JP4193470B2 - 不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法という。)により流下させる不活性ガスと、引き上げるピュアシリコン単結晶におけるピュアマージンとの関係を予測する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体集積回路の超微細化にともないデバイスの歩留まりを低下させる要因として、結晶に起因したパーティクル(Crystal Originated Particle、以下、COPという。)や、酸化誘起積層欠陥(Oxidation induced Stacking Fault、以下、OSFという。)の核となる酸素析出物の微小欠陥や、或いは侵入型転位(Interstitial-type Large Dislocation、以下、L/Dという。)の存在が挙げられている。
COPは、鏡面研磨されたシリコンウェーハをアンモニアと過酸化水素の混合液でSC−1洗浄すると、ウェーハ表面に出現する結晶起因のピットである。このウェーハをパーティクルカウンタで測定すると、このピットがパーティクル(Light Point Defect、LPD)として検出される。COPは電気的特性、例えば酸化膜の経時絶縁破壊特性(Time Dependent dielectric Breakdown、TDDB)、酸化膜耐圧特性(Time Zero Dielectric Breakdown、TZDB)等を劣化させる原因となる。またCOPがウェーハ表面に存在するとデバイスの配線工程において段差を生じ、断線の原因となり得る。そして素子分離部分においてもリーク等の原因となり、製品の歩留りを低くする。
【0003】
OSFは、結晶成長時に形成される微小な酸素析出が核となっていると考えられ、半導体デバイスを製造する際の熱酸化工程等で顕在化する積層欠陥である。このOSFは、デバイスのリーク電流を増加させる等の不良原因になる。L/Dは、転位クラスタとも呼ばれたり、或いはこの欠陥を生じたシリコンウェーハをフッ酸を主成分とする選択エッチング液に浸漬すると方位を持ったエッチングピットを生じることから転位ピットとも呼ばれる。このL/Dも、電気的特性、例えばリーク特性、アイソレーション特性等を劣化させる原因となる。
【0004】
以上のことから、半導体集積回路を製造するために用いられるシリコンウェーハからCOP、OSF及びL/Dを減少させることが必要となっている。
このCOP、OSF及びL/Dを有しない無欠陥のインゴット及びこのインゴットからスライスされたシリコンウェーハが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この無欠陥のインゴットは、インゴット内での空孔型点欠陥の凝集体及び格子間シリコン型点欠陥の凝集体がそれぞれ検出されないパーフェクト領域を[P]とするとき、パーフェクト領域[P]からなるインゴット、即ちピュアシリコン単結晶インゴットである。パーフェクト領域[P]は、インゴット内で空孔型点欠陥が優勢であって過飽和な空孔が凝集した欠陥を有する領域[V]と、格子間シリコン型点欠陥が優勢であって過飽和な格子間シリコンが凝集した欠陥を有する領域[I]との間に介在する。
【0005】
パーフェクト領域[P]からなるピュアシリコン単結晶インゴットは、インゴットの引上げ速度をV(mm/分)とし、シリコン融液とシリコンインゴットの固液界面近傍における軸方向温度勾配をG(℃/mm)とするとき、熱酸化処理をした際にリング状に発生するOSF(Pバンド)がウェーハ中心部で消滅し、かつL/D(Bバンド)を発生しない領域のV/G(mm2/分・℃)の範囲内で作られる。
このピュアシリコン単結晶の生産性や収率等を向上するためには、ピュアマージンを拡大することが必要である。ピュアマージンは引上げ時における固液界面形状と何らかの相関性があると考えられている。
そこで固液界面形状をピュアシリコン単結晶インゴット製造の制御因子として用いる方法が研究されている。例えば固液界面形状を考慮して無欠陥結晶を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、結晶側面の温度分布とシリコン融液とシリコン単結晶との固液界面形状を考慮することによって、広範囲に無欠陥領域を備えるシリコンインゴットを安定かつ再現性よく製造することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−1393号公報
【特許文献2】
特開2001−261495号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した特許文献2に示された方法では、固液界面の形状と、固液界面近傍のインゴット側面における温度分布との関係を適切に調整することによって、無欠陥結晶を安定かつ再現性よく製造しているが、インゴットを引き上げる際にそのインゴットの外周面を流下する不活性ガスについて考慮されていないため、上記公報に示された方法を用いてインゴットを引上げたとしても、ピュアマージンの幅が予測できず、無欠陥結晶を安定かつ再現性よく得ることは実際に難しかった。
本発明の目的は、ピュアマージンの幅を予測することにより、実際に引上げて確認する作業やコストを大幅に低減する、不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ヒータにより融解されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引上げる引上げ条件を任意に決めて総合熱解析手法を利用することによりシリコン融液の対流を数値的にシミュレーションを行ってインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速とインゴットのピュアマージンとの関係を予測する方法である。
