JP4062416B2 - ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、ジオール構成単位に環状骨格を有する、耐熱性、透明性、及び耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族系飽和ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある)は機械的性能、耐溶剤性、保香性、耐候性、リサイクル性等にバランスのとれた樹脂であり、ボトルやフィルムなどの用途を中心に大量に用いられている。しかしながらPETには結晶性、耐熱性に関して欠点が存在する。すなわち、結晶性に関してはPETは結晶性が高いため、厚みのある成形体やシートを製造しようとすると、結晶化により白化し、透明性が損なわれてしまう。また、耐熱性に関してはPETのガラス転移温度は80℃程度であるため、自動車内で使用する製品、輸出入用の包装材、レトルト処理や電子レンジ加熱を行う食品包装材等高い耐熱性、透明性が要求される用途には利用できなかった。
【0003】
このため、従来、透明性を必要とする用途には1,4−シクロヘキサンジメタノールで一部共重合された変性PETやイソフタル酸で一部変性された変性PETといった低結晶性ポリエステル樹脂が用いられてきた。しかし、1,4−シクロヘキサンジメタノールで一部共重合された変性PETやイソフタル酸で一部変性された変性PETはそれぞれ透明性はPETに対して改善されるものの、これらの樹脂のガラス転移温度は80℃前後であり、耐熱性に劣る。
【0004】
また、耐熱性の要求される分野に対してはガラス転移温度の高い、ポリエチレン2,6−ナフタレートやポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂が用いられてきた。しかしながら、ポリエチレンナフタレートやポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)も耐熱性は改善されるものの、結晶性が高く透明性に劣る。
【0005】
一方、米国特許2,945,008号公報では、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンを重合したポリエステル樹脂が開示されている。当該変性PETは、ガラス転移温度が高く、また結晶性が低いため、耐熱性、透明性を同時に満たすポリエステル樹脂であるが、特に変性率が50モル%を越えるような変性率の高い領域では脆く、耐衝撃性が著しく劣り、用途が制限されていた。
【0006】
前記米国特許公報には、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンと重合可能な種々のジカルボン酸、並びにグリコールが例示されているが、耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記の如き状況に鑑み、ガラス転移温度が高く、結晶性が低く、すなわち、耐熱性、透明性に優れ、且つ耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、ジオール構成単位の15〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位で、2〜85モル%が脂環式ジオール単位であるポリエステル樹脂がガラス転移温度が高く、結晶性が低く、耐熱性、透明性に優れ、且つ耐衝撃性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、ジオール構成単位の15〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位で、2〜85モルモル%が脂環式ジオール単位であり、かつ下記(1)ないし(3)の性状を有するポリエステル樹脂に関する発明である。
(1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が95℃以上である。
(2)示差走査型熱量計で測定される降温時結晶化ピークの熱量が5J/g以下である。
(3)直径100mm、厚さ3.2mmの円盤を直径2cmの半球形状の錘で、衝撃エネルギー470Jで5回測定した落錘衝撃破断強度の平均が30kJ/m以上であり、且つ破壊形式が5回の測定のうち4回以上延性破壊である。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位は一般式(1)または一般式(2)で表される化合物に由来する単位が好ましい。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
一般式(1)と(2)において、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び炭素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有機基、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基を表す。R3は炭素数が1〜10の脂肪族基、炭素数が3〜10の脂環式基、及び炭素数が6〜10の芳香族基からなる群から選ばれる有機基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピル基、イソブチル基を表す。一般式(1)及び(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂のジオール構成単位中の脂環式ジオール単位は特に限定されるものではないが、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルネンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等のジオール単位が挙げられ、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位、ノルボルネンジメタノール単位、トリシクロデカンジメタノール単位、2,6−デカヒドロナフタレンジメタノール単位が好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位が特に好ましい。
【0016】
