JP4164881B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、あらゆる位置からの尿や***物の漏れを防止し得る吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、尿、経血や便等の***物を処理するための吸収性物品において、吸収体の吸収速度以上に***物が排出された場合や、便など粘性が高く吸収されにくいものが***された場合、吸収体がこれを吸収できず、吸収性物品の中央部または背腹部から漏れてしまうことがあった。
【0003】
これらの漏れを解消するため、吸収性物品の長手方向両端部に伸縮性のあるバリアーカフスを配置したものが特公平6−93901号公報で提案されている。この吸収性物品は、吸収体の側部から立ち上がる、いわゆる立体ギャザーを有し、この立体ギャザーによって***物の漏れを防止している。
【0004】
また、特開昭64−26701号公報には、吸収性物品の背腹部からの漏れを解消するため、背腹部にフラップを設けた構造が開示されている。
【0005】
さらに、特開平5−305109号公報, 特開平5−277149号公報, 特開平6−21623号公報, 実開平6−11723号公報, 特開平5−285168号公報には、吸収性物品の中央部および背腹部両方からの漏れを防止するため、吸収性物品の上部に開口部を有する第二トップシートを配置したものが開示されている。この吸収性物品は、いわゆるポケット構造を有し、第一トップシートに***された***物が外に漏れ出さないように、吸収体から立ち上がる一体型の第二トップシートがあらゆる方向に対するバリヤーの役目を果たしている。
【0006】
一方、特開平3−59号公報には、立体ギャザーの一部を吸収体の側部に接着することにより、立体ギャザーを確実に立ち上がらせるようにした構造が開示されている。この吸収性物品の立体ギャザーは、その自由縁に配置された弾性体の伸縮によってのみならず、立体ギャザーと吸収体との長手方向の寸法の差によっても吸収体から立ち上がり、吸収性物品の長手方向中央部からの漏れを防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特公平6−93901号公報に開示されたものは、吸収性物品の背腹部からの漏れを防止することができない。また、着用者の姿勢によっては吸収性物品の立体ギャザーがつぶれて吸収体から立ち上がらず、漏れを防止できなくなる不具合もある。
【0008】
また、特開昭64−26701号公報に開示されたものは、フラップが吸収性物品の背腹部からの漏れ防止にしか効果がなく、その中央部からの漏れを防止することができない。しかも、着用者の姿勢によってはフラップがつぶれてしまい、***物がフラップを越えて漏れる虞があった。
【0009】
さらに、特開平5−305109号公報、特開平5−277149号公報、特開平6−21623号公報、実開平6−11723号公報、特開平5−285168号公報に開示されたものでは、第二トップシートの立ち上がりを良くするため、ポケット全周に亙って弾性体を配置することが望ましいが、この弾性体を曲線状に配置した場合には、吸収性物品の製造速度が低下してしまい、その生産コストが高くなってしまう。一方、吸収性物品の長手方向にのみ弾性体を配置した場合には、その製造が容易となる反面、背腹部の第二トップシートの立ち上がりを充分な高さにすることが困難となる。また、何れの場合も、第二トップシートのポケット部分のシートの切断および除去に伴う製造速度の低下を招来する。さらに、弾性体もしくはシートの収縮性によってのみ第二トップシートを立ち上がらせるようにした構造の場合、ポケットを形成する第二トップシートが着用者の姿勢によってつぶされて立ち上がらず、***物のバリヤーの役目を果たすことができなくなるという不具合もある。また、S字カットをした2枚シートの重ね合わせによって、ポケットを形成した場合は、背腹部において、シートの重ね合わせ部分ができ、背腹部が厚くなる、あるいは、シートの接着により背腹部のシートが硬くなるという問題もあった。
【0010】
一方、特開平3−59号公報に開示されたものは、吸収性物品の背腹部からの***物の漏れを防止することができない。
【0011】
【発明の目的】
