JP4194190B2 - 走行速度制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧−機械式変速装置の構成に関するものであり、特に、油圧式無段変速装置のポンプ吐出量と、エンジン回転数を連動して制御し、機体の走行速度が設定速度以上になるのを規制する制御装置の構成、及び、油圧−機械式変速装置のミッション部に具備した副変速装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジン動力を一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成のミッション装置が油圧−機械式変速装置(以下HMTとする。)として同一出願人により提案されており、特願平10−306082号、特願平10−306086号等より出願済みである。この従来構成においては、主変速レバーの操作に伴い油圧式無段変速装置のポンプ吐出量を増加させ、ポンプ吐出量が最大となるまで、HMTの出力を連続的に増加させるようにしていた。そして、このHMTの出力の増加に伴い本機の走行速度は増加していくこととなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、油圧−機械式無段変速装置をトラクタ等の作業機に搭載した場合、通常の作業及び移動走行において必要な速度には上限がある。一方、法規制により上限速度が35km/h以下の車両に対しては緩和措置が取られるため、上限速度を設定することによるメリットは大きい。そして、上限速度以上の増速を規制する制御方法としては、HMT の出力の最大値、つまり油圧式無段変速装置のポンプ吐出量の最大値に対応する走行速度が上限速度となるような構成とする方法も考えられるが、この場合には、ポンプ吐出量の変位に対応する本機の変速幅を小さくすることとなるため、後進側の速度を確保することができない。このため、本機の変速幅を確保しながら、上限速度以上の増速を規制するためには、前進側においてはポンプ吐出量が設定値以上となった場合には、走行速度が変化しないような制御を行う必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、エンジン(20)からの動力を、一方は遊星歯車機構(10)に伝え、他方は油圧式無段変速装置(21)を介して遊星歯車機構(10)に伝えて合成する油圧−機械式変速装置において、該油圧−機械式変速装置の後段に、副変速クラッチ(62)の操作によりギヤ連を選択する副変速装置を設け、該副変速装置の変速段を検出する手段を設け、走行速度が設定速度に達すると、油圧式無段変速装置(21)の斜板を傾動する手段と、該エンジン(20)の出力回転数を制御する手段とを連動させて、設定速度を維持するよう構成し、前記副変速装置の変速段が高速段の場合のみ、前記設定速度を維持するように制御し、前記油圧式無段変速装置(21)の斜板を、前進及び後進を無段変速させる主変速レバー(91)の回動操作により傾動させる構成とし、該主変速レバー(91)には副変速装置を切り換える切換スイッチ(95)を付設し、前記副変速切換スイッチ(95)は、前記主変速レバー(91)が中立位置に回動操作された場合のみ、切換操作を可能としたものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載の走行速度制御装置において、前記主変速レバー(91)の回動操作量に対して、走行速度が略3次曲線を描きながら増減するよう制御し、走行速度が前進及び後進の低速域では徐々に増速・減速し、前進及び後進の高速域では、変速幅が大きくなるように構成し、走行速度が0である点において、最も増減速が緩やかになるように制御したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について説明する。
【0007】
図1は本発明にかかるHMTのスケルトン図、図2はHST及びミッション(前部)の断面展開図、図3はミッション(後部)の断面展開図、図4はHSTモード及びHMTモードにおけるポンプ吐出量と合成出力回転数との関係を示す図、図5はHMT走行による駆動効率を示す図、図6は主変速レバーを示す図、図7は主変速レバーの操作量と本機速度の関係を示す図である。
【0008】