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位、脂環式ジオール単位以外のジオール構成単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオール単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、入手の容易さを考慮するとエチレングリコール単位が特に好ましい。
【0017】
本発明のポリエステル樹脂のジカルボン酸構成単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン等の脂肪族ジカルボン酸単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸単位が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、入手の容易さを考慮するとテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位が特に好ましい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂は、上記の環状アセタール骨格を有するジオール単位を15〜80モル%、好ましくは20〜80モル%、特に好ましくは25〜70モル%の割合で有する。環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が上記範囲の場合には、ポリエステル樹脂は結晶性が低下し、ガラス転移温度が高くなるため、高い透明性と耐熱性を有する樹脂となる。
【0019】
また、本発明のポリエステル樹脂は、上記の脂環族ジオール単位を2〜85モル%、好ましくは5〜80モル%、特に好ましくは5〜60モル%の割合で有する。脂環族ジオール単位の割合が上記範囲の場合には、ポリエステル樹脂は耐衝撃性に優れた樹脂となる。
【0020】
本発明のポリエステル樹脂で特に耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂としては、ジオール構成単位の15〜50モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であり、15〜85モル%が脂環式ジオール単位であるポリエステル樹脂が挙げられる。
【0021】
本発明のポリエステル樹脂で特に透明性、耐熱性、耐衝撃性、機械強度などを考慮するとジカルボン酸構成単位及びジオール構成単位が、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、ジオール構成単位の15〜80モル%が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位が2〜85モル%であり、エチレングリコール単位が0〜83モル%であるポリエステル樹脂が好ましい。更には、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であり、かつジオール構成単位の15〜50モル%が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、15〜85モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であり、及び0〜70モル%がエチレングリコール単位である請求項2に記載のポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0022】
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコール単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸単位、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸単位を含んでもよい。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂を製造する方法は特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来既知のものを用いることが出来る。
【0024】
本発明に用いるポリエステル樹脂には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリイミド樹脂、AS樹脂等の樹脂、オリゴマーを添加することもできる。
【0025】
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は95℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内にある場合、本発明のポリエステル樹脂は耐熱性に優れる。これは、従来PETや1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸で一部共重合された変性PETの耐熱性では使用できなかった、自動車内や赤道を通過する船倉(70〜80℃に達するといわれる)での使用が可能となり、自動車の内装、自動車内で使用する芳香剤、目薬などの容器、ブリスターパックなど輸出入に用いる包装材、電子レンジ加熱やレトルト処理を行う食品包装材等高い耐熱性が要求される用途の好適に用いることができる。
【0026】
また、本発明のポリエステル樹脂の降温時結晶化ピークの熱量は5J/g以下であることが好ましく、より好ましくは3J/g以下である。降温時結晶化ピークが上記範囲内にある場合、本発明のポリエステル樹脂は結晶性が低く、高い透明性が要求される用途の好適に用いることができる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂を射出成形して得られる厚さ3.2mmの試験片のヘイズは4%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。ヘイズが上記範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂は、高い透明性を示す。
【0028】