本発明の目的は、あらゆる位置からの漏れを防止し、特に股間部からの漏れ防止効果が高い吸収性物品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の形態は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらトップシートとバックシートとの間に配置される吸収体と、この吸収体の長手方向に沿って配置され、かつ長手方向両端部および幅方向外側の側縁部に前記トップシートとの接合領域を有するポケットシートとを具えた吸収性物品であって、
前記ポケットシートの幅方向中央部には、その長手方向に沿って延び、かつポケットシートの長手方向端部にまで達しないスリットが形成され、
前記トップシートに対するポケットシートの接合領域と前記スリットとの間に前記ポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部を当該ポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にて該ポケットシートに接合した接合部がそれぞれ設けられ、これによって前記ポケットシートのスリットの縁部を相互に離間した開口部が形成されていることを特徴とする吸収性物品にある。
【0013】
また、本発明による第2の形態は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらトップシートとバックシートとの間に配置される吸収体と、この吸収体の長手方向に沿って配置され、かつ長手方向両端部および幅方向外側の側縁部に前記トップシートとの接合領域を有するポケットシートとを具えた吸収性物品であって、
前記ポケットシートの幅方向中央部には、その長手方向に沿って延び、かつポケットシートの長手方向端部にまで達しないスリットが形成され、
前記トップシートに対するポケットシートの側縁部の接合領域と前記スリットとの間に前記ポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部を当該ポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にて前記トップシートに接合した接合部がそれぞれ設けられ、これによって前記ポケットシートの前記スリットの縁部を相互に離間した開ロ部が形成されていることを特徴とする吸収性物品にある。
【0014】
本発明によると、ポケットシートの幅方向外側に長手方向に沿ってトップシートとの接合領域を有すると共にその長手方向両端部もトップシートの長手方向両端部との接合領域を有するため、吸収体はポケットシートで囲まれた状態となる。また、トップシートに対するポケットシートの接合領域とスリットとの間にポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部を当該ポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にてポケットシートまたはトップシートに接合した接合部をそれぞれ設け、これらポケットシートのスリットの縁部が相互に離間した開ロ部を形成する。これにより、ポケットシートのスリットの縁部が吸収体の周縁部から立ち上がって堰を形成し、全体としてポケット構造を形成する。
【0015】
従って、着用者の姿勢に拘らず、着用者の***物が開口部から吸収体に受け止められ、上述した堰によって股間部のみならず、背腹部からの***物の漏れも確実に阻止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1および第2の形態による吸収性物品において、開口部に沿ってポケットシートのスリットの縁部に弾性部材を配置してもよい。これによって、吸収体の周縁部からのポケットシートのスリットの縁部の立ち上がり傾向がより強められる。
【0017】
また、ポケットシートを伸縮性部材にて形成してもよく、この場合も、伸縮性部材の縮む力を利用して吸収体の周縁部からのポケットシートのスリットの縁部の立ち上がり傾向がより強められる。
【0018】
さらに、ポケットシートの長手方向両端部に重ね合わされる補助シートをさらに設けるようにしてもよい。
【0019】
【実施例】
本発明による吸収性物品を展開型おむつに応用した実施例について、図1〜図11を参照しながら詳細に説明するが、本発明はかかる展開型おむつに限定されるものではない。
【0020】
