JP4148614B2 - アクリル樹脂手袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装着性および脱着性に優れた手袋に関し、より詳しくは、アクリル系樹脂エマルジョン製の手袋に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
家庭用、作業用、検査用、手術用等の用途に汎用される手袋には、大きく分けてゴム製のものと塩化ビニル樹脂製のものとがある。
このうち、天然ゴム(NR)製のものや、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴム製のものは、一般に粘着性が高いため、手との密着性が高くなってべた付き感が生じ、スムーズに装着および脱着することができない問題があった。また、天然ゴム(NR)製の手袋については、天然ゴム中に含まれる蛋白質に起因してアレルギー症状が引き起こされる問題もあった。
【0003】
これに対し、モジュラスの大きい塩化ビニル樹脂製の手袋は、手袋の装着性や脱着性に優れるものの、廃棄・焼却処理時にダイオキシンが発生する原因となるという問題があり、環境問題への関心が強まる中、近年その使用が抑制されつつある。
そこで、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いつつ、装着性および脱着性に優れた手袋を得ることが求められており、従来のゴム製手袋本体の内面に滑性樹脂層を設けたもの(特開平11−61527号公報)や、従来のゴム製手袋本体の内面に変性ウレタンエマルジョンからなる皮膜とフッ素系界面活性剤が添加された合成樹脂液からなる表面処理膜との2層の乾燥皮膜を設けたもの(実開平6−4014号公報)、あるいは、滑性を付与することを目的として手袋の内面にイオン性ポリウレタンおよび当該ポリウレタンと他のポリマーとのブレンドからなるコーティングを施したもの(特許第2677850号公報)といった、種々の手袋が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記公報に開示の手袋は、いずれも浸漬や塗布により新たな皮膜を形成する工程や、コーティング等による積層工程が必要になるため、製造工程が煩雑になって製造コストがかかるという問題がある。また、塩化ビニル樹脂製の手袋に比べて装着性や脱着性が低いという問題も解消することができない。一方、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いた手袋として、特開平8−283522号公報には、分子中にカルボキシル基を有する不飽和ニトリルと共役ジエンとの共重合体のラテックスと、ポリウレタン樹脂エマルジョンとを含む組成物を成形した手袋が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記公報に記載の発明は耐油性、耐溶剤性の向上を目的としたものであって、当該発明に係る手袋の装着性や脱着性は塩化ビニル樹脂製の手袋に比べて不十分であった。
そこで、本発明の目的は、とりわけ装着性および脱着性において塩化ビニル樹脂製の手袋と同等またはそれ以上の物性を有するとともに、廃棄・焼却時にダイオキシンが発生するおそれのない手袋を提供することである。
【0006】
また、本発明の他の目的は、上記目的を達成するとともに、さらに皮膜の機械的特性を維持しつつ、耐洗剤性にも優れた手袋を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂エマルジョンを用いて架橋構造を有する皮膜を形成したときは、とりわけ装着性および脱着性において塩化ビニル樹脂製の手袋と同等またはそれ以上の物性を有するとともに、浸漬法による簡易な製造方法でもって、廃棄・焼却時にダイオキシンが発生するおそれのない手袋を提供することができるという全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のアクリル樹脂手袋は、アクリル系樹脂エマルジョンを用いて成膜された、皮膜中に架橋構造を有するものであることを特徴とする。
上記本発明の手袋によれば、所定のアクリル系樹脂エマルジョンに感熱化剤やアノード凝着剤を配合し、これに加熱した型を浸漬して前記エマルジョンをゲル化させ、乾燥処理を施すことにより、すなわち従来の浸漬法を用いたゴム手袋の製造と同様な、簡易な製造工程を経ることによって、塩化ビニル樹脂製の手袋と同等またはそれ以上の物性を有する手袋を得ることができる。
