JP4144123B2 - 母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材 - Google Patents

母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造物、海洋構造物、パイプ、船舶、貯槽、土木構造物、建設機械等に用いられる非調質高張力鋼材に係り、とくに母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼材に関する。本発明における鋼材は、厚鋼板、鋼帯、形鋼、棒鋼を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
高強度と高靱性、高溶接性を兼ね備えた厚鋼板を製造する優れた方法として、TMCP(Thermo Mechanical Control Process )法が知られている。しかし、上記TMCP法により製造された厚鋼板では、溶接熱影響部の靱性が十分ではなく、このため、この種鋼材を、低温で使用する溶接構造物に使用することには問題があった。
【0003】
また、溶接熱影響部(HAZ)の靱性を改善するために、酸化物あるいは窒化物を鋼中に均一に分散させ、HAZ組織を微細化し、靱性を向上させる方法についても検討が行われている。
例えば、特開平2−125812号公報には、鋼中に粒子径0.05〜10μmのTiを主成分とする酸化物を5×103 〜1×106 個/mm2 含有する鋳片を900 〜1100℃で再加熱後、900 ℃以下の累積圧下量30〜90%、圧延終了温度700 〜850 ℃で圧延し冷却後、500 ℃〜Ac1変態点の温度で時効処理する、HAZ靱性の優れたCu添加鋼の製造方法が提案されている。
【0004】
また、特開平4−48048 号公報には、C:0.03〜0.20wt%、Nb、Tiを含有し、母地中に0.001 〜0.100wt %の粒径0.5 μm以下の(Ti、Nb)(O、N)複合結晶相を有した酸化物系介在物が分散してなる溶接熱影響部靱性の優れた鋼材が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−125812号公報や特開平4−48048 号公報に記載された技術では、溶接熱影響部靱性は向上するものの、母材靱性が低温用鋼材としては十分でないという問題があり、母材靱性向上のためには、酸化物系介在物の存在状態の更なる改善を必要としている。
【0006】
さらに、母材および溶接熱影響部の組織制御に有効な量のTi酸化物を鋼中に存在させようとすると、鋳込み時にノズル閉塞が生じ易くなり、生産性が劣るという問題があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、母材靱性および溶接熱影響部靱性を兼ね備え、しかも、ノズル詰まりもなく安定して生産性高く製造できる非調質高張力鋼材を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ノズル詰まりもなく、酸化物系介在物を鋼材中に均一微細に分散させる方法についてさらに研究した結果、酸化物系介在物をTi酸化物を主体とし、酸化物系介在物の組成を最適範囲とする必要があることを見いだした。
つぎに、本発明者らが、酸化物系介在物の最適組成範囲について行った検討結果について説明する。
【0008】
本発明者らは、脱酸処理後の溶鋼中に介在物組成調整用合金を添加して介在物組成の制御を行い、溶鋼中の介在物中のTi2O3 、CaO +REM 酸化物、Al2O3 濃度を変化させた圧延用鋼素材を鋳込み、該圧延用鋼素材を熱間圧延して鋼板を製造した。
まず、圧延素材鋳込み中のノズルづまりの発生状況を調査した。ノズルづまりについては、連続鋳造工程においてイマージョンノズルの閉塞が起こった時をノズルづまり有りとした。
【0009】
また、本発明者らは、介在物中にCaO およびREM 酸化物が含まれると、鋼材の耐錆性に影響を及ぼすことを知見したため、得られた鋼板についての発錆状況を調査した。鋼板の発錆については、圧延・冷却後の鋼板を10日間大気中で放置した後にマクロ観察をして錆があったものを発錆ありとした。
それらの結果を纏めて、図1に示す。
【0010】