【0009】
その特徴ある点は、シミュレーションにより得られたインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分のシリコン融液に生じる対流の中心とインゴット中心との半径方向距離をRfとし、インゴットの半径をRcとするとき、式(1)を満たすときインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが増加すると予測し、式(2)を満たすときインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速とピュアマージンはともに無関係であると予測し、式(3)を満たすときインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが減少すると予測するところにある。
Rf≦(Rc/2) …(1)
(Rc/2)<Rf≦Rc …(2)
Rc<Rf …(3)
【0010】
この請求項1に係る発明では、任意の引上げ条件を設定し、総合熱解析手法を利用して数値的にシミュレーションを行うことにより得られたRcとRf関係が上記式(1)〜(3)のいずれに該当するかにより、不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測し、その関係に基づいて不活性ガスの流速等を変化させることによりピュアマージンの幅を拡大することが可能になる。そしてピュアマージンの幅を拡大した引上げ条件を設定することにより、実際に引上げて確認する作業やコストを大幅に低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、インゴットを引き上げる際にそのインゴットの外周面を流下する不活性ガスの流速により、インゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分(以下、「メニスカス近傍」という。)のシリコン融液に生じる対流が変化することの知見から本発明を導き出した。即ち、パーフェクト領域からなるピュアシリコン単結晶の引上げ条件を規定する制御因子にインゴットの外周面を流下する不活性ガスの流速を含め、シリコン単結晶インゴット成長時のシリコン融液の対流を数値的にシミュレーション解析することにより導き出した。
【0012】
図1に示すように、先ず、ヒータにより融解されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引上げる引上げ条件を任意に決めて定常計算を行い、シリコン融液の対流を考慮した固液界面形状を解析した。任意の引上げ条件としては、るつぼの回転速度、インゴットの回転速度、チャンバ内を流通させる不活性ガスの流量、ホットゾーンの形状、ヒートキャップの形状、ヒータの形状やその配置、ボトムヒータの形状やその配置、ヒータ電力の大きさ、ヒートキャップとシリコン融液面との距離(Gap)、印加する磁場の種類、コイルの形状、コイルの位置、磁場強度、外的な機械振動の状態等が挙げられる。この解析から、引上げ時における対流パターンは次の3種類に分類されることが判った。即ち、メニスカス近傍のシリコン融液に生じる対流の中心とインゴット中心との半径方向距離をRfとし、インゴットの半径をRcとするとき、図2(a)に示すようなRf≦(Rc/2)のパターン(式(1))、図2(b)に示すような(Rc/2)<Rf≦Rcのパターン(式(2))、図2(c)に示すようなRc<Rfのパターン(式(3))である。
【0013】
次いで、上記3種類に分類された対流パターンについての多くのシミュレーション解析を行った。先ず、図2(b)に示すようなシリコン融液の対流をシミュレーション解析した。この解析図を図3に示す。図3より明らかなように、シリコン融液の対流は、最も高い変位点Aよりもインゴット周辺側の直下で小さい対流渦が発生していることが判った。即ち、インゴットの半径をRc、メニスカス近傍のシリコン融液に生じる対流の中心とインゴット中心との半径方向距離をRfとするとき、(Rc/2)<Rf≦Rcからなる式(2)の関係を満たすことが確認された。そして、他の条件を変化させずにチャンバ内を流通させる不活性ガスの流量を変化させて、その固液界面の形状がどのように変化するかについてミュレーション解析を行った。その結果、不活性ガスの流速を変化させてもその対流パターンが変化することは認められなかった。
【0014】
また、図2(c)に示すようなシリコン融液の対流をシミュレーション解析した。この解析図を図4に示す。図4より明らかなように、シリコン融液の対流は、インゴット周辺より外側で小さい対流渦が発生していることが確認された。即ち、Rc<Rfからなる式(3)の関係を満たすとき、メニスカス近傍を流れる不活性ガス流により下凸型の固液界面が生じることが判った。そして、他の条件を変化させずにチャンバ内を流通させる不活性ガスの流量を変化させて、その固液界面の形状がどのように変化するかについてミュレーション解析を行った。その結果、不活性ガスの流速を増加させると固液界面中央の下側に突出する割合が増加し、不活性ガスの流速を減少させると固液界面中央の下側に突出する割合が減少することが判った。
【0015】