本発明のポリエステル樹脂の落錘衝撃破断強度は、直径100mm、厚さ3.2mmの円盤を用い、直径2cmの半球形状の錘で、衝撃エネルギー470Jで5回測定した平均が30kJ/m以上であることが好ましく、より好ましくは35kJ/m以上である。また破壊形式は5回の測定のうち4回以上が延性破壊となることが好ましく、より好ましくは5回全てで延性破壊する。本発明において、延性破壊とは、最大応力までのエネルギー(WM)を全貫通エネルギー(WT)で除した値(WM/WT)が0.7未満となる破壊形式をいう。落錘衝撃破断強度が上記範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂は多くの用途で実用上十分な耐衝撃性を示す。
【0029】
更に、本発明のポリエステル樹脂では、ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位と脂環式ジオール単位とをより適当な割合とすることにより、特に耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂となる。具体的には、ジオール構成単位の15〜50モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であり、15〜85モル%が脂環式ジオール単位である場合、耐衝撃性が特に優れ、ASTM D265に準じて測定されるアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)が、好ましくは30J/m以上となり、より好ましくは35J/m以上となる。アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)が上記範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂は特に良好な耐衝撃性を示す。
【0030】
本発明に用いるポリエステル樹脂の極限粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)は用途に応じて適宜選択することができるが、0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.2dl/gであり、更に好ましくは0.7〜1.0dl/gである。極限粘度がこの範囲にある場合、ポリエステル樹脂の成形性及び機械的性能が優れる。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂は、種々の用途に用いることができる。例えば、射出成形体、シート、フィルム、パイプ等の押し出し成形体、ボトル、発泡体、粘着材、接着剤、塗料等に用いることができる。更に詳しく述べるとすれば、シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板などに積層してもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成型されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡体でも押し出し発泡体でもよい。特に自動車内で使用する製品、輸出入用の包装材、レトルト処理や電子レンジ加熱を行う食品包装材等高い耐熱性が要求される用途に好適に用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0033】
〔評価方法〕
本実施例及び比較例中のポリエステル樹脂の評価方法は以下の通りである。
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位、脂環式ジオール単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位並びに脂環式ジオールの割合は、1H−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製、核磁気共鳴分光装置(型式:JNM−AL400)を使用して、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
【0034】
(2)ガラス転移温度、降温時結晶化発熱ピーク
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tgm)は、(株)島津製作所製、示査走査型熱量計(型式:DSC/TA−50WS)を使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
降温時結晶化発熱ピークは上記ガラス転移温度を測定後、280℃で1分間保持した後、10℃/分間の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から測定した。
【0035】
(3)ヘイズ
ヘイズは、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。ポリエステル樹脂の射出成形で得られた直径50mm、厚さ3.2mmの円盤を48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
【0036】
(4)落錘衝撃破断強度
射出成形で得られた直径100mm、厚さ3.2mmの円盤を測定試料とした。測定装置は、パーカーコーポレーション社製、落錘衝撃測定試験機を用い、錘の形状は直径2cmの半球、衝撃エネルギーは470Jで落錘衝撃破断強度の測定を行った。また、1つのサンプルにつき5回の測定を行い、延性破壊と脆性破壊の回数の割合で脆さを評価した。本発明において、延性破壊とは、最大応力までのエネルギー(WM)を全貫通エネルギー(WT)で除した値(WM/WT)が0.7未満となる破壊形式である。
【0037】
(5)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)
射出成形して得られた厚さ3.2mmの試験片を測定試料とし、ASTM D265に準じて測定した。測定装置は、上島製作所製、衝撃強度測定装置(U−F IMPACT TESTER)を用いた。
【0038】
(6)極限粘度
極限粘度測定の試料はポリエステル樹脂0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置(型式:SS−300−L1)を用い、温度25℃で測定を行った。
【0039】
〔原料樹脂〕
比較例中で使用した樹脂を以下に記す。
