JP4143693B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時刻情報を含む所定の情報を送信する電波を受信して、所定の情報を表示或いは報知すると同時に時刻情報を表示したり、当該時刻情報を正確な時刻情報に修正を行う機能を有する電子機器に関するものであり、特に、金属ケース等の金属外装部を使用した場合における電波受信性能の向上を目指した電子機器に関するものである。
【0002】
更に、詳しくは、本発明は、共振アンテナ部を金属物体の近傍に或いは金属外装部内部に配置された場合でも、当該アンテナ部の電波の受信性能を低下させない様に構成された電子機器に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【特許文献1】
実開平2−126408号公報
【特許文献2】
実開平5−81787号公報
【特許文献3】
国際公開WO95/27928号公報
【特許文献4】
ヨーロッパ特許公開第0382130号公報
【特許文献5】
特開平11−64547号公報
【特許文献6】
特開2001−33571号公報
【特許文献7】
特開2001−30524号公報
【特許文献8】
特開2001−208875号公報
【特許文献9】
実開昭57−131042号公報
【特許文献10】
特開平6−215942号公報
【特許文献11】
特開平11−74138号公報
【特許文献12】
実開昭61−203516号公報
【特許文献13】
特開2002−184637号公報
近年、タイムコードを乗せた長波の標準電波を受信して、使用中の電子機器、例えば、時計、携帯電話、無線通信機等を含む電子機器に於いて、当該電子機器に搭載されている時計回路の時刻を当該標準時の時刻に自動的に合わせる電波修正機能付きの電子機器が多数商品化されてきている。
【0004】
此処で、当該電子機器の代表的商品である電波修正機能付きの時計(以下電波修正時計と称する)を例に挙げて、従来の問題点を以下に説明する。
【0005】
処で、標準電波を受信する電波修正時計、即ち時刻情報を含む標準電波(搬送波)を受信し、この電波から時刻情報を取り出すことにより、正確な時刻を得ることのできる電波修正時計は既に知られている。この時刻情報を含む電波は、各国毎に周波数が異なり、例えば、日本では総務省、郵政事業庁の管轄下において、40kHz及び60kHzの標準電波が発信されている。
【0006】
図20は、このような電波修正時計の機能の概略を示すブロック図である。この電波修正時計は、アンテナ1、電波時計受信機2、CPU3、表示駆動部4、入力装置5等から構成されている。その他、図示していないが時分秒の各指針又は液晶等による表示部が含まれている。
【0007】
この電波修正時計においては、はじめにアンテナ1で時刻情報を含む電波を受信する。電波時計受信機2は、アンテナ1が受信した電波を増幅検波し、電波から時刻情報を取り出して出力する。CPU3は、電波時計受信機2から出力された時刻情報に基づき、現在時刻データを出力する。表示駆動部4は、CPU3から出力された現在時刻データに基づき、表示部に現在時刻を表示させる。尚、入力装置5は、例えば、CPU3に対してリセット等の操作情報を入力する際に使用される。
【0008】
電波に含まれている時刻情報(タイムコード)は、60秒周期のパルス信号であり、国によって異なるが、日本の場合は1秒ごとに、200、500、800msecのいずれかの幅を有するパルスが1つ乗っている。これらパルスの組み合わせにより、60秒で時刻情報が得られる。CPU3は、受け取ったパルス信号から1秒ごとのパルスのパルス幅を読み取っていくことにより、時刻情報(現在時刻)を取得する。そして、CPUは、取得した時刻情報により、表示駆動部4を介して表示部における表示時刻を修正する。よって、電波修正時計は、受信した時刻情報に基づき、表示時刻が所定間隔毎に修正されることにより、常に正確な時刻を表示できる。
【0009】
このような電波修正時計として、アンテナ、電波修正時計受信機、CPU、表示駆動部および表示部を、アンテナ収納体であるケースの中に収納した腕時計が、すでに提供されている。このケースの素材には、アンテナが電波を受信するために合成樹脂やセラミックなどの非導電性材料が主として用いられてきた。即ち、金属などの導電材料からなるケース内部にアンテナを収納すると、アンテナ近傍に発生する磁束が導電材料に吸い取られ、共振現象が妨げられるため、アンテナの受信機能が著しく低下してしまうからである。
【0010】
しかしながら、このようなアンテナの受信障害を避けるため、合成樹脂製のケースを用いると、ケースの耐傷性、あるいは耐薬品性の低下をまねくばかりか、装身具としての腕時計に必要とされる高級感や美観も損なわれることになる。このため、ケースに金属を用いた電波腕時計が提案されている。
【0011】
図21は、ケースの一部に金属を用いた電波腕時計の構造の一例を示す断面図である。この腕時計のケース10は、胴11と裏蓋12と風防13とから概略構成されている。バンド(図示せず)が連結される胴内部に、ムーブメント14が公知の手段で配置されている。ムーブメント14の上方には、時刻表示部である文字板15と針16が、同じく公知の手段で配置されている。そして、ムーブメント14の下方で、かつ裏蓋12の上方に位置するように、磁気長波アンテナであるバーアンテナ17が配置されている。このバーアンテナ17は、磁芯部材18と、この磁芯部材18に巻回されたコイル20とよりなり、合成樹脂製の保持部材の上面に固定されている。
【0012】
ムーブメント14は、前述した電波時計受信機、CPU、および表示駆動部を備え、導線21によってバーアンテナ17と電気的に導通される。従って、バーアンテナ17が受信した標準電波に基づいて、ムーブメント14のCPUが、表示駆動部における、図示しないギア機構を動作させて、表示部の針16の位置を常に修正するように駆動する。なお、ここで、上下方向とは、図21における上下を示している。
【0013】
胴11は導電材料で中空でない、即ちソリッド金属、たとえばソリッドステンレス鋼からなる。胴11の最上部には、非導電材料であるガラスからなる風防13が、接着等の公知の手段で固定される。文字板15は、非導電材料である合成樹脂やセラミックなどからなる。裏蓋12は、胴11に固定されたステンレス鋼からなる環状の縁枠22と、縁枠内に固定されたガラス23とからなる。このように、この腕時計は、ケースの上下面には非導電材料が視認されるものの、ケースの側面部分を金属で構成しているため、装身具としての高級感や美観を損なわないという利点がある(後述する【特許文献6】参照)。
【0014】
一方、当該電波修正時計に於いて、受信性能を決めるのはアンテナ特性と受信回路特性であると考えられて来た。
【0015】
即ち、従来からの一般的な技術知識では、受信回路若しくは受信ICの入力信号の下限は、信号振幅1μV程度が現状であり、実用的な受信性能を得る為に受信アンテナとしては、40〜50dBμV/mの電界強度(電波の強さ)に於いて信号振幅1μV程度の出力が得られなければならない。
【0016】
その為、サイズ制約がある場合、信号出力を大きく出来る共振タイプの受信アンテナを用いるのが一般的である。
【0017】
又、受信アンテナの種類としては、電波の波長が長いため磁性体コアに導線を巻き付けたバーアンテナを用いているのが一般的である。
【0018】
この様な受信アンテナに於いて、受信アンテナの出力は、概略受信アンテナの大きさに比例するので、実用的な受信性能を得るためにはあまり小さくは出来ず、腕時計の様に小型の場合受信性能や配置が問題となる。
【0019】
又、受信アンテナの出力は、金属の外装に収納すると極端に低下してしまう。
【0020】
その為、腕時計においては、電波を利用するためには、従来の時計部品構成、デザインとは全く異なる部品構成或いはデザインが必要となると共に、受信性能を阻害しない為の配慮も必要となる。
【0021】
腕時計に於いて、小型・薄型・携帯容易性、デザインの自由度、質感(高級感)は重要な問題であり、アンテナ内蔵型・金属外装が望まれている。
【0022】
従来の電波修正時計の場合、アンテナの取り付けを外装する方式か内蔵する方式が主に用いられている。
【0023】
腕時計の裏蓋・側の材料が金属の場合、一般的に受信アンテナを外装する。
【0024】
この場合、受信アンテナのケースは受信性能を低下させない様にプラスチック等の非金属を用いる為、大きく突出した形状となり、小型・薄型、携帯容易性を損なうと共にデザインの自由度が著しく損なわれる。
【0025】
又、受信アンテナを内蔵する方式の場合、受信性能を低下させないため時計外装(裏蓋・側)の材料としてセラミックスやプラスチックが用いられるが、材料の強度が小さいため時計の厚みが厚くなり、収納性、携帯容易性を損ない、デザイン上の制約も大きくなる。
【0026】
さらに、外観的に質感の低い腕時計となってしまう。
【0027】
その為、従来では、例えば、実開平2−126408号公報(【特許文献1】)に見られる様に、金属のアンテナを時計の革製のバンド内に配置したものがある。
【0028】
