JP4161663B2 - ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチル基をベンゼン環上にあわせ持つ液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents
ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチル基をベンゼン環上にあわせ持つ液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンを有する新規な液晶性化合物、この化合物を含有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。
【0002】
液晶性化合物の用語は、液晶相を有する化合物および液晶相を有さないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称として用いる。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と表記することがある。式(1)から式(14)で表わされる化合物をそれぞれ化合物(1)から化合物(14)と表記することがある。式(2)から式(14)において、六角形で囲んだB、D、Eなどの構造単位は環B、環D、環Eなどを示す。そのほかの六角形は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびピリミジン−2,5−ジイルである。
【0003】
【従来の技術】
液晶表示素子は、表示方式によってTN(Twisted nematic)、TN−TFT(Twisted nematic−Thin film transistor)、BTN(Bistable twisted nematic)、STN(Super twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、GH(Guest host)、DS(Dynamic scattering)、VA(Vertical alignment)、OCB(Optically compensated bend)、ECB(Electrically controlled birefringence)、PC(Phase change)などのモードに分類される。素子に必要な液晶組成物における物性は、これらのモードによって異なる。何れのモ−ドにおいても共通の性質として以下の特性が組成物に必要である。
【0004】
1)水分、空気、熱、光等の外的環境因子に対して安定である。
2)室温を含む広い温度範囲で液晶相を示す。
3)粘度が小さい。
4)最適な光学異方性(Δn)を有する。
5)最適な誘電率異方性(Δε)を有する。
6)表示素子を駆動させた場合に駆動電圧が低い。
【0005】
組成物の成分である化合物は良好な相溶性を有することが必要である。最近では素子を低温で使用するので、化合物は低温においても特に良好な相溶性を有することが望ましい。化合物が固体として析出すると素子が機能しなくなるからである。
【0006】
液晶表示素子の最大の問題点は狭い視野角である。この問題を改善するモ−ドはIPS(In-plane switching)モード、VA(Vertical alignment)モード、OCB(Optically compensated bend)モードなどである。これらのモードのうち、VAモードやIPSモードは視野角が広く、応答時間が短く、そしてコントラストが高い。これらのモ−ドで素子に使用される液晶組成物の特徴は比較的小さな光学異方性、そして負の誘電率異方性である。駆動電圧を低くするには誘電率異方性が負に大きい方がよい(例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
負の誘電率異方性を有する化合物として、例えば下記の化合物(15)(例えば、非特許文献2参照。)や化合物(16)(例えば、特許文献1参照。)が報告されている。
(式中、RおよびR’はアルキルである。)
【0008】
しかしながら、化合物(15)は負の誘電率異方性を有するが、光学異方性が大きい。化合物(16)は大きな負の誘電率異方性を有するが、相溶性が劣り、化学的および物理的安定性に欠ける。従って、大きな負の誘電率異方性を有し、そして適切な光学異方性を有する液晶性化合物が待望されている。
【0009】
【非特許文献1】
M.F.Leslie, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1970, 12,57
【非特許文献2】
V. Reiffenrath et al., Liq. Cryst., 1989,5(1), 159
【特許文献1】
特開昭59−10557号公報
【特許文献2】
国際公開第95/18848号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を解消し、化学的に安定であり、そして他の液晶性化合物との優れた相溶性、負に大きな誘電率異方性および適切な光学異方性を有する液晶性化合物を提供することにある。さらに、この化合物を含有し、そして大きな比抵抗および大きな電圧保持率を有する組成物、そしてこの組成物を含有する液晶表示素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンを有する化合物(1)が化学的に安定であり、そして他の液晶性化合物との優れた相溶性、負に大きな誘電率異方性および適切な光学異方性を有することを見いだした。化合物(1)を含有する液晶組成物は大きな比抵抗および大きな電圧保持率を有し、そしてこの組成物が液晶表示素子に有用であることも見いだした。本発明の目的を達成するための本発明の態様は下記のとおりである。化合物(1)における末端基、環および結合基に関して、好ましい例も述べた。
【0012】
1. 式(1)で表される液晶性化合物。
式(1)において、RaおよびRbは独立して炭素数1〜20を有するアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、−CH=CH−、−C≡C−または−SiH2−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0013】
「アルキルおいて任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−などで置き換えられてもよい」との語句の意味を例で示す。アルキルがC4H9−の場合、任意の−CH2−を−O−または−CH=CH−で置き換えた基の一部は、C3H7O−、CH3−O−(CH2)2−、CH3−O−CH2−O−、H2C=CH−(CH2)3−、CH3−CH=CH−(CH2)2−、およびCH3−CH=CH−CH2−O−である。このように「任意の」語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接したCH3−O−O−CH2−よりも、CH3−O−CH2−O−の方が好ましい。
【0014】
好ましいRaおよびRbは、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルキニル、アルキニルオキシ、アルキルシリル、およびアルキルシリルアルキルである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたこれらの基も好ましい。好ましいハロゲンはフッ素および塩素である。これらの基は分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。分岐したRaまたはRbは化合物(1)が光学活性であるときに好ましい。特に好ましいRaおよびRbは、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、および少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたこれらの基である。