更に、図2(a)に示すようなシリコン融液の対流をシミュレーション解析した。この解析図を図5に示す。図5より明らかなように、シリコン融液の対流は、インゴットの中心近傍で小さい対流渦が発生していることが確認された。即ち、Rf≦(Rc/2)からなる式(1)の関係を満たすとき、メニスカス近傍を流れる不活性ガス流により上凸型の固液界面が生じることが判った。そして、他の条件を変化させずにチャンバ内を流通させる不活性ガスの流量を変化させて、その固液界面の形状がどのように変化するかについてミュレーション解析を行った。その結果、不活性ガスの流速を増加させると固液界面中央の上側に突出する割合が増加し、不活性ガスの流速を減少させると固液界面中央の上側に突出する割合が減少することが判った。
【0016】
一方、図3に示す変位点Aにおける軸方向温度勾配は大きく変化する。またその変位点Aの近傍においてもシリコン融液からの熱流束も他の部分より特に大きくなり、その変位点Aにおける軸方向温度勾配は他の固液界面形状位置における軸方向温度勾配よりも大きくなることが判る。ここで、ボロンコフの理論に基づいた場合、シリコン単結晶棒を最適な引上げ速度で引上げることによりシリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布を略均一にする必要がある。してみると、ピュアマージンの幅は温度勾配の径方向分布を略均一か否かにより決定される。
【0017】
そこで、上記3種類に分類された対流パターンのそれぞれについて、引上げられるシリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布と不活性ガスの流速との関係を検討する。先ず、図3に示すような対流パターンであると、不活性ガスの流速を変化させてもその対流パターンが変化することは認められないことから、不活性ガスの流速とピュアマージンとは無関係であり、上述した式(2)を満たすときメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速とピュアマージンはともに無関係であると予測することができる。従って、この場合においてピュアマージンを拡大するためには、この他の条件、即ちチャンバ内におけるホットゾーンの形状、ヒートキャップの形状、ヒータの形状やその配置、ボトムヒータの形状やその配置、ヒータ電力の大きさ、ヒートキャップとシリコン融液面との距離(Gap)、印加する磁場の種類、コイルの形状、コイルの位置、磁場強度、外的な機械振動の状態等を変化させることが必要であることが判る。
【0018】
次に、図4に示すような対流パターンが生じる場合を検討すると、不活性ガスの流速を増加させると固液界面中央の下側に突出する割合が増加することから、シリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布は、不活性ガスの流速の増加に伴い拡大することになる。その一方、不活性ガスの流速を減少させると固液界面中央の下側に突出する割合が減少することから、シリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布は、不活性ガスの流速の減少に伴い減少することになる。従って、上述した式(3)を満たすときメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが減少すると予測することができる。
【0019】
更に、図5に示すような対流パターンが生じる場合を検討すると、不活性ガスの流速を増加させると固液界面中央の上側に突出する割合が増加することから、シリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布は、不活性ガスの流速の増加に伴い減少することになる。その一方、不活性ガスの流速を減少させると固液界面中央の上側に突出する割合が減少することから、シリコン単結晶棒の軸方向における温度勾配の径方向分布は、不活性ガスの流速の減少に伴い増加することになる。従って、上述した式(1)を満たすときメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが増加すると予測することができる。
【0020】
以上のことからすると、図1に示すように、実際にインゴットを引上げる前に、先ず任意の引上げ条件を設定して定常計算を行い、次いでこの条件から総合熱解析手法を利用して融液対流を数値的にシミュレーションし、シミュレーションにより得られたメニスカス近傍のシリコン融液に生じる対流の中心とインゴット中心との半径方向距離をRfとし、インゴットの半径をRcとするとき、上述した式(2)を満たすときメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速とピュアマージンはともに無関係であるので、そのまま温度勾配分布をシミュレーションして良ければ実際に引上げて確認し、悪ければ最初に入力された任意の引上げ条件を変更する。
【0021】
また、シミュレーションを行うことにより得られたRcとRfの関係が上記式(1)に該当する場合には、メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが増加すると予測できるので、不活性ガスの流速を増加するように変更入力し、その不活性ガスの流速と連動した対流を更に解析し、その後温度勾配分布をシミュレーションして良ければ実際に引上げて確認する。