又、本願出願人が実開平5−81787号公報(【特許文献2】)で開示している様に、芯にコイルを巻いたアンテナを文字板と風防の間に配置し、電波を妨げる金属製のケース本体から離すと同時に、ユニークなデザインとしたもの、或いは、国際公開WO95/27928号公報(【特許文献3】)には、腕時計の時計ケースの側部にアンテナを取り付けた構成の腕時計が開示されている。
【0029】
更に、ヨーロッパ特許公開第0382130号公報(【特許文献4】)で開示されている様に、ケース上面にアンテナを例えばリング状に配置したものもある。
【0030】
然しながら、バンドにアンテナを配置した従来の構成では、バンドにアンテナが内蔵されているため電子機器本体との導通をとらなければならず、両者の接合部に十分な柔軟性を持たせることが出来ない。
【0031】
更に、電波を妨げる金属製バンドは採用できず、ゴムバンド等接続引用の時計バンドを使用しなければならず、材質及びデザインの点で制約がある。
【0032】
又、腕時計の上面あるいはその側面にアンテナを配置した構成のものは、アンテナを時計本体の金属部から離すために、時計全体の厚さ或いは大きさが増してしまったりデザイン上の制約を受けるといった問題がある。
【0033】
更に、ケース上面にアンテナをリング状に配置したヨーロッパ特許公開第0382130号公報(【特許文献4】)のものにあっては、リングの内部に金属が存在すると受信を行えなくなるため、実用上はアンテナを時計と別体にしなければならないと言う問題もあった。
【0034】
更に、特開平11−64547号公報(【特許文献5】)には、コイルを回路基板の周縁部に設けた凹陥部に配置すると同時にコアを当該回路基板の円周方向にそって湾曲状に配置した腕時計が開示されているが、製造工程が複雑となる他、製造過程の組み立て操作も煩雑となるという問題がある。
【0035】
一方、特開2001−33571号公報(【特許文献6】)或いは、特開2001−30524号公報(【特許文献7】)等には、当該腕時計の風防及び裏蓋部に、ガラス或いはセラミック等の非金属材料で構成し、その中間部には、従来どおりの金属材料を使用して、アンテナに十分な電波が到達する様に構成した腕時計が示されている。
【0036】
一方、特開2001−208875号公報(【特許文献8】)には、腕時計用の識別タグに関する技術が開示されているものであって、その基本的な技術構成は、スキー場等に於けるリフトの搭乗に際して、ユーザーの持つ腕時計内に識別用タグを設けると共に、リフト搭乗ゲートに設けられている識別手段との間で情報の交換を行って正規の搭乗者であるか否かを識別するシステムが開示されている。
【0037】
然しながら、当該公報の技術構成の基本的な技術思想は、当該識別手段から強力な高周波の電波が発信され、これに当該識別タグを有する腕時計を近接させる事によって、当該腕時計内のIC回路が活性化されて当該識別タグ情報が当該識別手段によって読み出される様に構成されている。
【0038】
つまり、当該公報では、時計内に設けられたアンテナにより当該高周波電波が受信されると当該時計内のIC回路で共振が起こりその結果当該IC回路が起電力を受けて活性化され、当該時計内の識別タグ情報が読み出されて、当該識別手段に無線で報知されるという構成となっている。
【0039】
従って、当該公報では、時計が金属外装であってもその内部に設けたアンテナが作動して上記した情報の交換が行われる事を示唆してはいますが、本願と明らかに異なる技術思想は、強力な周波数電波を発信する識別手段を設けること、当該識別タグを有する時計を当該識別手段に近接させる必要があること、当該識別手段から発信される高周波電波を十分に受信出来る様に、当該時計内に設けられるアンテナは、バーアンテナを基本とするもので、然も時計内で出来るだけ薄く且つ大きくする事が必要である事から、薄型扁平状の方形型アンテナを使用する必要があり、本願の様なアンテナ部と金属外装部との特定な関係を規定したものとは明らかに異なるものであります。
【0040】
又、実開昭57−131042号公報(【特許文献9】)には、導体部分13を挟んだC字状の強磁性体でリング状磁性体バーを使用したアンテナを設けた腕時計に関して記載されてはおりますが、当該公知例はラジオ付き腕時計のアンテナに関するものであり、当該アンテナは、腕時計の外部に配置されるものに過ぎず、本発明の様に、金属外装内部に設けられるものでは無い事は明らかであります。
【0041】
更に、特開平6−215942号公報(【特許文献10】)には、インダクタのコアを別部材で構成するという内容の記載が見られますが、その対象はチップインダクタに関するものであり、本発明の様な腕時計のアンテナとは、明らかに技術分野を事にするばかりか、目的及び技術構成も本願とは実質的に異なるものであります。
【0042】
又、特開平11−74138号公報(【特許文献11】)には、ダストコアをU字型部材とI字型部材とを組み合わせ、該U字型部材に二次コイルを巻き付けたトランスに関して記載されていますが、その対象は高圧トランスを得るというものであり、本発明の様な腕時計のアンテナとは、明らかに技術分野を事にするばかりか、目的及び技術構成も本願とは実質的に異なるものであります。
【0043】
同様に、実開昭61−203516号公報(【特許文献12】)には、コアの突合せ面を磁路垂直方向から傾斜させた構造が開示されていますが、その対象はインダクタンス素子を得るというものであり、本発明の様な腕時計のアンテナとは明らかに技術分野を事にするばかりか、目的及び技術構成も本願とは実質的に異なるものであります。
【0044】
又、特開2002−184637号公報(【特許文献13】)には、コイルのコアのギャプをテーパー状にするとか面積を変更するという内容の記載が見られますが、当該公知例は高圧トランスに関するものであり、腕時計のアンテナとは、明らかに技術分野を事にするばかりか、目的及び技術構成も本願とは実質的に異なるものであります。
【0045】
更に、同公知例には、インダクタのコアを別部材で構成するという内容の記載が見られますが、高圧トランスやチップインダクタに関するものであり、腕時計のアンテナとは、明らかに技術分野を事にするばかりか、目的及び技術構成も本願とは実質的に異なるものであります。
【0046】
即ち、上記した従来例では、受信アンテナの出力は、金属の外装に収納すると極端に低下してしまう事に基づいたものであり、裏蓋部の材質を非金属にする事で出力低下を軽減し、質感の高い金属の側を用いる事を目的としている。
【0047】
然しながら、上記の従来例では、ガラス或いはセラミックスを使用する為に、時計としての厚みが厚くなると言う問題が有った。
【0048】
従って、従来に於いては、サイズの大きな高感度のアンテナ構造体を使用するか、電波の電界強度が強い地域でしか使用出来なかったりするため、電波時計の利便性を損ねると共にデザインの設計を含めて当該アンテナ構造体の製造コストは必然的に高くなっている。
【0049】
然も、かかる構成の腕時計に於いては、確かに、アンテナへの電波の到達が確保できるとしても、当該裏蓋には、金属調のメッキを薄く施こしてあたかも金属材料を使用しているかの様な印象をユーザーに与えるものであるが、外観上からは、重量感、或いは質感がなく、高級品としてのイメージが損なわれると言う問題があった。
【0050】
更には、金属の側に受信アンテナを内蔵させている為、アンテナの出力が低下して受信性能が低下している。
【0051】
その為、従来では、高級感をもつ完全金属外装の電波修正時計は、実現されていないのが現状である。
【0052】
この様な従来技術の問題点を解決するため、本願出願人は、既に特願2002−297095に於いて、金属製の側或いは金属製の蓋部を有する時計容器の内部にアンテナを配置するとQ値が低下してその結果、当該アンテナ構造体からの出力が低下して受信性能が著しく低下するという問題が有る事を突き止め、その問題を解決するためのアンテナを特殊の構造にすることによって、アンテナ構造体のQ値の低下を極力抑制して、アンテナの受信性能の低下を防止する技術構成を提案した。
【0053】
然しながら、上記したアンテナの構造を特定化する方法では、当該アンテナ構造体における受信性能の向上には限界があることが判明したので、本願発明者等は、更に鋭意検討を行った結果、当該アンテナ構造体を含む金属外装部の構造或いは特性を特定する事によって、上記の問題が更に改良される事を知得したものである。
【0054】
更に、本願発明者等は、鋭意検討の結果、従来に於ける、電波を受信するためのアンテナ部の近傍或いは、当該アンテナ部に接触して導電性を持つ金属物体が配置されている場合には、当該電波が当該金属物体に吸収されてしまい、当該アンテナ部まで電波が到達しないので、当該アンテナ部の共振出力が低下するため、例えば、Q値が低下すると考えられていたのに対し、上記した従来に於ける当該問題点の把握が実際には誤りであって、アンテナ部の近傍或いは、当該に接触して導電性を持つ金属物体が存在している場合で有っても、当該アンテナ部は、当該電波が実質的に到達しており、非共振の場合には、外部から当該時計内部に入ろうとする外部電波による磁束の流れは、多少は減衰されるが(例えば3dB程度)実質的には、障害なく当該アンテナ部に到達すると言う事実が確認できたのである。
【0055】
