請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内にミストを噴霧させる霧化部と前記霧化部に電圧を印加する電圧印加部とを有した霧化装置と、前記霧化部を乾燥させる乾燥手段とを備え、霧化部は、貯蔵室内の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧するものであって、前記電圧印加部から前記霧化装置への電圧印加をOFFさせて前記乾燥手段で前記霧化部の乾燥を行った後、前記電圧印加部から前記霧化装置への電圧印加をONさせて霧化を開始することで、前記霧化部がミスト噴霧を行う前には必ず前記乾燥手段によって前記霧化部の乾燥が行われるとともに前記電圧印加部から霧化装置への電圧印加をOFFさせて乾燥手段で行う前記霧化部の乾燥と、前記電圧印加部から前記霧化装置への電圧印加をONさせて霧化を開始するミスト噴霧とを繰り返して行うように前記霧化装置の制御が行われるものである。
これにより、過剰な結露状態を抑制することが可能となり、霧化電極の過剰結露を防止し、安定してミストを噴霧することができ、より保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、霧化の前には必ず霧化部が乾燥しているので、より過剰結露を防止し、安定してミストを噴霧することができより保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、霧化部の乾燥と霧化を開始するミスト噴霧とを繰り返して行うことにより、霧化の前には必ず霧化部が乾燥しているので、過剰結露を防止し、より安定した噴霧量のミストを噴霧することができるので、庫内結露を防止しより保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
また、霧化部が、貯蔵室内の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧することによって、貯蔵室内の空気中の水蒸気から容易にかつ確実に霧化部に結露させることができ、使用者に水分補給の手間をかけず、かつ水道水に比べて不純物の少ない水を霧化装置に供給することができる。
また、本発明では乾燥手段を有していることで、直接霧化部に結露させた場合に過剰結露等が発生した場合でも、結露量の調整を行うことができるので、より安定した噴霧量の霧化装置を提供することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、乾燥手段を、霧化部が備えられた貯蔵室の空気よりも乾燥した空気である乾燥空気とし、前記乾燥空気が貯蔵室を冷却するための冷気であるものである。
これによって、乾燥空気は、貯蔵室を冷却するための冷気としたので、新たな乾燥手段を用いることなく、霧化電極に付着する水滴を乾燥させることにより、霧化電極に結露させる貯蔵室内の水蒸気を容易に、かつ確実に霧化電極に結露させとともに、さらに結露量を調整し、霧化を安定的に、継続的に霧化が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、乾燥手段が、霧化部の近傍に備えられた加熱手段であるものである。
これによって、例えば、低外気温時や貯蔵室の冷却が必要無い場合等の乾燥空気が入ってきにくいような運転状態の場合であっても、運転状態に関わらず任意のタイミングで霧化部の乾燥を行うことができ、さらに霧化電極の結露状態を安定的にすることも可能である。
以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室近傍の正面図である。図3は、図2のA−A部の静電霧化装置近傍の詳細断面図である。図4は、静電霧化装置の動作フロー図である。
図1から4において、冷蔵庫100の断熱箱体101は主に鋼板を用いた外箱102とABSなどの樹脂で成型された内箱103で構成され、その内部には例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材が充填され、周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に左右に並んで第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が配置される構成となっている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。なお、本実施の形態1では切換室105を冷蔵,冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104,野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でもかまわない。製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室101bを形成して圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室は、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫では、断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、使用者が使いやすい収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態1における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて、そこに圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路と、各室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で冷却した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置され、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引き出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
