JP4165484B2 - ポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子の信頼性向上のための半導体表面保護膜や層間絶縁膜の形成に使用されるポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
従来から、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜の形成には、耐熱性、電気特性、機械特性に優れたポリイミド樹脂が使用されてきた(非特許文献1参照)。また、近時、メモリやマイクロプロセッサーなどの主要デバイスの生産性向上に対応するように半導体素子の高集積化と大型化とが進められ、また、情報機器用デバイスの薄型パッケージングに対応するように封止樹脂パッケージの薄型化と小型化とが進められ、さらに、半田リフローによる表面実装への移行が進められるようになってきている。これら事情に伴って、これらに使用される表面保護膜や層間絶縁膜に対しても耐熱サイクル性、耐熱ショック性などの大幅な性能向上が要求されてきており、その結果、より高性能なポリイミド樹脂が望まれている。
また、回路パターン製造工程を簡略化するために、感光性ポリイミドを使用することが注目されて来ている。また、感光性ポリイミド樹脂に代わって、耐湿性に優れた感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂も開発されて来た(非特許文献2参照)。
しかし、従来の感光性ポリイミド樹脂や感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂は、金属や無機材料と比べると、熱膨張係数が大きいという問題があった。
樹脂の熱膨張係数が大きい場合、金属や無機材料の基材に塗布すると、熱膨張係数の差に起因する熱応力によって、膜にクラックが発生したり、膜が基材から剥離したり、基材に反りが発生したり、基材が破壊されたり等が起こる。さらに、基材に大きな反りを生じた状態でパターニングのためのリソグラフィーを行うと、解像度が悪くなり問題となる。この問題は、特に、大型の基材を使用した場合や、基材上に厚く塗布する場合に大きくなる。そのため、熱膨張係数の小さい感光性樹脂の開発が強く望まれている。特にシリコンウエハは基材として重要であるが、熱膨張係数が3ppm/℃と非常に小さく、樹脂との熱膨張係数差から生じるウェハの反りは、製造工程での不良品の発生、搬送不良、割れの要因、あるいはデバイス特性への影響を考えると好ましくない。したがって、樹脂の熱膨張係数は小さく、シリコンウエハの熱膨張係数に近いことが好ましい。
一般にポリイミドの熱膨張係数を小さくするためには、化学構造上、ポリイミド主鎖が剛直で直線状の棒状構造を有していることが必要であると言われている。そして、このような剛直で直線状の棒状構造を形成するためには、環構造のパラ結合が特に重要である。このようなパラ結合を有するポリイミドでは、ポリイミド骨格の面内配向度が大きくなり、そのために、剛直で直線状の棒状構造を有するようになると考えられるからである。
しかしながら、ポリイミドが剛直すぎると、膜の強靭性が失われて実用価値がなくなってしまう。また、剛直であるが故に、ポリイミド骨格の共役が長くなり、分子内電荷移動や分子間電荷移動に基づく光吸収が大きくなって、着色が大きくなる。そのため、感光性ポリイミド前駆体組成物膜の短波長での紫外線の透過率が小さくなって、光感度が低くなるという問題がある。
「最新ポリイミド〜基礎と応用」(エヌ・ティー・エス)p.327〜338 「電子部品用高分子材料の最新動向III」(住ベテクノリサーチ)p.88〜119
本発明は、従来のポジ型感光性樹脂の熱膨張係数が大きいことに起因する、基材との密着性の低下や基材の反りなどを軽減するためになされたものであり、熱膨張係数が小さく、このために、基材との密着性の低下や基材の反り等が軽減され、電気特性、解像性などが劣化することなく、かつ、膜の強靭性を維持しつつ、紫外線領域での光感度が高いポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物を提供することを目的としたものである。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにアルカリ可溶性基を有するポリイミド前駆体と、感光性溶解阻害剤とを含有し、該ポリイミド前駆体の主鎖構造は、非芳香族性の環構造が含有されて構成されることを特徴とし、そのことにより、上記目的が達成される。
前記ポリイミド前駆体は、一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有することが好ましい。
Figure 0004165484
(式中、Rは芳香族性の環構造又は非芳香族性の環構造を含有する4価の有機基、Rは水酸基、フェノール性水酸基を含有する有機基又はその他の1価の有機基、Rは一般式(2)〜(5)のいずれかで示される基を表す。)
Figure 0004165484
Figure 0004165484
Figure 0004165484
Figure 0004165484
(式中、XはO、S又はNRを表し、R、Rは芳香族性の環構造を有する基を表し、R、Rは非芳香族性の環構造を有する基を表し、Rは水素又はアルキル基又はフェニル基を表す。)
前記芳香族性の環構造は、アリール環またはヘテロアリール環であり、前記非芳香族性の環構造は、脂環族環であることが好ましい。
前記アリール環は、ベンゼン環、ビフェニル環、または、ナフタレン環であり、前記へテロアリール環は、ピリジン環であることが好ましい。
前記アルカリ可溶性基は、フェノール性水酸基およびカルボキシル基から選択される少なくとも一方であることが好ましい。
前記ポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物において、前記ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基およびカルボキシル基の合計量が、繰り返し単位1モルあたり0.3〜3モルであることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端は、ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基を有する連鎖延長剤によって該結合性基を介して封鎖されており、該連鎖延長剤は、ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件下で該ポリイミド前駆体同士を該連鎖延長剤を介して連結する連結性基をさらに有していることが好ましい。
