JP4171237B2 - 包装容器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばカット綿にアルコールなどの消毒液を含浸した多数の消毒綿などを入れるのに用いて好適な包装容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、病院などの医療施設では、注射をする際などに、カット綿にアルコールなどの消毒液を含浸した消毒綿が多数消費される。かかる消毒綿を収容する包装容器は、特開平１１−２６８７６５号公報に公知である。そこでは、多数の消毒綿を収容する容器本体と、容器本体の開口上面を塞ぐ内蓋と、内蓋の中央に設けた出入口を開閉する外蓋とからなる。外蓋は内蓋の外側上面に粘着剤で接着されており、内蓋の出入口を外蓋で密封した状態で出荷される。外蓋を内蓋から引き剥がすように開放すると、出入口が露出して内部の消毒綿を取り出すことができる。不使用時には、外蓋を内蓋に再び接合することにより、出入口を塞ぐことができる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の包装容器によれば、内蓋に外蓋を繰り返し接着できるので、容器本体内の消毒綿を使い終わるまで、消毒綿に含浸されたアルコールが蒸発するのを防ぎ、異物が容器内へ入り込むのもよく解消できる。しかし、そこでの出入口は、内蓋の中央部を限って設けられているため、小さ過ぎて消毒綿を取り出し難い。とくに、消毒綿の残量が少なくなると、消毒綿の取り出しに手間取る。ピンセットで消毒綿を取り出すとき、消毒綿が出入口の開口縁に引っ掛かりやすい。消毒綿を取り出す過程で、消毒綿に含浸のアルコールが滴り落ちて内蓋に付着し、この付着液が外蓋側の粘着剤に接触することにより、内蓋に対する外蓋の接着力が劣化して、密封機能が低下しやすい。外蓋の裏面側に粘着剤層を設ける形態なので、外蓋を捲るように開いた状態において表向きとなる粘着剤層に異物が付着しやすいことも、接着力が低下する原因になりやすい。
【０００４】
本発明の目的は、容器本体の広い開口上面を液含浸体の出入口にして、液含浸体の出し入れが容易に行える包装容器を提供することにある。本発明の目的は、不使用時に出入口を確実に密封できる包装容器を提供することにある。
【０００５】
本発明の目的は、容器本体の出入口を密封するシール蓋をいったん開封した後にも、出入口を繰り返し確実に密閉できる包装容器を提供することにある。
【０００６】
本発明の目的は、容器本体から液含浸体を取り出す際に、液含浸体から含浸液がシール蓋や外蓋に滴り落ちて付着しても、シール作用の低下を招くことがなく、従ってシール蓋をいったん開封した後にも、容器本体内の液含浸体を乾燥したり、変質したりすることなく保管しておける包装容器を提供することにある。
【０００７】
本発明の目的は、容器本体にシール蓋の上方を覆う外蓋が開閉可能に連結されている包装容器において、外蓋の外表面に貼付される商品ラベルをヒンジとして利用することにより、この点でも製造コストの低減化を図ることにある。
【０００８】
本発明の目的は、外蓋の外表面に貼付の商品ラベルをヒンジとして利用した包装容器において、容器本体を閉じている外蓋が、温度や湿度の変化に伴って不用意に開放するのを阻止することにある。
【０００９】
本発明の目的は、外蓋の外表面に貼付の商品ラベルをヒンジとして利用するに際し、外蓋の開閉によって商品ラベルのヒンジ部分が繰り返し屈曲されても破損するのをよく防止できる包装容器を提供することにある。
【００１０】
