JP4158578B2 - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関のシリンダブロックには、燃焼室の吸気口へと続く吸気ポートが形成され、この吸気ポートを介して燃焼室に空気、または空気と燃料との混合気等(以下、「吸気ガス」として総称する)が充填される。通常、このような吸気ポートは、吸気ポートの中心線(吸気ポートの各断面の重心を通る線)に垂直な断面の面積(以下、「流路断面積」と称す)が、吸気口から上流に向かってほぼ一定であるか、または大きくなるように形成される(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−42390
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、吸気口近傍においては吸気ポート内に吸気バルブのバルブシャフトが延びる。このバルブシャフトは、吸気ポート内の吸気ガスの流れ方向に対して平行には配置されておらず、よってバルブシャフトは吸気ガスの流れの流抵抗となる。このとき、バルブシャフト近傍における吸気ガスの流れが速いと、バルブシャフトの上流側の円周面に沿って流れた吸気ガスがバルブシャフトの下流側において円周面から剥離してしまい、実質的に吸気ポートの流路断面積が小さくなってしまうため、吸気ガスがバルブシャフトによって受ける流抵抗が非常に大きなものとなってしまい、吸気ガスの流速が遅くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、吸気ガスに対するバルブシャフトによる流抵抗が小さい内燃機関の吸気装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明では、内燃機関の燃焼室に通じる吸気ポートを具備し、該吸気ポート内にバルブシャフトが侵入するシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側の基準流路位置からシャフト侵入流路位置に向かって吸気ポートの横幅が徐々に広まり、吸気ポートの縦幅が徐々に狭まり且つ吸気ポートの流路断面積が徐々に大きくなると共に、吸気ポートの横幅がシャフト進入流路位置において最大となり、上記基準流路位置における吸気ポートの流路断面積と、上記シャフト侵入流路位置における吸気ポートの流路断面積であってバルブシャフトの断面積を除いた流路断面積との比率が所定範囲内となっている内燃機関の吸気装置が提供される。
第1の発明によれば、基準流路位置からシャフト侵入流路位置に向かって徐々に流路断面積が大きくなることにより、吸気ポート内を基準流路位置からシャフト侵入流路位置に向かって流れる吸気ガスの流速は徐々に遅くなる。このため、吸気ガスが吸気バルブのバルブシャフトの外周面周りに沿って流れるときには、吸気ガスの流速は比較的遅くなっており、よってバルブシャフトの吸気下流側においては吸気ガスの剥離がほとんど起こらない。
ただし、例えば、吸気ポートの流路断面積を大きくする程度が低い場合、すなわち基準流路位置における吸気ポートの流路断面積(以下、「基準流路断面積」と称す)とシャフト侵入流路位置における吸気ポートの流路断面積(以下、「侵入位置流路断面積」と称す)とがほとんど変わらず、よって侵入位置流路断面積からシャフト侵入流路位置におけるシャフトの断面積を除いた流路断面積が基準流路断面積よりも非常に小さい場合には、バルブシャフトの吸気下流側において吸気ガスの剥離が起こってしまう。また、例えば、吸気ポートの流路断面積を大きくする程度が高い場合、すなわち基準流路断面積に対して侵入位置流路断面積が非常に大きく、シャフト侵入流路位置近傍における吸気ガスの流速が極端に遅くなってしまう場合には、吸気ガスの流速が遅くなり過ぎて吸気ガスの燃焼室への充填効率が低下してしまう。これに対して、第1の発明によれば、基準流路断面積に対する侵入位置流路断面積からシャフトの断面積を除いた流路断面積の比率が所定範囲内となっているため、上述したような内燃機関の吸気性能の悪化が防止される。