本実施例の外観を表す図1およびその平面形状を表す図2およびその III−III 矢視断面構造を表す図3に示すように、本実施例の展開型おむつ11は、液不透過性のバックシート12と、このバックシート12の上に重ね合わされる液透過性のトップシート13と、これらトップシート13とバックシート12との間に配置される吸収体14と、この吸収体14を覆うように配置され、その幅方向外側の側縁部と長手方向両端部とがトップシート13に接合されるポケットシート15と、前記吸収体14の幅方向両側縁から外側へ延出するトップシート13とバックシート12とで形成される一対のサイドフラップ部16, 17と、吸収体14の長手方向一端側から延出するトップシート13とバックシート12との間に挟持され、着用時にウエスト周りのフィット性を良好にするウエストギャザー18を形成するためのウエスト周り弾性部材19と、吸収体14の幅方向両側縁の外側のサイドフラップ部16, 17を形成するトップシート13とバックシート12との間に挟持され、着用時の脚周りのフィット性を良好にするレッグギャザー20を形成するための脚周り弾性部材21と、一端側のサイドフラップ部16の幅方向両側縁に取り付けられ、他端側のサイドフラップ部17に重ね合わせてこれらをつなぐための左右一対のファスニングテープ22とを有する。
【0021】
ポケットシート15の幅方向中央部には、その長手方向に沿って延びるスリット23(図4参照)が形成され、ポケットシート15の幅方向外側の側縁部近傍の幅方向に沿う中央部に形成された一対の接合部24R , 24L によって、ポケットシート15のスリット23の縁部が相互に離間して開口部25が形成されている。
【0022】
また、ウエスト周り弾性部材19は、吸収体14の長手方向一端側にのみ配置されているが、長手方向他端側にも配置するようにしてもよい。さらに、脚周り弾性部材21は吸収体14の両側縁の外側の長手方向に沿っておむつの幅方向に沿う中央部にのみ設けられており、また、サイドフラップ部16, 17の幅方向両側縁には、着用時に脚周り開口部を形成するための一対の繰り抜き部26が形成されている。
【0023】
さらに、ファスニングテープ22は、トップシート13上に接合されたベーステープ27(図2参照)に対して繰り返し剥離できるようになっている。
【0024】
上述したトップシート13は、親水性あるいは疎水性の不織布, 織布, 多孔性プラスチックフィルムなどで形成され、ポリプロピレン, ポリエチレン, ポリエステル, ナイロンなどの繊維や、あるいはポリエステル, ポリプロピレン, ポリエチレン, ナイロンなどを2種類以上組み合わせた複合繊維などで構成することができる。特に、ポリエステル/ポリエステル, ポリエステル/ポリエチレン, ポリプロピレン/ポリエチレンの複合繊維が強度の面から好ましいけれども、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記バックシート12は、ポリエチレンなどの液不透過性フィルムで形成したり、液不透過性フィルムと不織布あるいは織布とを貼り合わせたもので形成することができ、通気性もしくは透湿性を持った材料を採用することが好ましい。
【0026】
吸収体14は、すでに周知の吸収性物品に使用される公知の吸収性材料で形成される。すなわち、綿状パルプやレーヨンなどの吸収性繊維をマット状にしてSAPを均一に分散あるいは層状に配設し、これを親水性シートでくるんだものや、SAPを親水性シートでくるんだものを採用することができる。綿状パルプを有する吸収体14の場合には、綿状パルプに対して3〜60重量%の熱融着性物質を混合し、これらを熱圧着するようにしてもよい。
【0027】
上述した綿状パルプは、化学パルプシートや機械パルプシートを粉砕機で解繊することにより得られる5mm以下の繊維長のものが好ましい。また、パルプ原料としては、針葉樹に限らず、広葉樹, わら, 竹, ケナフの他、古紙パルプなども使用することができる。この綿状パルプの使用量は、吸収体14の構造、例えば、綿状パルプを単独で用いるか、これを複数積層して用いるか、あるいはSAPなどの他の材料を併用するかなどによって異なるが、一般的には50〜400g/m2が適当である。
【0028】
また、SAPとしては、デンプン系, セルロース系, 合成ポリマー系のものを採用することができる。具体的には、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体, デンプン−アクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化物, デンプン−メタクリル酸メチルグラフト共重合体のケン化物, デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物, デンプン−アクリルアミドグラフト共重合体のケン化物, デンプン−アクリロニトリル−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸グラフト共重合体のケン化物, アクリル酸(塩)重合体, アクリル酸で架橋されたポリエチレンオキシド, ナトリウムカルボキシメチルセルローズの架橋物, ポリビニールアルコール−無水マレイン酸反応物の架橋物などである。