浄槽164内へのシンナー新液の導入(たとえば導入レート等)を制御するので、超音波洗浄の間も洗浄槽164のシンナー液温を適性な範囲内に維持することができる。なお、温度センサ206は、超音波洗浄部140側たとえば洗浄槽164内に配置されてもよい。しかし、この実施形態のように溶剤雰囲気室142側に配置されることで、不要な超音波を受けなくて済み、経時劣化を少なくすることができる。
また、超音波洗浄の最中に、たとえばノズル支持体136側の駆動で、あるいは昇降機構144側の駆動でレジストノズル120を洗浄槽164内のシンナー浴に対して相対的に揺動させてもよい。水平方向に揺動させる場合は、蓋体188の開口188aに揺動ストローク分の余裕(マージン)を与えればよい。かかる遥動によって、シンナー浴を攪拌し、超音波洗浄効果を一層高めることができる。
上記のようにして超音波洗浄部140でレジストノズル120に対する超音波洗浄が行われている間、溶剤雰囲気室142では超音波洗浄部140の洗浄槽164からオーバーフローしてきたシンナーSが溶剤溜め部192に導入ないし補給され、溶剤溜め部192がいっぱいになると、そこからシンナーSがドレイン溝196へ溢れ落ちる。この溶剤溜め部192からドレイン溝196へのシンナーSのオーバーフローによって、ドレイン溝196の内壁に付着していた汚れ(特にダミーディスペンスによる汚れ)がシンナーSに溶けて洗い流される。こうして、超音波洗浄部140で超音波洗浄が行われるとき、洗浄槽164からオーバーフローさせたシンナーSを有効利用して溶剤雰囲気室142内のドレイン溝196を洗浄することができる。
超音波洗浄部140でレジストノズル120に対する超音波洗浄が終了した後は、レジストノズル120を洗浄槽164から退出させる。この場合も、昇降機構144(図5、図9)が超音波洗浄部140を溶剤雰囲気室142と一体に最下位の位置(退避位置)まで下降移動させてよい。
次に、走査型ノズル洗浄部146を用いてレジストノズル120に仕上げ洗浄を施すのが好ましい。この仕上げ洗浄においても、走査型ノズル洗浄部146が図14に示すように洗浄ヘッド220をレジストノズル120の下に付けて、洗浄ノズル224より洗浄液(シンナー)をレジストノズル120のノズル部120a下端部に噴き付けながら、また洗浄ノズル224の後方位置でガスノズル226より乾燥ガスを噴き掛けながら、直進駆動部230の駆動によって洗浄ノズル224をレジストノズル120の一端から他端までY方向に直進移動させる。こうして、超音波洗浄直後のレジストノズル120に短時間で効率的に仕上げ用のブロー洗浄を施すことができる。
上記のような走査型ノズル洗浄部146による仕上げ洗浄が終了した後は、次の塗布処理が行われるまでの間、レジストノズル120を溶剤雰囲気室142に停留させてよい。このために、昇降機構144(図5、図9)が溶剤雰囲気室142を超音波洗浄部140と一体に退避位置から稼動位置まで上昇移動させる。
超音波洗浄部140では、超音波洗浄が終了した後は、洗浄槽164へのシンナー新液の供給を止めてよい。そうすると、洗浄槽164内でシンナーSが蒸発して次第に減少するが、液面センサ216を通じてコントローラが液面レベルをモニタし、所定の下限レベルに達した時は、シンナー新液を補給することができる。また、超音波洗浄を行わない期間中でも、溶剤雰囲気室142内の溶剤溜め部192にシンナーSを補給するために洗浄槽164内のシンナーをオーバーフローさせてもよい。
また、長時間の使用で超音波振動筐体166の超音波振動面166aにエロージョンが発生した場合は、洗浄槽164が汚染源になるのを避けるため、超音波振動筐体166を新規のものと交換すればよい。この部品交換作業は至って簡単であり、ドレインの開閉弁186を空けて洗浄槽164内のシンナーを排出してから、洗浄槽164外側のナット169を緩めれば旧筐体166を取り出すことができる。そして、新規筐体166を洗浄槽164の中に入れてナット169を締めればよい。洗浄槽164自体は、交換や修理が不要であり、永続的使用を保証できる。
以上、本発明を好適な実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形・変更が可能である。たとえば、上記した実施形態では、超音波洗浄部140の隣に溶媒雰囲気室142を一体構造で併設した。しかしながら、両者(140,142)を別体または分離したユニット構造とすることも可能である。また、超音波洗浄部140の洗浄槽164内に形成される溶剤蒸気の雰囲気を利用し、その雰囲気の中でレジストノズル120を待機させることも可能である。その場合は、レジストノズル120の吐出口が洗浄槽164内のシンナー浴に触れないように、液面のレベルを下げるか、レジストノズル120の位置を高くすればよい。また、上記した実施形態では超音波洗浄部140の洗浄槽164内に脱着式の超音波振動筐体166を配置して必要最小限の部品交換を可能としたが、洗浄槽164に一体型または組み込み式で超音波振動体を設ける構成も可能である。
本発明は、上記した実施形態におけるようなレジスト液(処理液)を微細径で吐出する微細径吐出型ノズルに適用して特に好適なものである。しかしながら、任意の吐出口構造を有する処理液吐出ノズルに適用可能である。
また、本発明は、処理液吐出ノズルを用いて被処理基板上に処理液を供給する任意のアプリケーションに適用可能であり、スピンレス方式でなくても、たとえば被処理基板を回転させて塗布膜を形成するスピン方式にも適用可能である。本発明における処理液としては、レジスト液以外にも、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の液体も可能である。本発明における被処理基板はLCD基板に限らず、半導体ウエハ、CD基板、ガラス基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。