JP4180457B2 - トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

トナー及びその製造方法、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に好適に用いられるトナー及びその製造方法、並びに、該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法による画像形成は、一般に、感光体(静電荷像担持体)上に静電荷像を形成し、該静電荷像を現像剤で現像して可視像(トナー像)とした後、該可視像を紙等の記録媒体に転写し定着することにより定着像とする一連のプロセスにより行われる(特許文献1及び2参照)。前記電子写真法における前記定着の方式としては、熱効率に優れ、かつダウンサイジング化を図ることが可能な点で、加熱ローラを直接、転写材上のトナー像に圧接して定着する熱ローラ定着方式が広く用いられている。
しかし、該熱ローラ定着方式の場合、前記定着のための多大な電力が必要となるという問題がある。このため、省エネルギー化を図る観点から、前記加熱ローラの消費電力を削減することが種々検討されてきており、例えば、該加熱ローラにおける、前記転写材上に転写された前記トナー像と接触する層の厚みを可能な限り薄くすることにより、熱エネルギー効率を高め、立ち上げ時間を大幅に短縮することが提案されている。ところが、この場合、前記加熱ローラの比熱容量が小さくなり、該加熱ローラ上の前記転写材が通った部分と通らなかった部分との温度差が大きくなるため、該加熱ローラへ溶融トナーが付着し、該加熱ローラが一周した後、前記転写材上の非画像部に該溶融トナーが定着されてしまう現象、即ちホットオフセット現象が生じ易くなるという問題がある。一方、前記トナーにおけるバインダー樹脂そのものの熱特性をコントロールすることにより、熱エネルギー効率を高めることも検討されている。ところが、前記バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させると、耐熱保存性の悪化を招くおそれがあり、また、前記バインダー樹脂の分子量を小さくしてF1/2温度を低下させると、前記ホットオフセット現象が生じ易くなるという問題がある。低温定着性に優れ、かつ低温でホットオフセット現象が生じ難いトナーは、未だ提供されていないのが現状である。
【0003】
1999年度の国際エネルギー機関(IEA)のDSM(Demand−side Management)プログラムにおいては、次世代複写機として、複写速度(CPM)が30以上の複写機の場合、待機時間が10秒以内、待機時の消費電力が10〜30W以下(複写速度で異なる)である性能が要求されており、省エネルギー化の達成が極めて重要な課題となってきている。
近年、前記省エネルギー化の達成のための様々な提案がなされてきている。例えば、トナーの定着可能温度を低下させる目的で、バインダー樹脂として多用されてきたスチレン−アクリル樹脂に代えて、低温定着性に優れ、耐熱保存性も比較的良好なポリエステル樹脂を使用することが提案されている(特許文献3〜8参照)。また、トナーの低温定着性を改善する目的で、バインダー樹脂中に特定の非オレフィン系結晶性重合体を添加することが提案されている(特許文献9参照)。また、バインダー樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を使用することが提案されている(特許文献10参照)。
しかしながら、これらの場合、前記バインダー樹脂の分子構造及び分子量が最適化されていないため、前記国際エネルギー機関(IEA)のDSM(Demand−side Management)プログラムにおいて要求される性能を達成することは困難である。
【0004】
ところで、前記トナーの製造方法としては、大別して粉砕法と懸濁重合法とが知られている。
前記粉砕法は、結着樹脂中に着色剤、帯電制御剤等を溶融混合し均一に分散させて得られたトナー組成物を粉砕、分級等してトナーを製造する方法である。該粉砕法の場合、以下のような問題がある。即ち、トナー組成物の粉砕を行うための粉砕機等が必要であり、コスト高となり効率的ではない。また、前記粉砕の際に粒径分布の広いトナー粒子が形成され易く、高解像度・高階調性の画像を得るためには、例えば粒径が5μm以下の微粉と20μm以上の粗粉とを分級して除去する必要があり、収率が大幅に低下してしまうという問題がある。更に、結着樹脂中に着色剤、帯電制御剤等の添加剤を均一に分散させることが困難である。該添加剤が均一に分散されていないトナーを用いると、流動性、現像性、耐久性、画像品質等が低下してしまうという問題がある。
【0005】
一方、前記懸濁重合法は、溶媒中にトナー材料を懸濁重合させることによりトナーを製造する方法である。該懸濁重合法の場合、前記粉砕法における問題を解消し得るものの、以下のような問題がある。即ち、得られるトナー粒子が球形であるため、画像面積率の高い写真画像などを形成した際に転写残トナーが多くなり、クリーニング不良が生ずる。また、給紙不良等により未転写の画像を形成した際にトナーが感光体上に残留し、それが蓄積すると画像の地肌汚れ(かぶり)が生じてしまう。その結果、帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力が発揮できなくなってしまうという問題がある。
【0006】
このため、樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を製造する乳化重合法が知られている(特許文献11参照)。しかし、該乳化重合法の場合、洗浄工程を経ても界面活性剤が、トナー粒子の表面だけでなく内部にも多量に残存する結果、該トナー粒子の帯電安定性が低下し、帯電量分布が広くなり、得られたトナーを用いて画像を形成すると、地肌汚れ(かぶり)が生じたり、感光体、帯電ローラ、現像ローラ等に汚れが生じて本来の帯電能力を発揮できなくなるという問題がある。
近時、転相乳化法により得られたトナー母粒子の表面に、該トナー母粒子よりもガラス転移温度が高くかつ粒径が小さく、酸性基を含有する樹脂を固着させてなるトナーが提案されている(特許文献12参照)。しかし、この場合、耐熱保存性はある程度良化するものの、低温定着性が依然として十分ではないという問題がある。
【0007】
したがって、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用いた関連技術は、未だ提供されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】
特公昭43−24748号公報
【特許文献3】
特開昭60−90344号公報
【特許文献4】
特開昭64−15755号公報
【特許文献5】
特開平2−82267号公報
【特許文献6】
特開平3−229264号公報
【特許文献7】
特開平3−41470号公報
【特許文献8】
特開平11−305486号公報
【特許文献9】
特開昭62−63940号公報
【特許文献10】
特許第2931899号公報
【特許文献11】
特許第2537503号公報
【特許文献12】
特開2001−22117号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、帯電量分布がシャープで鮮映な高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、下記の通りである。即ち、
<1> 重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を含み、前記樹脂微粒子における、シェルを形成する樹脂のガラス転移温度をTgSとし、コアを形成する樹脂のガラス転移温度をTgCとした時、次式、TgS−TgC>20℃、を満たすことを特徴とするトナーである。
<2> 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中に分散した有機溶媒中で反応させてなるトナー母粒子を生成しつつ粒子状に得られる前記<1>に記載のトナーである。
<3> 樹脂微粒子を表面に有してなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)が35〜150℃である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> トナー母粒子がポリエステル樹脂を含む前記<1>から<>のいずれかに記載のトナーである。
> コアを形成するのに用いるコア用単量体を重合させてコア粒子を形成した後、シェルを形成するのに用いるシェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させることにより、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を形成する樹脂微粒子形成工程と、該樹脂微粒子と、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを水系媒体中に分散した有機溶媒中で分散させかつ反応させてトナー母粒子を生成しつつトナーを得るトナー母粒子生成工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
> 前記<1>から<>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
> 前記<1>から<>のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
【0011】
本発明のトナーは、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を含む。本発明のトナーにおいては、該樹脂微粒子を含むので、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とが両立され、高画質が形成可能である。
なお、本発明のトナーにおいては、樹脂微粒子がシード重合によって得られた態様、樹脂微粒子における、コアを形成するのに用いるコア用単量体とシェルを形成するのに用いるシェル用単量体との質量比(コア用単量体:シェル用単量体)が50/50〜99.9/0.1である態様、樹脂微粒子の含有量が0.5質量%以上である態様、樹脂微粒子が、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成された態様、ポリエステル樹脂がウレア変性ポリエステル樹脂を含む態様、非反応性ポリエステルを含み、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と該非反応性ポリエステルとの質量比(重合体:非反応性ポリエステル)が5/95〜50/50である態様、離型剤、着色剤及び帯電制御剤から選択される少なくとも1種を含む態様、ガラス転移温度(Tg)が40〜70℃である態様、流出開始温度(Tfb)が100〜170℃である態様、テトラヒドロフラン(THF)に対する不溶分が1〜15質量%である態様、テトラヒドロフラン(THF)に対する可溶分の分子量分布において、分子量が1,000未満の成分量が5.0質量%以下である態様、テトラヒドロフラン(THF)に対する可溶分の分子量分布において、分子量が1,000〜30,000及び30,000超の成分量がそれぞれ1〜10質量%であり、かつ数平均分子量が2,000〜15,000である態様、重量平均粒径(D4)が3〜8μmである態様、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.00〜1.25である態様、平均円形度が0.95〜1.00である態様、トナーが、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックから選択される少なくとも1種である態様、などが好ましい。
【0012】
本発明のトナーの製造方法は、コアを形成するのに用いるコア用単量体を重合させてコア粒子を形成した後、シェルを形成するのに用いるシェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させることにより、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を形成する樹脂微粒子形成工程と、該樹脂微粒子と、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成しつつトナーを得る接着性基材生成工程とを含む。本発明のトナーの製造方法においては、前記樹脂微粒子形成工程において、コアを形成するのに用いるコア用単量体が重合されてコア粒子が形成された後、シェルを形成するのに用いるシェル単量体が前記コア粒子表面で重合され、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子が形成される。前記接着性基材生成工程において、該樹脂微粒子と、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とが前記水系媒体中で分散されかつ反応されて接着性基材が生成され、粒子状のトナーが得られる。その結果、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とが両立し、高画質を形成可能なトナーが効率的に製造される。
なお、本発明のトナーの製造方法においては、コアを形成するのに用いるコア用単量体とシェルを形成するのに用いるシェル用単量体との質量比(コア用単量体:シェル用単量体)が50/50〜99.9/0.1である態様、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と該非反応性ポリエステルとの質量比(重合体:非反応性ポリエステル)が5/95〜50/50である態様、などが好ましい。
【0013】
本発明の現像剤は、前記本発明のトナーを含む。このため、該現像剤を用いて電子写真法により画像形成を行うと、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件で、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
なお、本発明の現像剤においては、一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれかである態様、などが好ましい。
【0014】
本発明のトナー入り容器は、前記本発明のトナーを容器中に収容してなる。このため、該トナー入り容器に収容されたトナーを用いて電子写真法により画像形成を行うと、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件で、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
【0015】
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する。該プロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、利便性に優れ、また、前記本発明のトナーを用いるので、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件で、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
【0016】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成手段が、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。前記現像手段が、該静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する。前記転写手段が、前記可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる。その結果、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件で、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
【0017】
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記本発明のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む。該画像形成装置においては、前記静電潜像形成工程において、静電潜像担持体上に静電潜像が形成される。前記現像工程において、前記静電潜像が前記本発明のトナーを用いて現像され、可視像が形成される。前記転写工程において、前記可視像が記録媒体に転写される。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像が定着される。その結果、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件で、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(トナー)
