JP4162973B2 - チューブ接合装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チューブを無菌的に接合するチューブ接合装置に関する。さらに詳細には、チューブの切断・接合時におけるウエハーの温度を安定させることができるチューブ接合装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
輸血システムにおける採血バッグおよび血液成分バッグのチューブ接続、持続的腹膜透析（ＣＡＰＤ）における透析液バッグと廃液バッグの交換時などには、チューブの接続を無菌的に行うことが必要となる。このようなチューブの無菌的接続を行う装置の１つとして、例えば、特開平６−７８９７１号公報に開示されたものがある。この特開平６−７８９７１号公報に開示された装置は、少なくとも２本の可撓性チューブを平行状態にて保持する第１クランプおよび第２クランプと、該第１クランプおよび第２クランプ間にて前記可撓性チューブを切断するための切断手段と、該切断手段により切断された可撓性チューブの接合される端部相互が密着するように前記第１クランプまたは前記第２クランプの少なくとも一方を移動させる移動手段とを有し、前記切断手段は、前記可撓性チューブを溶融切断するためのウエハーと、該ウエハーを加熱するための定電圧源と、ウエハー温度検知手段と、ウエハー加熱制御手段とを有し、前記ウエハー加熱制御手段は、前記ウエハー温度検知手段の出力に基づいて、算出されるパルス幅変調信号出力部を有し、該パルス幅変調信号によりウエハーの温度を制御するものである。
【０００３】
そして、この装置では、ウエハー加熱制御手段において、ウエハー温度検知手段の出力に基づき算出されるパルス幅変調信号出力により、ウエハーの温度制御を行うようになっている。すなわち、ウエハー温度検知手段の出力に基づくフィードバック制御により、ウエハーの温度制御が行われている。
【０００４】
また、ウエハーの温度制御の別方法として、例えば、特開昭５９−６４０３４号公報に開示されている方法もある。この特開昭５９−６４０３４号公報に開示された方法は、ウエハーの昇温開始時における温度を参照して、ウエハーを加熱するための電源を定電力制御することにより、ウエハーの温度制御を行う方法である。
【０００５】
【特許文献１】
特開平６−７８９７１号公報（第２頁、第４図）
【０００６】
【特許文献２】
特開昭５９−６４０３４号公報（第１頁、第１図）
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特開平６−７８９７１号公報に開示された装置では、ウエハー温度検知手段のウエハーに対する接触状態により測温が不安定になるおそれがある。また、長期使用により、チューブに含まれる可塑剤などがウエハー温度検知手段の表面に付着して、ウエハー温度検知手段が正確にウエハーの温度を測定することができなくなるおそれもある。そして、ウエハー温度検知手段による測温が不安定・不正確になると、結果としてウエハーの温度制御を安定して正確に行うことができなくなるという問題があった。また、上記したようにウエハー温度検知手段のウエハーに対する接触状態により測温が不安定になることから、正確に測温できるようにするためにウエハー温度検知手段の取付時に調整作業を行っているが、その調整に非常に時間がかかるという問題もあった。
【０００８】
一方、特開昭５９−６４０３４号公報に開示されたウエハーの温度制御方法では、ウエハーの昇温開始時の温度のみを参照するため、ウエハーに対して一定電力を与えたときに、ウエハーの到達上昇温度にばらつきが出るおそれがあるという問題があった。すなわち、ウエハーの温度を安定して制御することができないのである。なぜなら、前回の接合からの経過時間の違いなどに起因してウエハーへの熱流束の有無・方向が異なるからである。特に、連続的にチューブの接合を行う場合に、ウエハーの到達上昇温度にばらつきが出やすい。
【０００９】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、連続的にチューブの接合を行う場合であっても、ウエハーの温度制御を安定して正確に行うことができるチューブ接合装置を提供することを課題とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するためになされた本発明に係るチューブ接合装置は、可撓性チューブを無菌的に接合するためのチューブ接合装置装置において、少なくとも２本の可撓性チューブを平行状態にて保持する第１クランプおよび第２クランプと、第１クランプおよび第２クランプ間にて可撓性チューブを切断するための切断手段と、切断手段により切断された可撓性チューブの接合される端部相互が密着するように第１クランプまたは第２クランプの少なくとも一方を移動させる移動手段とを有し、切断手段は、可撓性チューブを溶融切断するためのウエハーと、ウエハーを加熱するためのウエハー加熱手段と、ウエハー加熱手段の制御を行うためのウエハー加熱制御手段と、ウエハーを保持するウエハー保持部と、ウエハー保持部を加熱するための加熱手段と、ウエハー保持部の温度を検知するための温度検知手段と、加熱手段の制御を行うための加熱制御手段とを備え、加熱制御手段は、ウエハー加熱手段によりウエハーが加熱される前に、温度検知手段の出力に基づいてウエハー保持部が所定温度となるように加熱手段を制御することを特徴とするものである。
【００１１】
このチューブ接合装置では、加熱制御手段により、ウエハー加熱手段によるウエハーの加熱前に、ウエハー保持部が所定温度となるように加熱手段が制御される。つまり、ウエハーが加熱される前には、ウエハー保持部が所定温度に保たれている。このため、ウエハーの加熱開始時においてウエハー保持部の温度が常に一定、つまりウエハー保持部からウエハーへの熱流束が常に一定となるので、ウエハー加熱制御手段によるウエハーの温度制御を安定して正確に行うことができる。また、ウエハー保持部が所定温度に保たれているので、ウエハーの温度が所定温度になるまでの時間を短くすることもできる。
