JP4200899B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の駆動力要求操作量に対する動力源のトルクを制御する制御装置に関するものである。
最近では、ガソリンエンジンなどの車両用内燃機関の回転数を、その出力側に連結した無段変速機などによって、燃費が最適(最小)となる回転数に制御することがおこなわれている。これは、無段変速機での変速比を連続的に変化させ得ることに加えて、電子スロットルバルブなどによって内燃機関の出力トルクを電気的に制御できることが要因となっている。したがって無段変速機を搭載した車両では、燃費を重視した変速制御が広くおこなわれており、例えばアクセル開度などで代表される駆動力要求操作量と車速などの車両の駆動状態とに基づいて要求駆動力を求めるとともに、その要求駆動力と車両の駆動状態とに基づいて目標出力を求め、その目標出力に対する最適燃費となる内燃機関の目標回転数(無段変速機の入力回転数)を算出し、その目標回転数となるように無段変速機を制御する。その一方で、目標出力に基づいて内燃機関の目標出力トルクを求め、その目標出力トルクとなるように電子スロットルバルブなどの出力制御機構を制御する。このような内燃機関のトルク制御が、いわゆるトルクデマンド制御である。
なお、上記のような燃費を重視した制御では、駆動トルクの変化が相対的に緩慢になる。そのため、加減速の応答性が必ずしも充分ではない場合が生じる。そこで従来では、アクセル開度の変化率(変化速度)などに応じて変速比を過渡的に急速に変化させることがおこなわれ、さらには変速比を手動操作に基づいて変化させるいわゆる手動変速(マニュアルシフト)が可能なように無段変速機を構成することもおこなわれている。
前述のトルクデマンド制御をおこなう装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された内燃機関のアイドル回転数制御装置に関する発明は、通常の走行時にトルクデマンド制御を実行し、内燃機関のアイドル運転状態時には、他の何らかの制御を実行することによって内燃機関を制御する制御装置であって、アイドル運転状態と非アイドル運転状態との間で制御状態が切り換えられる際、すなわちトルクデマンド制御を実行している状態(実行モード)とトルクデマンド制御を実行していない状態(非実行モード)との間で制御状態が切り換えられる際に、ショックや違和感の発生を防止して、その切り換え時の移行が滑らかにおこなわれるように、スロットルバルブのスロットル開度を制御するように構成されている。
また、このような制御の切り換え時に生じるショックや違和感を防ぐための技術に関連した発明として、制御状態の切り換えを予測し、その切り換え前後のスロットル開度を調整して制御する装置の一例が、特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載された発明は、内燃機関の気筒内燃焼室に燃料を直接噴射供給するとともに、内燃機関を成層燃焼モード、もしくは均一燃焼モードに切り換えて運転するようにした筒内噴射式内燃機関の制御装置であって、成層燃焼モードでの加速運転時に、目標負荷の変化に基づいて均一燃焼モードへの切り換えが予測された場合に、燃焼室への吸入空気量を調整するスロットルバルブのスロットル開度を、均一燃焼モードにおける目標開度に近づけるように制御を実行するように構成されている。
特開平10−325348号公報 特開2000−205006号公報
上記の各特許文献に記載された発明では、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モード、あるいは内燃機関の成層燃焼モードと均一燃焼モードのように、互いに異なる複数の制御状態が存在する。すると、このような場合は、トルクデマンド制御の実行モードでのスロットル開度と非実行モードでのスロットル開度、あるいは内燃機関の成層燃焼モードでのスロットル開度と均一燃焼モードでのスロットル開度のように、互いに異なる複数のスロットル開度が存在し、ある一つのアクセル開度などの駆動力要求操作量に対して、複数のスロットル開度のいずれかに設定されることになる。
このように、ある一つの駆動力要求操作量に対して複数のスロットル開度が対応することになると、駆動力要求操作量が変更されていなくとも、車両の走行状態や内燃機関の運転状態の変化などによって、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間、あるいは内燃機関の成層燃焼モードと均一燃焼モードとの間などでの制御状態が切り換えられて、スロットル開度が変更される場合がある。すなわち、駆動力要求操作量が変更されていないにもかかわらず、制御状態が切り換えられることによりスロットル開度が変更され、出力トルクが変化してしまう場合がある。その結果、この制御状態の切り換えに伴って、スロットル開度が急変し出力トルクが変化することによるショックや違和感などが生じてしまう可能性がある。
上記のような、制御状態の切り換え時に生じるショックや違和感を防止もしくは抑制するための解決手段として、上記の特許文献1に記載された発明と、特許文献2に記載された発明とを組み合わせることが考えられる。すなわち、制御状態の切り換えを予測し、その切り換えが予測された場合に、切り換えが実行される前に、スロットル開度を、切り換え後の制御状態における目標開度に近づけるように制御することによって、制御状態の切り換え時におけるショックや違和感の発生を防ぐことができる。