問題は、当該アンテナ部が共振する際に、当該アンテナ部の磁心部から出る磁力線(磁束)が、当該金属物体に引き込まれ、そこで渦電流を発生して磁気エネルギーを減衰させる結果、当該アンテナ部からの出力が低下して受信が正常に行われないという点に問題が有る事が明らかにされたものである。
【0056】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、図21に示される従来の電波修正腕時計は、携帯使用する上での電波受信性能について大きな問題はないが、裏蓋12の縁枠22にガラス23が固定されているため、腕時計を落とす等の衝撃を与えるとガラス23が破損するという問題がある。また、裏蓋12は、腕に密接しているので、長期の使用において、汗等によりガラス23が縁枠22から外れたり、腕時計内部のムーブメント(アンテナ1、電波時計受信機2、CPU3、表示駆動部4等)に汗、水、ホコリ等が入り込み、腕時計としての機能を著しく低下させる恐れもある。
【0057】
また、裏蓋12にガラス23が設けられているので、部品点数が増えると共に組立工数も増え、コストアップをまねくという問題を有していた。また、非金属部材が外装に使用されているため、腕時計としての重厚感に欠け、高級感や外観品質にも問題を有していた。
【0058】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたもので、通常の金属ケースを使用しても、携帯上、何の支障もなく時刻情報等、所定の情報を含んだ電波を受信することができ、安定した防水品質及び高級感を有する外観品質の向上並びに一般の時計と同様のデザインバリエーションの拡大を図ることが可能な電子機器を提供することにある。
【0059】
更に、本発明は、上記した従来の問題を解決し、電波の受信性能が良好で、材質上の制約及びデザイン上の制約を受けないアンテナ部を内蔵した金属外装部を持つ電子機器を提供することを目的とするものである。
【0060】
又、本発明を当該電子機器の具体例の一つである電波修正腕時計に応用した場合に、上記目的に加えて腕時計の厚さが増してかさばるのを防ぐと共に、腕への装着感も良好となる電波修正時計を提供する事を目的とする。
【0061】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した目的を達成する為、以下に示す様な基本的な技術構成を採用するものである。即ち、本発明に於ける第1の態様としては、少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電子機器で有って、当該金属外装部は、当該アンテナ部が当該金属外装部の外部から当該金属外装部を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ、当該金属外装部の少なくとも一部の電気抵抗値が当該金属外装部のその他の部分に於ける電気抵抗値と異なる様に構成されている電子機器であり、又本発明にかかる第2の態様としては、少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電子機器で有って、当該金属外装部は、当該アンテナ部が当該金属外装の外部から当該金属外装を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ、当該金属外装部は、胴部(側部)材と裏蓋部材とから構成されると共に、当該胴部(側部)材と裏蓋部材が相互に接合されており、然も、当該胴部(側部)材と裏蓋部材との相互剥離力が、10−4N・m〜6.0N・mである電子機器である。
【0062】
又、本発明にかかる第3の態様としては、少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電子機器で有って、当該金属外装部は、当該アンテナ部が当該金属外装部の外部から当該金属外装を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ、当該金属外装部は、胴部(側部)材と裏蓋部材とから構成されると共に、当該胴部(側部)材と裏蓋部材が相互にネジ機構を解して接合されており、然も当該胴部(側部)材と裏蓋部材との相互緩みトルクが0.1N・m〜6.0N・mであり、好ましくは、0.2N・m〜3.5N・mである電子機器である。
【0063】
更に、本発明に係る第4の態様としては、上記した構成に於いて、当該金属外装部を構成する複数の部材の相互接合部の少なくとも一部に、当該金属外装部を構成する金属の電気抵抗値とは異なる電気抵抗値を有する間挿部材が介在されている電子機器であり、又、本発明に係る第5の態様としては、上記した構成に於いて、当該接合部を構成する少なくとも2個の金属製部材の一方の金属製部材に於ける当該接合面の一部を除去し、当該接合部間に間隙部を形成した電子機器である。
【0064】
【発明の実施の形態】
本発明の電子機器は、上記した様な技術構成を採用しているので、従来の時計、携帯電話、無線通信機器等の構造、材質、或いはデザイン等を大幅に変更することなく、簡易な構成を有するアンテナ部を使用して、受信性能が良好で、電子機器そのものの大きさも厚みも従来のものとは相違せず、デザインの自由度を持ち、質感の高い外装を用いた電子機器が容易に得られるのである。
【0065】
【実施例】
以下に、本発明に係る当該アンテナ部構造体及び当該アンテナ部構造体を使用した電波修正時計の一具体例の構成を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0066】
即ち、図1は、本発明に係る当該電子機器の一具体例についての構成の概略を示す断面図であり、図中、少なくともアンテナ部32、当該アンテナ部32により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置33及び当該アンテナ部32と当該情報処理装置33とをその内部に収納することが可能な金属外装部31とから構成されている電子機器30で有って、当該金属外装部31は、当該アンテナ部32が当該金属外装部31の外部から当該金属外装部31を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ当該金属外装部31の少なくとも一部の電気抵抗値が当該金属外装部31のその他の部分に於ける電気抵抗値と異なる様に構成されている電子機器30が示されている。
【0067】
本発明に於ける当該電子機器30としては、例えば、時計、携帯電話、無線通信機から選択された一つである事が好ましい。
【0068】
尚、図1に於いて、34は、当該電子機器30の機能の駆動を制御する演算手段、例えばコンピュータであり、又35は、演算処理された所定の情報を報知或いは表示する為の液晶表示手段或いはスピーカー等である情報表示・報知手段である。
【0069】
更に、本発明に於いては、当該金属外装部31は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金及び超硬金属(タングステン―カーバイド及びタンタル―カーバイドを含む合金)から選択された一つ或いは複数種の材料で構成されている事が好ましく、更には、当該アンテナ部32が共振している状況において、当該金属外装部31に発生する渦電流の発生を抑制しうる様な構成を有するものである事が必要である。
【0070】
つまり、前記した様に、本発明の技術思想の基本を構成するものは、従来にいて、金属外装部31内に設けられているアンテナ部32の受信性能が低下する原因が、当該アンテナ部が共振する際に、当該アンテナ部の磁心部から出る磁力線(磁束)が、当該金属物体に引き込まれ、そこで渦電流を発生して磁気エネルギーを減衰させる結果、当該アンテナ部からの出力が低下して受信が正常に行われないという点に有る事が明らかになったことから、当該アンテナ部32が共振する際に、当該金属外装部31に於いて出来るだけ渦電流が発生しない様な構成を当該電子機器30の金属外装部31内に導入する事が必要であると言う点にある。
【0071】
従って、本発明の上記技術思想を実現する一つの現実的な構造として、当該アンテナ部32が共振する際に、当該アンテナ部32から当該金属外装部31へ流れ込む磁束の量を減少させる様な構成を導入することであり、その一具体例として、当該金属外装部31の少なくとも一部に、その部分の電気抵抗値が当該金属外装部31のその他の部分に於ける電気抵抗値と異なる様に構成するものである。
【0072】
より具体的には、当該金属外装部の一部の電気抵抗値は、当該金属外装部の大部分を構成する他の部分の電気抵抗値よりも大きくなる様に設定する事が望ましい。
【0073】
又、本発明に於ける当該金属外装部31は、一体もので有っても良く、好ましくは、少なくとも2つの金属製部材が接合して形成されているものである。
【0074】
後者の場合には、当該金属外装部31は、例えば、胴部材或いは側部材45と裏蓋部材41とから構成されている事が望ましく、その場合には、当該胴部(側部)材45と裏蓋部材41が所定の部位に於いて相互に接合され、固着若しくは着脱自在に構成されている事が好ましい。
【0075】