本発明のポリイミド前駆体組成物は、主鎖構造中に非芳香族性の環構造を有することによりポリイミド前駆体の短波長での紫外線の透過率が大きいので、感度が高く、パターン形成性も良好であり、また、剛直性が過度になることがないので、形成される膜の強靭性を維持することができる。さらに、ポリイミド化後の熱膨張係数が小さいので、シリコンウエハなどの低熱膨張係数の基材上に塗布、熱環化した後も熱膨張係数の差が小さく、その結果、基材との密着性が良く、かつ反りなどを軽減できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにアルカリ可溶性基を有するポリイミド前駆体と、感光性溶解阻害剤とを含有し、該ポリイミド前駆体の主鎖構造は、非芳香族性の環構造が含有されて構成されることを特徴とする。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、アルカリ可溶性基を有しているので、アルカリ水溶液に対して可溶である。ここで、アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。このようなアルカリ可溶性基は、ポリイミド前駆体の主鎖および側鎖の少なくともいずれかに導入される。しかしながら、感光性溶解阻害剤が組成物中に存在することによって、アルカリ条件に対する溶解性が大きく阻害されている。
しかし、アルカリ条件に対して溶解性が阻害されているこのようなポリイミド前駆体組成物に対して、紫外線等の所定の化学線を照射すると、露光部では、感光性溶解阻害剤が構造変化して、ポリイミド前駆体のアルカリ条件に対する溶解が促進され、ポリイミド前駆体のアルカリ条件に対する溶解性が増加する。したがって、露光後のアルカリ現像時には、露光部のみがアルカリ水溶液に対して易溶となり、未露光部の溶解速度と露光部の溶解速度とが異なることにより、レリーフパターンが形成される。
また、上記の本発明に関するポリイミド前駆体の主鎖構造は、主鎖構造中に非芳香族性の環構造が含有されることにより、ポリイミド前駆体骨格内での共役が長くならず、紫外線等の短波長領域の化学線の透過率が大きいので、感度を高くすることができ、パターン形成性を良好にすることができ、また、剛直性が過度になることがないので、形成される膜の強靭性を維持することができる。また、ポリイミド形成後の膜の熱膨張係数を小さくすることができ、基材との密着性の低下や基材の反り等の問題を軽減することができる。
本発明に関するポリイミド前駆体は、好ましくは、一般式(1)で表される構造単位を主成分としており、加熱するか、または適当な触媒を添加することにより、イミド環を有する樹脂となり得るものであり、イミド環形成により耐熱性に優れたポリイミドが形成される。
Figure 0004165484
ここで、上記(1)式中、Rは芳香族性の環構造又は非芳香族性の環構造を含有する4価の有機基、Rは水酸基、フェノール性水酸基を含有する有機基又はその他の1価の有機基、Rは一般式(2)〜(5)のいずれかで示される基を表している。
Figure 0004165484
Figure 0004165484
Figure 0004165484
Figure 0004165484
ここで、一般式(2)〜(5)中、XはO、S又はNRを表し、R、Rは芳香族性の環構造を有する基を表し、R、Rは非芳香族性の環構造を有する基を表し、Rは水素又はアルキル基又はフェニル基を表している。
上記式中に含まれる芳香族性の環構造は、具体的には、アリール環(例えば、ベンゼン環、ビフェニル環等)、またはヘテロアリール環(例えば、ピリジン環等)である。また、非芳香族性の環構造は、具体的には、脂環族環(例えば、シクロヘキサン環等)である。
上記一般式(1)中、Rは、上記の芳香族性の環構造又は上記の非芳香族性の環構造を含有する4価の有機基である。本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、ポリイミド前駆体の主鎖構造中に、非芳香族性の環構造を含有するものであり、Rで表される部分に非芳香族性の環構造が含まれる場合には、Rは、芳香族性の環構造を有する基および非芳香族性の環構造を有する基のいずれを含有する基であってもよい。Rが芳香族性の環構造を有する基および非芳香族性の環構造を有する基のいずれを有する基であっても、その炭素数が6〜30であることが好ましい。
が非芳香族性の環構造を有する基である場合の好ましい具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、2,3,5−トリカルボキシ−シクロペンタン酢酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、3,5,6−トリカルボキシ−2−ノルボルナン酢酸などといったテトラカルボン酸由来の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
が芳香族性の環構造を有する基である場合の好ましい具体例としては、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などといったテトラカルボン酸由来の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
上記一般式(1)中、Rは水酸基、フェノール性水酸基を含有する有機基又はその他の1価の有機基である。フェノール性水酸基を含有する有機基としては、ヒドロキシベンジロキシ基、ヒドロキシフェネチロキシ基などが挙げられる。このようなフェノール性水酸基を含有する有機基をエステル結合により導入するために用いられるフェノール性水酸基を有するアルコール化合物としては、例えば、4−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコールなどが挙げられる。また、フェノール性水酸基を含有する有機基をアミド結合により導入するために用いられるフェノール性水酸基を有するアミン化合物としては、例えば、4−ヒドロキシベンジルアミン、3−ヒドロキシベンジルアミン、2−ヒドロキシベンジルアミン、4−ヒドロキシフェネチルアミンなどが挙げられる。