【0015】
アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニルは、高い透明点または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109を参照。
【0016】
具体的なRaまたはRbは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−プロペニルオキシ、2−ブテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、1−プロピニル、1−ペンチニル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル,2−フルオロ−2−シアノビニル、3−フルオロ−1−プロペニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル、4−フルオロ−1−ブテニル、および4,4−ジフルオロ−3−ブテニルでもある。特に好ましいRaまたはRbは、エチル、プロピルおよびペンチルである。
【0017】
A1、A2、A3、およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、デカヒドロ−2,6−ナフチレン、テトラヒドロ−2,6−ナフチレン、または2,6−ナフチレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、またはフルオロメトキシで置き換えられてもよく、そしてA1、A2、A3、およびA4の少なくとも1つは下記の3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン(17)である。
【0018】
好ましいA1、A2、A3、またはA4は1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレン、3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルおよびピリダジン−2,5−ジイルである。1,4−シクロヘキシレンと1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配座はシスよりもトランスが好ましい。
【0019】
Z1、Z2およびZ3は、独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、または−SiH2−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。具体的な例は、単結合、−(CH2)2−、−(CF2)2−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−(CH2)2CF2O−、−OCF2(CH2)2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH2)4−、−(CH2)3O−、−O(CH2)3−、−CH=CHCH2O−、−OCH2CH=CH−、−(CH2)2COO−、−OCO(CH2)2−、−CH2SiH2−、−SiH2CH2−、−CH2CO−、−COCH2−等である。
【0020】
好ましいZ1、Z2またはZ3は単結合、−(CH2)2−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH2)4−、−(CH2)3O−、および−CH=CHCH2O−である。−CH=CH−、−CH=CHCH2O−および−CF=CF−の立体配置においてシスよりもトランスが好ましい。
【0021】
mおよびnは独立して0または1である。mおよびnが0である化合物は二環を有する。mが1であり、nが0である化合物、またはmが0であり、nが1である化合物は三環を有する。mおよびnが1である化合物は四環を有する。化合物の物性に大きな差異がないので、化合物(1)は2H(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【0022】
2. 項1に記載の式(1)において、mおよびnが0である項1に記載の化合物。
3. 項1に記載の式(1)において、mが0およびnが1である項1に記載の化合物。
4. 項1に記載の式(1)において、mが1およびnが1である項1に記載の化合物。
【0023】
5. RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有するアルキル、炭素数1〜19を有するアルコキシまたは炭素数2〜21を有するアルケニルである項1から項4のいずれか1項に記載の化合物。
6. RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有するアルキル、炭素数1〜19を有するアルコキシまたは炭素数2〜21を有するアルケニルであり;Z1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である項1から項4のいずれか1項に記載の化合物。
【0024】
7. 下記の式(a)から(z)で表わされる化合物。
【0025】
式(a)〜(z)において、RaおよびRbは独立して炭素数1〜20を有するアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレン、または3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3は独立して単結合、−(CH2)2−、−(CF2)2−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−(CH2)2CF2O−、−OCF2(CH2)2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH2)4−、−(CH2)3O−、−O(CH2)3−、−CH=CHCH2O−、または−OCH2CH=CH−である。
8. RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有するアルキル、炭素数1〜19を有するアルコキシまたは炭素数2〜21を有するアルケニルであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である項7に記載の式(a)から(f)または式(k)から(r)で表される化合物。
9. RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有するアルキル、炭素数1〜19を有するアルコキシまたは炭素数2〜21を有するアルケニルであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である項7に記載の式(a)から(f)または式(k)から(r)で表される化合物。
10. RaおよびRbが独立して炭素数1〜12を有するアルキルまたは炭素数1〜13を有するアルコキシであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−COO−、−OCO−または−C≡C−である項7に記載の式(a)から(f)で表される化合物。
【0026】
11. 項1〜項10のいずれか1項に記載した少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