本発明の目的は、外蓋の外表面に貼付の商品ラベルをヒンジとして利用するに際し、商品ラベルのヒンジ部分を容器本体に対して確りと固定でき、従って外蓋の開閉によって商品ラベルのヒンジ部分が繰り返し屈曲されても、ヒンジ部分が容器本体から剥がれ落ちるのを確実に防止できる包装容器を得ることにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明の包装容器は、図１および図２に示すごとく、内部に液含浸体Ｃを収容するために、上面が出入口１２として開口する容器本体１と、容器本体１の出入口１２を密封する内側のシール蓋２と、容器本体１の開口上面の外側を閉じる外蓋３と、外蓋３の外表面に貼付される商品ラベル４とを備えている。液含浸体Ｃとしては、例えばカット綿にアルコールなどの消毒液を含浸させた消毒綿を挙げることができるが、とくに限定されない。
【００１２】
容器本体１は、底壁５と、底壁５の外周から立ち上がる周側壁６と、周側壁６の上端外周に張り出し形成された水平状のフランジ壁１０と、フランジ壁１０の外周に形成された外周壁部１１とを含む。
【００１３】
シール蓋２は、その外周縁部がフランジ壁１０の上面に剥離可能に固着される。ここでの固着とは、接着剤ないし粘着剤による接着、ヒートシール、超音波溶着などを含む概念である。
【００１４】
外蓋３は、シール蓋２の上方を覆う主面壁１９と、主面壁１９につながるシール壁２０と、シール壁２０の外周に形成された外周壁部２１とを含み、容器本体１に外蓋３を閉じ合わせたとき、シール壁２０がフランジ壁１０の上面にシール蓋２の外周縁部をはさんで接合し、外蓋３の外周壁部２１が容器本体１の外周壁部１１に被さる。
【００１５】
商品ラベル４は、図２に示すごとく、印刷表示が入る主面部分３２と、主面部分３２につながるヒンジ部分３３とを含み、主面部分３２が外蓋３の主面壁１９の外表面に固着され、ヒンジ部分３３が外蓋３の外周縁を越えて容器本体１の外周壁部１１の外面に固着されるようになっている。
【００１６】
容器本体１のフランジ壁１０と外蓋３のシール壁２０とには、図１に示すごとく、シール蓋２の外周縁部を蛇行状に挟持する挟持手段２６・２７が、全周にわたってそれぞれ形成されている。図示例では、挟持手段２６・２７として、フランジ壁１０側に凸条２６を、シール壁２０側に凹条２７をそれぞれ設けてある。シール壁２０には、凹条２７をはさむように、２つの凸条２８・２８を設けてある。この点に関しては、フランジ壁１０側に凹条２７を、シール壁２０側に凸条２６を設けてあってもよく、両者１０・２０に凸条２６・２８を互い違い状に一条ずつ設けてあってもよい。
【００１７】
容器本体１に外蓋３を閉じた状態に保持するために、容器本体１の外周壁部１１と外蓋２の外周壁部２１とには、図１および図２に示すごとく、互いに係合する係合手段２９・３０が設けられている。この係合手段としては、例えば容器本体１側の外周壁部１１に係合溝３０を、外蓋３側の外周壁部２１に突起２９をそれぞれ設け、容器本体１に外蓋３を閉じたとき突起２９と係合溝３０とが、凹凸係合する形態を採ることができる。
【００１８】
更に具体的に説明すると、容器本体１と外蓋３とは、それぞれ薄肉のプラスチック成形品であり、容器本体１に外蓋３が商品ラベル４で開閉操作可能に連結されている。すなわち、商品ラベル４が、容器本体１に外蓋３を開閉自在に連結するためのヒンジの機能を果たす。
【００１９】
シール蓋２は、ガスバリア性を有するプラスチックフィルムからなり、シール蓋２の外周縁部がフランジ壁１０の上面にヒートシールされている。
【００２０】
商品ラベル４は、図２に示すごとくヒートシール性能を有するプラスチックフィルム製のラベル基材４ａを含み、ヒンジ部分３３のラベル基材４ａが容器本体１側の壁面にヒートシールされている。
【００２１】
商品ラベル４のラベル基材４ａの表面には、図７に示すごとく、接着剤３４をストライプ状に塗布形成し、商品ラベル４の主面部分３２は、接着剤３４で外蓋３の主面壁１９の外表面に貼付する。また、商品ラベル４のヒンジ部分３３は、容器本体１側の壁面に対して接着剤３４で接着し、かつ接着剤３４間のラベル基材４ａの部分をヒートシールすることができる。