介在物中のTi2O3 濃度が90重量%超であるか、または、CaO +REM 酸化物濃度が5重量%未満となると、介在物の融点が高く、鋳込み時のノズル内面に介在物が付着しやすくなり、ノズル閉塞の原因となる。また、Al2O3 濃度が70重量%を超えると、大形クラスター介在物を形成しやすく、また溶鋼との濡れ性が低下し、ノズル閉塞が顕著となる。また、介在物中のCaO +REM 酸化物の濃度が50重量%を超えると、介在物が液相状態で硫黄を含有しやすくなる。その結果、液相介在物が凝固する際に、介在物の周囲にCaS やREM 硫化物が生成する。このため、介在物の粗大化を招くとともに、鋼板での発錆が顕著となる。
【0011】
すなわち、酸化物系介在物の均一微細分散のためには、脱酸生成介在物と溶鋼の濡れ性を良好とする必要があり、そのためには、
▲1▼介在物中のAl2O3 濃度を70重量%以下に低減すること、
▲2▼酸化物系介在物中のCaO およびREM 酸化物濃度は50重量%以下にすること、が必要であり、
さらにノズル閉塞を防止するためには、脱酸生成物の融点を低下させる必要があり、そのためには、
▲3▼Ca処理あるいはREM 処理によって介在物中のCaO およびREM 酸化物濃度を少なくとも5重量%以上とすること、
▲4▼Al2O3 濃度を70重量%以下、Ti酸化物濃度を90重量%以下とすること、
また、発錆を防止するためには、
▲5▼介在物中のCaO +REM 酸化物の濃度を50wt%以下とすること、
が重要となるという知見を得た。
【0012】
これらの知見から、本発明者らは、最適な酸化物系介在物の最適組成範囲として、図1に示すように、Ti酸化物:90重量%以下、CaO およびREM 酸化物の合計:5〜50重量%、Al2O3 :70重量%以下であるとした。
酸化物系介在物の組成が図1の範囲となるように制御することにより、ノズル詰まりや有害な介在物クラスターの生成を引き起こすことなく、介在物の結晶粒粗大化抑制能(ピン止め効果)を有効に利用することができ、溶接熱影響部の組織を改善し溶接熱影響部靱性を有効に向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明者らは、母材および溶接熱影響部靱性の更なる向上について鋭意検討した。その結果、上記した組成を有し、200 nm以上の円相当径を有するものの個数で酸化物系介在物を最適分散させることにより、母材靱性をさらに向上させることができるという知見を得た。
本発明は、上記した知見に基づいて構成されたものである。
【0014】
すなわち、本発明は、重量%で、C:0.01〜0.18%、Si:0.02〜0.60%、Mn:0.60〜2.00%、P:0.030 %以下、S:0.015 %以下、Ti:0.005 〜0.08%、N:0.0020〜0.0100%、REM :0.0010〜0.0200%、Ca:0.0010〜0.0200%、Al:(Ti%)/5以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ次(1)式
Ceq(%) =C+Si/24 +Mn/6+Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14 ………(1)
(ここに、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V:各元素の含有量(重量%))
で定義されるCeq が0.36〜0.45%である鋼組成を有し、かつ、重量%で、Ti酸化物:90%以下、Ca酸化物およびREM 酸化物の合計:5〜50%、Al2O3 :70%以下からなる介在物組成を有する酸化物系介在物を、200nm 以上の円相当直径を有するものの個数で1×103 個/mm2 以上1×105 個/mm2 未満分散させたことを特徴とする母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材であり、また、本発明では、前記鋼組成に加えてさらに、重量%で、V:0.03〜0.15%を含有することが好ましく、また、本発明では、前記各鋼組成に加えてさらに、重量%で、Cu:0.02〜1.5 %、Ni:0.02〜0.06%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.02〜0.50%、Nb:0.003 〜0.020 %のうちの1種または2種以上を含有することが好ましく、また、本発明では、前記各鋼組成に加えてさらに、重量%で、B:0.0002〜0.0020%を含有することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の限定理由を説明する。
まず、本発明鋼材の組成限定理由について説明する。以下、組成についての%は、重量%を意味する。