12. 下記の式(7)、(8)、(9)、(13)および(14)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項11に記載の組成物。
【0027】
式中、R4およびR5は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Mおよび環Pは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Z7およびZ8は独立して−(CH2)2−、−COO−または単結合であり;L6およびL7は独立して水素またはフッ素であり、L6とL7の少なくとも1つはフッ素である。
【0028】
13. 下記の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項11に記載の組成物。
【0029】
式中、R6およびR7は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Q、環Tおよび環Uは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z9およびZ10は独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH2)2−、−CH=CH−、または単結合である。
14. 項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項12に記載の組成物。
15. 下記の式(2)、(3)および(4)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項11に記載の組成物。
【0030】
式中、R1は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;X1はフッ素、塩素、−OCF3、−OCHF2、−CF3、−CHF2、−CH2F、−OCF2CHF2、または−OCF2CHFCF3であり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z4およびZ5は独立して−(CH2)2−、−(CH2)4−、−COO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、または単結合であり;L1およびL2は独立して水素またはフッ素である。
【0031】
16. 下記の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項11に記載の組成物。
【0032】
式中、R2およびR3は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;X2は−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Z6は−(CH2)2−、−COO−、−CF2O−、−OCF2−、または単結合であり;L3、L4およびL5は独立して水素またはフッ素であり;b、cおよびdは独立して0または1である。
【0033】
17. 項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項15に記載の組成物。
18. 項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項16に記載の組成物。
【0034】
19. 少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有する項11〜項18のいずれか1項に記載の組成物。
20. 項11〜項19のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。
【0035】
化合物(2)から化合物(14)において、好ましい基は次のとおりである。分岐のアルキルよりも直鎖のアルキルが好ましい。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスが好ましい。「アルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい」の句の意味は、本発明の項1において述べた。R1、環Bなどの記号を複数の化合物において用いたが、これらのR1(または環Bなど)は同一であってもよいし、異なってもよい。化合物の物性に大きな差異がないので、これらの化合物は2H(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【0036】
【発明の実施の態様】
まず、本発明の化合物(1)をさらに説明する。化合物(1)は負の誘電率異方性を有する二環、三環および四環の3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン誘導体である。化合物(1)は、素子が使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、粘度が小さい、負の誘電率異方性が大きい、光学異方性の値が適切である、他の液晶性化合物との相溶性がよい、などといった特徴を有する。
【0037】
化合物(1)を含有する組成物は、素子が通常使用される条件下で安定である。この組成物を低温で保管しても、化合物(1)が固体として析出することがない。化合物(1)は、負の誘電率異方性が大きく、そして光学異方性の値が適切である。化合物(1)は大きな負の誘電率異方性を有するので、IPSモードやVAモード用の組成物の成分として有用である。化合物(1)はTN、STN、TN−TFTなどのモード用の組成物に添加することもできる。
【0038】
化合物(1)の末端基、環および結合基を適当に選択することによって、物性値を任意に調整することが可能である。末端基Ra、Rb、環A1〜A4、および結合基Z1〜Z3の種類が、化合物(1)の特性に与える効果を説明する。化合物(1)を組成物に添加すると、この特性が組成物のそれに反映される。
【0039】
化合物(1)のRaまたはRbが直鎖アルキルのときは液晶相の温度範囲が広く、粘度が小さい。RaまたはRbが光学活性なアルキルのときはキラルドーパントとして使える。これらの基において任意の−CH2−が、−O−、−S−、−CH=CH−、または−C=C−で置き換えられたとき、または任意の水素がハロゲンで置き換えられたときも、得られる化合物は同様の特性を有する。
【0040】
環A1、環A2、環A3、環A4、環A5または環A6が1,4−シクロヘキシレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルのときは光学異方性が小さく、粘度が小さい。少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシレンであるときは、透明点が高く、光学異方性が小さく、粘度が小さい。環がデカヒドロ−2,6−ナフチレンのときは光学異方性が小さく、相溶性が良好である。少なくとも1つの環が1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンのときは、光学異方性が比較的大きく、配向秩序パラメーター(orientational order parameter)が大きく、粘度が小さい。少なくとも2つの環が1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンのときは、光学異方性が大きく、液晶相の温度範囲が広く、そして透明点が高い。環が2,6−ナフチレンのときは光学異方性が大きく、液晶相の温度範囲が広い。
【0041】
