JP4155701B2 - 屈曲耐水性に優れた高強度膜体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスポーツ施設、イベント会場、恒久膜構造建築物などに有用な、屈曲耐水性に優れた高強度膜体に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、高強度で且つ優れた屈曲性と高い耐水性を必要とするテント等の用途に好適な屈曲耐水性に優れた高強度膜体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来テント地などの膜体として、ポリエステルマルチフィラメント糸又はポリエステルスパン糸からなる平織り又はマット織などからなる基布の少なくとも1面上に軟質塩化ビニルなどの樹脂を被覆した積層膜体が多く用いられていた。これらの膜体は下記の特徴を有している。
【0003】
まず基布構成用糸条としてポリエステルマルチフィラメント糸を使用した膜体については、その高い機械的強度により大まかに150キロクラス、200キロクラス、250キロクラス、300キロクラス、などのクラス分けがなされている。これら、ポリエステルマルチフィラメント糸を使用した膜体は、高い機械的強度が得られることを一つの特徴としている。しかし、曲げ伸ばしの変形を繰り返し与えられた際には、基布と被覆樹脂層の間に剥離が生じ、やがて樹脂皮膜が損傷を受け耐水性の低下を生ずるなどの不都合を来した。
これに対して、ポリエステルスパン糸をベースにした織物基布に樹脂被覆を施した膜体が知られている。この場合は、スパン糸の特徴である多数の毛羽が被覆樹脂に対して絡み効果を発揮し、屈曲変形を受けても樹脂層と基布層との間の剥離などの異常が発生しにくいという特徴がある。しかし、ポリエステルスパン糸をベースにした基布を用いると、その目付量に対して発揮される機械的強度がポリエステルマルチフィラメント糸にくらべて低く、このため高強度が要求される分野における実用化は進展していない。
【0004】
また、テント地などの膜体には軟質塩化ビニル樹脂が多く用いられているが、その多くにはカレンダーフィルムを基布上に加熱積層するフィルムラミネート加工が適用されている。この加工方法においては、樹脂としてストレート塩化ビニル樹脂を用いて、熱ロール延伸によりフィルムが作製され、それを基布に貼り合わせるという基本工程で加工が行われているが、被覆している樹脂層に方向性が発生しやすく、屈曲変形を与えられた場合、比較的亀裂が発生しやすいという問題点がある。
そこで塩化ビニル樹脂の重合度を高め、屈曲耐久性を高める手段なども採用されているが、この場合にはより高温の加工条件が必要になり、基布等にかかる熱的ストレスが大きく、基布の過剰な熱収縮を招くなどの不都合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高強度で且つ屈曲耐水性に優れた膜体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の屈曲耐水性に優れた高強度膜体は、基布と、この基布の少なくとも1面上を被覆している軟質塩化ビニル系樹脂組成物とを有し、前記基布がポリエステルマルチフィラメント糸にポリエステルステープルファイバーを絡ませた複合糸を2本以上撚り合わせて得られた複合撚糸を用いて形成された織布からなり、かつ前記軟質塩化ビニル樹脂組成物層が、軟質塩化ビニルペーストゾルを前記基布の少なくとも1面に含浸又は塗布し、固化することにより形成されたものであること、を特徴とするものである。
本発明の屈曲耐水性に優れた高強度膜体において、前記基布を構成するポリエステルマルチフィラメント糸/ポリエステルステープルファイバーの重量比率が、97/3〜50/50の範囲内にあることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の膜体に使用されるポリエステルマルチフィラメント糸は、単繊維強度が49.03×10-3〜107.87×10-3N/1.1dtex(5〜11g/デニール)のものが使用される。一般的には68.65×10-3〜88.26×10-3N/1.1dtex(7〜9g/デニール)が使いやすい。
またマルチフィラメントのフィラメントカウントは555.6dtex/80本〜555.6dtex/350本(500デニール/80本〜500デニール/350本)前後が使いやすい。
【0008】
マルチフィラメントは、太さ55.6〜1666.7dtex(50〜1500デニール)の範囲で使用される。しかし、これは要求される強度によって決まるもので、任意に選択できる。
