JP4190131B2 - 医療用血液浄化器およびハウジング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液透析療法等において使用される中空糸膜型の医療用血液浄化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液透析療法において用いられる血液透析器等の医療用血液浄化器には、1回のみ使用する使い捨ての所謂ディスポーザブル製品や血液浄化処理を行った後消毒し再生を行い同一のモジュールを複数回使用する所謂リユース製品とがある。
【0003】
現在、全世界的に腎不全患者が増加し続けており、医療費も増加の一途を辿っている。腎不全患者一人にかかる医療コストを削減するために、モジュールの価格を低下させることが強く求められている。しかしながら、モジュールのコストを低下させることと性能を向上させることは多くの場合両立せず、モジュールの製造コスト削減にも限界がある。
【0004】
一方では、使用後に廃棄された血液浄化器を処分するための埋め立てや焼却処分により環境を破壊するので、廃棄物量を減少させることも大きな課題とされている。この点においてディスポーザブル製品は廃棄物量の増加を招く。また、現在の血液透析器は、血液や透析液が使用中に漏れないように堅牢なハウジングが用いられており、使用後に廃棄する際、徒手的に圧縮できないため、廃棄物の容積が大きくなってしまう。
【0005】
これらの問題に対し、米国等において上記リユースを行うことにより廃棄物量を減少させ、また、全体的な医療コストを低減させることが行われている。しかし、一度使用したモジュールを再度同一の患者に誤り無く使用するために、リユース製品を患者毎に区分けし消毒・再生し保管しなければならない。リユース製品は、ディスポーザブル製品と比べ、消毒・再生・保管のためのスペースが必要であり、また、区分け・消毒・再生・保管のための煩雑な作業が伴い、新たな経費がかかることとなる。さらに、リユース製品は、長期使用した場合の安全性がディスポーザブル製品にくらべ保証されておらず、リユース製品を用いた血液透析の施行についての問題が指摘されている。
【0006】
また、中空糸膜を用いた浄水器や工業用限外濾過器など分野においては、中空糸膜とハウジングが容易に着脱できる技術が広く利用されている。しかし、血液透析器のような医療分野においては、血液と接触する部分の無菌性を保持したまま、かつ中空糸膜を介して患者の血液と物質交換を行った透析液の漏れのない中空糸膜とハウジングの着脱を可能としたものは知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決した、血液と接触する部分である血液入口ポート、中空糸膜、血液出口ポートおよび封止部からなる血液接触部を使い捨てとし、血液と接触しないハウジングを再利用することによって、低コスト化、廃棄物容量低減化を達成する医療用血液浄化器を提供するものである。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)から()に記載の手段により、達成される。
【0021】
)血液が流入する血液入口ポート、血液が流出する血液出口ポート、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部からなる血液浄化器であって、
該中空糸膜束の一端の上記封止部から他端の上記封止部に亘って、該中空糸膜束を覆う柔軟な材料からなる被包材を有し、該被包材内部空間に透析液が流入する透析液入口および透析液が流出する透析液出口を有し、
さらに、上記被包材の過度の膨張を抑制するハウジングであって、上記透析液入口および上記透析液出口が該ハウジングの外部と連通可能であり、略長軸方向に分割可能であり、かつ開閉自在であるハウジングにより覆われていることを特徴とする医療用血液浄化器。
【0022】
)滅菌されている上記()に記載の医療用血液浄化器。
)上記被包材材料の曲げ強さが20MPa以下である上記()または()に記載の医療用血液浄化器。
【0023】
)上記中空糸膜束の少なくとも一部を透析液膨潤性材料で束ねた上記()ないし()に記載の医療用血液浄化器。
【0027】
)上記ハウジングが、500mmHg以下の上記被包材内圧では分割しない保持冶具を有する上記(1)ないし(4)に記載の医療用血液浄化器。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の態様の血液浄化器の一例を示す縦断面図である。図2は、本発明の第1の態様の血液浄化器に用いるハウジングの一例を示す縦断面図である。図3は、図1に示した血液浄化器と図2に示した血液浄化器用ハウジングを組み合わせた血液浄化器組み立て体の縦断面図である。
【0030】
本発明は、血液が流入する血液入口ポート21、血液が流出する血液出口ポート22、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束3、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部4からなる血液浄化器であって、該封止部と液密に当接し該中空糸膜束を覆う硬質のハウジングを有さないことを特徴とする滅菌された医療用血液浄化器である。この構成を有することにより、徒手的に圧縮することができ、廃棄物の容量を減少させることができる。該封止部4により、血液入口ポート21の血液流入部92と中空糸膜内腔31と血液出口ポート22の血液血液流出部93とで形成される血液流通空間が外界と区画される。
【0031】