【００１２】
本発明に係るチューブ接合装置においては、ウエハー加熱制御手段は、ウエハーの電流および電圧の大きさに基づいてウエハー加熱手段を定電力制御することが望ましい。このように加熱熱手段を定電力制御してウエハーの温度制御を行うことにより、ウエハーの温度を検出するためのウエハー温度検知手段が不要となる。このため、ウエハー温度検知手段の取付時の調整作業が不要となり、生産効率が向上する。
【００１３】
本発明に係るチューブ接合装置においては、所定温度が５０〜８０℃の範囲内にあることが望ましい。切断手段の加熱温度が低いとウエハーの昇温時間が長くなる一方、切断手段の加熱温度が高すぎると、近接する部品への影響や、操作者が万が一触ってしまった場合に火傷の危険性があるからである。そして、上記した温度範囲内で切断手段を予め加熱しておくことにより、ウエハーの昇温時間を短縮するとともに、ウエハーの温度制御を安定して正確に行うことができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のチューブ接合装置を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態に係るチューブ接合装置は、輸血システムにおける採血バッグおよび血液成分バッグのチューブ接続など、連続的にチューブの接合が行われる場合に使用すると好適なものである。そこで、このチューブ接合装置の概略構成を図１〜図４に示す。なお、図１は、チューブ接合装置を示す斜視図である。図２は、チューブ接合装置をケースに収納した状態を示す斜視図である。図３は、チューブ接合装置を示す平面図である。図４は、第１クランプ、第２クランプおよび切断手段の動作を説明するための図である。
【００１５】
このチューブ接合装置１は、少なくとも２本の可撓性チューブを平行状態にて保持する第１クランプ３および第２クランプ２を有している。モータの作動により回転するギア３０、ギア３０の回転により回転するギア３１、ギア３１の回転により回転するシャフト３２、シャフトの両端が回転可能に固定されたフレーム９、第１クランプ３の原点位置でのがたつきを防止するための防止部材１１、マイクロスイッチ１３，１４，１５、第１クランプ３を移動させるための駆動用アーム１８、第１クランプ３を移動させるためのカム１９、切断手段５、切断手段５および第２クランプを駆動させるためのカム１７、第２クランプ２を第１クランプ側に押圧する押圧部材３３、第１クランプ３の後退位置を規制する規制部材２５、第１クランプ３のがたつきを防止するためのバネ部材２７、ウエハー交換レバー２２，ウエハーカートリッジ８、ウエハーカートリッジ交換レバー２４、使用済ウエハー収納箱把持部材２８、使用済ウエハーを収納箱に誘導するための誘導部材２６、使用済ウエハー収納箱２９、パネル５０を有している。
【００１６】
そして、このチューブ接合装置１は、切断手段５により切断された可撓性チューブ４８，４９の接合される端部相互が向かい合うように第１クランプ３を移動させる第１クランプ移動機構と、切断手段５をチューブ側に（上方に）移動させ、切断後再びチューブより離れる方向（下方に）に移動させるための切断手段駆動機構と、第２クランプ２を第１クランプ３に対して、近接および離間する方向に移動させる第２クランプ移動機構とを有している。切断手段駆動機構には、切断手段５を２本のチューブの軸に対して垂直に上方に移動させ、チューブ切断後下方に移動させるものであり、第１クランプ移動機構は、チューブ切断後、第１クランプ３を２本のチューブの軸に対して水平状態にて直交方向（より具体的には、後方に）に移動させるものであり、第２クランプ移動機構は、第２クランプ２を第１クランプ側に近づくように、２本のチューブの軸に対して水平状態にてごくわずか平行に移動させるものである。
【００１７】
そこで、第１および第２クランプ３，２について、図５を用いて説明する。図５は、第１および第２クランプの構成を示す斜視図である。まず、第１クランプについて説明する。第１クランプ３は、図５に示すように、ベース３ｂと、このベース３ｂに回転可能に取り付けられたカバー３ａと、ベース３ｂが固定されたクランプ固定台３ｃを有している。そして、このクランプ固定台３ｃは、リニアテーブルに固定されている。リニアテーブルは、クランプ固定台３ｃの下面に固定された移動台３ｄと、移動台３ｄの下部に設けられたレール部材３ｎにより構成されている（図４参照）。そして、このリニアテーブルにより、第１クランプ３は、接合するチューブ４８，４９の軸に対して垂直方向、言い換えれば、切断された可撓性チューブの接合される端部相互が向かい合うよう、歪みがなく移動する。よって、チューブ接合装置１では、第１クランプ移動機構は、上記のリニアテーブル、モータ、ギア３０、ギア３１、シャフト３２、駆動用アーム１８、カム１９により構成されている。
【００１８】
そして、このチューブ接合装置１では、図１および図３に示すように、第１クランプ固定台３ｃの後方と、チューブ接合装置１のフレームとを接続するバネ部材２７が設けられており、第１クランプ３は、常時後方に引っ張られた状態となっており、第１クランプ３（正確には、第１クランプ固定台３ｃ）のがたつきを少ないものとしている。また、図１および図３に示すように、第１クランプ３のチューブ装着位置（言い換えれば、第１クランプが最も前に出た状態の位置）にて、第１クランプ２のがたつきを防止するための防止部材１１が、フレーム９の側面に固定されている。よって、第１クランプ３は、チューブ装着位置では、バネ部材２７により後方に引っ張られた状態、つまり、後方側にがたつきがない状態であり、かつ前方をがたつき防止部材により、それより前方に移動できないようになっている。よって、第１クランプ３は、チューブ装着位置では、がたつきがないように構成されている。また、チューブ接合装置１には、図１および図３に示すように、第１クランプ３（正確には、第１クランプ固定台３ｃ）の後方の最大移動位置を規制する規制部材２５が設けられている。
