JP4159137B2 - 薄膜グリーンシート成形用離型フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は離型フィルムに関し、詳しくはセラミック積層コンデンサー用の薄膜グリーンシート成形用離型フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミック積層コンデンサー用にグリーンシート成形用キャリアフィルムとしてポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが使用されている。
近年、セラミック積層コンデンサーの小型化・大容量化が進むに伴い、グリーンシート自体の厚みも益々薄膜化する傾向にある。
【0003】
グリーンシートの更なる薄膜化に伴い、特に厚みが5μm以下のグリーンシートを成形しようとした場合、離型層表面の表面粗度が高い離型フィルムでは対応困難な状況にある。
また、離型フィルムの離型層表面の表面粗度が高い場合には、セラミックスラリー塗工時にスラリーのはじきあるいはピンホールの発生、グリーンシート剥離時にはグリーンシートの破断等の不具合を生じる場合がある。
【0004】
上記不具合を解決するために表面粗度の低いポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムを使用すると、離型フィルムをロール状に巻き取った際にブロッキングあるいはシワ等が発生する等の不具合を生じる場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、離型層表面が平坦な離型フィルムをロール状に巻き取ってもブロッキング等の発生がなく、薄膜グリーンシート成形用に対応可能な離型フィルムを提供することを解決課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の離型層を設けることで上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも2層が共押出により積層されたポリエステルフィルムの片面に離型層が塗設されてなる離型フィルムであって、離型層表面の中心線平均粗さ(Ra)が30nm以下であり、離型層表面の突起高さ(X)と突起数(Y)との関係を表す分布曲線が突起高さ0.05〜0.3μmの範囲で下記式▲1▼を満足し、かつ離型層表面の突起高さ0.4μm以上の突起数が35個/mm2 以下であることを特徴とする薄膜グリーンシート成形用離型フィルム。
【0007】
【数3】
logY≧−5X ………▲1▼
(上記式中、Xは離型層表面の突起高さ(μm)、Yは離型層表面の突起数(個/mm2 )を表す)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明にいう離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムとはそれぞれの層を構成する樹脂が押出機から共溶融押出しされる、いわゆる共押出法により押し出されたものを、延伸および熱処理して得られる。以下、積層ポリエステルフィルムとして、共押出2層または3層フィルムについて説明するが、本発明の要旨を越えない限り、これらに限定されず、4層またはそれ以上の多層であってもよい。
【0009】
本発明における積層ポリエステルフィルムについて、離型層を塗設する面をA面、これを構成する層をA層、その反対面をB面、B面を構成する層をB層、これら以外の層をC層として、以下説明する。この場合、厚み方向の積層構成はA/BあるいはA/C/B等の構成が挙げられる。
本発明において積層ポリエステルフィルムに使用するポリエステルはホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを用いればよい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。一方、共重合ポリエステルとしては、通常30モル%以下の第三成分を含有した共重合体を用いることができる。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
【0010】
本発明における積層ポリエステルフィルムの厚み方向の積層構成比はA層の厚み/(B層あるいはB+C層の厚み)の値が0.1以上、さらには0.2以上が好ましい。厚み構成比が0.1未満の場合、B層あるいはC層中に含まれる粒子の影響によりA層の表面粗度が高くなる場合がある。また、B層の厚みは1μm以上であることが好ましく、1μm未満の場合、B層から粒子が脱落する等の不具合を生じる場合がある。
【0011】
本発明の離型フィルムにおいては、離型フィルムの離型層表面の表面粗度を特定の範囲内に抑える必要がある。
かかる観点から、本発明の離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムのA面の中心線平均粗さは特に限定されるものではないが、5〜50nmの範囲とすることが好ましい。
【0012】
一方、積層ポリエステルフィルムB面の中心線平均粗さも特に限定されるものではないが、15〜40nmの範囲とすることによりフィルム取り扱い時の作業性が良好となり好ましい。
本発明において、積層ポリエステルフィルム中に、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、酸化アルミニウム等の粒子を配合することが好ましい。この場合、使用する粒子の平均粒径および添加量は特に限定されるわけではないが、特に離型層と接するポリエステル層中に含有される粒子の平均粒径および添加量については、平均粒径が0.1〜1.0μmのものが好ましく、その添加量は0.1〜1重量%、さらには0.3〜1重量%の範囲が好ましい。
【0013】
ポリエステル中に粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0014】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、フィルムとして製膜できる厚さであればよく、通常、フィルム総厚みは9〜350μm、さらには12〜250μmの範囲から選択される。