引き出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室107の上部の第一の仕切壁123及び内箱103に保持されている。引き出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
蓋体122と第一の仕切り壁123の間には、奥面仕切り壁111に構成された野菜室107用の吐出口124から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面の奥面仕切り壁111の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室107用の吸込み口126が設けられている。
なお、本実施の形態1における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り部表面151と風路や冷却室110を隔離、断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、その箇所に静電霧化装置131が埋設されている。
また、冷気が通る風路には、各貯蔵室を冷却する冷気を調整するためのダンパ145が備えられている。
静電霧化装置131は主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と冷気供給口138が構成されている。
また、野菜室107内には、上下方向において野室用吐出口124と野菜室用吸込口126との間に霧化装置である静電霧化装置131が備えられている。
このように野菜室107に霧化部である静電霧化装置131が備えられており、冷気の風路上において野菜室107よりも上流に位置するダンパが開くことによって、野菜室107外から冷気が流入する冷気吐出口である野室用吐出口124を通って冷気が流入し、野菜室107内から野菜室107外へ冷気が吐出される冷気吸入口である野菜室用吸込口126を通って野菜室107外へと冷気が流出することで、野菜室107内には野室用吐出口124と野菜室用吸込口126とを最短経路で結ぶ冷気流通経路が形成され、この冷気流通経路上に静電霧化装置131が備えられている。
さらに、本実施の形態では、霧化装置である静電霧化装置131を備えた貯蔵室内において、冷気吐出口である野室用吐出口124は、静電霧化装置131より上方に配置されるとともに冷気吸込口である野菜室用吸込口126は静電霧化装置131より下方に配置され、野室用吐出口124と静電霧化装置131の上下方向の距離は、野菜室用吸込口126と静電霧化装置131との距離よりも短い位置に配置されている。言い換えると、静電霧化装置131は上下方向において、野菜室用吐出口124に近い上方側に配置されていることとなる。
さらに、静電霧化装置131は野菜室107の上下方向における中心線107aよりも上部に配置されている。
また、静電霧化装置131は野菜室107の左右方向の中心線107bよりも野菜室用吸込口126側に配置されている。
霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材である冷却ピン134に熱的に直接的または間接的に固定されている。
冷却ピン134は、外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突出して構成されている。また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。たとえば、霧化電極135にはグランド(0V)、対向電極136には4〜10kVの高電圧が印加されている。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体100の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
なお、静電霧化装置131を固定している奥面仕切り表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止し、乾燥を促進するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間の一部または全域に配置されており、その加熱手段154の一部が霧化部である静電霧化装置131の近傍に設置されている。
以上のように構成された冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体の側面や背面、また冷蔵庫本体の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により搬送する冷凍室吐出風路141などの各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温の冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切替室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパ145を用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。
冷蔵室104は、冷蔵室104に設けた温度センサ(図示せず)により、冷気量をダンパ145により調整され、目的温度帯に冷却されている。特に、野菜室107は、冷気の配分や加熱手段(図示せず)などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段をもたないものが多い。