また、その他の1価の有機基としては、フェノール性水酸基を有さない基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10であるアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基など、炭素数6〜10であるフェニル基、フェノキシ基、フェニルアミノ基、ベンジル基などが挙げられる。
上記一般式(1)中、Rは、一般式(2)〜(5)のいずれかで示される芳香族ベンゾオキサゾール残基又は芳香族ベンゾチアゾール残基又はベンズイミダゾール残基を表す。
一般式(2)〜(5)中、Rは、芳香族性の環構造を有する基を表し、その具体例としては、
Figure 0004165484
が挙げられる。ここで、式中Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデン、イソプロピリデンである。また、上記各式中において、芳香環を構成する炭素原子の1つまたは複数が、窒素原子等のヘテロ原子に置き換えられてもよい。
は、非芳香族性の環構造を有する基であり、その具体例としては、脂環族環を有する基であるシクロヘキシレン基が挙げられる。
は、芳香族性の環構造を有する基を表し、その具体例としては、
Figure 0004165484
が挙げられる。ここで、式中Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデンまたはイソプロピリデンである。また、上記各式中において、芳香環を構成する炭素原子の1つまたは複数が、窒素原子等のヘテロ原子に置き換えられてもよい。
は、非芳香族性の環構造を有する基であり、その具体例としては、脂環族環を有する基であるシクロヘキシレン基が挙げられる。
は水素、アルキル基(例えば、メチル基)又はフェニル基を表す。
とRの主鎖形成のための結合位置は任意でよいが、生成するポリイミドに直線形状を持たせるためには、パラ位置で結合するか、または、環構造内でできるだけ離間した位置関係になるように結合することが好ましい。上記例として挙げた化学式中では、好ましい結合位置を#としてそれぞれ表している。
上記のような一般式(2)〜(5)のいずれかで示されるRの基として、好ましいベンゾオキサゾール残基の具体例として、2,6−(4,4´−ジアミノジシクロヘキシル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d´]ビスオキサゾール、5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(3−アミノシクロヘキシル)−ベンゾオキサゾール、2,2´−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(5−アミノベンゾオキサゾール)などのジアミノベンゾオキサゾール残基が挙げられ、好ましいベンゾチアゾール残基の具体例として、2,6−(4,4´−ジアミノジシクロヘキシル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d´]ビスチアゾール、5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾチアゾール、5−アミノ−2−(3−アミノシクロヘキシル)−ベンゾチアゾール、2,2´−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(5−アミノベンゾチアゾール)などのジアミノベンゾオキサゾール残基が挙げられ、好ましいベンズイミダゾール残基の具体例として、2,6−(4,4´−ジアミノジシクロヘキシル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d´]ビスイミダゾール、5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンズイミダゾール、5−アミノ−2−(3−アミノシクロヘキシル)−ベンズイミダゾール、2,2´−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(5−アミノベンズイミダゾール)などのジアミノベンズイミダゾール残基が挙げられるが、これらに限定されない。
上記構成のポリイミド前駆体は、ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基およびカルボキシル基の総量が一般式(1)で示される繰り返し単位1モルあたり、0.3〜3モルであることが好ましい。フェノール性水酸基およびカルボキシル基の総量が少なすぎる場合は、アルカリ現像液に対して十分な溶解性を示さずに、良好なポジ型感光性の機能を発揮することができないおそれがある。また、フェノール性水酸基およびカルボキシル基の総量が多すぎると、現像時に膜減りが大きく、良好なパターンを形成できない。
また、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲内でR、Rにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
また、本発明においては、芳香族ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基と、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件で該ポリイミド前駆体同士を連結する連結性基との二種類の官能基を有する連鎖延長剤によって、ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端が結合性基を介して封鎖されていることが好ましい。ポリイミド前駆体がこのような連鎖延長剤によって封鎖されていると、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成した後に、連結性基を用いて、前駆体形成とは異なる条件で、ポリイミド前駆体の分子量を増大させることができる。この分子量の増大は、添加する連鎖延長剤の量を調整することによって任意に制御することができる。