一方、本発明に於ける当該金属外装部31に於いては、当該金属外装部31が、胴部(側部)材45と裏蓋部材41とが一体的に構成されている場合に於いて、当該胴部材或いは側部材45が、必要に応じて2個或いはそれ以上の複数個の副胴体部材451及び452で構成されている事も望ましく、それぞれの副胴体部材451及び452が相互に接合されている様に構成されているもので有っても良い。
【0076】
同様に、本発明に於いては、当該金属外装部31は、胴部(側部)材45と裏蓋部材41とが一体的に構成されており、且つ当該胴部材45が内胴部材と外胴部材とから構成されている場合もあり、その場合には、当該内胴部材と外胴部材とが相互に接合されているもので有っても良い。
【0077】
即ち、本発明に於ける当該電子機器30に於ける金属外装部31の接合部39とは、上記した接合部39に限定されるものではなく、当該金属外装部31の胴部材或いは側部材45に於いて、リューズ、操作ボタン、操作ピン46等、当該胴部材或いは側部材45を貫通して配置されている各操作処理機構33,34と当該胴部材或いは側部材45の貫通孔部48の内面との接合部分も本発明に於ける接合部39に含められる。
【0078】
尚、図1中、47は、例えばスイッチ回路である。
【0079】
即ち、当該胴部材45の一部に、ロッド、パイプ、ガラス、べゼル、内レジ或いは見返しから選択された少なくとも一つの挿入部材或いは当接部材が設けられている場合には、それらと当該金属外装部31の当該当該胴部材或いは側部材45との接合面も含めて、上記した全ての接合部が本発明に於ける電気的抵抗値を変化させる候補部位である。
【0080】
具体的には、例えば、当該金属外装部31を構成する複数の部材の内、一方の部材を構成する金属の電気抵抗値が他方の部材を構成する金属の電気抵抗値とは異なる様に構成されているものであり、例えば、望ましい接合部39の一つである、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との接合部39に於いて、当該胴部材45の電気抵抗値が当該裏蓋部材41の電気抵抗値と異なる様に構成するものであり、例えば、当該裏蓋部材41の電気抵抗値が当該胴部材45の電気抵抗値よりも大きくなるように構成することが可能となる。
【0081】
その場合には、それぞれの部材を構成する金属の材質を相違させる事も可能である。
【0082】
一方、本発明に於ける別の具体例としては、当該金属外装部31を構成する複数の部材に於ける相互接合部39の電気抵抗値が、当該金属外装部31を構成する金属の電気抵抗値とは異なる様に構成されているものであっても良い。
【0083】
係る具体例に於いては、当該接合部39には、例えば、適宜の間隔を有する間隙部或いは空間部を設けるもので有ってもよく、或いは、当該金属外装部31を構成する金属部材の持つ電気抵抗値よりも大なる電気抵抗値を有する材料で形成されたフィルム、板状体、接着剤等の部材からなる間挿部材49が挿入された構成を有しているもので有っても良い。
【0084】
本発明に於ける当該電子機器30に於ける当該金属外装部31での接合部39の形成方法は、当該2つの金属部材を適宜の方法で接合するものであって、その具体的方法は特定されるものではないが、例えば、ネジ式、内ネジ式、スナップ方式、溶接方式、ロウ付け方式、カシメ方式、バイヨネット方式、固相拡散接合方式等から選択された一つ或いは複数種の方式が使用される。
【0085】
又、本発明に於いては、当該接合部39は、当該アンテナ部32に出来るだけ近接して設けられる事が望ましく、逆に言うならば、当該アンテナ部32を当該接合部39の近傍に配置する事が望ましい。
【0086】
又、本発明に於いては、上記した特性を有する接合部39を当該金属外装部31内に少なくとも一箇所配置するものであるが、当該接合部39を複数個設けたものであってもよく、更には、当該接合部39を所定の幅、所定の長さ、所定の面積を持つ様に配置する事も望ましい。
【0087】
次に、本発明を当該電子機器30の一具体例である電波修正時計30に適用した場合の構成例の概略断面図を図2に示す。
【0088】
即ち、図2に於いては、金属外装部31は、胴部材45と裏蓋部材41とから構成されているものであって、当該胴部材45は、略筒状をなし、その図2中、上方の開口部の内周縁にある段部37aにパッキン44を介して風防ガラス43が取り付けられ、図2中、下方の開口部に裏蓋部材41が圧入、螺合、ネジ等の手段により当該胴部材45の周縁部と当該裏蓋部材41の周縁部との間で相互に接合されて所定の接合部39が形成されている。
【0089】
尚、図2に示す裏蓋部材41はネジ式にて胴部材45に取り付けられており、その立ち上がり部50と胴部材45の内側面37cとの間にパッキン44が挟み込まれている。
【0090】
また、胴部材45の中には、前述した図20及び図21に示す電波時計受信機2、CPU3、及び表示駆動部4等を備えたムーブメント42が収められている。
【0091】
ムーブメント42の図2中の上方には、時刻表示部である文字板35と指針36が設けられている。このムーブメント42は、金属外装部31の段部37aを形成する内方突出部37bの図中下面に文字板35が当接することにより位置決めされ、裏蓋部材41の立ち上がり部50の上面に配設された胴部材45との間に挟み込まれることで固定されている。
【0092】
また、このムーブメント42と裏蓋部材41との間には所定の空間51が設けられており、その空間51の中にアンテナ部32が配置されている。このアンテナ部32は、棒状の磁芯材38と、この磁芯材38に巻回されたコイル40とから構成されており、ムーブメント42の下面に固定されている。
【0093】
本実施例においては、胴部材45と裏蓋部材41が共にチタンからなるものを用いている。また、本発明に於ける当該具体例に於いては、当該胴部材45の厚みを1600μmに設定し、アンテナ部32から当該胴部材45の内面までの距離を2000μmに設定している。また、裏蓋部材41の裏蓋部材厚みを800μmに設定し、アンテナ部32から当該裏蓋部材41の内面までの距離を3000μmに設定している。
【0094】
上記構成からなる電波修正時計においては、アンテナ部32が受信した標準電波に基づいて、ムーブメント42内のCPU(図示せず)が、表示駆動部(図示せず)を動作させて、指針36を常に修正するように駆動する。このときに、本具体例では、胴部材45及び裏蓋部材41が金属で形成されているが、胴部材厚、裏蓋部材厚、アンテナと胴部材及び裏蓋部材との距離を、それぞれ受信感度を最良にする実験で予め定められた望ましい値に設定しているので、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度を向上させている。
【0095】
尚、当該具体例に於ける当該金属外装部31の裏蓋部材41の内面あるいは当該胴部材45の内面に、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金のような、電気抵抗率が7.0μΩ・cm以下である非磁性部材を取り付けると、利得が2〜3dB程度向上することが可能である。
【0096】
以下に、本発明に於ける当該接合部39に間挿部材49を介在させる場合に付いて詳述する。
【0097】
即ち、本発明に於ける当該電子機器30に於ける一具体例に於いては、当該金属外装部31を構成する複数の部材、例えば、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との間の相互接合部39の少なくとも一部、例えば、当該アンテナ部32に最も近接した部位に形成される当該接合部39に、当該金属外装部31を構成する金属の電気抵抗値とは異なる電気抵抗値を有する間挿部材49を介在させるものである。
【0098】
この場合には、当該金属外装部31を構成する複数の部材、例えば、当該胴部材45と当該裏蓋部材41の双方を構成する金属材料が共に同一である場合が望ましいが、異なる場合であっても構わない。
【0099】
そして、係る具体例に於いては、当該接合部39の間に挿入される当該間挿部材49を構成する材料の電気抵抗値が、当該金属外装部31を構成している全ての金属部材の持つ電気抵抗値よりも高くなる様に選択される事が望ましい。
【0100】
当該間挿部材49の材質は特に限定されないが、実質的に絶縁性のある物質で構成されている事が望ましい。
【0101】
当該接合部39は、図2及び図3に示す様に、何れも同じ部位の接合部39に於いて、パッキング部材44を介して絶縁物である当該間挿部材49を介在させた構造のものであっても良い。
【0102】
又、本発明に於ける当該具体例の接合部39の配置位置を平面的に見ると、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との相互接合部39は、通常円形或いは楕円径若しくは角型に形成されるので、当該接合部39の全周に沿って当該間挿部材49が配置されている事が望ましい。
【0103】
勿論、本発明に於いては、当該電子機器30の防水性が確保される構造を有している場合には、当該間挿部材49は、当該接合部39の周縁の一部、例えば、当該アンテナ部32の配置位置に近接した部位のみに設ける事も可能である。
【0104】