本発明で使用されるポリエステルステープルファイバーには織度が0.56〜7.78dtex(0.5〜7デニール)、好ましくは1.11〜5.56dtex(1〜5デニール)、ステープル長さが15mm〜200mmのものが使用できる。これらの中でもステープル長さが70から120mmの長さのものがマルチフィラメントとの絡みがよく、又、発生する毛羽の長さも得られる膜体の外観を悪化することの無いものになる。
【0009】
ポリエステルマルチフィラメント糸とポリエステルステープルファイバーの複合重量比率は97/3〜50/50の範囲内にあることが好ましく、その中でも70/30〜60/40の比率がより好ましい。複合糸中のポリエステルステープルファイバーの重量比率が50%以上になると製織時に浮遊毛羽の発生が多くなり、製織時に、筬への毛羽の絡み付きや毛羽が削ぎ落とされるといったトラブルが発生して、織欠点の多い基布となってしまうことがある。又逆にポリエステルステープルファイバーの重量比率が3%より少ないと、ステープルファイバーにより形成される複合糸中の毛羽による樹脂との絡み効果が不十分になり、屈曲耐水性の向上が不十分になることがある。
【0010】
本発明の基布用織布の製造に用いられる複合糸は、ポリエステルステープルファイバーをポリエステルマルチフィラメント糸に絡ませるように適宜の方法で製造することができる。例えば、マルチフィラメント糸のフィラメント間隔を拡げ(開繊)、その間にステープルファイバーを挟み込んでマルチフィラメントを結束させてもよい。この場合、ステープルファイバーを挾持しているフィラメント束によりをかけることによりステープルファイバーの挾持を強固にすることができる。また、別の絡合方法として、ステープルファイバーのスライバーを、マルチフィラメント糸のまわりに巻きつけてもよいし、これにさらによりをかけてもよいし、或は、マルチフィラメント糸を開繊し、それにステープルファイバーのスライバーを引き揃えて結束し、これによりをかけてもよい。
【0011】
この様にして作られた複合糸は、これを2本以上を撚りあわせて得られた、複合撚糸とされ、この複合撚糸を、基布用織布の形成に用いるとより良好な屈曲耐水性を有する膜体が得られる。この効果は、前記複合糸を2本以上撚りあわせることにより、複合撚糸表面に伸び出ている毛羽の分布がより均一になること;マルチフィラメント糸に絡み付けたポリエステルステープルファイバーが脱落し難くなること;撚りを入れた糸により織られた基布に微小な凹凸が発生し、基布と樹脂との間の接触面積が増大すること;及び膜体が屈曲変形を受けたとき基布と樹脂の界面に発生する応力が分散し、剥離等が発生し難くなること、などによるものと考える。
【0012】
この様にして得られた複合撚糸を平織り又はマット織りなどの織り組織に製織して、膜体の基布を作製する。基布の目付け量は、膜体に対する要求強度に応じて適宜に選択できるが、ポリエステル高強度膜体用基布としては、250g/m2 以上の領域内にあることが一般的である。また、膜体の性格に応じて、縦糸と横糸の糸本数の比率は45/55〜55/45の範囲内に設定すると、大面積について施される2次加工の時及び展張時に、膜体の扱いが容易になり、かつ安定する。
【0013】
本発明の膜体において、上記の基布の少なくとも1面上に塩化ビニル系樹脂組成物のペーストゾルを含浸又は塗布し、これを固化することを特徴とする。
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体などが用いられ、これらを単独あるいは二種類以上を混合して用いることができる。本発明に用いられる軟質塩化ビニル系樹脂組成物には、可塑剤、安定剤、充填剤、紫外線吸収剤、防黴剤、及び防炎性付与剤その他の1種以上を配合したものを使用することができる。
【0014】
本発明に使用できる可塑剤として、フタル酸エステル系可塑剤ではジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、などである。またポリエステル可塑剤としてアジピン酸と2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、などのグリコール類をエステル化したものなどを用いることができる。さらに、トリメリット酸系可塑剤としては、トリ2−エチルヘキシルトリメリレート、トリイソデシルトリメリレートなどを用いることができる。その他の可塑剤として、2−エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリット酸系可塑剤ビフェニルテトラカルボン酸エステル系可塑剤などを使用することができる。これらの可塑剤は塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、30〜120重量部の配合量で使用されることが好ましい。
【0015】
