JP4198586B2 - ヨーグルト用安定剤及び該安定剤を含有するヨーグルト - Google Patents

ヨーグルト用安定剤及び該安定剤を含有するヨーグルト Download PDF

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Description

本発明は、保形性、離水防止の点で効果が高く、タンパク質の凝集が有意に抑制することができ、また、食感が良好なヨーグルト用安定剤及びタンパク質の凝集が有意に抑制されたヨーグルトに関する。更には、ヨーグルトの製造時において、一旦ゲルを潰してもゲルの復元性に優れており、製造後一度室温等に放置しても、セットされたゲルの保型性が崩れることなく粘度が維持されたヨーグルトに関する。
ヨーグルト等の発酵乳食品の製造において、品質改良の目的で、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、アルギン酸塩、澱粉等の安定剤が使用されている。
例えば、ハイメトキシルペクチンを使用したヨーグルトとして、発酵前のヨーグルト調乳液にハイメトキシルペクチン、κ−カラギナン、ローカストビーンガムを添加し、発酵後加熱殺菌することにより、殺菌ヨーグルトを調製する方法(特許文献1)や、ペクチンおよびカルシウム結合剤を添加した発酵乳をヒートショック処理し、寒天、ゼラチン等のゲル化剤を添加することで保存中および流通過程での酸度上昇が抑制された後セット型ハードヨーグルトを調製する方法(特許文献2)、アルギン酸塩、カラギナンおよびペクチンから成るグループの中から選定された1つ以上のカルシウム結合ガムを使用して、発酵乳に濃厚感と滑らかさを付与する方法(特許文献3)、および未化工および化工澱粉を使用して、発酵乳にソフトでクリ−ミーな食感を付与する方法(特許文献4)などが知られている。
また、ネイティブ型ジェランガムは、食品ゲル系に使用できることが知られており(特許文献5)、また、ネイティブ型ジェランガムを使用したヨーグルトとして、原料乳と乳酸菌とネイティブジェランガムと固形食品とを含む混合原料を発酵させる発酵乳食品の製造方法(特許文献6)が挙げられている。特に、ネイティブ型ジェランガムは、ヨーグルトに使用すると保形性、離水防止の面で効果が高く、また、ネイティブ型ジェランガムが独特の食感を付与するため、食感が良好となるため、ヨーグルト用安定剤として適している。しかし、単独で使用すると、タンパク質の凝集が起こるという問題点があった。よって、前記安定剤とネイティブ型ジェランガムとを組み合わせて用いることも検討されているが、未だ解決策は見いだされていない。
なお、ゼラチンもヨーグルトに使用する安定剤として知られており、ゼラチンを安定剤として使用すると、ゲルの復元性に優れ、例えば、ソフトヨーグルトを製造する時、一旦生成したゲルを潰しても、再セットすることが知られている(例えば、特許文献7等参照)。しかし、ゼラチンを使用すると、口溶け等の食感は良好であるものの、得られたヨーグルトを一旦冷蔵庫から出して室温放置した場合に、ゲルが溶解して粘度低下が起こり、保型性が損なわれるという問題点がある。
特許第3060965号公報 特開2001−95482号公報 特開平11−276068号公報 特公昭59−18029号公報 特開昭59−88051号公報 特開2001−95482号公報 特開昭50−19961号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、ネイティブ型ジェランガムを安定剤として用い、ネイティブ型ジェランガムを使用した場合の特徴である保形性、離水防止の点で効果が高く、タンパク質の凝集が有意に抑制でき、また、食感が良好であるヨーグルトを提供することを目的とする。更には、ヨーグルトの製造時において、一旦ゲルを潰してもゲルの復元性に優れており、製造後一度室温等に放置しても、セットされたゲルの保型性が崩れることなく、粘度が維持されたヨーグルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類を(a):(b)=5:95〜85:15の割合で含有することを特徴とするヨーグルト用安定剤が、ネイティブ型ジェランガムを使用した場合の特徴である保形性、離水防止の面で効果が高く、タンパク質の凝集を有意に抑制できることを見いだした。
更には、(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類に加えて、(c)ゼラチンとを併用して配合することで、ゼラチン特有の口溶けの良い食感は維持され、ヨーグルトの製造時において、一旦ゲルを潰してもゲルの復元性に優れているにも拘わらず、製造後一度室温等に放置しても、セットされたゲルの保型性が崩れることなく粘度が維持されたヨーグルトとなることを見いだした。
