JP4165454B2 - ポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子の信頼性向上のための半導体表面保護膜や層間絶縁膜の形成に使用されるポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物に関する。
従来から、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜の形成には、耐熱性、電気特性、機械特性に優れたポリイミド樹脂が使用されてきた(例えば、非特許文献1参照)。また、近時、メモリやマイクロプロセッサーなどの主要デバイスの生産性向上に対応するように半導体素子の高集積化と大型化とが進められ、また、情報機器用デバイスの薄型パッケージングに対応するように封止樹脂パッケージの薄型化と小型化とが進められ、さらに、半田リフローによる表面実装への移行が進められるようになってきている。そして、これら事情に伴って、これらに使用される表面保護膜や層間絶縁膜に対しても耐熱サイクル性、耐熱ショック性などの大幅な性能向上が要求されてきており、より高性能なポリイミド樹脂が望まれている。
また、回路パターン製造工程を簡略化するために、感光性ポリイミドを使用することが注目されてきている。
これら用途において感光性ポリイミドを使用する場合、これまで、露光部が硬化するネガ型が知られているが、これらネガ型では、現像工程での安全性に問題があり、また、現像工程にて環境上好ましくないN−メチルピロリドンなどの溶剤を使用するので、近年、従来のネガ型に代わって、アルカリ水溶液で現像できるポジ型感光性ポリイミド樹脂が開発されている(例えば、非特許文献2参照)。このポジ型感光性ポリイミド樹脂は、高い耐熱性、優れた電気特性、高い解像性を持っているため、特に注目されている。また、感光性ポリイミド樹脂に代わって、耐湿性に優れた感光性ポリベンゾオキサゾール樹脂も開発されてきた(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、従来の感光性ポリイミド樹脂や感光性ポリベンゾキサゾール樹脂は、金属や無機材料と比べると、熱膨張係数が大きいという問題があった。
樹脂の熱膨張係数が大きい場合、金属や無機材料の基材に塗布すると、熱膨張係数の差に起因する熱応力によって、膜にクラックが発生したり、膜が基材から剥離したり、基材に反りが発生したり、基材が破壊されたり等が起こる。さらに、基材に大きな反りを生じた状態で、パターニングのためのリソグラフィーを行うと、パターニングの解像度が悪くなり問題となる。この問題は、特に、大型の基材を使用した場合や、基材上に厚く塗布する場合に大きくなる。そのため、熱膨張係数の小さいポジ型感光性樹脂の開発が強く望まれている。特にシリコンウェハは基材として重要であるが、熱膨張係数が3ppm/℃と非常に小さく、樹脂との熱膨張差から生じるウェハの反りは、製造工程での不良品の発生、搬送不良、割れの要因、あるいはデバイス特性への影響を考えると好ましくない。
「最新ポリイミド〜基礎と応用」(エヌ・ティー・エス)p.327〜338 「電子部品用高分子材料の最新動向III(住ベテクノリサーチ)p.88〜119
本発明は、従来のポジ型感光性樹脂の熱膨張係数が大きいことに起因する、基材との密着性の低下や基材の反りなどの問題を軽減するためになされたものであり、熱膨張係数が小さく、このために、基材との密着性の低下や基材の反り等が軽減され、電気特性、解像性などが劣化することがない樹脂膜を与えることができるポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物を提供することを目的としたものである。
本発明は、主鎖にベンゾオキサゾール骨格を有し、且つ主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにフェノール性水酸基を有するポリイミド前駆体と、光酸発生剤と、酸触媒反応により分解する酸分解性基を有する酸分解性化合物とを含有し、該酸分解性化合物は、酸分解性基が分解していないときには該ポリイミド前駆体をアルカリに対して不溶化しており、該酸分解性基が酸触媒により分解すると、該酸分解性化合物が該ポリイミド前駆体をアルカリに対して溶解促進し、該ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解度が増加することを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
前記ポリイミド前駆体は、一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有することが好ましい。
Figure 0004165454
(式中、Rはフェノール性水酸基を含有してもよい4価の有機基、Rは、フェノール性水酸基を含有する1価の有機基又はその他の1価の有機基、Rは一般式(2)〜(5)のいずれかで示される芳香族ベンゾオキサゾール残基を表す。)
Figure 0004165454
Figure 0004165454
Figure 0004165454
Figure 0004165454
(式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、フェノール性水酸基を有していてもよい単環または複数の環から構成される芳香族環基または複素環基を表す。)
上記構成のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物において、前記ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基が繰り返し単位1モルあたり0.3〜3モルであることが好ましい。