【００２２】
商品ラベル４のヒンジ部分３３には、図６に示すごとく、ミシン目３５を入れ、ミシン目３５の両端近くに、ミシン目３５と交差する向きの切込み３６を形成しておくことができる。
【００２３】
【作用】
容器本体１内に液含浸体Ｃを収容した図１の出荷状態において、容器本体１の内部はシール蓋２で完全に密封されており、更にシール蓋２の上方外側が外蓋３で閉じられている。その際、外蓋３はシール蓋２が他物と接触して損傷するのを防止する。容器本体１から液含浸体Ｃを取り出す際には、ユーザーが商品ラベル４をヒンジにして外蓋３を開き操作したのち、容器本体１からシール蓋２を引き剥がす。これで容器本体１の開口上面の出入口１２が大きく開放するので、この出入口１２から液含浸体Ｃを一つずつ容易にピックアップできる。容器本体１内の液含浸体Ｃを使い切るまでは、容器本体１にシール蓋２を再び被せ付けて外蓋３を閉じ合わせる。
【００２４】
シール蓋２が開封されるまでの期間は長い。この点を考慮すると、シール蓋２はこれの外周縁部を容器本体１のフランジ壁１０にヒートシールして確実に出入口１２を密封しておくことが望まれる。その場合、ユーザーがいったんシール蓋２を開封すると、シール蓋２の外周縁部は前記フランジ壁１０に再接着できない。しかし、シール蓋２を開放した後は、短期間のうちに液含浸体Ｃが消費し尽くされるのが常である。そこで、容器本体１に外蓋３を閉じ合わせたとき、容器本体１のフランジ壁１０と外蓋３のシール壁２０との間に挟持手段２６・２７を設けてあり、この挟持手段２６・２７でシール蓋２の外周縁部が蛇行状に挟持される。これにて、容器本体１内を密封状態に維持しておくことができる。
【００２５】
【発明の効果】
本発明の包装容器によれば、ユーザーがシール蓋２を開封したとき、容器本体１の開口上面がそのまま出入口１２として大きく開放する。従って、この出入口１２から液含浸体Ｃを簡単に取り出すことができる。
【００２６】
シール蓋２の開封後、次に液含浸体Ｃを取り出すまでの間は、出入口１２をシール蓋２で塞いだのち、容器本体１に外蓋３を閉じ合わせると、両者１・３の係合手段２９・３０で外蓋３が閉じ状態に保持される。これで容器本体１のフランジ壁１０と、外蓋３のシール壁２０とに設けた挟持手段２６・２７が、シール蓋２の外周縁部を蛇行状に挟み込まれて、シール機能が有効に発揮され、液含浸体Ｃの含浸液の蒸発や、外気の出入りを確実に防止できる。従って、いったんシール蓋２を開封した後でも、出入口１２を繰り返し密封し、液含浸体Ｃを使い切るまでは適正な状態に保存できる。
【００２７】
開封後は外蓋３と本体容器１とでシール蓋２を挟持する形態としたので、液含浸体Ｃの取り出し時にこれから含浸液が滴り落ちてもシール作用が低下することはない。従って、開封後の液含浸体Ｃの保存期間が長期にわたるような場合にも、液含浸体Ｃが乾燥したり、変質したりするのをよく防止できる。
【００２８】
容器本体１と外蓋３とが、それぞれ薄肉のプラスチック成形品からなるときは、軽量にして安価に量産できる。外蓋２は容器本体１に商品ラベル４で開閉操作可能に連結されており、商品ラベル４これ自体がヒンジ機能を果たすので、専用のヒンジを省略できる分だけ、包装容器の全体構造を簡素化を図り、製造コストの低減化を図れる。
【００２９】
シール蓋２がガスバリア性を有するプラスチックフィルムからなるときは、シール蓋２の外周縁部をフランジ壁１０の上面にヒートシールすることができる。従って、本発明の包装容器は、出荷後にシール蓋２が開封されるまでに長期間を経ても、液含浸体Ｃに含浸の液が蒸発するのを確実に防止する。
【００３０】
商品ラベル４のラベル基材４ａがヒートシール性能を有するプラスチックフィルムからなるときは、ヒンジ部分３３のラベル基材４ａを容器本体１側の壁面に対してヒートシールすることにより、ヒンジ部分３３が小面積であっても、容器本体１側にヒンジ部分３３を確実に固着できる。従って、外蓋３を繰り返し開閉操作しても、商品ラベル４のヒンジ部分３３が不用意に剥がれて、容器本体１と外蓋３とがバラバラに分離することはない。