特に、ポリアクリル酸ナトリウム系のものが、その自重の20倍以上の尿や体液および水を吸収することから、最も適当である。SAPの使用量は、乾燥状態の綿状パルプに対して全重量の10〜500重量%、好ましくは15〜300重量%であり、綿状パルプ中に実質的に均一に分布していることが有効である。この吸収体14を圧縮成形する場合、密度が均一となるように表面を平滑に成形したり、あるいは尿や体液を縦方向および斜め方向に導くエンボス加工をその表面に施し、密度が部分的に異なるようにしてもよい。
【0029】
さらに、上述した親水性シートとしては、ティシュ, 吸収紙, 親水性不織布などを採用することができる。
【0030】
なお、トップシート13と吸収体14との間に親水性で液透過性の不織布, 織布, 多孔性プラスチック, 綿状パルプなどで形成した拡散層を設けてもよい。この拡散層を設けることによって、尿や体液などの吸収速度を低下させることなく、これらの漏れを防止することができる。この拡散層は、ポリプロピレン, ポリエチレン, ポリエステル, レーヨン, パルプなどの繊維で構成したり、あるいはこれらの複合繊維で構成することが可能であり、接着剤などを用いて吸収体14に接着固定される。
【0031】
上述したように、ポケットシート15の長手方向に沿う中央部、つまり着用者の股間部に対応する部分には、長手方向に沿って延びる接合部24 R ,24 L がそれぞれ形成されている。これら一対の接合部24 R ,24 L は、ポケットシート15のスリット23の縁部、すなわち自由端部28側を折り返し部29にてその幅方向外側にそれぞれ折り返し、相互に重なり合う表面の一部を長手方向に沿って線状に接合することによって形成される。これら接合部24 R ,24 L により、ポケットシート15に開口部25が設けられ、吸収体14が円弧状に付勢される。その結果、ポケットシート15が吸収体14から立ち上がって、堰32を形成する。なお、本実施例では接合部24 R ,24 L を着用者の股間部の位置に対応して連続した直線状に形成しているが、曲線や間欠的に破線状に配置されていてもよく、スリット23の全長に亙って形成するようにしてもよい。
【0032】
また、ポケットシート15の自由端部28には、弾性部材30が伸長状態で弾性部材固定用テープ31と共に接合されている。この弾性部材30によって、ポケットシート15の長手方向一端側のトップシート13との接合部分から、その長手方向他端側のトップシート13との接合部分に至る直線距離がさらに短くなり、吸収体14がより強く円弧状に付勢される結果、ポケットシート15の自由端部28を吸収体14から急峻に立ち上げることができ、ここの部分で堰32を構成する。
【0033】
本実施例では、スリット23をポケットシート15の長手方向中央部に形成したが、これを展開型おむつ11の背側あるいは腹側に偏って形成するようにしてもよく、好ましくは腹側に片寄ったものである。また、その長さは、吸収体14の長手方向に沿った寸法の4/10から9/10程度が一般的である。これが吸収体14の長手方向に沿った寸法の4/10未満の場合には、開口部25が小さくなり過ぎて***物が開口部25内に入らず、逆に吸収体14の長手方向に沿った寸法の9/10を越える場合には、背側あるいは腹側からの漏れ防止効果を得ることが不充分となる虞がある。また、スリットを一直線状に複数に別けて形成するようにしてもよい。
【0034】
弾性部材30は、開口部25の全周、つまりスリット23の側縁全域に亙って配置することが好ましく、本実施例ではそれぞれ1本の弾性部材30をポケットシート15の自由端部28に接合しているが、複数本の弾性部材30を弾性部材固定用テープ31と共に接合することも可能である。なお、弾性部材固定用テープ31は、ポケットシート15と同材質のものを使用することができる。
【0035】
あるいはまた、弾性部材30は、弾性部材固定用テープ31を用いずに開口部25の周囲に配置することも可能である。この場合、弾性部材30は、ポケットシート15の自由端部28を内側または外側に折り返して挾持され、その挾持部分に全面的または部分的に接合して、弾性部材30を固定する。
【0036】