また、本発明は、血液が血液入口ポート21、中空糸内腔31、および血液出口ポート22を流れ、透析液が各中空膜32の外部を流れる血液浄化器において、血液入口ポート21、中空糸内腔31および血液出口ポート22からなる血液流路を、透析液流路の一部を形成するハウジング6から、自由に脱着可能にして血液と接触する前記血液流路を構成する部分を使い捨てにして、血液と接触しない前記ハウジングを再利用することにより、低コスト化と廃棄物容量の低減を達成するものである。
【0032】
また、前記血液浄化器1と前記ハウジング6で構成される血液浄化器組み立て体100において、使い捨てにされる前記血液流路を構成する部分としての血液浄化器1の接合部5とハウジング6の当接部8との間に、透析液膨潤性材料51を配置することにより、該ハウジング6に流入した透析液が該接合部5と該当接部8の間から漏れることを防止するものである。接合部とは、具体的には、一般に「ポッティング材」と呼ばれる、各中空糸膜の外面同士の間および中空糸膜の外面と周囲の材料との間を液密に封止する、通常ウレタン樹脂やエポキシ樹脂で形成される封止部4の表面41、あるいは、血液入口ポート21や血液出口ポート22等において、該ハウジング6の当接部8と組み合わされて液密性を得る部材表面23等を指し、該接合部5は、該封止部表面41や該部材表面23等のそれぞれ単独で構成されていてもよいし、該封止部表面41と該部材表面23等が複合して構成されていてもよい。該当接部8は、該ハウジング6の両端の開口部近傍に設けることが好ましい。
【0033】
また、ハウジング6の当接部8は、血液浄化器組み立て体100において、該接合部5と対応する部分である。当接部8には、液密にするため、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系エラストマー、シリコーンが配置されていてもよい。
【0034】
該接合部5に透析液膨潤性材料51を配置することにより、透析時は透析液が流れて、該透析液膨潤性材料51と透析液が接触し、該透析液膨潤性材料51が膨潤して、該接合部5と該当接部8の間をしっかり接合し、透析液の漏出を防止することができる。
【0035】
血液浄化処理が終了した後、該透析液膨潤性材料51を収縮させることにより、該血液浄化器1と該ハウジング6を分離することが容易となる。該透析液膨潤性材料51の収縮は、該透析液膨潤性材料51に注射器等によりエタノールを注入して、透析液膨潤性材料を脱水すること等にに行うことができる。また、該ハウジング6が長軸方向に割れて開くことにより、該血液浄化器1が該ハウジング6から脱着可能となる。該ハウジングが長軸方向に割れて開閉する場合等、該ハウジングの該当接部8に透析液膨潤性材料を設けることが好ましい。透析時は該血液浄化器1を該ハウジング6で覆い、該ハウジング6を閉じ、透析液が流れて該透析液膨潤性材料が膨潤して透析液側が液密となり、透析終了時は該ハウジング6を開くことにより、該血液浄化器1と該ハウジング6を分離することができる。
【0036】
さらに、該血液浄化器1の中空糸膜束3の各中空糸膜32を外力から保護するために該中空糸膜束3をメッシュ、スポンジ等の多孔性材料で覆うことにより、透析液が中空糸膜の間を流通することを可能としながら、該中空糸膜束3の該ハウジングへの装着・脱離、あるいは血液浄化処理のセッティング操作等を容易にすることができる。
【0037】
また、該中空糸膜束3の全面を一端の封止部から他端の封止部まで柔軟な材料からなる被包材で覆うことにより、該中空糸膜束3を外力から保護することができる。この際、該被包材には、透析液が流入する部位と流出する部位に外部との連通部を有する。
【0038】
また、該中空糸膜束3の一部に透析液膨潤性材料からなるバンドを設けることにより、該血液浄化器1の該ハウジングへの装着、収納が容易となり、また、中空糸膜束を外力から保護することができる。特に該バンドが中空糸膜束3の中ほどに位置することが好ましい。
【0039】
図3に示した本発明の医療用血液浄化器および血液浄化器用ハウジングは、図1の血液浄化器1と図2のハウジング6からなる。血液浄化器1は、血液入口ポート21および血液出口ポート22と各中空糸32の束3が封止部4により液密に接続され、血液流入部92、各中空糸膜内腔31および血液流出部93により形成される血液流路と、該封止部4の表面41に配置された透析液膨潤性材料51を有する接合部5で構成される。ハウジング6は、該接合部5と当接する当接部8、透析液が出入りする透析液入口71、透析液出口72、胴部81からなる。透析液入口71と透析液出口72は、液体の入出に関し固定されたものではなく、透析液入口71から透析液が流出しても構わない。また、流出入する液体について透析液に限定されるものではなく、適用する血液浄化方法により血液濾過液、置換液等でもよい。
【0040】
ハウジング6、血液入口ポート21および血液出口ポート22は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、その他アクリル系樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種樹脂を用いることができ、内部の視認性を確保するために、透明または半透明であることが好ましい。また、液体の入側と出側の区別を容易にするために、血液入口ポート21と血液出口ポート22を異なる色に着色等してもよい。
【0041】
図3において、ハウジング6内には、そのほぼ全長にわたり、中空糸膜束3が収納されている。本発明の血液浄化器に用いられる中空糸膜32は、例えば、100〜70,000本程度であり、各中空糸膜32は、ハウジング6の長手方向に沿って並列的に配置されている。中空糸膜32としては、例えば、再生セルロース、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルナイロン、ポリエステル系ポリマーアロイで構成されるものが挙げられる。可燃性の中空糸膜であれば、焼却することができるためさらに好ましい。