野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路140の途中に構成された野菜室107用の吐出口124から野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室107用の吸込み口126から再び冷却器112に戻る。
奥面仕切り壁111の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン134の後方の断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。これにより、奥面仕切り壁111は凹部が構成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。
冷却ピン134の背面にある冷凍室108の吐出風路141には、冷却システムの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で冷却ピン134が例えば0〜―10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、霧化電極135も0〜―10℃程度に冷却される。
ここで、野菜室107は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、霧化電極135は露点温度以下となり、先端を含め、霧化電極135には水が生成、付着する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧側、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(たとえば、霧化電極135を0V(GND)、対向電極136を4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端に結露した水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、冷気供給口138より、新たに高湿な空気が霧化部139に流入するため、連続して噴霧することができる。
さらに、発生した微細ミストは、イオン風にのって下段収納容器119内に噴霧され、非常に小さい微粒子のため拡散性があり、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室107内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流がながれない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
さらに、ここで、冷却ピン134は、−15〜−25℃程度の冷気により常時冷却されているため、野菜室107内の環境により、過剰に結露していることがありえる。本実施の形態1において、野菜室107は冷蔵室104の戻り空気により冷却されている。冷蔵室104は、先述のようにダンパ145により目的温度帯になるように制御されている。すなわち、冷蔵室104が目的温度より高いとき、ダンパ145を開放し冷却する。その動作に応じて、野菜室107には冷蔵室104を冷却した後の比較的乾いた空気が冷蔵室104の戻り風路140を通して、野菜室107の吐出口124から流れ込み、野菜室107を冷却する。この乾いた空気を利用して、霧化電極135に過剰に結露した水滴を乾燥させて結露量を霧化可能な状態にする。以下にその制御動作について図4の静電霧化装置の動作フロー図を用いて説明する。
まず、冷蔵室104が設定温度に対して、高いか低いか判定する(ステップ1)。高い場合、冷蔵室104を冷却するためにダンパ145が開放動作する(ステップ2)。このとき、野菜室107には、冷蔵室104を冷却した後の乾燥空気である比較的乾燥した空気が野菜室107用の吐出口124より入り込む。この乾燥空気により霧化電極135に過剰に結露した水滴を乾燥させるすなわち乾燥手段によって霧化部139の乾燥が行われている。本発明では、乾燥空気とは霧化部139が備えられた貯蔵室の空気よりも乾燥している空気のことを指す。例えば、冷蔵室104を冷却した後の冷気の場合では、一般的に温度が3℃、相対湿度(ある温度で大気中に含まれる水蒸気の量(重量絶対湿度)を、その温度の飽和水蒸気量で割ったもの)が30%程度であり、その絶対湿度(乾き空気の単位重量に含まれる水蒸気の量を重量で示したもの)は0.00140kg/kgと極めて水分量の少ない乾燥空気である。これに対して、霧化部139の近傍の空気(冷気)は温度が1℃、相対湿度は80〜100%程度であるので、例えば相対湿度100%の時の絶対湿度は0.00406kg/kgと考えられる。
よって、霧化部139近傍に上記のような乾燥空気が流入すると、霧化電極近傍の絶対湿度が低下し、霧化電極に付着した水滴は、その界面を平衡状態にするため蒸発が促進される。乾燥手段として乾燥空気を用いる場合には、この絶対湿度の差が大きいほうがより乾燥が促進され、少なくとも乾燥空気に対する霧化部近傍の絶対湿度が2倍以上、望ましくは3倍以上あると、乾燥手段として乾燥空気を用いることが可能である。
この乾燥動作の間は、静電霧化装置131への高電圧印加をOFFさせておき、霧化部139への結露は行われてない(ステップ3)。また、設定温度が低い場合、冷蔵室104の冷却を抑制するため、ダンパ145を閉塞する(ステップ4)。このとき、野菜室107では、冷却空気が流入しないため、野菜室107に収納された野菜などからの蒸散により、高湿環境となり、この動作の間、静電霧化装置131への高電圧印加をONさせ(ステップ5)、霧化電極135が冷却されているため、先端に結露が生じ、霧化が開始されミスト噴霧が行われる。
このように、霧化部139は貯蔵室にミストを噴霧するミスト噴霧と、乾燥手段によって行われる乾燥とを繰り返して行うものであり、言い換えると霧化部がミスト噴霧を行う前には必ず乾燥手段によって霧化部の乾燥が行われるようにする。
これによって、霧化の前には必ず霧化部が乾燥しているので、過剰結露を防止し、より安定した噴霧量のミストを噴霧することができるので、庫内結露を防止しより保鮮性を向上させた使い勝手のよい冷蔵庫を提供することができる。