結合基Z1、Z2またはZ3が単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH2)4−、および−CH=CHCH2O−のときは粘度が小さい。結合基が単結合、−(CH2)2−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=CH−、および−(CH2)4−のときは粘度がより小さい。結合基が−CH=CH−および−CF=CF−のときは液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数比が大きい。結合基が−C≡C−のときは光学異方性が大きい。
【0042】
化合物(1)が2環の化合物のときは誘電率異方性が負に大きく、粘度が小さい。3環の化合物のときは透明点が高く、4環の化合物のときは透明点が特に高い。以上のように、末端基、環および結合基の種類、環の数を適当に選択することにより目的の物性を有する化合物を得ることができる。
【0043】
化合物(1)の好ましい例は化合物(1a−1)〜(1e−4)である。これらの化合物におけるRa、Rb、Z1、Z2およびZ3の記号の意味は、本発明の項1に記載したそれと同一である。これらの化合物に存在する1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリダジン−3,6−ジイルの環において、任意の水素はフッ素のようなハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、またはフルオロメトキシで置き換えられてもよい。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
化合物(1)は通常の有機合成化学における手法を組み合わせることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、オーガニック シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ オーガニック シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。
【0049】
3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン環を合成する方法の一例を下記のスキームに示す。この方法に基づいてこの環を有する化合物を合成する。この化合物は化合物(1)を合成するための出発物である。このスキームを説明したあと、結合基を生成する方法の一例を述べる。
【0050】
【0051】
この例は、J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 4020., Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 4377および特開平3-115235に記載された方法に基づいた。ハライド誘導体(A)とホウ酸誘導体(B)をトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)のような触媒、トリ(t−ブチル)ホスフィンのようなリガンドおよびフッ化カリウムのようなルイス塩基存在下、クロスカップリングを行う。合成した化合物(C)をアルキルリチウムなどでリチオ化し、次いでジメチルホルムアミド(DMF)などでホルミル化し、化合物(D)を合成する。(ジエチルアミノ)サルファー トリフルオリドのようなフッ素化剤を作用することにより(E)を合成できる。また、(C)は次の方法においても合成できる。アルデヒド誘導体(F)に1,1,1−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタンを亜鉛存在下作用させ、化合物(G)を合成する。化合物(G)をアセチレン誘導体に変換し、ディールス・アルダー反応を高温で行い、化合物(C)が合成される。
【0052】
結合基Z1、Z2またはZ3を生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次に項(I)〜項(XII)でスキームを説明する。このスキームにおいて、MSG1またはMSG2は少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG1(またはMSG2)は、同一であってもよいし、異なってもよい。化合物(1A)から(1L)は化合物(1)に相当する。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。
【0061】
(II)−COO−および−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(24)を得る。化合物(24)と、公知の方法で合成されるフェノール(25)とをDDC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成できる。
【0062】
(III)−CF2O−および−OCF2−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CF2O−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)を(ジエチルアミノ)サルファ トリフルオリドでフッ素化しても合成される。William H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって−OCF2−を有する化合物も合成できる。
【0063】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミドと反応させてアルデヒド(28)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(27)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(28)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0064】
(V)−(CH2)2−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
【0065】
(VI)−(CH2)4−の生成
ホスホニウム塩(27)の代わりにホスホニウム塩(29)を用い、項(IV)の方法に従って−(CH2)2−CH=CH−を有する化合物を得る。これを接触水素化して化合物(1F)を合成する。
【0066】
(VII)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下で、化合物(23)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(30)を得る。ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(30)を化合物(22)と反応させて、化合物(1G)を合成する。
【0067】
(VIII)−CF=CF−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(31)を得る。化合物(22)をn−ブチルリチウムで処理したあと化合物(31)と反応させて化合物(1H)を合成する。
【0068】
(IX)−CH2O−および−OCH2−の生成
化合物(28)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(32)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(33)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(33)を化合物(25)と反応させて化合物(1J)を合成する。この方法によって−CH2O−を有する化合物も合成できる。
【0069】