このようにして、ポケットシート15の幅方向に沿う中央部の自由端部28が相互に引き離され、さらにトップシート13の表面からも離間して開口部25およびこの開口部25を縁取る堰32が形成される。
【0037】
このような本実施例の構造を容易に実現する方法として、接合部24R , 24L を形成する前の外観を表す図4およびそのV−V矢視断面構造を表す図5に示すように、ポケットシート15の中央部に形成されたスリット23と平行に一対の接着部24RO, 24RI, 24LO, 24LIを設け、これら接着部24RO, 24RI, 24LO, 24LIを相互に重ね合わせて接合し、上述した接合部24R , 24L を形成することにより、開口部25と折り返し部29と堰32とを形成することができる。
【0038】
すなわち、ポケットシート15に接合部24 R ,24 L を形成することにより、ポケットシート15の長手方向一端側のトップシート13との接合部分からその長手方向他端側のトップシート13との接合部分に至る直線距離は、トップシート13の表面に沿ったこれらの接合部分の間の長さよりも短くなる。このため、吸収体14は、その長手方向一端部と他端部との直線距離が短くなるように円弧状に湾曲してポケットシート15の自由端部28が吸収体14から立ち上がった状態となる。しかも、ポケットシート15の自由端部28に弾性部材30を設けることにより、ポケットシート15の長手方向一端側のトップシート13との接合部分から、その長手方向他端側のトップシート13との接合部分に至る直線距離をさらに短くすることができる。この結果、吸収体14がさらに強く円弧状に付勢され、ポケットシート15の自由端部28を吸収体14から急峻に立ち上げ、堰32として機能させることができる。
【0039】
接合部24R , 24L から立ち上がるポケットシート15の自由端部28の堰32の高さは、股間部からの漏れを防止できるような適度な高さが必要であり、股間部で5mm〜100mmの範囲内、好ましくは20mm〜60mmの範囲で設定するとよい。堰32の高さが5mm未満の場合には、股間部からの漏れの防止効果を得ることが困難となり、逆に100mmより高くなると着用者の装着方法や姿勢によっては、堰32の部分が吸収体14と着用者との間に介在してしまい、吸収体14の機能を発揮させることができなくなる虞がある。
【0040】
本発明に使用されるポケットシート15や弾性部材固定用テープ31は、親水性あるいは疎水性の不織布, 織布, 多孔性プラスチックフィルムなどの他、液不透過性のフィルムやこれらを貼り合わせたもので形成することができる。また、親水性の不織布や織布などは、このままでも使用することができるが、撥水処理を施すことがより好ましく、これによって防漏効果を高めることができる。不織布, 織布を構成する繊維としては、ポリプロピレン, ポリエチレン, ポリエステル, ナイロンなどの繊維や、あるいはポリエステル, ポリプロピレン, ポリエチレン, ナイロンなどを2種類以上組み合わせた複合繊維などで構成することができる。特に、ポリエステル/ポリエステル, ポリエステル/ポリエチレン, ポリプロピレン/ポリエチレンの複合繊維が強度の面から好ましいけれども、これらに限定されるものではない。また、伸縮性の材料を使用することも可能である。
【0041】
また、上述したウエスト周り弾性部材19,脚周り弾性部材21,弾性部材30としては、天然ゴム,合成ゴム,ウレタンなどを糸状,ひも状,テープ状に成形したものを用い、澱粉系,CMC(カルボキシメチルセルロース)などの水溶性の接着剤で固定するが、熱融着や超音波溶着などで固定するようにしてもよい。
【0042】
ポケットシート15の折り返し部29を利用して立体ギャザーを開口部25に沿って形成することも可能であり、このような立体ギャザーをさらに堰32の幅方向外側に形成するようにしてもよい。
【0043】
上述した接合部24R , 24L は、この展開型おむつ11の製造中に効率よく製造することが可能であり、このような展開型おむつ11の製造手順の一例を図6〜図8に示す。すなわち、二点鎖線で示す切断線Dに沿って切断される図4に示した状態の展開型おむつの連続体11Cの一部を構成するポケットシートの連続体15Cには、予めスリット23を挟んで一対の弾性部材30が伸長状態で弾性部材固定用テープ31と共に接合されており、このポケットシートの連続体15Cの表面に、ポケットシートの連続体15Cに設定される接着部24RO, 24LO, 24RI, 24LIの何れか一方(図示例では幅方向外側の接着部24RO, 24LO)にのみ接着剤を塗布し(図6参照)、図6中、一点鎖線で示すポケットシートの連続体15の幅方向一方側の折り返し線LR に沿って展開型おむつの連続体11Cの片側(図中、右側)を谷折りで折り重ねる。これによって、ポケットシートの連続体15Cの接合部24R が自動的に形成される(図7参照)。弾性部材固定用テープ31は、展開型おむつ11の長手方向全長に亙って配置されていてもよいが、弾性部材30が配置されている部分だけでも良い。