一方で、このような制御状態の切り換え時におけるショックや違和感の発生を防ぐためにおこなわれる制御は、制御状態の切り換えを事前に予測することによって、スロットル開度が急変されないようにするため、制御状態の切り換えを予測できない条件のもとでは、上記のような制御状態の切り換え時におけるショックや違和感の発生を防止するための制御をおこなうことができない場合がある。例えば、無段変速機のシフトポジションが、ドライブポジション(D)とマニュアルシフトをおこなうためのマニュアルポジション(M)との間で変更される場合は、運転者の手動操作により高速のシフトポジションの変更操作がおこなわれるため、その高速の変更操作に制御状態の切り換えが追従できず、制御状態の切り換えを予測できない場合がある。その場合、上記の制御状態の切り換え時におけるショックや違和感の発生を防止するための制御をおこなうことができず、ショックや違和感の発生を回避できない可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、駆動力要求操作量に対して互いに異なる複数の制御状態が設定可能な車両において、その制御状態の切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、スロットル開度を変化させて出力トルクを制御する動力源と、その動力源の出力側に連結され変速比制御により前記動力源の出力回転数を制御する無段変速機と、前記動力源の出力トルクを駆動力要求操作量に基づいて設定される目標トルクとなるように制御するトルクデマンド制御を実行する出力制御機構とを備え、前記トルクデマンド制御を実行している第1の制御状態と前記トルクデマンド制御を実行していない第2の制御状態との駆動力要求操作量に対する実駆動力が相互に異なる2つの制御状態を設定可能な車両の制御装置において、前記第1の制御状態と第2の制御状態との間で制御状態が切り換えられることを予測する切り換え予測手段と、前記切り換えの予測が成立した場合には、前記切り換え前の制御状態における前記駆動力要求操作量に対応する実駆動力が前記切り換え後の制御状態における目標駆動力となるように出力制御するとともに、前記駆動力要求操作量の変化の勾配と同じ傾向となるように前記スロットル開度の変化の勾配を設定する出力制御手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記切り換えの予測が成立していない状態で前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間で制御状態が切り換えられた場合に、前記駆動力要求操作量に対する実駆動力が、前記切り換え前の制御状態における駆動力から前記切り換え後の制御状態における目標駆動力に変化するまで、前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間での制御状態の切り換えを遅延させる切り換え遅延手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間での制御状態の切り換えが前記切り換え遅延手段で遅延させられている間に、前記切り換え前の制御状態における駆動力から前記切り換え後の制御状態における目標駆動力に変化させる駆動力変更手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
またさらに、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記駆動力変更手段による前記実駆動力の変化の勾配を車両の走行状態に応じて異ならせる駆動力変化率設定手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
そして、請求項5の発明は、上記の請求項1の発明において、前記車両が、動力源と、その出力側に連結され変速比制御によりその動力源の出力回転数を制御する無段変速機と、前記動力源の出力トルクを駆動力要求操作量に基づいて設定される目標トルクとなるように制御するトルクデマンド制御を実行する出力制御機構とを備え、前記第1の制御状態が、前記トルクデマンド制御を実行している状態と実行していない状態とのいずれか一方であり、前記第2の制御状態が、前記トルクデマンド制御を実行している状態と実行していない状態との他方であることを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、駆動力要求操作量に対する実駆動力が互いに異なるトルクデマンド制御の実行状態と非実行状態との間で、その制御状態が切り換えられて動力源の出力が制御される場合に、その切り換えが有るか否かの予測がおこなわれ、切り換えが有ることが予測されると、切り換え前の制御状態における駆動力要求操作量に対する実駆動力が、切り換え後の制御状態における駆動力の目標値になるように無段変速機の変速比および動力源の出力が制御される。その結果、駆動力要求操作量に対応する、制御状態の切り換えの前後における駆動力の差をなくすことができ、制御状態の切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1の発明による効果に加えて、制御状態の切り換えが予測されない状態で切り換えが実行された場合には、切り換え前の制御状態における駆動力要求操作量に対する実駆動力が、切り換え後の制御状態における駆動力の目標値になるまで、その制御状態の切り換え速度が遅延されて、切り換えが実行される。その結果、制御状態の切り換えの前後における駆動力の差による影響を緩和することができ、制御状態の切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
さらに、請求項3の発明によれば、上記請求項2の発明による効果に加えて、制御状態の切り換えが予測されない状態で切り換えが実行され、その切り換えが遅延させられている場合に、切り換え前の制御状態における駆動力要求操作量に対する実駆動力が、切り換え後の制御状態における駆動力の目標値に速やかに変化するように動力源の出力が制御される。その結果、制御状態の切り換えの前後における駆動力の差をなくし、かつ迅速に切り換えをおこなうことができ、制御状態の切り換えや、その切り換えの遅れに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