【００１９】
続いて、第２クランプについて説明する。第２クランプ２は、図５に示すように、ベース２ｂと、このベース２ｂに回転可能に取り付けられたカバー２ａと、ベース２ｂが固定されたクランプ固定台２ｃを有している。そして、このクランプ固定台２ｃは、リニアテーブルに固定されている。リニアテーブルは、クランプ固定台２ｃの下面に固定された移動台２ｄ、移動台２ｄの下部に設けられたレール部材２ｎにより構成されている（図４参照）。そして、このリニアテーブルにより、第２クランプ２は、接合するチューブ４８，４９の軸に対して平行な方向、言い換えれば、第２クランプ２を第１クランプ３に対して、近接および離間する方向にのみ、歪みがなく移動する。
【００２０】
また、図３および図４に示すように、チューブ接合装置１のフレーム９とクランプ固定台２ｃとの間には、押圧部材３３が設けられており、常時第２クランプ２（正確には、第２クランプ固定台２ｃ）を第１クランプ側に押している。押圧部材としては、バネ部材が好適に使用される。そして、この押圧部材３３は、第１および第２クランプ３，２によりを２本の可撓性チューブ４８，４９を押し潰すようにして把持した時の、可撓性チューブの反発力より押圧部材３３の押圧力は弱いものが使用されており、可撓性チューブを把持したとき、第２クランプ２が第１クランプ３より若干は離間する方向に動くように構成されている。よって、本実施の形態に係るチューブ接合装置１では、第２クランプ移動機構は、上記のリニアテーブル、モータ、ギア３０、ギア３１、シャフト３２、カム１７、押圧部材３３により構成されている。
【００２１】
そして、第１クランプ３および第２クランプ２は、図５に示すように、保持するチューブを斜めに押し潰した状態で保持するように構成されている。クランプ３，２は、ベース３ｂ，２ｂに旋回可能に取り付けられたカバー３ａ，２ａを有しており、ベース３ｂ，２ｂには、２つのチューブを裁置するために平行に設けられた２つのスロット３ｆ，３ｅおよび２ｆ，２ｅを有している。そして、スロット３ｆ，３ｅとスロット２ｆ，２ｅが向かい合う部分のベース３ｂ，２ｂの端面には、鋸刃状の閉塞部材３ｈ，２ｈが設けられている。そして、カバー３ａ，２ａには、上記のベース３ｂ，２ｂの閉塞部材３ｈ，２ｈに対応する形状の鋸刃状の閉塞部材３ｇ，２ｇが設けられている。カバー３ａ，２ａの内表面は平坦となっている。そして、カバー３ａ，２ａには、それぞれ旋回カムを有しており、この旋回カムは、カバー３ａ，２ａを閉じると、ベース３ｂ，２ｂのローラと係合する。そして、２本のチューブは、カバー３ａ，２ａが閉じられたとき、ベース３ｂの閉塞部材３ｈとカバー３ａの閉塞部材３ｇとの間、およびベース２ｂの閉塞部材２ｈとカバー２ａの閉塞部材２ｇとの間により、斜めに押し潰され、閉塞した状態で保持される。また、第１クランプ３は、第２クランプ方向に突出する突出部３ｉを有し、第２クランプ２が、この突出部３ｉを収納する凹部２ｉを有しているので、第２クランプ２は、第１クランプ１を閉塞しないと、閉塞できないように構成されている。
【００２２】
そして、チューブ接合装置１は、図１に示すように、モータにより回転するギア３０と、このギア３０の回転により回転するギア３１を有しており、ギア３１のシャフト３２には、図４に示すように、２つのカム１９，１７が固定されており、カム１９，１７は、ギア３１の回転と共に回転する。そして、カム１９の右側面には、図６に示すような形状の第１クランプ駆動用のカム溝１９ａが設けられている。そして、カム１９のカム溝１９ａ内を摺動するフォロア１８ａを中央部に有する第１クランプ移動用アーム１８が設けられている。また、アーム１８の下端は、支点１８ｂによりフレーム９に回動可能に支持されており、アーム１８の上端は、第１クランプ３のクランプ固定台３ｃに設けられた支点１８ｃによりに回動可能に支持されている。よって、第１クランプ３は、リニアテーブルのレール部材３ｎに沿って、図６に示すように、カム１９の回転により、カム溝１９ａの形状に従い矢印に示すように、２本のチューブの軸に対して水平状態にて直交方向後方に移動する。なお、図６は、第１クランプの動作を説明するための図である。
【００２３】
切断手段５は、図７に示すように、ウエハーを交換可能に保持するウエハー保持部５ａと、ウエハー保持部５ａの下方に設けられたアーム部５ｃと、アーム部５ｃの端部に設けられたフォロア５ｂと、ヒンジ部５ｄと、フレーム９への取付部５ｅを有している。そして、ヒンジ部５ｄによりフレーム９に対して旋回可能となっている。そして、図７に示すように、切断手段５の右側面には、ウエハー加熱用の電気接続端子８２が固定されている。また、切断手段５の底面には、ウエハー保持部５ａの温度を検知するためのサーミスター７１が埋め込まれている。なお、図７は、チューブ接合装置に使用される切断手段の説明図である。さらに、切断手段５の上面には、図３に示すように、ヒーター７０が取り付けられている。このヒーター７０により、ウエハー保持部５ａが予熱されるようになっている。なお、ウエハー６としては、向かい合うように折り曲げられた金属板と、この金属板の内面に形成された絶縁層と、この3絶縁層内に上記の金属板と接触しないように形成された抵抗体と、この抵抗体の両端部に設けられた通電用端子とを有するものが好適に使用される。
【００２４】