本発明のトナーは、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子と、接着性基材とを含み、更に必要に応じて、着色剤、離型剤、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤等のその他の成分を含む。
【0019】
−樹脂微粒子−
前記樹脂微粒子は、前記トナーに含まれていればよいが、該トナーの表面に存在しているのが好ましい。この場合、該樹脂粒子により前記トナーの耐ホットオフセット性、耐熱保存性、低温定着性等を所望の範囲に容易に制御可能な点で有利である。
【0020】
前記樹脂微粒子の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重量平均分子量(Mw)が、8,000〜1000,000であることが必要であり、10,000〜600,000がより好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)が、8,000未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、前記トナーの保管時乃至使用時において現像機内でブロッキングが発生し、100,000を超えると、前記樹脂微粒子の含有量の制御が困難になったり、また、定着下限温度が上昇してしまう。
前記樹脂微粒子の重量平均分子量(Mw)は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、前記樹脂微粒子約1gを三角フラスコで精評した後、THF(テトラヒドロフラン)10〜20gを加え、樹脂濃度5〜10%のTHF試料溶液とする。次に、40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを1ml/minの流速で流し、前記THF試料溶液20μlを注入する。そして、試料の重量平均分子量(Mw)は、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出することができる。前記検量線は、ポリスチレン標準試料を用いて作成される。なお、前記単分散ポリスチレン標準試料としては、例えば東ソー社製の分子量2.7×102〜6.2×106の範囲のものを使用することができる。また、前記検出器としては、屈折率(RI)検出器を使用することができる。前記カラムとしては、例えば、東ソー社製のTSKgel、G1000H、G2000H、G2500H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、GMHなどが挙げられる。
【0021】
前記樹脂微粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、体積平均粒径で、20〜400nmであることが必要、40〜200nmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、20nm未満であると、前記トナーの表面上に残存する前記樹脂微粒子が皮膜化したり、前記トナーの表面全体を密に覆ってしまうことがあり、その結果、該樹脂微粒子が前記トナー内部の前記接着性基材と、転写材としての定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度が上昇してしまい、400nmを超えると、前記トナーの表面に残存する前記樹脂微粒子が凸部として大きく突出したり、粗状態の多重層として樹脂微粒子が残存し、現像時の撹拌ストレスにより、該樹脂微粒子が脱離等することがある。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」;堀場製作所社製)などを用いて測定することができる。
【0022】
前記樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、35〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、40℃未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、前記トナーの保管時乃至使用時においてブロッキングが発生することがあり、150℃を超えると、前記樹脂微粒子の含有量の制御が困難になったり、定着下限温度が上昇してしまうことがある。
【0023】
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(「DSC−60」;島津製作所製など)を用いて、10℃/分で室温〜200℃まで昇温した後、降温速度10℃/分で室温まで冷却した後、昇温速度10℃/分で測定した際に、ガラス転移温度以下のベースラインとガラス転移温度以上のベースラインの高さ(h)が1/2に相当する曲線部分から求めることができる。
【0024】
前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量(残存量)は、0.5質量%以上が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、0.5〜15質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、保管時乃至使用時にブロッキングの発生が見られることがあり、20質量%を超えると、前記樹脂微粒子が前記トナーの母粒子を被覆しきれずに前記トナーから脱離してしまい、鮮映性に優れた高画質が得られないことがある。
なお、前記樹脂微粒子の前記トナーにおける含有量は、各種方法により測定することができ、前記樹脂微粒子にのみ起因する物質乃至官能基等を、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計などを用いて分析することにより、そのピーク面積から算出することができる。
【0025】
前記樹脂微粒子は、コア・シェル構造を有していることが必要である。
この場合、前記トナーの保存時には圧力が印加されないため、該トナーは破壊せず、ガラス転移温度の低い前記コアを形成する樹脂が露出しないため、トナー間の融着が防止され、一方、前記トナーの定着時には、前記トナーに圧力が印加されて該トナーが破壊され、ガラス転移温度の低い前記コアを形成する樹脂が露出し、低温定着が可能となり、その結果、前記トナーの耐ホットオフセット性を改善し、前記耐熱保存性と前記低温定着性等とを両立可能とさせる点で、前記樹脂微粒子において、前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度をTgSとし、前記コアを形成する樹脂のガラス転移温度をTgCとした時、次式、TgS>TgC、を満たすことが好ましく、TgS−TgC>10℃、を満たすのがより好ましく、TgS−TgC>20℃、を満たすのが更に好ましい。TgS−TgC>30℃、を満たすのが特に好ましい。
なお、前記コア・シェル構造において、前記シェルは前記コアの全表面上に存在していてもよいし、一部の表面上にのみ存在していてもよい。
【0026】
前記樹脂微粒子における、前記コアを形成するのに用いるコア用単量体と、前記シェルを形成するのに用いるシェル用単量体との質量比(コア用単量体:シェル用単量体)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50/50〜99.9/0.1が好ましく、60/40〜99/1がより好ましく、60/40〜90/10が特に好ましい。
前記質量比(コア用単量体:シェル用単量体)が前記範囲内にあると、得られるトナーの耐熱保存性を良好にすることができる点で有利である。
【0027】
前記樹脂微粒子としては、特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択した材料により形成されてよく、これらの中でも、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂で形成されているのが好ましく、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。
前記樹脂微粒子の材料樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましく、ビニル樹脂で形成されているのが特に好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
【0028】
前記シェル用単量体としては、特に制限はなく、前記コアを形成する樹脂のガラス転移温度、合成する樹脂の種類等に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン、メチルメタクリレート、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度が80℃超の樹脂を形成可能なものが好ましく、前記コアを形成樹脂のガラス転移温度が60℃未満である場合にはガラス転移温度が80℃以下の樹脂を形成可能なものであってもよい。
【0029】
前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃超150℃以下程度であり、50℃超130℃以下が好ましく、60℃超110℃以下がより好ましく、60℃超110℃以下が特に好ましい。
前記シェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)が、50℃以下であると、前記トナーの保存性が悪化してしまい、前記式、TgS>TgC、を満たすことが困難になり、また、満たしたとしても該トナーでは保管時乃至使用時においてブロッキングが発生することがあり、120℃を超えると、定着下限温度が上昇してしまうことがある。
【0030】
前記コア・シェル構造を有するトナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シード重合法、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法などが挙げられる。これらの中でも、前記シード重合法が特に好ましい。
前記シード重合法による前記コア・シェル構造を有するトナーの製造条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
前記シード重合法としては、例えば、前記コアを形成するのに用いるコア用単量体を重合させてコア粒子を形成した後、前記シェルを形成するのに用いるシェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させる態様などが好適に挙げられる。
前記シード重合法により前記樹脂微粒子を製造する場合、前記シェル用単量体を小さな液として反応系に添加するのが好ましい。この場合、前記コア粒子表面を該シェル用単量体の小さな液滴が覆い、該コア粒子表面に前記シェルによる被覆層が均一に形成され易く、得られるトナーが熱保存性に優れる点で好ましい。
なお、前記シェル用単量体を小さな液滴とする方法としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の超音波乳化機等を用いて微分散処理を行う方法、などが挙げられる。
【0032】
前記シェル用単量体としては、前記コア粒子表面への移行の迅速性を考慮すると、水(20℃)に対する溶解度が、0.1質量%以上であるものが好ましい。
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%以上である前記シェル用単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;4−ビニルピリジン等の含窒素ビニル化合物;酢酸ビニル、アクロレインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満の前記シェル用単量体であっても、水(20℃)に対する溶解度が5質量%以上である有機溶媒と併用することにより、前記コア粒子表面への移行を速やかに行うことができる。
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満のシェル用単量体としては、例えば、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチレン、プロピレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記水(20℃)に対する溶解度が5質量%以上である有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル;ジメチルホルムアミド等のアミド、などが挙げられる。
なお、前記有機溶媒の使用量としては、分散媒体(水と該有機溶媒との合計量)に対する前記シェル用単量体の溶解度が0.1重量%以上となる量であればよく、該有機溶媒の種類や前記シェル用単量体の種類・量等により異なり一概に規定することはできないが、水系分散媒体100質量部に対し、通常、0.1〜50質量部であり、0.1〜40質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましい。
前記有機溶媒と前記シェル用単量体とを反応系に添加する順序としては、特に制限はないが、前記コア粒子表面への前記シェル用単量体の移行を促進し、耐熱保存性に優れたトナーを得る観点からは、前記反応系に、まず前記有機溶媒を添加し、次に前記シェル用単量体を添加するのが好ましい。
【0035】
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%以上の前記シェル用単量体と、 前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満の前記シェル用単量体とを併用してもよく、この場合、前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量以上の単量体を添加し、重合した後、前記有機溶媒を添加し、その後、前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満である前記シェル用単量体を添加し、重合することが好ましい。
【0036】
なお、本発明においては、前記シェル用単量体に帯電制御剤を混合させておくと、得られるトナーの帯電性を向上させることができる点で好ましい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、前記シェル用単量体100質量部に対し、通常、0.01〜10質量部であり、0.1〜5質量部が好ましい。
【0037】
前記シェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記コア粒子(着色重合体粒子)を合成した重合反応系に、前記シェル用単量体を添加して継続的に重合する方法、(2)別の反応系で得た前記コア粒子を反応器に仕込み、これに前記シェル用単量体を添加し、重合する方法、などが挙げられる。
このとき、前記シェル用単量体は、反応系中に一括して添加するか、又は、プランジャポンプ等のポンプを使用して連続的若しくは断続的に添加することができる。
【0038】
なお、前記シェル用単量体を添加する際、水溶性重合開始剤を反応系に添加しておくことが好ましい。該水溶性ラジカル重合開始剤は、前記シェル用単量体が移行した前記コア粒子表面に進入し、該コア粒子表面に重合体層(シェル)の形成を容易にする作用を有するものと推測される。
前記水溶性重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2、2′−アゾビス−2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド〕等のアゾ系開始剤;クメンパーオキシド等の油溶性開始剤とレドックス触媒の組合せ;などが挙げられる。
前記水溶性重合開始剤の使用量としては、前記シェル用単量体100質量部に対し、通常、0.01〜20質量部である。
【0039】
なお、前記樹脂微粒子は、通常、分散液の状態で得られるが、該樹脂微粒子を用いて前記トナーを製造する場合、該分散液をそのまま前記トナーの製造に使用してもよいし、該分散液中に含まれる前記樹脂微粒子のみを前記トナーの製造に使用してもよい。後者の場合、前記分散液を、例えば、洗浄、乾燥等することにより、前記樹脂微粒子を得ることができる。なお、前記洗浄の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜することができ、水等を用いた方法などが挙げられる。前記乾燥の方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、真空乾燥法などが好適に挙げられる。
【0040】