またさらに、請求項4の発明によれば、上記請求項3の発明による効果に加えて、切り換え前の制御状態における駆動力要求操作量に対する実駆動力が、切り換え後の制御状態における駆動力の目標値に変化するように動力源の出力が制御される場合に、その実駆動力の変化の勾配(変化率)が、車両の走行状態に応じて変更されて設定される。その結果、制御状態の切り換えの前後における駆動力の差をなくし、さらに迅速に切り換えをおこなうことができ、制御状態の切り換えあるいはその切り換えの遅れに伴う、燃費の低下およびショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる車両のパワートレーン、およびその車両の制御系統を、図5に示す。図5に示す車両Veにおいては、動力源1と車輪2との間の動力伝達経路に、流体伝動装置3、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、無段変速機6などが設けられている。動力源1としては、例えば、内燃機関または電動機の少なくとも一方を用いることができ、好ましくは電子スロットルバルブ7を備えた内燃機関などの出力を電気的に制御できる機構を備えた内燃機関が使用される。電動機としては、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有するモータ・ジェネレータを用いることが可能である。この実施例では、動力源1として、電子スロットルバルブ7を備えたガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどの内燃機関が用いられている場合について説明する。
また、流体伝動装置3およびロックアップクラッチ4は、動力源1と前後進切り換え機構5との間の動力伝達経路に設けられており、流体伝動装置3とロックアップクラッチ4とは相互に並列に配置されている。流体伝動装置3は、流体の運動エネルギにより動力を伝達する装置であり、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、動力源1によって回転させられるポンプインペラと、これに対向させて配置したタービンランナと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナに供給することよりタービンランナを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となる。そのため、ポンプインペラなどの入力側の部材と、タービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ4が設けられている。このロックアップクラッチ4は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ係合状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。また、前後進切り換え機構5は、入力されたトルクを選択的に反転して出力する装置であって、例えば遊星歯車機構を主体として構成されている。
無段変速機6は、要は、変速比を連続的に変化させることのできる機構であって、ベルト式あるいはトロイダル型の無段変速機を使用することができる。図5にはベルト式のものが示されており、この無段変速機6は、前後進切り換え機構5と車輪2との間の動力伝達経路に設けられている。無段変速機6についてより具体的に説明すると、相互に平行に配置されたプライマリシャフト8およびセカンダリシャフト9が設けられている。このプライマリシャフト8にはプライマリプーリ10が設けられており、セカンダリシャフト9にはセカンダリプーリ11が設けられている。プライマリプーリ10は、プライマリシャフト8に固定された固定シーブ12と、プライマリシャフト8の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ13とを有している。そして、固定シーブ12と可動シーブ13との間にV字形状の溝M1が形成されている。
また、この可動シーブ13をプライマリシャフト8の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ13と固定シーブ12とを接近・離隔させる油圧サーボ機構14が設けられている。この油圧サーボ機構14は、油圧室15と、油圧室15のオイル量または油圧に応じてプライマリシャフト8の軸線方向に動作しかつ可動シーブ13に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。
一方、セカンダリプーリ11は、セカンダリシャフト9に固定された固定シーブ16と、セカンダリシャフト9の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ17とを有している。そして、固定シーブ16と可動シーブ17との間にはV字形状の溝M2が形成されている。そして、これらの溝M1,M2に挟持された状態でベルト18が各プーリ10,11に巻き掛けられている。
また、この可動シーブ17をセカンダリシャフト9の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ17と固定シーブ16とを接近・離隔させる油圧サーボ機構19が設けられている。この油圧サーボ機構19は、油圧室20と、油圧室20の油圧またはオイル量に応じてセカンダリシャフト9の軸線方向に動作しかつ可動シーブ17に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。
一方、無段変速機6の油圧サーボ機構14,19およびロックアップクラッチ4、および前後進切り換え機構5を制御する機能を有する油圧制御装置21が設けられている。さらに、動力源1、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、無段変速機6、油圧制御装置21を制御するコントローラとしての電子制御装置22が設けられている。この電子制御装置22は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
図5に示す無段変速機6の変速比を車両Veの走行状態、すなわちアクセル開度や車速などに基づいて制御する自動変速制御と、手動変速操作に基づいて変速を実行する手動変速(マニュアルシフト)制御とを実行できるように構成されている。シフト装置23は、その自動変速制御と手動変速制御とを選択するように構成されている。その一例を説明すると、シフトレバー24をガイドするガイド溝が図5に模式的に示すように変形したH字形に形成され、一方の直線部分にパーキングポジション(P)、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション(D)、ブレーキポジション(B)が割り付けられ、かつドライブポジションから分岐した他方の直線部分の中央部がマニュアルポジション(M)に割り付けられ、このマニュアルポジションを挟んでアップシフトポジション(+)とダウンシフトポジション(−)とが設けられている。そして、各ポジションを検出するスイッチなどのセンサ(図示せず)が設けられており、そのセンサの出力信号が前記電子制御装置22に入力されている。また、シフトレバーの移動を前記油圧制御装置21に伝達するためのケーブルなどのリンゲージ(図示せず)が設けられている。