以上のように、霧化電極135の結露の状態により、静電霧化装置131への高電圧の印加ON/OFFを制御することにより、安定して、必要なときに霧化させることができる。また、消費電力を抑制することができる。
また、上段収納容器120には蓋122がその上方開口部を閉塞しており、収納食品に直接冷気があたり、乾燥することを防いでいる。また、下段収納容器119と上段収納65の前後方向での空間には、一般にPETボトル等の飲料が置かれることが多く、この部分には冷気が直接触れることになり、冷却スピードを確保している。
また、静電霧化装置131は霧化部139が露点温度よりも低くなるように冷却されており、霧化部13に空気中の水分が結露するように構成している。この結露した水を霧化部139によって微細ミストに変えて、静電霧化装置131の下方に位置する下段収納容器119と上段収納容器120の間隙から収納容器内部に拡散していく。
また、野菜室用吐出口124から流入した冷気の一部は、下段収納容器119上段収納容器120との背面を通り野菜室用吸込口126から吐出される。野菜室用吐出口124から流入した乾燥空気である冷気はこの収納容器背面沿って下方に流れており、静電霧化装置131はこの野菜室用吸込口126と野菜室用吐出口124とを最短経路で結ぶ冷気流通経路内に配置されるので、野菜室用吐出口45から冷気が流入されている場合においては、乾燥手段である比較的乾燥した冷気である乾燥空気が霧化装置の周囲を流れることになる。
本実施の形態では、野菜室107内には、上下方向において野室用吐出口124と野菜室用吸込口126との間に静電霧化装置131が備えられており、野菜室107外から冷気吐出口である野室用吐出口124を通って冷気が流入し、冷気吸入口である野菜室用吸込口126を通って野菜室107外へと冷気が流出することで、野菜室107内には野菜室用吸込口126と野菜室用吐出口124とを最短経路で結ぶ冷気流通経路が形成され、野菜室107内を流れる冷気の量が多い冷気流通経路上に静電霧化装置131が備えられている。
これによって、野室用吐出口124から貯蔵室内に流入した冷気が野菜室用吸込口126を通って野菜室46外へと流れる冷気流通経路は流れている冷気の量が多い為に、比較的冷気の流速が早くなり、野室用吐出口124から貯蔵室内に流入した比較的乾燥した冷気(乾燥手段)によって静電霧化装置131の霧化部を乾燥させることができる。
さらに、本実施の形態では、静電霧化装置131を備えた野菜室107において、冷気吐出口である野室用吐出口124は、静電霧化装置131より上方に配置されるとともに冷気吸込口である野菜室用吸込口126は静電霧化装置131より下方に配置され、野室用吐出口124と静電霧化装置131手段の上下方向の距離は、野菜室用吸込口126と静電霧化装置131との距離よりも短い位置に配置されている。言い換えると、静電霧化装置131は上下方向において、野菜室用吐出口124に近い上方側に配置されていることとなる。
このようにミスト噴霧装置を上下方向において冷気吐出口である野室用吐出口124に近い側に備えることで、ミスト噴霧装置67で発生させた微細ミストを野室用吐出口124から流入した多量の冷気の流れ上に乗せることができ、より効果的に霧化装置の霧化部を乾燥させることが可能となる。
また、静電霧化装置131を備えた野菜室107内において、静電霧化装置131は野菜室107の上下方向における中心線107a上もしくは上下方向における中心線107aよりも上方に配置されている。
これによって、冷たい空気は下方側へ流れる特性を生かし、より上方側からミスト噴霧装置67で発生させた微細ミストを野菜室107内を流れる冷気の流れに乗せることができ、野菜室107内を流れる冷気のより上流側に霧化装置を配置することによって、冷気吐出口である野室用吐出口124から流入した比較的乾燥した冷気が野菜室107内で高湿となる前に霧化装置周辺を流れることによって、乾燥した冷気をより有効な乾燥手段とすることができる。
また、静電霧化装置131は野菜室107の左右方向の中心線107bよりも野菜室用吸込口126側に配置されたものである。
これによって、左右方向においてより冷気の流れが多くなる野菜室用吸込口126側にミスト噴霧装置67を配置することで、流れている冷気の量が多い為に、比較的冷気の流速が早くなり、野室用吐出口124から貯蔵室内に流入している場合において、比較的乾燥した冷気(乾燥手段)によってより効率的に静電霧化装置131の霧化部を乾燥させることができる。
なお、本実施の形態1において、ダンパ145が開放しているときには、静電霧化装置131への高電圧の印加をOFFする制御で説明したが、本実施の形態1による制御に限らない。たとえば、外気温度を検知することにより、外気温度が比較的高温の場合は、ダンパ145の開放動作が比較的多くなるので、野菜室107が高湿になりにくくなることがある。この場合においては、高電圧の印加をONさせることで、より積極的に結露した水滴を霧化させる動作をさせる方が好ましい。また、外気温度が比較的低い場合には、ダンパ145は閉塞状態が多くなり、霧化電極135は過剰結露の状態に成りやすいので、圧縮機109の動作によって、高電圧の印加動作をさせ、静電霧化装置131の動作をさせることも可能である。
なお、本実施の形態1において、霧化電極135の過剰結露を乾燥させるための乾燥手段は乾燥空気を利用したもので説明したが、静電霧化装置131の背面に過剰結露防止用の加熱手段であるたとえばヒータなどを乾燥手段として用いることもでき、例えば、低外気温時や貯蔵室の冷却が必要無い場合等の乾燥空気が入ってきにくいような運転状態の場合であっても、運転状態に関わらず任意のタイミングで霧化部の乾燥を行うことができ、さらに霧化電極135の結露状態を安定的にすることも可能である。よって、乾燥手段として乾燥空気と加熱手段とを組み合わせて用いることで、より安定して霧化部の乾燥を行うことができ、過剰結露を防止することができる。