そして、カム１７は、図７および図８に示すように、左側面に切断手段駆動用のカム溝１７ａを有している。そして、切断手段５のフォロア５ｂは、カム１７のカム溝１７ａ内に位置しており、カム溝１７ａ内をカム溝の形状に沿って摺動する。よって、切断手段５は、図８に示すように、カム１７の回転により、カム溝１７ａの形状に従い上下に、言い換えれば、２本のチューブの軸に対して、直交かつ垂直方向上下に移動する。
【００２５】
さらに、カム１７は、図４に示すように、中央部に第２クランプ２の駆動用のカム溝１７ｃを有している。カム溝１７ｃは、左側面１７ｆおよび右側面１７ｅを有しており、左側面１７ｆおよび右側面１７ｅにより、第２クランプの位置を制御する。第２クランプ固定台２ｃには下方にのびる突出部を有しており、その先端にはフォロア２０が設けられている。このフォロア２０は、第２クランプ２の駆動用のカム溝１７ｃ内を摺動する。そして、図７に示すように、フォロア２０とカム溝１７ｃの側面間には、若干の隙間ができるように形成されている。そして、第２クランプ固定台２ｃは、バネ部材３３により常時押されているため、通常状態では、フォロア２０は、カム溝１７ｃの左側面１７ｆに当接するようになり、フォロア２０とカム溝１７ｃの右側面１７ｅとの間に若干の隙間ができる。
【００２６】
しかし、第１および第２クランプ３，２により２本のチューブを保持すると、上述のように、２つのクランプ３，２はそれぞれ、２本のチューブを押し潰すように閉塞し保持するため、チューブの閉塞に起因する反発力が生ずる。そして、バネ部材３３は、上記チューブの閉塞に起因する反発力より小さい力のものが用いられているため、クランプ３，２がチューブを保持する状態では、図４に示すように、フォロア２０は、カム溝１７ｃの右側面１７ｅに当接するようになり、フォロア２０とカム溝１７ｃの左側面１７ｆとの間に若干の隙間ができる。しかし、上述の切断手段５によりチューブが切断されと、チューブの閉塞に起因する反発力が消失するため、通常状態に戻り、フォロア２０は、カム溝１７ｃの左側面１７ｆに当接するようになり、フォロア２０とカム溝１７ｃの右側面１７ｅとの間に若干の隙間ができる。このように、バネ部材３３の作用およびチューブの反発力により、フォロア２０が当接するカム溝の摺動面が経時的に変化するように構成されている。
【００２７】
そして、図４に示すように、左側面１７ｆに凹部１７ｄが形成されている。この凹部１７ｄ部分をフォロア２０が通過する時期は、切断手段５によりチューブの切断後であるため、フォロア２０は、カム溝１７の左側面１７ｆを沿って摺動している状態であり、よって、フォロア２０は凹部１７部分に入る。このため、凹部１７ｄの深さ分だけ、第２クランプ２が第１クランプ３方向に移動することになる。これにより、チューブの接合がより確実となる。
【００２８】
そして、カム溝１７ｃの右側面１７ｅにも凹部１７ｇが設けられている。この凹部１７ｇは、クランプ３，２の内面の清掃のためのものである。この凹部１７ｇを設けることにより、第２クランプ２をバネ部材３３側に押すことにより、フォロア２０が凹部１７ｇに当接するまで、第２クランプ２を第１クランプ３より離間する方向に移動することができ、これにより、第１クランプ３と第２クランプとの間に隙間が形成される。形成された間隙内に清掃部材、例えば、アルコールなどのある程度切断されるチューブの形成材料を溶解できる溶剤を含有した綿棒により清掃することが可能となる。
【００２９】
この凹部１７ｇは、図４に示すように、左側面１７ｆの凹部１７ｄ（第２クランプ２の幅寄せが行われる部分）とほぼ向かい合う位置に設けられている。第２クランプ固定台２ｃの下方にのびる突出部に設けられたフォロア２０が凹部１７ｄ部分に入っているときは、チューブ切断後、目的とするチューブ相互を接合した状態であり、この状態にて、第２クランプは停止する。また、第１クランプも既に停止しており、かつ、第１クランプ３は、第２クランプとずれた位置にある。具体的には、図１に示すように、第１クランプ３が、第２クランプ２より後退しており、第１クランプ３は、第２クランプとずれた位置にある。このため、この状態では、第２クランプ２の先端部の内面が若干露出しており、さらに、第１クランプの後端部の内面も若干露出している。よって、露出した第２クランプ２の内面および第１クランプ３は、その清掃が容易である。
【００３０】
続いて、チューブ接合装置１における制御系について図９を用いて説明する。なお、図９は、チューブ接合装置における制御系を示すブロック図である。チューブ接合装置１における制御系は、スイッチング電源部４０と、回路部４１と、各種アクチュエータの動作を制御するための制御回路とから構成されている。スイッチング電源部４０には、各種アクチュエータの駆動などを行うためのＤＣ２４Ｖ電源４０ａと、制御用電源としてのＤＣ５Ｖ電源４０ｂとが備わっている。回路部４１には、パネル制御回路６０と、モーター駆動回路６１と、ブザー鳴動回路６２と、センサー入力回路６３と、室温読み取りセンサー６４と、ウエハー温調用ＰＷＭ制御出力部６５と、ウエハー保持部用温度読み取り回路６６と、ヒーターＰＷＭ制御出力部６７と、これらの回路を動作を統括的に制御するＣＰＵ部４４とが備わっている。そして、ＣＰＵ部４４がウエハー加熱制御手段６８と、ヒーター加熱制御手段６９との役割を担っている。
【００３１】
ここで、パネル制御回路６０は、電源スイッチランプ５１などを備えるパネル５０の表示動作を制御するための回路である。モーター駆動回路６１は、モータ４２の駆動動作を制御するための回路である。ブザー鳴動回路６２は、ブザー４３の鳴動動作を制御するための回路である。センサー入力回路６３は、マイクロスイッチ１３，１４，１５，７２，７３，７４のＯＮ／ＯＦＦ状態を検知するための回路である。ウエハー温調用ＰＷＭ制御出力部６５は、ウエハー６の加熱制御を行うためのＰＷＭ制御信号を出力する回路である。ウエハー保持部用温度読み取り回路６６は、切断手段５に備わるサーミスター７１からの信号に基づきウエハー保持部５ａの温度を計測するための回路である。ヒーターＰＷＭ制御出力部６７は、切断手段５に備わるヒーター７０の加熱制御を行うためのＰＷＭ制御信号を出力する回路である。
