請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室と、前記貯蔵室内にミストを噴霧させる霧化部とを有し、前記霧化部は、電位差を発生させる電圧印加部と、前記電圧印加部に電気的に接続された霧化電極と、前記霧化電極に接続された伝熱冷却部材を有し、前記霧化電極を露点以下にするための冷却手段は冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用い、前記冷却手段によって前記伝熱冷却部材を冷却することで間接的に前記霧化電極を露点以下に冷却し前記霧化電極に空気中の水分を結露させて貯蔵室にミストとして噴霧するものである。
これによって、霧化電極を直接冷却することなく、伝熱冷却部材を冷却することで間接的に霧化電極を冷却することができ、伝熱冷却部材が霧化電極よりも大きな熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極を冷却することができ、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、ミスト噴霧用の水を供給する為の除霜水ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路などの複雑な構成を要することなく、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を有効に用いることで、簡単な構成で貯蔵室へ微細ミストを供給することができる。
また、貯蔵室内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化電極に結露させることができ、霧化電極によってナノレベルの微細ミストが生成され、この微細ミストが霧化されて噴霧されることで野菜等の青果物の表面に均一に付着し、食品の保鮮性を向上させることができる。
また、発生した微細ミストに、オゾンやOHラジカルなどが含まれ、これらの酸化力により、野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することができると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、伝熱冷却部材は熱緩和部材を介して冷却手段によって冷却されるものである。
これによって、霧化電極を伝熱冷却部材で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化電極が極度に冷却されると、それに伴い、液滴の凍結による霧化不良もしくは結露量が多大となり霧化部の負荷の増大による霧化部への入力の増大、オゾンの発生、および液滴表面面積が大きくなり、それに伴い表面張力も大きくなり、静電気力による微細化ができず、霧化部の霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、熱緩和部材を介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明に加え、伝熱冷却部材は熱緩和部材を介して霧化電極の先端の反対側に位置する端部側から前記冷却手段によって冷却されるものである。
これによって、霧化電極を伝熱冷却部材で間接的に冷却するものにさらに熱緩和部材を介して二重構造で間接的に冷却するものにおいて、冷却手段によって霧化電極から最も距離の離れた遠い部分から冷却することとなり、伝熱冷却部材および熱緩和部材の大きな熱容量を持つ部材を冷却した上で、これらの部材によって霧化電極が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、伝熱冷却部材の両端の温度の異なる貯蔵室や風路、冷却室等の断熱性はその周辺の断熱部材によって確保できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却するための冷却器を収納する冷却室とを有し、霧化部は前記貯蔵室の冷却室側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却される冷気の中でも最も低温となる冷却室で生成され、ファン等により搬送される冷気もしくは冷気からの熱伝導を利用したパイプ等の部材を冷却手段とすることができる。このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材および霧化電極の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、貯蔵室内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は複数の貯蔵室を有し、霧化部を備えた貯蔵室の天面側には前記霧化部を備えた貯蔵室よりも低温に保たれた低温貯蔵室が備えられ、前記霧化部は前記霧化部を備えた貯蔵室の天面側の仕切り壁に取り付けたものである。
これによって、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で霧化部の伝熱冷却部材を介して霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、簡単な構成で霧化部を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
また、ミストを天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明に加え、霧化部が取り付けられている仕切り壁は、貯蔵室側の一部に凹部があり、前記凹部に伝熱冷却部材が挿入されるものである。
これによって、霧化電極を伝熱冷却部材で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材としての貯蔵室の仕切り壁を構成する断熱材を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材の厚みを調整することで霧化電極が適度に冷却されるように調整することができ、簡単な構成で霧化部を備えることができる。
また、前記凹部に伝熱冷却部材を挿入することで、霧化部がガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
また、貯蔵室の仕切り壁を挟んだ外側に霧化部が出っ張らないので、風路面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
また、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに霧化電極の冷却手段である伝熱冷却部材が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明に加え、冷蔵庫本体は、貯蔵室もしくは冷却室に冷気を搬送するための少なくとも1つの風路を有し、伝熱冷却部材を冷却する手段は、冷却室で生成された冷気を用いるものである。
これによって、霧化電極を伝熱冷却部材で間接的に冷却するものにさらに冷気を用いて間接的な熱伝導で冷却することで、比較的高い冷気においても霧化電極の冷却効率を向上させることができる。また、二重に間接的な熱伝導で冷却することで、霧化電極が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化電極が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部の負荷の増大による霧化部への入力の増大および霧化部の霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、冷却手段として特別な部品を追加する必要がないので、簡単な構成で霧化部を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明に加え、霧化電極を冷却する伝熱冷却部材は、熱伝導性のよい金属片であって、前記伝熱冷却部材を冷却する冷却手段は、冷却器で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導を用いるものである。
これによって、霧化電極を冷却する伝熱冷却部材を熱伝導性の良い部材で構成することで、霧化電極に直結する伝熱冷却部材は熱伝導性の良いもので構成することで、大きな熱容量の伝熱冷却部材で低温状態を安定的に保持しつつ、冷却手段の冷気を伝えやすいものとすることができる。さらに請求項2の発明のように、伝熱冷却部材は熱伝導性の良い部材で構成し、この伝熱冷却部材よりも熱伝導性の悪い熱緩和部材を組み合わせた二重構造にすることで、霧化電極が極度に冷却されることを防ぎながらも、安定的に伝熱冷却部材は冷却状態を維持することができ、こういった霧化部の適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明に加え、伝熱冷却部材は霧化電極と逆側に凸部を有する形状で、霧化部の中で前記凸部側の端部が冷却手段に最も近接するものである。
これによって、冷却手段によって霧化電極から最も距離の離れた遠い部分の伝熱冷却部材から冷却することとなり、大きな熱容量を持つ伝熱冷却部材の部材を冷却した上で、これらの部材によって霧化電極が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
さらに、凸部以外については、断熱性を確保することができるので、貯蔵室内の温度に大きな影響を与えることなく、凸部のみを冷却することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の発明に加え、伝熱冷却部材は霧化電極と逆側に凸部を有する形状で、前記凸部が仕切り壁の凹部に嵌めあわされるものである。
これによって、冷却手段によって霧化電極から最も距離の離れた遠い部分の伝熱冷却部材から冷却することとなり、大きな熱容量を持つ伝熱冷却部材の部材を冷却した上で、これらの部材によって霧化電極が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
さらに、前記凹部に伝熱冷却部材を挿入することで、霧化部がガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
また、貯蔵室の仕切り壁を挟んだ外側に霧化部が出っ張らないので、風路面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
また、貯蔵室側の一部に凹部があり、そこに霧化電極の冷却手段である伝熱冷却部材が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるのでケース内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明に加え、伝熱冷却部材を冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷却管からの熱伝導を用いるものである。
これによって、この冷却管の温度を調節することで、電極冷却部を任意の温度に冷却することができ、霧化電極を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の発明に加え、霧化部は、霧化電極と、前記霧化電極に対向する位置に配された対向電極とを備え、霧化電極と対向電極間に高圧電位差を発生させる電圧印加部を有したものである。
これによって、霧化電極近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部の精度を向上させることができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の発明に加え貯蔵室と、前記貯蔵室に備えられ基準電位部にアースされた保持部材とを有し、電圧印加部は霧化電極と前記保持部材との間に電位差を発生させるものである。
これにより、特に対向電極を持たなくても、貯蔵室側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図である。図2は本発明の実施の形態1の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図である。図3は本発明の実施の形態1の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
図において、冷蔵庫100の冷蔵庫本体である断熱箱体101は、主に鋼板を用いた外箱102と、ABSなどの樹脂で成型された内箱103と、外箱102と内箱103との間の空間に発泡充填される硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材とで構成され、周囲と断熱され、仕切り壁によって複数の貯蔵室に断熱区画されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に第二の貯蔵室としての野菜室107、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室108が配置される構成となっている。
冷蔵室104は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室107は冷蔵室104と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室108は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
切換室105は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室105は製氷室106に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
なお、本実施の形態では、切換室105を、冷蔵と冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室104と野菜室107、冷凍は冷凍室108に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でも構わない。
製氷室106は、冷蔵室104内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
断熱箱体101の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室101aを形成して、機械室101aに、圧縮機109、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機109を配設する機械室101aは、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。
手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体101の最上部の貯蔵室後方領域に機械室101aを設けて圧縮機109を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体101の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体101の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機109を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
野菜室107と冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、風路141と区画されており、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路141と、各貯蔵室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板161を備えている。冷却室110内には、冷却器112が配設されており、冷却器112の上部空間には強制対流方式により冷却器112で冷却した冷気を冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に送風する冷却ファン113が配置される。
また、冷却器112の下部空間には冷却時に冷却器112やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ114が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン115、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ116が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿117が構成されている。
野菜室107には、野菜室107の引き出し扉118に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器119と、下段収納容器119に載置された上段収納容器120が配置されている。
引き出し扉118が閉ざされた状態で主に上段収納容器120を略密閉するための蓋体122が野菜室上部の第一の仕切壁123及び内箱103に保持されている。引き出し扉118が閉ざされた状態で蓋体122と上段収納容器120の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器120の背面の左右下辺と下段収納容器119の境界部は、上段収納容器120が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
蓋体122と第一の仕切り壁123の間には、奥面仕切り壁111に構成された野菜室用吐出口124から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器119と第二の仕切り壁125との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面の奥面仕切り壁111の下部には、野菜室107内を冷却し熱交換された冷気が冷却器112に戻るための野菜室用吸込み口126が設けられている。
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、風路141や冷却室110を隔離し、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン134に固定されて接続している。
霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極接続部材であり、霧化電極135は冷却ピン134の一端のほぼ中心部に固定され、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
この電極接続部材である冷却ピン134は、例えば、直径10mm程度、長さが15mm程度の円柱形状で構成されており、直径1mm程度、長さが5mm程度であり、霧化電極135に比べて50倍以上1000倍以下、好ましくは100倍以上500倍以下の大きな熱容量を有するものである。このように、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して50倍以上好ましくは100倍以上の熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、この熱容量の上限値として、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して500倍以下好ましくは1000倍以下の熱容量を有することとしている。この上限値については、熱容量が大きすぎると冷却ピン134を冷やすために大きなエネルギを要することとなり、省エネルギで冷却ピンの冷却を行うことが困難となるが、このような上限値内に抑えることで、冷却手段からの熱変動負荷が変わった場合に霧化電極に大きな影響を緩和した上で、省エネルギで安定して霧化電極の冷却を行うことが可能となる。さらに、上記のような上限値内に抑えることで、冷却ピン134を介して霧化電極が冷却されるのに要するタイムラグを適正な範囲内に収めることができ、霧化電極の冷却すなわち霧化装置への水分供給を行う際の立ち上がりが遅くなることを防止し、安定した適性な霧化電極の冷却を行うことが可能となる。
また、素材はアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材152で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と冷却ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と冷却ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を冷却ピン134に圧入等により固定してもよい。
さらに、冷却ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材152内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、冷却ピン134の長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
なお、貯蔵室(野菜室107)に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にあり、その湿度が冷却ピン134に影響する可能性があるので、冷却ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択した方が好ましい。
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134の形状を円柱としたので、断熱材152の凹部111aに嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくても静電霧化装131を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間無く冷却ピン134を取り付けることができる。また、冷却ピン134の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置に静電霧化装置131を備えることができる。
さらに、冷却ピン134の中心軸上に霧化先端部である霧化電極135を取り付けることにより、冷却ピン134を取り付ける時、回転させても対向電極136と霧化電極135の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
伝熱冷却部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bに嵌めあわされている。
よって、伝熱冷却部材である冷却ピン134の背面側には凹部111aよりもさらに深い最深凹部111bが備えられており、断熱材152の冷却室110側、すなわち風路141側は断熱材152が野菜室107の背面側の奥面仕切り壁111における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材152を熱緩和部材として、背面から冷却室110の冷気が熱緩和部材である断熱材152を介して冷却ピン134を冷却するように設置されている。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導だけで霧化先端部である霧化電極135の結露に必要な冷却を行うことができ、結露生成を行うことが可能となる。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン134は霧化先端部である霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接するため、冷却ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
また、霧化電極135に対向している位置で貯蔵室(野菜室107)側にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口132が構成されている。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、一般に10年以上の長期間に渡って運転することになるので、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
本実施の形態では、電圧印加部133を静電霧化装置131内に設置しており、貯蔵室(野菜室107)内の低温高湿雰囲気なるため、電圧印加部133の基板表面上には、防湿のためのボールド材やコーティング材を塗布している。
ただし、電圧印加部133を貯蔵室外の高温部に設置した場合には、コーティングを行わなくてもよい。