(X)−(CH2)3O−および−O(CH2)3−の生成
化合物(32)の代わりに化合物(34)を用いて、項(IX)の方法に従って化合物(1K)を合成する。
【0070】
(XI)−(CF2)2−の生成
J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 5414.に記載された方法に従い、ジケトン(−COCO−)をフッ化水素触媒の存在下、四フッ化硫黄でフッ素化して−(CF2)2−を有する化合物を得る。
【0071】
(XII)−CH=CHCH2O−および−OCH2CH=CH−の生成
化合物(28)を項(IV)と同様な操作で(36)に変換し、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどの還元剤により還元して化合物(37)を得る。(37)をハロゲン化し、項(IX)の方法に従って化合物(1L)を合成する。この方法によって−CH=CHCH2O−を有する化合物も合成できる。
【0072】
(XIII)−(CH2)2CF2O−および−OCF2(CH2)2−の生成
(1B)の代わりに化合物(39)を用い、項(III)の方法に従って化合物(1M)を合成する。この方法によって−OCF2(CH2)2−を有する化合物も合成できる。
【0073】
次に、本発明の組成物をさらに説明する。以下で述べる化合物の量(百分率)は組成物の全重量に基づいた重量%である。この組成物は化合物(1)から選ばれる複数の化合物のみを成分として含有してもよい。好ましい組成物は化合物(1)から選択された少なくとも1つの化合物を1〜99%の割合で含有する。
【0074】
化合物(1)は絶対値の大きな負の誘電率異方性を有するので、特にIPSモードやVAモード用などの、誘電率異方性の値が負である組成物の成分として有用である。化合物(1)のこれらの組成物への好ましい使用量は2%以上、より好ましい使用量は2〜99%である。また、化合物(1)はTN、STN、TN−TFTモード用などの、誘電率異方性の値が正である組成物の弾性定数や電圧透過率曲線を調整する目的で添加することもできる。このときの使用量は30%以下が好ましい。
【0075】
化合物(1)から選択される少なくとも1つの化合物を含有する本発明の組成物は、得られる組成物の物性、例えばしきい値電圧やその周波数または温度依存性、液晶相の温度範囲、光学異方性、誘電率異方性、または粘度などを調整する目的で、化合物(1)以外の化合物を含有させてもよい。化合物(1)以外の化合物として、例えば化合物(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物、化合物(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物、化合物(7)、(8)、(9)、(13)、および(14)からなる化合物群から選択される化合物、化合物(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物などが挙げられる。
本発明の組成物に含有させる化合物(1)以外の化合物としては、単一の化合物を選択してもよく、または同時に複数の化合物を選択してもよい。また、同時に複数の化合物を選択するときには、単一の化合物群から複数の化合物を選択してもよく、または複数の化合物群を選択した上で、それぞれの化合物群から任意に単一または複数の化合物を選択してもよい。
【0076】
化合物(7)、(8)、(9)、(13)、および(14)は誘電率異方性が負であるので、主としてIPSモードやVAモード用などの、誘電率異方性の値が負である組成物の成分として有用である。化合物(7)は粘度、光学異方性、およびしきい値電圧を調整する目的で使用される。化合物(8)は透明点を高くする、光学異方性を大きくする、しきい値電圧を下げるなどの目的に使用される。これらの化合物の使用量を増加させると得られる組成物のしきい電圧が小さくなるが、粘度が大きくなる。従って、しきい値電圧の要求値を満足するかぎり、少ない使用量が好ましい。これらの化合物の誘電率異方性は負であり、かつその絶対値は小さいので、好ましい量は30%以上である。より好ましい量は40〜90%である。液晶相の温度範囲、光学異方性、誘電率異方性、粘度、またはしきい値電圧を調整する目的で化合物(10)、(11)または(12)をさらに含有させてもよい。
また、化合物(7)、(8)、(9)、(13)および(14)は、TN、STN、TN−TFTモード用などの、誘電率異方性の値が正である組成物の弾性定数や電圧透過率曲線を調整する目的で添加することもできる。このときの使用量は30%以下が好ましい。
【0077】
化合物(10)、(11)および(12)の誘電率異方性の絶対値は小さい。化合物(10)は主として粘度または光学異方性を調整する目的で使用される。化合物(11)および(12)は透明点を上げて液晶相の温度範囲を広げる、または光学異方性を調整する目的で使用される。化合物(10)、(11)および(12)の量を増加させると組成物のしきい値電圧が高くなり、粘度が小さくなる。従って、組成物のしきい値電圧の要求値を満足するかぎり多量に使用してもよい。VAモード用の組成物において、これらの化合物の好ましい量は70%以下、より好ましい量は60%以下である。TN−TFTモード用の組成物において、これらの化合物の好ましい量は40%以下、より好ましい量は35%以下である。STNまたはTNモード用の組成物において、これらの好ましい量は70%以下、より好ましい量は60%以下である。
【0078】
化合物(2)、(3)および(4)は、誘電率異方性が正の値を有し、熱的安定性と化学的安定性に優れているので、主としてTN−TFTモード用の組成物に用いられる。この組成物において、これらの化合物の使用量は1〜99%である。好ましくは5〜97%、より好ましくは10〜95%である。液晶相の温度範囲、光学異方性、誘電率異方性、粘度、またはしきい値電圧を調整する目的で、化合物(10)、(11)または(12)を該組成物にさらに添加してもよい。また、化合物(2)、(3)および(4)を、誘電率異方性の値が負である、VAモード用などの、誘電率異方性の値が負である組成物の弾性定数と電圧透過率曲線を調整する目的で添加してもよい。このときの使用量は30%以下が好ましい。
【0079】
化合物(5)および(6)は、誘電率異方性が正で非常に大きいので、主としてSTNおよびTNモード用の組成物に用いられる。これらの化合物は組成物の液晶相の温度範囲を広げる、光学異方性と粘度を調整する、しきい値電圧を下げる、しきい値電圧の急峻性を改良する、などの目的に使用される。STNまたはTNモード用の組成物において、化合物(5)または(6)の使用量は1〜99%の範囲である。好ましくは5〜97%、より好ましくは10〜95%である。液晶相の温度範囲、光学異方性、誘電率異方性、粘度、またはしきい値電圧を調整する目的で化合物(10)、(11)または(12)をさらに添加してもよい。また、化合物(5)および(6)を、誘電率異方性が負である、VAモード用などの、誘電率異方性の値が負である組成物の弾性定数と電圧透過率曲線を調整する目的で添加してもよい。このときの使用量は30%以下が好ましい。
【0080】
好ましい化合物(2)から(14)は、それぞれ化合物(2−1)〜(2−9)、化合物(3−1)〜(3−97)、化合物(4−1)〜(4−33)、化合物(5−1)〜(5−56)、化合物(6−1)〜(6−3)、化合物(7−1)〜(7−4)、化合物(8−1)〜(8−6)、化合物(9−1)〜(9−4)、化合物(10−1)〜(10−11)、化合物(11−1)〜(11−21)、および化合物(12−1)〜(12−6)、化合物(13−1)、および化合物(14−1)である。これらの化合物において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X1、およびX2の記号の意味は、本発明の構成に記載したそれらと同一である。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