【００３２】
次に、図９に示したウエハー加熱制御手段６８について、図１０を用いて詳細に説明する。なお、図１０は、ウエハー加熱制御手段の構成を示すブロック図である。ウエハー６としては、向かい合うように折り曲げられた金属板と、この金属板の内面に形成された絶縁層と、この絶縁層内に上記の金属板と接触しないように形成された抵抗体と、この抵抗体の両端部に設けられた通電用端子とを有するものが好適に使用される。そして、抵抗体は、通電により発熱するため、抵抗体の発熱は、金属板に伝導されウエハー全体が通電により発熱する。そして、抵抗体は、通電による発熱により、抵抗値が変化する。よって、定電圧源を単に使用し、ウエハーへの電力供給を調整するだけでは、十分なウエハーの温度制御ができない。そこで、本実施の形態に係るチューブ接合装置１では、ウエハー加熱制御手段６８を有している。
【００３３】
このウエハー加熱制御手段６８は、定電力制御によりウエハー６を一定温度（チューブ切断開始温度、約３２０℃）に加熱するものである。このため、ウエハー６の温度を検知する必要がないので、ウエハー温度検知手段が不要となる。したがって、ウエハー温度検知手段の取付時の調整作業が不要となり、チューブ接合装置の生産効率が向上する。そして、ウエハー加熱制御手段６８には、図１０に示すように、ウエハー６に印加されている電圧の大きさを計測するためのウエハー電圧読み取り回路８０と、ウエハー６に流れている電流の大きさを計測するためのウエハー電流読み取り回路８１とが備わっている。これにより、ウエハー加熱制御手段６８では、ウエハー電圧読み取り回路８０から出力される現在のウエハー電圧と、ウエハー電流読み取り回路８１から出力される現在のウエハー電流とに基づいて現在のウエハー電力が算出され、算出された電力と目標電力との偏差から、ウエハー６の加熱制御を行うためのパルス幅変調（ＰＷＭ）信号が算出される。そして、算出されたＰＷＭ信号がウエハー温調用ＰＷＭ制御出力部６５から出力され、そのＰＷＭ信号に基づき定電圧直流源４０ａが制御されてウエハー６の加熱制御が行われるようになっている。
【００３４】
次に、上記の構成を有するチューブ接合装置１の動作について、図１１〜図１３に示すフローチャートを用いて説明する。まず、最初に図１１に示すフローチャートのように、図９のパネル５０に設けられている電源スイッチ５１を押す（Ｓ１）。これにより、ＣＰＵ部４４により、チューブ接合装置１に、異常が無いか（具体的には、内部コネクタの抜けがないか、ヒーターなどの断線がないか、内部定電圧源に不良がないか等）が判断される（Ｓ２）。異常がない場合には（Ｓ２：ＹＥＳ）、ウエハー保持部５ａの温調が開始される（Ｓ３）。具体的には、ヒーター７０によりウエハー保持部５ａが加熱され、ウエハー保持部５ａが所定温度になるように、サーミスター７１からの出力信号に基づきヒーター加熱制御手段６９による温度制御が実行される。なお、所定温度しては、５０〜８０℃程度に設定するとよい。ウエハー保持部５ａの加熱温度が低いとウエハー６の昇温時間が長くなる一方、ウエハー保持部５ａの加熱温度が高すぎると、近接する部品への影響や、操作者が万が一触ってしまった場合に火傷の危険性があるからである。そして、上記した温度範囲内でに設定することにより、ウエハー６の昇温時間を短縮するとともに、ウエハー６の温度制御を安定して正確に行うことができる。なお、本実施の形態では、６５℃に設定している。一方、チューブ接合装置１に異常がある場合には（Ｓ２：ＮＯ）、ブザーが鳴動する（Ｓ１４）。
【００３５】
続いて、図９のパネル５０に設けられているクランプリセットスイッチ５３を押す（Ｓ４）。そうすると、ＣＰＵ部４４により、第１および第２クランプが開いているか否か（Ｓ５）、第１および第２クランプが原点にないか否か（Ｓ６）、ウエハー交換レバーが原点にあるか否か（Ｓ７）が判断される。なお、チューブ接合装置１で使用するクランプは、上述のように、第１クランプ３が、第２クランプ方向に突出する突出部３ｉを有し、第２クランプ２が、この突出部３ｉを収納する凹部２ｉを有しているので、第２クランプ２は、第１クランプ１を閉塞しないと、閉塞できないように構成されている。このため、第１および第２クランプが開いていることは、第２クランプが閉塞されたときに、接触するレバー１６と、このレバー１６によりＯＮ／ＯＦＦされるマイクロスイッチ１３により検知される。
【００３６】
具体的には、マイクロスイッチ１３は、第２クランプが解放状態のときは、ＯＦＦとなっており、第２クランプ２が閉塞されたときにレバー１６と接触し、レバー１６が動きマイクロスイッチ１３をＯＮ状態とする。このマイクロスイッチ１３のＯＮ／ＯＦＦ信号は、センサー入力回路６３を介してＣＰＵ部４４に入力される。第１および第２クランプが原点にないことは、それぞれのカムの円周上に設けられた溝をマイクロスイッチ７３，７４が検知することにより判断される。ウエハー交換レバー２２が原点にあることは、マイクロスイッチ１４により検知される。レバー２２が、原点にある場合は、マイクロスイッチ１４がＯＮとなり、原点にない場合は、ＯＦＦとなり、このマイクロスイッチ１４のＯＮ／ＯＦＦ信号は、センサー入力回路６３を介してＣＰＵ部４４に入力される。
【００３７】
そして、Ｓ５〜Ｓ７の判断がすべてがＹＥＳの場合、モータを作動させ、第１および第２クランプを原点に復帰させる（Ｓ８）。一方、Ｓ５〜Ｓ７のうちいずれか１つの判断がＮＯの場合、ブサーが鳴動し（Ｓ１５）、異常ランプが点灯し（Ｓ１６）、手動解除を行い（Ｓ１７）、リセットスイッチを押すことにより（Ｓ１８）、異常ランプが消灯する（Ｓ１９）。