【００３１】
本発明の商品ラベル４において、そのラベル基材４ａの表面に接着剤３４がストライプ状に形成されていると、ラベル基材４ａに接着剤３４がベタ塗り状態で全面的に塗布形成されている形態とは異なり、接着剤３４の使用量が少なくて済み、製造コストを低減化できる。商品ラベル４の主面部分３２は、広い面積を持っているので、この主面部分３２を外蓋３の主面壁１９の外表面に確りと接着固定できる。使用後は、商品ラベル４を外蓋３から剥ぎ取りやすくなるので、外蓋３と商品ラベル４との分別回収による再利用にも有利である。商品ラベル４のヒンジ部分３３は、容器本体１側の壁面に対して、ストライプ状の接着剤３４で仮接着して位置決めしたのち、接着剤３４どうしの間をヒートシールできるので、ヒンジ部分３３を皺付きなく端面にかつ確りと固着できることにもなる。
【００３２】
商品ラベル４のヒンジ部分３３にミシン目３５が入っていると、商品ラベル４の材質にかかわらず、ヒンジ部分３３がミシン目３５の存在で屈曲しやすくなるので、容器本体１に対して外蓋３を容易に開閉操作できるし、外蓋３を半開き状態にならず完全に開き切ることができる。とくに商品ラベル４が紙製の場合、温度や湿度の変化に伴って商品ラベル４が縮んでヒンジ部分３３に引っ張り力が作用し、容器本体１に閉じ合わせた外蓋３が不用意に半開き状態になりやすい。この点、ヒンジ部分３３にミシン目３５を入れてあると、ミシン目３５がヒンジ部分３３に及ぶ引っ張り力を吸収するので、容器本体１から外蓋３が不用意に開くことがない。
【００３３】
一方、外蓋３を繰り返し開閉すると、商品ラベル４のヒンジ部分３３がミシン目３５に沿って破れやすくなる。この点、ヒンジ部分３３において、前記ミシン目３５の両端近くに切込み３６が形成されていると、ヒンジ部分３３の側端縁からの破れ目３７は切込み３６に達して止まり、破れ目３７が切込み３６より内側のミシン目３５にそのまま連続状に成長して行くのを阻止して、ヒンジ部分３３の切断を防止する。
【００３４】
【発明の実施の形態】
（第１実施例） 図１ないし図７は本発明に係る包装容器の第１実施例を示す。本発明の包装容器は、図１および図２に示すごとく、滅菌済みのカット綿に消毒用アルコールが含浸された消毒綿Ｃ（液含浸体）の包装用に供され、さらに消毒綿Ｃの使用を開始した後には保存容器としても使用される。保存容器として使用する場合には、内部の消毒綿Ｃを使い終わるまで、消毒綿Ｃに含浸のアルコールが蒸発するのを解消し、異物が容器本体１内へ入り込むのを解消する。具体的には容器本体１内に４cm角の消毒綿が１００枚入ることを予測している。
【００３５】
包装容器は、上面が開口する容器本体１と、容器本体１の開口上面の内側を密封するシール蓋２と、容器本体１の開口上面の上方を閉じる外蓋３と、外蓋３の外表面に貼付される商品ラベル４とからなる。
【００３６】
容器本体１は、半透明のポリプロピレンからなる薄肉のプラスチック成形品であり、正四角形の底壁５と、底壁５の外周から上拡がり状に立ち上がる正四角筒状の周側壁６とを有する。周側壁６には、底壁５にわたって、縦向きに走る多数の補強用リブ８が一体に膨出形成されている。
【００３７】
図１において周側壁６の上端外周には、水平状のフランジ壁１０が張り出し形成されており、フランジ壁１０の外周に外周壁部１１が立ち上げ形成されている。周側壁６で囲まれた開口上面が、消毒綿Ｃの出入口１２になっている。シール蓋２は、これの外周縁部をフランジ壁１０の上面に剥離可能に固着することにより、出入口１２の全面を塞いで容器本体１内を密封する。
【００３８】