本発明の組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。組成物に適当な添加物を加えて得られる組成物の特性を調整してもよい。このような添加物は当業者によく知られている。液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与える目的でキラルドーパントなどが添加される。キラルドーパントの例は上に示した光学活性化合物(Op−1)〜(Op−12)である。
【0106】
キラルドーパントを組成物に添加してねじれのピッチを調整する。ねじれのピッチはTFTおよびTNモード用には40〜200μmの範囲である。STNモード用の好ましいピッチは6〜20μmの範囲である。BTN(Bistable TN)モード用の好ましいピッチは1.5〜4μmの範囲である。PCモ−ド用の組成物にはキラルド−パントを比較的多量に添加する。ピッチの温度依存性を調整する目的で少なくとも2つのキラルドーパントを添加してもよい。
【0107】
メロシアニン、スチリル、アゾ、アゾメチン、アゾキシ、キノフタロン、アントラキノンおよびテトラジンなどの化合物の二色性色素を添加することによってGHモード用の組成物を調製してもよい。
【0108】
本発明の組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAPや、液晶中に三次元網目状高分子を形成させたポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、例えばポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)に使用できる。さらには、複屈折制御(ECB)モード用やDSモード用にも使用できる。
【0109】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によって制限されない。化合物の相転移温度において、C、Sm、SmA、SmB、N、およびIは、それぞれ、結晶、スメクチック相、スメクチックA相、スメクチックB相、ネマチック相、および等方性液体相であり、かっこ内の相転移はモノトロピックであることを示す。温度の単位は℃である。得られた化合物は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどに基づいて同定した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットである。THFはテトラヒドフラン、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DASTは(ジエチルアミノ)サルファー トリフルオリドを示す。化合物(1)の誘電率異方性(Δε、25℃)の測定には下記の組成物を用いた。この組成物85重量%に、15重量%の化合物(1)を添加して試料を調製した。この測定法はあとで述べる。測定した値を外挿して誘電率異方性の値を算出した。
【0110】
【0111】
実施例1
【0112】
(1)4′−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1,1′−ビフェニル(化合物No.28)の合成
乾燥した窒素の雰囲気下、Suzukiらの方法(US5183934)に従って合成した1−ブロモ−2−トリフルオロメチル−4−メトキシベンゼン(600mg、2.35mmol)、Pd2(dba)3(110mg、0.12mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン(110mg、0.36mmol)、4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルホウ酸(1.16g、4.74mmol)、K3PO4(1.00g、4.74mmol)、および乾燥したDME(30mL)を100mLの封管用の容器に入れ、密栓を施した。封管を80℃の油浴につけ6時間加熱した。反応混合物を室温まで戻した後、トルエン(200mL)に注ぎ、有機層を水(100mL)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/ヘプタン=3/7の混合溶媒)で精製し、表題の化合物(446mg、50%)を得た。
【0113】
(2)4′−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3−ホルミル−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1,1′−ビフェニルの合成
乾燥した窒素の雰囲気下、THF(10ml)に4′−(4−プロピルシクロヘキシル)−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1,1′−ビフェニル(600mg、1.59mmol)を加え、−70℃に冷却した。次にsec−ブチルリチウム(1.0M−シクロヘキサン溶液)(1.91ml、1.91mmol)を同温度を保ちながら徐々に滴下し、同温度で2時間撹拌した。DMF(151mg、2.07mmol)を同温度を保ちながら滴下し、さらに同温度で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、トルエン(50mL)に注ぎ、有機層を水(20mL)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/トルエン=3/7の混合溶媒)で精製し、表題の化合物(122mg、19%)を得た。
【0114】
(3)4′−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3−ジフルオロメチル−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1,1′−ビフェニルの合成
乾燥した窒素の雰囲気下、塩化メチレン(5ml)に4′−(4−プロピルシクロヘキシル)−3−ホルミル−4−メトキシ−2−トリフルオロメチル−1,1′−ビフェニル(100mg、0.25mmol)を加え、0℃に冷却した。次にDAST(80mg、0.49mmol)滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、トルエン(20mL)で抽出し、有機層を水(20mL)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/ヘプタン=3/7の混合溶媒)およびエタノールから再結晶し精製することにより、表題の化合物(75mg、71%)を得た。この化合物の誘電率異方性は−13.4(外挿値)であった。
【0115】
実施例2
【0116】
(1)2−クロロ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3,3,3−トリフルオロプロペン(化合物No.18)の合成
トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシルカルバルデヒド(500mg、1.89mmol)のDMF(5ml)溶液に1,1,1,−トリクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(425mg、2.27mmol)、亜鉛粉末(136mg、2.08mmol)ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(25mg、0.038mmol)を加え、室温で1時間撹拌後、50℃まで昇温し、同温度で24時間撹拌した。亜鉛粉末(247mg、3.78mmol)、無水酢酸(0.3ml)を加え、同温度でさらに5時間撹拌した。3N−塩酸(1ml)を加え、ヘプタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒はヘプタン)で精製し、表題の化合物(331mg、48%)を得た。