本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものであり、下記の態様を含むものである:
項1.(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類を(a):(b)=5:95〜85:15の割合で含有することを特徴とするヨーグルト用安定剤。
項2.更に、(c)ゼラチンを配合する項1に記載のヨーグルト用安定剤。
項3.(a)ネイティブ型ジェランガム、(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類及び(c)ゼラチンの配合割合が((a)+(b)):(c)=2:10〜10:0である項1又は2に記載のヨーグルト用安定剤。
項4.項1乃至3に記載のヨーグルト用安定剤をネイティブ型ジェランガムが最終ヨーグルトに対して0.01〜0.5重量%となるように含有するヨーグルト。
項5.該ヨーグルト用安定剤を0.01〜3.0重量%含有する、項4に記載のヨーグルト。
本発明により、ネイティブ型ジェランガムを使用した場合の特徴である保形性、離水防止における効果が高く、かつタンパク質の凝集が起こらないヨーグルトができるようになった。さらに付随する効果として、ヨーグルトに適度な弾性を付与し、プルプルとした食感や濃厚な食感を付与できるようになった。更には、ゼラチン様の口溶けの良い食感は維持され、ヨーグルトの製造時において、一旦ゲルを潰してもゲルの復元性に優れており、製造後一度室温等に放置しても、セットされたゲルが溶けたり崩れたりすることなく、保型性が保たれたヨーグルトを提供できるようになった。
本発明のヨーグルト用安定剤は、(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類を(a):(b)=5:95〜85:15、好ましくは、30:70〜85:15、より好ましくは、45:55〜60:40の割合で含有することを特徴とする。従来、ヨーグルトに安定剤を添加することは知られていたが、本願発明は、中でもネイティブ型ジェランガムとハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類を上記特定割合で含有することにより、ネイティブ型ジェランガムを使用した場合の特徴である保形性や、離水防止における効果が高くなることが判った。また、(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類の配合割合を(a):(b)=5:95〜85:15とすると、ネイティブ型ジェランガム独特の食感も付与するという性質を損なうことがなく、かつ、タンパク質の凝集が起こらないヨーグルト用安定剤となったものである。
本発明で使用するネイティブ型ジェランガムとはSphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類であり、β-D-グルコース、β-D-グルクロン酸、β-D-グルコース、α-L-ラムノースの繰り返し構造をモノマーとし、モノマーの末端グルコースのC6位にアセチル基(置換度0.5)、及びC2位にはグリセリル基を有している。単にジェランガムという場合は、これらの官能基をアルカリ処理によって除去したものを指し、ネイティブ型ジェランガムと区別するために脱アシル型ジェランガムと呼ぶ場合がある。ネイティブ型ジェランガムは、食品工業の分野で、デザートゼリーの基盤基材及びドレッシング、ソース、ココア飲料等における不溶性固形分の分散安定化剤として使用されており、商業的に入手可能な製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のゲルアップMOT−M、ケルコ社製のケルコゲルLT−100、ケルコゲルハイメトキシル、及びケルコゲルHTなどを挙げることができる。
ペクチンは、野菜や果物に細胞壁成分として存在する、α-D-ガラクツロン酸を主鎖成分とする酸性多糖類である。ペクチンは食品工業の分野で、ゼリー、菓子、およびジャムの基盤素材、あるいは酸性乳飲料の安定剤として広く使用されている。ペクチンを構成するガラクツロン酸は部分的にメチルエステル化されており、エステル化度によってローメトキシルペクチンとハイメトキシルペクチンに分けられる。また、ローメトキシルペクチンにはC6位が部分的にアミド化されたアミドペクチンもある。本発明のヨーグルト用安定剤には、エステル化度が55以上、好ましくは60以上、更に好ましくは65以上のハイメトキシルペクチンを使用する。かかるハイメトキシルペクチンは商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−666を挙げることができる。