図４において外周壁部１１は、フランジ壁１０の外周縁から立ち上がる内周側壁１３と、内周側壁１３の上端縁から外向きに張り出された水平状の受壁１４と、受壁１４の外周縁に連続して下向きに折れ曲がる外周側壁１５とからなる。
【００３９】
シール蓋２は、四角形状に形成した透明なプラスチックフィルムからなり、後述するように、その外周縁部がフランジ壁１０の上面にヒートシールされる。容器本体１の前面側に臨むシール蓋２の外周縁には、図２に示すごとくひとつの舌片１７が一体に突出形成されており、この舌片１７をつかんでシール蓋２を上方へ引き剥がすことができる。容器本体１に外蓋３を閉じ合わせたとき、舌片１７は容器本体１の外周壁部１１に沿って折り曲げられて、外蓋３で押え保持される。符号１８は、舌片１７の位置を明示するためにシール蓋２に印刷した表示である。シール蓋２の形成素材としては、ガスバリア性を備えており、さらにアルコールに耐性を有する軟らかなプラスチックフィルムの１種、あるいは複数種のプラスチックフィルムを積層した複合プラスチックフィルムが好適である。
【００４０】
外蓋３は、出入口１２の上方を覆う四角形状の主面壁１９と、主面壁１９の外周縁に連続して下方に凹み形成されてフランジ壁１０の上面にシール蓋２の外周縁部をはさんで接合するシール壁２０と、シール壁２０の外周縁から立ち上がる外周壁部２１とを備えており、容器本体１と同様に半透明のポリプロピレンからなる薄肉のプラスチック成形品である。
【００４１】
図１において外周壁部２１は、シール壁２０の外周縁に連続して上向きに立ち上がる周側壁２２と、周側壁２２の上端に連続して横向きに張り出し形成された水平状の鍔壁２３とからなる。図５に示すように鍔壁２３の前縁の左右両隅は、容器本体１の受壁１４の隅部から外方へ突出しており、この突出部分が外蓋３を開閉する際の指掛片２４になっている。
【００４２】
シール蓋２は、後縁部を残して前方および左右の三方周縁部を上方に引き剥がして出入口１２を開放する。シール蓋２は、いったん開封したのちも、容器本体１内の消毒綿Ｃを使い切るまで容器本体１の内部を可及的に密封状態に閉じる機能を与えておく必要がある。そのために、図１に示すように容器本体１のフランジ壁１０と外蓋３のシール壁２０とには、互いに嵌合してシール蓋２の外周縁部を上下方向から挟持する凸条２６と凹条２７とが全周にわたってそれぞれ形成されている。
【００４３】
詳しくは、図１および図２に示すごとくフランジ壁１０の上面側に凸条２６を全周にわたって形成する。一方、シール壁２０の下面側には、一対の凸条２８・２８を全周にわたって下向きに突出形成し、これら両凸条２８・２８間に、フランジ壁１０側の前記凸条２６が嵌合する凹条２７を形成してある。これにてシール蓋２の外周縁部は、３個の凸条２８・２６・２８に沿って蛇行状に変形されて、蛇行部分がフランジ壁１０とシール壁２０との対向面間で挟み付けられることになる。従って、いったんシール蓋２を開封しても、シール蓋２で出入口１２を繰り返し密封するのに支障はない。図４に示すように、出荷状態におけるシール蓋２は、フランジ壁１０の凸条２６において全周にわたり線状にヒートシールされている。符号３１はこのヒートシール個所を示す。
【００４４】
容器本体１に外蓋３を閉じ合わせてシール蓋２で出入口１２を密封した状態において、外蓋３を閉じ状態に保持しておく必要がある。そのために、容器本体１の外周壁部１１と外蓋３の外周壁部２１との間には、互いに凹凸係合する係合手段２９・３０が設けられている。詳しくは、図１および図２に示すように、外蓋３の周側壁２２の前辺および左右辺の中央上部に、外向きに突出する長いリブ状の突起２９を設け、容器本体１の内周側壁１３の四辺の中央部下端に、該突起２９が嵌入係合する長い係合溝３０を設けてある。
【００４５】