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET RT553C
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG): イーストマン社製、商品名:Eastar PETG 6763
(3)ポリエチレンナフタレート(PEN):東洋紡績(株)製、商品名:PN−510
【0040】
実施例1〜8、比較例1〜5、参考例1〜3
〔ポリエステル樹脂の合成〕充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた150リットル(L)ポリエステル製造装置に表1〜3及び5に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で200℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とトリフェニルホスフェート0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に280℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
【0041】
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
DMT:ジメチルテレフタレート
NDCM:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
DMI:ジメチルイソフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
DOG:5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
tDDM:トランス−2,6−デカヒドロナフタレンジメタノール
【0042】
〔ポリエステル樹脂の射出成形〕
ヘイズ、落錘衝撃破断強度及びアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)の測定のため、各ポリエステル樹脂を射出成形した。射出成形にはファナック(株)製、射出成形機(型式:ファナックAS100B)を用い、シリンダー温度240〜280℃、金型温度35℃の条件で成形した。
【0043】
【0044】
表2
実施例番号 参考例1 実施例5 実施例6 実施例7
モノマー仕込量(モル)
ジカルボン酸成分(モル)
DMT 220.1 179.9 − 79.9
NDCM − − 140.1 80.2
ジオール成分(モル)
EG 358.3 278.9 328.4 249.7
SPG 77.4 62.8 44.9 51.3
CHDM 4.4 108.2 18.0 19.1
ポリエステル樹脂の評価結果
環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合(モル%)
32 32 30 31
脂環式ジオール単位の割合(モル%)
2 60 13 12
ガラス転移温度(℃) 102 108 146 124
降温時結晶化発熱ピーク(kJ/g)
0.0 0.0 0.0 0.0
ヘイズ(%) 1.6 2.1 2.3 2.2
落錘衝撃破断強度(kJ/m)
30.9 50.0 41.1 47.4
延性破壊回数/試験回数 4/5 5/5 5/5 5/5
アイゾット衝撃強度(ノッチ付き;J/m)
18.1 50.6 28.0 26.3
極限粘度(dl/g) 0.71 0.68 0.77 0.73
【0045】
表3
実施例番号 参考例2 実施例8 参考例3
モノマー仕込量(モル)
ジカルボン酸成分(モル)
DMT 149.6 219.8 218.2
DMI 26.4 − −
ジオール成分(モル)
EG 341.7 336.5 337.6
SPG 80.7 − 69.6
DOG − 70.4 −
CHDM 17.8 32.8 −
tDDM − − 32.8
ポリエステル樹脂の評価結果
環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合(モル%)
44 30 30
脂環式ジオール単位の割合(モル%)
10 15 15
ガラス転移温度(℃) 100 96 115
降温時結晶化発熱ピーク(kJ/g)
0.0 0.0 0.0
ヘイズ(%) 1.3 1.8 1.6
落錘衝撃破断強度(kJ/m)
48.1 45.0 42.7
延性破壊回数/試験回数 5/5 5/5 5/5
アイゾット衝撃強度(ノッチ付き;J/m)
19.9 30.2 18.7
極限粘度(dl/g) 0.73 0.75 0.74
【0046】
【0047】
【0048】
実施例9、10、比較例6、7
〔シート及びシート成形品の製造〕二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、ポリエステル樹脂から、Tダイ法によりシリンダー温度245〜265℃、Tダイ温度240〜260℃、スクリュー回転数50rpm、冷却ロール温度70〜80℃の作製条件で、厚さ0.8mmのシートを作製した。各種評価は以下に示す方法により行った。
【0049】
〔シートの評価方法〕
(1)全光線透過率
全光線透過率は、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて0.8mm厚のシートを測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
【0050】
(2)打ち抜き性
厚さ0.8mmのシートをプレス機((株)アマダ製、型式:トルク−バックプレス、打ち抜き穴:19mmφ、刃:トムソン刃)を使用して評価を行った。打ち抜き性に関する評価は以下に示す基準で行った。
A:完全に抜き打ち出来、かつ、破断面にひげ(削りかす)がない。
B:打ち抜きできるものの、ひげが生じている。
C:抜き打ち困難
【0051】
(3)溶剤接着性
0.8mm厚のシートを5cm角に切り取った試験片を以下の条件により接着した。
接着剤:THF、塩化メチレン
接着時間:10秒
接着加工性に関する評価は以下に示す基準で行った。
A:完全に接着
B:接着したものの、接着面が白化
C:接着性不良、かつ白化
【0052】
(4)成形加工性