C:0.01〜0.18%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を確保するために0.01%以上の含有を必要とするが、0.18%を超えて含有すると、母材靱性および溶接性が低下する。このため、Cは0.01〜0.18%に限定した。なお、実用上、好ましくは0.08〜0.16%である。
【0016】
Si:0.02〜0.60%
Siは、固溶強化により鋼の強度を増加させるのに有効な元素であるが、0.02%未満の含有では、その効果が少なく、一方、0.60%を超えて含有すると、HAZ靱性が著しく劣化する。このため、Siは0.02〜0.60%に限定した。
Mn:0.60〜2.00%
Mnは、鋼の強度を増加し高強度化に有効な元素であり、所望の強度を確保するためには0.60%以上の含有を必要とする。しかし、2.00%を超える含有は、圧延後空冷した組織がフェライト+ベイナイト組織となり、母材靱性が低下する。このため、Mnは0.60〜2.00%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.00〜1.70%である。
【0017】
P:0.030 %以下
Pは、粒界に偏析し鋼の靱性を劣化させるので、できるだけ低減するのが望ましいが、0.030 %までは許容できるため、0.030 %以下に限定した。
S:0.015 %以下
Sは、主にMnS を形成して鋼中に存在し、圧延冷却後の組織を微細にする作用を有するが、0.015 %を超えての含有は、板厚方向の靱性・延性を低下させる。このため、Sは0.015 %以下に限定した。MnS として細粒化効果を得るためにはSは0.004 〜0.010 %の範囲とするのが望ましい。
【0018】
Ti:0.005 〜0.08%
Tiは、本発明で重要な元素の1つである。Ti脱酸により生成する酸化物を有効に利用することが本発明の一つの重要な要素である。鋼中に均一微細に分散したTi酸化物を主体とする酸化物系介在物は、結晶粒ピン止め効果によりオーステナイト粒成長を抑制する効果を有する。また、さらに、200nm 以上の酸化物系介在物を均一に分散させ、フェライト生成核として、母材組織、溶接熱影響部組織を微細化する。また、脱酸後残留したTiは、その後の冷却過程にNと結合しTiN を生成する。TiN は溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化抑制に寄与し、溶接熱影響部靱性を向上させる。また、フェライト生成核として作用し、組織を微細化し、母材靱性を向上させる。
【0019】
これらの効果を発揮させるには、Tiは0.005 %以上の含有を必要とする。また、0.08%を超えての含有は鋼の清浄性を劣化させるうえ、固溶Tiの増加あるいはTi炭化物が析出し、靱性を劣化させる。このため、Tiは0.005 〜0.08%に限定した。なお、好ましくは0.010 〜0.025 %である。
N:0.0020〜0.0100%
Nは、Tiと結合してTiN を形成し、圧延素材を加熱する際にγ粒の粒成長を抑制し、さらに、圧延中にフェライトの析出核となり、結晶粒を微細化させる作用を有し、靱性向上に大きく寄与する。これらの効果を有効に発揮させるためには、0.0020%以上の含有を必要とするが、0.0100%を超えての含有は、母材靱性や溶接性を大きく損なうので、Nは0.0020〜0.0100%の範囲に限定した。
【0020】
Al:(Ti%)/5以下
Alは、脱酸剤として作用するが、本発明では予備脱酸剤としてTi脱酸前のO濃度を調整するために用いることができる。本発明では、Al2O3 クラスターを生成させないために、Al含有量をTi含有量(重量%)の1/5 以下に限定する。Al含有量がTi含有量の1/5 を超えると、Ti−Al−O 平衡から、Al2O3 クラスターが生成し、酸化物系介在物の均一微細分散ができなくなる。なお、好ましくは、Alは(Ti%)/6 以下である。
【0021】
Ca:0.0010〜0.0200%、REM :0.0010〜0.0200%