更に、シミュレーションを行うことにより得られたRcとRfの関係が上述した式(3)に該当する場合には、メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速の増加とともにピュアマージンが減少すると予測できるので、不活性ガスの流速を減少するように変更入力し、その不活性ガスの流速と連動した対流を更に解析し、その後温度勾配分布をシミュレーションして良ければ実際に引上げて確認する。このようにして、ピュアマージンの幅を拡大した引上げ条件を予測できるため、実際に引上げて確認する作業やコストを大幅に低減できる。
【0022】
一方、不活性ガスの流速を変更入力してガス流連動対流解析した後の温度勾配分布が不適切な場合には、その温度勾配分布をチェックし、ガス流の調整で温度勾配分布を是正し得るものか否かを判断する。そして、その温度勾配分布をガス流の調整で是正し得る範囲内のものであればそのガス流を更に調整し、その温度勾配分布がガス流の調整で是正できない範囲内のものであれば、最初に入力された任意の引上げ条件を変更する。このように、不活性ガスの流速を変更入力してガス流連動対流解析した後の温度勾配分布が不適切な場合であっても、実際に引上げて確認する作業やコストを大幅に低減できる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例>
先ず、任意の引上げ条件を設定し、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合と図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合の2種類の引き上げ条件を決定した。そして、他の条件を変化させずにチャンバ内を流通させる不活性ガスの流量をそれぞれ変化させてインゴットの外周面及びシリコン融液の表面の境界部分におけるメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速を徐々に変化させ、総合熱解析手法を用い、数値的にシミュレーション解析を行って、不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測した。メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速は0.1〜0.5m/sec、0.5〜1.0m/sec、1.0〜3.0m/sec及び3.0〜5.0m/secの範囲を選定した。
【0024】
この結果、メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が0.1〜0.5m/secの場合、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは僅かに減少したが、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンに変化は認められなかっら。メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が0.5〜1.0m/secの場合、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは明らかに減少したが、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンに変化は認められなかった。メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が1.0〜3.0m/secである場合、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは非常に減少したが、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは僅かに拡大した。そして、メニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が3.0〜5.0m/secである場合、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは消滅したが、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のピュアマージンは著しく拡大した。
【0025】
次に、他の条件を変化させずにチャンバ内を流通させる不活性ガスの流量を変化させてメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速を0.3m/sec、0.8m/sec、2.0m/sec及び4.0m/secとする任意の引上げ条件を図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合と図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のそれぞれについて4パターンづつ設定した。これらの引上げ条件を用い、実際にシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを実際にそれぞれ4本引上げた。次いで、引上げたシリコン単結晶インゴットを軸方向にスライスし、かつミラーエッチングすることにより、表面が鏡面化したシリコンサンプルを作製した。次に、このスライスしたシリコンサンプルを所定の熱処理条件で熱処理して、パーフェクト領域[P]を含むサンプルを作製した。熱処理条件は、窒素又は酸化性雰囲気下で800℃で4時間保持し、更に続いて1000℃で16時間保持した。この熱処理したサンプルを銅デコレーション(copperdecoration)、セコエッチング(secco-etching)、X線トポグラフ像分析(X-Ray Topography)分析、再結合ライフタイム(lifetime)測定等の方法により測定して、パーフェクト領域[P]に対応される速度範囲をピュアマージンと規定した。