【0042】
また、中空糸膜束3の血液浄化のための有効膜面積は、特に限定されないが、好ましくは、100cm〜6.0m程度、より好ましくは、0.2〜2.0m程度とされる。
【0043】
各中空糸膜32の両端部は、各中空糸膜32の端部開口が閉塞されない状態で、両端の封止部4により、各中空糸膜の間および各中空糸膜の外面と血液ポート(入口、出口)の間が液密に支持固定されている。封止部4は、例えばポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂のようなポッティング材で構成される。該封止部4の成形方法は、従来の中空糸膜型血液浄化器を製造する際に用いられる方法を用いることができる。例えば、従来の中空糸膜型血液浄化器に用いられるハウジング形状を、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンで作製し仮ハウジングとし、該仮ハウジングに中空糸膜束を挿入する。中空糸膜束3の端部近傍(例えば該仮ハウジングの透析液出入口)より液状の該ポッティング材を注入し遠心しながら硬化させる遠心注入法により硬化させ、次いで端部の硬化した該ポッティング材を切断し、各中空糸膜の内腔を開口させる。最後に該仮ハウジング破壊することにより、本発明の封止部を有する中空糸膜束が形成される。
【0044】
本発明の血液浄化器は、上記の両端に封止部を有する中空糸膜束に、さらに、両端の該封止部に血液入口ポート、血液出口ポートを接着剤等で接着、あるいは高周波融着等接合することにより、血液浄化器とすることができる。
【0045】
本発明の血液浄化器は、医療用に用いるためには、滅菌されていなければならない。滅菌は、従来用いられているエチレンオキサイドガス滅菌法、高圧蒸気滅菌法、γ線や電子線などの放射線滅菌法、その他の方法を用いることができる。滅菌の際、該血液浄化器を各滅菌方法に適した滅菌包装材料により包装することが好ましい。細菌の通過しない中空糸膜を用いる場合には、血液と接触する部分を汚染から保護するため、血液入口ポート先端と血液出口ポート先端にキャップをし、細菌不透過性とするのみでもよい。滅菌操作の際、血液浄化器の中空糸膜束部分に過度の負荷が加わらないように、滅菌包装材料の外部より該中空糸膜部分の補強材をあてがってもよい。
【0046】
上記の通り作製した血液浄化器は、血液入口ポート21の血液流入部92、血液出口ポート22の血液流出部93、中空糸膜32の内腔31には、血液が流れる血液流路が形成され、ハウジング6と中空糸膜束3の間隙および隣接する各中空糸膜32同士の間隙には、透析液が流れる透析液流路が形成される。すなわち、該血液流路と該透析液流路とは、各中空糸膜32で隔てられている。この場合、該透析液流路の上流側は、透析液入口71に連通し、下流側は、透析液出口72に連通している。このような構成により、血液入口ポート21から流入した血液は、中空糸内腔を流れ、血液出口ポート22から流出し、一方、透析液流入口71から流入した透析液は、透析液流路を前記血液の流れとは反対方向に流れ(カウンターフロー)、透析液流出口72より流出する。
【0047】
透析液膨潤性材料51は、接合部5および/または当接部に配置することができる。例えば、封止部表面41でハウジング6の内面の当接部に面する部位に配置することができる。また、ハウジング6の内面の当接部に配置することもできる。本発明に使用し得る透析液膨潤性材料としては例えば、(架橋)ポリアクリル酸塩または(架橋)アクリル酸−アクリル酸塩共重合体(例えば、株式会社日本触媒製AQUALlC、荒川化学工業株式会社製ARASORB、花王株式会社製WONDERGEL、製鉄化学工業株式会社製AQUAKEEP,DowChemica1社製D.W.A.L.、NationalStarch社製PARMASORB,Stockausen社製FAVOR等)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(例えば、クラレ・イソブチン株式会社製KIGel)、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体またはそのケン化物(例えば、三洋化成工業株式会社製SUNWET,GrainProcessing社製GPC,Henkel社製SGP,SuperAbsorbent社製MagicWaterGel、Unilever社製LYOGEL等)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物(例えば、住友化学工業株式会社製SUMIKAGEL)、酢酸ビニル−不飽和ジカルボン酸共重合体(例えば、日本合成化学工業製GP)、カルボキシメチルセルロース(例えば、BuckeyeCellulose社製CLD、Enka社製AKUCELL等)、アクリロニトリル繊維内芯とアクリル酸塩共重合体外層との複合繊維(例えば東洋紡績株式会社製LANSEAL)、ポリアクリル酸ソーダ塩繊維(例えば、鐘紡株式会社製BELLOASIS)等がある。
【0048】