本発明で使用する大豆多糖類は、大豆タンパク製造の際に生じる不溶性食物繊維(オカラ)から、弱酸性下で抽出、精製、殺菌して調製する。水溶性大豆多糖類の分子構造は必ずしも明らかではないが、ガラクトース、アラビノース、ガラクツロン酸、ラムノース、キシロース、フコース、およびグルコースを構成糖とし、ラムノガラクツロン酸鎖にガラクタンとアラビナンが結合した構造が推定されている。水溶性大豆多糖類は食品工業の分野で、酸性乳の安定化剤、ベーカリー食品の食感改良剤として使用されている。かかる水溶性大豆多糖類は商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−700,SM−900,SM−920等を挙げることができる。
更に、本発明のヨーグルト安定剤は(a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類に加えて、(c)ゼラチンを配合することができる。ゼラチンを併用することで、ゼラチン特有の口溶けの良い食感は維持され、ヨーグルトの製造時において、一旦ゲルを潰してもゲルの復元性に優れており、製造後一度室温等に放置しても、セットされたゲルが溶けたり崩れたりすることなく、保型性が保たれたヨーグルトとなる。
なお、本発明のヨーグルト用安定剤中の(a)ネイティブ型ジェランガム、(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類、(c)ゼラチンの配合割合としては、((a)+(b)):(c)=2:10〜10:0となる。
また、本発明は、前記記載のヨーグルト用安定剤をネイティブ型ジェランガムが最終ヨーグルトに対して0.01〜0.5重量%、より好ましくは、0.03〜0.2重量%、更に好ましくは、0.1〜0.2重量%となるように含有するヨーグルトに関する。ネイティブ型ジェランガムを本配合量含有することにより、保型性の維持効果が発揮され良好なヨーグルトとなる。
前記本発明のヨーグルト用安定剤のヨーグルトに対する添加量は、0.01〜3.0重量%、より好ましくは、0.01〜2.0重量%、更に好ましくは、0.1〜1.0重量%である。
従来、ヨーグルトの製造方法としては、常法により行うことができ、原料をタンクなどに入れて発酵した後、製造された発酵乳を容器充填する方法(前発酵方式)と、原料乳と乳酸菌などを混合した混合原料を容器充填し、その容器内で発酵させる方法(後発酵方式)がある。本発明では、どちらの方法で製造することも可能であるが、本発明では前発酵方式により製造する方法が好ましい。
本発明のヨーグルト用安定剤のヨーグルトへの添加時期であるが、乳及び水などを含む原料を加えて攪拌溶解を行い、全量補正後、均質化してから、添加することが好ましい。また、製造時、乳及び水などを含む原料に、安定剤粉末をそのまま添加してもよいし、水に溶解して溶液状にしてから添加してもよい。
容器としては、流通や小売りに一般的に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、プラスチック製、紙製、ガラス製、金属製、陶器製或いはその複合材料からなる容器を用いることができる。また、容器は通常の手段により密封包装して流通等行うことが好ましい。
本発明のヨーグルトは、前記原料以外に、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常のヨーグルトと同様の構成をとることができ、即ち、乳原料、乳酸菌(スターター)、水、糖質、安定剤、油脂、乳化剤、着香料、着色料、風味調整剤、酸化防止剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ溶融したものが用いられる。
原料の乳は、通常、牛乳、山羊乳、羊乳等の獣乳や、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳或いは生クリームなどが好適に用いられる。乳の配合量は、発酵乳食品の全体に対して、無脂乳固形分が8%以上になるように、混合原料に対する原料乳の配合量を決める。
乳酸菌は、通常の発酵乳と同様の菌類あるいはスターターが使用される。