上記の電子制御装置22に入力されている信号を例示すると、エンジン回転数、アクセルペダルの操作状態、ブレーキペダルの操作状態、スロットルバルブのスロットル開度、シフトポジション、プライマリシャフト8の回転数、セカンダリシャフト9の回転数、油圧制御装置21のソレノイドバルブのフェールの有無、エンジンの吸入空気量、登坂路か否かなどを検知するセンサの信号、シフト装置23で選択されているシフトポジションを示す信号、前記アップシフトポジションに設けられたセンサからのアップシフト信号、前記ダウンシフトポジションに設けられているセンサからのダウンシフト信号などが入力されている。また、電子制御装置22には各種のデータが記憶されており、電子制御装置22に入力される信号、および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置22から、動力源1を制御する信号、無段変速機6を制御する信号、前後進切り換え機構5を制御する信号、ロックアップクラッチ4を制御する信号、油圧制御装置21を制御する信号などが出力される。
電子制御装置22に記憶されているデータとしては、エンジントルク制御マップ、変速機制御マップ、ロックアップクラッチ制御マップなどが挙げられる。エンジントルク制御マップは、例えば電子スロットルバルブ7の制御量の一時的な増大量を設定したマップである。また、変速機制御マップには、変速比の制御マップ、トルク容量の制御マップなどが含まれる。変速比制御マップは、車速、アクセル開度、減速度もしくはブレーキの操作状態などに基づいて、無段変速機6の変速比もしくは動力源1の目標回転数を設定するマップである。動力源1としてエンジンが用いられている場合は、無段変速機6の変速比の制御により、エンジン回転数を最適燃費曲線に近づけるように制御できる。なお、この回転数制御は、主として目標回転数と実回転数との偏差に基づくフィードバック制御によっておこなわれ、必要に応じてフィードフォワード制御が実行もしくは併用される。トルク容量制御マップは、変速比、伝達するべきトルクなどに基づいて、無段変速機6のトルク容量を制御する場合に用いるマップである。また、ロックアップクラッチ制御マップは、車速、アクセル開度などに基づいて、ロックアップクラッチ4のトルク容量を設定するマップである。
上述したように、無段変速機6は動力源1の回転数を燃費が最適になる回転数に制御するように機能させることができる。このいわゆる通常の制御では、一例として、アクセル開度などで代表される駆動力要求操作量と車速とに基づいて適宜のマップから要求駆動力を求め、その要求駆動力と車速とから動力源の目標出力を算出する。その目標出力を最適燃費で出力することのできる目標回転数を、いわゆる最適燃費線と目標出力線との交点での回転数としてマップなどから求め、その目標回転数と実際の動力源回転数との差を制御偏差として無段変速機6の変速比がフィードバック制御される。一方、目標出力とその時点の車速などに基づいて目標トルクが算出され、その目標トルクを達成するように電子スロットルバルブ7などによって動力源1の出力トルクが制御される。
このような制御例が、主に、無段変速機6の変速制御の方式が自動変速制御に選択され、その際のシフトポジションがドライブポジション(D)にある場合に実行される、いわゆるトルクデマンド制御である。このトルクデマンド制御が実行されることによって、車両Veがドライブポジション(D)で走行する場合に、動力源1がいわゆる最適燃費線に追従した条件で制御され、燃費の向上を図ることができるとともに、運転者の駆動力要求に対する動力源1の制御の応答性を向上させることができる。
前述のいわゆる通常制御は、車速や流体伝動装置3のタービン回転数などとアクセル開度などの要求駆動量とで定まる走行状態に基づいて無段変速機6を制御するものであるが、無段変速機6の変速比の制御としては、手動変速操作に基づく制御も可能である。その制御は、シフト装置23のアップシフトポジションあるいはダウンシフトポジションに設けられているスイッチもしくはセンサを、シフトレバーによってオン動作させて信号を出力させ、その信号に基づいて、動力源1の目標回転数をステップ的に変化させ、あるいは信号の出力している間、目標回転数を連続的に変化させる制御である。このような変速制御が、手動変速制御(マニュアルシフト制御)である。
マニュアルシフトは、車両Veの機敏な動作を期待して実行するから、変速速度(変速比変化率)が大きくなるように無段変速機6が制御される。例えば、減速時にマニュアルダウンシフト操作した場合には、変速比を通常より速い速度で増大させる。また反対に加速中にマニュアルアップシフト操作した場合には、通常より速い速度で変速比を減少させる。このような変速制御は、通常のマニュアルシフト制御として実行される。
上記のように、例えば車両Veの燃費や動力源1の出力制御の応答性を向上させるために、トルクデマンド制御を実行可能とした制御装置では、トルクデマンド制御の実行モードでのスロットル開度と非実行モードでのスロットル開度とのように、ある駆動力要求操作量に対して、互いに異なった複数のスロットル開度が対応することになり、それらのいずれかが設定されることになる。
図4により具体的に説明すると、ある一定のアクセル開度に対して、トルクデマンド制御が実行されている状態(実行モード)(図4の期間I)におけるスロットル開度TTACVTと、トルクデマンド制御が実行されていない状態(非実行モード)(図4の期間J)におけるスロットル開度TA0との、互いに異なった複数のスロットル開度が対応している。ここで、図4の(a)は、制御状態がトルクデマンド制御の実行モードから非実行モードへ切り換えられ、再び実行モードへ切り換えられる場合を示し、反対に図4の(b)は、制御状態がトルクデマンド制御の非実行モードから実行モードへ切り換えられ、再び非実行モードへ切り換えられる場合を示している。