ここで、該シード重合法によるコア・シェル構造を有するトナーの製造例を示すと、以下の通りである。即ち、例えば、撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(例えば、エレミノールRS−30、三洋化成工業製など)、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、及び過硫酸アンモニウムを仕込み、400回転/分で15分間撹拌し、白色の乳濁液を得る。次に、これを加熱して、系内を温度75℃程度まで昇温し5時間程度反応させる。そして、過硫酸アンモニウム水溶液加え、75℃で5時間程度熟成させることにより、ビニル樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液が得られる。
【0041】
前記樹脂微粒子は、前記重合法により接着性基材を生成する際の原料として反応系に添加させ、該接着性基材の生成時にトナー粒子表面に固着させてもよいし、前記重合法又は前記分砕法により生成したトナー粒子表面に外添させてもよい。
後者の場合には、例えば、公知の混合・攪拌装置等を使用することができる。該混合・攪拌装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)、スーパーミキサー(川田製作所製)、Qミキサー(三井鉱山製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)などが挙げられる。該混合・攪拌装置を使用する場合、混合・攪拌エネルギーが、強すぎると、該樹脂微粒子がトナー母粒子の表面に固着された状態のトナーが得られ、弱いと、該樹脂微粒子がトナー母粒子の表面に付着された状態のトナーが得られる。なお、この場合、該樹脂微粒子を流動性改良剤として機能させることもできる。
【0042】
−接着性基材−
前記接着性基材としては、紙等の記録媒体に対し接着性を示すものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って重合したものが挙げられ、例えば、粉砕法において生成されるものであってもよいし、重合法において生成されるものであってもよい。後者の場合、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を前記水系媒体中で反応させてなるポリマーを含むのが好ましい。
前記接着性基材は、更に必要に応じて、後述する非反応性ポリエステル等を含んでいてもよい。
【0043】
前記接着性基材のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、40〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
【0044】
前記ガラス転移温度は、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定することができる。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出することができる。
【0045】
前記接着性基材の貯蔵弾性率(TG’)、即ち接着性基材が測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)、としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、100℃以上が好ましく、110℃〜200℃がより好ましい。
前記貯蔵弾性率(TG’)が、100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0046】
前記接着性基材の粘性温度(Tη)、即ち測定周波数20Hzにおいて接着性基材の粘度が1000ポイズとなる温度(Tη)、としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、180℃以下が好ましく、90〜160℃がより好ましい。
前記粘性温度(Tη)が、180℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0047】
また、前記接着性基材の貯蔵弾性率(TG’)は、耐熱保存性と低温定着性との両立の観点からは、前記接着性基材の粘度(Tη)よりも高いことが好ましく、具体的には、前記貯蔵弾性率(TG’)と前記粘性温度(Tη)との差ΔT(TG’−Tη)が、0〜100℃であるのが好ましく、10〜90℃であるのがより好ましく、20〜80℃であるのが特に好ましい。
【0048】
なお、本発明において、前記トナー中に含まれる前記接着性基材の物性が該トナーの流動特性等の物性に直接関係し、前記接着性基材における、前記ガラス転移温度(Tg)、前記貯蔵弾性率(TG’)、前記貯蔵弾性率(TG’)と前記粘性温度(Tη)との差ΔT(TG’−Tη)等については、そのまま前記トナーにおける物性とすることができる。
【0049】
前記接着性基材の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを前記水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよく、この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。
前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0050】
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下(1)から(10)、即ち、(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物、(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物、などが好適に挙げられる。
【0051】
−−活性水素基含有化合物−−
前記活性水素基含有化合物は、前記水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、該イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、前記アミン類(B)が好適である。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基、が特に好ましい。
【0052】
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)など、が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
【0053】
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、などが挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、などが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、などが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、などが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、などが挙げられる。
【0054】
なお、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることができる。該反応停止剤を用いると、前記接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などが挙げられる。
【0055】
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/2〜2/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1.5であるのがより好ましく、1.2/1〜1/1.2であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、前記混合当量比において、1未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性、及び帯電特性が悪化することがあり、2を超えると、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0056】
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」と称することがある)としては、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着特性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0057】
前記プレポリマーにおける前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、などが挙げられる。
これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。
【0058】
前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)であるのが特に好ましい。
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、などが挙げられる。前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)などが特に好適に挙げられる。
【0059】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物でありかつ前記活性水素基を含有するポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、などが挙げられる。
【0060】
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジオール(DIO)単独、又は前記ジオール(DIO)と少量の前記3価以上のポリオール(TO)との混合物、などが好ましい。
【0061】
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
【0062】
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、などが挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、前記3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
【0063】
前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合物における、前記ジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0064】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はDICと少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、などが挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0065】
前記3価以上のポリカルボン酸(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、などが挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0066】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、前記ジカルボン酸(DIC)、前記3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステルを用いることもできる。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【0067】
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物における前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0068】
前記ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、前記ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.45/1〜1.3/1であるのが特に好ましい。
前記当量比([OH]/[COOH])が、前記混合比率において、2/1を超えると、未反応のポリオール(PO)が残り、トナーのガラス転移点(Tg)の低下を招くことがあり、1/1未満であると、未反応のポリカルボン酸(PC)が残り、ポリカルボン酸(PC)の吸湿性より、トナーの環境安定性の悪化を招くことがある。
【0069】
前記ポリオール(PO)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0070】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、などが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、脂環式ポリイソシアネートが好ましい。
【0071】
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、該ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と、該水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、2.5/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。
前記イソシアネート基[NCO]が、前記混合比率において、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐ホットオフセット性の悪化を招くことがある。
【0072】
前記ポリイソシアネート(PIC)の前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0073】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.5〜3がより好ましく、1.8〜2.5がより好ましい。
前記イソシアネート基の平均数が、1未満であると、前記ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0074】
−−水系媒体−−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられる。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記セルソルブ類としては、例えば、メチルセルソルブ等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチルが好ましい。
【0075】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、非反応性ポリエステル樹脂、帯電制御剤、無機微粒子、高分子重合体粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
【0076】
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0078】
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、などが挙げられる。
【0080】
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
【0081】
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、などが好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、などが挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
【0082】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性の悪化が見られることがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
【0083】
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。
前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性の悪化が見られ、また他部材への汚染等の問題が見られることがある。
【0084】
前記非反応性ポリエステル樹脂は、低温定着性、光沢性等を向上させる目的で前記トナー中に含有させることができる。