図1乃至図3において、油圧−機械式変速装置(以下HMTとする)の構成について説明する。HMTはHST(油圧式無段変速装置)21および遊星歯車機構10を備えるミッション30により構成されている。図2に示すようにHST21はHSTケース31およびセンタセクション32に内包される油圧ポンプ22および油圧モータ23を備えており、該センタセクション32はミッション30のケース33に固設されている。
【0009】
HST21には駆動源であるエンジン20の出力を伝達する入力軸25が挿嵌貫通されており、該入力軸25には油圧ポンプ22の可動斜板22aおよびシリンダブロック22bが挿嵌されている。該シリンダブロック22bは入力軸25に相対回動不能に挿嵌されており、入力軸25とともにシリンダブロック22bが駆動される構成になっている。該シリンダブロック22bにはプランジャー22cが複数摺動自在に配設されている。該プランジャー22cの先端には前記可動斜板22aが当接しており、該可動斜板22aの傾斜角を調節することにより、油圧ポンプ22の作動油の吐出量を調節可能に構成されている。油圧ポンプ22により吐出された作動油はセンターセクション32に設けられた油路を介して油圧モータ23に送油される。そして、同様にシリンダブロック、プランジャ等より構成される油圧モータ23を駆動させることによって、該油圧モータ23のモータ出力軸26の回転速度及び回転方向を制御する構成になっている。なお、本実施例では油圧ポンプを可変容量型としているが、油圧ポンプと油圧モータの両方を可変容量型とする構成でも本発明の実施は可能である。
【0010】
次に、ミッション30の構成について説明する。ミッション30はミッションケース33により被装されており、該ミッションケース33には入力軸25、モータ出力軸26、合成出力軸27、副変速軸28、PTO軸53等が平行で前後方向に配設され、回動自在に支持されている。また、ミッションケース33内には遊星歯車機構10が設けられている。遊星歯車機構10は後述するサンギヤ1、プラネタリーギヤ2、出力ギヤ3、そして、遊星歯車機構の加減速手段であるキャリヤ4・5等より構成されている。
【0011】
モータ出力軸26には2つのギヤ11・12が遊嵌されており、該ギヤ11・12の間には油圧クラッチ13・14が介装されて、該油圧クラッチ13・14の何れか一方を接続させることにより、ギヤ11・12の何れか一方に動力が伝達される。前記入力軸25はセンタセクション32を貫通してミッションケース33内に延設しており、該入力軸25上に遊星歯車機構10を有している。
【0012】
入力軸25の回転出力は、入力軸25に対して相対回転不能に挿嵌されたサンギヤ1を回転駆動する。そして、サンギヤ1はプラネタリアギヤ2に刻設された2つのギヤの内の一方であるギヤ2aに噛合し、さらに他方のギヤ2bは出力ギヤ3に噛合している。ここでプラネタリアギヤ2は、入力軸25上に遊嵌されたキャリア4・5に挟まれるようにして回転自在に支持されるとともに、該キャリア4・5と一体となって回転する。また、キャリア5にはギヤ6が固設されており、前記モータ出力軸26上のギヤ11と噛合している。また、遊星歯車機構10の出力ギヤ3は入力軸25上に遊嵌されたパイプ軸7の前端部に形成されており、該パイプ軸7の後端にはギヤ8が相対回転不能に挿嵌されている。
【0013】
以上の構成におけるHMTの制御について説明する。まず、HSTモードの駆動系について説明する。HSTモードにおいては2つの油圧クラッチ13・14のうち、油圧クラッチ14が接続される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギヤ11には伝達されずに、ギヤ12のみを回転駆動する。
【0014】
モータ出力軸26とは平行に合成出力軸27が配設されており、該合成出力軸27上に固設されたギヤ15が前記モータ出力軸26のギヤ12に噛合している。これにより、モータ出力軸26の回転出力がギヤ12・15を介して合成出力軸27に伝達される。合成出力軸27はミッションケース33内を後方に延設して、図3で示すように、合成出力軸27の後部に2つのギヤ17・18を回転不能に挿嵌している。
【0015】
また、合成出力軸27には副変速軸28が並設されており、該副変速軸28にはギヤ60・61が遊嵌されており、該ギヤ60・61が前記ギヤ17・18に噛合して異なる回転数で駆動している。そして、副変速軸28に設けられた副変速クラッチ62を操作することにより、ギヤ60・61何れかの回転駆動力を副変速軸28に伝達するのである。そして、該副変速軸28の後端に刻設されたベベルギヤ69を介して後輪ディファレンシャルに動力が伝達される。