商品ラベル４は、外蓋３の主面壁１９の外表面に貼り付けられる主面部分３２と、主面部分３２の後縁に連続して設けられるヒンジ部分３３とを含む。商品ラベル４は、図２に示すごとくポリエチレンテレフタレートなどのヒートシール性能を有するプラスチックフィルム製のラベル基材４ａ上に、印刷特性を有する紙などの印刷層４ｂを一体に積層した複合シートからなり、とくに主面部分３２における印刷層４ｂに消毒綿Ｃの薬学上の仕様や効能、および使用上の注意、製造者の表示などが印刷されている。
【００４６】
図７において商品ラベル４のラベル基材４ａの裏側表面には、多数本の接着剤３４がストライプ状に塗布形成されている。商品ラベル４は主面部分３２を外蓋３の主面壁１９の外表面に接着剤３４で貼付した後、図６に示すようにヒンジ部分３３を外蓋３の鍔壁２３の後端縁を越えて容器本体１の外周側壁１５の外表面に接着剤３４で貼り付け、さらに外周側壁１５に貼付したヒンジ部分３３のうち、ストライプ状の接着剤３４の間に露出するラベル基材部分をヒートシールする。図７において符号３９はヒートシールした部分を示す。
【００４７】
これにより、容器本体１の外周側壁１５に対して、ヒンジ部分３３は接着剤３４の接着作用とヒートシール作用とで強固に固定できる。かくして、外蓋３は図３に示すように容器本体１に対し商品ラベル４をヒンジとして開閉自在に連結できる。
【００４８】
温度や湿度の変化に伴い、とくに過乾燥状態になると、商品ラベル４の紙製の印刷層４ｂが縮むように変形し、この変形力によって容器本体１に装着されている外蓋３が不用意に開くことがある。これを阻止するために、図６に示すごとくヒンジ部分３３には、容器本体１と外蓋３とをつなぐ部位に、左右方向に走る直線状のミシン目３５・３５が二列平行に入っている。すなわち、ヒンジ部分３３は、図３に示すごとく容器本体１の外周側壁１５の外面において折れ曲がってヒンジ中心３３ａを形成するが、ミシン目３５・３５は、ヒンジ中心３３ａを間に挟むように位置する。これによれば、ミシン目３５で外蓋３が開閉操作しやすくなる。更にミシン目３５は商品ラベル４の変形力を吸収し、外蓋３を閉じ状態に維持し続ける。
【００４９】
外蓋３を繰り返し開閉操作したとき、前記ヒンジ中心３３ａが側端縁から破れることがある。ミシン目３５を入れてあると、なお更に破れやすい。その際に、破れ目３７がミシン目３５に繋がると、破れ目３７はミシン目３５に沿って成長し、いずれはヒンジ部分３３の切断に至る。このような破れ目３７の成長を阻止するために、図６に示すようにミシン目３５の左右両端寄りには、ミシン目３５と交差する向きの切込み３６が形成されている。これによれば、破れ目３７が切込み３６に達すると、新たな破れ目は切込み３６の前後端から成長しやすくなるので、破れ目３７が切込み３６より内側のミシン目３５に直接に連続するのを良く防止できる。
【００５０】
以上のように消毒綿Ｃを収容した包装容器を使用する場合には、外蓋３を反転状に後ろ側へ大きく開いた後、舌片１７をつまんでシール蓋２を引き剥がして開封操作し、出入口１２を開放する。このとき、シール蓋２で出入口１２を再び密封するときの位置ずれを避けるために、シール蓋２の後縁部分はヒートシールされた状態のまま残しておく。このようにシール蓋２を開放し、出入口１２の殆どを開放した状態で容器本体１内の消毒綿Ｃをピンセットで取り出す。その際、シール蓋２に邪魔されずに消毒綿Ｃを最後の一つまで容易に取り出せる。消毒綿Ｃを使い切ってしまうことが予想される場合には、シール蓋２を完全に引き剥がして除去してもよい。消毒綿Ｃを取り出す過程で、消毒綿Ｃに含浸のアルコールが滴り落ちることがあっても、その液滴はシール蓋２か容器本体１に付着するだけであり、何ら不都合を生じない。
【００５１】
消毒綿Ｃを使い残した場合には、シール蓋２で出入口１２を塞ぐ。次に、外蓋３を閉じ合わせて、前記突起２９と前記溝３０とで外蓋３を閉じ状態に保持すると、シール蓋２で容器本体１内を密閉することができる。フランジ壁１０とシール壁２０とに設けた凸条２６と凹条２７とでシール蓋２の外周縁部が蛇行状になって挟持することにより、消毒綿Ｃからのアルコール分の蒸気および外気の出入りを確実に防止する。従って、いったんシール蓋２を開封しても、出入口１２を繰り返し密封できる。