【0044】
同様にして、展開型おむつの連続体11Cの他の片側(図中、左側)をポケットシートの連続体15Cの接着部24LO, 24LIから等距離に設定した図7中、一点鎖線で示す折り返し線LL に沿って谷折りで折り重ね、ポケットシートの連続体15Cの接合部24L を自動的に形成し、図8に示す如き3つ折り状態の展開型おむつの連続体11Cとし、これを切断線Dに沿って切断して展開型おむつ11を得た後、さらにこれをその長手方向に2つ折り、もしくは3つ折りにして梱包し、出荷する。
【0045】
このような方法でポケットシート15を形成すると、ポケットシートの弾性部材30を製造ラインの流れ方向に沿って直線状に配置しながらも、形成されたポケットシート開口部25は円弧状となり、実質的にポケット開口全体に亙って曲線状に配置され、したがって製造が容易でありながらもポケット効果の高い展開型おむつの製造が可能となる。
【0046】
上述した実施例では、トップシート13を単一のシートで構成したが、吸収体14に重ね合わされるセンタートップシートと、サイドフラップ部16, 17を形成する一対のサイドトップシートとでトップシート13を構成するようにしてもよい。この場合、センタートップシートとサイドトップシートとを別の素材を使ってもよいが、同一の素材で構成することも可能である。
【0047】
このような本発明による吸収性物品の他の実施例における図3同様の断面構造を図9に示すが、先の実施例と同一機能の要素には、これと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、吸収体14を覆うセンタートップシート13C の幅方向外側の側縁部には、一対のサイドトップシート13S の幅方向内側の側縁部が重ね合わされ、一体的に接合されてトップシートを形成している。レッグギャザーを形成するための脚周り弾性部材21は、バックシート12とサイドトップシート13S との間に接合される。ポケットシート15の幅方向外側縁部は、サイドトップシート13S に接合され、本実施例ではさらにその外側に接合部24R , 24L (図9では、右側の接合部24R のみ示している)を形成している。
【0048】
このように、接合部24R , 24L の位置を吸収体14から離すことにより、開口部25をより広げることができ、ここを***物の溜め部として利用することができる。
【0049】
上述した実施例では、ポケットシート15の接合部24R , 24L をトップシート13またはサイドトップシート13S 上に形成したが、これら接合部24R , 24L をトップシート13またはサイドトップシート13S から離して形成することも可能である。
【0050】
このような本発明による吸収性物品のさらに別な実施例の断面構造を図10に示すが、先の実施例と同一機能の要素には、これと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、図10は、先の実施例における図3と対応した断面図であり、トップシート13の幅寸法を短く設定し、ポケットシート15の幅方向外側部とバックシート12とでサイドフラップ部を形成すると共に脚周り弾性部材21を挟持している。ポケットシート15の接合部24R , 24L (図10では、右側の接合部24R のみ示している)は、トップシート13とポケットシート15との接合領域よりも、ポケットシート15の幅方向内側にずらして形成され、これによって折り返し部29を堰32の一部として構成し、この折り返し部29とトップシート13との間のポケットシート15によって、ここを溜め部として利用することができる。
【0051】
上述した図3, 図9, 図10に示す3つの実施例の構造は、接合部24R , 24L の形成位置をポケットシート15の幅方向に沿って単にずらすだけで任意に選択可能であり、製造設備の改造をほとんど行うことなく、かかる構成のおむつを製造することができる。
【0052】
なお、展開型おむつ11の背腹部からの漏れ効果をより高めるため、補助シートをポケットシート15の長手方向両端部に重ね合わせることも有効である。
【0053】