ところで、例えば吸気ポートを基準流路位置から縦方向に徐々に広がるように形成した場合、バルブシャフトはこの広がった部分の一部を横断する。すなわち、吸気ポートを広げることによって吸気ガスに曝されるバルブシャフトの面積が増大する。したがって、この場合、上述したように吸気ポートが広がったことによりバルブシャフト周りの剥離が抑えられて吸気ガスの流抵抗が小さくなる反面、吸気ポートの広がった部分の一部を横断するバルブシャフトに吸気ガスが当たることによって吸気ガスの流抵抗が大きくなってしまう。これに対して、第1の発明によれば、吸気ポートは横方向に広がっているため、バルブシャフトはこの広がった部分を横断しない。すなわち、吸気ポートを広げても吸気ガスに晒されるバルブシャフトの面積は増大しない。したがって、吸気ポートを縦方向に広げた場合のように吸気ガスへの流抵抗が大きくなってしまうことはない。さらに、吸気上流側のバルブシャフトの外周面に向かって流れてきた吸気ガスは、バルブシャフトの左右(横方向)を抜けてバルブシャフトの下流へ流れるため、吸気ポートが横方向に広がっていることによりバルブシャフトの左右を抜ける吸気ガスが流れ易くなり、よってバルブシャフトによる流抵抗が小さくなる。
なお、本明細書において、「流路断面」とは吸気ポートの中心線(吸気ポートの各断面の重心を通過する線)に垂直な断面を意味し、「流路断面積」とは流路断面における吸気ポートの断面積を意味する。また、「縦方向」とは、吸気ポートの流路断面において後述する上方ラインと下方ラインとを結ぶ方向を意味する。さらに、吸気ポートの「横方向」とは吸気ポートの流路断面において上記縦方向と垂直な方向を意味し、「流路位置」とは吸気ガスの流れ方向における位置を意味する。
【0007】
第2の発明では、第1の発明において、上記基準流路位置における吸気ポートの流路断面積と、吸気ポートの断面上をバルブシャフトが横断する流路位置における吸気ポートの流路断面積であってバルブシャフトの断面積を除いた流路断面積との比率が所定範囲内となっている。
第2の発明によれば、吸気ポートのシャフト侵入流路位置から吸気口までの部分においても吸気ポートの基準流路断面積と、バルブシャフトの断面積を除いた吸気ポートの流路断面積との比率が所定範囲内にあるので、上述したような基準流路断面積との比率が小さすぎたり大きすぎたりすることによる内燃機関の吸気性能の悪化がより確実に防止される。
【0008】
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記所定範囲は80〜120%である。
【0009】
第4の発明では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、上記吸気ポートの上方ラインは少なくともシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側においてほぼ直線状に延び、該吸気ポートの上方ラインが延びる直線上にバルブシートの吸気バルブとの当接面が位置する。
第4の発明によれば、吸気ポートの上方ラインに沿って流れる吸気ガスは、シャフト侵入流路位置よりも吸気上流側の流路位置からバルブシートの当接面までその流れの方向がほぼ直線的であるので、吸気ポートの上方ラインに沿って流れる吸気ガスが燃焼室に流入するときの流速は、上方ラインに沿って流れる吸気ガス以外の吸気ガスが燃焼室に流入するときの流速よりも速い。このため、燃焼室内では、効果的にタンブル流が生成される。
なお、「上方ライン」とは、吸気ポートのほとんどの流路断面において、ピストンが下死点から上死点へ向かう方向に位置する点を繋げたラインを意味する。
【0010】
第5の発明では、第1〜第4のいずれか一つの発明において、上記吸気ポートの上方ラインの反対側に位置する下方ラインは、少なくともシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側においてほぼ直線状に延びると共に、上記シャフト侵入流路位置の吸気下流側においてバルブシートの吸気バルブとの当接面に向かって所定の曲率で湾曲している湾曲部を有する。
第5の発明によれば、吸気ポートの下方ラインには角部がないため、吸気ガスの下方ラインからの剥離は生じず、このため吸気ガスに対する流抵抗が増大してしまうことが防止され、よって吸気ガスの流速が極端に低下して燃焼室に流入する吸気ガスの流量が減少してしまうことが防止される。
また一般に、燃焼室内に形成されるタンブル流の強さと燃焼室に流入する吸気ガスの流量とは相反する関係にあるが、第5の発明と第4の発明とを組み合わせた場合には、燃焼室に流入する吸気ガスの流量を減少させてしまうことなく、燃焼室内にタンブル流を生成することができる。
なお、「下方ライン」とは、吸気ポートのほとんど流路断面において、ピストンが上死点から下死点へ向かう方向に位置する点を繋げたラインを意味する。
【0011】