【0016】
また、副変速軸28の前端部には2つのギヤ63・64が固設されており、該ギヤ63・64が前輪出力軸29上に遊嵌されたギヤ65・66に噛合し、該ギヤ65・66を異なる回転数で駆動している。また、前輪出力軸29上には2つの油圧クラッチ67・68が設けられており、該油圧クラッチ67・68のうち何れか一方を接続することにより、ギヤ65・66の何れか一方の回転駆動力を前輪出力軸29に伝達するのである。
【0017】
HSTモードにおいては、以上の駆動系により前輪及び後輪を駆動するものであるが、この駆動系においてはエンジン出力が前後輪にまで伝達されるまでの間に遊星歯車機構10を経由しないモードとなっている。つまり、遊星歯車機構10は空転しており、エンジン出力はHST21により変速された後、副変速されて前後輪に伝達されるのである。
【0018】
次に、HMTモードの駆動系について説明する。HMTモードにおいては2つの油圧クラッチ13・14のうち、油圧クラッチ13が接続される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギヤ12には伝達されずに、ギヤ11のみを回転駆動する。そして、ギヤ11は前記キャリア5に固設されたギヤ6に噛合しており、モータ出力軸26の回転出力がキャリア5に伝達される。
【0019】
また、入力軸25の回転出力によりサンギヤ1が回転駆動しており、サンギヤ1の回転出力がプラネタリアギヤ2を介して出力ギヤ3を有するパイプ軸7を駆動する。つまり、プラネタリアギヤ2はサンギヤ1により回転駆動するとともに、キャリア5と一体となって回転するので、入力軸25の回転出力と、HST21による変速後のモータ出力軸26の回転出力が合成されてパイプ軸7に伝達されるのである。
【0020】
そして、パイプ軸7後端のギヤ8が前記合成出力軸27のギヤ16に噛合しているので、合成された出力がパイプ軸7から合成出力軸27に伝達される。以降は、HSTモードと同様に副変速軸28を経て前輪及び後輪を駆動するのである。以上の伝達系によりHMTモードによる前輪及び後輪の駆動が行われる。
【0021】
また、前記入力軸25の後端はPTOクラッチ40を介してPTO入力軸41に伝達される。PTO入力軸41の後端には3つのギヤ42・43・44が相対回転不能に挿嵌され、それぞれPTO副変速軸45に遊嵌されたギヤ46・4748に噛合している。そしてPTO副変速クラッチ49の操作により3段階に変速された出力が、ギヤ50・52を介して回転軸51に伝達され、さらにギヤ52・54を介してPTO軸53に伝達され、作業機等に動力を伝達するよう構成している。
【0022】
次に、HSTモードからHMTモードへの切換タイミングについて説明する。まず、HSTモードにおける伝達系においては、前述の如くモータ出力軸26の回転出力が直接合成出力軸27に伝達されるわけであるが、この場合にも、合成出力軸27のギヤ16は、ギヤ8を介して前記パイプ軸7を駆動させている。そして、該パイプ軸7の駆動により出力ギヤ3、ギヤ2bを介してプラネタリアギヤ2が回転駆動される。一方、前記入力軸25の回転出力によりサンギヤ1、ギヤ2aを介してプラネタリアギヤ2が回転駆動される。
【0023】
このため、プラネタリアギヤ2は入力軸25側からと、パイプ軸7側からの回転駆動を受ける為、これらの回転数差を吸収すべくキャリア4・5が回転するのである。つまり、HSTモードにおいてもキャリア5に固設されたギヤ6に駆動されて、モータ出力軸26上のギヤ11は回転駆動しているのである。
【0024】
そして、クラッチ14を切断し、クラッチ13を接続させることによりHMTモードへ切換えられた場合には、モータ出力軸26の回転駆動がギヤ11に伝えられることとなる。そこで、この切換タイミングをHSTモード時におけるギヤ11の回転数と、モータ出力軸26の回転数が同一となった時点で行うよう制御しているのである。このような制御を行うことで、HSTモードからHMTモードへの切換の前後においてギヤ11の回転数が変化しないため、クラッチ13の接続による衝撃が発生せずに、スムーズなHMTモードへの切換が行えるようにしているのである。
【0025】