次に、本発明の離型フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの製造方法について具体的に説明するが、本発明の積層ポリエステルフィルムは以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0015】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、2または3台以上の押出機、2または3層以上のマルチマニホールドまたはフィードブロックを用いて積層し、スリット状のダイから溶融シートとして押し出す。次にダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては必要に応じ両者を併用してもよい。
【0016】
次いで、得られた未延伸フィルムは二軸方向に延伸して二軸配向される。すなわち、まず前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、130〜250℃の範囲の温度で30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。
【0017】
上記延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコ−ティングを施すことができる。それは、以下に限定するものではないが、例えば、1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、帯電防止性、滑り性、接着性等の改良、二次加工性改良等の目的で、水溶液、水系エマルジョン、水系スラリー等の該コ−ティング処理を施すことができる。
【0018】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を用いることもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。さらに、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
【0019】
また、積層ポリエステルフィルムには、各種安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、酸化防止剤および可塑剤などが添加されてもよい。
本発明において、離型層を構成する材料は離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。それらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするものが離型性が良好な点で良い。
【0020】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては溶剤付加型・溶剤縮合型・溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
具体例を挙げると、信越化学工業社製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、KNS−305、KNS−3000、X−62−1256、ダウ・コーニング・アジア社製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン社製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721等、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SD7223、SD7226、SD7229、SRX−210等が挙げられる。
【0021】
本発明において、積層ポリエステルフィルムのA面に離型層を塗設する方法として、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
離型層の塗工量は積層ポリエステルフィルムへの塗工性の点から、0.01〜5g/m2 が好ましい。塗工量が0.01g/m2 未満の場合、塗工性の安定性に欠ける傾向があり、一方、5g/m2 を超えて厚塗りにすると、硬化性の点で問題が生じることがある。
【0022】
さらに本発明において、離型層中には離型層表面のブロッキング防止、滑り性改良等を目的として、粒子が添加されてもよい。使用する粒子の種類としては有機系粒子・無機系粒子の何れでもよく、特に限定されるものではない。
本発明の離型フィルムにおいて、積層ポリエステルフィルムのA面と離型層との間、あるいは離型層が設けられていない面には帯電防止層、接着層等の塗布層を設けてもよい。また、積層ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0023】
塗布層中には必要に応じて有機系粒子、無機系粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
塗布層の塗工量は特に限定されるものではないが、0.01〜5g/m2 の範囲が好ましい。当該範囲を外れた場合、上述の離型層の場合と同様の問題が生じることがある。
【0024】
本発明の離型フィルムの離型層表面の中心線平均粗さ(Ra)は30nm以下を満足する必要があり、20nm、さらには15nm以下とすることにより、厚みが5μm以下の薄膜グリーンシートの成形用に十分対応させることができる。
離型層表面のRaが30nmを超える場合には、セラミックスラリー塗工時にスラリーがはじく等の不具合を生じるようになる。
【0025】
なお、離型層表面のRaの下限については、離型フィルム取り扱い時の作業性を考慮して、5nmを下限とするのが好ましい。
本発明において離型フィルムの離型層表面のRaを30nm以下の範囲にするための方法として、例えばポリエステルフィルム上に予め塗布層を設けて、フィルム表面を平坦化させた後、離型層を塗設する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明の離型フィルムは、離型層表面の突起高さ(X)と突起数(Y)との関係を表す分布曲線が突起高さ0.05〜0.3μmの範囲で下記式▲1▼を満足する必要がある。
【0027】
【数4】
logY≧−5X ………▲1▼
(上記式中、Xは離型層表面の突起高さ(μm)、Yは離型層表面の突起数(個/mm2 )を表す)
【0028】
本発明の離型フィルムは、さらにlogY≧−6Xを満足することが好ましい。
logY<−5Xとなる場合、Raが30nm以下を満足していても、極希に存在する高い表面突起により、スラリー塗工時にスラリーをはじく、あるいはグリーンシート剥離時に破断する等の不具合を生じ、好ましくない。上記▲1▼式を満足することにより、高い表面突起が存在しない離型面を得ることができる。
さらに本発明の離型フィルムは、離型層表面の突起高さ0.4μm以上の突起数が35個/mm2 以下であることが必要であり、さらに好ましくは30個/mm2 以下である。当該突起数が35個/mm2 を超える場合、極希に存在する粗大突起により、セラミックスラリー塗工時にスラリーをはじく等の不具合を生じるようになる。