前記ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端は、芳香族ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基を有する連鎖延長剤によって該結合性基を介して封鎖されており、該連鎖延長剤は、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件下で該ポリイミド前駆体同士を該連鎖延長剤を介して連結する連結性基をさらに有していることが好ましい。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、シリコンウェハなどの低熱膨張係数の基材上に塗布、熱環化した後に得られるポリイミドと基材との熱膨張係数の差が小さく、また、基材との密着性が良く、かつ反りなどを軽減でき、また、現像性、感光性などを良好に維持できるので、これらの結果として、良好なパターンが得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、主鎖にベンゾオキサゾール骨格を有し、且つ主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにフェノール性水酸基を有するポリイミド前駆体と、光酸発生剤と、酸触媒反応により分解する酸分解性基を有する酸分解性化合物とを含有し、該酸分解性化合物は、酸分解性基が分解していないときには該ポリイミド前駆体をアルカリに対して不溶化しており、該酸分解性基が酸触媒により分解すると、該酸分解性化合物が該ポリイミド前駆体をアルカリに対して溶解促進し、該ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解度が増加することを特徴とする。
本発明に関するポリイミド前駆体は、好ましくは、一般式(1)で表される構造単位を主成分としており、加熱するか、または適当な触媒を添加することにより、イミド環を有する樹脂となり得るものであり、イミド環形成により耐熱性に優れたポリイミドが形成される。
Figure 0004165454
ここで、上記(1)式中、Rはフェノール性水酸基を含有してもよい4価の有機基、Rは、フェノール性水酸基を含有する1価の有機基又はその他の1価の有機基を表している。
上記一般式(1)中、Rは、4価の有機基であれば特に限定されないが、ポリイミドに耐熱性を持たせるために炭素数6〜30の芳香族環または芳香族複素環基であることが好ましい。Rの好ましい具体例としては、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸などといったテトラカルボン酸由来の構造などが挙げられる。また、Rはフェノール性水酸基を含有する芳香族環基または芳香族複素環基であってもよく、このような有機基としては、例えば、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3´−ジアミノ−4,4´−ジヒドロキシビフェニルなどのジアミンと、2倍モルの無水ピロメリット酸を反応させた反応生成物であるテトラカルボン酸のR該当部分が挙げられる。
上記一般式(1)中、Rは、フェノール性水酸基を有する1価の有機基又はその他の1価の有機基であり、ポリイミド前駆体構造中に共有結合により導入されている。フェノール性水酸基を有する有機基またはその他の1価の有機基は、共有結合によりポリイミド前駆体中に導入可能なものであれば、特に限定があるわけではないが、ポリイミド前駆体への導入のし易さ、導入可能な基を考慮する場合の選択の幅広さ、イミド環形成時の脱離の容易さを考慮すると、アルコール化合物由来のもの、またはアミン化合物由来のものが好適である。これらであれば、公知の方法でアルコール化合物を用いてエステル体を合成するか、または、アミン化合物を用いてアミド体を合成するかのいずれかにより、ポリイミド前駆体に導入される。
が表すフェノール性水酸基を含有する有機基としては、ヒドロキシベンジロキシ基、ヒドロキシフェネチロキシ基などが挙げられる。このようなフェノール性水酸基を含有する有機基をエステル結合により導入するために用いられるフェノール性水酸基を有するアルコール化合物としては、例えば、4−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、2−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシフェネチルアルコールなどが挙げられる。また、フェノール性水酸基を含有する有機基をアミド結合により導入するために用いられるフェノール性水酸基を有するアミン化合物としては、例えば、4−ヒドロキシベンジルアミン、3−ヒドロキシベンジルアミン、2−ヒドロキシベンジルアミン、4−ヒドロキシフェネチルアミンなどが挙げられる。
また、Rが表すその他の1価の有機基としては、フェノール性水酸基を有さない基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数が1〜10であるアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基など、炭素数が6〜10であるフェニル基、フェノキシ基、フェニルアミノ基、ベンジル基などが挙げられる。
一般にポリイミドの熱膨張係数を小さくするためには、化学構造上、ポリイミド主鎖が剛直で直線状の棒状構造を有していることが必要であると考えられる。そして、このような剛直で直線状の棒状構造を形成するためには、環構造のパラ結合が特に重要である。このようなパラ結合を有する環構造のポリイミドでは、ポリイミド骨格の面内配向度が大きくなり、そのために、剛直で直線状の棒状構造を有するようになると考えられるからである。
本発明に関するポリイミド前駆体は、このようなポリイミドの熱膨張係数を小さくするために適した化学構造として、主鎖にベンゾオキサゾール骨格を有しており、さらに好ましくは、上記一般式(1)において、Rが、以下の一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるベンゾオキサゾール骨格を有している。
Figure 0004165454
Figure 0004165454
Figure 0004165454
Figure 0004165454
上記一般式(2)〜(5)中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、フェノール性水酸基を有していてもよい単環または複数の環から構成される芳香族環基または複素環基を表している。
の具体例としては、
Figure 0004165454
が挙げられる。ここで、式中Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデン、イソプロピリデンである。
の具体例としては、
Figure 0004165454
が挙げられる。ここで、Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデンまたはイソプロピリデンである。
の具体例としては、
Figure 0004165454
が挙げられる。ここで、式中Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデンまたはイソプロピリデンである。
の具体例としては、
Figure 0004165454
が挙げられる。ここで、Xは、O、S、SO、S=O、CH、C=O、ヘキサフルオロイソプロピリデンまたはイソプロピリデンである。
〜Rの主鎖形成のための結合位置は任意でよいが、生成するポリイミドに直線形状を持たせるためは、前述のように、パラ位置で結合するか、または、環構造内でできるだけ離間した位置関係になるように結合することが好ましい。上記例として挙げた化学式中では、好ましい結合位置を#、#´としてそれぞれ表している。また、R、R、R、Rは、それぞれフェノール性の水酸基を置換基として有しても良い。
上記のようなR〜Rのいずれかで示されるRの好ましい具体例としては、2,6−(4,4´−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d´]ビスオキサゾール、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール、4,4´−ジフェニルエーテル−2,2´−ビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2´−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2´−ビス(4−フェニル)ヘキサフルオロプロパン−2,2´−(5−アミノベンゾオキサゾール)などが挙げられる。また、フェノール性水酸基を有するものとしては、5−アミノ−2−(m−ヒドロキシ−p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノ−p−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾール、4,4´−ジ(m−ヒドロキシフェニル)エーテル−2,2´−ビス(5−アミノベンゾオキサゾール)などが挙げられる。
上記構成のポリイミド前駆体は、ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基が一般式(1)で示される繰り返し単位1モルあたり、0.3〜3モルであることが好ましい。フェノール性水酸基の量が少なすぎる場合は、アルカリ現像液に対して十分な溶解性を示さないおそれがあり、良好なポジ型感光性の機能を発揮することができないおそれがある。フェノール性水酸基が多すぎると、現像時に膜減りが大きく、良好なパターンを形成できない。
また、本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物と基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲内でR、Rにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合しても良い。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
また、本発明においては、芳香族ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基と、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件で該ポリイミド前駆体同士を連結する連結性基との二種類の官能基を有する連鎖延長剤によって、ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端が結合性基を介して封鎖されていることが好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような連鎖延長剤によって封鎖されていると、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成した後に、連結性基を用いて、前駆体形成とは異なる条件で、ポリイミド前駆体の分子量を増大させることができる。この分子量の増大は、添加する連鎖延長剤の量を調整することによって任意に制御することができる。
本発明において使用される連鎖延長剤は、特に限定はないが、例えば、アルケニル基、アルキニル基、シクロブテン環を含有する二酸無水物又は1級又は2級のアミンが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビニルフタル酸無水物、1,2−ジメチル無水マレイン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、フェニルエチニルアニリン、エチニルアニリン、3−(3−フェニルエチニルフェノキシ)アニリン、プロパルギルアミン、アミノベンゾシクロブテンなどが挙げられる。一般的に、添加される連鎖延長剤の量が多くなると、ポリイミド前駆体の分子量が減少し、それゆえそれを含む溶液の粘度が減少する。また、塗布方法により最適な溶液粘度が存在する。したがって、望ましい分子量および溶液粘度が得られるように考慮して、連鎖延長剤の濃度及び塗布方法が選択される。
本発明のポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミノベンズオキサゾールとを反応させることにより合成されるが、主鎖にフェノール性水酸基を有するように、テトラカルボン酸二無水物及びジアミノベンズオキサゾールの少なくともいずれかにフェノール性水酸基を含有するものを選択するか、または、側鎖にフェノール性水酸基を有するように、フェノール性水酸基を有する基をRとして導入する。フェノール性水酸基を有する基をRとして導入する場合、アルコール化合物又はアミン化合物を反応させる方法が公知であるので、例示として、この方法について説明する。まず、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物又はアミン化合物とを反応させて、テトラカルボン酸ジエステル又はテトラカルボン酸ジアミドを合成し、ついで、該ジエステル又はジアミドを塩化チオニルなどと反応させて、テトラカルボン酸ジエステル塩化物又はテトラカルボン酸ジアミド塩化物を合成する。その後、得られた該塩化物を有機溶媒に溶解させて、ピリジンなどの脱ハロゲン化水素剤を含有した有機溶剤に溶解したジアミノベンゾオキサゾールと反応させるか、シクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニル(2,3―ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートなどの適当な脱水剤を用いてジアミノベンゾオキサゾールと反応させる。この際の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶剤やγ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒が挙げられる。