前記非反応性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂と同様のもの、即ちポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物、などが挙げられる。該非反応性ポリエステル樹脂は、その一部が前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と相溶していること、即ち互いに相溶可能な類似の構造であるのが、低温定着性、耐ホットオフセット性の点で好ましい。
【0085】
前記非反応性ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値で、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が特に好ましい。
前記重量平均分子量が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、10,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0086】
前記非反応性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、5以上が好ましく、10〜120がより好ましく、20〜80が更に好ましい。
前記水酸基価が、5未満であると、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがある。
前記非反応性ポリエステル樹脂の酸価としては、1〜40が好ましく、4〜30がより好ましい。一般に前記トナーに酸価をもたせることによって負帯電性となり易くなる。
【0087】
前記非反応性ポリエステル樹脂を前記トナーに含有させる場合、前記ウレア結合生成基含有ポリエステル系樹脂(RMPE)と該非反応性ポリエステル樹脂(PE)との混合質量比(RMPE/PE)としては、5/95〜50/50が好ましい。
前記非反応性ポリエステル樹脂(PE)の混合質量比が、95未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とが両立し難くなることがあり、50以上であると、低温定着の悪化がみられることがある。
【0088】
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に前記有機溶媒に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
【0089】
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記接着性基材の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記接着性基材100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、トナーの帯電特性の悪化が見られることがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0090】
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
なお、前記無機微粒子は、前記トナーの外添剤として好適に使用することができる。
【0091】
前記高分子重合粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合等によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合樹脂、熱硬化性樹脂、などで形成された粒子が挙げられる。
【0092】
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
【0093】
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、分子量、分子量分布、定着性、熱特性、画像濃度、平均円形度、円形度分布、重量平均粒径(D4)、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)等を有していることが好ましい。
【0094】
前記トナーの分子量としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のメインピーク分子量として得られる重量平均分子量(Mw)が、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2000〜8000が特に好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)が、1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0095】
前記重量平均分子量(Mw)の分子量分布としては、前記耐熱保存性と前記低温定着性とを両立させる観点からは、前記重量平均分子量(Mw)が1,000未満である成分の量が、5.0質量%以下であるのが好ましい。該1,000未満である成分の量が、5.0質量%を超えると、前記耐熱保存性が悪化し、キャリア汚染等が生ずることがある。また、前記メインピーク分子量が30,000を超える成分の量が、1質量%以上であるのが好ましく、1〜10質量%であるのがより好ましく、3〜6質量%であるのが特に好ましい。前記30,000を超える成分の量が、1質量%未満であると、耐ホットオフ性が十分でないことがあり、一方、10質量%を超えると、光沢性、透明性等が悪化することがある。
【0096】
前記トナーの分子量分布は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、前記トナー約1gを三角フラスコで精評した後、THF(テトラヒドロフラン)10〜20gを加え、接着性基材濃度5〜10%のTHF試料溶液とする。次に、40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを1ml/minの流速で流し、前記THF試料溶液20μlを注入する。そして、試料の分子量は、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出することができる。前記検量線は、ポリスチレン標準試料を用いて作成される。なお、前記単分散ポリスチレン標準試料、検出器、カラム等としては、上述したものが挙げられる。
【0097】
また、前記トナーの個数平均分子量(Mn)としては、2,000〜15,000が好ましく、2,500〜12,000がより好ましい。
前記個数平均分子量(Mn)が、2,000未満であると、耐熱保存性の悪化が観られることがあり、15,000を超えると、低温定着性の悪化が観られることがある。
【0098】
前記トナーにおける重量平均分子量(Mw)と個数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
前記比(Mw/Mn)が5を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれることがある。
【0099】
前記トナーは、テトラヒドロフラン(THF)に溶解しないTHF不溶分を1〜15質量%含有しているのが好ましい。
前記THF不溶分の量が前記数値範囲内であると、耐ホットオフセット性を向上させることができ、また、離型幅を広げることができる点で有利である。
なお、前記THF不溶分の量は、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の伸長乃至架橋を前記非反応性ポリエステルの酸価によって制御することにより適宜調整することができる。
【0100】
前記トナーにおけるTHF不溶分の量は、例えば、以下のようにして測定することができる。即ち、前記トナー(前記樹脂微粒子におけるTHF不溶分の量も同様に測定可能)約1.0g(A)を秤量する。これに、THF約50gを加えて20℃で24時間静置する。これを、まず遠心分離で分けJIS規格(P3801)5種Cの定量用ろ紙を用いてろ過する。このろ液の溶剤分を真空乾燥し樹脂分のみ残査量(B)を次式、THF不溶分(%)=(A−B)/A、から算出することができる。なお、前記残査量(B)がTHF溶解分である。ただし、前記トナーの場合、接着性基材以外のTHF不溶分の量(W1)とTHF溶解分の量(W2)とは、別途公知の方法、例えば、TG法による熱減量法で調べておき、次式、THF不溶分(%)=(A−B−W2)/(A−W1−W2)×100、から算出することができる。
【0101】
前記トナーの定着性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、定着下限温度(コールドオフセット性)が、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、130℃以下が更により好ましく、120℃未満が特に好ましい。
前記定着下限温度が、160℃を超えると、前記国際エネルギー機関(IEA)のDSMプログラムにおいて要求される性能を達成することが困難になる。
また、ホットオフセットの発生温度(耐ホットオフセット性)としては、180℃超が好ましく、190℃超がより好ましく、200℃超が特に好ましい。
前記ホットオフセットの発生温度が、180℃以下であると、定着温度幅が取れず、実使用に耐えられない。
【0102】
前記定着下限温度及び前記ホットオフセットの発生温度は、例えば、公知の複写機等を用い、前記定着下限温度の場合は、紙送りの線速度を120〜150mm/sec、面圧1.2kgf/cm、ニップ幅3mmの条件で、また、前記ホットオフセットの発生温度は、紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0kgf/cm、ニップ幅4.5mmの条件にて、それぞれ評価することができる。
【0103】
前記トナーの熱特性は、フローテスター特性とも言われ、例えば、軟化温度(Ts)、流出開始温度(Tfb)、1/2法軟化点(T1/2)などとして評価される。
これらの熱特性は、適宜選択した方法により測定することができ、例えば、高架式フローテスターCFT500型(島津製作所製)を用いて測定したフローカーブから求めることができる。
前記軟化温度(Ts)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50℃以上が好ましく、50〜100℃がより好ましい。前記軟化温度(Ts)が、50℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
前記流出開始温度(Tfb)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、70〜150℃が好ましく、75〜120℃がより好ましい。前記流出開始温度(Tfb)が、70℃未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、170℃を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記1/2法軟化点(T1/2)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100℃以上が好ましく、120〜170℃がより好ましい。前記1/2法軟化点(T1/2)が、100℃未満であると、耐熱保存性及び低温保存性の少なくともいずれかが悪化することがある。
【0104】
前記トナーの画像濃度は、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定した濃度値が、例えば、1.90以上が好ましく、2.00以上がより好ましく、2.10以上が特に好ましい。
前記画像濃度が、1.90未満であると、画像濃度が低く、高画質が得られないことがある。
前記画像濃度は、例えば、imagio Neo 450(株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>;株式会社リコー製)に現像剤の付着量が1.00±0.05mg/cmのベタ画像を定着ローラの表面温度が160±2℃で形成し、得られたベタ画像における任意の6箇所の画像濃度を、分光計(X−ライト社製、938 スペクトロデンシトメータ)を用いて測定しその平均値を算出することにより、測定することができる。
【0105】
前記トナーの平均円形度としては、例えば、0.95〜1.00が好ましく、0.960〜0.980がより好ましい。なお、前記平均円形度が0.94未満の粒子が15質量%以下であることが好ましい。
前記平均円形度が、0.95未満であると、球形からあまりに離れた不定形の形状となり、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがある。
前記平均円形度は、例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。具体的には、例えば、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。そして、前記測定試料を分散した懸濁液は、超音波分散機を用いて約1〜3分間分散処理を行い、分散液の濃度を3000〜1万個/μlとして前記フロー式粒子像分析装置FPIA−2100等を用いて、トナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0106】
前記トナーの重量平均粒径(D4)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3〜8μmが好ましい。
前記重量平均粒径(D4)が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下を招いたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
【0107】
前記トナーにおける重量平均粒子径(D4)と個数平均粒子径(Dn)との比(D4/Dn)としては、例えば、1.00〜1.25が好ましく、1.05〜1.25がより好ましい。
前記比(D4/Dn)が、前記好ましい数値範囲乃至前記より好ましい数値範囲内にあると、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性等に優れ、フルカラー複写機に用いた場合の画像の光沢性に優れ、更に、二成分現像剤として長期間繰返し使用しても、トナー粒径の変動が少なく、安定な現像性を示し、高画質が得られ、一成分現像剤として長期間繰返し使用しても、トナー粒径の変動が少なく、現像ローラへのフィルミングや、トナーブレードへの融着等がなく、安定な現像性を示し、高画質が得られる点で有利である。一方、前記比(D4/Dn)が、1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナー粒径の変動が大きくなることがあり、1.05未満であると、トナーの帯電性が十分でないことあり、クリーニング性が悪化することがあり、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。
【0108】
前記重量平均粒径(D4)、及び、重量平均粒子径(D4)と個数平均粒子径(Dn)との比(D4/Dn)は、例えば、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用いて測定することができる。具体的には、例えば、まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。前記電解水溶液は、1級塩化ナトリウムを用いて調製した約1%NaCl水溶液である。次に、測定試料を2〜20mg加える。該測定試料を懸濁した前記電解水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、粒度測定器(例えば、ISOTON−II(コールター社製))を用い、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出することができる。得られた分布から、前記トナーにおける前記重量平均粒径(D4)及び前記個数平均粒径(Dn)を求めることができる。なお、このとき、例えば、チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とすることができる。
【0109】
本発明のトナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができる。
【0110】
本発明のトナーは、重量平均分子量が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を含むので、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、帯電量分布がシャープで鮮映な高画質が得られる。このため、本発明のトナーは、各種分野において好適に使用することができ、電子写真法による画像形成に、より好適に使用することができ、以下の本発明のトナー入り容器、現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に使用することができる。