なお、静電霧化装置131を固定している奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室(野菜室107)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体101)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体101)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体101)の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機109への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器112に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン113の動作により搬送する冷凍室吐出風路141などの各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器112内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室110内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温の冷気は冷却ファン113から冷蔵室104、切換室105、製氷室106、野菜室107、冷凍室108に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室107は、冷気の配分や加熱手段154などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段を持たないものが多い。
野菜室107は、冷蔵室104を冷却した後、その空気を冷却器112に循環させるための冷蔵室戻り風路140の途中に構成された野菜室用吐出口124から野菜室107に吐出し、上段収納容器120や下段収納容器119の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込み口126から再び冷却器112に戻る。
奥面仕切り壁111の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン134の後方は最深凹部111bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。本実施の形態の冷蔵庫100においては、この程度の厚みが冷却ピン134と冷却手段との間に位置する熱緩和部材として適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁111は凹部111aが構成され、この凹部111aの最背面の最深凹部111bに冷却ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
冷却ピン134背面にある冷凍室吐出風路141には、冷却システムの運転により冷却器112で生成し、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、野菜室107の温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
水滴が付着した霧化先端部である霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化先端部である霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると、霧化電極135先端に付着した結露水は、霧化電極135と対向電極136間の空気絶縁層が破壊され、静電気力で放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極136がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室(野菜室107)に向けて、微細ミストが噴霧される。
なお、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流が流れない。
また、霧化先端部である霧化電極135を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却することで間接的に霧化電極135を冷却することができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134が霧化電極135よりも大きな熱容量を有するようにすることで、霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極135を冷却することができ、また、蓄冷の役割を果たすことにより霧化電極135の急激な温度変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
このように霧化先端部である霧化電極135を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却することで間接的に霧化電極135を冷却することができ、伝熱冷却部材が霧化電極135よりも大きな熱容量を有するようにすることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化先端部である霧化電極135を冷却することができ、霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
このように、霧化電極135に対向する位置に対向電極136を備え、霧化電極135と対向電極136間に高圧電位差を発生させる電圧印加部133を有することで、霧化電極135近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部139の精度を向上させることができ、信頼性の高い静電霧化装置131を提供することができる。
さらに、伝熱冷却部材である冷却ピン134は熱緩和部材(断熱材152)を介して冷却されるので、上記のように霧化電極135を冷却ピン134で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である断熱材152を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。
霧化電極135の温度が1K下がれば、その先端の水生成スピードは約10%程度上昇する。しかし、霧化電極135が極度に冷却されると結露スピードが急激になり、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結、霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の形状は、組み立て性を考慮すると円柱状が望ましい。正確には、直方体や正多角形体でもよいが、円柱の方が断熱材152の凹部111aに嵌め込むとき、静電霧化装置131を傾けながら取り付けることができる。逆に、多角形の場合は、円柱より位置決めがしやすい。
さらに、冷却ピン134の中心軸上に霧化電極135を取り付けることより、冷却ピン134を取り付ける時、回転させても対向電極136と霧化電極135の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
また、霧化先端部である霧化電極135を伝熱冷却部材(冷却ピン134)と熱緩和部材(断熱材152)とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134を熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン134は、霧化先端部である霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接するため、伝熱冷却部材である冷却ピン134の中でも霧化先端部である霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部139を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン134の霧化先端部である霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134bから冷却することで、冷却ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、冷却ピン134によって霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化部139が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室(野菜室107)側の一部に凹部111aがあり、この凹部111aに凸部134aを有した霧化部139が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室(野菜室107)の奥面仕切り壁111を構成する断熱材152を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材152の厚みを調整することで、霧化先端部である霧化電極135が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部139をより簡単な構成にすることができる。
また、凹部111aに冷却ピン134からなる凸部134aを有した霧化部139を挿入することで、霧化部139をガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室である野菜室107側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
また、貯蔵室である野菜室107の奥面仕切り壁111を挟んだ外側に霧化部139が出っ張らないので、冷凍室吐出風路141の風路断面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
また、野菜室107の一部に凹部111aがあり、そこに霧化部139が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材である冷却ピン134を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので、外郭ケース137内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、電極接続部材である冷却ピン134は、ある程度の熱容量を確保できており、冷却風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化先端部である霧化電極135の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化先端部である霧化電極135の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
さらに、良熱伝導性の冷却ピン134と断熱材152を組み合わせることにより、損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに冷却ピン134と霧化電極135の接合部の熱抵抗を抑えているので、霧化電極135と冷却ピン134の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
また、貯蔵室(野菜室107)が高湿環境下にあり、その湿度が伝熱冷却部材である冷却ピン134に影響する可能性があるので、冷却ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行っているので、さび等が発生せず、表面熱抵抗の増加が抑制され、安定した熱伝導が確保できる。
さらに、霧化先端部である霧化電極135表面がニッケルメッキや金メッキや白金メッキを用いているので、霧化電極135先端の放電による磨耗が抑制され、これにより、霧化電極135先端の形状が維持できるので、長期に噴霧することが可能となり、また、その先端の液滴形状も安定する。
霧化電極135から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、外郭ケース137に設けられた湿度供給口138より、新たに高湿な空気が外郭ケース137内の霧化電極135部に流入するため、連続して噴霧することができる。
霧化電極135で発生した微細ミストは、主に下段収納容器119内に噴霧されるが、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできる。
また、本実施の形態において、電圧印加部133は貯蔵室(野菜室107)内の比較的低温で高湿の位置に設置されており、電圧印加部133はポッチング材やコーティング材による防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。
なお、電圧印加部133を貯蔵室外に設置し場合は、上記対応を行わなくてもよい。
以上のように、本実施の形態1においては、断熱区画された貯蔵室(野菜室107等)と、貯蔵室(野菜室107)内にミストを噴霧させる静電霧化装置131(霧化部139)を備え、静電霧化装置131の霧化部139は、高電圧を発生する電圧印加部133に電気的に接続されミストが噴霧される霧化先端部(霧化電極135)と、霧化電極135に対向する位置に配された対向電極136と、霧化先端部(霧化電極135)に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン134)と、霧化電極135を空気中の水分が結露する温度である露点以下にするため伝熱冷却部材(冷却ピン134)を冷却する冷却手段を有し、冷却手段が伝熱冷却部材(冷却ピン134)を冷却することで間接的に霧化先端部(霧化電極135)を露点以下に冷却し、霧化先端部(霧化電極135)に空気中の水分を結露させて貯蔵室(野菜室107)にミストとして噴霧することにより、貯蔵室(野菜室107)内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化先端部(霧化電極135)に結露させることができ、対向電極136との間の高電圧のコロナ放電によってナノレベルの微細ミストが生成され、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
また、霧化電極135と対向電極136と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内に微細ミストをより精度良く噴霧することができる。
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
また、噴霧されたミストは直接、野菜室107の収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、保鮮の効率がよい。
さらに、霧化電極135に貯蔵室(野菜室107)内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することからミスト噴霧用の水を供給するための除霜ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路、貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプなどの送水手段等も使用しておらず、複雑な構成を要することなく、簡単な構成で貯蔵室(野菜室107)へ微細ミストを供給することができる。
このように簡単な構成で安定的に貯蔵室(野菜室107)へ微細ミストを供給することができるので、冷蔵庫100の故障の可能性を大幅に低減することができ、信頼性をより高めた上で冷蔵庫100の品質を向上させることができる。
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、超音波の周波数発信に伴う共振等の騒音、振動に対する考慮をしなくてもよい。
さらに、貯水タンクが不必要であるので、貯水タンクを使用した場合に必要な欠水による超音波素子破壊の対応のための水位センサなどを設けなくてよく、より簡単な構成で冷蔵庫に霧化装置を備えることが可能となる。
さらに、電圧印加部133が収納されている部分についても奥面仕切り壁111に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室(野菜室107)内の温度影響を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、各貯蔵室104,105,106,107,108を冷却するための冷却器112と、冷却器112を備えた冷却室110と貯蔵室(野菜室107)を断熱区画するための奥面仕切り壁111を備え、静電霧化装置131を奥面仕切り壁111に取り付けたことにより、貯蔵室(野菜室107)内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
また、本実施の形態では、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン134)は、熱伝導性のよい金属片であって、伝熱冷却部材(冷却ピン134)を冷却する冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導を用いることにより、熱緩和部材である奥面仕切り壁111の断熱材152の壁厚を調整することにより伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の温度を簡単に設定することができ、また、熱緩和部材である断熱材152を挟むことにより冷温冷気の漏れがないので外郭ケース137などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置131(の霧化部139)が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室(野菜室107)側の一部に凹部111aがあり、そこに静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン134)が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材(冷却ピン134)を確実に冷やすとともに、静電霧化装置131におけるそれ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので外郭ケース137内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
なお、本実施の形態における静電霧化装置131は、霧化先端部である霧化電極135と対向電極136との間に高電圧を印加するため、微細ミスト発生時にオゾンも発生するが、静電霧化装置131のON・OFF運転により、貯蔵室(野菜室107)内のオゾン濃度を調整することが出来る。オゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
なお、本実施の形態では、霧化電極135を基準電位側(0V)とし、対向電極136に正電位(+7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させたが、対向電極136を基準電位側(0V)とし、霧化電極135に負電位(−7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室(野菜室107)に近い対向電極135が基準電位側になるので、冷蔵庫の使用者の手が対向電極136に近づいても感電等を起こさない。また、霧化電極135を−7kVの負電位にした場合、貯蔵室(野菜室107)側を基準電位側とすれば、特に対向電極136を設けなくてもよい場合もある。
この場合は、例えば、断熱された貯蔵室(野菜室107)の中に導電性の収納容器を備え、その導電性の収納容器が収納容器の保持部材(導電性)と電気的に接続され、且つ保持部材と脱着可能な構成とし、保持部材を基準電位部と接続しアース(0V)にするのである。
これにより、霧化部139と収納容器および保持部材が常に電位差を保つため安定的な電界が構成されることにより、安定的に霧化部139から噴霧でき、また、収納容器全体が基準電位になっているので、噴霧されるミストを収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
このように、特に対向電極136を設けなくても、貯蔵室(野菜室107)側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極135と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段は、冷蔵庫100の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫100の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン134を任意の温度に冷却することができ、霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置131の霧化電極135周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極135近傍で生成された結露水を霧化電極135周囲に保持することができるので、霧化電極135に適時に供給することができる。
なお、本実施の形態において、静電霧化装置131(の霧化部139)でミストが噴霧される貯蔵室を野菜室107としたが、冷蔵室104や切換室105などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態2の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図4は本発明の実施の形態2の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、貯蔵室を風路156や冷却室110と隔離し、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成されている。ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、さらに冷却ピン134部の設置場所の冷却器112側をさらに凹部にすることによってできた貫通部111cに静電霧化装置131が設置されている。
このとき、伝熱冷却部材である冷却ピン134の一部は断熱材152を貫通し、低温風路156の一部に露出している。また、低温風路156は、冷却ピン134背面近傍で凸部、つまり断熱材凹部155が構成されており、風路が一部拡大している。
以上のように構成された冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
奥面仕切り壁111の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材152が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン134の後方の断熱材152の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。これにより、奥面仕切り壁111は貫通部111cが形成され、この箇所に静電霧化装置131が取り付けられている。
冷却ピン134は背面にある低温風路156に一部が露出している。冷却システムの運転により冷却器112で冷気を生成し、冷却ファン113により野菜室温度より低温の冷気が流れ、冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に冷却される。
このとき、低温風路156の断熱材凹部155近傍が拡大されるので風路抵抗が下がるので冷却ファン113の風量が増加し、冷却システム効率が向上する。
水滴が付着した霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133により、この電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
発生した微細ミストは、下段収納容器119内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器120にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。
一方、野菜室107内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
以上のように、本実施の形態においては、冷却器112と貯蔵室(野菜室107)を断熱区画するための奥面仕切り壁111の背面側には、貯蔵室もしくは冷却器112に冷気を搬送するための少なくとも1つの風路(低温風路156)と、貯蔵室や他の風路と熱影響がないよう断熱された断熱材152が備えられ、静電霧化装置131(の霧化部139)の霧化先端部である霧化電極135を冷却し、結露させる冷却手段(伝熱冷却部材)は、霧化先端部である霧化電極135に接続された熱伝導性のよい金属片からなる冷却ピン134であり、冷却ピン134を冷却する冷却手段は、冷却器112で生成された冷気を用いることにより、確実の霧化先端部である霧化電極135を冷却することができ、また、特に新たな冷却手段を用いていないので安価に簡単に構成することができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置131(の霧化部139)が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室(野菜室107)側の一部に凹部があり、断熱材凹部155によって奥面仕切り壁111に貫通部111cが形成され、この貫通部111cに伝熱冷却部材である冷却ピン134が挿入されることによって、奥面仕切り壁111に静電霧化装置131(霧化部139)が取り付けられている。