本発明のポジ型ポリイミド前駆体組成物においては、上記ポリイミド前駆体とともに、光酸発生剤と、酸触媒反応により分解する酸分解性基を有する酸分解性化合物とを含有している。そして、この酸分解化合物は、酸分解性基が分解していないときには該ポリイミド前駆体のアルカリに対する溶解性を阻害しており、該酸分解性基が酸触媒により分解すると、該酸分解性化合物が該ポリイミド前駆体のアルカリに対する溶解性を促進し、該ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解度が増加する。
本発明に係るポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物では、光照射により露光部において光酸発生剤が酸を発生し、この酸発生剤が発生した酸による酸触媒反応により、酸分解性化合物の酸分解性基が分解し、該酸分解性化合物が該ポリイミド前駆体のアルカリに対する溶解性を促進し、該ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解度が増加する。その結果として、アルカリ現像時において、光が照射された露光部のアルカリ溶液に対する溶解性が増加することにより、良好なポジ型感光特性が得られる。
本発明に適した光酸発生剤は紫外線のような光の照射によって酸性を呈する。このような光酸発生剤としては、具体的にはジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアリールヨーヂニウム塩、アリールジアゾニウム塩、芳香族テトラカルボン酸エステル、芳香族スルホン酸エステル、ニトロベンジルエステル、芳香族スルファミド、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルなどが用いられる。このような化合物は必要に応じて2種以上併用したり、他の増感剤と組み合せて使用したりすることができる。
光酸発生剤はポリイミド前駆体100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部が添加される。
本発明に適した、酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解度が増加する酸分解性基を有する化合物とは、露光により光酸発生剤から発生した酸を触媒として分解反応を起こし、露光部のアルカリ水溶液への溶解性を増大させる機能を有する化合物である。例えば、ポリビニルフェノールなどのアルカリ可溶性樹脂、ビスフェノール類、トリスフェノール類、トリスフェノールアルカン類、テトラキスフェノール類などの水酸基をアセタール基、ケタール基などの酸分解性基で保護した重合体又は化合物が挙げられる。また、ポリアクリル酸又は、スチレンとアクリル酸の共重合体などのカルボキシル基含有アクリル又はスチレン−アクリル系重合体の一部又は全部のカルボキシル基を酸分解性基で保護した化合物が挙げられる。酸触媒反応により分解する酸分解性基としては、例えば、
Figure 0004165454
(但し、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を示す。)などが挙げられる。
この酸分解性化合物は、ポリイミド前駆体100重量部に対して、2〜100重量部、好ましくは5〜50重量部が添加される。
また、本発明のポリイミド前駆体組成物においては、本発明の組成物の塗膜または加熱処理後に形成されるポリイミド膜と基板との接着性を向上させるために、接着促進剤を用いてもよい。
接着促進剤としては、有機シラン化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、珪素含有ポリアミド酸などが好ましい。さらに、基板との接着性、感度、解像度、耐熱性などを損なわない範囲で他の添加物を含有させても良い。
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は、溶媒に溶解して溶液状態で得ることができる。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。
本発明の感光性ポリイミド前駆体組成物は浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、スピンコート法などによって、シリコンウェハ、金属基板、セラミック基板などの基材表面に塗布し、加熱して溶剤の大部分を除くことにより、基材表面に粘着性のない塗膜を与えることができる。塗膜の厚みには特に制限はないが、4〜50μmであることが好ましい。
この塗膜に、所定のパターンを有するマスクを通して、紫外線、可視光線、X線、電子線などの化学線を照射して、パターン状に露光後、膜の未露光部分を、適切な現像液で現像して除去することにより、所望のパターン化された膜を得ることができる。
化学線照射装置としては、g線ステッパ、i線ステッパ、超高圧水銀灯を用いるコンタクト/プロキシミティ露光機、ミラープロジェクション露光機、又はその他の紫外線、可視光線、X線、電子線などを発生する投影機や線源を使用することができる。
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩アルカリ類の水溶液およびこれにメタノール、エタノールのようなアルコール類などの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適量添加した水溶液を好適に使用することができる。
上記現像の後に、必要に応じて、水又は貧溶媒で洗浄し、ついで約100℃前後で乾燥し、パターンを安定化することが望ましい。パターンを形成させた膜を加熱して、優れた耐熱性、機械特性、電気特性を有する膜を得ることができる。
加熱温度は、150〜500℃が好ましく、300〜450℃がさらに好ましい。加熱時間は0.05〜10時間が好ましい。加熱処理は通常、段階的または連続的に昇温しながら行う。
(作用)