【0009】
上記本発明のアクリル樹脂手袋は、簡易な工程によって製造するためにも、感熱法によって成膜されたものであるのが好ましい。
また、本発明において成膜に用いられるアクリル系樹脂エマルジョンは、架橋剤を含有するものであるのが好ましく、かかる架橋剤としては、亜鉛華と樹脂架橋剤であるのが好ましい。この場合において、樹脂架橋剤の含有量は、アクリル樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜5重量部であるのがより好ましい。
【0010】
上記本発明のアクリル樹脂手袋は、使用するアクリル樹脂エマルジョンの種類や、架橋剤(特に、亜鉛華および樹脂架橋剤)の種類と配合量を適宜調整することにより、手袋として必要な性質である伸びをより一層良好なものとすることができる。さらに、洗剤に対する耐性についても良好なものとすることができ、ひいては手袋の耐久性を高めることができる。
アクリル樹脂エマルジョンの種類や、架橋剤の種類と配合量を調整した本発明のアクリル樹脂手袋は、
(i) JIS S 2042に規定の「引張試験」により求めた切断時伸びが300%以上である、および/または
(ii)JIS S 2042に規定の「耐洗剤性試験」により求めた切断時引張荷重残留率と切断時伸び残留率とが70%以上である
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の手袋は、前述のように、アクリル系樹脂エマルジョンを用いて成膜されたものである。
(アクリル系樹脂エマルジョン)
本発明に用いられるアクリル系樹脂エマルジョンとしては、例えば
(1) アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、またはメタクリル酸エステルの単独ポリマーのエマルジョン
(2) 上記(1) に開示の、4種のモノマーのうち少なくとも2種を組み合わせて得られる共重合体ポリマーのエマルジョン
(3) 上記(1) および(2) に開示のポリマーのいずれかと、酢酸ビニル、スチレンまたはアクリロニトリルとの共重合体のエマルジョン
(4) 上記(1) 〜(3) に開示のポリマーに、水酸基、カルボキシル基、N−メチロール基、N−メチロールエーテル基等の架橋性基を有するモノマーを共重合させたポリマーのエマルジョン
等の、硬質から軟質までの種々のグレードのものが挙げられる。特に、上記(3) および(4) のように 自己架橋性 を有するアクリル系樹脂エマルジョンを用いたときは、後述する架橋剤を配合しなくても、モジュラスの高い手袋を得ることができる。
【0012】
上記アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルにおけるエステル部分を構成する置換基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル等の炭素数が1〜4のアルキル基等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂エマルジョンの具体例としては、日本ゼオン(株)製の商品名「LX851」(Tg=15℃)、「LX852」(Tg=−6℃、軟質)、「LX854」(Tg=−10℃)、「LX857」(Tg=43℃、硬質)等が挙げられる(商品名の後に、そのガラス転移温度Tgと、硬質もしくは軟質のいずれのグレードに属するかを示した)。
【0013】
本発明において、上記アクリル系樹脂エマルジョンには、アクリル系樹脂の架橋性を十分なものとし、かつ手袋の強度を向上させるために、架橋剤を含有するのが好ましい。
アクリル系樹脂エマルジョンとして上記(3) および(4) のエマルジョン、すなわち自己架橋性を有するエマルジョンを用いた場合には、架橋剤が存在しなくても成膜することができるが、架橋剤を配合することによって手袋の強度をより一層向上させることができる。
【0014】
(架橋剤)
アクリル系樹脂エマルジョンに含有させる架橋剤としては、例えば
(a) 亜鉛華、あるいは
(b) メラミン樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン系樹脂、ブロックイソシアネート等の樹脂架橋剤
といった、ポリマーの加工に用いられる従来公知の種々の架橋剤が挙げられる。
【0015】