なお、本実施の形態1において、霧化電極135の乾燥にダンパ145を用いたもので説明したが、各貯蔵室を冷却させるために専用のファンで霧化部の乾燥を積極的に促進する手段を用いる場合もあり、このときはそのファンの動作によって、静電霧化装置131への高電圧印加制御を行うことも可能であり、同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態1では、冷却ピンを冷却するための風路は、冷凍室吐出風路としたが、製氷室の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でもかまわない。これにより、静電霧化装置の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態1では、静電霧化装置の霧化電極周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極近傍で生成された結露水を霧化電極周囲に保持することができるので霧化電極に適時に供給することができる。
なお、本実施の形態1において、冷蔵庫の貯蔵室は野菜室としたが、冷蔵室や切替室などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
なお、本実施の形態1では、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されるように説明したが、たとえば、霧化電極135には−4〜−10kV、対向電極136にはグランド(0V)の高電圧を印加することも可能である。この場合、発生した微細ミストに、より多くのOHラジカルなどが含まれ、これらの酸化力により、さらに野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することができると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが可能となる。
なお、本実施の形態1では、冷却手段に冷却器で生成された各貯蔵室を冷却するための冷気が流れる風路からの熱伝導を利用したが、ペルチェ素子を利用して冷却する手段も考えられる。この場合、乾燥手段として、実施の形態1と同様に乾燥空気を利用することも可能であるが、ペルチェ素子の特長を利用して、入力を反転することで冷却面を加熱面として動作させることが可能であるので、冷却ピンを加熱することにより乾燥をさせることができる。よって、結露と乾燥のサイクルをより安定して制御可能となる。
また、本実施の形態1においては、断熱区画された貯蔵室と、貯蔵室内にミストを噴霧させる静電霧化装置を備え、霧化部には高電圧を発生する電圧印加部に電気的に接続させる霧化電極と、霧化電極に対向する位置に配された対向電極と、霧化電極を露点温度以下にするための冷却手段を構成し、霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧することにより、貯蔵室内の余剰な水蒸気から容易に、かつ確実に霧化電極に結露させることができ、対向電極との間の高電圧のコロナ放電によってナノレベルの微細ミストが発生し、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、霧化電極と対向電極と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器内に微細ミストが噴霧しやすくなる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
また、噴霧されたミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率がよい。
さらに、霧化電極に貯蔵室内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することから貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプやキャピラリなどの送水手段も使用していないので、安価に構成することが可能となる。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、貯水タンクが不必要であり、また、入力も小さいので庫内の温度影響が少ない。さらに、庫内を高湿に保持するために過剰なミストを噴霧させないので、ケース内に過剰な結露を発生させることを抑制できる。
さらに、電圧印加部が収納されている部分についても奥面仕切り壁に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室内の温度影響を少なくすることができる。
また、本実施の形態1では、各貯蔵室を冷却するための冷却器と、冷却器と貯蔵室を断熱区画するための仕切り壁を備え、静電霧化装置は仕切り壁に取り付けたことにより、貯蔵室内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
また、本実施の形態1では、静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させる冷却手段は、熱伝導性のよい金属片であって、その金属片を冷却する手段は、冷却器で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導を用いることにより、断熱材の壁厚を調整することにより冷却ピンおよび霧化電極の温度を簡単に設定することができ、また、断熱材を挟むことにより冷温冷気の漏れがないのでケース外郭などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
また、本実施の形態1では、静電霧化装置が取り付けられている仕切り壁は、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに静電霧化装置の冷却手段である金属片が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、金属片を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