得られたシートから、真空圧空成形法により絞り比2.2のトレイと絞り比3.8のカップを成形した。成形加工性に関する評価は以下に示す基準で行った。
○:白化も割れも生じない。
△:割れは無いが、白化が生じた。
×:割れが生じた。
【0053】
(5)耐熱性
成形して得られたトレイに所定温度の熱水を満たし室温で3時間放置後の99%以上の容積を保持する温度で評価した。
【0054】
表6
実施例、比較例番号 実施例9 実施例10 比較例6 比較例7
使用ポリエステル樹脂 実施例1 実施例2 PET 比較例5
評価結果
全光線透過率(%) 91 89 90 90
打ち抜き性 A A C A
接着性 A A C A
成形加工性 ○ ○ △ ×
耐熱性(℃) 95 85 75 98
【0055】
実施例11〜13、比較例8
〔フィルムの製造〕二軸押出機(スクリュー径:20mmφ、L/D:25)を用い、ポリエステル樹脂を、Tダイ法によりシリンダー温度240〜260℃、Tダイ温度280℃、スクリュー回転数50rpm、冷却ロール温度70〜80℃の条件下で成膜し、幅120mm、厚さ約0.3mmの未延伸フィルムを得た。次いで東洋精機社製の二軸延伸機を用いて、上記の未延伸フィルムを90〜110℃で10〜30秒間予備加熱した後、線延伸速度30〜90%/秒、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ4.0倍の条件で、縦及び横方向に同時に延伸した。比較例8では次いで、延伸したフィルムを緊張状態に保ったまま235〜240℃の雰囲気中で20秒間熱処理を行い、厚さ20μmの延伸フィルムを得た。各種評価は以下に示す方法により行った。
【0056】
〔フィルムの評価方法〕
(1)ヘイズ
ヘイズは、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて測定した。フィルムを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
【0057】
(2)衝撃あなあけ試験
JIS P813,ASTM D781に準じて行った。測定機器は、東洋精機製(パンクチャー テスター)を使用した。測定条件は、温度23℃、相対湿度50%である。尚、測定値の単位はkJ/mである。
【0058】
(3)耐ピンホール性
測定機器は、理学工業(株)製、ゲルボーフレックステスターを使用した。ゲルボーフレックスの軸方向(延伸方向)を測定方向とした。ピンホールの測定は、ピンホールテスター(微弱電流放電法)を用いて行った。測定環境は温度23℃、相対湿度50%である。
【0059】
表7
実施例、比較例番号 実施例11 実施例12 実施例13 比較例8
使用ポリエステル樹脂 実施例1 実施例2 実施例3 PET
評価結果
衝撃あなあけ強度 49 53 44 29
曇価(%) 0.2 0.2 0.3 0.1
耐ピンホール性
個/200回 0.0 0.0 0.0 0.3
個/400回 0.0 0.0 0.0 5.3
個/600回 0.7 0.9 1.0 12.7
【0060】
実施例14、15、比較例9、10
〔インジェクションブローボトルの製造〕(株)名機製作所製、射出成形機(型式:M200)を使用し、ポリエステル樹脂を原料として、重量30gのプリフォームを成形した。次に、クルップコーポプラスト社(ドイツ)製、ブロー成形機(型式:LB−01)を使用し、ブロー成形により容積330mLのボトル(耐圧仕様、ペタロイド底型)を成形した。
【0061】
〔インジェクションブローボトルの評価方法〕
(1)熱水充填試験
85℃、95℃(±1℃)の熱水をボトルに充填後、12時間放置し、高さ、容積の保持率により耐熱性を評価した。評価はそれぞれ5本のサンプルについて行った。
【0062】
(2)ヘイズ
ボトルの胴部分であって厚み300μm部を切り出して測定試料とした。48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。測定は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)を使用して、ASTM D1003に準じて行った。
【0063】
(3)落下試験
水を充填したボトルを5℃で12時間保存後、1.5mの高さからボトルの底を下にして、それぞれ15本のサンプルを自由落下(垂直落下)させた。目視で外観変化のないものを良好、割れもしくは漏れのあるものを不良とし、良好であったものの個数で評価した。
【0064】
(4)成形性
ボトルを切断し、胴部の厚み約300μm部を周方向に10mm毎に厚みを11点測定し、その標準偏差(厚みむら)で成形性を評価した。
【0065】
表8
実施例、比較例番号 実施例14 実施例15 比較例9 比較例10
使用ポリエステル樹脂 実施例1 実施例7 PET 比較例5
評価結果
熱水充填試験
熱水温度:85℃
高さ保持率(%) 99.0 99.5 96.4 99.5
容量保持率(%) 98.0 99.2 89.3 99.1
熱水温度:95℃
高さ保持率(%) 96.2 99.3 − 99.2
容量保持率(%) 92.8 99.0 − 99.0
ヘイズ(%) 1.1 1.5 3.5 1.4
落下試験 15/15 15/15 15/15 3/15
成形性 24 29 25 36
【0066】
実施例16、17、比較例11、12
〔ダイレクトブローボトルの製造〕ポリエステル樹脂をシリンダー温度が240〜270℃に設定された押し出し機から押し出し、溶融状態のパリソンを作成し、これをブロー金型冷却温度15℃の条件でダイレクトブロー成形し、容積300mLのボトルを得た。ブロー成形時にドローダウンは無く、得られたボトルは透明性が良好で、厚みむらも小さかった。
【0067】
〔ダイレクトブローボトルの評価方法〕
(1)ブロー成形性
ブロー成形時のドローダウンの有無、ボトルの厚みむらを次の3段階で評価した。
○:ドローダウンが無く、厚みむらも小さい
△:ドローダウンがある、又は、厚みむらが大きい
×:ドローダウンがある、かつ、厚みむらが大きい
【0068】
(2)透明性
ボトルの外観を目視で観察し、次の3段階で評価した。
○:全体にわたり透明性が良好
△:口部や底部など一部に白化が認められる
×:全体にわたり白化が認められる
【0069】
(3)落下試験