また、図4の(a)では、トルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度TTACVTが、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0よりも大きな値に設定されている場合を示し、図4の(b)では、スロットル開度TA0が、スロットル開度TTACVTよりも大きな値に設定されている場合を示している。したがって、制御状態の切り換えが実行される図4のK−L点間およびO−P点間における変化では、スロットル開度が大きい状態から小さい状態、すなわち出力トルクが大きい状態から小さい状態へ変化することになり、その結果、減速ショックが発生する。これに対して、もう一方の制御状態の切り換えが実行される図4のM−N点間およびQ−R点間における変化では、スロットル開度が小さい状態から大きい状態、すなわち出力トルクが小さい状態から大きい状態へ変化することになり、その結果、加速ショックが発生する。
このように、ある駆動力要求操作量に対し、互いに異なった複数のスロットル開度が対応して、それらのいずれかが設定されることになると、駆動力要求操作量の変更がないにもかかわらず、スロットル開度が変更され出力トルクが変化してしまう場合がある。すなわち、駆動力要求操作量の変更がない場合でも、走行状態や動力源1の運転状態などが変化することよって、スロットル開度の複数の制御状態の間で、その制御状態が切り換えられ、スロットル開度が変更されてしまう場合がある。その結果、そのスロットル開度の変更によって出力トルクが変化することになり、それに伴ってショックや違和感が生じてしまう可能性がある。そこでこの発明の制御装置は、以下の制御を実行するように構成されている。
図1はその制御の一例(第1の制御例)を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図1において、先ず、アクセル開度PAと、トルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度TTACVTと、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0とが算出される(ステップS1)。アクセル開度PAは、例えば、車速や、運転者によるアクセルペダルの踏み込みや解放などのアクセル操作などの、車両Veの走行状態に基づいて予め定められた値に設定される駆動力要求操作量である。そして、互いに異なる制御状態であるトルクデマンド制御の実行モードとトルクデマンド制御の非実行モードにおける、スロットル開度TTACVTとスロットル開度TA0とが、そのアクセル開度PAすなわち駆動力要求操作量に対応して、エンジントルク制御マップなどによって求められる。
次に現在の制御状態について判断される。すなわち、現在の制御状態が、トルクデマンド制御の実行中であるか否かが判断される(ステップS2)。現在の制御状態が、トルクデマンド制御が実行されている状態、すなわちトルクデマンド制御の実行モードであることによって、このステップS2で肯定的に判断された場合は、ステップS3へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、トルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度TTACVTに設定される。一方、現在の制御状態が、トルクデマンド制御が実行されていない状態、すなわちトルクデマンド制御の非実行モードであることによって、ステップS2で否定的に判断された場合は、ステップS4へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0に設定される。
このように、ステップS3もしくはステップS4で、現在のスロットル開度TA(i) がスロットル開度TTACVTもしくはスロットル開度TA0に設定されると、ステップS5へ進み、フラグFが“1”であるか否かが判断される。このフラグFは、後述するように、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間で、その制御状態の切り換えが有るか否かについて予測され、その切り換えが有ると予測された場合に“1”にセットされ、切り換えが有ると予測された後に、実際に制御状態の切り換えが実行される場合に“0”にセットされるフラグであって、当初は“0”に設定されている。
したがって、制御の開始当初はこのフラグFが“0”であることによって、ステップS5で否定的に判断され、ステップS6へ進み、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間で、その制御状態の切り換えが有るか否かについて判断される。このような制御状態の切り換えの有無の判断(予測)は、例えば、この具体例のようにトルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間の制御状態の切り換えであれば、無段変速機6のシフトポジションが、ドライブポジション(D)から他のシフトポジション(例えばニュートラルポジション(N)やリバースポジション(R)など)へ変更された場合、あるいはその反対に、無段変速機6のシフトポジションが、ドライブポジション(D)以外の他のシフトポジションからドライブポジション(D)へ変更された場合に、その制御状態の切り換えが有ることを判断(予測)することができる。これは、前述したように、このトルクデマンド制御は、主に走行中の燃費向上を目的として実行される制御であり、無段変速機6のシフトポジションが自動変速制御のドライブポジション(D)に選択されている場合に、その制御が実行されるからである。
トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間で、その制御状態の切り換えの有ることが判断(予測)されない場合は、このステップS6で否定的に判断され、その後、特に制御をおこなうことなく、このルーチンを一旦終了する。これに対して、制御状態の切り換えの有ることが判断(予測)されたことによって、ステップS6で肯定的に判断された場合は、ステップS7へ進み、前述したように、フラグFが“1”にセットされ、次のステップS8へ進む。なお、前述のフラグFが“1であることによって、ステップS5で肯定的に判断された場合は、後のステップS6,7の制御を飛ばし、ステップS8へ進む。