【００３８】
次いで、第１および第２クランプが原点に到達した後、２本の可撓性チューブ４８，４９を第１および第２クランプに装着する（Ｓ９）。この状態での第１および第２クランプ３，２は、図５に示すように、両者とも開放した状態であり、かつ両者に設けられたスロット３ｅと２ｅおよび３ｆと２ｆは互いに向かいあった状態となっている。そして、使用中のチューブ４９を手前側のスロット３ｆ，２ｆに装着し、接続される未使用のチューブ４８を奥側のスロット３ｅ，２ｅに装着する。
【００３９】
そして、上記のように第１および第２クランプ３を閉塞した後、ウエハー交換レバー２２をクランプ側に押して、ウエハーを交換する（Ｓ１０）。ウエハー交換レバー２２をクランプ側に押すことにより、ウエハーカートリッジ８内より、新しいウエハーが取り出され、新しいウエハーが、ウエハー保持部５ａに装着されている待機ウエハーを押し、待機ウエハーがウエハー保持部５ａに装着されていた使用済ウエハーを押し、待機ウエハーが使用位置に装着されるとともに、使用済ウエハーは、使用済ウエハー収納箱２９内に収納される（Ｓ１１）。ウエハーの交換が終了すると、ウエハー保持部５ａの温度が設定温度であるかが確認される（Ｓ１２）。なお、ウエハー保持部５ａの温度が設定温度でない場合には（Ｓ１２：ＮＯ）、設定温度になるまで待機状態になる（図１８に示す期間ｔ１）。
【００４０】
一方、ウエハー保持部５ａの温度が設定温度になっている場合には（Ｓ１２：ＹＥＳ）、チューブ接合装置１が接合準備状態となる（図１８に示す期間ｔ２）。このときに、パネル５０の開始スイッチ５２を押すと（Ｓ１３）、図１２のフローチャートの▲２▼に移行し、図９のＣＰＵ部４４により、第１および第２クランプが閉じているか否か（Ｓ３０）、ウエハーが交換済であるか否か（Ｓ３１）、第１および第２クランプが原点にあるか否か（Ｓ３２）、ウエハー交換レバーが原点にあるか否か（Ｓ３３）が判断される。
【００４１】
ここで、第１および第２クランプが閉じているか否かは、第２クランプが閉塞されたときに、接触するレバー１６と、このレバー１６によりＯＮ／ＯＦＦされるマイクロスイッチ１３により検知される。具体的には、マイクロスイッチ１３は、第２クランプが解放状態のときは、ＯＦＦとなっており、第２クランプ２が閉塞されたときにレバー１６と接触し、レバー１６が動き、マイクロスイッチ１３をＯＮ状態とする。このマイクロスイッチ１３のＯＮ／ＯＦＦ信号は、センサー入力回路６３を介してＣＰＵ部４４に入力される。また、ウエハーが交換済であるか否かは、ウエハー交換レバー２２をクランプ方向に押し、ウエハー交換作業を行うと、交換レバー２２は、マイクロスイッチ１５を一度ＯＮさせるので、マイクロスイッチ１５からのＯＮ信号により交換されたか否か検知される。マイクロスイッチ１５のＯＮ／ＯＦＦ信号は、センサー入力回路６３を介してＣＰＵ部４４に入力される。また、第１および第２クランプが原点にあるか否かは、上述のようにマイクロスイッチ７３，７４により検知する。
【００４２】
そして、Ｓ３０〜Ｓ３３のいずれか１つの判断がＮＯの場合、ブサーが鳴動し（Ｓ４５）、図１１の▲３▼にもどる。一方、Ｓ３０〜Ｓ３３のすべての判断がＹＥＳの場合、動作中ランプ４７が点灯する（Ｓ３４）。次いで、室温読み取りセンサー６４により室温が計測され、それがウエハー加熱制御手段６８に読み込まれる（Ｓ３５）。そうすると、ウエハー加熱制御手段６８において、読み込まれた室温に基づきウエハー６の昇温時間が計算される（Ｓ３６）。その後、ウエハー保持部５ａの温調がＯＦＦされ（Ｓ３７）、ウエハー６の加熱が開始される（Ｓ３８）。ウエハー６の加熱開始後、ウエハー加熱制御手段６８により、ウエハー電流およびウエハー電圧が読み込まれ（Ｓ３９）、ウエハー６の加熱に必要な定電力が計算される（Ｓ４０）。そして、その計算結果に基づき、ウエハー温調用ＰＷＭ制御出力部６５からのＰＷＭ信号が出力されて、そのＰＷＭ信号に基づいて定電圧直流源４０ａが制御されてウエハー６が加熱される。
【００４３】
次いで、ウエハー６の抵抗値が計算され（Ｓ４１）、抵抗値が所定値以内であるか（Ｓ４２）、抵抗値の変化に異常がないか（Ｓ４３）が判断される。これにより、ウエハーの異常を電気的に判断するためである。そして、抵抗値が所定値以内でない場合（Ｓ４２：ＮＯ）、および抵抗値の変化に異常がある場合には（Ｓ４３：ＮＯ）、ブサーが鳴動し（Ｓ４６）、ウエハー６の加熱を停止し（Ｓ４７）、ウエハー異常ランプが点灯し（Ｓ４８）、リセットスイッチが押された後（Ｓ４９）、図１１のフローチャート▲５▼に移行する。一方、抵抗値が所定値以内であり（Ｓ４２：ＹＥＳ）、さらに抵抗値の変化に異常がない場合には（Ｓ４３：ＹＥＳ）、ウエハー６の加熱が継続される。
【００４４】
そして、ウエハーの過剰加熱を防止するために、ウエハーの昇温時間が終了したかが判断され（Ｓ４４）、終了していない場合には（Ｓ４４：ＮＯ）、上記の処理が繰り返し行われる。そして、昇温時間が終了すると（Ｓ４４：ＹＥＳ）、ウエハー６の温度が所定温度（３２０℃程度）に達している予想されるので、図１３のフローチャート▲４▼に移行し、モーター４２が作動し（Ｓ６０）、これにより、ギア３０、ギア３１、カム１９，１７が回転し、切断手段５（ウエハー６）が上昇し（Ｓ６１）、チューブの切断（Ｓ６２）、第１クランプの後退（Ｓ６３）、切断手段（ウエハー）の下降（Ｓ６４）、第２クランプの第１クランプ側への幅寄せが行われる（Ｓ６５）。
【００４５】