これらのうち、超吸水繊維であるアクリロニトリル繊維内芯とアクリル酸塩共重合体外層との複合繊維およびポリアクリル酸ソーダ塩繊維が最も好ましい。なお、透析液膨潤性材料は、作製上の理由等から、水膨潤性を有する材料を用いるのが好ましく、さらにこれらの材料の含透析液率は1O重量%以上、好ましくは10〜2,600重量%、より好ましくは50〜2,000重量%である。モジュール内において透析液膨潤性材料に吸収されるのは水ではなく透析液である。透析液は多種のものが知られている。異なる種類の透析液は、含透析液率が異なり、透析液膨潤性材料の含透析液率は溶液のイオン強度に影響を受けるが、通常使用されている透析液の1価および2価イオンの濃度差は僅かであるので、透析液が代わっても重量増加率の違いは少ない。
【0049】
また、本発明の血液浄化器は、図4に示したように、中空糸膜束3が多孔性材料35で覆われていることが好ましい。該多孔性材料は、メッシュ、スポンジ、不織布等を用いることができる。材質は、ステンレス、チタン等の低腐食性の金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォン等、あるいは、エラストマー材料の場合、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系エラストマー等のプラスチック材料を用いることができる。透析液と接触したときに溶出物等による生体為害性が実質的にない材料であれば用いることができる。該多孔性材料は、各中空糸膜32の間に透析液が流通することができれば、使用可能である。
【0050】
また、本発明の血液浄化器は、図7に示す通り、中空糸膜束3の全面を一端の封止部37から他端の封止部38まで柔軟な材料からなる被包材36で覆うことにより、該中空糸膜束3を外力から保護することができる。この際、該被包材36には、透析液が流入する部位308と流出する部位307に外部との連通部を有する。
【0051】
該被包材36の材料曲げ強さが20MPa以下であることが好ましく、2〜20MPaがさらに好ましい。材料としてポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系エラストマーが好ましい。透析液と接触したときに溶出物等による生体為害性が実質的にない材料であれば用いることができる。ここで、材料曲げ強さの測定は、JIS K7203曲げ試験に従う。
【0052】
また、本発明の血液浄化器は、図5に示し通り、該中空糸膜束3の一部に上記接合部に配置する材料として列挙した透析液膨潤性材料からなるバンド48を設けることにより、該血液浄化器1の該ハウジングへの装着、収納が容易となり、また、中空糸膜束を外力から保護することができる。特に該バンド48が中空糸膜束3の中ほどに位置することが好ましい。
【0053】
図6は、図5に示した血液浄化器に透析液を充填した場合の、該バンド48の様子を表す模式図である。透析液が充填された場合、透析液膨潤性材料である接合部51と該バンド48は膨潤する。バンド48は、膨潤してバンド49のようになる。
【0054】
本発明のハウジングは長軸方向に割れて開閉可能であることが好ましい。図10に長軸方向に開閉可能なハウジングの1例を示す。ハウジング6には、背部82、開閉部84、固定部83、止め金具86、当接部8が設けられており、血液流路の装着・脱着を可能にし、透析液側を液密にすることが可能である。背部82は、例えば、ちょうつがいの構造を有していてもよく、またエラストマーのゴム弾性を利用してもよい。背部がちょうつがい型構造の場合、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォンが好ましい。背部82がエラストマーの場合、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系エラストマーが好ましい。当接部8には、液密にするため、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系エラストマー、シリコーンが好ましい。また、当接部8には、透析液膨潤性材料の配置されていることが好ましい。固定部83には、外筒を押さえる構造なら何でも良く、止め金具構造が好ましい。
【0055】
本発明のハウジングは、500mmHg以下の内圧では分割しない該パッキン部、該固定部等の保持冶具を有することが好ましい。この特性により従来の血液浄化器と同様の安全性を得ることができる。
【0056】
本発明の第2の態様の血液浄化器の縦断面図を図8に示す。また、図9に図8の血液浄化器と同時に用いられるハウジングの縦断面図を示す。
【0057】
本発明は、血液が流入する血液入口ポート201、血液が流出する血液出口ポート202、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束300、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部400からなる血液浄化器101であって、該中空糸膜束300の一端の封止部401から他端の封止部402に亘って、該中空糸膜束を覆う柔軟な材料からなる被包材605を有し、該封止部401、402、該被包材605および各中空糸膜300の外面により透析液室191を形成する。該被包材605には該透析液室191に透析液が流入する透析液入口701および透析液が流出する透析液出口702を有することを特徴とする医療用血液浄化器である。この構成を有することにより、本発明の血液浄化器は、徒手的に圧縮することが容易であり、廃棄物容量を低減させることができる。
【0058】
該被包材605の材料曲げ強さが20MPa以下であることが特に好ましい。また、材料として、上記被包材36と同じ材料から選択することができる。
【0059】