【0111】
本発明のトナーは、公知の方法により製造することができ、後述する本発明のトナーの製造方法により、好適に製造することができる。
【0112】
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、樹脂微粒子形成工程と、接着性基材生成工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
【0113】
−樹脂微粒子形成工程−
前記樹脂微粒子形成工程は、コアを形成するのに用いるコア用単量体を重合させてコア粒子を形成した後、シェルを形成するのに用いるシェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させることにより、上述した、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を形成する工程である。
前記樹脂微粒子形成工程においては、例えば、コア粒子の形成、シェルの形成などを行う。前記コア粒子の形成は、前記コア用単量体を重合させてコア粒子を形成する処理である。前記シェルの形成は、前記コア粒子表面で前記シェル用単量体を重合させる処理である。
【0114】
前記コア用単量体としては、特に制限はなく、公知の材料の中から適宜選択した材料により形成されてよく、これらの中でも、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂で形成されているのが好ましく、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。該コア用単量体としては、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましく、上述したビニル樹脂で形成されているのが特に好ましい。前記コア粒子は、前記コア用単量体をシード重合法に従って重合させることにより、形成することができる。なお、該重合の条件等について、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0115】
前記シェル用単量体としては、上述した通りであり、特に制限はなく、前記コアを形成する樹脂のガラス転移温度、合成する樹脂の種類等に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン、メチルメタクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度が80℃超の樹脂を形成可能なものが好ましく、前記コアを形成樹脂のガラス転移温度が60℃未満である場合にはガラス転移温度が80℃以下の樹脂を形成可能なものであってもよい。
前記シェル用単量体としては、前記コア粒子表面への移行の迅速性を考慮すると、水(20℃)に対する溶解度が、0.1質量%以上であるものが好ましい。前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%以上である前記シェル用単量体としては、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;4−ビニルピリジン等の含窒素ビニル化合物;酢酸ビニル、アクロレインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0116】
前記コア用単量体と前記シェル用単量体との質量比(コア用単量体:シェル用単量体)としては、上述した通りであり、50/50〜99.9/0.1が好ましく、60/40〜99/1がより好ましく、60/40〜90/10が特に好ましい。該質量比が前記範囲内にあると、得られるトナーの耐熱保存性を良好にすることができる点で有利である。
【0117】
前記シェルの形成は、上述した通り、前記シェル用単量体を小さな液として前記コア粒子を含む反応系に添加するのが好ましい。なお、前記シェル用単量体を小さな液滴とする方法としては、上述した通りであり、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の超音波乳化機等を用いて微分散処理を行う方法、などが挙げられる。
【0118】
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満の前記シェル用単量体であっても、水(20℃)に対する溶解度が5質量%以上である有機溶媒と併用することにより、前記コア粒子表面への移行を速やかに行うことができる。
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満のシェル用単量体、前記水(20℃)に対する溶解度が5質量%以上である有機溶媒、前記有機溶媒の使用量、前記有機溶媒と前記シェル用単量体とを反応系に添加する順序、等については、上述した通りである。
前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%以上の前記シェル用単量体と、前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満の前記シェル用単量体とを併用する場合、前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量以上の単量体を添加し、重合した後、前記有機溶媒を添加し、その後、前記水(20℃)に対する溶解度が0.1質量%未満である前記シェル用単量体を添加し、重合することが好ましい。
【0119】
前記シェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させる方法は、上述した通りである。前記樹脂微粒子形成工程においては、前記樹脂微粒子は、通常、分散液の状態で得られるが、該樹脂微粒子を用いて前記トナーを製造する場合、該分散液をそのまま前記トナーの製造に使用してもよいし、該分散液中に含まれる前記樹脂微粒子のみを前記トナーの製造に使用してもよい。
【0120】
−接着性基材生成工程−
前記接着性基材生成工程は、上述した活性水素基含有化合物と、上述した活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、少なくとも2種の上述した樹脂微粒子とを上述した水系媒体中で分散させかつ反応させて接着性基材を生成しつつトナーを得る工程である。
前記接着性基材生成工程においては、例えば、水系媒体相の調製、有機溶媒相の調製、乳化・分散、その他(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の合成、前記活性水素基含有化合物の合成など)を行う。
【0121】
前記水系媒体相の調製は、例えば、上述した樹脂微粒子を上述した水系媒体に分散させることにより行うことができる。該樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜10質量%が好ましい。
前記有機溶媒相の調製は、前記有機溶媒中に、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂等のトナー原料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
なお、前記トナー原料の中で、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)以外の成分は、前記水系媒体相調製において、前記樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させる際に該水系媒体中に添加混合してもよいし、あるいは、前記有機溶媒相を前記水系媒体相に添加する際に、該有機溶媒相と共に前記水系媒体相に添加してもよい。
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、前記非反応性ポリエステルとの質量比(重合体:非反応性ポリエステル)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5/95〜50/50が好ましい。
前記質量比が前記数値範囲内にないと、定着特性の悪化が見られることがある。
【0122】
前記有機溶媒としては、前記トナー原料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、などが特に好ましい。
前記有機溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー原料100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、60〜140質量部がより好ましく、80〜120質量部が特に好ましい。
【0123】
前記乳化・分散は、先に調製した前記有機溶媒相を、先に調製した前記水系媒体相中に乳化・分散させることにより行うことができる。そして、該乳化・分散の際、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させると、前記接着性基材が生成する。
前記接着性基材(例えば、前記ウレア変性ポリエステル樹脂)は、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記有機溶媒相を、前記活性水素基含有化合物(例えば、前記アミン類(B))と共に、前記水系媒体相中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、(2)前記有機溶媒相を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化・分散させ、分散体を形成し、該水系媒体相中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよく、あるいは(3)前記有機溶媒相を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、分散体を形成し、該水系媒体相中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより生成させてもよい。なお、前記(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子において濃度勾配を設けることもできる。
【0124】
前記乳化・分散により、前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを伸長反応乃至架橋反応させて前記接着性基材を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましく、反応温度としては、0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。
【0125】
前記水系媒体相中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体相中に、前記有機溶媒に溶解乃至分散させた前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記非反応性ポリエステル樹脂などの前記トナー原料を加えて、せん断力により分散させる方法、などが挙げられる。
前記分散は、その方法としては特に制限はなく、公知の分散機等を用いて適宜選択することができ、該分散機としては、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、前記分散体の粒径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度などの条件については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記回転数としては、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましく、前記分散時間としては、バッチ方式の場合は、0.1〜5分間が好ましく、前記分散温度としては、加圧下において0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。なお、前記分散温度は高温である方が一般に分散が容易である。
【0126】
前記乳化・分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー原料100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー原料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
【0127】
前記乳化・分散においては、必要に応じて、粒度分布をシャープにし、安定に分散を行う観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
【0128】
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0129】
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
【0130】
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
【0131】
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0132】
前記乳化・分散においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものなどが挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法などによって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
【0133】
前記乳化・分散においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、などが挙げられる。
【0134】
前記乳化・分散において得られた乳化スラリーから、有機溶媒を除去する。該有機溶媒の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、液滴中の前記有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、などが挙げられる。なお、前記乾燥雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等のガスが加熱された雰囲気などが挙げられる。このとき、該ガスの加熱温度としては、使用される溶媒の内の最も高い沸点以上の温度であることが好ましい。該加熱の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレーヘアドライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルンなどが、短時間の処理が可能な点で好適に挙げられる。
【0135】
前記有機溶媒の除去が行われると、トナー粒子が形成される。該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができる。このとき、前記分散剤をできるだけ除去しておくことが好ましい。更に、その後、所望により分級等を行うことができる。該分級により、粒度分布を制御することができる。
前記分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。該分級により得られた不要な微粒子又は粗粒子は、そのまま又は乾燥させて前記接着性基材生成工程に用いることができる。
【0136】
こうして、得られたトナー粒子を、前記着色剤、離型剤、前記帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
【0137】
ここで、本発明のトナーの製造方法の好適な具体例を以下に示す。
−樹脂微粒子形成工程−
−−コア粒子の形成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(例えば、エレミノールRS−30、三洋化成工業製など)、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、及び過硫酸アンモニウムを仕込み、400回転/分で15分間撹拌し、白色の乳濁液を得る。次に、これを加熱して、系内を温度75℃程度まで昇温し5時間程度反応させる。そして、過硫酸アンモニウム水溶液加え、75℃で5時間程度熟成させることにより、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子の水性分散液(コア粒子分散液)が得られる。
【0138】
−−シェルの形成−−