【0029】
本発明における離型フィルムにおいて離型層が設けられていない面の中心線平均粗さ(Ra(B))は下記式▲2▼を満足することが、離型フィルムのブロッキング防止、あるいは離型フィルムの搬送性が良好となる点で好ましい。
【0030】
【数5】
15≦Ra(B)≦40(nm) ………▲2▼
【0031】
Ra(B)が15nm未満の場合、離型フィルムをロール状に巻き取った際にブロッキング等の不具合を生じる場合があり、一方、40nmを超える場合、離型フィルムの離型層が設けられていない面による離型層表面あるいはグリーンシート表面への傷付き、粗度転写等の不具合を生じる場合がある。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは固形分としての「重量部」を示す。また、本発明で用いた評価方法は次のとおりである。
【0033】
(1)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(2)表面粗さ(Ra)の評価
小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定した。ただし、カットオフ値80μm、測定長2.5mmとした。
【0034】
(3)離型フィルムの離型層表面の分布曲線および突起高さ0.4μm以上の突起数の測定
小坂研究所社製三次元表面粗さ測定機(SE−3AK)を用い、触針の先端半径5μm、針圧30mg、測定長0.5mm、サンプリングピッチ1.0μm、カットオフ0.25mm、縦倍率5万倍、横倍率200倍、操作本数500本の条件で突起高さと突起個数を測定した。
本発明で言う突起高さ(X、(μm))は突起個数が最大になる面の高さを0レベルとして、このレベルからの高さをもって突起高さとし、各突起高さにおける突起数の関係を図式化し、分布曲線として表した。
突起高さ0.4μm以上の突起数は上記方法による突起高さ0.4μmを超えた突起に対応する突起数の総数をもって表した。
【0035】
(4)セラミックスラリーの塗工性評価
下記組成からなるセラミックスラリーを湿潤状態で5μmになるように試料サンプルの離型面上に塗布し、その際のスラリー塗工性を下記判定基準にて判定を行った。
【0036】
《セラミックスラリー組成》
セラミック粉体(チタン酸バリウム) 100部
結合剤(ポリビニルブチラール樹脂) 5部
可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1部
トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 10部
《判定基準》
○:スラリー塗工性良好
△:微少なはじきが見られる
×:スラリーをはじく
○は実用上問題ないレベルである。
【0037】
(5)グリーンシートの剥離性評価
(4)で使用したセラミックスラリーを用いて、グリーンシートのシート厚みが3μm(乾燥後)になるようにシート成形した後、離型フィルムとグリーンシートとの剥離性を下記判定基準にて判定を行った。
《判定基準》
○:スムーズに剥離可能
△:若干剥離感が重い
×:剥離し難いあるいは剥離が軽すぎる
△以上は実用上問題ないレベルである。
【0038】
(6)離型フィルムのブロッキング性評価
試料サンプルを10cm角に断裁した後、離型面と離型層が設けられていない面が合わさるように10枚重ね、100℃、1時間、10kg/cm2 の条件下でプレスした後、ブロッキング発生の有無を確認した。
《判定基準》
○:ブロッキングが発生していない
×:ブロッキングが発生している
○は実用上問題ないレベルである。
【0039】
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、平均粒径0.1μmのシリカ粒子0.1部、燐酸0.04部、三酸化アンチモン0.04部を添加した後100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ以後も徐々に圧力を減じ最終的に0.05mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻してポリエステルAを得た。ポリエステルAのシリカ粒子含有量は0.1重量%であった。
【0040】
製造例2(ポリエステルA1)〜製造例9(ポリエステルB2)
製造例1において、使用する粒子種、平均粒径、ポリエステル中の粒子添加量の組み合わせが異なる以外は製造例1と同様にして、各種ポリエステルを得た。各ポリエステルの構成については下記表1に示すとおりである。
【0041】
〈積層ポリエステルフィルムの製造〉
製造例10(積層ポリエステルフィルムF1)
ポリエステルAおよびポリエステルB1とを別々に180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、別個の溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して積層未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.4倍縦方向に延伸した。次いでフィルムをテンターに導き100℃で3.6倍横方向に延伸した後、230℃にて熱固定を行い、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF1を得た。層構成はA/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
【0042】
製造例11(積層ポリエステルフィルムF2)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA1を使用する以外は製造例10と同様にして厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF2を得た。層構成はA1/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
製造例12(積層ポリエステルフィルムF3)
製造例11において得られた積層ポリエステルフィルムF2に、さらにポリエステルA1面に塗工量が0.2g/m2 の帯電防止層を積層した厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF3を得た。帯電防止層の組成は、帯電防止剤(三菱化学製「ST−1000」)40重量%、メトキシメチルメラミン60重量%である。