本発明において使用される連鎖延長剤として、例えば、アルケニル基、アルキニル基、シクロブテン環を含有する二無水物又は1級又は2級のアミンが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビニルフタル酸無水物、1,2−ジメチル無水マレイン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、フェニルエチニルアニリン、エチニルアニリン、3−(3−フェニルエチニルフェノキシ)アニリン、プロパルギルアミン、アミノベンゾシクロブテンなどが挙げられる。一般的に、添加される連鎖延長剤の量が多くなると、ポリイミド前駆体の分子量が減少し、それゆえそれを含む溶液の粘度が減少する。また、塗布方法により最適な溶液粘度が存在する。したがって、望ましい分子量および溶液粘度が得られるように考慮して、連鎖延長剤の濃度および塗布方法が選択される。
本発明で用いるポリイミド前駆体は、公知の方法により、テトラカルボン酸二無水物とジアミノベンゾオキサゾールとを反応させることにより合成される。まず、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物またはアミン化合物とを反応させて、テトラカルボン酸ジエステル又はテトラカルボン酸ジアミドを合成し、ついで、該ジエステル又はジアミドを塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させて、テトラカルボン酸ジエステル塩化物またはテトラカルボン酸ジアミド塩化物を合成する。その後、得られた該塩化物を有機溶媒に溶解させて、ピリジンなどの脱ハロゲン化水素剤を含有した有機溶剤に溶解したジアミノベンゾオキサゾール化合物またはジアミノベンゾチアゾール化合物又はジアミノベンズイミダゾール化合物と反応させるか、シクロへキシルカルボジイミドやジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートといった適当な脱水剤を用いてジアミノベンゾオキサゾール化合物又はジアミノベンゾチアゾール化合物又はジアミノベンゾイミダゾール化合物と反応させる。この際の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶剤やγ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒等が挙げられる。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、上記ポリイミド前駆体に加えて、感光性溶解阻害剤を含有している。
本発明に適した感光性溶解阻害剤としては、例えば、o−キノンジアジド化合物類が挙げられるが、この中でも特に、フェノール性水酸基を有する化合物とナフトキノンジアジドのスルホニル酸とがエステル結合したものが好ましい。ナフトキノンジアジドのスルホニル基としては、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を挙げることができる。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、トリヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、ノボラック樹脂レジストなどに用いられる各種フェノール化合物を使用してもよい。具体的には、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド化合物とを反応させたエステル化合物などを例示することができる。ただし、これらに限定されない。このようなジアゾキノン化合物は、それ自体ではアルカリ水溶液に対して難溶な物質であり、ポリイミド前駆体をアルカリ液に対して不溶化する溶解阻害剤として作用するが、露光によってエステル結合が切断されると、カルボキシル基を生成してアルカリ水溶液に易溶となり、ポリイミド前駆体の溶解促進剤として作用する。
感光性溶解阻害剤はポリイミド前駆体100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部が添加される。
また、本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物においては、本発明の組成物の塗膜または加熱処理後のポリイミド膜と基板との接着性を向上させるために、接着促進剤を用いることができる。
接着促進剤としては、有機シラン化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、珪素含有ポリアミド酸などが好ましい。さらに、基板との接着性、感度、解像度、耐熱性などを損なわない範囲で可塑剤、色素、重合禁止剤などの他の添加物を含有させても良い。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、溶媒に溶解して溶液状態で得ることができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルイミダゾリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどを用いることができる。これらは単独で用いても良いし、混合系として用いても良い。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート法などによって、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板などの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、4〜50μmであることが好ましい。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、紫外線、可視光線、X線、電子線などの化学線を照射して、パターン状に露光後、膜の露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