従って、本発明に於ける当該間挿部材49は、当該接合部39の間に固定されて配置されているものである。
【0105】
又、本発明に於ける当該間挿部材49の介在部位は、上記具体例に限るものではなく、前記した様に、全ての接合部39に於いて実現可能であり、例えば、当該胴部材45とべゼル部との嵌合部に形成されている接合部や、上胴と下胴、或いは、内胴と外胴との接合部等にも当該間挿部材49を配置させる事が出来る。
【0106】
本発明に於いて使用される当該間挿部材49は、当該金属外装部31を構成する一つ或いは複数の部材の何れとは別体に形成された部材である事が望ましく、例えば、合成樹脂、ゴム(有機物)からなるフィルム状或いは膜状のものであってもよく、或いは酸化物等の絶縁物或いは酸化膜を有する薄膜部材、更にはインキ、塗料、接着剤、ペーストを使用することも可能である。
【0107】
更に、本発明に於いて使用される当該間挿部材49は、当該金属外装部31を構成する一つ或いは複数の部材の少なくとも一方の部材であって、少なくとも当該接合部39に当接する当該部材に形成された膜体であっても良い。
【0108】
即ち、当該膜体は、当該金属外装部31を構成する一つ或いは少なくとも一部の部材に適宜の表面処理及び/又は硬化処理を施して形成されたものであっても良い。
【0109】
当該表面処理は、例えば、湿式メッキ方式、乾式メッキ方式及び熱処理から選択された一つの方式であっても良い。
【0110】
本発明に於いて使用される当該間挿部材の電気抵抗値は、当該金属外装部材を構成する複数の部材の電気抵抗値よりも大きい事が望ましい。
【0111】
上記した本発明による効果を説明するならば、前記した様に従来の構造に於いては、図4(A)に示す通り、電子機器30の金属外装部31が円形をしているとして、当該金属外装部31は図4(B)に示す様に胴部材45と裏蓋部材41とで構成され、その両者がネジ部52で相互に嵌合固定されており、従って、当該ネジ部52の相互嵌合面S1と当該胴部材45と裏蓋部材41との接合面S2で本発明に於ける接合部39が形成されている。
【0112】
従って、当該胴部材45と裏蓋部材41との接合面S2により形成されている当該接合部39は、図4(A)に示す様に円環状に形成されており、当該アンテナ部32が当該接合部39の一部に近接して配置されている例を考えると、図4(B)に示す様に、当該アンテナ部32が共振している状態では、当該アンテナ部32の磁心部38の両端から発生する磁束による渦電流54が矢印A、B、Cの様に発生し、渦が発生する事になるが、図3では、一部ゴムパッキン44を介して相互に当接している当該裏蓋部材41と当該胴部材45との間に絶縁部材からなる間挿部材49を介在させているので、図4(B)に示す渦電流Cがなくなるので、渦電流の総合的量が低減され、エネルギーの損失は低減される事になる。
【0113】
次に、本発明に於ける当該電子機器30に於ける他の具体例に於いては、当該金属外装部31を構成する複数の部材、例えば、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との間の相互接合部39の少なくとも一部、例えば、当該アンテナ部32に最も近接した部位に形成される当該接合部39の少なくとも一部に、非接合部が形成されている構成を採用するものである。
【0114】
つまり、本具体例に於いては、当接合部39に当該金属外装部31を構成する金属材料の持つ電気抵抗値よりも高い電気抵抗値を持たせるために、上記した間挿部材49の代わりに、空気を介在させる間隙部55を形成するものである。
本発明に於ける当該具体例に於いて、当該間隙部55は、当該接合部39を構成する少なくとも2個の金属製部材の少なくとも一方の金属製部材に於ける当該接合面の一部を除去し、当該接合部39間に間隙部55を形成したものである。
【0115】
本発明に於ける当該間隙部55は、当該接合部39を形成している対向する2種の金属部材の接合面の内、一方の側の接合面を適宜の幅或いは長さ或いは厚みだけ削除して非接触状態部を形成するものである。
【0116】
或いは、上記した具体例に於ける当該間挿部材49の一部を削除して間隙部55を形成したものであっても良い。
【0117】
本発明に於ける当該具体例で使用される当該間隙部55の高さは、或いは間隙幅は、例えば0.1乃至1000μmであることが望ましく、更に好ましくは、60乃至160μmである。
【0118】
当該間隙部55は、例えば、図6(A)に示す様に、当該金属外装部31を構成する当該裏蓋部材41と当該胴部材45との接触部39の一部を削除して形成するもので有って、図6(A)の具体例では、裏蓋部材41のみを一部除去して間隙部55を形成したものであり、その平面図である図6(B)に示す様に、当該間隙部55は、環状に形成されている当該接合部39の接合面の一部56に当該接合部39の非接触部を形成したものである。
【0119】
図6(B)に示す様に、当該間隙部55は、当該アンテナ部32の近傍に設けられる事が望ましい。
【0120】
又、本発明に於ける別の具体例に於いては、当該金属外装部31に於いて、当該金属外装部31を構成する例えば、当該胴部(側部)材45と裏蓋部材41とが図4(B)に示す様に、ネジ機構52により相互に接合され、当該相互のネジ面が接合部39を形成している場合には、当該ネジ機構52の一部を削除して間隙部55を形成しているもので有ってもよい。
【0121】
つまり、図7(A)に示す様に、当該ネジ機構で構成されている接合部39の少なくとも一方のネジ機構52の一部のネジ機構部を削除して間隙部55を形成するものであっても良い。
【0122】
又、本具体例に於いては、図7(B)に示す様に、当該間隙部55は、当該アンテナ部32の近傍に設けられる事が望ましい。
【0123】
即ち、図7(A)の具体例では、当該胴部材45のネジ機構52の一部が切り取られてそれと係合していた当該裏蓋部材41側のネジ機構と当該胴部材45の側面との間に間隙部55が形成されている構成が示されている。
【0124】
その平面的な形状は図7(B)に示す様に、当該間隙部55は、ネジ機構による接合面が環状に形成されている当該接合部39の接合面の一部56に当該胴部材45のネジ機構52の一部を切り取って当該接合部39の非接触部を形成したものである。
【0125】
又、図7の具体例は、上記した間挿部材49と間隙部55とを同時に併用した構成の例を示すものである。
【0126】
尚、上記した間隙部55を使用する具体例に於いては、当該間隙部55の空間部が空気で充満されるので絶縁効果を発揮する事が可能であり、当該接合部39間に間挿部材49を挿入した場合と同等の効果を発揮しえるのである。
【0127】
又、本具体例に於いては、当該間隙部55の内部空間に上記した絶縁物を挿入する事も可能である。
【0128】
当該間隙部55は、図7に示す様な部位に限定される事は無く、前記した様に、当該金属外装部31に形成される少なくとも2個の金属材料部材が何らかの形で接合している部位の何れかにも適用出来るものである事は言うまでも無い。
【0129】
かかる事実を立証するため図31に示す実験結果を提示しておく。
【0130】
図31の実験では、環状に形成されている当該金属外装部31に於ける当該裏蓋部材41と当該胴部材45との接合部39に間隙部55が形成されていない場合(実験1:cut無し)に於けるアンテナ特性値を測定すると共に、当該接合部39に於けるアンテナ部近傍に当該間隙部55を設けた場合(実験2)及び当該接合部39に於けるアンテナ部と反対側の部分に当該間隙部55を設けた場合(実験3)のそれぞれに関して周波数をそれぞれ2種類ずつ選択してアンテナ特性値を測定した。
【0131】
図31の実験結果から判断すると、当該間隙部55が設けられる位置によってアンテナの特性に大きな差異がないが利得に関しては、いずれもカット無し、つまり間隙部55が無い構造のものに比べて効果がある事が理解される。
【0132】
次に、上記した本発明に於ける電子機器30の当該金属外装部31に配置される当該間挿部材49或いは当該間隙部55若しくはその双方の配置位置と当該金属外装部31内に配置される当該アンテナ部32との位置関係の具体例を詳細に説明する。
【0133】
先ず、本発明に於いて使用される当該アンテナ部32の構造としては特に限定されるものではないが、好ましくは、図1から図7に示す様に、当該アンテナ部は、当該金属外装部31の最大径部長よりも短い最大長手方向長を有する直線状或いは湾曲状の棒状体からなるコイルが巻かれた磁心を有しているものである事が望ましい。
【0134】
勿論、本発明に於いては、当該磁心は、環状或いは、閉鎖ループ状に形成されているものであっても良く、例えば、図14に示す様な構成を有するアンテナ部32を使用することも可能である。
【0135】
そして、本発明に於いては、上記した様に、図4乃至図7に示す通り、当該アンテナ部32は、当該金属外装部31の外周縁部近傍、具体的には、上記接合部39の近傍部に配置されている事が好ましい。
【0136】
一方、当該アンテナ部32を当該金属外装部の内部に配置する場合には、基本的には、当該アンテナ部32を当該金属外装部に於ける外周縁部39の近傍のいずれかの部位に配置されるものであれば良い。
【0137】