第6の発明では、第5の発明において、上記吸気ポートの下方ラインが湾曲し始める湾曲開始流路位置から吸気下流に向かって吸気ポートの横幅が狭まる。
第6の発明によれば、シャフト侵入流路位置における吸気ポートの横幅は吸気口の直径よりも大きく、よってシャフト侵入流路位置から吸気下流に向かって徐々に狭まるが、このように吸気ポートの横幅が狭まるのに伴って吸気ポートの下方ラインが上方ラインから離れる方向へ湾曲するため、シャフト侵入流路位置から吸気口までの間における吸気ポートの流路断面積の変化は小さい。このため、この間における吸気ポートを通過する吸気ガスの流速が極端に速くなったり遅くなったりすることで、内燃機関の吸気性能が悪化してしまうことが防止される。
第7の発明では、第1〜第6の発明において、吸気ポートの縦幅はシャフト進入流路位置から吸気下流側に向かって徐々に広まる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は内燃機関のシリンダヘッドを概略的に示した図である。なお、図1では直列四気筒の内燃機関を示しているが、4気筒でなく6気筒や8気筒等、他の気筒数の内燃機関でもよく、また直列型内燃機関でなくV型内燃機関等、別のタイプの内燃機関であってもよい。さらに、各気筒毎に二つの吸気口および二つの排気口が設けられているが、これら吸気口および排気口の他の数であってもよい。
【0013】
図1において、1は内燃機関のシリンダブロックであり、このシリンダブロック1には各気筒毎に燃焼室の一部となる空間(以下、「燃焼室」と称す)2が設けられている。各燃焼室2には、互いに独立した二つの吸気口3、4を介して吸気ポート5、6が連通しており、また、互いに独立した二つの排気口7、8を介して排気ポート9、10が連通している。各燃焼室2の頂部には点火プラグ(図示せず)を配置するためのプラグ孔11が設けられている。各吸気ポート5、6には吸気マニホルド12を介してサージタンク13が連結されており、サージタンク13の吸気上流にはスロットル弁14が設けられている。一方、排気ポート9、10には排気マニホルド15が連結されている。
【0014】
次に、図2〜図4を参照して、本発明の吸気装置における吸気ポート5の構造について詳細に説明する。なお、図2は吸気口3近傍における吸気ポート5の縦断面図を示しており、図3は図2のラインIII−IIIに沿った吸気ポート5の断面図を示しており、図4は図2および図3のラインIV−IVおよびラインV−Vに沿った吸気ポート5の断面図を示している。また、以下では一方の吸気ポート5の構成について説明するが、他方の吸気ポート6も同様に構成される。
【0015】
図2に示した吸気ポート5はシリンダヘッド21の側面(図示せず)と吸気口3との間で延びており、吸気バルブ(図2に破線で示した)16が開いているときに、吸気マニホルド12から燃焼室2に流入する空気、または空気と燃料との混合気等(以下、「吸気ガス」として総称する)が流れる流路を形成する。吸気ポート5は、吸気ポート5の中心線(吸気ポートの各断面の重心を通過する線)Cが吸気口3から離れた領域において吸気口3が位置する平面に対して所定の角度で延びるように形成される。吸気バルブ16はバルブシャフト17を有し、このバルブシャフト17は吸気ポート5の上方壁面から吸気ポート5内に侵入する。吸気口3近傍には、吸気バルブ16が閉弁されたときに吸気バルブ16と当接するバルブシート18が設けられている。
【0016】
吸気バルブ16のバルブシャフト17が吸気ポート5内に侵入する流路位置(吸気ガスの流れ方向における位置)、より詳細にはバルブシャフト17の軸線と吸気ポートの周壁面とが交差する流路位置をシャフト侵入流路位置P2とし、このシャフト侵入流路位置P2よりも吸気上流側の所定の位置を基準流路位置P1とすると、吸気ポート5は、その横幅dが基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2に向かって徐々に大きくなるように形成される(図3参照)。一方、吸気ポート5の縦幅lは、基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2に向かって徐々に小さくなる。したがって、図4(B)に示したシャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の横幅d2は図4(A)に示した基準流路位置における吸気ポート5横幅d1よりも大きく、一方、図4(B)に示したシャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の縦幅l2は図4(A)に示した基準流路位置P1における吸気ポート5の縦幅l1よりも小さい。