そして、貫通部111cに伝熱冷却部材である冷却ピン134が挿入され、伝熱冷却部材である冷却ピン134の一部が断熱材152を貫通し、低温風路156の一部に露出しているので、確実に金属片からなる伝熱冷却部材(冷却ピン134)を冷却することができ、また、低温風路156に断熱材凹部155が形成されて低温風路156の風路断面積が広がることにより風路抵抗が減少、もしくは同等になるので冷却量の低下を防ぐことができる。また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の低温風路156への露出表面積を調節することで、霧化先端部である霧化電極135の温度を容易に調整することができる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における冷蔵庫の野菜室上部の仕切壁の扉側の周辺部を左右に切断した場合の断面を示す要部縦断面図である。
図に示すように、野菜室107と製氷室106の温度帯を区切るために断熱性を確保した第一の仕切り壁123に静電霧化装置131は、組み込まれており、特に霧化部139の冷却ピン134部については、その断熱材が凹形状になっている。
本実施の形態における冷蔵庫100の冷蔵庫本体(断熱箱体101)は複数の貯蔵室を有し、静電霧化装置131(の霧化部139)を備える野菜室107の天面側には霧化部139を備える野菜室107よりも低温に保たれた低温貯蔵室(製氷室106)が備えられ、静電霧化装置131(の霧化部139)が、静電霧化装置131(の霧化部139)を備える野菜室107の天面側の第一の仕切り壁123に取り付けられている。第一の仕切り壁123は、野菜室107側に凹部123aを有し、凹部123aに伝熱冷却部材である冷却ピン134が挿入されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131(の霧化部139)が設置されている第一の仕切り壁123の厚さは、霧化先端部である霧化電極135が固定されている伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。そのため、野菜室107より比較的低温である製氷室106からの熱伝導により冷却ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部、霧化電極温度および湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室107内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。
よって、噴霧された微細ミストは野菜室107内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室107内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
現在、冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されているものが主流になっている。
この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。
仮に、圧縮機109の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。このとき、奥面仕切り壁111より、庫内へ冷媒が漏洩する可能性がある。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器112から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、静電霧化装置131を具備する野菜室107は、冷却器112より上方に設置されているため、漏洩しても野菜室107には漏洩することがない。
また、仮に冷却器112から可燃性冷媒(イソブタン)が野菜室107に漏洩したとしても、可燃性冷媒(イソブタン)は空気より重いため貯蔵室(野菜室107)下部に滞留する。よって、静電霧化装置131が貯蔵室(野菜室107)天面に設置されているため、静電霧化装置131付近が可燃濃度になることは極めて低い。
以上のように、本実施の形態は、冷蔵庫本体(断熱箱体101)が複数の貯蔵室を有し、霧化部139を備えた貯蔵室である野菜室107の天面側には霧化部139を備えた貯蔵室である野菜室107よりも低温に保たれた低温貯蔵室である製氷室106が備えられ、霧化部139は野菜室107の天面側の第一の仕切り壁123に取り付けたのである。
これによって、霧化部139を備えた貯蔵室(野菜室107)の上部に冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室がある場合(本実施の形態では製氷室106)、それらを仕切る天面の第一の仕切り壁123に霧化部139を設置することで、野菜室107の上部の貯蔵室(製氷室106)の冷気で霧化部139の伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却することで霧化先端部である霧化電極135が冷却され、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、簡単な構成で霧化部を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
本実施の形態の冷蔵庫100は、貯蔵室(野菜室107)を区画するための仕切り壁(第一の仕切り壁123)と、貯蔵室(野菜室107)の天面側には貯蔵室(野菜室107)より低温の低温貯蔵室(製氷室106)が備えられ、静電霧化装置131は野菜室107天面の第一の仕切り壁123に取り付けたことにより、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が静電霧化装置131を備える貯蔵室(野菜室107)の上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁(第一の仕切り壁123)に設置され、その冷却源で伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して静電霧化装置131の霧化電極135を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器(下段収納容器119、上段収納容器120)全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部139は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びているため、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
また、静電霧化装置131を蒸発器(冷却器112)より上方に配置していることから、イソブタンやプロパンなどの可燃性冷媒を用いて冷凍サイクルを構成した場合であって、かつ、冷媒が漏洩した場合も、空気より重いため冷媒が野菜室107に充満することはないので安全である。
また、野菜室107内においても静電霧化装置131の霧化部139を貯蔵室(野菜室107)の上方に設置しているので、冷媒が漏洩しても、貯蔵室(野菜室107)の下部に滞留するので着火することはない。
なお、貯蔵室(野菜室107)内は冷媒配管等に直接面している部分がないので、冷媒が漏洩することはない。よって、可燃性冷媒に着火することはない。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態4の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図6は本発明の実施の形態4の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜3で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜3で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された貯蔵室(野菜室107)を区画する仕切りである奥面仕切り壁表面151と貯蔵室(冷凍室108)を冷却する冷気が通る風路141と貯蔵室を断熱区画するための断熱材152とを備えている。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110を隔離するための仕切り板161を備えており、また、野菜室107側の奥面仕切り壁表面151と冷凍室吐出風路141の間には、断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成され、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室(野菜室107)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に凹部111aを設け、その箇所に静電霧化装置131が埋設されている。
静電霧化装置131は、霧化部139に備えられた霧化先端部である霧化電極135を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部139周辺の空気中の水分を霧化電極135に結露させて生成した結露水をミストとして噴霧させるものである。
この結露を行う際に、本実施の形態では、冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気を冷却手段とし、また霧化先端部である霧化電極135を直接冷却するのではなく、霧化電極135よりも大きな熱容量を有する伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して霧化電極135を冷却しているものである。
この伝熱冷却部材である冷却ピン134の背面側すなわち冷却室110側の断熱材152は、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するために(実施の形態1で説明した図3のように)薄く形成されることが望ましいが、発泡スチロール等の成型において、極端な薄肉部を設けると、薄肉部の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、冷却ピン134の背面近傍の断熱材152に突起部162を設けることにより、平面部に比べて冷却ピン134周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
さらに、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にしている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱冷却部材である冷却ピン134は熱緩和部材である断熱材152を介して冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を冷却ピン134で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である断熱材152を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い霧化部139への結露量が多大となり、霧化の際の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結などによる霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化先端部である霧化電極135を、伝熱冷却部材(冷却ピン134)と熱緩和部材(断熱材152)とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段(冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気)の温度変化が、霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化先端部である霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン134は霧化先端部である霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接するため、冷却ピン134の中でも霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように野菜室107に露出する部分では霧化先端部である霧化電極135のみを熱伝導で冷やすため、霧化電極135で、結露生成、ミストの発生ができ、その他の箇所については断熱性を確保していることにより、例えば、外郭ケース137の結露などを防止している。
さらに静電霧化装置131と冷凍室吐出風路141の間は、連通している箇所がないので低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部139を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、霧化部139が取り付けられている奥面仕切り壁111は、貯蔵室(野菜室107)側の一部に凹部111aがあり、この凹部111aに凸部134aを有した霧化部139が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室(野菜室107)の奥面仕切り壁111を構成する断熱材152を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材152の厚みを調整することで霧化先端部である霧化電極135が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部139をより簡単な構成にすることができる。
また、奥面仕切り壁111の背面側に備えられた冷凍室吐出風路141では、一部円錐状の突起部162が断熱材152で形成されるものの冷気の流れ方向に対して、抵抗にならないように緩やかな斜面で形成されているので冷却能力劣化を防止しているとともに冷却ピン134に対しては熱伝導面積が増加しているので冷却ピン134に対する冷却効率が向上している。
このように、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134の背面近傍の奥面仕切り壁111の断熱材152に、冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における冷却ピン134側の面を平面にした場合に比べて、冷却ピン134周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた場合でも、伝熱冷却部材である冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却効率を低下させることなく冷却ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、冷却ピン134が側壁の外周から均一に冷却されることで、伝熱冷却部材である冷却ピン134をムラなく冷却でき、伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、電極接続部材(伝熱冷却部材)である冷却ピン134は、ある程度の熱容量を確保できているので冷却風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化先端部である霧化電極135の温度変動を抑制することができ、また蓄冷の働きを有することになるので、霧化先端部である霧化電極135の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、噴霧する野菜室107全体へ到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に付着しやすく、これにより野菜表面の湿度が上昇、また、表面から水分を細胞内へ浸透させることができるので保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化先端部である霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態4においては、霧化部139の凸部134aである冷却ピン134背面の断熱材152について、冷凍室吐出風路141に突出する円錐状の突起部162を設けることにより、断熱壁152の剛性を向上させることで断熱材152の成型を容易にすることができ、また、冷凍室吐出風路141の流路抵抗を最小限に抑えることで、伝熱冷却部材である冷却ピン134への冷却能力を確保することができる。
また、本実施の形態では、断熱材152の壁厚を確実に確保することにより野菜室107と隣接する別区画の冷凍室吐出風路141との間に冷温冷気の漏れがないので外郭ケース137などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するための冷却手段としての風路を、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室108戻り風路などの低温風路でも構わない。また、風路に限らず野菜室107よりも低温の貯蔵室内の冷気を用いても良い。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段は、冷蔵庫の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン134を任意の温度に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段は、低温冷気としたが、ペルチェ効果を用いたペルチェ素子を補助部品として用いてよく、この場合、ペルチェへの供給電圧により霧化電極135先端の温度を極めて細かい温度で制御できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置131の外郭ケース137と断熱材152の凹部111aの間には、緩衝材を用いていないが、冷却ピン134への湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置131の外郭ケース137もしくは断熱材152の凹部111aに構成すると、なお望ましく、これにより、冷却ピン134への湿度流入を防止でき、断熱材152に結露することを防止できる。
なお、本実施の形態では、霧化先端部である霧化電極135周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極135近傍で生成された結露水を霧化電極135周囲に保持することができるので、霧化電極135に適時に供給することができる。さらに、野菜室107内に保水材や密閉化手段を講じることにより、高湿度を維持することもできる。
なお、本実施の形態において、静電霧化装置131(の霧化部139)でミストが噴霧される貯蔵室を野菜室107としたが、冷蔵室104や切換室105などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
(実施の形態5) 本発明の実施の形態5における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図7は本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜4で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜4で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、奥面仕切り壁表面151と冷凍室吐出風路141の間の断熱性を確保するために発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成されている。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110を隔離するための仕切り板161を備えており、また、野菜室107側の奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室(野菜室107)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は霧化部139に備えられた霧化先端部である霧化電極135を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部139周辺の空気中の水分を霧化先端部である霧化電極135に結露させて生成した結露水をミストとして噴霧させるものである。
この結露を行う際に、本実施の形態では、冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気を冷却手段とし、また、霧化先端部である霧化電極135を直接冷却するのではなく、霧化電極135よりも大きな熱容量を有する伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を冷却しているものである。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン134に固定されて接続し、また、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
この電極接続部材(伝熱冷却部材)である冷却ピン134は、霧化先端部である霧化電極135に比べて、50倍以上1000倍以下、好ましくは100倍以上500倍以下の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材152で覆われていることが望ましい。
このように、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して50倍以上好ましくは100倍以上の熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、この熱容量の上限値として、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して500倍以下好ましくは1000倍以下の熱容量を有することとしている。この上限値については、熱容量が大きすぎると冷却ピン134を冷やすために大きなエネルギを要することとなり、省エネルギで冷却ピンの冷却を行うことが困難となるが、このような上限値内に抑えることで、冷却手段からの熱変動負荷が変わった場合に霧化電極に大きな影響を緩和した上で、省エネルギで安定して霧化電極の冷却を行うことが可能となる。さらに、上記のような上限値内に抑えることで、冷却ピン134を介して霧化電極が冷却されるのに要するタイムラグを適正な範囲内に収めることができ、霧化電極の冷却すなわち霧化装置への水分供給を行う際の立ち上がりが遅くなることを防止し、安定した適性な霧化電極の冷却を行うことが可能となる。
この伝熱冷却部材である冷却ピン134が備えられる貫通部165は、発泡スチロール等の成型において、本実施の形態のような貫通孔を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134が備えられる貫通部165近傍の奥面仕切り壁111の断熱材152に、冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における冷却ピン134側の面を平面にした場合に比べて、貫通部165周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
さらに、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にしている。
この際、冷却ピン134を直接風路(冷凍室吐出風路141)内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性がある。
そこで、冷却ピン134の背面近傍の断熱材に孔(貫通部165)を設け、そこに冷却ピン134を挿入し、その周囲に断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された冷却ピンカバー166を設置することにより、断熱性を確保する。
また、冷却ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
なお、図示はしないが、孔(貫通部165)と冷却ピンカバー166に緩衝材を設け、シール性を確保すると、より冷凍室吐出風路141からの冷気が冷却ピン134の周囲に侵入することをより効果的に防止することができる。