【0117】
(2)1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3,3,3−トリフルオロプロピンの合成
ナトリウムアミド(240mg、6.15mmol)のトルエン(5ml)の懸濁溶液に2−クロロ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3,3,3−トリフルオロプロペン(300mg、0.82mmol)のトルエン(2ml)溶液およびt−ブタノール(455mg、6.15mmol)を加え、5時間加熱還流を行った。反応混合物を3N−塩酸(1ml)を加え、ヘプタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒はヘプタン)で精製し、表題の化合物(202mg、75%)を得た。
【0118】
(3)3−トリフルオロメチル−4−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェノールの合成
1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3,3,3−トリフルオロプロピン(200mg、0.61mmol)および1−メトキシ−3−(トリメチルシロキシ)−1,3−ブタジエン(315mg、1.83mmol)の混合物を150℃で5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮後、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/ヘプタン=3/7の混合溶媒)で精製し、表題の化合物(174mg、72%)を得た。
【0119】
(4)1−エトキシ−3−トリフルオロメチル−4−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)ベンゼンの合成
3−トリフルオロメチル−4−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェノール(170mg、0.43mmol)、炭酸カリウム(71mg、0.43mmol)、エタノール(5mL)の混合物にヨウ化エチル(148mg、0.95mmol)を30分間で滴下し、さらに1時間加熱還流した。反応混合物からエタノールを留去し、残留物をジエチルエーテル(10mL)で抽出した。減圧下で溶媒を除去し、残留物を蒸留して、表題の化合物(113mg、62%)を得た。
【0120】
(5)6−エトキシ−2−トリフルオロメチル−3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)ベンズアルデヒドの合成
乾燥した窒素の雰囲気下、1−エトキシ−3−トリフルオロメチル−4−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)ベンゼン(110mg、0.26mmol)の乾燥THF(5mL)溶液を−78℃に冷却した。次にsec−ブチルリチウム(1.0M−シクロヘキサン溶液)(0.31ml、0.31mmol)を同温度を保ちながら徐々に滴下し、同温度で2時間撹拌した。DMF(25mg、0.34mmol)を同温度を保ちながら滴下し、さらに同温度で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、トルエン(10mL)に注ぎし、有機層を水(5mL)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/トルエン=3/7の混合溶媒)で精製し、表題の化合物(22mg、19%)を得た。
【0121】
(6)2−ジフルオロメチル−1−エトキシ−3−トリフルオロメチル−4−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)ベンズアルデヒドの合成
乾燥した窒素の雰囲気下、塩化メチレン(3ml)に6−エトキシ−2−トリフルオロメチル−3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)ベンズアルデヒド(20mg、0.045mmol)を加え、0℃に冷却した。次にDAST(16mg、0.090mmol)滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、トルエン(5mL)で抽出し、有機層を水(3mL)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒は酢酸エチル/ヘプタン=3/7の混合溶媒)およびエタノールから再結晶し精製することにより、表題の化合物(15mg、69%)を得た。この化合物の誘電率異方性は−12.7(外挿値)であった。
【0122】
実施例3
実施例1、2および発明の詳細な説明の記述をもとに、下記の化合物No.1〜No.155を合成する。なお、実施例1および2で得られた化合物(No.18およびNo.28)も書き加えた。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
本発明の代表的な組成物を組成物例1〜21にまとめた。最初に組成物の成分である化合物とその量(重量%)を示した。化合物は下記表1の取り決めに従い、左末端基、結合基、環構造および右末端基の記号によって表示した。かっこ中の番号は実施例3の表で示した化合物に対応する。次に組成物の物性値を示した。物性値を測定する方法は次のとおりである。
【0131】
ネマチック−等方性液体の相転移温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。
【0132】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):粘度の測定にはE型粘度計を用いた。
【0133】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):光学異方性は、波長が589nmの光によりアッベ屈折計を用いて測定した。
【0134】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
1)Δεの値が正の組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0135】
2)Δεの値が負の組成物:ホメオトロピック配向処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε‖)を測定した。ホモジニアス配向処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0136】
しきい値電圧(Vth;測定温度は25℃;単位はボルト):2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80゜である、ノーマリーホワイト型(normally white type)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した光学異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【発明の効果】