Ca、REM 添加により、介在物中のREM 酸化物およびCaO 酸化物の濃度が増加するが、これにより、介在物の融点が低下して鋳込み時のノズル内面への付着が抑制でき、ノズル閉塞を回避できる。また、Ca、REM は、濡れ性改善に寄与し、脱酸生成物の微細均一分散を実現するために必須となる元素である。REM 、Caは、高温においても安定な酸化物を形成して微細分散し、γ粒成長を抑制する。さらに、圧延後のフェライト粒径を細かくする効果もあり、また、HAZ靱性の向上にも有効である。これらの効果を得るためには、それぞれ0.0010%以上の含有が必要となるが、一方、それぞれ0.0200%を超えての含有は、鋼の清浄性を低下させ、母材靱性を損ねる。このため、Ca、REM はそれぞれ0.0010〜0.0200%の範囲に限定した。なお、REM およびCaは、それぞれを単独で添加しても介在物のノズル閉塞回避の効果は少ないため、本発明では、REM およびCaは同時に含有する必要がある。
【0022】
V:0.03〜0.15%
Vは、圧延冷却中にVNとしてγ粒中に析出し、それを核としてフェライトが析出するため、結晶粒微細化に有効に作用し、靱性向上に大きく寄与する。また、フェライト変態後にもフェライト中にVNが析出し、冷却時に強水冷を行うことなく母材強度を高めることができる。板厚方向での特性の均一性の確保や、残留応力・歪み軽減にも有効であり、必要に応じ含有できる。
【0023】
これらの効果を有効に発揮させるためには、0.03%以上のVを含有させることが好ましい。しかし、0.15%を超えて含有すると母材靱性や溶接性を大きく損なうため、Vは0.04〜0.15%の範囲とするのが好ましい。
Cu:0.02〜1.5 %、Ni:0.02〜0.60%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.02〜0.50%、Nb:0.003 〜0.020 %のうちの1種または2種以上
Cu、Ni、Nb、Cr、Moは、いずれも焼入れ性向上に有効な元素であり、必要に応じ1種または2種以上を選択して含有できる。Cu、Ni、Nb、Cr、Moの含有により、Ar3 点が下がりフェライト粒がより微細となり靱性向上に寄与する。
【0024】
Cu、Ni、Nb、Cr、Moの含有量が多くなると、Ar3 点が低下しすぎて、べイナイト変態が主体となり、フェライトの細粒化が不十分となり、強度は上昇するが、フェライトの細粒化が不十分となる。このようなことから、Cu、Ni、Nb、Cr、Moはそれぞれ0.02%、0.02%、0.05%、0.02%、0.003 %以上を含有するのが好ましい。また、Cuを添加する場合は、Cuによる熱間加工性の低下を補償するために、Cuとほぼ同量Niを添加するのが好ましい。しかし、Niの多量添加は製造コストを増加させるため、Cu、Niの上限は0.6 %とするのが好ましい。また、Nb、Cr、Moはそれぞれ0.020 %、0.50%、0.50%を超えると溶接性や靱性を損なうため、これらを上限とするのが好ましい。
【0025】
B:0.0002〜0.0020%
Bは、粒界に偏析して粗大な粒界フェライトの生成を抑制し、圧延後のフェライト粒を細かくする作用を有し、必要に応じ含有できる。この効果は0.0002%以上の含有で認められる。一方、0.0020%を超えて含有すると靱性が低下する。このため、Bは0.0002〜0.0020%の範囲に限定するのが好ましい。
【0026】
Ceq :0.36〜0.45wt%
Ceq は次(1)式で定義する。
Ceq(%) =C+Si/24 +Mn/6+Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14 ………(1)
ここに、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V:各元素の含有量(重量%)
Ceq が0.45%を超えると、溶接割れ感受性が高くなり、HAZ靱性が低下する。一方、Ceq が0.36%未満では母材およびHAZ軟化部での強度確保が困難となる。このため、Ceq は0.36〜0.45%の範囲内に限定する。
【0027】
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O:0.0100%以下、N:0.0100%以下が許容できる。
ついで、本発明鋼材の好適な製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、Ti脱酸して溶製する。なお、Alによる予備脱酸を行ってもよいのは言うまでもない。溶製方法は、とくに限定されないが、転炉、電気炉、真空溶解炉等の通常公知の溶製方法がいずれも好適に利用できる。なお、脱酸方法をTi脱酸とすることにより、脱酸生成物がTi酸化物主体の介在物となる。
【0028】
溶鋼は、ついで連続鋳造法、造塊法等の通常公知の鋳造方法がいずれも好適に利用でき、スラブ等の圧延用鋼素材に鋳造される。