このような本発明のさらに別な実施例の外観を図11に示すが、先の実施例と同一機能の要素には、これと同一符号を記すに止め、重複する説明は省略するものとする。すなわち、ポケットシート15の長手方向両端部には、補助シート33が重ね合わされ、これらと一体的に接合されている。
【0054】
補助シート33は、ポケットシート15と同一材質のものを使用することが可能であるが、別な材料を使用してもよい。この場合、伸縮性材料あるいは非伸縮性材料であってもよい。伸縮性材料を使用した場合には、これを伸長状態で配設することにより、ウエスト周り弾性部材19を省略することも可能である。
【0055】
また、吸収体14の長手方向に沿った補助シート33の長さは、吸収性物品の種類や大きさによっても異なるが、一般的には10mm〜200mmの範囲内に設定され、好ましくは30mm〜150mmの範囲である。補助シート33の長さが10mm未満になると、背腹部からの漏れの防止効果が発揮されなくなり、逆に200mmよりも大きくなると、開口部25が塞がれて吸収体14を覆ってしまい、吸収体14の吸収性能を阻害してしまう。
【0056】
このように、補助シート33を設けたことにより、展開型おむつ11の背腹部からの漏れをより確実に防止することができる。さらに、スリット23が設計した長さ以上に大きくなってしまった場合、スリット24が背腹部の一方側に設計以上に片寄ってしまった場合、あるいはスリット23からポケットシート15の背腹部まで裂けが生じてポケットが形成できなくなった場合でも、背腹部からの漏れを確実に防止することが可能になる。
【0057】
なお、この補助シート33をサイドフラップ部16, 17の全域に亙って配設するようにしてよい。本実施例では、補助シート33をポケットシート15の上に重ねるようにしたが、トップシート13とポケットシート15との間に介装するようにしてもよく、これを吸収体14の長手方向何れか一方の端部にのみ設けることも可能である。トップシート13とポケットシート15との間に補助シート33を介装した場合でも、補助シート33をポケットシート15に接合し、トップシート13、つまり吸収体14と補助シート33との間に隙間が形成できるようにすることが望ましい。図面では配置する補助シート33は吸収体の幅方向に対して一部のみに配置されているが、全長に亙って配置されていてもよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品によると、ポケットシートの長手方向両端部および幅方向外側の側縁部にトップシートとの接合領域を形成し、トップシートに対するポケットシートの接合領域とスリットとの間にポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部をポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にてポケットシートまたはトップシートに接合することにより、吸収体がポケットシートで囲まれた状態となり、これらポケットシートのスリットの縁部を相互に離間させて開ロ部を成形することができる。この場合、トップシートとポケットシートの長手方向一端側との接合部分から他端側の接合部分に至る直線距離が、トップシートの表面に沿ったこれらの接合部分の間の長さよりも短くなって吸収体が円弧状に付勢される結果、ポケットシートのスリットの縁部が吸収体の周縁部から立ち上がって堰を形成し、全体としてポケット構造が形成され、着用者の姿勢に拘らず、着用者の***物が開口部から吸収体に受け止められ、上述した堰によって股間部のみならず、背腹部からの***物の漏れも確実に阻止される。
【0059】
しかも、ポケットシートの幅方向中央部に長手方向に沿って延びるスリットを形成し、このスリットの縁部を相互に離間して開口部を成形するようにしたので、複数枚のシートを貼り合わせてポケットシートを形成する必要がない上、そのためのシートの切断除去も必要なくなり、生産速度を低下させず、しかも製造コストを向上させることができる。
【0060】
また、開口部に沿ってポケットシートのスリットの縁部に弾性部材を配置した場合には、吸収体の周縁部からのポケットシートのスリットの縁部の立ち上がり傾向がより強められ、堰を確実に形成することができる。同様に、ポケットシートを伸縮性部材にて形成した場合にも、弾性部材や伸縮性部材の縮む力を利用して吸収体の周縁部からのポケットシートの幅方向内側の側縁部の立ち上がり傾向がより強められる結果、堰を確実に形成することができる。
【0061】