本実施形態では、基準流路位置P1における吸気ポート5の断面形状は直径がd1(すなわちl1)のほぼ円形であり、一方、シャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の断面形状は長軸がd2で短軸がl2である楕円形である。なお、図2〜図4から分かるように、「縦幅l」とは、吸気ポートの流路断面において後述する上方ライン19と下方ライン20とを結ぶ方向(以下、「縦方向」と称す)における吸気ポートの幅を意味し、「縦幅d」とは、吸気ポートの流路断面において上記縦方向と垂直な方向(以下、「横方向」と称す)における吸気ポートの幅を意味する。
【0017】
ただし、吸気ポート5の横幅dが広がる程度は吸気ポート5の縦幅lが狭まる程度よりも大きく、よって吸気ポート5の中心線Cに対して垂直な断面(以下、「流路断面」と称す)の断面積(以下、「流路断面積」と称す)は基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2に向かって徐々に大きくなる。より詳細には、吸気ポート5の横幅dおよび縦幅lは、基準流路位置P1における吸気ポート5の流路断面積A1に対する、シャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の流路断面積A2からこの位置におけるシャフトの断面積を除いた断面積(以下、「実質流路断面積」と称す)の比率が、80%〜120%となるように形成される。
【0018】
吸気ポート5の横幅dは、シャフト侵入流路位置P2において最も大きくなり、その吸気下流側において吸気口3に向かって一旦小さくなる。一方、吸気ポート5の縦幅lは、シャフト侵入流路位置P2から吸気口3に向かって徐々に大きくなる。
【0019】
次に、図5を参照して、本発明の第一実施形態の吸気ポート5における吸気ガスの流れについて説明する。図5は図2のラインVI−VIに沿った吸気ポート5の断面図を示しており、図中の矢印は吸気ガスの流れを示している。図5(A)は本発明の吸気ポート5における吸気ガスの流れを示しており、図5(B)は従来の横幅が広がらない吸気ポートにおける吸気ガスの流れを示している。
【0020】
図5(B)に示したように吸気ポートをその基準流路位置からシャフト侵入流路位置までに亘って流路断面積がほぼ一定になるように形成すると、シャフト侵入流路位置またはその吸気下流における実質流路断面積は、基準流路位置における流路断面積(以下、「基準流路断面積」と称す)よりもバルブシャフトの断面積分だけ小さくなる。このようにバルブシャフトの吸気ポートへの侵入によって流路断面積が小さくなると、吸気ガスはバルブシャフト近傍を流れるときにその流速が速くなる。そして流速が速くなることにより吸気下流側のバルブシャフトの外周面において吸気ガスの剥離が起こり(図5(B)の地点X)、これによりバルブシャフトの吸気下流においては実質上流路断面積が小さくなるため、吸気ガスに対する流抵抗が大きくなり、よって燃焼室に流入する吸気ガスの流量が少なくなってしまっていた。
【0021】
これに対して、図5(A)に示したように本発明の吸気ポート5では、吸気ポート5の流路断面積Aが基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2まで徐々に大きくなるため、シャフト侵入流路位置P2またはその吸気下流における実質流路断面積は、基準流路断面積A1からバルブシャフトの断面積を減じた断面積よりも大きい。したがって、本発明の吸気ポート5では、吸気ガスはバルブシャフト17近傍を流れるときにもその流速は比較的遅いままである。このため、吸気下流側のバルブシャフト17の外周面においても吸気ガスの剥離は起こりにくくなるので、上述したような吸気ガスの剥離による流れの悪化はほとんど生じない。このように、本発明の吸気ポート5では、吸気ポート5の流路断面積Aを基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2まで徐々に大きくすることによって、バルブシャフトによって生じる吸気ガスに対する流抵抗を低減し、燃焼室2に流入する吸気ガスの流量の減少を防止することができる。
【0022】