つぎに、鋼素材中に微細分散する酸化物系介在物の組成限定理由について説明する。
微細分散される酸化物系介在物は、Ti酸化物を主体とし、重量%で、Ti酸化物:90%以下、Al203 :70%以下、Ca酸化物とREM 酸化物の合計:5 〜50%からなる介在物組成を有する。
【0029】
Ti酸化物:90%以下
Ti酸化物は、溶接熱影響部でのオーステナイト粒の粗大化を抑制する結晶粒ピン止め効果を有する。このため、本発明では、酸化物系介在物をTi酸化物を主体とする組成とする。しかし、酸化物系介在物中のTi酸化物の濃度が90%を超えると、酸化物系介在物の融点が高温となり、浸漬ノズル壁への介在物の付着が起きやすくなり、ノズル詰まりが発生しやすくなる。このため、酸化物系介在物中のTi酸化物の濃度を90%以下に限定する。なお、酸化物系介在物中のTi酸化物の濃度が50%未満では結晶粒ピン止め効果が少なくなるため、酸化物系介在物中のTi酸化物の濃度を50%以上とするのが好ましい。なお、本発明でいう、Ti酸化物はTiO2、Ti2O3 等が好適であるが、なかでもTi2O3 とするのが好ましい。
【0030】
Al203 :70%以下
Al203 は、大形クラスター介在物を形成しやすく、酸化物系介在物の均一、微細分散を阻害する。このため、本発明では酸化物系介在物中のAl203 濃度をできるだけ低減するのが好ましい。酸化物系介在物中のAl203 濃度が70%を超えると、介在物の溶鋼との濡れ性を低下させ、さらにはノズル詰まりが顕著となる。このようなことから、酸化物系介在物中のAl203 濃度は70%以下とする。
【0031】
Ca酸化物とREM 酸化物の合計:5 〜50%
本発明では、酸化物系介在物の融点を低下させるため、酸化物系介在物中にCa酸化物(CaO )+REM 酸化物の合計で5%以上含有させる。Ca酸化物(CaO )+REM 酸化物濃度が5%未満では、介在物の融点が高く、鋳込み時のノズル内面に付着しやすくなりノズル閉塞の原因となる。また、Ca、REM は、Sと結合して硫化物を形成しやすいため、酸化物系介在物中のCa酸化物(CaO )+REM 酸化物の濃度が50%を超えて高くなると、介在物が液相状態でSを含有しやすくなり、介在物周囲にCaS 、REM 硫化物が形成される。このため、介在物の粗大化を招き酸化物系介在物の結晶粒ピン止め能が低下するとともに、鋼材の発錆が顕著となる。また、REM 酸化物の比重は、他の酸化物に比べて大きいために、このREM 酸化物が50wt%を超えると介在物の溶鋼中での浮上性が悪くなり、鋼中の全酸素濃度が高くなって鋼板の清浄性を悪化させる。このようなことから、酸化物系介在物中のCa酸化物+REM 酸化物を、合計で5〜50%の範囲に限定した。
【0032】
また、本発明では、介在物の量は、光学顕微鏡による清浄度試験、あるいは抽出残渣の定量によって、また、介在物の組成は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、EDXによる定量分析という手順で、測定するものとする。
酸化物系介在物の組成を、上記した範囲に調整するには、TiあるいはTi合金を用いて脱酸した後に、Fe、Al、Si、Tiのうちの少なくともいずれか1種を含有し、かつ、Caを10wt%未満、Ce、La等のREM を5wt%未満の範囲で含有する介在物組成調整用合金を添加すればよい。
【0033】
本発明では、上記した介在物組成を有し、さらに、特定範囲の大きさの酸化物系介在物を適正個数分散させる。
本発明では、円相当径200nm 以上のTi酸化物を、1×103 個/mm2 以上1×105 個/mm2 未満分散させる。酸化物系介在物が、圧延工程および溶接工程において、フェライトの生成核として作用し、母材靱性、溶接熱影響部靱性を向上させるためには、円相当径で200nm 以上の大きさが必要となり、しかも円相当径200nm 以上の大きさの酸化物系介在物が適切量分散していることが肝要となる。
【0034】
円相当径200nm 以上の酸化物系介在物の個数が、1×103 個/mm2 未満の場合には、生成するフェライトの数が少なく、母材および溶接熱影響部におけるフェライト粒微細化の効果が不十分であり、また、円相当径200nm 以上の酸化物系介在物の個数が、1×105 個/mm2 以上の場合には、母材および溶接熱影響部における靱性が劣化する。このため、本発明では、円相当径200nm 以上の酸化物系介在物を1×103 個/mm2 以上1×105 個/mm2 未満分散させる。