化学線照射装置としては、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを照射可能な投影機や線源を使用することができる。
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩アルカリ類の水溶液およびこれにメタノール、エタノールのようなアルコール類などの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加した水溶液を好適に使用することができる。
上記現像の後に、必要に応じて、水又は貧溶媒で洗浄し、ついで約100℃前後で乾燥し、パターンを安定化することが望ましい。パターンを形成させた膜を加熱して、優れた耐熱性、機械特性、電気特性を有する膜を得ることができる。
加熱温度は、150〜500℃が好ましく、300〜450℃がさらに好ましい。加熱時間は0.05〜10時間が好ましい。加熱処理は通常、段階的または連続的に昇温しながら行う。
(作用)
本発明は、硬化後に熱膨張係数が小さいポリイミドを得ることができるポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物を与えるものである。主鎖にベンゾオキサゾール骨格又はベンゾチアゾール骨格又はベンズイミダゾール骨格を有する特定のポリイミド前駆体と、感光性溶解阻害剤とを含有することにより、ポジ型の感光性ポリイミド前駆体として使用でき、また、ベンゾオキサゾール骨格又はベンゾチアゾール骨格又はベンズイミダゾール骨格を有することにより、ポリイミド化後に熱膨張係数が非常に小さくなり、また、非芳香族性の環構造を有することにより、紫外線領域での透過率が高いために光感度が高くなり、かつ、剛直性が過度になることがないので、形成される膜の強靭性を維持することができることに基づいている。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と称する)を加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に、2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体1を合成した。
(合成例2)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾチアゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体2を合成した。
(合成例3)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンズイミダゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体3を合成した。
(合成例4)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルの1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体4を合成した。
(合成例5)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルの1,2,4,5−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(4−アミノシクロヘキシル)−ベンゾチアゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体5を合成した。
(合成例6)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(3−アミノシクロヘキシル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体6を合成した。
(合成例7)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体7を合成した。
(合成例8)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾチアゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体8を合成した。
(合成例9)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンズイミダゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体9を合成した。
(合成例10)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,2´−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体10を合成した。
(合成例11)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,2´−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体11を合成した。
(合成例12)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテルを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥し、ポリイミド前駆体12を合成した。