さらに、貫通部165の開口部167に、図示はしないが、テープなどを貼付することにより冷気の遮断を行うと、さらに効果的である。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱冷却部材である冷却ピン134は冷却ピンカバー166を介して冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を冷却ピン134で間接的に冷却するものに、さらに、熱緩和部材である冷却ピンカバー166を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されると、それに伴い結露量が多大となり霧化部139の負荷の増大による静電霧化装置131への入力の増大および霧化部139の凍結などによる霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部139の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化先端部である霧化電極135を、伝熱冷却部材である冷却ピン134と熱緩和部材(冷却ピンカバー166、断熱材152)とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が、霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極135の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
また、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路141)からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン134は、霧化電極と逆側に凸部134aを有する形状をしているので、霧化部139の中で凸部134a側の端部134bが冷却手段に最も近接するため、冷却ピン134の中でも霧化先端部である霧化電極135から最も遠い端部134b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
このように、本実施の形態では、貫通部165近傍の断熱材152に冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、貫通部165周辺の剛性を高めた場合でも、冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却効率を低下させることなく冷却ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、伝熱冷却部材である冷却ピン134が側壁の外周から均一に冷却されることで、冷却ピン134をムラなく冷却でき、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、断熱材152の冷却ピン134背面の一部のみ貫通孔である貫通部165を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに、本実施の形態の構成では、冷却ピンカバー166の背面側の冷却手段(低温の冷気)と接する部分が熱緩和部材となるので、熱緩和部材の熱緩和の状態は冷却ピンカバー166の冷気と接する部分の厚みを変えることによって調整することができるので、容易に伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却状態を変えられることができ、例えば様々な貯蔵容量の冷蔵庫に適用する場合でも、それぞれの冷却負荷によって冷却ピンカバー166の厚みを変えることで、対応することができる。
さらに冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部はテープなどにより隣接する区画からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134b側から冷却することで、冷却ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、伝熱冷却部材である冷却ピン134によって霧化先端部である霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
発生した微細ミストは、野菜室107内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、野菜室107内全体に微細ミストは到達する。
また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、噴霧する野菜室107全体へ到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
また、本実施の形態のように、霧化先端部である霧化電極135を冷却することで空気中の水分を結露させた結露水をミスト噴霧に用いる場合に、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れて空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流が流れないが、この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態5においては、霧化部139の凸部134aである冷却ピン134の構成について、断熱材152に貫通孔である貫通部165を設け、その箇所に冷却ピン134を挿入し、その周囲に冷却ピンカバー166を設けることにより、伝熱冷却部材である冷却ピン134への冷却能力を確保しつつ断熱材152の成型を容易にすることができる。
また、このように伝熱冷却部材である冷却ピン134の側面および背面部を一体成型された冷却ピンカバー166で覆うことによって、背面部に配置されたである冷凍室吐出風路141からの冷気が冷却ピン134の周囲に侵入することをより効果的に防止している。
また、本実施の形態5においては、冷却ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより貫通孔(貫通部165)と冷却ピンカバー166間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
また、本実施の形態5においては、貫通孔(貫通部165)の開口部167にテープなどの遮蔽物を設置していないが、設置してもよい。これにより、さらに、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室108戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段を、冷蔵庫100の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫100の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン134を任意の温度に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段は、ペルチェ効果を用いたペルチェ素子を補助部品として用いてよく、この場合、ペルチェへの供給電圧により霧化電極135先端の温度を極めて細かい温度で制御できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置131の外郭ケース137と断熱材152の凹部111aの間には、緩衝材を用いていないが、冷却ピン134への湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置131の外郭ケース137もしくは断熱材152の凹部111aに構成しても構わない。これにより、冷却ピン134への湿度流入を防止でき、断熱材152に結露することを防止できる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態6の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図8は本発明の実施の形態6の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜5で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜5で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、奥面仕切り壁表面151と冷凍室吐出風路141の間の断熱性を確保するために発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成されている。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板161を備えており、また、野菜室107側の奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室(野菜室107)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133、外郭ケース137で構成され、外郭ケース137の一部には、噴霧口132と湿度供給口138が構成されている。
静電霧化装置131は、霧化部139に備えられた霧化先端部である霧化電極135を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部139周辺の空気中の水分を霧化電極135に結露させて生成した結露水をミストとして噴霧させるものである。
この結露を行う際に、本実施の形態では、冷凍室吐出風路141を流れる低温冷気を冷却手段とし、また、霧化先端部である霧化電極135を直接冷却するのではなく、霧化電極135よりも大きな熱容量を有する伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を冷却しているものである。
霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン134に固定されて接続し、また、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
この電極接続部材(伝熱冷却部材)である冷却ピン134は、霧化電極135に比べて50倍以上1000倍以下、好ましくは100倍以上500倍以下の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材152で覆われていることが望ましい。
このように、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して50倍以上好ましくは100倍以上の熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、この熱容量の上限値として、冷却ピン134の熱容量は霧化電極135の熱容量に対して500倍以下好ましくは1000倍以下の熱容量を有することとしている。この上限値については、熱容量が大きすぎると冷却ピン134を冷やすために大きなエネルギを要することとなり、省エネルギで冷却ピンの冷却を行うことが困難となるが、このような上限値内に抑えることで、冷却手段からの熱変動負荷が変わった場合に霧化電極に大きな影響を緩和した上で、省エネルギで安定して霧化電極の冷却を行うことが可能となる。さらに、上記のような上限値内に抑えることで、冷却ピン134を介して霧化電極が冷却されるのに要するタイムラグを適正な範囲内に収めることができ、霧化電極の冷却すなわち霧化装置への水分供給を行う際の立ち上がりが遅くなることを防止し、安定した適性な霧化電極の冷却を行うことが可能となる。
また、凹部111aの背面側に貫通部165が設けられ、伝熱冷却部材である冷却ピン134の凸部134aがこの貫通部165に備えられている。
この伝熱冷却部材である冷却ピン134が備えられる貫通部165は、発泡スチロール等の成型において、本実施の形態のような貫通孔を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、貫通部165近傍の断熱材152に冷凍室吐出風路141に突出し先端が仕切り板161に接触する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における冷却ピン134側の面を平面にした場合に比べて、貫通部165周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって冷却ピン141を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
伝熱冷却部材である冷却ピン134を直接風路(冷凍室吐出風路141)内に設置すると、冷却過多になり霧化先端部である霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性がある。
そこで、霧化先端部である霧化電極135の背面の断熱材152に貫通孔165を設け、貫通部165近傍の断熱材152に冷凍室吐出風路141に突出し先端が仕切り板161に接触する突起部162を設け、貫通孔165に冷却ピン134を挿入し、断熱性を確保することで、冷却ピン134が直接冷却手段に接せず熱緩和部材である断熱材152と仕切り板161を介して接することになる。
この時、略円柱状の冷却ピン134の側面側がすべて断熱材152で覆われている構成となる。
また、貫通部165の開口部167は、冷凍室吐出風路141と冷却室110を仕切る仕切り板161により風路と遮蔽され、シール性を確保している。
貫通孔(貫通部165)の開口部167に図示はしないが、テープなどを貼付することにより冷気の遮断を行ってもよい。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
伝熱冷却部材である冷却ピン134は、断熱材152の突起部162を介して側面側から冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を冷却ピン134で間接的に冷却するものに、さらに、断熱材152の突起部162を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。
また、円柱状の冷却ピン134の周囲を断熱材152が円錐状に囲っており、最も断熱壁が薄い側が霧化電極135から最も遠い側であるので、冷却ピン134の側面外周部の特に開口部167近傍に位置する部分を最も強く、他の部分も側壁の外周面から均一に冷却することが可能となる。
また、冷却ピン134の風路(冷凍室吐出風路141)側の端面は仕切り板161で風路(冷凍室吐出風路141)と遮蔽されており、さらに突起部162の端面をある程度距離を確保し、仕切り板161を圧接させることにより、沿面距離を確保することで、さらに、冷気が伝熱冷却部材である冷却ピン134に直接当たることを防止している。また、これにあわせてテープなどを端面には貼付し、シール性を向上させてもよい。このように貫通孔165の開口部167を仕切り板161に固定することによって、外気温度や庫内温度、霜取り制御等で温度変化が大きい冷蔵庫100において、熱変形が生じた場合でも、より確実に冷却ピン135および霧化部139を固定することができる。
また、断熱材152の冷却ピン134背面の一部のみ貫通孔165を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに冷却ピン134と貫通孔165の間には隙間がなく、また貫通孔165の開口部167はテープなどにより冷気を遮断しているのでいので、連通している箇所がなく、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
さらに、奥面仕切り壁111を薄型化でき、庫内の収納量をさらに大きくできる。
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン134の霧化電極135から最も距離の離れた遠い部分である端部134bが最も強く冷却されることで、冷却ピン134の大きな熱容量を冷却した上で、伝熱冷却部材である冷却ピン134によって霧化先端部である霧化電極135が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化先端部である霧化電極135に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
また、霧化装置を静電霧化装置131としたことで、発生した微細ミストは、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、噴霧する野菜室107全体へ到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
ここで、霧化電極135に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象がおこらない。これにより霧化電極135と対向電極136間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫100の制御手段146で検知することにより電圧印加部133の高圧をON/OFFすることもできるので、庫内への熱負荷の抑制と省エネルギが図れる。
以上のように、本実施の形態6においては、霧化部139の凸部134aである冷却ピン134と断熱材152および冷却室110の構成について、断熱材152に貫通孔165を設け、その箇所に冷却ピン134を挿入し、冷却ピン134の端面を仕切り板161で覆うことにより、伝熱冷却部材である冷却ピン134は、断熱材152の突起部162と仕切り板161を介して冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を伝熱冷却部材である冷却ピン134で間接的に冷却するものにさらに、断熱材152の突起部162を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135が極度に冷却されることを防ぐことができる。また、冷却ピン134の風路(冷凍室吐出風路141)側の端面は仕切り板161で風路(冷凍室吐出風路141)と遮蔽されており、さらに突起部162の端面をある程度距離を確保し、仕切り板161を圧接させることにより、沿面距離を確保することで、さらに、冷気が冷却ピン134に直接当たることを防止している。
また、本実施の形態のように霧化部139の背面の断熱材152に貫通孔165を設ける場合に、霧化部139の一端を霧化部139が備えられる貯蔵室の壁面に加えて、風路を介した仕切り板161に当接させ固定していることで、冷蔵庫内の温度変化によって断熱壁である断熱材152が熱収縮や熱膨張によって多少変形した場合でも、より精度よく霧化部139を固定することができるので、断熱材152に貫通孔165を設けることで貯蔵室内の冷気の漏れ等による品質劣化を防ぐことができ、長期間の使用を前提とする冷蔵庫においても、十分に信頼性の高い霧化部139を備えた貯蔵室を提供することが可能となる。
これにより、冷却ピン134の過冷を防止し、また、冷気漏れなどによる貯蔵室(野菜室107)の過冷や結露を防止できる。
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134の背面近傍の奥面仕切り壁111の断熱材152に、冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における冷却ピン134側の面を平面にした場合に比べて、冷却ピン134周辺の剛性を高めた上で、伝熱冷却部材である冷却ピン134を側面側から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却効率を低下させることなく冷却ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので冷凍室吐出風路141の風路抵抗の増加を抑制すると共に、冷却ピン134が側壁の外周から均一に冷却されることで、冷却ピン134をムラなく冷却でき、伝熱冷却部材である冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、突起部162の形状を円柱状としても良く、その場合には冷却ピン134の側面から均一に冷却ピン134を冷却することができるので、よりムラなく冷却できる。
また、本実施の形態においては、貫通孔165の開口部167を仕切り板161に固定(圧接)することによって、外気温度や庫内温度、霜取り制御等で温度変化が大きい冷蔵庫100において、熱変形が生じた場合でも、より確実に冷却ピン135および霧化部139を固定することができる。
また、本実施の形態6においては、冷却ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより冷却ピン134と貫通孔(貫通部165)を密着させることができ、冷気もれを防止できる。また、本実施の形態6においては、貫通孔(貫通部165)の開口部167にテープなどの遮蔽物を設置していないが、設置してもよい。これによりさらに、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、静電霧化装置131の外郭ケース137と断熱材152の貫通孔165との間には、緩衝材を用いていないが、冷却ピン134への湿度侵入防止やがたつき防止のためウレタンフォームなどの緩衝材を静電霧化装置131の外郭ケース137もしくは断熱材152の凹部111aや貫通孔165に構成しても、また、図7に示された実施の形態5のように冷却ピンカバーを設けても構わない。これにより、冷却ピン134への湿度流入を防止でき、断熱材152に結露することを防止できる。
(実施の形態7)
図9は本発明の実施の形態7における冷蔵庫の野菜室とその上部の仕切り壁の周辺部を左右に切断した場合の断面を示す要部縦断面図、図10は本発明の実施の形態7における冷蔵庫を図9のB−B線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図、図11は本発明の実施の形態7における冷蔵庫の野菜室の上部の仕切り壁を図10のC−C線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から6で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から6と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、冷蔵庫100の冷蔵庫本体である断熱箱体101は、主に鋼板を用いた外箱102と、ABSなどの樹脂で成型された内箱103と、外箱102と内箱103との間の空間に発泡充填される硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材とで構成され、周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。本実施の形態においては、野菜室107が冷蔵庫100の最下部に構成され、その上部に比較的低温の冷凍温度の温度設定を行っている冷凍室108がその上に構成され、その間を仕切り壁174で仕切り、貯蔵室として区画されている。
冷凍室108の背面には冷気を生成する冷却室110が設けられ、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路と、各室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁111が構成されている。
冷却室110の冷却器112で生成された冷気は、各室に冷却ファン113により搬送される。ここで本実施の形態の野菜室107は、上部の冷却器112で生成された冷気を直接もしくは他室で熱交換された戻り風路を利用して、野菜室吐出風路182を介して野菜室107に流れ、野菜室吸込み風路181から再び冷却器112に戻る。
野菜室107の上面には冷凍室108と区画するために仕切り壁174が構成されている。
仕切り壁174は、ABSなどの樹脂で構成された野菜室側仕切り板173と冷凍室側仕切り板172とその間に断熱性を確保するための発泡スチロールやウレタンなどで構成された断熱材171で構成されている。ここで、仕切り壁174の野菜室107側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部174aを設け、その箇所に静電霧化装置131とミスト風路177が設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、電圧印加部133で構成されている。霧化部139は、霧化電極135が設置され、霧化電極135はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極接続部材(伝熱冷却部材)である冷却ピン134に固定され、電気的にも電圧印加部133から配線されている一端を含め接続している。
この電極接続部材(伝熱冷却部材)である冷却ピン134は霧化電極135に比べて50倍以上、好ましくは100倍以上の大きな熱容量を有するものであり、例えば、アルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン134の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と冷却ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と冷却ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を冷却ピン134に圧入等により固定してもよい。