なお、微細ミスト発生時にオゾンも発生する。静電霧化装置のON/OFF運転により、貯蔵室内のオゾン濃度を調整することが出来る。オゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。ここで、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また、実施の形態2における他の実施形態や効果についても、実施の形態1と同様であるもしくは適用できるものについては省略する。
図5に示すように、野菜室107と製氷室106の温度帯を区切るために断熱性を確保した第1の仕切り壁123に静電霧化装置131は、組み込まれており、特に霧化部139である冷却ピン134部については、その断熱材が凹形状になっている。
以上のように構成された冷蔵庫100について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第1の仕切り壁123の厚さは、霧化電極135が熱的に直接的または間接的に固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。そのため、比較的低温である製氷室106からの熱伝導により冷却ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点温度以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
さらに、ここで、冷却ピン134は、比較的低温である製氷室106からの−15〜−20℃程度の冷気の熱伝導により常時冷却されているため、野菜室107内の環境により、過剰に結露していることがありえる。本実施の形態2において、野菜室107は冷蔵室104の戻り空気により冷却されている。冷蔵室104は、先述のようにダンパ145により目的温度帯になるように制御されている。すなわち、冷蔵室104が目的温度より高いとき、ダンパ145を開放し冷却する。その動作に応じて、野菜室107には冷蔵室104を冷却した後の比較的乾いた空気が冷蔵室104の戻り風路140を通して、野菜室107の吐出口124から流れ込み、野菜室107を冷却する。この乾いた空気を利用して、霧化電極135に過剰に結露した水滴を乾燥させて結露量を霧化可能な状態にする。
その制御動作については、実施の形態1と同様であるため、詳細は省略する。
ここでは図示しないが、庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点温度を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133により、この電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器119内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室107内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室107内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室107内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
現在、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されているものが主流になっている。
この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。
仮に、圧縮機109の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。このとき、奥面の仕切り壁111より、庫内へ冷媒が漏洩する可能性がある。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器112から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、静電霧化装置131を具備する野菜室107は、冷却器112より上方に設置されているため、漏洩しても野菜室107には漏洩することがない。
また、仮に野菜室107に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため貯蔵室下部に滞留する。よって、静電霧化装置131が貯蔵室天面に設置されているため、静電霧化装置131付近が可燃濃度になることは極めて低い。
以上のように、本実施の形態2は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態2の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態2の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態2のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
また、静電霧化装置を蒸発器より上方に配置していることから、イソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いて冷凍サイクルを構成した場合であって、かつ、冷媒が漏洩した場合も、空気より重いため冷媒が野菜室に充満することはないので安全である。
また、野菜室内においても静電霧化部を貯蔵室の上方に設置しているので、冷媒が漏洩しても、貯蔵室の下部に滞留するので着火することはない。
なお、貯蔵室内は冷媒配管等に直接面している部分がないので、冷媒が漏洩することはない。よって、可燃性冷媒に着火することはない。