また、該透析液入口701および該透析液出口702は、外部の透析液供給手段および透析液回収手段と接続可能であれば、材質、形状は限定されるものではないが、硬質材料で構成されている場合、しっかりとした接続をえるのが容易である。ステンレス、チタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォン等が例示できる。
【0060】
また、該血液浄化器101は、ハウジング601と共に用いるものである。該ハウジング601は硬質の材料からなり、透析液が該透析液室191に流入した際、該被包材605が過度に膨張することを防止するものである。
【0061】
図8、図9に示した第2の態様の血液浄化器101の中空糸膜の性状、材料、その他の部材、ハウジング601の材料等については、本発明の第1の態様と同じものを用いることができる。
【0062】
第2の態様の血液液浄化器は、第1の態様と同じ滅菌方法を採用することができる。
【0063】
また第2の態様の血液液浄化器は、第1の態様と同じ多孔性材料で覆うことができる
本発明の第2の態様に用いられるハウジング601は、該血液浄化器101の該被包材605に設けられた該透析液入口701および該透析液出口702が、該ハウジング601を装着したときに、外部と連通可能とするため、口部703、704を有する。
【0064】
該ハウジング601は、500mmHg以下の該被包材601の内圧(透析液室191圧力)では分割しない、前記第1の態様のハウジングに用いられるのと同様の該背部、該固定部等の保持冶具を有することが好ましい。この特性により従来の血液浄化器と同様の安全性を得ることができる。
以下、本発明の透析器の実施例を挙げて詳述する。
【0065】
【実施例1】
外径280μm及び内径200μmのポリスルフオン製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束を、有効長さ235mm、内径36mmの円筒状のポリプロピレンからなるウレタンポッティング用仮ハウジングに挿入した。次に仮ハウジング内に挿入された各中空糸膜の両端部にポリウレタン樹脂製ポッティング剤を、注入し、硬化させて各中空糸膜の両端部を封止、固定し、その両端をスライスして各中空糸膜の内腔を開口させた。ポリプロピレン製の仮ハウジングはウレタン樹脂との接着性がないため、ウレタン樹脂から容易に剥離するので、仮ハウジングを封止部から剥離して、中空糸膜と封止部を仮ハウジングから取り出した。
【0066】
両端のポッティング封止部にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径36mm)および血液出口ポート(最外径36mm)を接着剤により接着した。透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)を封止部外周の表面に巻き付け接着し、接合部を形成し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0067】
ついで、この血液浄化器を片面ポリエステル/ポリエチレン複合フィルム、他面ポリエチレン不織布の滅菌袋に入れ該袋をシールし、121℃20分蒸気滅菌を行った。滅菌後、80℃のオーブンに入れ、温風乾燥した。
【0068】
一方、ハウジングとして、ポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのものを準備した。
【0069】
上記の滅菌済み血液浄化器を滅菌袋から取りだし、準備したハウジングに挿入し、血液浄化器組み立て体をえた。
【0070】
一般の血液透析治療に用いられている透析装置の透析液供給回路と透析液回収回路をそれぞれ血液浄化器組み立て体の透析液入口および透析液出口に接続し、透析液を透析液入口から注入し、血液浄化器組み立て体に充填した。
【0071】
血液浄化器の接合部に配置した上記吸水性繊維は、透析液と接触することにより瞬時に膨潤し、透析液を流速500ml/min、ハウジング内圧480mmHgで4時間の循環を行っても、接合部からの透析液の明らかな漏出は見られなかった。
【0072】
【実施例2】
外径252μm及び内径200μmの再生セルロース製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束の中央部に透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)からなるバンド6g(巾5cm)を装着した。この中空糸膜束を有効長さ235mm、内径31mmの円筒状のポリプロピレンからなるウレタンポッティング用仮ハウジングに挿入した。
【0073】
実施例1と同様にして封止部の両端に中空糸膜の内腔が開口したモジュールを得た。このモジュールの封止部外周表面にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径33mm)および血液出口ポート(最外径33mm)を接着剤で接着した。
【0074】
血液入口ポート、血液出口ポートそれぞれの最外径部分の外周に、透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)を巻き付け接着し、接合部を形成し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0075】
ついで、この血液浄化器を片面ポリエステル/ポリエチレン複合フィルム、他面ポリエチレン不織布の滅菌袋に入れ該袋をシールし、121℃20分蒸気滅菌を行った。滅菌後、80℃のオーブンに入れ、温風乾燥した。
【0076】
一方、ハウジングとして、長軸方向に開閉するポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのものを準備した。
【0077】