さらに、冷却ピン134は、貯蔵室と冷却器112もしくは風路を断熱するための断熱材内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下すると同時に仕切り壁174が厚くなり庫内収納量が減少する。
なお、貯蔵室(野菜室107)に設置された静電霧化装置131が高湿環境下にあり、その湿度が冷却ピン134に影響する可能性があるので、冷却ピン134は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択した方が好ましい。
伝熱冷却部材である冷却ピン134は、断熱材171の一部に設けられた凹部174aにはめ合わせられ断熱材171に固定され、霧化電極135は冷却ピン134とL字型に突起した形で取り付けられている。これは、庫内収納量を大きくするために仕切り壁174の薄型化に寄与している。
よって、伝熱冷却部材である冷却ピン134の霧化電極135の反対側の端面は、ABSやPPなどの樹脂で成型された冷凍室側仕切り板172に圧接され、その冷凍室108から冷凍室側仕切り板172を介し、熱伝導で霧化先端部である霧化電極135を冷却させ、その先端に結露させ、水を生成する。
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部139を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
また、霧化電極135に対向している位置にドーナツ円盤状の対向電極136が、霧化電極135の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上にミスト風路177が形成されている。
ミスト風路177は、野菜室107と冷凍室108を区画する仕切り壁174の凹部174aに設けられている。
仕切り壁174は、断熱性と庫内容量を確保するため一般に25mm〜45mmで構成されている。この凹部174aにミスト風路177を設ける。
ミスト風路177には、野菜室107から湿度を供給するための吸込み口183とミストを野菜室107へ噴霧するミスト吐出口176があり、このミスト吸込み口183から霧化部139に高湿な空気が流入し、霧化部139の霧化電極135は冷凍室から熱伝導で冷却ピンを介して冷却されているため、霧化電極135先端は結露する。
霧化電極135先端と対向電極136との間に高電圧を印加さえることによりミストを発生させる。
発生したミストは、ミスト風路177を通過して、ミスト吐出口176より野菜室107に噴霧される。
さらに、霧化部139と電気的に接続された電圧印加部133が構成され、高電圧を発生する電圧印加部133の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に配線、接続されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫100は、10年以上運転することになるので、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部133は、冷蔵庫本体(断熱箱体101)の制御手段146と通信、制御され、冷蔵庫100もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
なお、静電霧化装置131を固定している仕切り壁174には、風路内の結露を防止するためヒータ等の加熱手段178が設置されている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている仕切り壁174の断熱材171の厚さは、霧化電極135が固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている箇所の壁厚は他の部分より薄く構成されている。そのため、比較的低温である冷凍室からの熱伝導により伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却し、霧化先端部である霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、野菜室107の野菜容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室107内には青果物である野菜が収納されており、その中には緑の菜っ葉ものや果物等も保存されている。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室107内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態に復帰する。
また、発生した微細ミストは、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これらは強い酸化力を保持する。そのため、発生した微細ミストが野菜室内の脱臭や野菜表面を抗菌、殺菌することが出来ると同時に、野菜表面に付着する農薬やワックスなどの有害物質を酸化分解・除去することが出来る。
以上のように、本実施の形態7は、冷蔵庫本体(断熱箱体101)が複数の貯蔵室を有し、霧化部139を備えた貯蔵室である野菜室107の天面側には霧化部139を備えた貯蔵室である野菜室107よりも低温に保たれた低温貯蔵室である冷凍室108が備えられ、霧化部139は野菜室107の天面側の仕切り壁174に取り付けたのである。
これによって、霧化部139を備えた貯蔵室(野菜室107)の上部に冷凍室108や製氷室106のような冷凍温度帯の貯蔵室がある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁174に霧化部139を設置することで、上部貯蔵室(冷凍室108)の冷気で霧化部139の伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却し、霧化電極135が冷却され、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、簡単な構成で霧化部139を備えることができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部を実現することができる。
また、本実施の形態では、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室(野菜室107)の天面側には低温貯蔵室(冷凍室108)が備えられ、静電霧化装置131は天面の仕切り壁174に取り付けたことにより、冷凍室108や製氷室106のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁174に設置され、その冷却源で静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので野菜室107の収容容器(下段収納容器119、上段収納容器120)全体に拡散しやすい。
また、霧化部139を野菜室107の収納空間内に備えず、野菜室側仕切り板173の奥側に備えているので、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部139は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びているため、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器(下段収納容器119、上段収納容器120)内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極135先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
(実施の形態8)
図12は本発明の実施の形態8における冷蔵庫の超音波霧化装置周辺部の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から7で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1から7と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152で構成されている。また、冷凍室吐出風路141と冷却室110とを隔離するための仕切り板161を備えており、また、奥面仕切り壁表面151には、貯蔵室の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段154が奥面仕切り壁表面151と断熱材152の間に設置されている。
ここで、奥面仕切り壁111の貯蔵室内側の壁面の一部に凹部111aを設け、その箇所に霧化装置であるホーン型の超音波霧化装置200が設置されている。
このように、霧化装置である超音波霧化装置200は側壁の中でもヒータ等の加熱手段154を備える奥面仕切り壁111に備えられており、少なくとも超音波霧化装置200よりも下方側に加熱手段154が備えられているものとする。
超音波霧化装置200は、霧化部211であるホーン部201および冷却ピン205(伝熱冷却部材)と、電極部202,204、圧電素子203とで構成されたホーン型超音波振動子208とそれらを固定、囲う外郭ケース207、外郭ケースの備えられたミストを野菜室内に噴霧するための噴霧口209で構成されている。霧化先端部であるホーン部201は、切削加工や焼結加工等により底面部から先端部に向けて凸部状となっている。ホーン部201の先端部201aは、矩形もしくは円形上に加工され、その断面積比は約1/5以下でホーン部201の側面形状は圧電素子203の発振周波数に依存しており、ホーン部201、電極部202、圧電素子203、電極部204の順に一体的に形成され、各接続間にエポキシやシリコン系の接着剤で接着固定し、圧電素子203で発生する振動をホーン部先端201aで最大振幅となるように構成されている。
また、圧電素子、電極部はここでは図示しないが円筒系で構成さえており、その中心部は空洞である。ここに冷却ピンが構成され、ホーン部201と圧着、固定されている。
ホーン型超音波振動子208の外郭はシリコン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂等でコーティングがされている(図示せず)。
霧化先端部であるホーン部201は、熱伝導性の高い材質としており、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス等の金属が挙げられる。特に、軽量で、熱伝導性が高く、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点からするとアルミニウムを主成分とするもの選択することが好ましいが、冷蔵庫のような耐腐食性が必要でかつ長寿命化の配慮が必要なものにはSUS304やSUS316Lのようなステンレスを主成分とするものを選択すると、経年劣化が起こりにくく長期に渡る信頼性が確保できるためが望ましい。
噴霧口209は、外郭ケース207の一部に矩形や円形の孔が設けられ、霧化部211から液体が霧化発生する方向、つまりホーン部201の先端部201aと対向する部分の外郭ケース207に設けられている。
霧化装置である超音波霧化装置200は霧化部211に備えられた霧化先端部であるホーン201を冷却手段によって露点温度以下に冷却することで、霧化部周辺の空気中の水分をホーン部201に結露させて生成した結露水を先端部201aからミストとして噴霧させるものである。
また、扉開閉等で多湿状態が続き、ホーン部201に必要以上の結露水が供給された時、排水口138より排水する。この排水口138は、外郭ケース207内に溜まった水を外部へ排出する水抜き穴という機能に加え、外郭ケース207内へ冷気を取り入れる冷気供給口の機能も果たしている。
排水された結露水は、仕切り壁111の奥面仕切り壁表面151を沿い流れるが、ごく微量なため野菜室の対流や背面のヒータにより蒸発する。この時、壁面にヒータ等の加熱手段154が備えられていることで他の側面壁と比較して奥面仕切り壁111周辺は上昇気流が発生しやすい。よって、この奥面仕切り壁111に霧化部211が備えられ、さらに霧化部を収納する外郭ケース207の下面部に備えられている冷気供給口の機能を果たす排水口138から再高湿度の冷気が流れ込み、より結露を促進させることが可能になる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
野菜室107内の余分な水蒸気を奥面仕切り壁111の一部の設置された超音波霧化装置200の冷却ピン205は、野菜室よりも低温冷気が流れている冷凍室風路により冷却される。そして、冷却ピン205とホーン部201が圧着しているため熱伝導により霧化先端部であるホーン部201が冷却され、野菜室の高湿空気に含まれる水蒸気が低温化されたホーン部201に結露することで結露水が生成され、先端部201aに付着する。
この状態で高圧・発振回路に通電し、高電圧を所定の周波数(例えば80k〜210kHz)で発振させ、電極部202、電極部204に印加すると、圧電素子202は振動を起こし、供給された霧化部211の先端部201aに付着した水の表面にはキャピラリ波が発生し、先端の水は数μmから数十μmの微粒子化され、その振動方向にミストとして霧化される。その微粒子ミストは、噴霧口209を通過することで、ホーン部201の先端部201a以外から発生した粒子径の大きいミストは矩形や円形の噴霧口209の外周壁に衝突し、貯蔵室内へ噴霧されずケース内に残るので、比較的小さい粒子径のミストのみを分級し、微細ミストのみが貯蔵室である野菜室107へと噴霧される。
また、超音波霧化装置200を一定間隔、例えば1分間ON、9分間OFFのようなインターバルで通電し、霧化発生の霧化量を調整しながら野菜室107に噴霧し、野菜室107をすばやく加湿する。これにより、野菜室107は高湿化でき、野菜からの蒸散が抑えられるのと同時に、圧電素子203で発生する振動をホーン部201の先端部201aで最大振幅となるようにエネルギを集中していることから、圧電素子部203は1Wから2W程度の低発熱量に抑えられ、野菜室107への温度影響を軽減することができる。
圧電素子203を覆うコーティング材は平均10年程度の長期使用が前提となる冷蔵庫においてはコーディング材の劣化を防ぐため、超音波伝達時の振幅の増幅性能の点から柔軟性があるために繰り返し振動を受けても劣化しにくいシリコン樹脂を主成分とするもの選択することが好ましく、ホーン部201、電極部202、圧電素子部203、電極部204とのそれぞれの結合部における液体や水蒸気の侵入を防ぐとともに、接着剤の劣化を防ぐことで寿命信頼性の向上に寄与し、冷蔵庫に搭載した場合の実負荷に耐え得る構成となる。
なお、外郭ケース207とホーン型超音波振動子の隙間には、水漏れ防止や共振防止のためにパッキン材(図示せず)を用いてもよい。これにより、上記に記載したような液体や水蒸気の侵入をより確実に防ぐとともに騒音も低減できる。なお、具体的には、フッ素系のパッキン材を用いることにより寿命信頼性が向上する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された比較的高湿環境である野菜室と、野菜室に液体を噴霧するためのホーン型超音波霧化装置を備え、ホーン先端に結露水を生成するためホーン部に冷却ピンを設置することにより、先端に結露させ、それを直接噴霧させることにより野菜室内の品質を保持することができる。
なお、本実施の形態において、霧化させる液体は、静菌力、消臭力を持つ金属イオンを含む、例えば、亜鉛イオン水、銀イオン水、銅イオン水などでも構わない。これにより貯蔵室内に発生する菌の抑制効果を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、冷却ピン205を備える部分の断熱材152の形状は図12で示すものを例に挙げたが、冷却ピン205を配置する部分に関する形状は実施の形態1〜7で説明したような形状にしても同様の効果を奏するのは言うまでもない。
なお、本実施の形態においては、霧化装置は超音波霧化装置200としたが、実施の形態1〜7で説明した静電霧化装置や、それ以外のエジェクタ方式等の霧化装置であっても、空気中の水分を積極的に結露させた水を用いてミスト噴霧を行うものであれば、他の霧化装置であっても良く、上記実施の形態で説明した技術思想を適用することができる。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態9の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図13は本発明の実施の形態9の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜8で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜8で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に凹部および貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131が設置されている奥面仕切り壁表面151は、凸部191となっており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁表面の凸部191と断熱材152に挟まれた状態で設置されている。
奥面仕切り壁表面の凸部191には、静電霧化装置131に備えられた噴霧口132の延長線上に孔(噴霧口)192が備えられ、また、同様に静電霧化装置131の外郭ケースの一部に構成された湿度供給口138近傍に湿度供給口193が構成されている。
この冷却ピン134が備えられる貫通部165は、発泡スチロール等の成型において、2mm程度の薄肉部を設けると、断熱壁の剛性が低下し、強度不足や成型不良による割れ、穴あきなどの不具合が発生する可能性が高くなり、品質の劣化が懸念される場合がある。
そこで、本実施の形態では、冷却ピン134が備えられる貫通部165近傍の奥面仕切り壁111の断熱材152に、冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、冷凍室吐出風路141に突起部162を設けず冷凍室吐出風路141における冷却ピン134側の面を平面にした場合に比べて、貫通部165周辺の剛性を高めた上で、断熱材152の壁厚を確保してさらに剛性を高めた形状とした。また、突起部162によって冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができる構成とした。
さらに、風路抵抗の増加を抑制する目的で、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にしている。
この際、冷却ピン134を直接風路(冷凍室吐出風路141)内に設置すると、冷却過多になり霧化電極135の結露量が過多になるもしくは、凍結する可能性がある。
そこで、冷却ピン134の背面近傍の断熱材に孔(貫通部165)を設け、そこに冷却ピン134を挿入し、その周囲に断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された冷却ピンカバー166を設置することにより、断熱性を確保する。
また、冷却ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
なお、図示はしないが、孔(貫通部165)と冷却ピンカバー166に緩衝材を設け、シール性を確保することにより冷凍室吐出風路141からの冷気が冷却ピン134の周囲に侵入し、貯蔵室内に流入し、貯蔵室内を過冷、凍結状態になることを効果的に防止することができる。
この冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが奥面仕切り壁111の断熱材152の凹部111aより小さく、貫通部165なっている凹部に嵌めあわされ、貫通部165の冷凍室吐出風路141側の開口部167は、冷気遮断部材194としてアルミテープなどのテープを断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
開口部167に貼り付けたテープ194は、仕切り板161で圧接してもよく、これによりテープ194はがれにくい構成となる。さらに冷却室110から冷却ピン134の背面側134bから仕切り板161を介して冷熱を伝達している。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、冷却ピン134と冷却ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在してしまう。このように空隙186が存在すると、その部分が空気層となり、断熱性を持ってしまうため、冷却ピン134が冷えにくくなるために、その空隙196を埋める部材である空隙埋設部材197a,197b,197cとしてブチルや熱拡散コンパウンドのような熱伝導保持材が冷却ピン134と冷却ピンカバー166もしくは、冷却ピンカバー166とテープ184の間に埋設されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
冷却ピン134は冷却ピンカバー166を介して冷却されるので、霧化先端部である霧化電極135を冷却ピン134で間接的に冷却するものに、さらに、熱緩和部材である冷却ピンカバー166を介して二重構造で間接的に冷却するとき、冷却ピン134と冷却ピンカバー166の間、もしくは冷却ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、冷却ピン134が十分冷却できなくなり、冷却ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、上記空隙にブチルや熱拡散コンパウンドなどの空隙埋設部材197a,197b,197cで空隙196を埋めることによりテープ194から冷却ピンカバー166、冷却ピンカバー166から冷却ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
また、冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いて、冷凍室吐出風路141から断熱材152を介して冷却ピン134の側面から冷却するものと、冷却室110の仕切り板161、テープ194を介して熱伝導で冷却ピン134背面の端部134bより冷却することが可能である。
このように、本実施の形態では、貫通部165近傍の断熱材152に冷凍室吐出風路141に突出する突起部162を設けることにより、貫通部165周辺の剛性を高めた場合でも、冷却ピン134を側面側と背面側の両方から冷却することができるので、熱伝導のための表面積を増加させることができ、伝熱冷却部材である冷却ピン134の冷却効率を低下させることなく冷却ピン134周辺の剛性を高めることができる。
また、突起部162の外周面を先端に向かうほど細くなる円錐状の斜面にすることにより、冷気は、冷気の流れ方向に対して曲面である突起部162の外周をなめるように流れるので風路抵抗の増加を抑制すると共に、伝熱冷却部材である冷却ピン134が側壁の外周から均一に冷却されることで、冷却ピン134をムラなく冷却でき、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135を効率よく冷却することができる。
また、断熱材152の冷却ピン134背面の一部のみ貫通孔である貫通部165を設け、薄肉部が構成されていないので、発泡スチロールの成型が容易にでき、また、組み立て時の破損などの問題がない。
さらに冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する冷却ピンカバー166と冷却ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と冷却ピンカバー166の間に生じる空隙196についても同様に対応できる。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、奥面仕切り壁表面151に設置された孔(噴霧口)192より野菜室107内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、野菜室107内全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、仮に霧化電極135にて異常に結露が発生した場合でも、霧化電極135の下方に湿度供給口138が開口し、その延長線上に奥面仕切り壁表面151にも湿度供給口193が構成されているので、水が霧化部139に貯留され、異常が発生することはない。
以上のように、本実施の形態9においては、霧化部139の凸部134aである冷却ピン134の構成について、断熱材152に貫通孔である貫通部165を設け、その箇所に冷却ピン134を挿入し、その周囲に冷却ピンカバー166を設け、冷却ピンカバー166と冷却ピン134間の空隙196、もしくは貫通部165の開口部167に貼付されたテープ194と冷却ピン134の間の空隙196については、空隙埋設部材を埋設することにより、それら空隙196をなくし、冷却風路もしくは、冷却室110からの熱伝導を確保する。
また、貫通部165の開口部167に貼付されたテープ194は冷却室110と冷凍室吐出風路141を仕切るための仕切り板161で押さえつけ、はがれを防止しているので品質の安定性が確保でき、また、霧化電極135、冷却ピン134に対しての熱伝導による冷却能力確保もできる。