一方、本発明に於ける目的を最大限に発揮する為には、上記各具体的で説明した通り、当該アンテナ部32が、当該間挿部材49若しくは当該間隙部55が配置されている部位の近傍に配置されている事が望ましい。
【0138】
より具体的には、当該金属外装部31の当該間挿部材49若しくは当該間隙部55は、所定の長さを有する当該アンテナ部32の磁心部の両端部と当該金属外装部31の中心部とで形成される扇形領域57内に包含される当該接合部分56に図6に示す様に連続的或いは図8(A)の60に示す様に間歇的に形成されているもので有って、当該アンテナ部32は係る当該間挿部材49若しくは当該間隙部55が配置されている部位に近接して設けるものである。
【0139】
本発明に於ける当該扇形領域57の長さは、当該アンテナ部32の磁心長Aと当該アンテナ部32の配置位置により決定されるものであり、従って、当該アンテナ部32の配置位置は、当該アンテナ部32の磁心長Aと当該接合部39の角度の比率(B/A)で表される範囲内に配設することが望ましい。
【0140】
図32(A)には、当該アンテナ部32が当該金属外装部31の内部に配置されている例が示されており、又、図32(B)には、所定の長さAを有する当該アンテナ部32を当該金属外装部31の中心部から当該間隙部55の方向に沿って移動させた場合の当該間隙部55の長さ、つまり当該扇形領域57の長さB及びその際の角度との関係を示した図であり、又図32(C)は、当該扇形領域57の長さBの当該アンテナ部32の長さAに対する比率の一例が示されている。
【0141】
つまり、当該扇形領域内に接点を設けない場合の当該扇形領域内の中心角度範囲が30〜180度である事が望ましい場合には、当該角度の比率(B/A)は0.64〜2.5である事が必要であり、同じ条件に於いて当該扇形領域の中心角度範囲が50〜120度である事が望ましい場合には、当該角度の比率(B/A)は1.05〜2.16である事が必要である事が理解される。
【0142】
更には、当該扇形領域内の中心角度が10度以下の範囲で当該扇形領域内に接点を設けない場合は、当該角度の比率(B/A)は0.21以下である事が必要である事が理解される。
【0143】
従って、図32(C)のデータと図5(B)に示す好ましい角度範囲の情報とを総合して、所定の長さを持つアンテナ部32の好ましい配置位置を推測する事が可能となる。
【0144】
本発明に於ける当該扇形領域57の角度範囲は、30から180度、好ましくは50〜120度、より好ましくは60〜90度である事が望ましい。
【0145】
此処で、本願発明者等は本発明に於ける当該扇形領域57の中心角度の好ましい範囲を検討する為に、図5(A)に示す様な本発明の具体例を作成し、且つ図6(A)に示す様なネジ山部分を切除する扇形領域57の中心角度(θ)を変化させた場合のアンテナ利得(dB)の変化状況を測定し、その結果を図5(B)に示した。
【0146】
図5(B)のグラフから明らかな通り、当該ネジ部分に於ける当該接合部39の切除領域の角度が増加するにつれて当該アンテナ部32の利得(dB)も増加しており、従って、検査した角度範囲に於いて本発明の効果が得られる事が理解出来るが、好ましくは30〜90度、より好ましくは60〜90度である事が望ましい事が理解される。
【0147】
又、図8(A)に示された本発明の一具体例に於いては、上記した扇形領域57の一部に、例えば、当該扇形領域57の中央線から左右に5度ずつ10度の角度範囲内に当該ネジ山部を切除せずに当該ネジ山部を残存させるか、或いは、当該間挿部材49を挿入しないで当該接合部39を残した状態にした場合の当該アンテナ部32の特性と当該120度の中心角度内の接合部39を全て除去した場合とを従来の構造、つまり全ての接合部に切除部を設けないか或いは間挿部材49を挿入しない場合と比較して見ると、後者の構成に於いては、従来の構成に比べて、かなりの効果があるが、前者の構成では、従来の構成に比べて、多少の効果があるが後者の構成に比べてその効果は少ないといえるが、実用的な効果はある。
【0148】
本発明に於いては、上記した扇形領域57と対応しない位置に当該アンテナ部32を配置しても良い事は上記説明した通りである。
【0149】
次に、本発明に於いて使用される当該アンテナ部32の好ましい構成に付いて以下に説明する。
【0150】
即ち、本発明に於いて使用されるアンテナ部32としては、基本的にはバーアンテナであって、当該アンテナのL値が、1600mH以下である特性を有するか、或いは当該アンテナの巻き線抵抗が、1KΩ以下であるアンテナ部である事が望ましく、更には、当該アンテナの巻き線数が、1000回以上であるアンテナ部である事が望ましい。
【0151】
以下に、本発明に係る当該アンテナ構造体の好ましい具体例の構成を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0152】
即ち、図9は、本発明に係るアンテナ部32の一具体例を示す模式平面図であって、図中、少なくとも側部45及び裏蓋部41の双方が金属で構成されている時計内部に配置される電波を受信出来るアンテナ部32が示されている。
【0153】
処で、上記した従来例では、アンテナ部を金属製の側或いは蓋等の金属製外装部内に挿入配置させた場合、当該アンテナ部により発生する共振現象(磁力→電力→磁力→・・・・)が金属外装によって阻害されてしまう為、つまり具体的には、当該共振現象によって発生する磁力が金属部に吸い寄せられ、渦流現象を起こし、磁力の殆どが消費されてしまうという結果(鉄損の影響による)、当該アンテナ部の利得及びQ値が大幅に減少してしまい、金属外装内にアンテナ部を配置させた電波修正時計が実用化に問題が有った。
【0154】
一方、一般的にアンテナ部に於いては、巻き線の巻数が増えると利得が向上するが、ある一定の巻数になると巻き線抵抗(銅損)が大きくなり、利得が減衰していく事が判っている。
【0155】
つまり、アンテナ部の出力は、ファラデーの法則による出力とアンテナ部の共振現象によって発生する出力によって成り立っているので、当該アンテナ部を金属外装内に挿入すると、Q値が大幅に減少するため、利得も大幅に減少している。
【0156】
換言すれば、通常、金属物体が近傍に存在しない場合には、当該アンテナ部の利得の殆どは上記した共振現象によって得られる利得が殆どであり、アンテナ部の巻き線抵抗(銅損)が増大すると共振現象の妨げになり、利得(Q値)の低下の原因となるため、極端に巻き数を増やしたり、巻き線を細めたりする事が出来なかった。
【0157】
一方、当該アンテナ部を金属外装内に入れた場合、鉄損(金属外装)による影響が大きいため、Q値は大幅に減少し、利得も大幅に減少する。
【0158】
その為、本願発明者は、従来の考え方を変換し、アンテナ部を金属製の外装内で使用する際には、当該Q値の低下は避け得ないものとの前提に立って、当該アンテナ部の利得を向上させる方法を鋭意検討したものである。
【0159】
つまり、本発明に於いては、当該アンテナ部を金属外装部内に挿入配置するに際して、従来の様にQ値(共振現象)による増幅率で利得を得るのではなく、ファラデーの法則によって得られる利得を如何に最大限に利用しえるかを追及した結果、知得した技術思想に基づくものである。
【0160】
上記した技術思想を確認するため、本願発明者らは、先ず、図10に示す様な所定のアンテナ部の持つL値(mH)と当該アンテナ部の利得(dB)との関係を測定する実験を行った。
【0161】
即ち、図10に於いては、所定のアンテナ部を金属外装部に挿入しない状態で、77.5KHzの電波を受けた際のL値と利得(dB)との関係をグラフAに示し、同一構造のアンテナ部を金属外装部に挿入した状態で、77.5KHzの電波を受けた際のL値と利得(dB)との関係をグラフBに示した。
【0162】
尚本実験では、通常の直線状コア部に通常の方法で巻き線を巻き付けたものであり、L値の変化は、巻き線数の変更、巻き線抵抗の変更等で調整した。
【0163】
図10から判るように、金属外装に挿入されていないアンテナ部に於いては、当該L値が増加するに連れて利得は増加するが、当該L値が約10mHを越えると徐々に飽和するが、金属外装に挿入されているアンテナ部に関しては、上記した様な飽和現象はなく、利得はL値の増加に比例してリニアに増加する事が判る。
【0164】
即ち、上記実験結果から、当該アンテナ部を金属外装に入れた場合には、共振現象による利得の低下は顕著であるが、ファラデーの法則による部分の利得の減衰レベルは微小である事を示している。
【0165】
本発明者等は、更に検討を加えた結果、図10の結果から、金属外装部の中で使用されるアンテナ部32では、L値が増加すると直線的に利得が向上することから、巻き線の巻数を多くしてL値を大きくする事が望ましいと判断される。
【0166】
然しながら、アンテナ部の巻数を増やすと、アンテナ部自体の容量が増加するので、アンテナ部の共振点に関して制約が発生するので上限は、必然的に決る事になる。
【0167】
そこで、本発明者等は、アンテナ部の巻き線の容量が通常10pF程度と考え、又、使用される周波数帯は、最も低いもので40KHzであることから、この容量と上記周波数を基に当該アンテナ部32のL値を式f=1/2π√LCから求めると約1584〜1600mH程度であり、したがって,L値が1600mH以下で使用する事が望ましいと判断した。