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド前駆体1の100重量部に対して、キノンジアジド化合物としてMG−300(東洋合成工業(株)製)20重量部をNMPに溶解させ、感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られたワニスをスピンコーターでシリコンウエハ上に回転塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間乾燥を行い、10μmの塗膜を得た。この塗膜をマスク(1〜50μmの残しパターンおよび抜きパターン)を通して、超高圧水銀灯にフィルターを取り付け、i線のみで照射した。そして2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像した。次に水でリンスし、乾燥した。その結果、露光量450mJ/cmの照射で良好なパターンが形成され、残膜率は92%であった。また、現像後の外観も良好であった。さらに、窒素雰囲気下、200℃で30分、400℃で60分の熱処理を行った。熱膨張係数は、試料を適当な温度範囲で昇温した時の線膨張率を測定し、得られた線膨張率の温度に対するプロットから求められる。線膨張率の測定方法としては、TMA(熱機械分析)法、直読法、光干渉法、押棒法、電気容量法、SQUID法などがあるが、本実施例では、この膜をシリコンウエハから剥がし、TMA(熱機械分析)法により25〜200℃の範囲で昇温速度10℃/分で測定したところ、6ppm/℃であり、熱膨張係数が低い樹脂であることが確認された。
(実施例2〜6)
実施例1において用いた合成例1のポリイミド前駆体1の代わりに、合成例2〜6のポリイミド前駆体2〜6を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例1〜6)
実施例1において用いた合成例1のポリイミド前駆体1の代わりに、合成例7〜12のポリイミド前駆体7〜12を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
実施例1〜6、比較例1〜6の評価結果については以下の表1に示した。表1中、「感度」とは、解像度10μmのパターン形成のために要する露光量であり、現像後の膜の外観評価は、露光部の現像残りがなく、パターンのエッジが平滑であれば、「良好」と評価した。残膜率の算定・算出は、以下の方法により行った。
残膜率(%)={(現像後の未露光部の膜厚)/(現像前の未露光部の膜厚)}×100
Figure 0004165484
以上の表1に示される結果によると、実施例1〜6と比較例1〜6を比較して明らかなように、本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物から得られるポリイミド(実施例1〜6)は熱膨張係数が小さく、現像性や感度も優れていることが分かる。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、半導体デバイスなどの製造での電気、電子絶縁材料として、詳しくは、ICやLSIなどの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに用いられ、微細パターンの加工が必要とされるものなどに利用できる。

Claims (6)

  1. 主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにアルカリ可溶性基を有するポリイミド前駆体と、感光性溶解阻害剤とを含有し、前記ポリイミド前駆体は、一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有し、主鎖構造、非芳香族性の環構造が含有されて構成されることを特徴とするポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
    Figure 0004165484


    (式中、R は芳香族性の環構造又は非芳香族性の環構造を含有する4価の有機基、R は水酸基、カルボニル基とエステル結合またはアミド結合を形成することが可能でかつフェノール性水酸基を含有する有機基、R は一般式(2)〜(5)のいずれかで示される基を表す。)
    Figure 0004165484


    Figure 0004165484


    Figure 0004165484


    Figure 0004165484


    (式中、XはO、S又はNR を表し、R 、R は芳香族性の環構造を有する基を表し、R 、R は非芳香族性の環構造を有する基を表し、R は水素又はアルキル基又はフェニル基を表す。)
  2. 前記芳香族性の環構造は、アリール環またはヘテロアリール環であり、前記非芳香族性の環構造は、脂環族環である、請求項に記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
  3. 前記アリール環は、ベンゼン環、ビフェニル環、または、ナフタレン環であり、前記へテロアリール環は、ピリジン環である、請求項に記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性基は、フェノール性水酸基およびカルボキシル基から選択される少なくとも一方である、請求項1〜のいずれか1つに記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
  5. 前記ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基およびカルボキシル基の合計量が、繰り返し単位1モルあたり0.3〜3モルである、請求項に記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
  6. 前記ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端は、ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基を有する連鎖延長剤によって該結合性基を介して封鎖されており、該連鎖延長剤は、ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件下で該ポリイミド前駆体同士を該連鎖延長剤を介して連結する連結性基をさらに有している、請求項1〜のいずれか1つに記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
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