【0026】
具体的には、図6に示すように、先ず、上記各測定方法により領域[V]、領域[P]及び領域[I]をそれぞれ観察した。次いで、領域[V]と領域[P]の境界位置の×印で示される変曲点のうち、最も領域[I]に近い変曲点位置における引上げ速度を引上げ速度V1と規定した。次に、領域[P]と領域[I]の境界位置の×印で示される変曲点のうち、最も領域[V]に近い変曲点位置における引上げ速度を引上げ速度V2と規定した。そしてこの引上げ速度V1〜V2の範囲内をピュアマージンと規定した。この結果、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を示す図を図7に示し、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を示す図を図8に示す。なおピュアマージンはピュアマージンの最大値で除すことにより、相対的に表記した。
【0027】
図7より明らかなように、図4に示すRc<Rfの関係を有する対流パターンが生じる場合のメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が大きくなるにつれて、ピュアマージンが減少していることが判る。また、図8より明らかなように、図5に示すRf≦(Rc/2)の関係を有する対流パターンが生じる場合のメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速が大きくなるにつれて、ピュアマージンが拡大していることが判る。一方、図3に示す(Rc/2)<Rf≦Rcの関係を有する対流パターンが生じる場合はそれらの中間にあるため、そのピュアマージンはメニスカス近傍を流れる不活性ガスの流速富む関係であろうと推認される。この結果から、本発明の予測方法による制御因子が引上げ条件の設定において有効であることを確認した。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の予測方法では、不活性ガスの流速を含む任意の引上げ条件を設定し、総合熱解析手法を利用して数値的にシミュレーションすることにより得られたメニスカス近傍のシリコン融液に生じる対流の中心とインゴット中心との半径方向距離との関係が上記式(1)〜(3)のいずれに該当するかにより、不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測し、その関係に基づいて不活性ガスの流速等を変化させることによりピュアマージンの幅を拡大することが可能になる。そしてピュアマージンの幅を拡大した引上げ条件を設定することにより、実際に引上げて確認する作業やコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を予測する方法を含む引き上げ条件の設定を示すフローチャート。
【図2】引上げ条件の違いによる対流パターンの違いを示す図。
【図3】図2(b)おける対流を示すシミュレーション図。
【図4】図2(c)における対流を示すシミュレーション図。
【図5】図2(a)における対流を示すシミュレーション図。
【図6】ピュアマージンを規定するための説明図。
【図7】図4に示す対流パターンが生じる場合における不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を示す図。
【図8】図5に示す対流パターンが生じる場合における不活性ガスの流速とピュアマージンとの関係を示す図。

Claims (1)

  1. ヒータにより融解されたシリコン融液からシリコン単結晶インゴットを引上げる引上げ条件を任意に決めて総合熱解析手法を利用することにより前記シリコン融液の対流を数値的にシミュレーションを行って前記インゴットの外周面及び前記シリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速と前記インゴットのピュアマージンとの関係を予測する方法であって、
    シミュレーションにより得られた前記インゴットの外周面及び前記シリコン融液の表面の境界部分のシリコン融液に生じる対流の中心と前記インゴット中心との半径方向距離をRfとし、前記インゴットの半径をRcとするとき、
    式(1)を満たすとき前記インゴットの外周面及び前記シリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速の増加とともに前記ピュアマージンが増加すると予測し、
    式(2)を満たすとき前記インゴットの外周面及び前記シリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速と前記ピュアマージンはともに無関係であると予測し、
    式(3)を満たすとき前記インゴットの外周面及び前記シリコン融液の表面の境界部分を流れる不活性ガスの流速の増加とともに前記ピュアマージンが減少すると予測する方法。
    Rf≦(Rc/2) …(1)
    (Rc/2)<Rf≦Rc …(2)
    Rc<Rf …(3)
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