前記反応容器に、前記コア粒子分散液、水、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(例えば、エレミノールRS−30、三洋化成工業製)、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、チオグリコール酸ブチル、及び過硫酸アンモニウムを仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。該乳濁液を加熱して75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、過硫酸アンモニウム水溶液を加え、75℃で5時間熟成させることにより、ビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)によるシェルを前記コア粒子表面に重合させた樹脂微粒子の水性分散液(樹脂微粒子分散液)を得た。
【0139】
−接着性基材生成工程−
−−低分子ポリエステルの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、テレフタル酸、アジピン酸、及びジブチルチンオキサイドを入れ、常圧230℃にて8時間反応させ、更に該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸を入れ、常圧下、180℃にて2時間反応して、低分子ポリエステルを合成する。
【0140】
−−プレポリマーの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、無水トリメリット酸、及びジブチルチンオキサイドを仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステル(低分子ポリエステル)を合成する。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル、イソホロンジイソシアネート、及び酢酸エチルを仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成する。
【0141】
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン及びメチルエチルケトンを仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成する。
【0142】
−−マスターバッチ(MB)の調製−−
水、着色剤としてのカーボンブラック、ポリエステル樹脂を添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合物を調製した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製する。
【0143】
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記低分子ポリエステル、カルナバワックス、サリチル酸金属錯体E−84、及び酢酸エチルを仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却する。次いで、反応容器中に、前記マスターバッチ、及び酢酸エチルを仕込み、1時間混合して原料溶解液を得る。
得られた原料溶解液を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラック、及びカルナバワックスの分散を行う。次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液を添加する。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相を調製する。
【0144】
−−乳化・分散−−
反応容器中に、前記有機溶媒相、前記プレポリマー、及び前記ケチミン化合物を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合して、油相混合液を得る。
次に、反応容器中に、水、前記樹脂微粒子分散液、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液、及び酢酸エチルを仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)で、3000rpmにて1分間混合する。次いで、反応容器中に、前記油相混合液を添加し、TK式ホモミキサーで、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化スラリーを調製する。
次に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した後、45℃にて4時間熟成を行い、分散スラリーを得る。
【0145】
前記分散スラリーを減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキに蒸留水(又は10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過する。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過する。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得る。
ここで、得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、トナー母体粒子が得られる。
【0146】
−外添剤処理−
得られたトナー母体粒子に対し、外添剤としての疎水性シリカと、疎水化酸化チタンをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合処理することにより、本発明のトナーが製造される。
【0147】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0148】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0149】
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
磁性キャリアの場合、その材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0150】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、20〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0151】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0152】
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0153】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0154】
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0155】
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0156】
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
【0157】
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、耐ホットオフセット性等に優れ、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、帯電量分布がシャープで鮮映な高画質を形成することができる。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0158】
(トナー入り容器)
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー入り容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。前記トナー入り容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度が良いものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
本発明のトナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
【0159】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置に着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の電子写真装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
【0160】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
【0161】
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0162】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0163】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0164】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0165】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0166】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
【0167】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0168】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0169】
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
【0170】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0171】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0172】
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0173】
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0174】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0175】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0176】
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0177】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0178】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
【0179】
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0180】
図1に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0181】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図2を参照しながら説明する。図2に示す画像形成装置100は、図1に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図1に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図2においては、図1におけるものと同じものは同符号で示した。
【0182】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示すタンデム画像形成装置120は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置120は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置120においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0183】
次に、タンデム画像形成装置120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0184】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0185】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム画像形成装置120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム画像形成装置120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図4中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、該トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0186】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0187】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0188】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、耐ホットオフセット性等に優れ、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、帯電量分布がシャープで鮮映な高画質を形成可能な本発明のトナーを用いるので、ホットオフセットを生ずることなく、低温定着条件でも、高画像濃度で高鮮鋭な高品質画像を形成することができる。
【0189】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0190】
−−コア粒子分散液(C1)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)20質量部、スチレン78質量部、メタクリル酸78質量部、アクリル酸ブチル120質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。該乳濁液を加熱して75℃まで昇温し、5時間反応させた。該乳濁液に1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成させることにより、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子分散液(C1)を得た。
前記コア粒子分散液(C1)に含まれるコア粒子(1)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、55nmであった。また、該コア粒子(1)を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は48℃であり、重量平均分子量(Mw)は、450,000であった。これらを表1に示した。
【0191】
−−コア粒子分散液(C2)の調製−
前記コア粒子分散液(C1)の調製において、スチレンを78質量部から73質量部に変え、メタクリル酸を78質量部から73質量部に変え、アクリル酸ブチルを120質量部から130質量部に変え、更にチオグリコール酸ブチル12質量部を用いた以外は、前記コア粒子分散液(C1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子分散液(C2)を調製した。
前記コア粒子分散液(C2)に含まれるコア粒子(2)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、52nmであった。また、該コア粒子(2)を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は42℃であり、重量平均分子量(Mw)は、25,000であった。これらを表1に示した。
【0192】
−−コア粒子分散液(C3)の調製−
前記コア粒子分散液(C1)の調製において、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩を20質量部から15質量部に変え、スチレンを78質量部から103質量部に変え、メタクリル酸を78質量部から83質量部に変え、アクリル酸ブチルを120質量部から90質量部に変え、更にチオグリコール酸ブチル12質量部を用いた以外は、前記コア粒子分散液(C1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子分散液(C3)を調製した。
