JP4196182B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジカルボン酸構成単位中に2,6−ナフタレンジカルボン酸単位を含み、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂(以下「PC」ということがある。)は耐熱性、耐衝撃性、透明性等に優れ、エクステリア、電子電気用途、光ディスク基板等の分野で使用されてきた。しかし、自動車分野や医療材料分野へと更に用途を広げるに従い、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性改善の要望が高まっている。
【0003】
従来、PCの耐薬品性を向上させる方法としては、PCにポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)やポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」ということがある。)といったポリエステル樹脂を溶融混練することが知られている。しかし、PETやPBTはPCとの相溶性に劣るため溶融混練するとPCの特徴である透明性が著しく損なわれ、更にPETやPBTはガラス転移温度が低いため耐熱性も大幅に低下するという問題があった。
【0004】
透明性を改善する方法としては、ジオール構成単位の40モル%を1,4−シクロヘキサンジメタノール単位とした変性PETとPCとの熱可塑性樹脂組成物が提案されているが(特許文献1参照。)、この樹脂組成物は透明性が良好であるものの、耐熱性の低下は改善できず、また耐薬品性も十分でないという問題があった。また、耐熱性を改善する方法としては、ジカルボン酸構成単位に特定の割合のナフタレンジカルボン酸単位を含む共重合ポリエステル樹脂をPCに溶融混練する方法が開示されているが(特許文献2参照。)、耐熱性や耐薬品性の改善に必要な割合のナフタレンジカルボン酸単位を共重合すると透明性が不十分になるという問題点があった。このように、これまでPCとの相溶性に優れ、更に耐熱性、耐薬品性にも優れるポリエステル樹脂は知られていなかった。
【0005】
一方、耐熱性に優れるポリエステル樹脂として、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンを用いたポリエステル樹脂が開示されている(特許文献3、4、5参照)。しかし、これらのポリエステル樹脂の耐薬品性やPCとの相溶性に関する記載は一切ない。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−63641号公報
【特許文献2】
特開2000−103948号公報
【特許文献3】
米国特許2945008号公報
【特許文献4】
特開2002−69165号公報
【特許文献5】
特許第3261887号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記の如き状況に鑑み、PCとの相溶性に優れ、更に耐熱性、耐薬品性にも優れたポリエステル樹脂とPCとからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ジカルボン酸構成単位中に2,6−ナフタレンジカルボン酸単位を含み、ジオール構成単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂の透明性、耐熱性を損なうことなく耐薬品性を向上させることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ジカルボン酸構成単位中の20〜100モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であり、ジオール構成単位中の25〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂0.5〜98重量%とポリカーボネート樹脂2〜99.5重量%とからなり、環状アセタール骨格を有するジオール単位が一般式(1)または一般式(2)で表されるジオールに由来するジオール単位である熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0009】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位は一般式(1):
【0010】
【化3】
Figure 0004196182
または一般式(2):
【0011】
【化4】
Figure 0004196182
で表される化合物に由来する単位が好ましい。一般式(1)と(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基を表す。R3は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピル基、イソブチル基を表す。一般式(1)及び(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
【0012】
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオール単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール単位が好ましく、エチレングリコール単位が特に好ましい。
【0013】
該ポリエステル樹脂の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸構成単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン等の脂肪族ジカルボン酸単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸単位、イソフタル酸単位が特に好ましい。
【0014】
ポリエステル樹脂には、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコール単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸単位、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸単位を含んでもよい。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合はポリエステル樹脂のPCとの相溶性、耐熱性、機械強度に影響を与える。環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が大きくなる程、PCとの相溶性に優れ、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が高くなり、耐衝撃性に劣る傾向にある。本発明のポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は25〜60モル%であり、好ましくは30〜60モル%、特に好ましくは30〜50モル%である。環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が上記範囲の場合には、PCとの相溶性、耐熱性、機械強度のバランスに優れる。
【0016】
本発明のポリエステル樹脂中の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合はポリエステル樹脂のPCとの相溶性、耐熱性、成形性、耐薬品性に影響を与える。2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合が大きくなる程、PCとの相溶性に劣り、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が高くなり、溶融粘度が高くなり、耐薬品性が向上する傾向にある。本発明のポリエステル樹脂中の2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合は20〜100モル%であり、好ましくは30〜90モル%、特に好ましくは40〜80モル%である。2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合が上記範囲の場合には、PCとの相溶性、耐熱性、成形性、耐薬品性のバランスに優れる。
【0017】