層構成はA1/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
【0043】
製造例13(積層ポリエステルフィルムF4)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA2を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF4を得た。層構成はA2/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
製造例14(ポリエステルフィルムF5)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルB1を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmのポリエステルフィルムF5を得た。
【0044】
製造例15(積層ポリエステルフィルムF6)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA3を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF6を得た。層構成はA3/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
製造例16(積層ポリエステルフィルムF7)
製造例10において、ポリエステルB1の代わりにポリエステルB2を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF7を得た。層構成はA/B2であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
【0045】
製造例17(ポリエステルフィルムF8)
製造例10において、ポリエステルB1を用いずにポリエステルAのみを使用して、厚さ38μmの単層のポリエステルフィルムF8を得た。
製造例18(積層ポリエステルフィルムF9)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA4を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF9を得た。層構成はA4/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
【0046】
製造例19(積層ポリエステルフィルムF10)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA5を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF10を得た。層構成はA5/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
製造例20(積層ポリエステルフィルムF11)
製造例10において、ポリエステルAの代わりにポリエステルA6を使用する以外は製造例10と同様にし、厚さ38μmの積層ポリエステルフィルムF11を得た。層構成はA6/B1であり、各層の厚さは10/28(μm)であった。
【0047】
実施例1
製造例10より得られた積層ポリエステルフィルムF1のA面に下記組成の離型剤を塗工量が0.1g/m2 になるように塗布して離型フィルムを得た。
離型剤の組成は硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、 硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部である。このフィルムの特性を下記表3に示す。
【0048】
実施例2
製造例11より得られた積層ポリエステルフィルムF2(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
実施例3
製造例12により得られた積層ポリエステルフィルムF3(38μm)の帯電防止層が塗設された面の上に実施例1と同様の離型層を塗設して離型フィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
【0049】
実施例4
製造例13より得られた積層ポリエステルフィルムF4(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
実施例5
製造例16により得られた積層ポリエステルフィルムF7(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
【0050】
比較例1
製造例14より得られたポリエステルフィルムF5(38μm)を用いる以は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルムの特性を表3に示す。
比較例2
製造例15により得られた積層ポリエステルフィルムF6(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
【0051】
比較例3
製造例17により得られたポリエステルフィルムF8(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
比較例4
製造例18により得られた積層ポリエステルフィルムF9(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
【0052】
比較例5
製造例19により得られた積層ポリエステルフィルムF10(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
比較例6
製造例20により得られた積層ポリエステルフィルムF11(38μm)を用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。このフィルム特性を表3に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
本発明の離型フィルムはセラミック積層コンデンサー用として、特に厚みが5μm以下の薄膜グリーンシート成形用に用いた場合、離型フィルムをロール状に巻き取ってもブロッキング等の発生がなく、その工業的価値は高い。
Claims (3)
- 離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する請求項1または2記載の離型フィルム。
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