図4は、縦軸をHST21のポンプ吐出量、横軸を合成出力回転数としたグラフを表している。そして、図のグラフG1はポンプ吐出量が−Aから+Aの範囲で変化した場合のHSTモードによるポンプ吐出量と合成出力回転数の関係を表し、グラフG2がHMTモードによるポンプ吐出量と合成出力回転数の関係を表している。つまり、上述したHSTモードからHMTモードへのスムーズな切換操作は、この2つのグラフG1・G2の交点F1 において行うことを示している。
【0026】
また、図で示すように、本発明に係るHMTの制御は、後進及び低速前進走行時には、HSTモードでの走行駆動を行い、中速前進及び高速前進時にはHMTモードによる走行駆動を行うよう制御している。このような制御を行うことで、低速域での微妙な変速を可能とするとともに、後進、前進間の切換をスムーズに行って操作フィーリングを向上させる構成とし、中速または高速前進域においては、HMTモード走行により油圧駆動による出力の損失を低減させて効率のよい走行を行い低燃費化を図っているのである。
【0027】
図のF0 点は、HMTモードにおいてHST21のポンプ出力が0となる点、つまりHST21のモータ出力軸26が回転駆動しない点である。このF0 点においては、エンジン駆動力は入力軸25から遊星歯車機構10を介して合成出力軸27側へ伝達されるが、モータ出力軸26が回転駆動しないため、遊星歯車機構10のキャリア4・5が固定された状態で動力が伝達されることとなる。
【0028】
そして、このF0 点においては、ポンプ出力が0であるから、油圧モータ23が駆動されず、エンジン出力は油圧に変換されることなく、入力軸25から伝達されるため、油圧駆動による損失が低減され、高効率な走行駆動を行える走行域となる。そこで、図5に示すように、HMTモードにおいて、該F0 点の走行駆動を行っている場合には、本機の走行速度が約4〜12km/hとなるようにしている。つまり、本発明に係るHMTは、主にトラクタに搭載されて利用されることとなるが、トラクタでの作業では土起こしを行うプラウ作業速度域が略4〜12km/hの範囲内であるため、もっとも作業頻度の高いプラウ作業速度域に高効率なF0 点を合致させることで、さらなる低燃費化が図れるのである。
【0029】
また、モータ出力軸26の回転出力は、遊星歯車機構10の加減速手段であるキャリア5を介して加算(または減算)され、合成された出力はパイプ軸7上に形成された中央の出力ギヤ3から取出される構成としている。つまり、従来の構成においては、合成された出力を遊星歯車機構10のキャリア5から取出す構成としていたため、モータ出力軸26が停止している高効率な駆動状態においても、キャリアの回転による攪拌損失等が発生していたが、本構成においては、モータ出力軸26の停止状態においては、キャリアが固定され、遊星歯車機構10の中央に位置する出力ギヤ3の回転により動力が伝達されるため、攪拌損失も小さく高効率な駆動伝達が行えるのである。
【0030】
次に、本発明に係る速度制御装置の構成について説明する。速度制御装置は、HST21の変速操作を行う主変速レバー91、副変速クラッチ62の切換によるL−H(低速段−高速段)切換を行う副変速切換スイッチ95、エンジン20の出力回転数を制御する手段である電子ガバナ93、HST21の斜板を傾動する手段である斜板アクチュエータ94、エンジン出力回転数を検出するセンサ83、主変速レバー91の回動角を検出するセンサ84、副変速クラッチ62の変速段を検出する手段であるセンサ85等より構成され、図1で示すようにそれぞれ制御部90に接続されている。
【0031】
主変速レバー91は図6で示すように、前進及び後進の速度を無段変速させるレバーであり、該主変速レバー91には副変速切換スイッチ95が設けられている。主変速レバー91にはレバーの回動角を検出するセンサ84が設けられ、該センサ84の検出値に基づいて制御部90が斜板アクチュエータ94に制御命令を送り、この命令に従って可動斜板22aの斜板角が制御される。また、副変速切換スイッチ95の操作によるL−H切換信号が制御部90に送られ、この命令に基づいて前記副変速クラッチ62が切換えられる。
【0032】
以上の構成において、主変速レバー91を前進走行速度域で増速していった場合、ポンプ吐出量の増加にともないHMTの合成出力回転数が増加し、これに従って本機の速度が前進増速する。そして、主変速レバー91がある設定速度に対応した回動角まで傾動された場合には、主変速レバー91の増速側への傾動操作に伴い、エンジン出力回転数を低減させるよう制御している。つまり、主変速レバー91の増速側への傾動によりポンプ吐出量が増加するが、設定速度を上回らないように制御部90が電子ガバナ93を調整することによりエンジン出力回転数を低減させ、HMTの出力回転数を増加させないように制御しているのである。このような制御を行うことにより、本機が設定速度に達した後、さらに主変速レバー91を前進増速側に傾動させても設定速度が維持されるのである。