架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記(a) の亜鉛華と、上記(b) の樹脂架橋剤との総量が、アクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量部、特に1〜5重量部であるのが好ましい。
上記(a) の亜鉛華および上記(b) の樹脂架橋剤は、それぞれ単独でアクリル系樹脂エマルジョンに含有させることもできるが、両者を併用するのがより好ましい。亜鉛華はアクリル系樹脂エマルジョンの感熱法による成膜性を良好なものとし、一方、上記(b) の樹脂架橋剤はアクリル樹脂手袋の耐洗剤性を良好なものとするというように、それぞれ異なる付加的作用を有するからである。
【0016】
従って、アクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対する架橋剤の含有量は、上記範囲の中でも特に、亜鉛華を0.5〜5重量部程度とし、樹脂架橋剤を0.5〜5重量部程度とするのがより好ましい。なお、亜鉛華の含有量が上記範囲を超えると手袋の伸びが低下するおそれがある。一方、樹脂架橋剤の含有量が上記範囲を超えると手袋の耐洗剤性が低下するおそれがある。
(その他の添加剤)
本発明のアクリル樹脂手袋の製造に用いるアクリル系樹脂エマルジョンには、上記架橋剤のほかに、例えば老化防止剤、充填剤、分散剤等の、従来公知の種々の添加剤を配合してもよい。
【0017】
上記老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合量は、アクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。上記充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等があげられる。その配合量は、上記樹脂固形分100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。また、上記各添加剤のアクリル系樹脂エマルジョン中への分散を良好にするために分散剤を配合してもよい。かかる分散剤としては、例えば各種陰イオン系界面活性剤等があげられる。分散剤の配合量は、分散対象である成分における重量の0.3〜1.0重量%程度であるのが好ましい。
【0018】
(手袋の物性)
本発明のアクリル樹脂手袋においては、手袋のモジュラス、柔軟性、伸び等の種々の特性をより一層良好なものとするという観点から、JIS K 6251(加硫ゴムの引張試験方法)に規定の300%伸び時の引張応力M300 (すなわちモジュラス)が7.0MPa以上、とりわけ7.0〜8.0MPaの範囲となるように設定されているのが好ましい。
【0019】
なお、前記引張応力M300 が7.0MPaを下回ると、塩化ビニル樹脂製の手袋と同等またはそれ以上の装着性および脱着性を得ることができなくなるおそれがある。
本発明のアクリル樹脂手袋は、使用するアクリル樹脂エマルジョンや架橋剤を上記記載のものから適宜選択することにより、さらには、亜鉛華と樹脂架橋剤のと配合量を前述の範囲内で適宜調整することにより、手袋として必要な性質である伸びをより一層良好なものとすることができ、あるいは洗剤に対する耐性を良好なものとすることができる。
【0020】
本発明のアクリル樹脂手袋は、装着時の柔軟性や手へのフィット感を良好なものとする上で、JIS S 2042に規定の「引張試験」により求めた切断時伸びEB が300%以上であるのが好ましい。
上記切断時伸びEB を300%以上とするには、これに限定されるものではないが、手袋の成膜に使用するアクリル樹脂エマルジョンに対する亜鉛華の含有量を、前記樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して5重量部以下となるように設定すればよい。
【0021】
アクリル樹脂手袋の切断時伸びEB は、上記範囲の中でも特に350%以上であるのが好ましく、400%以上であるのがより好ましい。
本発明のアクリル樹脂手袋は、洗剤に対する耐性を高め、ひいては手袋の耐久性を良好なものとする上で、JIS S 2042に規定の「耐洗剤性試験」により求めた切断時引張荷重残留率SR と切断時伸び残留率SE とが70%以上であるのが好ましい。
【0022】
上記切断時引張荷重残留率SR や切断時伸び残留率SE をそれぞれ70%以上とするには、これに限定されるものではないが、手袋の成膜に使用するアクリル樹脂エマルジョンに対する樹脂架橋剤の含有量を、前記樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜5重量部となるように設定すればよい。