【0168】
又、実際には、当該アンテナ部の巻き線容量以外にも実装基板、受信ICの寄生容量を含めると、当該寄生は約20pFと考えられるので係る状況では、当該L値は、792から800となると判断されるので、当該L値が800mH以下であるアンテナ部32を使用する事が望ましい。
【0169】
更に、現実的に考えると、使用する周波数帯で、現存する最も高い周波数帯は、77.5KHz(ドイツ)であり、この周波数帯を使用する事を前提に判断すると、その状況下に於ける当該アンテナ部32の当該L値を上記容量と周波数を基に求めると約211から220mHとなり、当該L値が220mH以下であるアンテナ部32を使用する事が望ましい。
【0170】
尚、本発明に於ける当該アンテナ部32に於ける当該L値の下限値は、約20mHであることが望ましい。
【0171】
これは、アンテナ部に求められる最低出力は受信ICの能力によって異なるが、アンテナ部に求められる最低出力を50dBとすると、図10よりL値の下限は25mHであり、更にアンテナ部に求められる最低出力を51dBとすると、図10よりL値の下限は20mHで、更にアンテナ部に求められる最低出力を52dBとすると、図10よりL値の下限は15mHである事が望ましいと考えられる。
【0172】
上記した本発明で好ましいと判断されたL値の値は、従来に於ける電波修正時計に於けるアンテナ部のL値が、せいぜい2乃至13mHである事を勘案すると極めて特異な値である事が理解される。
【0173】
次に、本発明者等は、当該アンテナ部に於ける巻き線の巻線数(T)と利得(dB)との関係を検討し、その結果を図11に示す。
【0174】
即ち、図11に於いては、図10の実験と同様に、所定のアンテナ部を金属外装部に挿入しない状態で、77.5KHzの電波を受けた際の当該アンテナ部32の巻き線数(T)と利得(dB)との関係をグラフCに示し、同一構造のアンテナ部を金属外装部に挿入した状態で、77.5KHzの電波を受けた際の巻き線数(T)と利得(dB)との関係をグラフDに示した。
【0175】
図11から判るように、金属外装に挿入されていないアンテナ部に於いては、当該巻き線数(T)が増加するに連れて利得は増加するが、当該巻き線数(T)が1000を越えると徐々に飽和するが、金属外装に挿入されているアンテナ部に関しては、上記した様な飽和現象はなく、利得は巻き線数(T)の増加に比例してリニアに増加する事が判る。
【0176】
従って、本発明に於いては、外装部の側部若しくは蓋部の少なくとも一方が金属である電波修正時計或いは外装部の側部及び蓋部が金属である電波修正時計に於いて、当該アンテナ部32の巻き線数(T)が、1000T以上とすることが望ましいと判断される。
【0177】
更に、図11から理解される様に、当該アンテナ部32を金属製の外装部にいれずに単体で使用した場合には、当該巻き線数(T)が1500以上で利得の増加率が飽和しているが金属外装内に当該アンテナ部32を配置した場合には、当該巻き線数(T)が1500以上でもリニアに利得が増加することを示していることから、外装部の側部若しくは蓋部の少なくとも一方が金属である電波修正時計に於いては、当該アンテナ部32の巻き線数(T)は1500以上であることがより効果的であると判断される。
【0178】
一方、当該アンテナ部の巻き線数(T)を増大していくとアンテナ部抵抗値が増加してくるので、当該巻き線数(T)もその上限には限界がある。
【0179】
そこで、本願発明者等は、図12に示す通り、当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)と利得及び当該巻き線抵抗(Ω)と当該アンテナ部を金属外装部に近接させた場合とさせない場合とに於ける利得差との関係を検討するための実験を行った。
【0180】
即ち、図12に於いては、図10の実験と同様に、所定のアンテナ部を金属外装部に挿入しない状態で、77.5KHzの電波を受けた際の当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)と利得(dB)との関係をグラフEに示し、同一構造のアンテナ部を金属外装部に挿入した状態で、77.5KHzの電波を受けた際の巻き線抵抗(Ω)と利得(dB)との関係をグラフFに示した。
【0181】
又、当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)と利得及び当該巻き線抵抗(Ω)と当該アンテナ部を金属外装部に近接させた場合とさせない場合とに於ける利得差との関係をグラフGに示した。
【0182】
図12に於ける実験に於いては、当該巻き線抵抗(Ω)値の調整は、図12(B)に示す様に、抵抗値を適宜組み替えて実施した。
【0183】
図12(A)から理解される様に、金属外装なしの当該アンテナ部32単体での使用時でも、又当該アンテナ部32を金属外装内に配置した場合の何れに於いても、当該巻き線抵抗(Ω)の増大に伴って、利得が低下することが示されている。
【0184】
そして、上記グラフEとFとの間に於ける利得差を示すグラフGを見ると、当該巻き線抵抗(Ω)の値が1KΩ以上となると、当該アンテナ部32を金属外装を使用しない場合と金属外装内部で使用した場合に於ける利得の差の変化がなくなり、利得差が約3乃至4dB近辺で一定となる事が理解できる。
【0185】
これは、従来に於ける、電波を受信するためのアンテナ部の近傍或いは、当該アンテナ部に接触して導電性を持つ金属物体が配置されている場合には、当該電波が当該金属物体に吸収されてしまい、当該アンテナ部まで電波が到達しないので、当該アンテナ部の共振出力が低下するため、例えば、Q値が低下すると考えられていたのに対し、本願発明者等の鋭意検討の結果、上記した従来に於ける当該問題点の把握が実際には、誤りであって、アンテナ部の近傍或いは、当該に接触して導電性を持つ金属物体が存在している場合で有っても、当該アンテナ部は、当該電波が実質的に到達しており、非共振の場合には、外部から当該時計内部に入ろうとする外部電波による磁束の流れは、多少は減衰されるが(例えば3dB程度)実質的には、障害なく当該アンテナ部に到達すると言う事実が確認できたが、この事実と符合する。
【0186】
問題は、当該アンテナ部が共振する際に、当該アンテナ部の磁心部から出る磁力線(磁束)が、当該金属物体に引き込まれ、そこで渦電流を発生して磁気エネルギーを減衰させる結果、当該アンテナ部からの出力が低下して受信が正常に行われないという点に問題が有る事が明らかにされたものである。
【0187】
上記問題点を更に詳細に説明するならば、例えば、図4に於いて、時計30の金属外装部31、つまり裏蓋部材が金属材料で形成されており、電波受信用のアンテナ部32が当該金属外装部31内に配置されて、電波を受信しようとする場合に、外部から当該時計30内部に入ろうとする外部電波による磁束Jの流れは、多少は減衰されるが(例えば3dB程度)実質的には、障害なく当該アンテナ部32に到達するが、電波の磁束を受け、当該アンテナ部32が共振する際、つまり電気エネルギーと磁気エネルギーとの間で交互にエネルギーの状態変換が実行される間では、当該アンテナ部32に於ける磁心38の端部から出力される共振磁束の流れA、B、Cが、当該金属材料である金属外装部31に引き込まれ、そこで、渦電流が発生して当該共振磁束の流れ7のエネルギーを吸収させることになり、その結果、当該アンテナ部32からの共振出力が低下すると言う事が判明したものである。
【0188】
即ち、当該アンテナ部32の出力特性値をQ値で定義すると、当該Q値は、当該アンテナ部32への入力に対する出力の比率を示すもので、Q値=100は、入力1に対して出力が100となる出力特性を有している事を示すものであり、当該Q値の値が高い程、アンテナ部として優れていると判断される。
【0189】
つまり、当該Q値は、その値が高い程、アンテナ部としての性能は良いと判断される事になり、換言すれば、エネルギー損失の程度の大小を示す指標でもある。
【0190】
尚、Q値の測定方法の一具体例は、例えば、本願出願人が既に出願している特願2002−264985号の明細書に記載されている方法を利用する事が可能である。
【0191】
以上の結果から、巻き線抵抗(Ω)の値が1KΩ以下であれば、金属外装内で使用するアンテナ部32の利得への効果の寄与が当該アンテナ部32を金属外装を使用しない場合の利得への効果の寄与よりも大きいと考えられるので、本発明に於ける当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)は、1KΩ以下であることが望ましい。
【0192】
一般に、時計の厚さは10mm程度と考えられ、アンテナ部の巻き線の幅を20mm、巻き芯厚1mm、巻き線の太さを導体径60μm、導線径65μm、巻き線抵抗を1KΩと考えた場合、巻き線の巻ける回数は25000Tが限界である。
【0193】