ステップS8では、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しいか否かについて判断される。これは、制御状態の切り換えの有ることが判断(予測)された場合に、その時点の、すなわち制御状態の切り換え前のスロットル開度TA(i) を、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しくすることによって、実際に制御状態の切り換えが実行される際の、切り換え前後におけるスロットル開度の差をなくし、その切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止するための制御である。したがって、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しいことによって、このステップS8で否定的に判断された場合は、後述するステップS17へ進み、フラグFが“0”にセットされるとともに、制御状態の切り換えが実行される。
一方、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しくないことによって、ステップS8で否定的に判断された場合は、ステップS9へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度より小さいか否かについて判断される。すなわち、このステップS9の制御は、後述のステップS10ないしステップS15の各制御で、スロットル開度TAの変化の勾配(変化率)を車両の走行状態に応じて適宜変更して設定するために、スロットル開度TAの変化の傾向をみることによって、車両の走行状態を判断するためのものである。
現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度以上であることによって、このステップS9で否定的に判断された場合は、ステップS10へ進み、現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) よりも小さいか否か、すなわち、アクセルペダルの踏み込み、もしくは解放などのアクセル操作があるか否かが判断される。
そして、現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) よりも小さい、すなわちアクセルペダルが開放され、アクセルペダルの踏み込み操作がおこなわれていないことによって、このステップS10で肯定的に判断された場合は、ステップS11へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、
TA(i) =TA(i-1) −TKA1
として設定される。すなわち、現在のスロットル開度TA(i) が、前回のスロットル開度TA(i-1) から所定値KTA1だけスイープダウンされる。
また、現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) 以上である、すなわちアクセルペダルの踏み込み操作がおこなわれていることによって、ステップS10で否定的に判断された場合は、ステップS12へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、
TA(i) =TA(i-1) +TKA3
として設定される。すなわち、現在のスロットル開度TA(i) が、前回のスロットル開度TA(i-1) から所定値KTA3だけスイープアップされる。
これに対して、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度より小さいことによって、ステップS9で肯定的に判断された場合は、ステップS13へ進み、前述のステップS10と同様に、現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) よりも小さいか否か、すなわち、アクセルペダルの踏み込み、もしくは解放などのアクセル操作があるか否かが判断される。
現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) よりも小さい、すなわちアクセルペダルが開放され、アクセルペダルの踏み込み操作がおこなわれていないことによって、このステップS13で肯定的に判断された場合は、ステップS14へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、
TA(i) =TA(i-1) −TKA2
として設定される。すなわち、現在のスロットル開度TA(i) が、前回のスロットル開度TA(i-1) から所定値KTA2だけスイープダウンされる。ここで、このステップS13でスロットル開度TAをスイープダウンさせる場合の所定値KTA2は、前述のステップS11でスロットル開度TAをスイープダウンさせる場合の所定値KTA1よりも小さな値に設定される所定値である。
そして、現在のアクセル開度PA(i) が前回のアクセル開度PA(i-1) 以上である、すなわちアクセルペダルの踏み込み操作がおこなわれていることによって、ステップS13で否定的に判断された場合は、ステップS15へ進み、現在のスロットル開度TA(i) が、
TA(i) =TA(i-1) +TKA4
として設定される。すなわち、現在のスロットル開度TA(i) が、前回のスロットル開度TA(i-1) から所定値KTA4だけスイープアップされる。ここで、このステップS15でスロットル開度TAをスイープアップさせる場合の所定値KTA4は、前述のステップS12でスロットル開度TAをスイープアップさせる場合の所定値KTA3よりも大きな値に設定される所定値である。
このように、アクセル開度PAの変化の状態を判断し、その判断結果に応じて、互いに大きさが異なるように設定された二つの所定値KTA1,KTA3により、スロットル開度TAをスイープダウンさせ、あるいは互いに大きさが異なるように設定された二つの所定値KTA2,KTA4により、スロットル開度TAをスイープアップさせることによって、アクセル開度PA(すなわち駆動力要求操作量)の変化を適切にスロットル開度TAに反映させることができ、運転者の駆動力要求に対する制御の応答性を向上させることができる。
上記のように、ステップS11,S12もしくはステップS14,S15のいずれかのステップにおいて現在のスロットル開度TA(i) が設定されると、ステップS16へ進み、前述のステップS8と同様に、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しくなったか否かについて判断される。