なお、本実施の形態9においては、冷却ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより貫通孔(貫通部165)と冷却ピンカバー166間をより密着させることができ、冷気もれを防止できる。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路141としたが、製氷室106の吐出風路や、冷凍室108戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置131の設置可能場所が拡大する。
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン134を冷却する冷却手段を、冷蔵庫100の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫100の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン134を任意の温度に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極135を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図は、図1とほぼ同じであり、本発明の実施の形態10の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図は、図2と同じである。図14は本発明の実施の形態10の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図2のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜9で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1〜9で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111の貯蔵室(野菜室107)内側の壁面の一部に貫通部165を設け、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131が設置されている奥面仕切り壁表面151は、凸部191となっており、静電霧化装置131は奥面仕切り壁表面151の凸部191と断熱材152に挟まれた状態で設置されている。
静電霧化装置131の冷却ピン134は、その外周を覆うように断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された冷却ピンカバー166が取り付けられた状態で断熱材152の貫通部165に嵌め合わせされる。
このとき冷却ピンカバー166は、周囲の断熱材152と圧接状態になっており、冷却ピン134に水が付着したとき、断熱材152が付着し、断熱材内部に浸透、凍結、破損することを防止している。
ただし、冷却ピン134の端部134bについては、背面からの冷却能力を確保するため、冷却ピンカバー166の形状は、円筒状で構成されており、冷却ピン134の端部134bのみ開放状態となり、貫通部165の開口部167は、アルミテープなどのテープ194を断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
ここで、冷却ピン134の端部134bはテープ194の密着するように張り合わせされ、熱伝導性を確保している。
なお、冷却ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、冷却ピン134と冷却ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在し、その空隙196を埋めるために比較的熱伝導性が優れ、空間の空隙を埋める空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持材が冷却ピン134と冷却ピンカバー166に埋設されている。
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫100について、以下その動作、作用を説明する。
冷却ピン134は冷却風路もしくは、冷却室110を仕切る仕切り板161からテープ194、空隙埋設部材197dを介して冷却、もしくは冷却ピン側面の断熱材から冷却されている。ここで、テープ194を介して二重構造で間接的に冷却するとき、冷却ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、冷却ピン134が十分冷却できなくなり、冷却ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、組み立て時に確実にテープ194と冷却ピン134を密接していることを確認するとともに、仮に空隙が生じる可能性がある場合、空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持部材で空隙196を埋めることによりテープ194から冷却ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
さらに冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断し、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する冷却ピンカバー166と冷却ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と冷却ピン134の間に生じる空隙196についてもブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保できる。
また、冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく構成されているため、発泡スチロールで構成されている断熱材に含水することを防止しているので、断熱材に水が浸透し、浸透部が凍結し、その箇所が水の体積膨張により応力がかかり、亀裂が入り、破損することを防ぐことにより、さらに品質を確保している。
また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(野菜室107)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、奥面仕切り壁表面151に設置された孔(噴霧口)192より野菜室107内に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、野菜室107内全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、野菜室107内にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
また、仮に霧化電極135にて異常に結露が発生した場合でも、霧化電極135の下方に湿度供給口138が開口し、その延長線上に奥面仕切り壁にも湿度供給口193が構成されているので、水が霧化部139に貯留され、異常が発生することはない。
以上のように、本実施の形態10においては、霧化部139の凸部134aである冷却ピン134の冷却ピンカバー166の構成について、断熱材152に貫通孔である貫通部165に冷却ピン134を挿入する際、冷却ピン134の外周を覆うように冷却ピンカバー166を構成し、貫通部165に圧接するように埋設し、また、冷却ピンカバー166の冷却ピン134の端部134b側の面は開放状態し、貫通部165の開口部167の貼付されているテープと冷却ピン間の空隙については、熱伝導部材を構成することにより、それら空隙をなくし、冷却風路もしくは、冷却室からの熱伝導を確保する。
これによって、霧化電極、冷却ピンに対しての熱伝導による冷却能力確保もできる。
また、貫通部165の開口部167に貼付されたテープは冷却室110と冷凍室吐出風路141を仕切るための仕切り板161で押さえつけられ、これによりはがれを防止しているので品質の安定性が確保できる。
また、貫通部165に冷却ピンカバー166を圧接しながら設置しているので発泡スチロールである断熱材152への含水を防ぐことにより、断熱材の亀裂発生、破損を防止している。
また、冷却ピン134周囲に緩衝材を設けていないが、設けてもよい。これにより貫通孔(貫通部165)と冷却ピンカバー166間を密着させることができ、冷気もれを防止できる。
(実施の形態11)
図15は本発明の実施の形態11における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。また、図16は本発明の実施の形態11における別形態の冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。さらに、図17は図16のC−C部の静電霧化装置近傍の詳細平面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から10で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から10で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態11は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁251が構成され、仕切り壁251と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110と野菜室を仕切る第2の仕切り壁125に霧化装置である静電霧化装置131は、図15のように冷却室110の冷却源を利用するように設置されており、特に霧化部139の伝熱接続部材である冷却ピン134部については、その第二の仕切り壁125の断熱材が凹形状になっており、その近傍に冷却ピンヒータ158が構成されている。
また、野菜室107を冷却するための風路構成は、図15に示すとおり、野菜室107の奥面に冷蔵室からの風路もしくは、冷凍室からの風路を利用した野菜室吐出風路252が構成され、野菜室107よりやや低温の空気が野菜室吐出風路252を経由して、野菜室吐出口124より野菜室107の下段収納容器119の奥面から底面に向けて流出する。そして、その冷気の流れは、下段収納容器119の底面から前面に流れ、収納容器前方の飲料収納部166に流れこみ、さらに、第2の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路253より冷却器112に循環している。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
第二の仕切り壁125は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡ウレタンや発泡スチロールなどを用い、野菜室107と冷凍室108、冷却室110を断熱しているとともに、貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している第2の仕切り壁125には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされている。
これによって、角部であることで最も断熱壁の厚い壁面に冷却ピン134を含む静電霧化装置131を配置することによって、他の部分と比較して断熱壁が厚いことで静電霧化装置131を断熱壁へより深く埋め込むことができ、霧化装置の設置による貯蔵室内容積の減少を抑えることが可能となるのでより霧化装置を備えたより大容量の貯蔵室を実現することが可能となると同時に、断熱性が十分に確保できるので静電霧化装置131やその近傍の過冷を防止でき、周囲の結露等による品位低下を防止できる。
よって、伝熱接続部材である冷却ピン134の背面側は冷却室110側に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器112で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
静電霧化装置131の霧化部139は蓋体122と上部収納容器120の間隙に設置されており霧化電極先端は、上部収納容器120に向け設置されている。
また、場合によれば、図16および図17に示すように第2の仕切り壁125に霧化電極135を垂直方向に設置するように取り付けてもよい。
この場合、冷凍室108からの熱伝導により冷却ピンを冷却するとともに、蓋体122の一部には静電霧化装置131からのミストが上部収納容器に噴霧できるように孔が設けられている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている第二の仕切り壁125の厚さは、冷凍室108および冷却室110と野菜室を断熱区画するための壁厚が必要であるが、その一方、霧化先端部である霧化電極135が固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力が必要であり、静電霧化装置131が備えられている壁厚は他の部分より薄く構成されている。さらに冷却ピン134が保持されている最深凹部の壁厚はさらに薄く構成されている。そのため、低温である冷却室110からの熱伝導により冷却ピン134を冷却し、霧化電極135を冷却することが出来る。ここで、霧化電極135の先端温度を露点以下にすれば、霧化電極135近傍の水蒸気は霧化電極135に結露し、水滴が確実に生成される。
また、外気温度変動により冷凍室108の温調が変動し、霧化電極135が過冷になる場合があるため、霧化電極135近傍に設置された冷却ピンヒータ158で霧化電極135の温度を調整することにより霧化電極135先端の水量を最適化する。
このとき、野菜室107の冷気の流れは、野菜室吐出風路252より野菜室より低温である冷気が野菜室吐出口124から吐出され、下部収納容器120の底面の収納容器と断熱箱体間で構成された風路に流れ、前方扉側に流れる。そして下部収納容器110の一部に設けられた空気流通孔254から収納容器内に流入し、飲料収納部の飲料を冷却する。このとき下部収納容器の奥側の区画は間接冷却により冷却される。そして、冷気は第二の仕切り壁125の下面に設置された野菜室吸込み口126に流れ、野菜室吸込み風路253より冷却器112に循環している。これにより、上部収納容器にも冷気の影響が少なくなっており、保鮮性が維持されることになる。
よって、本実施の形態においては、野菜室内の冷気の流れをコントロールし、上手に使いわけている。まず、低温で乾燥した冷気をPETボトル等の飲料が置かれることが多い飲料仕切り板167の手前部分の収納飲料収納部166に多量に入れて、低温冷気を直接触れることで、冷却スピードを確保し、次に野菜室の手前側から流入した冷気が背面側へと流れるにつれて湿度が高くなっていくので、扉側よりも背面側の湿度を相対的高くすることで、背面側に配置された静電霧化装置131周辺は高湿度の雰囲気として静電霧化装置131で空気中の水分が結露しやすい環境にすることができる。さらに、貯蔵室内の水分を結露させた水滴を用いて静電霧化装置131によって噴霧されたミストは、粒子径がナノレベルで細かく拡散性の高い微細ミストとなって上段収納容器120を満たした上で、下段収納容器119へと流入して保湿を行うようにしている。
このように冷気の流れをコントロールすることによって、スピーディーに冷却したい収納物を手前部分の収納飲料収納部166に収納し、比較的低温障害等が起こりにくい一般的な野菜や果物を下段収納容器119へ、より低温障害が起こりやすい野菜や果物を上段収納容器120へと収納することで、それぞれの収納物に合った冷却を行うことができ、より品質が高く保鮮性を向上させた野菜室を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では、ミストを噴霧することを前提としているが、野菜室吐出口124から導入した冷気をPETボトル収納部にまず開放させることで、PETボトルの冷却スピードを速めることができるので、ミスト噴霧装置を設置しない場合においても、PETボトルの冷却スピードを速めた上で上段収納容器120の保湿性を向上させることができる。
よって、ミスト噴霧装置が備えられない場合であっても、本実施の形態のように乾燥した低温空気をまず下段収納容器119の扉側部分の収納飲料収納部166に乾燥した冷気が入るように構成し、その後に野菜等を収納する下段収納容器119を経て上段収納容器120へと流れ込む風路を構成することで、ある程度上段収納容器の保湿化と高温化を図ることができるという効果を奏する。この構成に加え、さらにミスト噴霧を行うことによって低温障害を抑制するという相乗効果が得られることとなる。
ここでは図示しないが庫内に庫内温度検知部や庫内湿度検知部、霧化電極温度およびその周辺湿度などを設置することにより、あらかじめ決められた演算により厳密に庫内環境下の変化に応じて露点を割り出すことが出来る。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
また、冷蔵庫の運転において一定間隔で行われる冷却室110の除霜時に、ラジアントヒータによる熱は冷却室底面を輻射と対流により加熱し、そのため冷却ピン134は冷却室近傍に設置されているため、一定間隔で冷却ピン134を含めた霧化電極135の加熱を行う。よって霧化電極135を含めた霧化部139の乾燥ができるので霧化先端部が異常結露により霧化できなくなったとしても、一定時間経過すれば乾燥状態になり、再び正規な霧化状態に容易に戻すことができる。
以上のように、本実施の形態11は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、貯蔵室の天面側には低温貯蔵室が備えられ、静電霧化装置は天面の仕切り壁に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の貯蔵室が上部にある場合、それらを仕切る天面の仕切り壁に設置され、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、特別な冷却装置が不必要で、また、天面から噴霧できるので収納容器全体に拡散しやすく、また、人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
また、冷却ピン134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされていることで、角部であることで最も断熱壁の厚い壁面に冷却ピン134を含む静電霧化装置131を配置することによって、他の部分と比較して断熱壁が厚いことで静電霧化装置131を断熱壁へより深く埋め込むことができ、霧化装置の設置による貯蔵室内容積の減少を抑えることが可能となるのでより霧化装置を備えたより大容量の貯蔵室を実現することが可能となると同時に、断熱性が十分に確保できるので静電霧化装置131やその近傍の過冷を防止でき、周囲の結露等による品質低下を防止できる。
さらに、また、冷却ピン134aが第2の仕切り壁125と貯蔵室の背面側の仕切り壁251とが接する角部に嵌めあわされており、冷却ピンを冷却する冷却手段として冷却室110の底面側を用いることで、暖かい空気は上方へと上がり、冷たい空気は下方へと向かう特性から冷却室110の中でも最も温度の低い部分を冷却源とすることができるので、より効率よく冷却ピン134aを冷却することが可能となる。
さらに、また、冷却ピンを冷却する冷却手段として冷却室110の底面側を用いることで、低温風路の中でもより温度変動の小さい冷却室の底面側を冷却源とすることでより安定して冷却ピンの冷却を行うことが可能となる。
さらに、冷却室110の除霜時にラジアントヒータによる熱を近傍で受けることができ、一定間隔で霧化電極135の加熱・乾燥ができるので霧化先端部が異常結露により霧化できなくなったとしても、一定時間経過すれば乾燥状態になり、再び正規な霧化状態に容易に戻すことができる。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
(実施の形態12)
図18は本発明の実施の形態12における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から11で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から11で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態12は冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に第四の貯蔵室としての切換室105と第五の貯蔵室としての製氷室106が横並びに設けられ、その切換室105と製氷室106の下部に冷凍室108が構成され、冷凍室108のさらに下部に野菜室107が構成されている。
野菜室107と冷凍室108の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁125があり、第二の仕切り壁125の奥側と冷凍室108奥面には仕切り壁251が構成され、仕切り壁251と冷蔵庫の断熱箱体101の間には、冷却器112が設置され、その下部には、冷却器に付着した霜を融解するためのラジアントヒータ114と融解した水を受けるためのドレンパン115が設置され、各室に冷気を搬送するための冷却ファン113を含めこれらで冷却室110を構成している。この冷却室110の下部に霧化装置用冷却風路を備え、その風路の一部に静電霧化装置131を、図18のように設置し、特に霧化部139の伝熱接続部材である冷却ピン134部については、その風路と極めて隣接しており、その近傍に冷却ピンヒータ158が構成されている。
また、上段収納容器120は、その底面側の一部が下段収納容器119内に配置されており、この下段収納容器119内に配置されている上段収納容器120に複数の空気流通孔171が設けられている。
また、上段収納容器120の底面は、凹凸形状で形成された波型形状としている。
霧化装置用冷却風路255は、ABSやPPなどの樹脂と発泡スチロールなどの断熱材で製作されており、その風路を流れる冷気は−15〜−25℃と比較的低温であり、野菜室107の奥面で上段収納容器と下段収納容器の間隙近傍の霧化装置用冷却風路に対向する仕切板に冷却ピン134を含む静電霧化装置を設置している。これにより野菜室の構成においては、実施例1とほぼ同一の構成となる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
静電霧化装置131が設置されている仕切り壁251側に形成される霧化装置用冷却風路255は、霧化先端部である霧化電極135が固定されている冷却ピン134を冷却するための冷却能力があれば、収納野菜等からの蒸散により、静電霧化装置131近傍は高湿状態となり、霧化電極先端は、水滴が確実に生成される。
この状態で霧化電極135を負電圧側とし、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば7.5kV)を印加させる。このとき、電極間で空気絶縁層が破壊されコロナ放電が起こり、霧化電極135の水が電極先端から霧化し、目視できない1μm未満の電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随するオゾンやOHラジカルなどが発生する。
発生した微細ミストは、上部収納容器120と下部収納容器119の間に噴霧される。静電霧化装置131から噴霧される微細ミストは、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室内には青果物である野菜が収納されており、特に上部収納容器には、低温に弱い果物等の青果物を入れることが多い。これらの青果物は、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態で収納されていることが多い。これらの青果物は通常、プラスの電荷に帯電されており、噴霧されたマイナスの電荷を持った微細ミストは、野菜表面に集まりやすい。よって、噴霧された微細ミストは野菜室内を再び高湿にすると同時に青果物の表面に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させる。また、野菜や果物の細胞の隙間から組織内に浸透し、水分が蒸散して、萎んだ細胞内に再び水分が供給され、細胞の膨圧によって萎れが解消され、シャキッとした状態になるのと同時にミストに含まれているラジカルによって、除菌や低温障害抑制、栄養素増加などの働きやその強い酸化力により農薬を分解し、野菜表面から農薬を除去しやすくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態12は、貯蔵室を区画するための仕切り壁と、霧化電極を冷却するための霧化装置用冷却風路が備えられ、静電霧化装置はその風路部に取り付けたことにより、冷却室、冷凍室や製氷室のような冷凍温度帯の区画が上部にある場合、それらの冷熱源を野菜室背面まで風路により搬送し、その冷却源で静電霧化装置の霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
また、冷却ピン134を冷却する冷却手段として通常の貯蔵室を冷却する冷却風路とは独立した霧化装置用冷却風路を備えることで、冷却風路の状態からの温度変動をより抑えることができ、低温風路の中でもより温度変動の小さい冷却室の底面側を冷却源とすることでより安定して冷却ピンの冷却を行うことが可能となる。