【0033】
また、オペレータによるアクセルレバー92の操作によりエンジン出力回転数が増加した場合には、センサ83がエンジン出力回転数を検出し、本機の走行速度が設定速度を上回らないように制御を行う。つまり、制御部90が前記斜板アクチュエータ94に制御命令を送り、斜板アクチュエータ94が可動斜板22aの斜板角を制御することにより、HST21側からの出力回転数を低減させる。これにより、HMTの合成出力回転数を増加させないよう制御し、本機の走行速度を設定速度で維持するよう構成しているのである。
【0034】
このように、HST21の斜板を傾動する手段である斜板アクチュエータ94とエンジン20の出力回転数を制御する手段である電子ガバナ93とを連動させて設定速度を維持するよう構成しているので、例えば、設定速度を35km/hとすることで、様々な緩和措置の優遇を得られることが可能となる。そして、この緩和措置により本発明に係るHMTを搭載する本機のコストを削減することが可能となった。また、設定速度はHMTの合成出力回転数とタイヤ(駆動輪)の径との関係で決定されるものであるが、仕様変更等でタイヤ径が変更された場合にも対応できるよう、制御部90は与えられたタイヤ径を加味した設定速度の維持制御を行うようにしている。これにより、例えば駆動輪をタイヤ径の小さいものに変更した場合に、設定速度(35km/h等)が得られないということはなく、一定の設定速度に対する汎用的な制御が可能となるのである。
【0035】
また、上述した設定速度の維持制御は、前記副変速クラッチ62が高速段に変速されている場合のみ有効となるよう制御している。副変速クラッチ62が低速段に変速されている場合には、主変速レバー91を前進増速側に最大限傾動させた場合にも設定速度には達しないよう構成されており、この場合、主変速レバー91の回動角が設定速度に達する回動角となるまで傾動された場合にも、本機の速度は設定速度には達しないので、設定速度の維持制御は行わないようにしているのである。つまり、副変速クラッチ62の変速段を検出するセンサ85が高速段を検出する場合のみ設定速度を維持するよう構成しているのである。
【0036】
そして、本発明においては前記副変速切換スイッチ95は、主変速レバー91が中立位置(図6のN位置)にある場合のみ、操作可能としている。つまり、副変速クラッチ62が低速段に変速されている状態において、主変速レバー91を前進側に最大限傾動させた状態で、副変速を高速段側に切換えた場合、設定速度を越えるHMTの出力回転数が駆動されることとなる。また、設定速度を維持するためには、エンジン20の出力回転数の低減を急激に行わなければならない。そこで、主変速レバー91が中立位置の場合のみ副変速を切換え可能とすることで、設定速度の安定した維持制御を可能としているのである。
【0037】
また、図7で示すように、本発明に係るHMTにおいては、主変速レバー91の操作量に対して本機の走行速度が略3次曲線を描いて増速、減速するよう構成している。つまり、低速域と高速域においては、主変速レバー91の傾動操作による操作量(回動角)が同一であっても、変速幅が異なるように、制御部90が斜板アクチュエータ94を介してHST21の斜板角を調整しており、本機の速度が前進及び後進の低速域では徐々に増速、減速し、前進及び後進の高速域では、変速幅が大きくなるようにしているのである。そして、速度が0である点において、最も増減速が緩やかになるように制御しているのである。
【0038】
このような主変速レバー91とHST21の斜板角の調整は、一般的にHST(HMTではない)において実施可能である。つまり、主変速レバーの回動操作によりHSTの斜板を傾動させる構成において、主変速レバーの操作量に対してHSTの出力回転数が略3次曲線を描きながら増減するように斜板角を制御させることにより、走行速度が略3次曲線を描きながら増減するよう構成するのである。
【0039】
このような制御を行うことにより、前進及び後進のスムーズな発進を可能として、急発進を防止して操作性を向上させている。また、比較的高速走行を行う移動中には、変速幅を大きくして変速の感度を上げて、操作性を向上させているのである。