軟質塩化ビニル系樹脂組成物用安定剤としては、カルシウム・亜鉛系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、鉛系、有機錫ラウレート、有機錫メルカプタイト、エポキシ系、などの安定剤を単独あるいは混合して用いることができる。安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100部に対して0.5〜10部であることが好ましい。
【0016】
軟質塩化ビニル系樹脂組成物用紫外線吸収剤としては、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、サリチル酸系、ハイドロキノン系などの紫外線吸収剤が使用できる。これらの中から2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートを単独あるいは混合したものを使用するのが、特に好ましく、たとえば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールと2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートを選んで、それぞれ0.5〜1重量部の配合量で使用すると、軟質塩化ビニル系樹脂の劣化及び着色を防止するのに有効である。
【0017】
軟質塩化ビニル系樹脂組成物用充填剤としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの1種以上を塩化ビニル系樹脂100部に対して50部までの配合量で使用することが好ましい。しかし、充填剤の添加量はできる限り少なく抑えたほうが得られる膜体の屈曲耐水性の保持には有利である。
【0018】
本発明の膜体は防炎性を具備していることが好ましいが、本発明の膜体の軟質塩化ビニル系樹脂に配合される防炎性付与剤としては、三酸化アンチモンを代表とする無機防炎性付与剤、ブロム系防炎剤、リン酸エステル系防炎剤、含ハロゲンリン酸エステル、及び塩素化パラフィンなどが使用できる。
三酸化アンチモンなどの無機防炎性付与剤は、塩化ビニル樹脂100部に対して50部までの配合量で使用されることが好ましい。添加部数が50部を越えると得られる樹脂組成物の耐屈曲性が低下し、屈曲により基布との剥離を生じたり、樹脂層に亀裂が発生することがあり、それによって膜体の屈曲耐水性を低下させることがある。従って、充填剤の場合と同様に、無機防炎性付与剤の添加量は出来る限り少ない方がよい。
【0019】
ブロム系防炎剤としてはデカブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモメチルベンゼン、ヘキサブロモベンゼンなどが使用できる。
リン酸エステル系防炎剤としてはトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等が使用できる。
また、上記の防炎剤は単独或いは2種以上を複合して使用できる。
【0020】
ペーストゾル中には、それから形成される軟質塩化ビニル樹脂組成物層と基布との接着性を高める目的で、接着剤を配合することができる。この目的に用いられる接着剤としては、イソシアネート基含有化合物とポリオールを配合したもの、及び、多官能イソシアネート系化合物などが用いられる。
【0021】
塩化ビニル系樹脂組成物層の形成は、塩化ビニル系樹脂組成物のペーストゾル状物を、ディッピング、ナイフコーティング、キャスティング、スクリーンコーティング、又はグラビアコーティングなどの方法で、その所定量を基布の片面又は両面上に含浸又は塗布し、固化する。ペーストゾルの付着量は1回の操作で所望量を付着させてもよいが、2回以上の複数回に分けて付着してもよい。その際、基布に近い層と更にその外側の層との間に配合組成の差、又は配合量の差を設けても差し支えない。
【0022】
本発明の膜材が恒久膜材として使用される場合、被覆樹脂層の付着量は400g/m2 以上であることが好ましく、450〜600g/m2 であることがより好ましい。
ペーストゾルを含浸又は塗布した後、このペーストゾル層に所定の温度条件下で熱処理を施してこれを固化する。又、必要により、軟質塩化ビニル樹脂組成物層の表面にエンボス加工を施してもよく、更に汚れ防止を目的とした表面処理加工を施してもよい。
【0023】
【実施例】
本発明を、下記実施例によりさらに説明する。
【0024】
試験方法の説明
1.膜体の質量測定
JIS−L−1096法によって行った。
2.膜体の基布目付量測定
膜体の質量測定に用いた試料の樹脂をTHFによって溶解除去し、これを100℃で1時間乾燥した後、その質量を測定した。
3.膜体の引張り強さ
JIS−L−1096 ストリップ法により膜体のタテ糸方向及びヨコ糸方向の引張強さを測定した。