アクリル樹脂手袋の切断時引張荷重残留率SR や切断時伸び残留率SE は、いずれも、上記範囲の中でも特に75%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
【0023】
なお、JIS S 2042にも規定されているように、上記切断時引張荷重残留率SR (%)は、浸漬前の切断時引張荷重XA (N/cm)と、浸漬後の切断時引張荷重XB (N/cm)とから、式(1) により求められる。
R (%)=(XB /XA )×100 …(1)
一方、切断時伸び残留率SE %)は、浸漬前の切断時伸びXC (%)と、浸漬後の切断時伸びXD (%)とから、式(2) によって求められる。
E (%)=(XD /XC )×100 …(2)
(手袋の製造方法)
本発明の手袋は、前述のように、所定のアクリル系樹脂エマルジョンに感熱化剤やアノード凝着剤を配合し、さらに必要に応じて架橋剤を配合した後、加熱した型を浸漬して前記樹脂エマルジョンをゲル化させ、乾燥処理を施すことによって製造される。
【0024】
手袋の型の加熱温度は、使用するアクリル系樹脂エマルジョンの種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、型表面の温度が70〜100℃程度となるように設定される。なお、手袋の型には、例えば陶器製、セラミック製等、従来公知のものが使用可能である。
前記感熱化剤としては、例えば硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、亜鉛アンモニウム錯塩等の無機または有機のアンモニウム塩、あるいは例えばポリビニルメチルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルポリホルマール、官能性ポリシロキサン等の、曇点が常温以上、100℃以下の水溶性高分子が挙げられる。
【0025】
前記アノード凝着剤としては、例えば硝酸カルシウム、塩化カルシウム等の2価以上の金属塩、あるいはテトラメチルアンモニウム塩酸塩等の有機アルキルアミン塩等が挙げられる。
上記感熱化剤やアノード凝着剤の配合量は常法に従って設定すればよく、通常、樹脂エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対して0.5〜5重量部、特に0.5〜2.0重量部の範囲で設定される。
【0026】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔手袋の製造および伸び・装着性・脱着性の評価〕
実施例1
アクリル系樹脂エマルジョンとして、日本ゼオン(株)製の商品名「LX852」と、同社製の商品名「LX857」とを、乾燥ポリマー(樹脂固形分)の重量比が20:80となるように混合した後、前記両乾燥ポリマーの合計量100重量部に対して、亜鉛華(架橋剤)5重量部、ポリビニルメチルエーテル(感熱化剤)0.5重量部および硝酸カルシウム(アノード凝着剤)1.5重量部を添加した。
【0027】
次いで、この樹脂エマルジョンに、あらかじめ100℃程度に加温した手袋の型を約5秒間浸漬し、さらに手袋の型を引き上げて室温で乾燥し、こうして得られた樹脂エマルジョンの皮膜を120℃、30分の条件でオーブン中に放置して完全に乾燥させることによって、アクリル樹脂手袋を得た。
実施例2
アクリル系樹脂エマルジョン「LX852」と「LX857」との乾燥ポリマー(樹脂固形分)の重量比を50:50とし、さらに亜鉛華の添加量を1重量部としたほかは、実施例1と同様にしてアクリル樹脂手袋を作製した。
【0028】
実施例3
亜鉛華に代えてメラミン樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製の商品名「ベッカミンPM−N」〕5重量部を配合したほかは、実施例1と同様にしてアクリル樹脂手袋を作製した。
実施例4
亜鉛華を添加しなかったほかは実施例2と同様にしてアクリル樹脂手袋を作製した。
【0029】
(引張試験)
上記実施例1〜4で得られたアクリル樹脂手袋を打ち抜いて、JIS K 6251(加硫ゴムの引張試験方法)に規定のダンベル状4号形試験片を作製した。
次いで、上記JIS K 6251に記載の試験方法に従って、300%伸び時における引張応力M300 (MPa)、引張強さTB (MPa)および切断時伸びEB (%)を測定した。
【0030】