また、図5(A)に示したように、バルブシャフト17に当たるように流れる吸気ガスは、バルブシャフト17の吸気上流側の外周面から吸気下流側の外周面へ、バルブシャフト17の外周面に沿って流れる。このため、吸気ガスは、バルブシャフト17近傍において、全体的に横方向にふくらむようにして流れる。ここで、本発明の吸気ポート5では、バルブシャフト17近傍において吸気ポート5の横幅dが最も広いので、吸気ガスが横方向に広がっても吸気ガスに対する流抵抗はほとんど増大せず、よって燃焼室2に流入する吸気ガスの流量が減少してしまうことが防止される。
【0023】
なお、上記実施形態においては、縦幅lが基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2まで徐々に小さくなっているが、基準流路断面積A1に対するシャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の実質流路断面積の比率が80%〜120%となっていれば、縦幅lは、基準流路位置P1からシャフト侵入流路位置P2までほぼ同一であってもよいし、徐々に大きくなっていてもよい。
【0024】
また、上記実施形態においては、吸気ポート5の基準流路断面積A1に対するシャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の実質流路断面積の比率が80%〜120%となっているが、この比率の上限値および下限値は別の値であってもよい。例えば、上限値は、シャフト侵入流路位置P2における吸気ガスの流速が必要以上に遅くなり、その結果、燃焼室2に流入する吸気ガスの流量が少なくなってしまうことがなければ、あるいはシャフト侵入流路位置P2近傍において吸気ポート5の横幅dを広げることによって燃焼室2に流入する流量が増大すれば、120%でなくてもよい。したがって、例えば、上限値は110%であってもよいし、130%であってもよい。
【0025】
一方、例えば、下限値は、シャフト侵入流路位置P2における吸気ポート5の(バルブシャフトの断面積を除かない)流路断面積A2が、基準流路断面積A1よりも大きくなるような値であれば、80%でなくてもよい。したがって、下限値はバルブシャフト17の太さに応じて変わり、例えばシャフト侵入流路位置P2におけるバルブシャフト17の断面積が基準流路断面積A1の10%であれば、シャフト侵入流路位置P2における実質流路断面積の下限値は90%よりも大きければよい。特に、本発明においては、下限値は、シャフト侵入流路位置P2における流路断面積A2が基準流路断面積A1よりも大きくなるような値であって、且つ吸気ガスの流速がバルブシャフト17の近傍で速くなることによる吸気下流側のバルブシャフト17の外周面からの吸気ガスの剥離を抑制することができるような値であるのが好ましい。
【0026】
さらに、上記実施形態において、基準流路断面積A1に対する、シャフト侵入流路位置P2における吸気ポートの実質流路断面積の比率を所定範囲(上記実施形態では、80%〜120%)としたが、基準流路断面積A1に対する、シャフト侵入流路位置P2から吸気口3まで(すなわち吸気ポート5の流路断面上をバルブシャフト17が横断する流路位置)における吸気ポート5の実質流路断面積の比率を所定範囲としてもよい。この場合、シャフト侵入流路位置P2から吸気口3までにおけるほとんどの流路位置において(バルブシャフト17の断面積を除かない)吸気ポート5の流路断面積が基準流路断面積A1よりも大きければ、吸気口3における(バルブシャフト17の断面積を除かない)吸気ポート5の流路断面積が、基準流路断面積A1よりも小さくなっていてもよい。
【0027】
ところで、本発明の吸気ポート5は、吸気ポート5のほとんどの流路断面においてピストンが下死点から上死点へ向かう方向に位置する点を繋げたラインである上方ライン19と、吸気ポート5の流路断面において上方ラインと対面する下方ライン20とを具備する。図2に示したように、吸気ポート5の上方ライン19は吸気ポート5の吸気上流から吸気下流に向かってほぼ直線状に延び、その直線上に吸気口3の外周縁、すなわちバルブシート18の吸気バルブ16との当接面が配置される(図2参照)。また、吸気ポート5の上方ライン19に近接して吸気ポート5の吸気上流から吸気下流に向かって延びるラインもほぼ直線状に延びるのが好ましく、その直線上またはその直線上から僅かに離れた位置にバルブシート18の吸気バルブ16との当接面が配置されるのが好ましい。
【0028】