本発明の液晶性化合物は、化学的に安定であり、そして他の液晶性化合物との優れた相溶性、負に大きな誘電率異方性および適切な光学異方性を有する。この化合物を含有する組成物は大きな比抵抗および大きな電圧保持率を有するので、この組成物を含有する液晶表示素子は特性がよい。
Claims (20)
- 式(1)で表される化合物。
式(1)において、RaおよびRbは独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、−CH=CH−、−C≡C−または−SiH2−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、デカヒドロ−2,6−ナフチレン、テトラヒドロ−2,6−ナフチレン、または2,6−ナフチレンであり、これらの環において任意の水素はハロゲン、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、またはフルオロメトキシで置き換えられてもよく、そしてA1、A2、A3、およびA4の少なくとも1つは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;Z1、Z2およびZ3は、独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、または−SiH2−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そしてmおよびnは独立して0または1である。 - 請求項1に記載の式(1)において、mおよびnが0である請求項1に記載の化合物。
- 請求項1に記載の式(1)において、mが0およびnが1である請求項1に記載の化合物。
- 請求項1に記載の式(1)において、mが1およびnが1である請求項1に記載の化合物。
- RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキル、炭素数1〜19を有する直鎖アルコキシまたは炭素数2〜21を有する直鎖アルケニルである請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
- RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキル、炭素数1〜19を有する直鎖アルコキシまたは炭素数2〜21を有する直鎖アルケニルであり;Z1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
- 下記の式(a)から(z)で表わされる化合物。
式(a)〜(z)において、RaおよびRbは独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1、A2、A3、およびA4は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3は独立して単結合、−(CH2)2−、−(CF2)2−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−(CH2)2CF2O−、−OCF2(CH2)2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−(CH2)4−、−(CH2)3O−、−O(CH2)3−、−CH=CHCH2O−、または−OCH2CH=CH−である。 - RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキル、炭素数1〜19を有する直鎖アルコキシまたは炭素数2〜21を有する直鎖アルケニルであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である請求項7に記載の式(a)から(f)または式(k)から(r)で表される化合物。
- RaおよびRbが独立して炭素数1〜20を有する直鎖アルキル、炭素数1〜19を有する直鎖アルコキシまたは炭素数2〜21を有する直鎖アルケニルであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−(CH2)2−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH2)4−である請求項7に記載の式(a)から(f)または式(k)から(r)で表される化合物。
- RaおよびRbが独立して炭素数1〜12を有する直鎖アルキルまたは炭素数1〜13を有する直鎖アルコキシであり;A1、A2、A3、およびA4が独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンまたは3−ジフルオロメチル−2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンであり;そしてZ1、Z2およびZ3が独立して単結合、−COO−、−OCO−または−C≡C−である請求項7に記載の式(a)から(f)で表される化合物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載した少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
- 請求項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項12に記載の組成物。
- 下記の式(2)、(3)および(4)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項11に記載の組成物。
式中、R1は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;X1はフッ素、塩素、−OCF3、−OCHF2、−CF3、−CHF2、−CH2F、−OCF2CHF2、または−OCF2CHFCF3であり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;Z4およびZ5は独立して−(CH2)2−、−(CH2)4−、−COO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CH−、または単結合であり;L1およびL2は独立して水素またはフッ素である。 - 下記の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項11に記載の組成物。
式中、R2およびR3は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;X2は−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Z6は−(CH2)2−、−COO−、−CF2O−、−OCF2−、または単結合であり;L3、L4およびL5は独立して水素またはフッ素であり;b、cおよびdは独立して0または1である。 - 請求項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項15に記載の組成物。
- 請求項13に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項16に記載の組成物。
- 少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有する請求項11〜18のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項11〜19のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。
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