具体的に説明すると、まず、カム１７が矢印方向に回転することにより、切断手段５のフォロア５ｂは、カム溝１７ａ内を摺動をする。当初図８に示すカム溝の原点Ｏがフォロア５ｂと接触していた状態より、図８に示すカム溝１７ａの点Ａがフォロア５ｂと接触するようになる。そして、図８に示すカム溝１７ａの点Ａがフォロア５ｂと接触する状態から、カム溝１７ａの点Ｂがフォロア５ｂと接触する状態に至るまでの間、なだらかに切断手段５は上昇し、この間において、２本の可撓性チューブが切断される。図１４および図１５を用いて説明すると、２本のチューブ４８，４９は、第１クランプ３および第２クランプ２により保持されており、第１クランプ３および第２クランプ２の間に位置するチューブ部分４８ａ，４９ａが形成され、その下方に切断手段のウエハー６が位置している。そして、上述のように、カム１７の回転により、切断手段５（ウエハー６）が上昇することにより、図１５に示すように、２本のチューブの第１クランプ３および第２クランプ２の間に位置するチューブ部分４８ａ，４９ａにて両者を溶融切断する。
【００４６】
そして、図８に示すカム溝１７ａの点Ｂがフォロア５ｂと接触する状態から、カム溝１７ａの点Ｃがフォロア５ｂと接触する状態に至るまでの間、図８に示すように、ウエハー６は、上昇した状態が維持され、チューブ４８ａ，４９ａの切断された端部を十分に溶解する。そして、図８に示すカム溝１７ａの点Ｃがフォロア５ｂと接触する状態から、カム溝１７ａの点Ｅがフォロア５ｂと接触する状態に至るまでの間、なだらかにウエハー６は下降する。また、図６に示すように、カム１９が矢印方向に回転することにより、第１クランプを移動させるためのアーム１８に設けられたフォロア１８ａは、カム溝１９ａ内を摺動をする。当初図６に示すカム溝の原点Ｏがフォロア１８ａと接触していた状態より、図６に示すカム溝１９ａの点Ｆがフォロア１８ａと接触するようになる。すなわち、切断手段５のフォロア５ｂがカム溝１７ａの点Ｂに至るより若干早く、フォロア１８ａは、カム溝１９ａ点Ｆに至る。
【００４７】
そして、図６に示すように、カム溝１９ａの点Ｆがフォロア１８ａと接触する状態から、カム溝１９ａの点Ｇがフォロア１８ａと接触する状態に至るまでの間、徐々に第１クランプ３は後退し、図１６に示す状態となり、接合されるチューブ部分４９ａと４８ａがウエハー６を介して向かい合った状態となる。この状態は、カム溝１９ａの点Ｇがフォロア１８ａと接触する状態から、カム溝１７ａの点Ｃがフォロア５ｂと接触する状態に至るまでの間維持される。そして、第１クランプの位置は、点Ｇがフォロア１８ａと接触する状態から、カム溝１９ａの点Ｈがフォロア１８ａと接触する状態に至るまでの間、図１６の状態が維持される。なお、切断手段５は、上述のように、図８に示すカム溝１７ａの点Ｃがフォロア５ｂと接触する状態から、カム溝１７ａの点Ｅがフォロア５ｂと接触する状態に至るまでの間、なだらかに下降し、接合されるチューブ部分４８ａ，４９ａが当接する。
【００４８】
そして、ウエハー６の下降が終了した状態、言い換えれば、カム溝１７ａの点Ｅがフォロア５ｂと接触する状態に至ったときとほぼ同時に、図４に示すように、第２クランプ２が、第１クランプ側に幅寄せを行う。具体的には、図４に示すように、カム溝１７ｃの左側面１７ｄの点Ｍが、第２クランプ２を駆動させるためのフォロア２０と接触する状態から、左側面の点Ｌがフォロア２０と接触する状態に至るまでの間、徐々に、第２クランプ２は、第１クランプ３側に移動し、カム溝１７ｃの凹部１７ｄの点ＬＫが、フォロア２０と接触する状態から、凹部１７ｄの点Ｋがフォロア２０と接触する状態に至るまでの間、幅寄せした状態を維持する。この幅寄せにより、チューブ部分４８ａ，４９ａの両者は確実に密着するので、両者の接合をより確実なものにすることができる。そして、カム溝１７ｃの凹部１７ｄの点Ｋが、フォロア２０と接触する状態から、左側面１７ｆの点Ｊがフォロア２０と接触する状態に至るまでの間、徐々に、第２クランプ２は、第１クランプ３側より離れる方向に移動し、この状態にて、モータ−４２の作動が停止する。
【００４９】
よって、停止した位置での、第１クランプ３、第２クランプ２の位置は、図１７に示すように、図１６と同様にずれた位置となっている。そして、図１３のフローチャートに示すように、ウエハー６の加熱が終了し（Ｓ６６）、動作ランプが消灯し（Ｓ６７）、ブサーが鳴動する（Ｓ６８）。そして、ウエハー保持部５ａの温調が再び開始される（Ｓ６９）。その後、図１７に示すように、第１クランプ２および第２クランプ３を開き（Ｓ７０）、チューブを取り出すことにより（Ｓ７１）、チューブの接合作業が終了する。
【００５０】
ここで、ウエハー保持部５ａの温調は、チューブ接合装置１が使用されていない場合（例えば、センサー入力回路６３にＯＮ／ＯＦＦ信号が一定時間入力されない場合など）には（図１８に示す期間ｔ４）、スタンバイ状態となり、ウエハー保持部５ａが５０℃とされる（図１８に示す期間ｔ５）。これにより、消費電力を低減することができる。そして、再びチューブ接合装置１が使用されるとスタンバイ状態が解除され（図１８に示す期間ｔ６）、制御温度が６０℃に変更されて通常の温調が実施される（図１８に示す期間ｔ７）。これにより、チューブ接合装置１の消費電力を低減することができる。また、チューブ接合装置１を用いてチューブの連続接合を行った場合にも、ウエハー保持部５ａはほぼ６５℃に保たれるので（図１８に示す期間ｔ３）、ウエハー６の加熱開始時におけるウエハー保持部５ａからウエハー６に対する熱流束が常に一定となるから、ウエハー６の温度制御を安定して正確に行うことができる。
【００５１】
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係るチューブ接合装置１によれば、ウエハー保持部５ａをヒーター７０によって６５℃程度に予め加熱してから、ウエハー６の加熱制御を定電力制御により行うので、ウエハー６の昇温時間を短縮するとともに、ウエハー６の温度制御を安定して正確に行うことができる。また、ウエハー６の温度を検知する必要がないので、ウエハーの温度を検出するためのウエハー温度検知手段が不要となる。このため、ウエハー温度検知手段の取付時の調整作業が不要となり、生産効率が向上する。