さらに、本実施の形態の補給水は、外部から供給する水道水ではなく結露水を用いる。そのためミネラル成分や不純物がなく、霧化電極先端の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことが出来る。
さらに、本実施の形態のミストはラジカルを含んでいることにより野菜表面に付着する農薬やワックスなどを極めて少ない水量で分解・除去出来るので節水ができ、かつ低入力化が出来る。
なお、本実施の形態では、冷熱源の搬送に霧化装置用風路を用いたが、アルミや銅の固体物の熱伝導を利用したもの、ヒートパイプやヒートレーンなどの熱搬送手段を利用してもよい。これにより、風路面積が不必要となるので庫内容積への影響が少なくなる。
(実施の形態13)
図19は本発明の実施の形態13における冷蔵庫の断面図である。また、図20は本発明の実施の形態11における冷蔵庫の簡易的な冷却サイクル図である。さらに、図21は静電霧化装置近傍の詳細断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から12で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から12で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態13は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室301が構成され、変温室301のさらに下部に冷凍室108が構成されている。変温室301は、冷蔵室104と変温室301の温度帯を区切るために断熱性を確保した第一の仕切り壁305と、変温室301の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室301の奥面の変温室奥面仕切り壁313と、扉118で区画されている。
冷蔵室104は、冷蔵室奥面の内壁に収められた高温側蒸発器304を冷却源とし、変温室301と冷凍室108は、冷凍室108の奥面に設置され、冷却室110に備えられている低温側蒸発器303を冷却源としており、低温側蒸発器303で生成された冷気を送風するために低温側蒸発器303の上方に冷却ファン113が設置されている。
また、変温室301の奥面には変温室冷却風路311とその風路内にダンパ302が構成され、変温室301の温度調整を行い、また、変温室奥面仕切り壁313には変温室301にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
また、本発明の冷却サイクルは、圧縮機109から吐出された冷媒が、凝縮器307で凝縮され、三方弁308にて複数の流路を切り替えている。一方は、高温側キャピラリ310で減圧され、高温側蒸発器304で熱交換後、低温側蒸発器303、アキュームレータを経由し、再度、圧縮機109へ戻る冷蔵室・冷凍室同時冷却サイクルを構成し、他方は、低温側キャピラリ309で減圧され、低温側蒸発器303にて熱交換し、アキュームレータを介して、圧縮機109へ戻る冷凍室単独冷却サイクルを構成している。
したがって、変温室301は低温側蒸発器303の冷気を利用し、冷却ファン113とダンパ302の動作、圧縮機109、三方弁308の動作により適温されている。
変温室301の背面の仕切り壁は、主にABSなどの樹脂で外殻が構成され、その内部には発泡スチロールなどを用い、変温室301と変温室冷却風路311を区画断熱しているとともに、変温室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部を設け、その箇所に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している変温室奥面仕切り壁313には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが変温室奥面仕切り壁313に嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である冷却ピン134の背面側は冷凍温度帯の温度である変温室冷却風路311に近接した配置となっている。
ここで、伝熱接続部材である冷却ピン134の冷却は、冷却室110で生成され、冷却ファン113によって送風された冷気を用いており、冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、低温側蒸発器303で生成された冷気からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
その下流側にダンパ302が設置されている。
静電霧化装置131の霧化部139は下段収納容器119と上部収納容器120の間隙に設置されており霧化電極先端は、その間隙に向け設置されている。
静電霧化装置131が設置されている変温室奥面仕切り壁313は、凹部が構成され、その箇所に静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131の冷却ピン134は、その外周を覆うように断熱性がありかつ防水性の高い材料であるPSやPPなどの樹脂で成形された冷却ピンカバー166が取り付けられた状態で断熱材152の貫通部165に嵌め合わせされる。
このとき冷却ピンカバー166は、周囲の断熱材152と圧接状態になっており、冷却ピン134に水が付着したとき、断熱材152が付着し、断熱材内部に浸透、凍結、破損することを防止している。
ただし、冷却ピン134の端部134bについては、背面からの冷却能力を確保するため、冷却ピンカバー166の形状は、円筒状で構成されており、冷却ピン134の端部134bのみ開放状態となり、貫通部165の開口部167は、アルミテープなどのテープ194を断熱材152に貼り付け、冷気を遮断している。
ここで、冷却ピン134の端部134bはテープ194の密着するように張り合わせされ、熱伝導性を確保している。
なお、冷却ピンカバー166は断熱性を持った絶縁テープなどでも構わない。
ただし、ある程度の寸法誤差等が存在するため、冷却ピン134と冷却ピンカバー166の間にはある程度の空隙196が存在し、その空隙196を埋めるために比較的熱伝導性が優れ、空間の空隙を埋める空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持材が冷却ピン134と冷却ピンカバー166に埋設されている。
また、変温室301は冷凍温度からワイン貯蔵温度まで切り替えることが可能とするので、たとえば、区画周辺に温度調整用のヒータ(図示せず)を設置している場合もある。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器307である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体101)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体101)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体101)の結露を防止しながら凝縮液化し、三方弁308に至る。ここで三方弁308は冷蔵庫100の制御基板からの動作信号によりその流路が決定され、低温側キャピラリ309もしくは高温側キャピラリのいずれかもしくは両方に冷媒を流す。三方弁308の流路が高温側キャピラリ側に開のときは、その後高温側キャピラリ310で低温低圧化された液冷媒となって高温側蒸発器304に至る。
ここで、高温側蒸発器304内の低温低圧の液冷媒は、−10℃〜―20℃程度の温度になり、これが直接もしくは間接的に冷蔵室104の空気と熱交換され、高温側蒸発器304内の冷媒の一部は蒸発気化する。その後、更に冷媒配管を流れ低温側蒸発器303に至る。
そして、更に冷媒は、アキュームレータ(図示せず)を通り、再び圧縮機109に戻る冷却サイクル運転を行う。
一方、三方弁308の流路が低温側キャピラリ309側に開のときは、その後低温側キャピラリ309で低温低圧化された液冷媒となって低温側蒸発器303に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、−20℃〜―30℃程度の温度になり、冷却室の空気が冷却ファン113により対流することにより熱交換され、低温側蒸発器303内の冷媒のほとんどが蒸発気化する。これらの冷気は冷却ファン113により冷凍室108もしくは変温室301に送風される。その後、熱交換された冷媒は、アキュームレータを通り、再び圧縮機109に戻る。
一方、冷却室110にある低温側蒸発器303においては、冷却ファン113によって冷気を吐出させ、冷凍室奥面仕切り壁314内の冷凍室側冷却風路312を通過し、吐出口より冷凍室108へ吐出される。吐出した冷気は冷凍室ケースと熱交換した後、冷凍室奥面仕切り壁314の下部より吸い込まれ、再び低温蒸発器303のある冷却室110に戻る。
さらに、冷却ファン113によって吐出された冷気の一部は変温室奥面仕切り壁313内の変温室冷却風路311へ流入していく。変温室冷却風路311に流入した冷気は、ダンパ302を通過し、吐出口より変温室301内に吐出され、変温室301内と熱交換した後、背面にあるダクトより吸い込まれ、冷却室110へ戻される。このとき、ダンパ302は変温室301内に設置された温度検知手段により、その開閉動作が決定されており、これによりダンパを通過する冷気量をコントロールし、変温室301の温度を一定に保っている。
ここで、変温室301は任意の温度が設定できる部屋であり、−20℃程度の冷凍温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室301の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室301の変温室奥面仕切り壁313の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン134の後方は最深凹部111bが構成されている。これにより、変温室奥面仕切り壁313は凹部111aが構成され、この凹部111aの最背面の最深凹部111bに冷却ピン134の凸部134aが突出した形状の静電霧化装置131が嵌めこまれて、取り付けられている。
冷却ピン134背面にある変温室冷却風路311には、冷却システムの運転により低温側蒸発器303側で生成し、冷却ファン113により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、ダンパ302が開のときは、冷気がそのまま変温室301に流れるため、変温室は低湿状態になる。また、ダンパ302が閉の時は、乾燥空気が変温室に流れないので変温室は比較的高湿になるとともに、冷却ピン134の背面の変温室冷却風路の温度もある程度低温に維持されている。
ここで、変温室301の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着する。
水滴が付着した霧化先端部である霧化電極135に負電圧、対向電極136を正電圧側として、電圧印加部133によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化先端部である霧化電極135の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー***により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
具体的には、霧化電極135を基準電位側(0V)、対向電極136を高電圧側(+7kV)とすると、霧化電極135先端に付着した結露水は、霧化電極135と対向電極136間の空気絶縁層が破壊され、静電気力で放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極136がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極136に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室(変温室301)に向けて、微細ミストが噴霧される。
ここで、冷却ピン134は変温室冷却風路311からテープ194、空隙埋設部材197dを介して冷却、もしくは冷却ピン側面の断熱材から冷却されている。ここで、テープ194を介して二重構造で間接的に冷却するとき、冷却ピンカバー166とテープ194との間には、加工精度上、空隙196ができる可能性があり、仮に空隙196ができると、その空間の熱伝導性が非常に悪くなり、冷却ピン134が十分冷却できなくなり、冷却ピン134温度および霧化電極135温度がバラツキ、場合によっては、霧化電極先端が結露しにくくなる。
これを防ぐために、組み立て時に確実にテープ194と冷却ピン134を密接していることを確認するとともに、仮に空隙が生じる可能性がある場合、空隙埋設部材197dとしてブチルや熱拡散コンパウンドなどの熱伝導保持部材で空隙196を埋めることによりテープ194から冷却ピン134への熱伝導を確保することにより、霧化電極135への冷却能力を確保する。
さらに冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく、また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断し、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(変温室301)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
また、加工精度、組み立て精度上でどうしても発生する冷却ピンカバー166と冷却ピン134の間に生じる空隙発生による伝熱劣化については、ブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保し、冷却能力を確保する。テープ194と冷却ピン134の間に生じる空隙196についてもブチル等の熱伝導部材により空隙196を埋めることで熱伝導性を確保できる。
また、冷却ピンカバー166と貫通部165の間には隙間がなく構成されているため、発泡スチロールで構成されている断熱材に含水することを防止しているので、断熱材に水が浸透し、浸透部が凍結し、その箇所が水の体積膨張により応力がかかり、亀裂が入り、破損することを防ぐことにより、さらに品質を確保している。
また貫通部165の開口部167はテープ194により隣接する冷却風路からの冷気の侵入を遮断しているので、低温冷気が庫内に漏れてくることもないので、貯蔵室(変温室301)やその周辺部品が結露や低温異常などを起こすことがない。
これらの冷却により霧化電極135が結露し、対向電極135と霧化電極136間で高圧放電を発生させることにより生じる微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室301に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室301全体に微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室301にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、変温室301がワイン温度に設定されているときは、ほとんどダンパ302は閉の状態となり、貯蔵室内は比較的湿度高い状態となるがカビ等が繁殖する可能性がでてくるが、酸化力の強いラジカルをもったミストを噴霧することにより、それを防止できる。
また、変温室301が冷凍設定など噴霧不可能と判定できる温度帯、もしくは手動ボタン等で静電霧化装置131の動作を任意に停止させることができる場合には、静電霧化装置を停止させることができる。
また、静電霧化装置131の動作をダンパ開閉動作で判定することにより、効率よく静電霧化装置131を動作させることができる。
また、静電霧化装置131の冷却ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態13は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室とその貯蔵室を区画するための仕切り壁と、変温室を冷却するための変温室冷却風路が備えられ、静電霧化装置はその風路部と貯蔵室を区切る奥面仕切り壁に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、変温室に流れこむ風路からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができる。
また、本実施の形態において、ダンパが閉であっても変温室背面の風路の温度はダンパの上流側となるので比較的低温を維持することができるので、霧化電極を十分冷却でき、よって、霧化電極先端に結露させ、ミストは発生することができる。
また、本実施の形態の霧化部は静電霧化方式によってミストを生成するものであり、高電圧等の電気エネルギを使って水滴を***させ、細分化することによって微細ミストを発生させる。発生したミストは電荷を帯びている為、そのミストに野菜や果物等の付着させたい物と逆の電荷を持たすことによって、例えばプラスの電荷を持つ野菜に対してマイナスの電荷を帯びたミストを噴霧することにより、野菜や果物への付着力が向上するため、より均一に野菜表面にミストが付着するとともに、電荷を帯びていないタイプのミストと比較してミストの付着率をより向上させることが出来る。また、噴霧された微細ミストは直接、野菜容器内の食品に噴霧することができ、微細ミストと野菜の電位を利用して野菜表面に微細ミストを付着させることが出来るので、保鮮性を効率よく向上させることが出来る。
なお、本実施の形態のダンパを電動式ダンパにすることにより、特に、機械式ダンパで制限のある設定温度(動作温度)の制約がなくなり、変温室を任意温度にコントロールすることができ、様々な食品に適した温度を作り出すことが可能となる。 さらに、機械式ダンパでは不可能であった強制閉が可能となり、変温室を使用しない場合は、変温室に冷気を循環する必要がなくなり、強制的に電動式ダンパを閉じることにより、無駄な冷却を防止し、消費電力量を抑制できる。また、冷却室内の低温側蒸発器を除霜する際、電動式ダンパを強制閉することにより、変温室への暖湿気侵入を防止することができ、着霜防止及び、除霜効率向上による消費電力量抑制が可能となると同時に霧化電極の加温もできるので霧化電極の乾燥手段となり、信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態のダンパを回転数可変可能な保温室ファンにすることにより、変温室への冷気量を調整し、機械式ダンパであった設定温度(動作温度)の制約がなくなり、変温室301を任意温度にコントロールすることも可能となり、様々な食品に適した温度を作り出すことが可能となる。また、急速冷却、緩慢冷却等の冷却速度もコントロールでき、さらなる食品の保鮮度向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、静電霧化装置が設置されている貯蔵室を変温室としたが、より温度帯を限定した野菜室でもかまわない。これにより温度変動範囲がすくなくなり、より簡素な制御仕様なる。
(実施の形態14)
図22aは本発明の実施の形態14における冷蔵庫の断面図である。また、図22bは本発明の実施の形態14における静電霧化装置近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から13で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から13で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態14は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室301が構成され、変温室301のさらに下部に冷凍室108が構成されている。変温室301は、冷蔵室104と変温室301の温度帯を区切るための仕切り板321と、変温室301の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室301の奥面の内箱103と、扉118で区画されている。
冷蔵室104と変温室301は、冷蔵室奥面および変温室奥面の内壁に収められた高温側蒸発器304を冷却源とし、冷凍室108は、冷凍室108の奥面に設置され、冷却室110に備えられている低温側蒸発器303を冷却源としており、低温側蒸発器303で生成された冷気を送風するために低温側蒸発器303の上方に冷却ファン113が設置されている。
また、変温室301の奥面には変温室301にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
また、本発明の冷却サイクルは、圧縮機109から吐出された冷媒が、凝縮器307で凝縮され、三方弁308にて複数の流路を切り替えている。一方は、高温側キャピラリ310で減圧され、高温側蒸発器304で熱交換後、低温側蒸発器303、アキュームレータを経由し、再度、圧縮機109へ戻る冷蔵室・冷凍室同時冷却サイクルを構成し、他方は、低温側キャピラリ309で減圧され、低温側蒸発器303にて熱交換し、アキュームレータを介して、圧縮機109へ戻る冷凍室単独冷却サイクルを構成している。
したがって、変温室301は高温側蒸発器304を利用し、冷蔵室温度検知手段(図示せず)もしくは、変温室温度検知手段(図示せず)、圧縮機109、三方弁308により適温されている。
変温室301の背面の内箱103は、主にABSなどの樹脂で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している内箱103には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが内箱103の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
よって、伝熱接続部材である冷却ピン134の背面側の高温側蒸発器304に近接した配置となっている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機109の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器307である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体101)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体101)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体101)の結露を防止しながら凝縮液化し、三方弁308に至る。ここで三方弁308は冷蔵庫100の制御基板からの動作信号によりその流路が決定され、低温側キャピラリ309もしくは高温側キャピラリのいずれかもしくは両方に冷媒を流す。三方弁308の流路が高温側キャピラリ側に開のときは、その後高温側キャピラリ310で低温低圧化された液冷媒となって高温側蒸発器304に至る。
ここで、高温側蒸発器304内の低温低圧の液冷媒は、−10℃〜―20℃程度の温度になり、これが直接もしくは間接的に冷蔵室104もしくは変温室301の空気と熱交換され、高温側蒸発器304内の冷媒の一部は蒸発気化する。その後、更に冷媒配管を流れ低温側蒸発器303に至る。
そして、更に冷媒は、アキュームレータ(図示せず)を通り、再び圧縮機109に戻る冷却サイクル運転を行う。
一方、三方弁308の流路が低温側キャピラリ309側に開のときは、その後低温側キャピラリ309で低温低圧化された液冷媒となって低温側蒸発器303に至る。
ここで、低温低圧の液冷媒は、−20℃〜―30℃程度の温度になり、冷却室の空気が冷却ファン113により対流することにより熱交換され、低温側蒸発器303内の冷媒のほとんどが蒸発気化する。これらの冷気は冷却ファン113により冷凍室108に送風される。その後、熱交換された冷媒は、アキュームレータを通り、再び圧縮機109に戻る。
一方、冷却室110にある低温側蒸発器303においては、冷却ファン113によって冷気を吐出させ、冷凍室奥面仕切り壁314内の冷凍室側冷却風路312を通過し、吐出口より冷凍室108へ吐出される。吐出した冷気は冷凍室ケースと熱交換した後、冷凍室奥面仕切り壁314の下部より吸い込まれ、再び低温蒸発器303のある冷却室110に戻る。
三方弁のより高温側キャピラリ310へ流路が開となり、冷蔵室104と変温室301の冷却を行う。このとき、冷蔵室104もしくは変温室301内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉が決定されており、これにより冷蔵室104、変温室301の温度を一定に保っている。
ここで、変温室301は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室301の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室301の奥面の内箱103の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置131が設置されており、特に、冷却ピン134の後方は高温側蒸発器304と近接している。