【0035】
なお、酸化物系介在物の同定およびその円相当径は、透過型電子顕微鏡による分析および観察により測定するものとする。
上記した酸化物系介在物の分散形態は、TiおよびO量の制御、およびCa、REM 量を調整することにより得られる。
上記したように調整された鋼素材は、ついで、1000〜1250℃の温度範囲に再加熱され、あるいは再加熱することなく、熱間圧延を施されて、鋼板等とされるのが好ましい。
【0036】
加熱温度:1000〜1250℃
加熱温度が、1000℃未満では、完全にオーステナイト化しない場合があるため、再加熱による均質化の効果が十分に得られない。一方、加熱温度が、1250℃を超えると、オーステナイト粒が著しく粗大化し、圧延後の組織が粗大となり、靭性が低下する。このため、加熱温度は1000〜1250℃の範囲に限定するのが好ましい。なお、好ましくは1050〜1200℃である。なお、再加熱することなく圧延する場合は、鋳込後、鋼素材の温度が低下しすぎないうちに圧延を開始する必要があり、少なくとも900 ℃以上の温度を有することが好ましい。
【0037】
熱間圧延は、つぎの条件で行うのが好ましい。
1000℃以下の温度域での累積圧下量:30%以上
1000℃以下の温度域における圧下量の増加は、オーステナイト粒への歪導入によるフェライト粒微細化により、母材の機械的性質を向上させる。このような効果は、1000℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、累積圧下量に応じ顕著となる。このため、1000℃以下の温度域での累積圧下量を30%以上に限定するのが好ましい。
【0038】
熱間圧延終了温度:700 ℃以上
熱間圧延終了温度が低温になるにしたがい、圧延加工によりオーステナイト 粒に導入される歪(転位)が粒内に蓄積される割合が増加し、それにより変態後の組織への転位の受け継ぎ量が著しく増加するため、強度が増加する。しかし、熱間圧延終了温度を700 ℃未満としても強度の増加傾向は飽和するうえ、変形抵抗の増加により圧延能率が低下する。このため、本発明では、圧延終了温度を700 ℃以上に限定するのが好ましい。
【0039】
本発明では、熱間圧延後、空冷するか、あるいはさらに加速冷却を施してもよい。熱間圧延後、加速冷却することにより、生成する組織が微細化し、なお一層の靱性改善が図れる。
加速冷却条件は、冷却速度:1〜30℃/s 、冷却停止温度:650 ℃以下とするのが好ましい。
【0040】
冷却速度が1℃/s未満では、組織のなお一層の微細化は得られず加速冷却する効果が少ない。また、30℃/sを超える冷却速度は工業的に実現するのが困難である。このため、加速冷却の冷却速度は1〜30℃/s の範囲とするのが好ましい。
また、冷却停止温度が650 ℃を超えると、加速冷却の効果が小さく靭性改善効果が小さい。このため、冷却停止温度を650 ℃以下とするのが好ましい。
【0041】
【実施例】
表1に示す組成の鋼を電気炉で溶製した。なお、酸化物系介在物の組成は、主として、Ti/Alのバランスと、Ca、REM の添加量を変化して調整した。また、ノズルを用いて取鍋から溶鋼を鋳型内に注入し鋼素材とした。鋳造中のノズル内の介在物の付着状況について、鋳造後ノズル内を目視観察して介在物の付着の有無も調査した。また、円相当径200nm 以上の酸化物系酸化物はTi量およびO量の制御により分散個数を調整した。
【0042】
なお、比較例として、酸化物系介在物の組成を本発明範囲から外れて、Ti酸化物を多くするには、Al脱酸せず、かつTi/Alを大きく、CaO 、REM 酸化物を多くするには、CaあるいはREM の添加量を多くし、Al2O3 を多くするには、Ti/Alを小さくすることによった。
これら鋼素材に、表2に示す条件の熱間圧延と、圧延後冷却を施し、厚鋼板とした。
【0043】
【表1】
Figure 0004144123
【0044】
【表2】
Figure 0004144123
【0045】
これら厚鋼板について、組織調査、母材特性、および溶接熱影響部特性について調査した。
組織調査として、母材のフェライト粒径、厚鋼板中の酸化物系介在物の介在物組成、円相当径200nm 以上の酸化物系介在物の個数について調査した。酸化物系介在物の同定、個数およびその円相当径は、透過型電子顕微鏡による分析および観察によった。また、酸化物系介在物の組成の分析方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察とSEMに付属するEDXによる定量分析法によった。