【００５２】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【００５３】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係るチューブ接合装置によれば、可撓性チューブを無菌的に接合するためのチューブ接合装置装置において、少なくとも２本の可撓性チューブを平行状態にて保持する第１クランプおよび第２クランプと、第１クランプおよび第２クランプ間にて可撓性チューブを切断するための切断手段と、切断手段により切断された可撓性チューブの接合される端部相互が密着するように第１クランプまたは第２クランプの少なくとも一方を移動させる移動手段とを有し、切断手段は、可撓性チューブを溶融切断するためのウエハーと、ウエハーを加熱するためのウエハー加熱手段と、ウエハー加熱手段の制御を行うためのウエハー加熱制御手段と、ウエハーを保持するウエハー保持部と、ウエハー保持部を加熱するための加熱手段と、ウエハー保持部の温度を検知するための温度検知手段と、加熱手段の制御を行うための加熱制御手段とを備え、加熱制御手段は、ウエハー加熱手段によりウエハーが加熱される前に、温度検知手段の出力に基づいてウエハー保持部が所定温度となるように加熱手段を制御するので、ウエハーの昇温時間を短縮するとともに、ウエハーの温度制御を安定して正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施の形態に係るチューブ接合装置を示す斜視図である。
【図２】実施の形態に係るチューブ接合装置をケースに収納した状態を示す斜視図である。
【図３】実施の形態に係るチューブ接合装置を示す平面図である。
【図４】第１クランプ、第２クランプおよび切断手段の動作を説明するための図である。
【図５】第１および第２クランプの構成を示す斜視図である。
【図６】第１クランプの動作を説明するための図である。
【図７】実施の形態に係るチューブ接合装置に使用される切断手段の構成を示す図である。
【図８】切断手段の動作を説明するための図である。
【図９】実施の形態に係るチューブ接合装置における制御系を示すブロック図である。
【図１０】ウエハー加熱制御手段の構成を示すブロック図である。
【図１１】実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図１２】同じく、実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図１３】同じく、実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図１４】実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するための図である
【図１５】同じく、実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するための図である
【図１６】同じく、実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するための図である。
【図１７】同じく、実施の形態に係るチューブ接合装置の動作を説明するための図である。
【図１８】ウエハー保持部の温度変化を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
１ チューブ接合装置
２ 第１クランプ
３ 第２クランプ
５ 切断手段
５ａ ウエハー保持部
６ ウエハー
４０ 電源部
４２ モーター
４４ ＣＰＵ部
６８ ウエハー加熱制御手段
６９ ヒーター加熱制御手段
７０ ヒーター
７１ サーミスター
８０ ウエハー電圧読み取り回路
８１ ウエハー電流読み取り回路

Claims (3)

1. 可撓性チューブを無菌的に接合するためのチューブ接合装置装置において、
   少なくとも２本の可撓性チューブを平行状態にて保持する第１クランプおよび第２クランプと、
   前記第１クランプおよび前記第２クランプ間にて前記可撓性チューブを切断するための切断手段と、
   前記切断手段により切断された可撓性チューブの接合される端部相互が密着するように前記第１クランプまたは前記第２クランプの少なくとも一方を移動させる移動手段とを有し、
   前記切断手段は、
   前記可撓性チューブを溶融切断するためのウエハーと、
   前記ウエハーを加熱するためのウエハー加熱手段と、
   前記ウエハー加熱手段の制御を行うためのウエハー加熱制御手段と、
   前記ウエハーを保持するウエハー保持部と、
   前記ウエハー保持部を加熱するための加熱手段と、
   前記ウエハー保持部の温度を検知するための温度検知手段と、
   前記加熱手段の制御を行うための加熱制御手段とを備え、
   前記加熱制御手段は、ウエハー加熱手段により前記ウエハーが加熱される前に、前記温度検知手段の出力に基づいて前記ウエハー保持部が所定温度となるように加熱手段を制御することを特徴とするチューブ接合装置。
2. 請求項１に記載するチューブ接合装置において、
   前記ウエハー加熱制御手段は、前記ウエハーの電流および電圧の大きさに基づいて前記ウエハー加熱手段を定電力制御することを特徴とするチューブ接合装置。
3. 請求項１に記載するチューブ接合装置において、
   前記所定温度が５０〜８０℃の範囲内にあることを特徴とするチューブ接合装置。

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