一方、吸気ポートの下方ライン20は、シャフト侵入流路位置P2の吸気上流側においてほぼ直線状に延び、シャフト侵入流路位置P2の吸気下流側において所定の曲率Rで上方ライン19から離れる方向に湾曲し、なめらかに吸気口3の外周縁、すなわちバルブシート18の吸気バルブ16との当接面へと続く。同様に、下方ライン19に近接して吸気ポート5の吸気上流から吸気下流へと延びるラインも、シャフト侵入流路位置P2の吸気上流側においてほぼ直線的に延び、シャフト侵入流路位置P2の吸気下流側において急激な角度変化(すなわち角部)のないように下方ライン20の曲率Rに合わせて湾曲し、バルブシート18の当接面へと続く。
【0029】
このような形状で形成された吸気ポート5から燃焼室2への吸気ガスの流れについて図6を参照して説明する。なお、図6(A)は本発明の吸気ポートにおける吸気ガスの流れを示しており、図6(B)は従来の吸気ポートにおける吸気ガスの流れを示している。
【0030】
図6(B)に示したように、従来の吸気ポートでは、上方ラインに沿って流れる吸気ガスは、吸気口近傍の上方ラインの湾曲Yにより燃焼室内でタンブル流を形成するが、この湾曲Yに沿って吸気ガスの流れの方向が変更されるため、吸気ガスの流速が低下してしまっていた。一方、下方ラインに沿って流れる吸気ガスは、吸気口近傍に設けられた下方ラインの角部Zにおいて剥離し、下方ラインに沿わずに燃焼室に流れ込み、これにより燃焼室内においてより強いタンブル流が生成されていた。しかしながら、吸気ガスの剥離が生じることにより、吸気ガスに対する流抵抗が増大し、このことによっても吸気ガスの流速が低下してしまっていた。
【0031】
これに対して、図6(A)に示したように、本発明の吸気ポート5では、上方ライン19が湾曲せずにほぼ直線状に延びているので、図6(B)の吸気ポートのように湾曲Xによって吸気ガスの流速が低下してしまうことが防止される。さらに、下方ライン20も滑らかで角部Zが存在しないので、図6(B)の吸気ポートのように剥離によって吸気ガスの流速が低下してしまうことが防止される。さらに、上方ライン19に沿って流れる吸気ガスの流速は、それ以外の部分を通って流れる吸気ガスの流速に比べて速いため、燃焼室2内では強いタンブル流が生成される。
【0032】
ところで、一般に燃焼室に流入する吸気ガスの流量係数(単位面積当たりを流れる吸気ガスの流量)と、燃焼室内に形成されるタンブル流のタンブル比(クランク一回転当たりにおける気流の回転数)とは、図7の実線に示したような関係にある。すなわち、一般的に、吸気ポートの形状をタンブル比が大きくなるような形状にすると、流量係数が低下してしまい、吸気ポートの形状を流量係数が大きくなるような形状にすると、タンブル比が小さくなってしまう。これに対して、図7に点aで示したように、上方ライン19を直線状にし且つ吸気口3近傍の下方ライン20を所定の曲率Rの湾曲状にすると、タンブル比を一定としたまま、流量係数を増大させることができ、さらに図7に点bで示したように、シャフト侵入流路位置P2近傍において吸気ポート5の横幅dを広げたことによって、タンブル比を一定としたままさらに流量係数を増大させることができる。
【0033】
このように、流量係数とタンブル比とが共に高い値になることによって、燃焼効率が向上するので内燃機関の燃費が向上すると共に、内燃機関のトルクおよび出力も向上する。
【0034】
なお、上記実施形態では、下方ライン20はシャフト侵入流路位置P2から湾曲を開始しているが、この下方ライン20の湾曲開始位置はシャフト侵入流路位置P2よりも上流側であっても下流側であってもよい。特に、下方ライン20の湾曲開始位置は、吸気ポート5の横幅dが狭まり始める流路位置とほぼ同一の流路位置であるのが好ましく、こうすることにより吸気ポート5の横幅dが狭まることによる吸気ポート5の流路断面積の変化を小さく抑えることができる。
【0035】
次に、図8を参照して本発明の吸気装置の第二実施形態について説明する。図8は図4と同様な図である。第二実施形態の吸気ポート25は基本的に第一実施形態の吸気ポート5と同様であるが、その断面形状が異なる。図8から分かるように、第二実施形態の吸気ポート25の断面形状は、図4に示した第一実施形態の吸気ポート5の断面形状とは異なり、角部が湾曲した矩形である。図8から分かるように、第二実施形態の吸気ポート25においても、シャフト侵入流路位置P2における横幅d2は基準流路位置P1における吸気ポート25の横幅d1よりも大きく、一方、シャフト侵入流路位置P2における縦幅l2は基準流路位置P1における吸気ポート25の縦幅l1よりも小さい。なお、本実施形態における上方ライン19は、流路断面において中央線の真上に延びるラインであり、下方ライン20は、流路断面において中央線の真下に延びるラインである。