現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しくないことによって、このステップS16で否定的に判断された場合は、特に後の制御をおこなうことなく、このルーチンを一旦終了する。これに対して、現在のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度と等しいことによって、このステップS16で肯定的に判断された場合は、次のステップS17へ進み、フラグFが“0”にセットされるとともに、制御状態の切り換えが実行される。すなわち、トルクデマンド制御の実行モードから非実行モードへの切り換え、あるいはトルクデマンド制御の非実行モードから実行モードへの切り換えが実行される。そして、その後、このルーチンを一旦終了する。
すなわち、上記のステップS16で肯定的な判断が成立するまで、制御状態の実質的な切り替えが遅延される。そのため、制御状態の切り換えの前後における出力トルクの差による影響を緩和することができ、制御状態の切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
上記の例は、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの切り換えの予測が成立した場合、およびその予測ができない場合に、スロットル開度を変更する制御の例である。これに対して、上記のようにしてスロットル開度を変更した後に、車両の走行状態もしくは駆動状態が変更されて、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの切り換えをおこなう場合、例えば、無段変速機6のシフトポジションが、ニュートラルポジション(N)からドライブポジション(D)へ切り換えられて、トルクデマンド制御の制御状態が非実行モードから実行モードへの切り換えをおこなうような場合には、スロットル開度の急激な変化に起因するショックや違和感などを防止するために、図2に示すように制御する(第2の制御例)。
図2に示す制御例は、前述した図1におけるステップS5からステップS7の制御内容を変更したものであって、その時点のスロットル開度TA(i) が、トルクデマンド制御の実行モードあるいは非実行モードでのスロットル開度TTACVT,TA0に設定された後、前述した図1に示す制御の終了後にトルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの切り換えが実行されているか否かが判断される(ステップS5−1)。他の各ステップは、図1に示す制御例と同様であるため、図2に図1と同様の参照符号を付してその説明を省略する。
したがって、図2に示す制御を実行するように構成したこの発明の制御装置によれば、スロットル開度の制御モードが変更され、それに伴って、アクセル開度などの駆動力要求操作量に応じたスロットル開度が変化する場合であっても、所定の勾配(変化率)でスロットル開度が変化するので、エンジン回転数などの動力源1の挙動の変化あるいは駆動トルクの変化が緩やかとなり、ショックや違和感などを防止もしくは抑制することができる。
図3は、上記の図1,2に示す制御を実施した場合のアクセル開度やスロットル開度の状態を模式的に示したタイムチャートであって、トルクデマンド制御の実行モードから非実行モードへの切り換えが実行される場合を示している。図中のTTACVTはトルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度を示し、TA0はトルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度を示している。すなわち、これらの異なった制御状態におけるそれぞれのスロットル開度TTACVT,TA0は、互いに異なったスロットル開度の値となっているが、アクセル開度の変化の傾向に対応して、同じ傾向で変化するように設定されている。
図3の(a)は、トルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度TTACVTが、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0よりも大きい場合の例を示したものである。図のA点において制御状態の切り換えの有ることが判断(予測)されると、その時点のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度(すなわちこの場合は、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0)となるように変化させられる。この時、B−C点間およびC−D点間のように、例えばアクセル操作の変化などの、車両Veの走行状態の変化によってアクセル開度の変化勾配が変更されると、トルクデマンド制御の実行モード,非実行モードにおけるスロットル開度TTACVT,TA0も、アクセル開度の変化勾配と同じ傾向となるように設定されるが、その時点のスロットル開度TA(i) も、スロットル開度TA0に収束することができる程度の勾配で、アクセル開度の変化勾配と同じ傾向となるように、その変化の勾配が設定される。
また、図3の(b)は、上記の図3の(a)に示した例とは反対に、トルクデマンド制御の実行モードにおけるスロットル開度TTACVTが、トルクデマンド制御の非実行モードにおけるスロットル開度TA0よりも小さい場合の例を示したものである。上記の図3の(a)の場合と同様、E点において制御状態の切り換えの有ることが判断(予測)されると、その時点のスロットル開度TA(i) が、切り換えが実行された後の制御状態における目標スロットル開度であるTA0となるように変化させられる。この時、F−G点間およびG−H点間のように、車両Veの走行状態の変化によってアクセル開度の変化勾配が変更されると、その時点のスロットル開度TA(i) も、スロットル開度TA0に収束することができる程度の勾配で、アクセル開度の変化勾配と同じ傾向となるように、その変化の勾配が設定される。