また、天然ゴム製手袋〔ダンロップホームプロダクツ(株)製の商品名「さわやか天然ゴム薄手」〕(比較例1)と、塩化ビニル樹脂製手袋〔同社製の商品名「さわやかビニール薄手」〕(比較例2)とを用いて、それぞれ上記実施例と同様にして各種の測定を行った。
(手袋の装着性・脱着性)
上記実施例および比較例の手袋を5人の被験者に実際に装着してもらい、手袋の装着感(ゴム手袋を装着している際の作業のし易さ。手にかかる負担の程度や手を締め付ける度合い。いわゆる、フィット感)と着脱感(ゴム手袋を装着または脱着する際の取扱性)についての評価を求めた。
【0031】
装着性および脱着性は以下の基準で評価を行い、各被験者の評価の平均で表した。
・装着性
◎:装着感が極めてソフトで、指の曲げ伸ばしが自然に行え、あたかも手袋を装着していないように感じられた。
〇:装着感がソフトで、指の曲げ伸ばしが自然に行えた。
△:手袋が多少硬く感じられたものの、実用上問題はなかった。
×:装着感が極めて悪く、長時間の装着により手に疲労感が生じた。
【0032】
・脱着性
◎:非常に装着し易く(履き易く)、脱ぎ易い。
○:履き易く、脱ぎ易い。
△:履きにくく、脱ぎにくい。
×:極めて履きにくく、かつ脱ぎにくい。
以上の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004148614
【0034】
表1より明らかなように、実施例1〜4によれば、比較例2の塩化ビニル樹脂製手袋と同等またはそれ以上の、優れた装着性および脱着性を有する手袋を得ることができた。
これに対し、比較例1の天然ゴム製手袋ではモジュラスが低く、十分な装着性および脱着性を得ることができなかった。
〔手袋の製造および伸び・耐洗剤性の評価〕
実施例5
アクリル系樹脂エマルジョンとして、日本ゼオン(株)製の商品名「LX852」と、同社製の商品名「LX854」とを、乾燥ポリマー(樹脂固形分)の重量比が80:20となるように混合した後、前記両乾燥ポリマーの合計量100重量部に対して、亜鉛華(架橋剤)3重量部、メラミン樹脂(樹脂架橋剤)1重量部、ポリビニルメチルエーテル(感熱化剤)0.5重量部および硝酸カルシウム(アノード凝着剤)1.5重量部を添加した。
【0035】
なお、メラミン樹脂には大日本インキ化学工業(株)製の商品名「ベッカミンPM−N」を用いた。
次いで、この樹脂エマルジョンに、あらかじめ100℃程度に加温した手袋の型を約5秒間浸漬し、さらに手袋の型を引き上げて室温で乾燥し、こうして得られた樹脂エマルジョンの皮膜を100℃、30分の条件でオーブン中に放置して完全に乾燥させることによって、手袋を得た。
【0036】
実施例6
メラミン樹脂の含有量を5重量部としたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
実施例7
樹脂架橋剤として、メラミン樹脂に代えてエポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製の商品名「CR−5L」〕5重量部を用いたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
【0037】
実施例8
樹脂架橋剤として、メラミン樹脂に代えてオキサゾリン系樹脂〔(株)日本触媒製の商品名「エポクロスWS−500」〕5重量部を用いたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
実施例9
樹脂架橋剤として、メラミン樹脂に代えてブロックイソシアネート〔住友バイエルウレタン(株)製の商品名「バイヒジュールBL116」〕5重量部を用いたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
【0038】
実施例10
メラミン樹脂(樹脂架橋剤)を配合しなかったほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
実施例11
メラミン樹脂の含有量を8重量部としたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
【0039】
実施例12
樹脂架橋剤として、メラミン樹脂に代えて前出のオキサゾリン系樹脂「エポクロスWS−500」8重量部を用いたほかは、実施例5と同様にしてアクリル樹脂手袋を得た。
(引張試験)
上記実施例5〜12で得られたアクリル樹脂手袋を打ち抜いて、JIS K 6251(加硫ゴムの引張試験方法)に規定のダンベル状4号形試験片を作製した。