【００５２】
（第２実施例） 容器本体１の大きさは、内部に収容する消毒綿Ｃの個数に応じて、その大きさを自由に変更できる。例えば、図８に示すように容器本体１の高さを大きくして、２００個の消毒綿Ｃが収容できるようにしてもよい。
【００５３】
（第３実施例） 商品ラベル４における接着剤３４の塗布パターンは、図９に示すように横向きのストライプ状に形成してもよい。この場合のヒンジ部分３３は、左右幅方向の全長にわたってヒートシールすることができる。ミシン目３５は、図９に示すように１列だけで形成してもよい。
【００５４】
（第４実施例） 図１０は本発明の第４実施例を示す。この場合の容器本体１は、フランジ壁１０の外周に外周壁部１１が斜め下向きに連設されている。外蓋３は主面壁１９の外周部分がシール壁２０になっており、シール壁２０の前方および左右の三方外周縁に外周壁部２１が斜め下向きに連設されている。商品ラベル４は、主面部分３２が外蓋３の主面壁１９の外表面に接着され、主面部分３２の後端につながるヒンジ部分３３が容器本体１の外周壁部１１の後辺の外面に接着されている。
【００５５】
第４実施例によれば、容器本体１に外蓋３を閉じ合わせたとき、外蓋３の外周壁部２１の下端周縁に設けた係合部４１が容器本体１側に外周壁部１１の下端周縁に回り込み係合して、外蓋３が閉じた状態に保持される。その他の構成は、実質的に第１実施例と同じであるから、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【００５６】
（第５実施例） 図１１は本発明に係る包装容器の第５実施例を示す。この場合の外蓋３は、主面壁１９の外周部分がシール壁２０になっており、シール壁２０の前方および左右の三方外周縁に外周壁部２１が下向きに連出している。商品ラベル４は、主面部分３２が外蓋３の主面壁１９の外表面に接着され、主面部分３２の後端につながるヒンジ部分３３が、容器本体１のフランジ壁１０の後辺の下面に回り込んで接着されている。
【００５７】
第５実施例によれば、容器本体１に蓋体３を閉じ合わせたとき、外蓋３の外周壁部２１に設けた係合部４１が、容器本体１側のフランジ壁１０の外周縁の下方に回り込み係合して、外蓋３が閉じた状態に保持される。その他の構成は、実質的に第１実施例と同じであるから、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【００５８】
上記の実施例以外に、液含浸体Ｃとしては、滅菌済みのカット綿に過酸化水素水やヨードチンキなどの薬剤を含浸させた消毒綿であってもよく、あるいは化粧水やクレンジング液を含浸させたカット綿であってもよい。さらに、含浸液を含ませるための担体としては、カット綿に限られず、任意形状の綿塊や球状に丸めた綿塊であってもよいし、滅菌処理された不織布を四角形状にカットしたマットや、面棒のような棒状体であってもよい。
【００５９】
容器本体１の四角形である必要はなく、円形、楕円形、あるいは多角形など必要に応じて任意形状を採用できる。ミシン目３５はジグザグに形成してあってもよい。商品ラベル４における接着剤３４の塗布パターンは、前後方向に対して斜めになるよう形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】外蓋を閉じた状態での包装容器の縦断側面図
【図２】包装容器の構成部材を分解して示す斜視図
【図３】外蓋を開放した状態での包装容器の側面図
【図４】シール蓋のヒートシール部分を拡大して示す縦断面図
【図５】外蓋の隅部の形状を拡大して示す平面図
【図６】包装容器のヒンジ部分を示す背面図
【図７】商品ラベルにおける接着剤の塗布パターンを示す底面図