【0040】
次に、HMTモードにおける駆動系の異常検出手段について説明する。上述の如く、HMTモードにおいては、エンジン20の動力を一方は入力軸25より遊星歯車機構10に伝達し、他方はHST21を介してモータ出力軸26より遊星歯車機構10に伝達して合成するよう構成している。そして、合成された出力回転数は前記合成出力軸27に伝達されるが、この合成出力軸27より下流側で検出される合成出力回転数、及び、前記モータ出力軸26の回転数を検出することにより異常検出を行う。
【0041】
図2に示すように、前記モータ出力軸26の後端には回転数検出用のギヤ9が固設されており、該ギヤ9の近傍にはモータ出力軸26出力回転数を検出する手段であるセンサ81が設けられている。また、前記合成出力軸27に固設されたギヤ15には、合成出力軸27の出力回転数を検出する手段であるセンサ82が設けらている。ここで、HMTモードにおいては、モータ出力軸26の出力回転数と、入力軸25の出力回転数が遊星歯車機構10において合成された後、合成出力軸27に伝達される構成であるので、前記センサ82は合成出力回転数を検出する手段となるのである。そして、図1に示すように該センサ81・82は、それぞれ制御部90に接続されている。
【0042】
そして、制御部90はセンサ81よりモータ出力軸26の出力回転数を検出するとともに、この検出結果より合成出力回転数を演算するのである。つまり、エンジン回転数より求められる入力軸25の回転数は、サンギヤ1、プラネタリアギヤ2、出力ギヤ3のギヤ比により変速されてパイプ軸7に伝達される。さらに、検出したモータ出力軸26の出力回転数がギヤ11・6のギヤ比により変速されてキャリア5に加算されるため、この加算を加味したパイプ軸7の回転数が求められるのである。そして、ギヤ8・16のギヤ比より合成出力軸27に伝達される合成出力回転数が演算により求められるのである。
【0043】
また、前述の如く、合成出力軸27にもセンサ82が設けられているので、このセンサ82により検出した合成出力回転数と、上記演算より求めた合成出力回転数とを比較するのである。そして、この比較によりそれぞれの合成出力回転数が異なる場合には、HMT変速装置に異常が発生していることとなる。異常原因としては、前記クラッチ13・14の断接が正常に行われていない場合や、キャリア4・5が正常に駆動していない場合等が挙げられる。
【0044】
上述した実施例においては合成出力回転数の検出手段としてセンサ82を合成出力軸27に設ける構成としているが、このセンサ82を前記前輪駆動軸29に遊嵌されたギヤ66等に設けることにより、前記副変速軸28における合成出力回転数を検出する構成としてもよい。つまり、合成出力回転数の検出手段は合成出力軸27より下流側に位置する何れかの軸に設ければよく、前記センサ81の検出結果より演算で求めた合成出力回転数と、合成出力軸27より下流側で検出される合成出力回転数とを比較すればよいのである。ただし、センサ81の検出結果より行う演算においては、センサ82をギヤ66等に設けた場合には、副変速装置の変速比を加味する必要がある。
【0045】
このようにセンサ82を合成出力軸27より下流側に設けることにより、HMT変速装置に発生した異常を検出することが可能であり、また、前記副変速クラッチ62等の異常も併せて検出することが可能である。さらに、後輪及び前輪の回転軸に、より近い位置で合成出力回転数を検出する構成となるので、車速の検出センサとして機能し、速度計としての利用が可能となるのである。
【0046】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。
請求項1に記載の如く、エンジン(20)からの動力を、一方は遊星歯車機構(10)に伝え、他方は油圧式無段変速装置(21)を介して遊星歯車機構(10)に伝えて合成する油圧−機械式変速装置において、該油圧−機械式変速装置の後段に、副変速クラッチ(62)の操作によりギヤ連を選択する副変速装置を設け、該副変速装置の変速段を検出する手段を設け、走行速度が設定速度に達すると、油圧式無段変速装置(21)の斜板を傾動する手段と、該エンジン(20)の出力回転数を制御する手段とを連動させて、設定速度を維持するよう構成し、前記副変速装置の変速段が高速段の場合のみ、前記設定速度を維持するように制御したので、設定速度を緩和措置の優遇が得られる法規制の枠内とすることにより、コスト削減が可能となった。