本発明は、硬化後に熱膨張係数が小さいポリイミドを得ることができるポジ型ポリイミド前駆体組成物を与えるものである。主鎖にベンゾオキサゾール骨格を有する特定のポリイミド前駆体と光酸発生剤と酸触媒反応によりアルカリ水溶液に対する溶解度が増加する酸分解性化合物とを組み合わせることにより、ポジ型の感光性ポリイミド前駆体として使用でき、また、ベンゾオキサゾール骨格を有していることにより、硬化して得られるポリイミドの熱膨張係数が小さくなることに基づいている。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルの4,4´−オキシジフタル酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と記載する)を加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,6−(4,4´ジアミノジフェニル)−ベンゾ[1,2−d:5,4−d´]ビスオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3―ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例2)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)を加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例3)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノ−m−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例4)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルの4,4´−オキシジフタル酸、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−6−ヒドロキシ−2−(p−アミノ−フェニル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例5)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−6−ヒドロキシ−2−(p−アミノ−m−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾールを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例6)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)を加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルのナジック酸無水物(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物)と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例7)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)−ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)を加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例8)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,2´−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコにフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥する。
(合成例9)
窒素導入管を備えたフラスコに、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルのエチルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルのビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテルを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルのエチルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、この状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例10)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの2,2´−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPとを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(合成例11)
窒素導入管を備えたフラスコ1に、1モルのピロメリット酸無水物、2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび2LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置し、反応終了後に1モルの4,4´−ジアミノジフェニルエーテルを加えた。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。また、別の窒素導入管を備えたフラスコ2に、2モルの無水マレイン酸と2.1モルの4−ヒドロキシベンジルアルコールおよび1LのNMPを加えて攪拌し、続けて2.1モルのトリエチルアミンを30分間にわたって滴下した。滴下後、この状態で3時間放置した後、フラスコ1にフラスコ2の溶液を混合し、30分間攪拌した。次に2.1モルのジフェニル(2,3−ジヒドロ−チオキソ−3−ベンゾオキサゾール)ホスホナートを5回に分けて添加し、添加後、その状態で5時間縮合した。得られたスラリー状の混合物を大量のメタノール中に投入して洗浄し、得られた固形樹脂を真空乾燥機によって12時間乾燥した。