環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合を25〜60モル%、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合を20〜100モル%とした場合、本発明のポリエステル樹脂はPCとの相溶性に優れ、本発明のポリエステル樹脂10重量部とポリカーボネート樹脂90重量%とからなる熱可塑性樹脂組成物の200μm厚のフィルムのヘイズは10%以下となり優れた透明性を示す。更に、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合を30〜60モル%、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合を20〜100モル%とした場合、本発明のポリエステル樹脂はPCとの相溶性に特に優れ、本発明のポリエステル樹脂10重量部とポリカーボネート樹脂90重量%とからなる熱可塑性樹脂組成物の200μm厚のフィルムのヘイズが5%以下となる。本発明のポリエステル樹脂0.5〜98重量%とポリカーボネート樹脂2〜99.5重量%とからなる熱可塑性樹脂組成物は、透明性に優れたものとなる。但し、ここでいうポリカーボネート樹脂とは、主にビスフェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂を指す。
【0018】
更にPCとの相溶性、耐熱性、機械強度、成形性、耐薬品性などのバランスを考慮すると、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合を30〜60モル%、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合を30〜90モル%とすることが好ましく、より好ましくは、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が30〜50モル%、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合が30〜90モル%であり、特に好ましくは、環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が30〜50モル%、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合が40〜80モル%である。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂で特に耐熱性、機械強度などを考慮すると環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位がエチレングリコール単位であり、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位であることが特に好ましい。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂の耐熱性は用途に応じて適宜選択することができるが、ガラス転移温度で100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上であり、特に好ましくは120℃以上である。ガラス転移温度は構成単位の種類及び割合により変化するが、主に環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位がエチレングリコール単位であり、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位以外のジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位である場合には、上記範囲のガラス転移温度となる。ガラス転移温度が上記範囲内にある場合、本発明のポリエステル樹脂は耐熱性に優れ、自動車内や赤道を通過する船倉(70〜80℃に達するといわれる)での使用が可能となり、自動車の内装、自動車内で使用する芳香剤、目薬などの容器、ブリスターパックなど輸出入に用いる包装材、電子レンジ加熱やレトルト処理を行う食品包装材等高い耐熱性が要求される用途の好適に用いることができる。また、PCと混練した場合にも、PCの耐熱性をほとんど損なわない。
【0021】
本発明に用いるポリエステル樹脂の極限粘度は成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。一般的に熱流動性が求められる射出成形で成形する場合には極限粘度が小さいポリエステル樹脂が適する場合が多く、押出成形で成形する場合や機械物性、耐薬品性等が重視される用途では極限粘度が大きいポリエステル樹脂が適する場合が多い。本発明のポリエステル樹脂ではフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値で0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2dl/gであり、更に好ましくは0.6〜1.0dl/gである。極限粘度がこの範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。
【0022】
本発明に用いるポリエステル樹脂の溶融粘度も成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。極限粘度と同様に、一般的に熱流動性が求められる射出成形で成形する場合には溶融粘度が小さいポリエステル樹脂が適する場合が多く、押出成形で成形する場合や機械物性、耐薬品性等が重視される用途では溶融粘度が大きいポリエステル樹脂が適する場合が多い。溶融粘度の値としては温度240℃、せん断速度100sec-1において500〜7000Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは700〜5000Pa・sである。溶融粘度がこの範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。溶融粘度はポリエステル樹脂の極限粘度にも依存するが、構成単位にも大きく依存する。具体的には、環状アセタール骨格を有するジオール単位や2,6−ナフタレンジカルボン酸単位が多いほど溶融粘度は高くなる。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂は耐薬品性に優れ、本発明で開示する共重合組成では、射出成形して得られた厚さ3.2mmの曲げ試験片に変形率4.8%の歪をかけた状態でジオクチルフタレートを塗布し、温度25℃において表面にクラックが発生するまでの時間が20時間以上とすることもできる。より耐薬品性を重視した共重合組成では30時間以上であり、特に耐薬品性を重視した共重合組成では40時間以上とすることもできる。耐薬品性を向上させるためには2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合を高めることが効果的である。
【0024】
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来既知のものを用いることができ、これらは反応速度やポリエステル樹脂の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。
【0025】
本発明に用いるポリエステル樹脂には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリイミド樹脂、AS樹脂等の樹脂、又はこれらのオリゴマーを添加することもできる。
【0026】
本発明のポリエステル樹脂は、種々の用途に用いることができる。例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ等の押し出し成形体、ボトル、発泡体、粘着材、接着剤、塗料等に用いることができる。更に詳しく述べるとすれば、シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板などに積層してもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成形されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡、押し出し発泡、超臨界発泡などで成形されたものでもよい。特に自動車内で使用する製品、輸出入用の包装材、レトルト処理や電子レンジ加熱を行う食品包装材等高い耐熱性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂と混練して種々の用途に用いることもできる。例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ等の押し出し成形体等に用いることができる。特に自動車内分野、電子・電気・OA分野、精密機器、医療器具等、透明性、耐熱性、耐薬品性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0029】