また、前記油圧−機械式変速装置に副変速装置を設け、該副変速の変速段を検出する手段を設け、高速段を検出する場合のみ前記設定速度を維持するよう構成したので、安定した設定速度の維持制御が可能となった。
【0047】
また、前記油圧式無段変速装置(21)の斜板を、前進及び後進を無段変速させる主変速レバー(91)の回動操作により傾動させる構成とし、該主変速レバー(91)には副変速を切り換える切換スイッチ(95)を付設し、前記副変速切換スイッチ(95)は、前記主変速レバー(91)が中立位置に回動操作された場合のみ、切換操作を可能としたので、副変速クラッチ62が低速段に変速されている状態において、主変速レバー91を前進側に最大限傾動させた状態で、副変速を高速段側に切換えた場合、設定速度を越えるHMTの出力回転数が駆動されることとなる。そして、本発明により、設定速度を維持するためには、エンジン20の出力回転数の低減を急激に行わなければならないこととなる。この急激なエンジン20の出力回転数の低減を危険である。そこで、本発明の如く、主変速レバー91が中立位置の場合のみ副変速を切換え可能とすることで、設定速度の安定した維持制御が可能となったのである。
【0048】
請求項2においては、請求項1記載の走行速度制御装置において、前記主変速レバー(91)の回動操作量に対して、走行速度が略3次曲線を描きながら増減するよう制御し、走行速度が前進及び後進の低速域では徐々に増速・減速し、前進及び後進の高速域では、変速幅が大きくなるように構成し、走行速度が0である点において、最も増減速が緩やかになるように制御したので、前進及び後進のスムーズな発進を可能として、急発進を防止でき、また、比較的高速走行を行う移動中には、変速幅を大きくして変速の感度を上げて、操作性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるHMTのスケルトン図である。
【図2】 HST及びミッション(前部)の断面展開図である。
【図3】 ミッション(後部)の断面展開図である。
【図4】 HSTモード及びHMTモードにおけるポンプ吐出量と合成出力回転数との関係を示す図である。
【図5】 HMT走行による駆動効率を示す図である。
【図6】 主変速レバーを示す図である。
【図7】 主変速レバーの操作量と本機速度の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 遊星歯車機構
13 油圧クラッチ
14 油圧クラッチ
21 HST
25 入力軸
26 モータ出力軸
27 合成出力軸
90 制御部
91 主変速レバー
92 アクセルレバー
93 電子ガバナ
94 斜板アクチュエータ
95 副変速切換スイッチ

Claims (2)

  1. エンジン(20)からの動力を、一方は遊星歯車機構(10)に伝え、他方は油圧式無段変速装置(21)を介して遊星歯車機構(10)に伝えて合成する油圧−機械式変速装置において、該油圧−機械式変速装置の後段に、副変速クラッチ(62)の操作によりギヤ連を選択する副変速装置を設け、該副変速装置の変速段を検出する手段を設け、走行速度が設定速度に達すると、油圧式無段変速装置(21)の斜板を傾動する手段と、該エンジン(20)の出力回転数を制御する手段とを連動させて、設定速度を維持するよう構成し、前記副変速装置の変速段が高速段の場合のみ、前記設定速度を維持するように制御し、前記油圧式無段変速装置(21)の斜板を、前進及び後進を無段変速させる主変速レバー(91)の回動操作により傾動させる構成とし、該主変速レバー(91)には副変速装置を切り換える切換スイッチ(95)を付設し、前記副変速切換スイッチ(95)は、前記主変速レバー(91)が中立位置に回動操作された場合のみ、切換操作を可能としたことを特徴とする走行速度制御装置。
  2. 請求項1記載の走行速度制御装置において、前記主変速レバー(91)の回動操作量に対して、走行速度が略3次曲線を描きながら増減するよう制御し、走行速度が前進及び後進の低速域では徐々に増速・減速し、前進及び後進の高速域では、変速幅が大きくなるように構成し、走行速度が0である点において、最も増減速が緩やかになるように制御したことを特徴とする走行速度制御装置。
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