このようにスロットル開度TA(i) の変化の勾配を、車両Veの走行状態の変化に応じて変更することで、トルクデマンド制御の制御状態が切り換えられる際に、スロットル開度が急変しショックが発生することを防止するとともに、その制御の切り換えに要する期間を可及的に短くすることができ、切り換えの遅れに伴う燃費の悪化を防止もしくは抑制することができる。
以上のように制御が実行されることによって、トルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの間の切り換えのような、アクセル開度の変化(すなわち駆動力要求操作量の変化)などに対応する、スロットル開度(すなわち実駆動力)が互いに異なる複数の制御状態間の制御状態の切り換えが実行される場合に、その切り換え前後におけるスロットル開度(実駆動力)の差をなくすこと、あるいはその差による影響を緩和することができ、制御状態の切り換えに伴うショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
また、切り換え前の制御状態におけるアクセル開度の変化など(駆動力要求操作量)に対するスロットル開度(実駆動力)が、切り換え後の制御状態における目標スロットル開度(駆動力の目標値)に変化するように動力源1の出力が制御される場合に、そのスロットル開度(実駆動力)の変化の勾配(変化率)が、車両の走行状態に応じて変更される。そのため、制御状態の切り換えの前後におけるスロットル開度(実駆動力)の差をなくし、さらに迅速に切り換えをおこなうことができ、制御状態の切り換えあるいはその切り換えの遅れに伴う、燃費の低下およびショックや違和感の発生を防止もしくは抑制することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS6の機能的手段が、この発明の切り換え予測手段に相当し、ステップS8ないしS16の各機能的手段が、この発明の出力制御手段に相当する。また、ステップS16の機能的手段が、この発明の切り換え遅延手段に相当し、ステップS9ないしS16の各機能的手段が、この発明の駆動力変更手段に相当する。そして、ステップS9ないしS15の各機能的手段が、この発明の駆動力変化率設定手段に相当する。
なお、この発明は、上記の具体例に限定されないのであって、この発明に係る車両に搭載される変速機構としては、上記の具体例のような無段変速機以外に、有段変速機であってもよい。また無段変速機を採用した場合、その無段変速機はベルト式以外にトロイダル型のものであってもよい。
また、上記の具体例では、駆動力要求操作量に対する実駆動力が、相互に異なる第1の制御状態と第2の制御状態との例して、アクセル開度に対するスロットル開度が、相互に異なるトルクデマンド制御の実行モードと非実行モードとの例を示しているが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えばアクセル開度に対するスロットル開度が、相互に異なる内燃機関の成層燃焼モードと均一燃焼モードとを設定可能な車両の制御装置などに適用してもよく、要は、ある一つの駆動力要求操作量に対する実駆動力が相互に異なる、複数の制御状態を設定可能な車両の制御装置に適用することができる。
この発明の車両の制御装置による第1の制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明の車両の制御装置による第2の制御例を説明するためのフローチャートである。 図1,2の制御例に対応するタイムチャートである。 この発明におけるトルクデマンド制御の例を説明するためのタイムチャートである。 この発明の制御装置を適用可能な車両のパワートレーンおよび制御系統を示す概念図である。
符号の説明
1…動力源(エンジン)、 6…無段変速機、 22…電子制御装置、 23…シフト装置。

Claims (4)

  1. スロットル開度を変化させて出力トルクを制御する動力源と、その動力源の出力側に連結され変速比制御により前記動力源の出力回転数を制御する無段変速機と、前記動力源の出力トルクを駆動力要求操作量に基づいて設定される目標トルクとなるように制御するトルクデマンド制御を実行する出力制御機構とを備え、前記トルクデマンド制御を実行している第1の制御状態と前記トルクデマンド制御を実行していない第2の制御状態との駆動力要求操作量に対する実駆動力が相互に異なる2つの制御状態を設定可能な車両の制御装置において、
    前記第1の制御状態と第2の制御状態との間で制御状態が切り換えられることを予測する切り換え予測手段と、
    前記切り換えの予測が成立した場合には、前記切り換え前の制御状態における前記駆動力要求操作量に対応する実駆動力が前記切り換え後の制御状態における目標駆動力となるように出力制御するとともに、前記駆動力要求操作量の変化の勾配と同じ傾向となるように前記スロットル開度の変化の勾配を設定する出力制御手段と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記切り換えの予測が成立していない状態で前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間で制御状態が切り換えられた場合に、前記駆動力要求操作量に対する実駆動力が、前記切り換え前の制御状態における駆動力から前記切り換え後の制御状態における目標駆動力に変化するまで、前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間での制御状態の切り換えを遅延させる切り換え遅延手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記第1の制御状態と前記第2の制御状態との間での制御状態の切り換えが前記切り換え遅延手段で遅延させられている間に、前記切り換え前の制御状態における駆動力から前記切り換え後の制御状態における目標駆動力に変化させる駆動力変更手段を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記駆動力変更手段による前記実駆動力の変化の勾配を車両の走行状態に応じて異ならせる駆動力変化率設定手段を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
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