〔評価方法〕
本実施例及び比較例中のポリエステル樹脂の評価方法は以下の通りである。
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位及び2,6−ナフタレンジカルボン酸単位の割合は1H−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
【0030】
(2)ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
【0031】
(3)極限粘度
極限粘度測定の試料はポリエステル樹脂0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置SS−300−L1を用い、温度25℃で測定を行った。
【0032】
(4)溶融粘度
極限粘度は、(株)東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ 1Cを用いて測定した。キャピラリの径は1mm、長さは10mmであり、測定条件は測定温度240℃、予熱時間3分、せん断速度100sec-1である。なお、比較例1、2のポリエステル樹脂は融点が240℃以上のため、測定を行なわなかった。
【0033】
(5)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)
アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)及び耐薬品性の測定のため、各ポリエステル樹脂を射出成形した。射出成形にはFANAC製ファナックAS100Bを用い、シリンダー温度240〜280℃、金型温度35℃の条件で成形した。
射出成形で得られた厚さ3.2mmの試験片を測定試料とし、ASTM D265に準じて測定した。測定装置は、上島製作所製、U−F IMPACT TESTERを用いた。
【0034】
(6)耐薬品性
射出成形で得られた厚さ3.2mmの曲げ試験片に変形率4.8%の歪をかけた状態でジオクチルフタレートを塗布し、温度25℃において表面にクラックが発生するまでの時間を測定した。
【0035】
(7)PCとの相溶性
PCとの相溶性はPCと溶融混練した組成物のヘイズで評価した。
ポリエステル樹脂10重量部とポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロンS−2000)90重量部とをタンブラーで混合した後、(株)東洋精機製作所製二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、Tダイ法によりシリンダー温度250〜270℃、Tダイ温度260℃、スクリュー回転数50rpm、冷却ロール温度90℃の作製条件で、厚さ200μmのフィルムを作製した。該フィルムのヘイズは、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。フィルムを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
【0036】
実施例1〜8、比較例3、4
〔ポリエステル樹脂の合成〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル製造装置に表1〜3に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で200℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とトリフェニルホスフェート0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に280℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。評価試験結果を表1〜3に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
NDCM:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
DMT:ジメチルテレフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
DOG:5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン
【0037】
比較例1、2
〔原料樹脂〕
比較例1、2で使用した樹脂を以下に記す。
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET RT543C
(2)ポリエチレンナフタレート(PEN):東洋紡績(株)製、商品名:PN−550
評価試験結果を表2に示す。
【0038】
Figure 0004196182
【0039】
Figure 0004196182
【0040】
Figure 0004196182
【0041】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂とPCとからなる熱可塑性樹脂組成物は、自動車内分野、電子・電気・O A 分野、精密機器、医療器具等、透明性、耐熱性、耐薬品性が要求される用途に用いることができ、本発明の工業的意義は大きい。

Claims (7)

  1. ジカルボン酸構成単位中の20〜100モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であり、ジオール構成単位中の25〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂0.5〜98重量%とポリカーボネート樹脂2〜99.5重量%とからなり、該環状アセタール骨格を有するジオール単位が一般式(1)または一般式(2)で表されるジオールに由来するジオール単位である熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0004196182
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    Figure 0004196182
    (式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
  2. ポリエステル樹脂における環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン単位である請求項記載の熱可塑性樹脂組成物
  3. ポリエステル樹脂がジカルボン酸構成単位中に、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位/テレフタル酸単位を20〜100/0〜80モル比で含み、ジオール構成単位中に、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位/エチレングリコール単位を25〜60/40〜75モル比で含む請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
  4. ポリエステル樹脂のガラス転移温度が100℃以上である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
  5. フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃でのポリエステル樹脂の極限粘度が0.5〜1.5dl/gである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
  6. 温度240℃、せん断速度100sec−1におけるポリエステル樹脂の溶融粘度が500〜7000Pa・s である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
  7. ポリエステル樹脂の厚さ3.2mmの曲げ試験片に変形率4.8%の歪をかけた状態でジオクチルフタレートを塗布し、温度25℃において表面にクラックが発生するまでの時間が20時間以上である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
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