【0046】
母材特性として、各厚鋼板の、板厚1/4 部より引張試験片並びにシャルピー衝撃試験片を採取し、母材の引張特性および靱性(シャルピー吸収エネルギー)を評価した。
また、溶接熱影響部(HAZ)特性として、再現熱サイクル試験を実施し、評価した。再現熱サイクル試験は、各厚鋼板の1/4 部より圧延方向と直角方向に12mm厚×75mm×80mmの試験片を採取し、これに高周波加熱装置により、入熱100kJ/cmのサブマージアーク溶接の粗粒域HAZの受ける熱サイクルをシュミレートした熱サイクル(最高加熱温度1400℃)を付与し、シャルピー衝撃試験片を採取し、−40℃におけるシャルピー吸収エネルギー(vE-40 )を求めた。
【0047】
これらの結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
Figure 0004144123
【0049】
本発明例は、鋳込時のノズル詰まり発生もなく製造でき、しかも、母材が、引張強さTSが500MPa以上という高強度と、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーvE-40 が300 J以上という高靱性を有し、さらにHAZの−40℃でのシャルピー吸収エネルギーvE-40 が150 J以上という優れたHAZ靱性を有している。
これに対し、本発明の範囲が外れる比較例は、母材靱性、溶接熱影響部靱性のいずれかが低下し、あるいはノズル詰まりが発生している。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、鋳込み時ノズル詰まりの発生もなく、母材靱性および溶接部靱性を兼ね備えた非調質高張力鋼材を安定して製造でき、産業上の格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物系介在物組成の好適範囲を示す3元状態図である。

Claims (4)

  1. 重量%で、
    C:0.01〜0.18%、 Si:0.02〜0.60%、
    Mn:0.60〜2.00%、 P:0.030 %以下、
    S:0.015 %以下、 Ti:0.005 〜0.08%、
    REM :0.0010〜0.0200%、 Ca:0.0010〜0.0200%、
    Al:(Ti%)/5以下
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で定義されるCeq が0.36〜0.45%である鋼組成を有し、かつ、重量%で、Ti酸化物:90%以下、Ca酸化物およびREM 酸化物の合計:5〜50%、Al2O3 :70%以下からなる介在物組成を有する酸化物系介在物を200nm 以上の円相当直径を有するものの個数で1×103 個/mm2 以上1×105 個/mm2 未満分散させたことを特徴とする母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材。

    Ceq (%) =C+Si/24 +Mn/6+Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14 ……(1)
    ここに、C、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、V:各元素の含有量(重量%)
  2. 前記鋼組成に加えてさらに、重量%で、V:0.03〜0.15%を含有することを特徴とする請求項1に記載の母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼。
  3. 前記鋼組成に加えてさらに、重量%で、Cu:0.02〜1.5 %、Ni:0.02〜0.06%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.02〜0.50%、Nb:0.003 〜0.020 %のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材。
  4. 前記鋼組成に加えてさらに、重量%で、B:0.0002〜0.0020%を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の母材および溶接熱影響部靱性に優れた非調質高張力鋼材。
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