本発明では前記ヨーグルト用安定剤を使用することを特徴とするが、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タマリンドガム、タラガム、カラヤガム、ジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム、カラギナン、寒天、ローメトキシルペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、CMC、微結晶セルロースから選ばれる1種又は2種以上の増粘多糖類を併用することができる。なお、これら増粘多糖類の添加量は、ヨーグルトに対して、0.05〜1重量%、好ましくは、0.1〜0.5重量%程度が適当である。
糖質としては、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の甘味成分が挙げられる。
また、必要に応じて、ビタミン類、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシウム類、鉄、マグネシウム、リン、カリウム等のミネラル類などを添加してもよい。
なお、本発明のヨーグルトには、その風味に合った固形食品を分散させても良い。固形食品として、例えば、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、梨、りんご、ミカン、パイナップル、メロン、キーウィ等の果肉、ナタデココ、ナッツ類、チョコレート、ゼリーなどが使用できる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、文中、「部」は「重量部」とし、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。なお、表中、ネイティブ型ジェランガムを「NGG」、ハイメトキシルペクチンを「HMペクチン」、ローメトキシルペクチンを「LMペクチン」と表記している。
実験例1(NGGとHMペクチンの最適割合についての試験)
清水、牛乳の中に撹拌機で攪拌しつつ脱脂粉乳、砂糖、ゲル化剤の粉体混合物を加え70℃まで加熱し10分間溶解後、蒸発水を補正し、均質機(14700kPa=150kg/cm)に通す。次に90℃10分間加熱殺菌した後、40℃まで冷却しスターターを添加し、次に40℃の恒温器にてpH4.5まで発酵させた後(約4時間)8℃の恒温水槽にて攪拌しながら20℃まで冷却する。次に容器に充填し、冷蔵庫に一晩放置してヨーグルトを調製した(無脂乳固形分8.81%:乳脂肪分2.45%)。
(処方) 部
牛乳(無脂乳固形分8.3%:乳脂肪分3.5%)70
脱脂粉乳 3
砂糖 5
ゲル化剤 表1記載
スターター(市販ヨーグルト使用) 3
清水にて 100
調製したヨーグルトについて、タンパク質の凝集の有無、保形性、離水、食感について評価した。食感は、ネイティブ型ジェランガム独特の食感について、適度な弾性がありプルプルした食感の度合いをそれぞれ4段階で示し、「◎」非常に良好、「○」良好、「△」やや不良、「×」不良として評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004198586
表1より、(2)〜(6)のヨーグルト(即ち、ネイティブ型ジェランガム:ハイメトキシルペクチン=67:33〜9:91の配合割合)が、タンパク質の凝集も少なく、保形性、離水の点で優れていた。また、(2)〜(4)のヨーグルト(即ち、ネイティブ型ジェランガム:ハイメトキシルペクチン=67:33〜30:70の配合割合は、なおネイティブ型ジェランガムの独特の食感も付与されていて好ましかった。なお、ネイティブジェランガム:ペクチン=50:50の時がネイティブジェランガムの食感を維持しながら、蛋白質の凝集が抑制されたヨーグルトを調製することができた。
実験例2(NGGと多糖類の併用についての試験)
清水、牛乳の中に撹拌機で攪拌しつつ脱脂粉乳、砂糖、ゲル化剤の粉体混合物を加え70℃まで加熱し10分間溶解後、蒸発水を補正し、均質機(14700kPa=150kg/cm)に通す。次に90℃、10分間加熱殺菌した後、40℃まで冷却しスターターを添加し、次に40℃の恒温器にてpH4.5まで発酵させた後(約4時間)8℃の恒温水槽にて攪拌しながら20℃まで冷却し、容器に充填し、冷蔵庫に一晩放置して、ヨーグルトを調製した(無脂乳固形分8.81%:乳脂肪分2.45%)。
(処方) 部
牛乳(無脂乳固形分8.3%:乳脂肪分3.5%) 70
脱脂粉乳 3
砂糖 5
ヨーグルト用安定剤
ネイティブ型ジェランガム 0.15
併用多糖類 表2記載
スターター(市販ヨーグルト使用) 3
清水にて全量 100
Figure 0004198586
注1)寒天A:70〜90℃で完全溶解する易溶性寒天(伊那食品工業(株)製))
注2)寒天B:低分子で曳糸性のない寒天(商品名ウルトラ寒天、伊那食品工業(株)製)