【図８】本発明の第２実施例を示す包装容器の側面図
【図９】本発明の第３実施例を示す商品ラベルの底面図
【図１０】本発明の第４実施例を示す包装容器の縦断側面図
【図１１】本発明の第５実施例を示す包装容器の縦断側面図
【符号の説明】
１ 容器本体
２ シール蓋
３ 外蓋
４ 商品ラベル
４ａ 商品ラベルのラベル基材
１０ フランジ壁
１１ 容器本体の外周壁部
１９ 主面壁
２０ シール壁
２１ 外蓋の外周壁部
２６ 凸条
２７ 凹条
２９ 突起
３０ 係合溝
３２ 商品ラベルの主面部分
３３ 商品ラベルのヒンジ部分
３４ 接着剤
３５ ミシン目
３６ 切込み
Ｃ 液含浸体

Claims (6)

1. 内部に液含浸体（Ｃ）を収容するために、上面が出入口（１２）として開口する容器本体（１）と、
   容器本体（１）の出入口（１２）を密封する内側のシール蓋（２）と、
   容器本体（１）の開口上面の外側を閉じる外蓋（３）と、
   外蓋（３）の外表面に貼付される商品ラベル（４）とを備えており、
   容器本体（１）が、底壁（５）と、底壁（５）の外周から立ち上がる周側壁（６）と、周側壁（６）の上端外周に張り出し形成された水平状のフランジ壁（１０）とを含み、
   シール蓋（２）は、その外周縁部がフランジ壁（１０）の上面に剥離可能に固着されており、
   外蓋（３）は、シール蓋（２）の上方を覆う主面壁（１９）と、主面壁（１９）につながっていて、フランジ壁（１０）の上面にシール蓋（２）の外周縁部をはさんで接合するシール壁（２０）とを含み、
   商品ラベル（４）は、印刷表示が入っていて、外蓋（３）の主面壁（１９）の外表面に固着される主面部分（３２）と、主面部分（３２）につながっていて、外蓋（３）の外周縁を越えて容器本体（１）側の壁面に固着されるヒンジ部分（３３）とを含んでおり、
   商品ラベル（４）が、ヒートシール性能を有するプラスチックフィルム製のラベル基材（４ａ）を含み、
   ヒンジ部分（３３）のラベル基材（４ａ）が、容器本体（１）側の壁面にヒートシールされており、
   商品ラベル（４）のラベル基材（４ａ）の表面に、接着剤（３４）がストライプ状に塗布形成されており、
   商品ラベル（４）の主面部分（３２）は、接着剤（３４）で外蓋（３）の主面壁（１９）の外表面に貼付されており、
   商品ラベル（４）のヒンジ部分（３３）は、容器本体（１）側の壁面に対して接着剤（３４）で接着され、かつ接着剤（３４）間のラベル基材（４ａ）の部分がヒートシールされていることを特徴とする包装容器。
2. 容器本体（１）のフランジ壁（１０）と外蓋（３）のシール壁（２０）とには、シール蓋（２）の外周縁部を蛇行状に挟持する挟持手段（２６・２７）が、全周にわたってそれぞれ形成されている請求項１記載の包装容器。
3. 容器本体（１）に外蓋（３）を閉じた状態に保持するために、容器本体（１）のフランジ壁（１０）の外周に形成された外周壁部（１１）と、外蓋（２）のシール壁（２０）の外周に形成された外周壁部（２１）とに、互いに係合する係合手段（２９・３０）が設けられている請求項１記載の包装容器。
4. 容器本体（１）と外蓋（３）とは、それぞれ薄肉のプラスチック成形品であり、
   シール蓋（２）は、ガスバリア性を有するプラスチックフィルムからなり、
   シール蓋（２）の外周縁部がフランジ壁（１０）の上面にヒートシールされている請求項１記載の包装容器。
5. 商品ラベル（４）のヒンジ部分（３３）に、ミシン目（３５）が入っている請求項１記載の包装容器。
6. 商品ラベル（４）のヒンジ部分（３３）には、ミシン目（３５）の両端近くに、ミシン目（３５）と交差する向きの切込み（３６）が形成されている請求項５記載の包装容器。

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