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド前駆体100重量部、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート10重量部、テトラヒドロピラニル基を酸分解性基に持つポリヒドロキシ化合物(α,α,α´−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼンへの4−ヒドロキシベンジル基ヘキサ付加体)(テトラヒドロピラニル基置換率0.8)20重量部をNMPに溶解させ、感光性ポリイミド前駆体組成物のワニスを得た。得られた感光性ポリイミド前駆体組成物をスピンコーターでシリコンウェハ上に回転塗布し、ホットプレートを用いて100℃で5分間乾燥を行い、10μmの塗膜を得た。この塗膜をマスク(1〜50μmの残しパターンおよび抜きパターン)を通して、超高圧水銀灯を用いて紫外線を照射した後、120℃で2分間加熱した。そして2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像した後、水でリンスし、乾燥した。その結果、露光量600mJ/cmの照射で良好なパターンが形成され、残膜率は90%であった。また、現像後の外観も良好であった。さらに、200℃で30分、400℃で60分の熱処理を行った。熱膨張係数は、試料を適当な温度範囲で昇温した時の線膨張率を測定し、得られた線膨張率の温度に対するプロットから求められる。線膨張率の測定方法としては、TMA(熱機械分析)法、直読法、光干渉法、押棒法、電気容量法、SQUID法、などがあるが、本実施例1では、熱処理後の膜をシリコンウハから剥がし、TMA(熱機械分析)法により25〜200℃の範囲で昇温速度10℃/分で測定した。その結果、熱膨張係数は、5ppm/℃であり、熱膨張係数が低い樹脂であることが確認された。
(実施例2〜7)
実施例1において用いた合成例1のポリイミド前駆体の代わりに、合成例2〜7のポリイミド前駆体を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
(比較例1〜4)
実施例1において用いた合成例1のポリイミド前駆体の代わりに、合成例8〜11のポリイミド前駆体を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感光性ワニスを調製し、実施例1と同様にして評価した。
実施例1〜7、比較例1〜4の評価結果については以下の表1に示した。表1中、「感度」とは、解像度10μmのパターン形成のために要する露光量であり、現像後の膜の外観評価は、露光部の現像残りがなく、パターンのエッジが平滑であれば、「良好」と評価した。残膜率の算定・算出は、以下の方法により行った。
残膜率(%)={(現像後の未露光部の膜厚)/(現像前の未露光部の膜厚)}×100
Figure 0004165454
以上の表1に示される結果によると、実施例1〜7の熱膨張係数と比較例1〜4の熱膨張係数とを比較して明らかなように、実施例1〜7に示される本発明に係るポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物から得られるポリイミドは、従来のポリイミド(比較例1〜4)に比較して、明らかに熱膨張係数が低減されている。また、実施例1〜7と比較例1〜4とにおける感度および残膜率および現像後外観を比較すると、感度および残膜率および現像外観ともに実施例1〜7は、比較例1〜4に比較して劣化しておらず、本発明に係るポジ型感光性ポリイミド前駆体から得られるポリイミドは、現像性や感度も優れていることが分かる。
本発明のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物は、半導体デバイスなどの製造での電気、電子絶縁材料として、詳しくは、ICやLSIなどの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜などに用いられ、微細パターンの加工が必要とされるものなどに利用できる。

Claims (3)

  1. 主鎖にベンゾオキサゾール骨格を有し、且つ主鎖及び側鎖の少なくともいずれかにフェノール性水酸基を有するポリイミド前駆体と、光酸発生剤と、酸触媒反応により分解する酸分解性基を有する酸分解性化合物とを含有し、
    該酸分解性化合物は、酸分解性基が分解していないときには該ポリイミド前駆体をアルカリに対して不溶化しており、該酸分解性基が酸触媒により分解すると、該酸分解性化合物が該ポリイミド前駆体をアルカリに対して溶解促進し、該ポリイミド前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解度が増加するポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物であって、前記ポリイミド前駆体は、一般式(1)で示される構造を繰り返し単位中に有する、ポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
    Figure 0004165454

    (式中、Rはフェノール性水酸基を含有してもよい4価の有機基、Rは、フェノール性水酸基を含有する1価の有機基又はその他の1価の有機基であって、R に結合するカルボニル基を含んだエステル結合か又はアミド結合を形成する有機基、Rは一般式(2)〜(5)のいずれかで示される芳香族ベンゾオキサゾール残基を表す。)
    Figure 0004165454

    Figure 0004165454

    Figure 0004165454

    Figure 0004165454

    (式中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、フェノール性水酸基を有していてもよい単環または複数の環から構成される芳香族環基または複素環基を表す。)
  2. 前記ポリイミド前駆体全体に含まれるフェノール性水酸基が繰り返し単位1モルあたり0.3〜3モルである、請求項1に記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
  3. 前記ポリイミド前駆体の少なくとも一方の末端は、芳香族ジアミンまたは二酸無水物と結合する結合性基を有する連鎖延長剤によって該結合性基を介して封鎖されており、該連鎖延長剤は、芳香族ジアミンと二酸無水物とからポリイミド前駆体を形成するための条件とは異なる条件下で該ポリイミド前駆体同士を該連鎖延長剤を介して連結する連結性基をさらに有している、請求項1または2に記載のポジ型感光性ポリイミド前駆体組成物。
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