上記の滅菌済み血液浄化器を滅菌袋から取りだし、準備したハウジングに挿入し、血液浄化器組み立て体をえた。
【0078】
一般の血液透析治療に用いられている透析装置の透析液供給回路と透析液回収回路をそれぞれ血液浄化器組み立て体の透析液入口および透析液出口に接続し、透析液を透析液入口から注入し、血液浄化器組み立て体に充填した。
【0079】
血液浄化器の接合部に配置した上記吸水性繊維は、透析液と接触することにより瞬時に膨潤し、透析液を流速500ml/min、ハウジング内圧500mmHgで4時間の循環を行っても、接合部からの透析液の明らかな漏出は見られなかった。
【0080】
【実施例3】
外径252μm及び内径200μmの再生セルロース製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束の全周にポリエステルからなるメッシュ(70メッシュ、線径120μm、平均メッシュ厚み182μm)を巻きつけた。さらにその中央部に透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)からなるバンド6g(巾5cm)を装着した。この中空糸膜束を有効長さ235mm、内径31mmの円筒状のポリプロピレンからなるウレタンポッティング用仮ハウジングに挿入した。
【0081】
実施例2と同様にして上記メッシュと中空糸膜束を同時にポッティングし、封止部の両端に中空糸膜の内腔が開口させ、血液入口ポート、血液出口ポートを接着剤で接着した。
【0082】
血液入口ポート、血液出口ポートそれぞれの最外径部分の外周に、透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)を巻き付け接着し、接合部を形成し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0083】
ついで、この血液浄化器を片面ポリエステル/ポリエチレン複合フィルム、他面ポリエチレン不織布の滅菌袋に入れ該袋をシールし、121℃20分蒸気滅菌を行った。滅菌後、80℃のオーブンに入れ、温風乾燥した。
【0084】
一方、ハウジングとして、長軸方向に開閉するポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのものを準備した。
【0085】
上記の滅菌済み血液浄化器を滅菌袋から取りだし、準備したハウジングに挿入し、血液浄化器組み立て体をえた。
【0086】
一般の血液透析治療に用いられている透析装置の透析液供給回路と透析液回収回路をそれぞれ血液浄化器組み立て体の透析液入口および透析液出口に接続し、透析液を透析液入口から注入し、血液浄化器組み立て体に充填した。
【0087】
血液浄化器の接合部に配置した上記吸水性繊維は、透析液と接触することにより瞬時に膨潤し、透析液を流速500ml/min、ハウジング内圧450mmHgで4時間の循環を行っても、接合部からの透析液の明らかな漏出は見られなかった。
【0088】
【実施例4】
外径252μm及び内径200μmの再生セルロース製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束の中央部に透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)からなるバンド6g(巾5cm)を装着した。この中空糸膜束を有効長さ235mm、外形36mm(厚さ200μm)の円筒状のポリウレタンからなり、ポリカーボネートからなる透析液入口、出口を有するハウジングに挿入し、その外側から、長軸方向に分割可能な円筒状のポリプロピレン製の補強ハウジングで覆った。
【0089】
実施例1と同様にしてウレタン樹脂によりポッティング操作を行い、ウレタン樹脂の硬化後、該補強用ハウジングを分割し取外した後、封止部の両端に中空糸膜の内腔が開口したモジュールを得た。このモジュールの封止部外周表面にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径36mm)および血液出口ポート(最外径36mm)を接着剤で接着し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0090】
ついで、この血液浄化器を片面ポリエステル/ポリエチレン複合フィルム、他面ポリエチレン不織布の滅菌袋に入れ該袋をシールし、121℃20分蒸気滅菌を行った。滅菌後、80℃のオーブンに入れ、温風乾燥した。
【0091】
一方、ハウジングとして、長軸方向に開閉するポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのものを準備した。
【0092】
上記の滅菌済み血液浄化器を滅菌袋から取りだし、準備したハウジングに挿入した。
【0093】
一般の血液透析治療に用いられている透析装置の透析液供給回路と透析液回収回路をそれぞれ血液浄化器組み立て体の透析液入口および透析液出口に接続し、透析液を透析液入口から注入し、血液浄化器組み立て体に充填した。
【0094】
血液浄化器の接合部に配置した上記吸水性繊維は、透析液と接触することにより瞬時に膨潤し、透析液を流速500ml/min、ハウジング内圧500mmHgで4時間の循環を問題無く行うことができた。
【0095】
【比較例1】
外径280μm及び内径200μmのポリスルフオン製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束を、円筒状のポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのハウジングに挿入した。
【0096】