さらに、ポケットシートの長手方向両端部に重ね合わされる補助シートを設けた場合には、吸収体の長手方向両端部からの漏れをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吸収性物品を展開型おむつに応用した一実施例の外観を表す斜視図である。
【図2】図1に示した実施例の平面図である。
【図3】図2中の III−III 矢視断面図である。
【図4】図1に示した実施例におけるポケットシートの接合前の状態を表す平面図である。
【図5】図4中のV−V矢視断面図である。
【図6】図7および図8と共に図1に示した実施例の製造手順を表す概念図である。
【図7】図6および図8と共に図1に示した実施例の製造手順を表す概念図である。
【図8】図6および図7と共に図1に示した実施例の製造手順を表す概念図である。
【図9】本発明による吸収性物品の他の実施例の主要部の構造を表す図3同様の断面図である。
【図10】本発明による吸収性物品の別な実施例の主要部の構造を表す図3同様の断面図である。
【図11】本発明による吸収性物品を展開型おむつに応用したさらに他の実施例の外観を表す斜視図である。
【符号の説明】
11 展開型おむつ
11C 展開型おむつの連続体
12 バックシート
13 トップシート
14 吸収体
15 ポケットシート
15C ポケットシートの連続体
16, 17 サイドフラップ部
18 ウエストギャザー
19 ウエスト周り弾性部材
20 レッグギャザー
21 脚周り弾性部材
22 ファスニングテープ
23 スリット
24R , 24L 接合部
24RO, 24RI, 24LO, 24LI 接着部
25 開口部
26 繰り抜き部
27 ベーステープ
28 自由端部
29 折り返し部
30 弾性部材
31 弾性部材固定用テープ
32 堰
33 補助シート
D 切断線
LR , LL 折り返し線
Claims (5)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらトップシートとバックシートとの間に配置される吸収体と、この吸収体の長手方向に沿って配置され、かつ長手方向両端部および幅方向外側の側縁部に前記トップシートとの接合領域を有するポケットシートとを具えた吸収性物品であって、
前記ポケットシートの幅方向中央部には、その長手方向に沿って延び、かつポケットシートの長手方向端部にまで達しないスリットが形成され、
前記トップシートに対するポケットシートの側縁部の接合領域と前記スリットとの間に前記ポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部を当該ポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にて該ポケットシートに接合した接合部がそれぞれ設けられ、これによって前記ポケットシートのスリットの縁部を相互に離間した開口部が形成されていることを特徴とする吸収性物品。 - 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらトップシートとバックシートとの間に配置される吸収体と、この吸収体の長手方向に沿って配置され、かつ長手方向両端部および幅方向外側の側縁部に前記トップシートとの接合領域を有するポケットシートとを具えた吸収性物品であって、
前記ポケットシートの幅方向中央部には、その長手方向に沿って延び、かつポケットシートの長手方向端部にまで達しないスリットが形成され、
前記トップシートに対するポケットシートの側縁部の接合領域と前記スリットとの間に前記ポケットシートの折り返し部を形成すると共にこのポケットシートの折り返された表面の一部を当該ポケットシートの折り返し部よりも幅方向外側にて前記トップシートに接合した接合部がそれぞれ設けられ、これによって前記ポケットシートの前記スリットの縁部を相互に離間した開口部が形成されていることを特徴とする吸収性物品。 - 前記開ロ部に沿って前記ポケットシートの前記スリットの縁部に弾性部材を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸収性物品。
- 前記ポケットシートは、伸縮性部材にて形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の吸収性物品。
- 前記ポケットシートの長手方向両端部に重ね合わされる補助シートをさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の吸収性物品。
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