【0036】
なお、吸気ポートの断面形状は第一実施形態および第二実施形態の吸気ポートの断面形状のみならず、従来から用いられている他の断面形状であってもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、吸気バルブのバルブシャフトの吸気下流において、バルブシャフトの外周面からの吸気ガスの剥離がほとんど起こらないので、吸気ガスは吸気ガスの剥離によって生じる流抵抗を受けず、よって吸気ガスに対するバルブシャフトによる流抵抗が小さい。
【0038】
第4〜第6の発明によれば、燃焼室内にタンブル流を生成しつつ燃焼室内に流入する吸気ガスの流速を上げることができるので、燃焼室内に生じるタンブル流のタンブル比を低下させることなく、吸気ポートから燃焼室内に流入する吸気ガスの流量係数を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関のシリンダヘッドを示す概略図である。
【図2】吸気ポートの縦断面図である。
【図3】図2のラインIII−IIIに沿った断面図である。
【図4】図2のラインIV−IVおよびラインV−Vに沿った断面図である。
【図5】バルブシャフト周りにおける吸気ガスの流れを示す図である。
【図6】吸気ポートから燃焼室内への吸気ガスの流れを示す図である。
【図7】タンブル比と流量係数との関係を示す図である。
【図8】第二実施形態の吸気ポートを示す図4と同様の図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック
2…燃焼室
3、4…吸気口
5、6…吸気ポート
7、8…排気口
9、10…排気ポート
16…吸気バルブ
17…バルブシャフト
18…バルブシート
19…上方ライン
20…下方ライン
Claims (7)
- 内燃機関の燃焼室に通じる吸気ポートを具備し、該吸気ポート内にバルブシャフトが侵入するシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側の基準流路位置からシャフト侵入流路位置に向かって吸気ポートの横幅が徐々に広まり、吸気ポートの縦幅が徐々に狭まり且つ吸気ポートの流路断面積が徐々に大きくなると共に、吸気ポートの横幅がシャフト進入流路位置において最大となり、
上記基準流路位置における吸気ポートの流路断面積と、上記シャフト侵入流路位置における吸気ポートの流路断面積であってバルブシャフトの断面積を除いた流路断面積との比率が所定範囲内となっている内燃機関の吸気装置。 - 上記基準流路位置における吸気ポートの流路断面積と、吸気ポートの断面上をバルブシャフトが横断する流路位置における吸気ポートの流路断面積であってバルブシャフトの断面積を除いた流路断面積との比率が上記所定範囲内となっている請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
- 上記所定範囲は80%〜120%である請求項1または2に記載の内燃機関の吸気装置。
- 上記吸気ポートの上方ラインは少なくともシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側においてほぼ直線状に延び、該吸気ポートの上方ラインが延びる直線上にバルブシートの吸気バルブとの当接面が位置する請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
- 上記吸気ポートの上方ラインの反対側に位置する下方ラインは、少なくともシャフト侵入流路位置よりも吸気上流側においてほぼ直線状に延びると共に、上記シャフト侵入流路位置の吸気下流側においてバルブシートの吸気バルブとの当接面に向かって所定の曲率で湾曲している湾曲部を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
- 上記吸気ポートの下方ラインが湾曲し始める湾曲開始流路位置から吸気下流に向かって吸気ポートの横幅が狭まる請求項5に記載の内燃機関の吸気装置。
- 吸気ポートの縦幅はシャフト進入流路位置から吸気下流側に向かって徐々に広まる請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
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