次に実施例1と同様にして、ハウジング内に挿入された各中空糸膜の両端部にポリウレタン樹脂製ポッティング剤を、注入し、硬化させて各中空糸膜の両端部を封止、固定し、その両端をスライスして各中空糸膜の内腔を開口させた。
【0097】
両端のポッティング封止部にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径38mm)および血液出口ポート(最外径38mm)を接着剤により接着し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0098】
【比較例2】
外径252μm及び内径200μmの再生セルロース製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束の中央部に透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)からなるバンド6g(巾5cm)を装着した。この中空糸膜束をポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのハウジングに挿入した。
【0099】
次に実施例1と同様にして、ハウジング内に挿入された各中空糸膜の両端部にポリウレタン樹脂製ポッティング剤を、注入し、硬化させて各中空糸膜の両端部を封止、固定し、その両端をスライスして各中空糸膜の内腔を開口させた。
【0100】
両端のポッティング封止部にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径38mm)および血液出口ポート(最外径38mm)を接着剤により接着し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0101】
【比較例3】
外径252μm及び内径200μmの再生セルロース製中空糸膜約10,000本の束(有効膜面積1.5m)を用意し、この中空糸膜の束の中央部に透析液膨潤性材料としてポリアクリル酸塩よりなる吸水性繊維5000デニール(鐘紡株式会社製BELLOASlS、含透析液率1,963%)からなるバンド6g(巾5cm)を装着した。この中空糸膜束をポリカーボネート製の有効長さ235mm、内径38mmで透析液入口および透析液出口付きのハウジングに挿入した。
【0102】
次に実施例1と同様にして、ハウジング内に挿入された各中空糸膜の両端部にポリウレタン樹脂製ポッティング剤を、注入し、硬化させて各中空糸膜の両端部を封止、固定し、その両端をスライスして各中空糸膜の内腔を開口させた。
【0103】
両端のポッティング封止部にポリカーボネート製の血液入口ポート(最外径38mm)および血液出口ポート(最外径38mm)を接着剤により接着し、血液透析器として血液浄化器を得た。
【0104】
[試験例1]気密漏洩試験:透析型人工腎臓装置承認基準に定める気密漏洩試験に従い、透析器の透析液入口・出口および血液出口ポートを閉じ、血液入口ポートより空気を送り、最高使用圧力500mmHg付近にしてから、400mmHgに降下させ血液入口ポート付近を閉じた。5分放置後の圧力を読みとった。5分後の圧力低下が最高使用圧力の10%(50mmHg)以内にあれば合格とする。n=3で試験を行った。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0004190131
いずれの実施例ともに合格であり、気密性に問題はなかった。
【0106】
[試験例2]クリアランス測定:日本人工臓器学会で定めるクリアランス測定方法に従い、血液側流量(Qb)200m1/min、透析液側流量500m1/minで流し、TMP:0mmHg(濾過流量:Oml/min)で行った。血液側には尿素100mg/dlの溶液を用いて、5分間以上定常待ちを行った後に、血液側入口、出口および透析液側出口のサンプリングを行った。n:3で試験を行った。クリアランスCLは(1)式から算出する。
【0107】
CL=((CBi−CBo)/CBi)×Qb……(1)
ここでCBi:血液側入口濃度、CBo:血液側出口濃度である。結果を表2に示す。
【0108】
【表2】
Figure 0004190131
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2および実施例3と比較例3の間に差がみられず、良好なクリアランスが得られた。
【0109】
[試験例3]廃棄容量:実施例1では使用後、透析液膨潤材にエタノールを注入し・収縮させ、血液ポートと中空糸の束の部分をハウジングから取り出した。実施例2から3では使用後、ハウジングを開き、血液ポートと中空糸の束の部分を取り出した。廃棄容量は、一定の容量の容器(縦27.5cm×横37.5cm×深さ20.0cm)に入るモジュール数の逆数で評価した。試験はn:3で行った。比較例のモジュールの廃棄容量(比較例1〜3は同一容量)を1としたときの廃棄容量比を表3に示す。
【0110】
【表3】
Figure 0004190131
廃棄容量は比較例に比べて約30〜50%に減少した。また実施例2〜3では焼却処理が可能であった。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、血液が流入する血液入口ポート、血液が流出する血液出口ポート、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部からなる血液浄化器であって、該封止部と液密に当接し該中空糸膜束を覆う硬質のハウジングを有さない滅菌された医療用血液浄化器であるので、血液浄化処理後、廃棄する際、徒手的に変形、圧縮できるので、廃棄物容量を大きく減少させることができる。