水を充填したボトルを5℃で12時間保存後、1.0mの高さからボトルの底を下にして、それぞれ15本のサンプルを自由落下(垂直落下)させた。目視で外観変化のないものを良好、割れもしくは漏れのあるものを不良とし、良好であったものの個数で評価した。
【0070】
表9
実施例、比較例番号 実施例16 実施例17 比較例11 比較例12
使用ポリエステル樹脂 実施例1 実施例7 PET 比較例5
評価結果
成形性 ○ ○ × △
透明性 ○ ○ △ ○
落下試験 15/15 15/15 14/15 5/15
【0071】
実施例18、19、比較例13
ポリエステル樹脂100質量部あたり核剤としてタルク1.5質量部を加え、このものを原料樹脂として、第一押出機(溶融混練用)に供給した。加熱、溶融、混練した後、発泡剤としてイソブタンをポリエステル樹脂100質量部当たり1.7質量部を押出機内に圧入して溶融混練した。次いで当該溶融混練物を第二押出機に供給し、押出機先端の環状ダイスよりチューブ状の発泡体として押出した。チューブ状の発泡体の内面側をマンドレル(円柱状冷却ドラム)表面に接触させると共に発泡体外面に空気を吹き付けながら内外面を冷却しつつ引き取り、次いで押出方向に沿って切り開き、発泡シートを得た。
【0072】
〔発泡体の評価方法〕
(1)発泡倍率
発泡シートの発泡倍率は、水没法により測定した体積からその密度を求め、かかる密度と用いた未発泡の原料樹脂の密度の比として算出した。
【0073】
(2)独立気泡率
発泡シートの独立気泡率は、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに従って、東芝ベックマン(株)の空気比較式比重計930型を使用して測定(発泡シートから縦25mm、横25mmに切り出し(厚みはそのまま)、複数枚を重ねたときに最も25mm厚みに近づく枚数をサンプルカップ内に収容して測定)された発泡シート(複数枚のカットサンプル)の真の体積Vxを用い、次式により独立気泡率S(%)を計算し、N=3の平均値で求めた。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)
Vx:上記方法で測定された複数枚の発泡シートの真の体積(cm3)であり、発泡シートを構成する樹脂の容積と、発泡シート内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/cm3)
【0074】
(3)熱成形性
開口部の直径160mm、深さ35mmの丼形状の金型を用い、単発成形機にて発泡シートを熱成形した。
熱成形性に関する評価は以下に示す基準で行った。
○:賦形性も良好で、ナキ〔表面の亀裂〕、割れの発生が無い事。
△:賦形性はあるが、所々ナキ等の発生が見られる。
×:原反自体に伸びが無く、賦形性が無い。
【0075】
(4)耐熱性
発泡体シートから、押出方向を縦、幅方向を横として、縦、横100mmの正方形試験片を切り出し、この試験片を5℃刻みのオーブン内で30分加熱し、加熱後の縦及び横方向の収縮率が10%を越えない最高温度を測定した。
【0076】
表10
実施例番号 実施例18 実施例19 比較例13
使用ポリエステル樹脂 実施例1 実施例2 PET
評価結果
発泡倍率 9.4 8.5 発泡せず
独立気泡率(%) 95 92 −
熱成形性 ○ ○ −
耐熱性(℃) 90 80 −
【0077】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は、耐熱性、透明性、耐衝撃性に優れ、自動車内で使用する製品、輸出入用の包装材、レトルト処理や電子レンジ加熱を行う食品包装材等高い耐熱性が要求される用途に好適に用いることができ、本発明の工業的意義は大きい。
Claims (8)
- ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸単位であり、ジオール構成単位の15〜80モル%が下記一般式(1)または一般式(2)で表される環状アセタール骨格を有するジオール単位であり、10〜85モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であり、かつ下記(1)〜(5)の性状を有するポリエステル樹脂。
(1)示差走査型熱量計で測定されるガラス転移温度が95℃以上である。
(2)示差走査型熱量計で測定される降温時結晶化ピークの熱量が5J/g以下である。
(3)直径100mm、厚さ3.2mmの円盤を直径2cmの半球形状の錘で、衝撃エネルギー470Jで5回測定した落錘衝撃破断強度の平均が30kJ/m以上であり、且つ破壊形式が5回の測定のうち4回以上延性破壊である。
(4)射出成形で得られる厚さ3.2mmの試験片のヘイズが3%以下である。
(5)極限粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)が0.6〜1.2dl/gである。
- ジオール構成単位の15〜50モル%が一般式(1)または一般式(2)で表される環状アセタール骨格を有するジオール単位で、15〜85モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であるポリエステル樹脂であり、かつ下記(6)の性状を有する請求項1に記載のポリエステル樹脂。
(6)ASTM D265に準じて測定されるアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)が30J/m以上である。 - ジオール構成単位の30〜50モル%が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位である請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
- ジオール構成単位の30〜60モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位である請求項2または3に記載のポリエステル樹脂。
- 請求項1ないし4に記載のポリエステル樹脂を用いたポリエステル系射出成形体。
- 請求項1ないし4に記載のポリエステル樹脂を用いたポリエステル系押し出し成形体。
- 請求項1ないし4に記載のポリエステル樹脂を用いたポリエステル系ボトル。
- 請求項1ないし4に記載のポリエステル樹脂を用いたポリエステル系発泡体。
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