表2より、ネイティブ型ジェランガム及びハイメトキシルペクチン、ネイティブ型ジェランガム及び大豆多糖類を併用した場合だけが蛋白質の凝集が認められず、また、保形性も良好で、プルプルとしていてなめらかな食感の良好なヨーグルトを調製することができた。
実験例3(NGG、HMペクチン及びゼラチン併用のゲルの復元性・保型性試験)
清水、牛乳の中に撹拌機で攪拌しつつ脱脂粉乳、砂糖、安定剤の粉体混合物を加え70℃まで加熱し10分間溶解後、蒸発水を補正し、均質機(14700kPa=150kg/cm)に通す。次に90℃10分間加熱殺菌した後、40℃まで冷却しスターターを添加し、次に40℃の恒温器にてpH4.5まで発酵させた後(約4時間)、8℃の恒温水槽にて攪拌しながら20℃まで冷却し、容器に充填し、冷蔵庫に一晩放置して、ヨーグルトを調製した(無脂乳固形分8.81%:乳脂肪分2.45%)。
得られたヨーグルトについて、製造直後、冷蔵庫にて一晩保管後、30℃3時間放置後の粘度を測定し、ゲルの再セット性及び保型性を見た。結果を表3に示す。なお、本実験のヨーグルトの製造方法は、一旦発酵させて固形化させた後、攪拌しながら冷却することでゲルを潰してから、容器充填している。よって、容器充填直後は、ゲルが潰れた状態であり、一晩冷蔵庫にて放置することで、再度ゲル化しヨーグルトとなる。本実験で一旦ゲルが潰れた状態から再度ゲル化する現象を再セット性と言い、また 保型性とは、一旦製造した固形ヨーグルトを常温で放置した場合のゲル形成能の保持性を言う。
処方 部
牛乳(無脂乳固形分8.3%:乳脂肪分3.5%) 70
脱脂粉乳 3
砂糖 7
ヨーグルト用安定剤 表3記載
スターター(市販ヨーグルト使用) 3
香料(ヨーグルトフレーバーNO.73592*) 0.1
清水にて全量 100
Figure 0004198586
表3より、安定剤にゼラチンを使用したヨーグルト(16)は、ゲルの再セット性は優れているが、30℃3時間放置後の保型性が損なわれており、粘度測定値からもその傾向が現れている。それに対し、ネイティブ型ジェランガム及びHMペクチンを併用したヨーグルト(17)は、再セット性も保型性も優れており、更にゼラチン、ネイティブ型ジェランガム及びHMペクチンを併用した(18)は、更にその効果が顕著に表れた。
実験例4:ソフトヨーグルト
(NGG、HMペクチン及びゼラチンの併用割合についての試験)
清水、牛乳の中に撹拌機で攪拌しつつ脱脂粉乳、砂糖、安定剤の粉体混合物を加え70℃まで加熱し10分間溶解後、蒸発水を補正し、均質機(14700kPa=150kg/cm)に通す。次に90℃、10分間加熱殺菌した後、40℃まで冷却しスターターを添加し、次に40℃の恒温器にてpH4.5まで発酵させた後(約4時間)8℃の恒温水槽にて攪拌しながら20℃まで冷却し、容器に充填し、冷蔵庫に一晩放置して、ヨーグルトを調製した(無脂乳固形分8.81%:乳脂肪分2.45%)。得られたヨーグルトについて、製造直後、冷蔵庫にて一晩保管後、30℃3時間放置後の粘度を測定した。結果を表4に示す。
(処方) 部
牛乳(無脂乳固形分8.3%:乳脂肪分3.5%)70
脱脂粉乳 3
砂糖 5
ヨーグルト用安定剤 表4記載
スターター(市販ヨーグルト使用) 3
清水 残量
合計 100
Figure 0004198586
表4より、(19)〜(24)のヨーグルトのいずれもゲルの再セット性は高いが、(19)〜(21)のヨーグルトは、30℃3時間放置後の保型性が悪かった。それに対して、(22)〜(24)のヨーグルトは、30℃3時間放置後の粘度の低下が抑えられ、ゲルの状態が維持され、保型性が良好であった。ネイティブ型ジェランガム及びHMペクチンとゼラチンの割合を2:10〜10:0の割合の安定剤を使用すると、ゲルの再セット性及び保型性に優れたヨーグルトを製造できる。

Claims (5)

  1. (a)ネイティブ型ジェランガムと(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類を(a):(b)=5:95〜85:15の割合で含有することを特徴とするヨーグルト用安定剤。
  2. 更に(c)ゼラチンを配合する請求項1に記載のヨーグルト用安定剤。
  3. (a)ネイティブ型ジェランガム、(b)ハイメトキシルペクチン及び/又は大豆多糖類及び(c)ゼラチンの配合割合が((a)+(b)):(c)=2:10〜10:0である請求項1又は2に記載のヨーグルト用安定剤。
  4. 請求項1乃至3に記載のヨーグルト用安定剤をネイティブ型ジェランガムがヨーグルトに対して0.01〜0.5重量%となるように含有するヨーグルト。
  5. 該ヨーグルト用安定剤を0.01〜3.0重量%含有する、請求項4に記載のヨーグルト。

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