【0040】
次いで、上記JIS K 6251に記載の試験方法に従って、切断時伸びEB (%)を測定した。
(耐洗剤性の評価試験)
上記実施例および比較例で得られたアクリル樹脂手袋について、JIS S 2042「家庭用ゴム手袋」(または、JIS S 2045「家庭用ビニル手袋の耐洗剤性試験」)に記載の「耐洗剤性試験」の規定に準拠して、その耐洗剤性の評価を行った。
【0041】
試験は、2%のn−ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液を55±1℃に調整した上で、この溶液中に22±0.25時間全面浸漬することによって行い、切断時引張荷重残留率SR (%)と切断時伸び残留率SE とを求めた。
(感熱性の評価)
上記実施例5〜12について、アクリル系樹脂エマルジョンから感熱法によって成膜する際の成膜性を評価し、これを感熱性とした。
【0042】
評価は○〔成膜性(感熱性)が良好で、厚みの均一な皮膜の形成が可能であった。〕、△〔成膜性(感熱性)が十分ではなく、厚みの不均一な皮膜しか形成できなかった。〕および×〔成膜性(感熱性)が低く、皮膜を形成できなかった。〕の3段階で行った。
以上の結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0004148614
【0044】
表2より明らかなように、アクリル系樹脂エマルジョンにおける亜鉛華および樹脂架橋剤の含有量を、それぞれ前記エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲に設定した実施例5〜9によれば、感熱法による簡易な製造方法によって、装着性や脱着性に優れていることはもとより、伸びや耐洗剤性にも優れたアクリル系樹脂製の手袋を得ることができた。
一方、実施例10で得られたアクリル樹脂手袋は、アクリル系樹脂エマルジョン中に樹脂架橋剤を含有させなかったため、装着性や脱着性、伸び等に関して実用上十分な物性を有するものの、耐洗剤性については実施例5〜9で得られた手袋のように優れたものとすることができなかった。
【0045】
また、実施例11および12で得られたアクリル樹脂手袋は、アクリル系樹脂エマルジョンにおける樹脂架橋剤の含有量(および架橋剤全体の含有量)が多いため、耐洗剤性等に関して実用上十分な物性を有するものの、伸びを実施例5〜9で得られた手袋のように大きくすることができなかった。また、装着性や脱着性についても、実施例5〜9で得られた手袋のように優れたものとすることができなかった。
上記本発明のアクリル樹脂手袋によれば、とりわけ装着性および脱着性において塩化ビニル樹脂製手袋と同等またはそれ以上の物性を有するアクリル樹脂手袋を得ることができる。また、アクリル樹脂手袋の製造に用いるアクリル系樹脂エマルジョンにおける亜鉛華や樹脂架橋剤の含有量を適宜調整することにより、十分な伸びと優れた耐洗剤性をも付与することができる。
【0046】
かかるアクリル樹脂手袋は、製造方法が簡易であるとともに、塩化ビニル樹脂を含まないことから廃棄・焼却時にダイオキシンが発生して、環境を汚染するおそれがない。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂エマルジョンを用いて成膜された、皮膜中に架橋構造を有することを特徴とするアクリル樹脂手袋。
  2. 感熱法によって成膜された請求項1記載のアクリル樹脂手袋。
  3. 前記アクリル系樹脂エマルジョンが架橋剤を含有する請求項1または2記載のアクリル樹脂手袋。
  4. 前記架橋剤が亜鉛華と樹脂架橋剤とである請求項3記載のアクリル樹脂手袋。
  5. 前記亜鉛華の含有量がアクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜5重量部であり、かつ前記樹脂架橋剤の含有量がアクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜5重量部である請求項4記載のアクリル樹脂手袋。
  6. JIS S 2042に規定の「引張試験」により求めた切断時伸びが300%以上である請求項1または2記載のアクリル樹脂手袋。
  7. JIS S 2042に規定の「耐洗剤性試験」により求めた切断時引張荷重残留率と切断時伸び残留率とが、いずれも70%以上である請求項1または2記載のアクリル樹脂手袋。
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