前記コア粒子分散液(C3)に含まれるコア粒子(3)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、74nmであった。また、該コア粒子(3)を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は63℃であり、重量平均分子量(Mw)は、27,000であった。これらを表1に示した。
【0193】
−−コア粒子分散液(C4)の調製−
前記コア粒子分散液(C4)の調製において、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩を20質量部から15質量部に変え、スチレンを78質量部から150質量部に変え、メタクリル酸を78質量部から83質量部に変え、アクリル酸ブチルを120質量部から43質量部に変え、更にチオグリコール酸ブチル12質量部を用いた以外は、前記コア粒子分散液(C1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子分散液(C4)を調製した。
前記コア粒子分散液(C4)に含まれるコア粒子(4)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、62nmであった。また、該コア粒子(4)を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は95℃であり、重量平均分子量(Mw)は、21,000であった。これらを表1に示した。
【0194】
−−コア粒子分散液(C5)の調製−
前記コア粒子分散液(C1)の調製において、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩を20質量部から12質量部に変え、スチレンを78質量部から83質量部に変え、メタクリル酸を78質量部から83質量部に変え、アクリル酸ブチルを120質量部から110質量部に変えた以外は、前記コア粒子分散液(C1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)のコア粒子分散液(C5)を調製した。
前記コア粒子分散液(C5)に含まれるコア粒子(7)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、168nmであった。また、該コア粒子(5)を形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は42℃であり、重量平均分子量(Mw)は、370,000であった。これらを表1に示した。
【0195】
【表1】
【0196】
−−樹脂微粒子分散液(1)の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、前記コア粒子分散液(C1)1009質量部、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)20質量部、スチレン103質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル90質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。該乳濁液を加熱して75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(1)を得た。
前記樹脂微粒子分散液(1)に含まれる樹脂微粒子(1)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、105nmであった。また、該樹脂微粒子分散液(1)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60℃であり、重量平均分子量(Mw)は、400,000であった。これらを表2に示した。
【0197】
−−樹脂微粒子分散液(2)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、スチレンを103質量部から11.4質量部に変え、メタクリル酸を83質量部から9.2質量部に変え、アクリル酸ブチルを90質量部から10質量部変え、及び過硫酸アンモニウムを1質量部から0.11質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(2)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(2)に含まれる樹脂微粒子(2)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、95nmであった。また、該樹脂微粒子(2)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60℃であり、重量平均分子量(Mw)は、400,000であった。これらを表2に示した。
【0198】
−−樹脂微粒子分散液(3)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、スチレンを103質量部から18.9質量部に変え、メタクリル酸を83質量部から9.2質量部に変え、アクリル酸ブチルを90質量部から2.6質量部に変え、及び過硫酸アンモニウムを1質量部から0.11質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(3)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(3)に含まれる樹脂微粒子(3)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、112nmであった。また、該樹脂微粒子(3)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は110℃であり、重量平均分子量(Mw)は、420,000であった。これらを表2に示した。
【0199】
−−樹脂微粒子分散液(4)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、コア粒子分散液(C1)をコア粒子分散液(C2)に変え、スチレンを103質量部から108質量部に変え、メアクリル酸ブチルを90質量部から85質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(4)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(4)に含まれる樹脂微粒子(4)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、107nmであった。また、該樹脂微粒子(4)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃であり、重量平均分子量(Mw)は、440,000であった。これらを表2に示した。
【0200】
−−樹脂微粒子分散液(5)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、コア粒子分散液(C1)をコア粒子分散液(C3)に変え、スチレンを103質量部から108質量部に変え、メアクリル酸ブチルを90質量部から85質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(5)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(5)に含まれる樹脂微粒子(5)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、110nmであった。また、該樹脂微粒子(5)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃であり、重量平均分子量(Mw)は、440,000であった。これらを表2に示した。
【0201】
−−樹脂微粒子分散液(6)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、スチレンを103質量部から108質量部に変え、メアクリル酸ブチルを90質量部から85質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(6)を調製した。前記樹脂微粒子分散液(6)に含まれる樹脂微粒子(6)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、98nmであった。また、該樹脂微粒子(6)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃であり、重量平均分子量(Mw)は、440,000であった。これらを表2に示した。
【0202】
−−樹脂微粒子分散液(7)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、コア粒子分散液(C1)をコア粒子分散液(C4)に変え、スチレンを103質量部から170質量部に変え、メアクリル酸ブチルを90質量部から23質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(7)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(7)に含まれる樹脂微粒子(7)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、96nmであった。また、該樹脂微粒子(7)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、110℃であり、重量平均分子量(Mw)は、420,000であった。これらを表2に示した。
【0203】
−−樹脂微粒子分散液(8)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、コア粒子分散液(C1)をコア粒子分散液(C5)に変え、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩を12質量部から5質量部に変えた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(8)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(8)に含まれる樹脂微粒子(8)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、337nmであった。また、該樹脂微粒子(8)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60℃であり、重量平均分子量(Mw)は、440,000であった。これらを表2に示した。
【0204】
−−樹脂微粒子分散液(9)の調製−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製において、コア粒子分散液(C1)1009部を用いず、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩を20質量部から10質量部に変え、スチレンを103質量部から48質量部に変え、メタクリル酸を83質量部から78質量部に変え、アクリル酸ブチルを90質量部から150質量部に変え、チオグリコール酸ブチルを12質量部用いた以外は、前記樹脂微粒子分散液(1)の調製と同様にして、ビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の樹脂微粒子分散液(9)を調製した。
前記樹脂微粒子分散液(9)に含まれる樹脂微粒子(9)について、LA−920で測定した体積平均粒径(Dv)は、113nmであった。また、該樹脂微粒子(7)のシェルを形成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、31℃であり、重量平均分子量(Mw)は、32,000であった。これらを表2に示した。
【0205】
【表2】
【0206】
−−ポリエステル樹脂(1)の合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧、230℃で8時間反応させ、更に10〜15mmHgの減圧で5時聞反応させた後、該反応容器に無水トリメリット酸44質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、ポリエステル樹脂(2)を得た。該ポリエステル樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が6,700であり、ガラス転移温度(Tg)が43℃であり、酸価が25mgKOH/gであった。
【0207】
−−ポリエステル樹脂(2)の合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物359質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物1273質量部、エチレングリコール9質量部、テレフタル酸208質量部、コハク酸8質量部、イソフタル酸415質量部及びジブチルチンオキサイド1質量部を入れ、常圧、230℃で8時間反応させ、更に10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸48部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、ポリエステル樹脂(2)を得た。該ポリエステル樹脂(2)は、重量平均分子量(Mw)が6,800であり、ガラス転移温度(Tg)が60℃であり、酸価が28.5mgKOH/gであった。
【0208】
参考例1)
前記ポリエステル樹脂(2)96質量部と、ポリエチレンワックス(融点85℃)4質量部と、カーボンブラック(三菱化学
#44)10質量部と、サリチルサンジルコニウム塩1質量部とを、ヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、2軸押出機にて混練し、冷却後、体積平均粒径が9.0±0.5μmとなるように粉砕、分級し、トナー母体粒子Aを得た。なお、前記混練は、混練機の出口での混練物温度が130〜140℃となる条件にて行った。前記粉砕及び前記分級は、体積平均粒径が6.0±0.5μmとなるようにして行った。
前記樹脂微粒子分散液(1)を減圧乾燥器を用いて30℃で減圧乾燥し、樹脂微粒子(1)を得た。
前記トナー母体粒子A95質量部、前記樹脂微粒子(1)5質量部、疎水性シリカ0.3質量部、及び酸化チタン0.3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて攪拌混合し(攪拌回転数2000rpmで30秒間を5回)、参考例1のトナー(粉砕トナー)を得た。得られたトナーをSEMで観察したところ、粒子表面に結晶性を有する樹脂が付着していることが確認された。
参考例1のトナー2.5質量部と、シリコンコートフェライトキャリア(芯材粒径45μm)97.5質量部とを、ターブラーミキサーで攪拌して、参考例1の現像剤を調製した。参考例1のトナー乃至現像剤につき、後述の評価を行い、その結果を表3に示した。
【0209】
参考例2)
−樹脂微粒子形成工程−
−−コアの形成−−
前記コア分散液(C2)の調製を行った。
−−シェルの形成−−
前記樹脂微粒子分散液(1)の調製を行った。
【0210】
−トナー生成工程−
−−水相の調製−−
水990質量部、前記樹脂微粒子分散液(1)83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。
【0211】
−−低分子ポリエステルの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃にて5時間反応させて、低分子ポリエステルを合成した。
得られた低分子ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5mgKOH/gであり、水酸基価が51であった。
【0212】
−−プレポリマーの合成−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記低分子ポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
【0213】
−−ケチミン(前記活性水素基含有化合物)の合成−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。
得られたケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)のアミン価は418であった。
【0214】
−マスターバッチ(MB)の調製−