タテ糸方向とヨコ糸方向の引張強さ測定値の平均値をもって、当該膜体の引張強さを表示した。
4.膜体の引張り強さ/基布目付量
膜体の引張強さを基布目付量で割った値。
値が大きい方が少ない基布目付量で高強度が得られるということになる。
【0025】
5.屈曲試験
(株)安田精機製作所製の『Y.S.S.式繰り返し永久疲労試験機』に、図1に示した形状の長さ5cm×幅4cmにカットした膜体試料1を、その幅方向に直角に2つ折りにして装着し、その折り目2により図1に示した形状(A)及び(B)の間を往復するように屈曲させた。
屈曲回数は50000回とした。試験環境温度は20℃又は0℃とした。
ルーペを用いて外観の異常の有無を観察し、下記の基準に従って評価し表示した。
◎:異常なし、○:基布/樹脂間に微少な剥離が認められた、△:樹脂層に亀裂が認められた、×:樹脂層の剥離と亀裂とが認められた。
6.耐水圧試験
屈曲試験を施した後の試料について、JIS−L−1092 静水圧法による耐水圧を測定した。
【0026】
実施例1
277.8dtex(250デニール)/48本のポリエステルマルチフィラメント糸に繊度:1.56dtex(1.4デニール)、ステープル長さ:100mmのポリエステルステープルファイバーを、重量比が65/35になるように絡ませて複合糸を作製した。この糸のより数は6t/25.4mmであった。
この複合糸2本を220t/mのより数で撚り合わせた複合撚糸をタテ糸40本/25.4mm、ヨコ糸40本/25.4mmとなるようにスルーザー織機にて製織した。得られた基布用織布は305g/m2 の目付量を有していた。
【0027】
この基布に樹脂コーティング用前処理として、180℃で2分間のヒートセットを施し、次にフッ素系撥水剤の3%浴に浸漬し、ピックアップ率が40%となるようにゴムマングルで絞り、更に180℃で2分間の乾燥を施した。
この前処理ずみ基布に、表1に示す配合組成の塩化ビニル樹脂ペーストゾルを、ディッピング法で含浸付着させ、185℃で2分間熱処理した。得られた膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0028】
実施例2
実施例1で作製した複合撚糸を用いて、タテ糸43本/25.4mm、ヨコ糸42本/25.4mmとなるように製織して基布用織布を作製した。この基布は325g/m2 の目付量を有していた。この基布に実施例1と同じ前処理と同じ組成及び条件(表1)の塩化ビニル樹脂ペーストゾル加工を施した。試験結果を表3に示す。
【0030】
実施例4
実施例1で作製したものと同一の複合糸3本をより数150t/mで撚り合わせた複合撚糸を、タテ糸33本/25.4mm、ヨコ糸32本/25.4mmの組織で製織した。得られた織布からなる基布の目付量は340g/m2 であった。この基布に実施例1と同じ前処理を施し、同じ組成及び条件の塩化ビニルペーストゾル加工を施した。試験結果を表3に示す。
【0031】
実施例5
166.7dtex(150d)のポリエステルマルチフィラメント糸に、繊度:1.33dtex(1.2デニール)、ステープル長さ:80mmのポリエステルステープルファイバーを重量比が70/30となるように絡ませて複合糸を作製した。
この複合糸3本を、より数180t/mで撚り合わせた複合撚糸を、タテ糸、ヨコ糸、ともに2本ずつのマット織り組織でタテ糸48本/25.4mm、ヨコ糸50本/25.4mmになるようにスルーザー織機で製織した。得られた織布は360g/m2 の目付量を有していた。試験結果を表3に示す。
この織布からなる基布に樹脂コーティングの前処理として、195℃で2分間ヒートセットを施した後、さらにフッ素系撥水剤の5%浴に浸漬し、ピックアップ率が45%となるようにゴムマングルで絞り、更に180℃で2分間の乾燥を施した。
前記前処理された基布に表1に示す組成の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピング法で含浸付着させ、185℃で2分間の熱処理を施した。得られた膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0032】
実施例6
実施例5で作製したものと同一の複合糸4本を、より数150t/mで撚り合わせした複合撚糸を、タテ糸、ヨコ糸ともに2本ずつのマット織り組織で、織り組織が、タテ糸8本/25.4mm、ヨコ糸39本/25.4mmになるように製織した。この織布からなる基布は、370g/m2 の目付量を有していた。この基布に、実施例5と同じ前処理を施し、次に実施例1で用いたものと同じ組成の塩化ビニルペーストゾルのディッピング加工を施した。試験結果を表3に示す。
【0033】
比較例1