【0112】
また、本発明は、血液が流入する血液入口ポート、血液が流出する血液出口ポート、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部からなる血液浄化器であって、該血液入口ポートおよび該血液出口ポートの外面、および/または該封止部の外面に該中空糸膜束を覆う硬質ハウジングと液密に接合しうる接合部を有する滅菌された医療用血液浄化器であるので、廃棄物容量を減少させることができ、また、容易に硬質ハウジングの再利用ができる。
【0113】
また、本発明は、透析液が流入する透析液入口および透析液が流出する透析液出口を有するハウジングであって、上記医療用血液浄化器の上記接合部と当接して液体の漏出を防止する当接部を有する血液浄化器用ハウジングであるので、上記医療用血液浄化器と組み合わせることができる。
【0114】
さらに本発明は、上記の血液浄化器用ハウジングにより上記中空糸膜と該ハウジングの間に透析液を流通させる空間を形成し、該中空糸膜を介して、中空糸膜の内腔を流れる血液と、該中空糸膜と該ハウジングの間を流れる透析液との間で透析および濾過を行う医療用血液浄化器組み立て体であるので、廃棄物容量を減少させることができ、安全に血液浄化を行うことができる。
【0115】
また、本発明は、血液が流入する血液入口ポート、血液が流出する血液出口ポート、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部からなる血液浄化器であって、該中空糸膜束の一端の上記封止部から他端の上記封止部に亘って、該中空糸膜束を覆う柔軟な材料からなる被包材を有し、該被包材に透析液が流入する透析液入口および透析液が流出する透析液出口を有する医療用血液浄化器であるので、廃棄物容量を減少させることができる。
【0116】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の態様の血液浄化器の一例を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の第1の態様の血液浄化器に用いるハウジングの一例を示す縦断面図である。
【図3】 図1に示した血液浄化器と図2に示した血液浄化器用ハウジングを組み合わせた血液浄化器組み立て体の一例の縦断面図である。
【図4】 本発明の血液浄化器の中空糸膜束が多孔性材料で覆われている一例を示す縦断面図である。
【図5】 本発明の血液浄化器の中空糸膜束の一部に透析液膨潤性材料からなるバンドを設けた一例の縦断面図である。
【図6】 図5に示した血液浄化器に透析液を充填した場合の、バンドの様子を表す模式図である。
【図7】 本発明の血液浄化器の中空糸膜束の全面を柔軟な材料からなる被包材で覆うった場合を示す一例の縦断面図である。
【図8】 本発明の第2の態様の血液浄化器の一例を示す縦断面図である。
【図9】 本発明の第2の態様の血液浄化器に用いるハウジングの一例を示す縦断面図である。
【図10】 本発明の長軸方向に割れて開閉可能なハウジングの1例で部分的に切り欠きを有す。
【符号の説明】
1 血液浄化器
21 血液入口ポート
22 血液出口ポート
23 血液ポート部材表面
3 中空糸膜束
31 中空糸膜内腔
32 中空糸膜
33、34 多孔性材料端部
35 多孔性材料
36 被包材
37、38 被包材端部
4 封止部
41 封止部表面
48 バンド(乾燥時)
49 バンド(膨潤時)
5 接合部
51 透析液膨潤性材料
6 ハウジング
71 透析液入口
72 透析液出口
8 当接部
81 ハウジング胴部
82 背部
83 固定部
84 開閉部
86 止め金具
91 透析液室
92 血液流入部
93 血液流出部
101 血液浄化器
191 透析液室
192 血液流入部
193 血液流出部
201 血液入口ポート
202 血液出口ポート
203 血液ポート表面
300 中空糸膜束
307 透析液が流入する部位
308 透析液が流出する部位
400 封止部
401、402 被包材端部
605 被包材
701 透析液入口
702 透析液出口
703、704 口部

Claims (5)

  1. 血液が流入する血液入口ポート、血液が流出する血液出口ポート、多数の中空糸膜からなる中空糸膜束、並びに該中空糸膜束の両端部において各中空糸膜の外面同士の間および該中空糸膜の内腔と該各ポートが連通するように該各ポートを液密に該中空糸膜外面に固着した封止部からなる血液浄化器であって、
    該中空糸膜束の一端の上記封止部から他端の上記封止部に亘って、該中空糸膜束を覆う柔軟な材料からなる被包材を有し、該被包材内部空間に透析液が流入する透析液入口および透析液が流出する透析液出口を有し、
    さらに、上記被包材の過度の膨張を抑制するハウジングであって、上記透析液入口および上記透析液出口が該ハウジングの外部と連通可能であり、略長軸方向に分割可能であり、かつ開閉自在であるハウジングにより覆われていることを特徴とする医療用血液浄化器。
  2. 滅菌されていることを特徴とする請求項に記載の医療用血液浄化器。
  3. 上記被包材材料の曲げ強さが20MPa以下であることを特徴とする請求項またはに記載の医療用血液浄化器。
  4. 上記中空糸膜束の少なくとも一部を透析液膨潤性材料で束ねたことを特徴とする請求項ないしに記載の医療用血液浄化器。
  5. 上記ハウジングが、500mmHg以下の上記被包材内圧では分割しない保持冶具を有することを特徴とする請求項1ないし4に記載の医療用血液浄化器。
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