冷却ピン134背面にある高温側蒸発器304には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
このように、冷却ピン134は蒸発器からの直接の熱伝導によって冷却される。
よって、冷却ピン134を冷却する冷却手段として風路からの低温空気ではなく、蒸発温度がほぼ一定に保たれた蒸発器からの直接の熱伝導を用いることで、より安定して冷却ピンの冷却を行うことが可能となるとともに蒸発器や冷媒によりその熱容量も増大し、より安定した温度を実現できる。
ここで、三方弁308が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室104と変温室301が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁308が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、冷却ピン134の背面の高温側蒸発器304の温度もある程度低温に維持されている。
ここで、変温室301の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
この微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室301に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室301全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室301にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、三方弁308の動作と静電霧化装置131の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
また、静電霧化装置131の冷却ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態14は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室と、変温室を冷却するための蒸発器が備えられ、変温室の冷却は、冷蔵室を冷却する蒸発器を利用するように構成されている場合、静電霧化装置は変温室奥面の内箱の一部に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、高温側蒸発器からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができ、さらに部品点数を少なくすることができるのでより安価に構成することができる。
なお、本実施の形態は、冷却ピンを蒸発器からの直接の熱伝導としているが、霧化部の温度が適正であれば樹脂や断熱材を介した間接的な配置でもかまわない。これにより、より静電霧化装置を蒸発器近傍に組み込み熱伝導性を確保する工数、管理が削減される。
(実施の形態15)
図23は実施の形態15における冷蔵庫の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1から14で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から14で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
図に示すように、本発明の実施の形態15は、冷蔵庫100の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室104、その冷蔵室104の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室301が構成され、変温室301のさらに下部に冷凍室108が構成されている。
変温室301は、冷蔵室104と変温室301の温度帯を区切るための仕切り板321と、変温室301の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室301の奥面の仕切り板321と、扉118で区画され、仕切り板321の一部に変温室吐出口325が設けられている。
冷蔵室104と変温室301の奥面には冷蔵室仕切り板323が備えられ、この仕切りは変温室301奥面まで構成され、隔てて冷蔵室風路324が構成され、その一端には変温室吸込口326を構成されている。その中に高温側蒸発器304が備えられ、高温側蒸発器304の上方には冷蔵室用ファン322が設置され、冷蔵室に冷気を送付している。
また、変温室301の奥面の仕切り板321の一部には変温室301にミストを噴霧するための静電霧化装置131が構成されている。
変温室301の背面の仕切り板321は、主にABSなどの樹脂と発砲スチロールなどの断熱材で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置131が設置されている。
静電霧化装置131を固定している仕切り板321には、静電霧化装置131に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン134の温度調整と、霧化先端部である霧化電極135を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ158が霧化部139近傍に設置されている。
この伝熱接続部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部134aを有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部134aを有する形状で、凸部134aが仕切り板321の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
このとき、伝熱接続部材である冷却ピン134の背面側は、高温側蒸発器304に近接した配置となっている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
三方弁が高温側キャピラリ310へ流路が開の時、冷蔵室104と変温室301の冷却を行う。このとき、冷蔵室104もしくは変温室301内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉、冷蔵室用322ファンの動作が決定されており、これにより冷蔵室104、変温室301の温度を一定に保っている。
ここで、変温室301は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
そこで、変温室301の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置131を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
ここで変温室301の奥面の仕切り板321の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置131が設置されており、特に、冷却ピン134の後方は高温側蒸発器304と近接している。
冷却ピン134背面にある高温側蒸発器304には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン134が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン134は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン134を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
ここで、三方弁308が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室104と変温室301が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁308が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、冷蔵室用ファン322を動作させ、高温側蒸発器に付着した霜を融解、除霜することが可能であり、そのとき、変温室301は比較的高湿空間になる。 よって、冷却ピン134の背面の高温側蒸発器304の温度が上昇しても霧化することが可能となる。
ここで、変温室301の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置131の霧化先端部である霧化電極135は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極135には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
この微細ミストは、静電霧化装置131の外郭ケース137に構成されている噴霧口132を通過し、変温室301に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室301全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室301にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置131が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
また、冷蔵室用ファン322の動作と静電霧化装置131の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
また、静電霧化装置131の冷却ピン134近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
以上のように、本実施の形態15は、複数の蒸発器を備えた冷蔵庫において、温度が可変する変温室と、変温室を冷却するための蒸発器が備えられ、変温室の冷却は、冷蔵室を冷却する蒸発器を利用し、そこで生成された冷気を冷蔵室用ファンで搬送するように構成されている場合、静電霧化装置は変温室奥面の仕切り板の一部に取り付けたことにより、変温室の温度設定が野菜室温度設定程度の場合、高温側蒸発器からの熱伝導で霧化電極を冷却し、結露させることができるので、安定した噴霧が可能となり、また、奥面に設置することにより人の手にも触れにくいので安全性が向上させることができ、さらに部品点数を少なくすることができるのでより安価に構成することができる。
(実施の形態16)
図24は、本発明の実施の形態16における冷蔵庫の野菜室近傍の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜15で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1〜15と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
図において、奥面仕切り壁111は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面151と、野菜室107と冷凍室吐出風路141との間の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材152とで構成される。
ここで、奥面仕切り壁111の野菜室107側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部111aを設け、その箇所に良熱伝導部材である冷却ピン501が設置されている。
本実施の形態においては、霧化部はエジェクタ方式の霧化装置であり、冷却ピン501は、背面の冷凍室吐出風路141から主に熱伝導で冷却され、その霧化先端部502は、樹脂で構成されている。冷却ピン501および霧化先端部502には空洞部504、505、506、507、508が形成されている。すなわち、霧化先端部502には、噴霧口132側に形成された狭い径の流路504と、流路504と連通するこれよりも広い径の流路505とが設けられている。また、断熱材152には、冷却ピン501の下方に小さなポンプ510が設けられており、一端が野菜室側107に開口し、他端がポンプ510に繋がる流路507が形成されている。さらに、ポンプ510から上方に向かって断熱材152および冷却ピン501に連通する流路508が形成されている。さらに、冷却ピン501には、流路508の冷却ピン501内の端部と霧化先端部502の流路505とを繋ぐ流路506が形成されている。これらにより、野菜室107から、流路507、ポンプ510、流路508、流路506、流路505、そしてこれらより狭い径の流路504が連通して形成される。
冷却ピン501の野菜室107側上部には主に野菜室107内の水を収集する水収集部503が形成されている。水収集部503は、断熱材152の冷却ピン501の野菜室107側上部に形成された凹部111a内の垂直面に形成された金属板からなり、水収集部503の金属板は冷却ピン501と熱的に接続されている。
凹部111aによって露出した冷却ピン501の野菜室107側上部表面から、流路506に連通する水路509が、冷却ピン501内に形成されている。
冷却ピン501の冷却室110側端部は、図13に示す実施の形態9と同様に、冷却遮断部材としてのテープ194を介して仕切り板161と結合されている。冷却ピン501の周囲は断熱材152で囲われており、凹部111aと冷却ピン501の空隙は、空隙埋設部材(図示せず)で埋められている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。伝熱接続部材である冷却ピン501は、緩衝材である断熱材152を介して冷却されるので、冷却ピン501と熱的に接続している水収集部503に野菜室107の高湿空気が結露し、水512が生成する。この水512は、水路509に導かれ流路505へと流れる。
一方、ポンプ510が動作すると、野菜室107からの空気を吸い込み、流路507、508、506を経由して、流路505から流路504へ比較的早い空気が流れる。流路505では、上記のように水路509から水512が供給されるので、流路506からの早い空気流と混合され、霧化先端部502の噴霧口132からはミスト状の流体が噴霧される。
そして、発生したミストは、野菜室107に噴霧され、その収納食品に潤いをあたえ、これにより保鮮性が向上する。
以上のように、本実施の形態においては、熱伝導部材である冷却ピン501を冷凍室吐出風路141で冷却し、これによって水収集部503で水を生成している。生成した水を冷却ピン501の内部に形成した流路505へ流しこみ、別の流路506、507、508からポンプで空気を流し、それらと混合してミストを生成している。生成したミストにより、野菜室107を加湿することができ、野菜の保鮮度を向上することができる。
(実施の形態17)
これまでの実施の形態では、静電霧化装置を冷蔵庫に用いた説明をしてきた。しかしながら、上記実施の形態で説明したミストを噴霧する静電霧化装置は、冷蔵庫以外にも、冷却源を備えた冷却機器として空気調和機等にも応用することができる、また、冷却機器に限定せずにミストを噴霧する空間と、冷却ピンを備える空間とが大きな温度差を有する場合には同様の技術思想を用いることができ、例えば食器洗浄機、洗濯機、炊飯器、掃除機など、各種機器に用いることができる。
本実施の形態では、静電霧化装置を空気調和機に用いた例を説明する。空気調和機は、通常冷媒配管で互いに接続された室外機と室内機とで構成されており、本実施の形態では、空気調和機の室内機を例に説明する。
図25は本発明の実施の形態17における静電霧化装置を用いた空気調和機の室内機を示す一部切欠斜視図である。図26は図25に示す空気調和機の断面構成図である。
本実施の形態では、実施の形態1〜16で説明した構成と異なる部分を中心に詳細な説明を行い、実施の形態1〜16と同一構成である部分および同一の技術思想が適用できる部分については、詳細な説明を省略する。
室内機は、本体602に室内空気を吸い込む吸込口として前面吸込口602aおよび上面吸込口602bを有し、前面吸込口602aには開閉自在の可動前面パネル(以下、単に前面パネルという)604を有しており、空気調和機停止時は、前面パネル604は本体602に密着して前面吸込口602aを閉じているのに対し、空気調和機運転時は、前面パネル604は本体602から離反する方向に移動して前面吸込口602aを開放する。
本体602の内部には、前面吸込口602aおよび上面吸込口602bの下流側に設けられ空気中に含まれる塵埃を除去するためのプレフィルタ605と、このプレフィルタ605の下流側に設けられ前面吸込口602aおよび上面吸込口602bから吸い込まれた室内空気と熱交換するための熱交換器606と、熱交換器606で熱交換した空気を搬送するための室内ファン608と、室内ファン608から送風された空気を室内に吹き出す吹出口610を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下羽根612と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右羽根614とを備えている。また、前面パネル604の上部は、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体602の上部に連結されており、複数のアームの一つに連結された駆動モータ(図示せず)を駆動制御することで、空気調和機運転時、前面パネル604は空気調和機停止時の位置(前面吸込口602aの閉塞位置)から前方に向かって移動する。上下羽根612も同様に、その両端部に設けられた複数のアーム(図示せず)を介して本体602の下部に連結されている。
また、熱交換器606の一部には、静電ミストを発生させて室内空気を浄化する空気清浄機能を有する静電霧化装置131が設けられている。
上記のように、図25は前面パネル604および本体602を覆う本体カバー(図示せず)を取り除いた状態を示しており、図26は室内機本体602と静電霧化装置131との接続位置を示している。
図に示されるように、静電霧化装置131は、熱交換器606が吸込み空気と熱交換される下流側に設置されている。
静電霧化装置131は、主に霧化部139、およびABSなどの樹脂で成型された外郭ケース137で構成される。外郭ケース137には、噴霧口132と湿度供給口(図示せず)が形成されている。霧化部139は、霧化先端部である霧化電極135と、霧化電極135を一端部のほぼ中心に固定する冷却ピン134と、霧化電極135に電圧を印加する電圧印加部(図示せず)とで構成される。冷却ピン134は、アルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる部材から構成される。
この伝熱接続部材である冷却ピン134は、一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材(図示せず)で覆われていることが望ましい。
また、長期的に霧化電極135と冷却ピン134の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度などの侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極135と冷却ピン134を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極135を冷却ピン134に圧入などにより固定してもよい。
伝熱接続部材である冷却ピン134が外郭ケース137に固定され、冷却ピン134自体は外郭から突起した凸部を有して構成されている。この冷却ピン134は霧化電極135と逆側に凸部を有する形状で、凸部が熱交換器606の内部に冷媒が流れる配管の一部に接触もしくは固定されている。
また、冷却ピン134の冷却手段は、熱交換器606での冷却を用いている。冷却ピン134は熱伝導性のよい金属片で形成してあるので、冷却部は、熱交換器606の内部を冷媒が流れる配管606aからの熱伝導だけで霧化電極135の結露に必要な冷却を行うことができ、霧化部先端に結露生成を行うことが可能となる。
また、本実施の形態において、静電霧化装置131は図26の矢印で示す吐出冷気の風路上に備えるものであり、これによって室内へ吐出される冷気の中でも流速の高い吹き出し冷気に静電付加されたミストを混在させて室内へと噴霧することができるので、より室内でのミストの拡散性が高く、本実施の形態のように静電ミストすなわちOHラジカルを含んだミストを噴霧することでより室内等の噴霧空間における湿度の向上や、拡散性の向上による殺菌性や抗菌効果を向上させることが可能となる。
さらに望ましくは吐出冷気の下流側すなわち室内機内の風路上において、前面吸込口602aおよび上面吸込口602b等の吸込口よりも冷気の吐出口である吹出口610に近い箇所に設けることが望ましく、これによって上記に記載のような風速の大きい冷気にミストを混在させることで室内における拡散性を高めるとともに、より室内までの到達経路において風路抵抗となるような障害物が少ないので、ミストがそのままの形すなわち本実施の形態においては静電ミストすなわちOHラジカルを含んだミストがOHラジカルを失うことなくそのままの形で噴霧されるので、室内等の噴霧空間における湿度の向上や、拡散性の向上による殺菌性や抗菌効果を向上させることが可能となる。
このように簡単な構造で冷却部を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱接続部材である冷却ピン134および霧化先端部である霧化電極135の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
さらに、霧化部139の近傍に電圧印加部が構成され、高電圧を発生する電圧印加部の負電位側が霧化電極135と、正電位側が対向電極136とそれぞれ電気的に接続されている。
霧化電極135近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極135先端では、磨耗を生じる可能性がある。空気調和機も冷蔵庫と同様に、一般に10年以上の長期間に渡って運転することになる。したがって、霧化電極135の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
対向電極136は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
電圧印加部は、空気調和機本体の制御部と通信、制御され、空気調和機本体もしくは静電霧化装置131からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
以上のように構成された本実施の形態について、以下その動作、作用を説明する。熱交換器606に静電霧化装置131は固定されており、その冷却源である熱交換器606の内部を冷媒が流れる配管606aからの熱伝達もしくは熱伝導により冷却ピン134が冷却され、熱的につながった霧化電極135も冷却され、その先端の水滴が発生する。この霧化電極135の先端の水滴に高圧を印加することにより微細ミストを発生させる。静電霧化装置131で発生したミストは、電荷を保有しているため、熱交換器606に吸い寄せられないように、ミスト発生後はABSなどの樹脂で形成されたサイレンサと兼用した専用風路を介して、被空調室内に放出させるとよい。
放出した微細ミストは、被空調室内に対流し、拡散する。拡散したミストは、被空調室内の衣類や家具などに付着する。このとき、ミストが保持するラジカルにより、除菌や脱臭などが可能なり、室内を快適な空間にする。
ここで、空気調和機の場合、冷房時においては、室内機の熱交換器606を通過した低温の空気は相対湿度が高く、静電霧化装置131の霧化電極135は、周囲環境より温度が若干低ければ、霧化電極135に結露するので、霧化に対して電力は極めて少なくなる。
さらに、静電霧化装置131の周辺には、加熱部を併用することにより霧化電極135の温度調整も可能となる。このことにより、安定した霧化を提供できる。
また、本実施の形態のように冷却ピン134を介して熱交換器606の低温配管で霧化先端部である霧化電極135を冷却し結露させるタイプの静電霧化装置131では、熱交換器が低温となっている冷房時にのみ結露が行われるものであるので、冷房時に限定してミスト噴霧を行うこととなる。このように、暖房時においては霧化先端部に対して結露が行われずミスト噴霧が行われない為、例えば静電霧化装置131は停止しておいてもよく、また暖房時においては結露が行われないが、マイナスイオンの発生については静電霧化装置131を動作させることで行うことが可能となるので、暖房時にはマイナスイオン発生器として静電霧化装置131を利用することも可能である。
さらに、加熱部を用いなくても、一定時間、冷却を停止し、ファンのみを運転させることにより、霧化電極を被空調室内の乾燥空気で乾燥させ、過剰結露を防止することもできることにより信頼性を向上することができ、安定した霧化が実現できる。
以上のように、本実施の形態においては、空気調和機の熱交換器606近傍に静電霧化装置131を設置することにより、ミストが被空調室内の衣類や家具などに付着する。このとき、ミストが保持するラジカルにより、除菌や脱臭などが可能なり、室内を快適な空間にできる。
以上のように、静電霧化装置を食器洗浄機、洗濯機、炊飯器、掃除機などの各種機器に用いることにより、省エネルギーでかつ簡単な構成でミスト噴霧による除菌、殺菌、脱臭などの効果を得ることができる。