実施例1で使用されたものと同じ基布に、ウレタン系接着剤をグラビアコーターを用いて接着剤の付着量が50g/m2 になるように塗布した。これに表2に示す配合のカレンダーフィルム(厚さ:0.18mm)を180℃の熱ロールを用いて、前記基布の両面に熱ラミネートした。得られた膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0034】
比較例2
555.6dtex(500デニール)のポリエステルマルチフィラメント糸を、タテ糸40本/25.4mm、ヨコ糸41本/25.4mmの組織に製織した。得られた織布からなる基布の目付量は180g/m2 であった。この基布に実施例1〜4で用いられたものと同一の前処理を施し、表1に示す組成の塩化ビニルペーストゾルをディッピング法で付着させ、185℃で2分間の熱処理を施した。この膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0035】
比較例3
590.6dtex(10番手)のポリエステルスパン糸2本をより数150t/mで撚り合わせたより糸をタテ糸38本/25.4mm、ヨコ糸35本/25.4mmの組織に製織した。得られた織布からなる基布の目付量は370g/m2 であった。
この基布に実施例1と同一の前処理を施し、さらに表1に示す組成の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピング法で含浸付着させ、185℃で2分間の熱処理を施した。この膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0036】
比較例4
295.3dtex(20番手)のポリエステルスパン糸3本をより数150t/mで撚り合わせたより糸を、タテ糸43本/25.4mm、ヨコ糸41本/25.4mmの組織に製織した。得られた織布からなる基布の目付量は310g/m2 であった。
この基布に実施例1と同一の前処理を施し、さらに表1に示す組成の塩化ビニル樹脂ペーストゾルをディッピング法で含浸付着させ、185℃で2分間の熱処理を施した。この膜体の質量は表3に示す通りであった。試験結果を表3に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0004155701
【0038】
【表2】
Figure 0004155701
【0039】
【表3】
Figure 0004155701
【0040】
表1〜3において、実施例1〜6に見られるように、本発明による膜体は屈曲試験後の耐水圧試験の結果において、耐水圧の低下につながるコーティング樹脂層の亀裂発生が見られなかった。これらに対して、比較例1,2の膜体においては、屈曲試験による樹脂亀裂の発生による耐水圧の低下が生起し、比較例3,4の膜体においては、耐水圧の低下はないが基布目付量に対する強度出現率が低いものであり、限られた基布目付量では高強力の膜体は得られなかった。実施例1〜6の膜体に見られる良好な試験結果により、基布を構成するポリエステルマルチフィラメントが、膜体の強度を高いレベルで保つこと、及びポリエステルマルチフィラメント糸に絡ませたポリエステルステープルファイバーと、軟質塩化ビニルペーストゾルの含浸又は塗布により形成された樹脂被覆層との絡み合いが、膜体の耐屈曲性を著しく向上させることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明の膜体は、高強度と高屈曲耐水性とを兼ね備えたものであり、大型の折りたたみ式膜構造屋根並びに大型の開閉式テント倉庫及びリース用大型テントなどの、折り畳み屈曲を伴う大規模膜構造物などの用途にも、広く応用できるものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜体の屈曲試験における膜体試料の形状の変化を示す説明図。
【符号の説明】
1…膜体試料
2…折り目
A…膜体試料の屈曲したときの形状
B…膜体試料の展張したときの形状

Claims (2)

  1. 基布と、この基布の少なくとも1面上を被覆している軟質塩化ビニル系樹脂組成物とを有し、前記基布がポリエステルマルチフィラメント糸にポリエステルステープルファイバーを絡ませた複合糸を2本以上撚り合わせて得られた複合撚糸を用いて形成された織布からなり、かつ前記軟質塩化ビニル樹脂組成物層が、軟質塩化ビニルペーストゾルを前記基布の少なくとも1面に含浸又は塗布し、固化することにより形成されたものであることを特徴とする屈曲耐水性に優れた高強度膜体。
  2. 前記基布を構成するポリエステルマルチフィラメント糸/ポリエステルステープルファイバーの重量比率が、97/3〜50/50の範囲内にある、請求項1に記載の屈曲耐水性に優れた高強度膜体。
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