水1200質量部、着色剤としてのカーボンブラック(「Printex35」;デクサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)540質量部、及び前記ポリエステル樹脂(1)1200質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
【0215】
−−有機溶媒相の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、前記ポリエステル樹脂(1)378質量部、カルナバワックス110質量部、CCA(「サリチル酸金属錯体E−84」;オリエント化学工業製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下、80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃まで冷却した。次いで、反応容器中に、前記マスターバッチ500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1324質量部を反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラック、及びカルナバワックスの分散を行った。次いで、該分散液に前記低分子ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液1324質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶媒相(顔料・ワックス分散液)を調製した。
得られた有機溶媒相の固形分濃度は(130℃、30分)は、50質量%であった。
【0216】
−−乳化・分散−−
反応容器中に、前記有機溶媒相749質量部、前記プレポリマー115質量部、及び前記ケチミン化合物2.9質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて1分間混合した後、反応容器中に前記水相1200質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)で、回転数13,000rpmにて20分間混合して、乳化スラリーを調製した。
次に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した後、45℃にて4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
得られた分散スラリーは、マルチサイザーII(ベックマンコールター社製)で測定した体積平均粒径が5.86μm、個数平均粒径が5.11μmであった。
【0217】
−洗浄工程−
前記分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、減圧濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、最終濾過ケーキを得た。ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩うと、参考例2のトナー母体粒子が得られた。
【0218】
−外添剤処理−
得られた参考例1のトナー母体粒子2.5質量部と、外添剤としてのシリコーンフェライトキャリア(芯材粒径45μm)97.5質量部をターブラーミキサー(シンマルエンタープライゼス社+製)を用いて攪拌処理し、参考例2のトナーを製造した。参考例2のトナーについて、参考例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0219】
参考例3)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子2に代えた以外は、参考例2と同様にして、参考例3のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0220】
(実施例4)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子3に代えた以外は、参考例2と同様にして、実施例4のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0221】
(実施例5)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子4に代えた以外は、参考例2と同様にして、実施例5のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0222】
参考例6)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子5に代えた以外は、参考例2と同様にして、参考例6のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0223】
(実施例7)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子6に代えた以外は、参考例2と同様にして、実施例7のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0224】
参考例8)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子7に代えた以外は、参考例2と同様にして、参考例8のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0225】
参考例9)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子8に代えた以外は、参考例2と同様にして、参考例9のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0226】
(比較例1)
参考例1において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子9に代えた以外は、参考例1と同様にして、比較例1のトナーを製造し、該トナーについて参考例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0227】
(比較例2)
参考例2において、樹脂微粒子1を樹脂微粒子9に代えた以外は、参考例2と同様にして、比較例2のトナーを製造し、該トナーについて参考例2と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0228】
<定着性>
定着ローラーとしてテフロン(R)ローラーを使用した(株)リコー製複写機MF2200定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。このときの結果を表3に示した。
定着温度を変化させて、コールドオフセット温度(定着下限温度)と、ホットオフセット温度(耐ホットオフセット温度)とを求めた。従来における低温定着トナーの定着下限温度は、140〜150℃程度である。なお、低温定着の評価条件は、紙送りの線速度を120〜150mm/sec、面圧1.2kgf/cm、ニップ幅3mm、ホットオフセットの評価条件は、紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0kgf/cm、ニップ幅4.5mmの条件と設定した。各特性評価の基準は、以下の通りである。
【0229】
▲1▼ 低温定着性(5段階評価)
5・・・120℃未満
4・・・120℃超140℃以下
3・・・140℃超150℃以下
2・・・150℃超160℃以下
1・・・160℃超
【0230】
▲2▼ ホットオフセット性(5段階評価)
5・・・201℃以上
4・・・200〜191℃
3・・・190〜181℃
2・・・180〜171℃
1・・・170℃以下
【0231】
<熱保存性>
ガラス容器に実施例、参考例及び比較例で得られた各トナーを充填し、55℃の恒温槽にて24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS
K2235−1991)を行い、針入度を測定した。この値が大きいトナー程、熱に対する保存性が優れていることを意味する。この値が15mm未満の場合は、使用上問題が発生する可能性が高い。なお、針入度に基づく熱保存性の判定基準は、以下の通りである。
5・・・貫通
4・・・25mm以上
3・・・20〜25mm
2・・・15〜20mm
1・・・15mm未満
【0232】
<解像度>
(株)リコー製MF−2200に現像剤をセットし、常温/常湿の環境下において、主走査、副走査方向ともに、600dot/inch、150line/inch の1ドット独立 網点画像を出力し、ドット抜け及び画像濃度ムラを目視にて以下の4段階で評価した。
4・・・非常に良好
3・・・良好
2・・・実用上は問題ないレベル
1・・・実用上問題があるレベル
【0233】
<耐久性>
(株)リコー製MF−2200に現像剤をセットし、常温/常湿の環境下において100,000万枚の連続画像出力を行い、その後の現像剤の帯電量と画質から以下の4段階で評価した。
4・・・初期に比べて帯電量と画質に大きな変化がない
3・・・初期に比べて帯電量が低下しているが画質に大きな変化はない
2・・・地汚れが発生するが実用上問題ないレベル
1・・・実用上問題があるレベルの地汚れが発生する
【0234】
<ガラス転移温度(Tg)>
TG−DSCシステム(「TAS−100」;理学電機社製)を用いて、下記方法により、トナーのガラス転移温度(Tg)を測定した。
まず、各トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットした。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置した。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測した。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステム「TAS−100」中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)(℃)を算出した。
【0235】
<重量平均分子量(Mw)、個数平均分子量(Mn)、前記比(Mw/Mn)>各トナー約1gを三角フラスコで精評した後、THF(テトラヒドロフラン)10〜20gを加え、接着性基材濃度5〜10%のTHF試料溶液とした。次に、40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを1ml/minの流速で流し、前記THF試料溶液20μlを注入した。そして、試料の分子量は、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出した。前記検量線は、ポリスチレン標準試料を用いて作成したものである。なお、前記単分散ポリスチレン標準試料、検出器、カラム等は、上述したものを使用した。
【0236】
<トナー粒径>
各トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」;ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定した。これらの結果から(体積平均粒径(Dv/個数平均粒径(Dn))を算出した。
【0237】
<平均円形度>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて計測した。具体的には、容器中に、予め不純固形物を除去した水100〜150mlに分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml添加した。次いで、各トナーを0.1〜0.5g添加して分散させた。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で約1〜3分間分散処理して、分散液の濃度を3000〜1万個/μlとしてトナーの形状及び分布を測定した。これらの測定結果から平均円形度を算出した。
【0238】
<樹脂微粒子の含有量>
スチレン−アクリル系共重合体の樹脂微粒子に由来するスチレンモノマーを標識として、トナーを熱分解して熱分解生成物中におけるスチレンモノマーの量を測定し、トナー中における樹脂微粒子の含有量を算出した。即ち、組成が既知であるスチレン-アクリル系共重合体の樹脂微粒子を標識として用い、トナー粒子中にスチレン−アクリル系共重合体の樹脂微粒子の含有量が0.01質量%、0.10質量%、1.00質量%、3.00質量%、及び10.0質量%となるように添加した。得られた組成が既知の各モデルトナーを590℃×12秒の条件で熱分解させて、下記の測定機器及び測定条件に従って熱分解生成物を分析し、各トナーについてスチレンモノマーのピーク面積を求め、トナー中における樹脂微粒子の含有量を算出した。
【0239】
〔測定機器及び測定条件〕
分析機器:熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計
装置本体:QR−5000(島津製作所製)
付属品の熱分解炉:JHP−3S(日本分析工業製)
熱分解温度:590℃×12秒
カラム:「DB−1」
(L=30m I.D.=0.25mm Film=0.25μm)
カラム温度:40℃(保持2分)〜300℃(10℃/分昇温)
気化室温度:300℃
【0240】
【表3】
【0241】
表3に示す通り、参考例1〜3、6、8〜9及び実施例4、5、7については、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性及び解像度の評価結果が良好であった。
比較例1、及び2では、コア・シェル構造を有しない樹脂微粒子を用いたトナーの場合耐熱保存性が十分ではなかった。
【0242】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、耐凝集性、帯電性、流動性、転写性、定着性等の諸特性に優れ、耐ホットオフセット性が良好であり、優れた耐熱保存性と低温定着性とを両立し、帯電量分布がシャープで鮮映な高画質が得られるトナー及びその効率的な製造方法、並びに、該トナーを用い、高画質化が可能な、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の例を示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例を示す概略説明図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。
【図4】図4は、図3に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。
【符号の説明】
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
120 タンデム型現像装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (8)

  1. 重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を含み、前記樹脂微粒子における、シェルを形成する樹脂のガラス転移温度をTgSとし、コアを形成する樹脂のガラス転移温度をTgCとした時、次式、TgS−TgC>20℃、を満たすことを特徴とするトナー。
  2. 活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を水系媒体中に分散した有機溶媒中で反応させてなるトナー母粒子を生成しつつ粒子状に得られる請求項1に記載のトナー。
  3. 樹脂微粒子を表面に有してなる請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. 樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)が35〜150℃である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. トナー母粒子がポリエステル樹脂を含む請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
  6. コアを形成するのに用いるコア用単量体を重合させてコア粒子を形成した後、シェルを形成するのに用いるシェル用単量体を前記コア粒子表面で重合させることにより、重量平均分子量(Mw)が8,000〜1,000,000であり、かつ粒径が20〜400nmであり、コア・シェル構造を有する樹脂微粒子を形成する樹脂微粒子形成工程と、該樹脂微粒子と、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを水系媒体中に分散した有機溶媒中で分散させかつ反応させてトナー母粒子を生成しつつトナーを得るトナー母粒子生成工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器。
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