より詳細には、図10のデータの巻き線数をそのサンプルの巻き線抵抗値に置き換え、図12のデータと合わせた図13に示す様に、当該所定のアンテナ部32を金属外装部に挿入しない状態で、77.5KHzの電波を受けた際の当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)と利得(dB)との関係をグラフHに示し、同一構造のアンテナ部を金属外装部に挿入した状態で、77.5KHzの電波を受けた際の巻き線抵抗(Ω)と利得(dB)との関係をグラフIに示した。
【0194】
かかるグラフH,Iは、実質的に図12のグラフEとグラフF実質的に同じである。
【0195】
一方、図13に於けるグラフJは、上記と同一構造のアンテナ部であって巻数(T)を1000〜2000Tに変化させた場合で且つそれを金属外装部に挿入した状態で、77.5KHzの電波を受けた際の巻き線抵抗(Ω)と利得(dB)との関係を示したものであり、巻き線抵抗(巻き線数)が上昇すると利得が向上する事を示している。
【0196】
又、グラフKは、上記グラフJの近似曲線である。
【0197】
一方、グラフMは、上記したグラフIにより示される、巻き線抵抗(Ω)が増える事によって減少する利得の割合と、巻き線数(T)の増加により巻き線抵抗Jが増加する事によって増加する利得とのバランスを示すグラフである。
【0198】
図13の当該グラフMから明らかな様に、当該利得の増加と減少とのバランスが、巻き線抵抗(Ω)が396Ω近辺より高くなるに連れて飽和している事が理解出来、従って、巻き線抵抗(Ω)が400Ω以上となる様な巻き線を実行しても効果は得られない事が判る。
【0199】
従って、本発明に於ける当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)は、400Ω以下であることが望ましい。
【0200】
更に、本発明に於いては、金属外装を使用した場合に於いて、当該アンテナ部32の利得が高く且つ変化の少ない領域で使用する事が最も効率の良い方法である事を考えると、図12のグラフFから理解される様に、当該アンテナ部32の巻き線抵抗(Ω)が100Ω以下の状態で使用する事が望ましいと考えられる。
【0201】
尚、本発明に於ける当該アンテナ部32に於ける当該巻き線抵抗(Ω)の下限値は、約18Ωであることが望ましい。
【0202】
つまり、アンテナ部の求められる最低出力をー51dBとすると、図11より巻き線数は1400Tであり、これを一般的な導体径100μm、導線径110μmの太さの巻き線で巻き線部の幅を20mm、巻き芯厚1mmのアンテナ部に巻いた場合、巻き線抵抗は18Ω程度となり、導体径80μm、導線径85μmの太さの巻き線にした場合、巻き線抵抗は22Ω程度となり、導体径65μm、導線径70μmの太さの巻き線にした場合、巻き線抵抗は30Ω程度となり、導体径60μm、導線径65μmの太さの巻き線にした場合、巻き線抵抗は38Ω程度となり、このあたりが限界であると考えられる。
【0203】
ちなみに、従来に於ける電波修正時計に於けるアンテナ部の巻き線抵抗(Ω)はせいぜい20Ω程度であり、本発明に於ける巻き線抵抗(Ω)は、従来のレベルよりも著しく高い巻き線抵抗(Ω)を使用するものである。
【0204】
以上の実験結果から、本発明に於いては、金属外装部内にアンテナ部32が配置されている場合には、当該アンテナ部の巻き線抵抗(銅損)が増大してもQ値の低下は微小であり、換言すれば、線径が細くても巻数が同じであれば当該Q値及び利得Gの変化は少ない事になる。
【0205】
一方、当該アンテナ部32のアンテナ部の利得は、巻き数が増える事によって向上する。
【0206】
その結果、当該アンテナ部を金属外装内に配置させた場合、巻き線を細くし、且つ巻数を増やす様に設計することによって利得を改善させる事が可能となる。
【0207】
又、従来に於ける当該アンテナ部32を金属外装部内に挿入しない態様に於いては、巻き線の径が太い場合、例えば、巻き線径が0.1mmφで低い抵抗値を示す巻き線を使用する方が、細い巻き線径を有する場合、例えば、巻き線径が0.06mmφで高い抵抗値を示す巻き線を使用する方より良好な利得特性を示すが、本発明に於ける様に、当該アンテナ部32を金属外装部内に配置する場合には、その利得特性における相違は見られない。
【0208】
従って、本発明に於いては、細い巻き線を使用してアンテナ部32を構成することが望ましく、それによって、より小さい寸法のアンテナ部32を形成することが可能となる。
【0209】
従って、本発明に於ける当該アンテナ部の他の態様としては、当該巻き線は、0.1mmφ以下好ましくは0.06mmφの線径を有している事が好ましい。
【0210】
上記した本発明にかかるアンテナ部32は、通常の直線形状のアンテナ部コア部に当該巻き線を所定の巻き線数(T)巻き付けた形状を基本とするものであるが、当該アンテナ部32の構成は、これに限定されるものではなく、如何なる形態を持ったアンテナ部でも適用可能であり、特には、本願出願人が先に出願している特願2002−297095において開示されているアンテナ部の構成に適用することも可能である。
【0211】
又、本発明に於ける当該アンテナ部32と当該金属外装部31との構成上の関連性及び双方の配置関係も本発明に於いては重要なファクターである。
【0212】
従って、以下に本発明に於ける当該アンテナ部32と当該金属外装部31との構成上の関連性及び双方の配置関係に付いて、好ましい条件を詳細に説明する。
【0213】
即ち、本発明に於ける当該電子機器30に於いて、当該金属外装部31の内部に内蔵されるアンテナ部32と当該金属外装部31とは、当該金属外装部の胴部材厚即ち、胴部材45の厚み又は当該裏蓋部材41の厚みである裏蓋部材厚と、アンテナ部から胴部材45又は裏蓋部材41までの距離を、受信感度に基づいて設定する事が望ましい。
【0214】
このように胴部材厚又は裏蓋部材厚とアンテナから胴部材45又は裏蓋部材41までの距離を受信感度に基づいて設定すると、金属材料に起因するアンテナ近傍での共振現象の乱れを低減することができるため、金属外装部31であっても受信感度を向上させることが可能となる。これにより、電波修正時計であっても胴部材、裏蓋部材、ベゼル等にチタン、ステンレス鋼等を使用することができるようになり、受信感度を低下させることなく、電波時計の機構上及び外観上の機能を向上させることができる。
【0215】
また、胴部材45又は裏蓋部材41の材質、裏蓋部材の形状、アンテナ部32と胴部材45又は裏蓋部材41との位置関係、非磁性部材の付加等により、更に受信感度を向上させることもできる。尚、胴部材厚又は裏蓋部材厚とアンテナから胴部材45又は裏蓋部材41までの距離等に関しては、実験による検証を重ねることで得られた最も効果的な値を求めた。
【0216】
以下図面に基づいて本発明で使用される当該金属外装部31と当該アンテナ部32との構成条件に関して具体的説明する。
【0217】
はじめに、受信感度と時計ケースとの関係を調べるため、図15(A)及び図15(B)に示すように、胴部材45の胴部材厚T1、アンテナ部32と胴部材45の内面との距離D1、裏蓋部材41の裏蓋部材厚T2、アンテナ部32と当該裏蓋部材41の内面との距離D2をパラメータとして選定し、この4つのパラメータとアンテナ部32が受信した信号のピーク高さである利得との関係をそれぞれ実験から求めた。
【0218】
尚、以下に示す各実験における胴部材45、アンテナ部32、裏蓋部材41は、時計を含む電子機器30として用いることを前提として形成した実験用のものを使用した。
【0219】
また、胴部材45と裏蓋部材41の材質としては、加工性の良さ、耐久性、耐食性、製品としての外観品質の良さ、価格等を考慮してステンレス鋼、チタン、チタン合金、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金及び超硬金属としてタングステンカーバイド及びタンタルカーバイドを含む合金を選定したが、何れの実験においても数dBの利得の上下はあったが、各パラメータと利得との関係(グラフ曲線形状)にはほぼ変化がなかったため、以下に示す各実験では何れもステンレス鋼(特に、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましいため、例えば、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等)を胴部材45と裏蓋部材41に使用した場合の数値を示している。
【0220】
第1の実験では、胴部材厚T1を0〜5000μmに変化させたときの受信した信号の利得を計測した。この実験においては、胴部材45内に設置されるアンテナとして導体径65μm巻き線数1500の実験用アンテナを使用し、胴部材45とアンテナ部32との距離を1000μmで一定に設定し、裏蓋部材41として裏蓋部材厚800μmのものを使用し、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離を100μmで一定に設定し、所定位置に設置された送信アンテナから40kHzの信号を送信する実験を行った。
【0221】
この結果、図16に示すように、受信した信号の利得は、胴部材厚T1が0μm(胴部材45が無い状態)の約−50dBから胴部材厚が増すと徐々に低下し、胴部材厚T1が5000μmになると低下が飽和する。なお、図16に示す実線は、実験データから求めた近似曲線である。
【0222】
上記第1の実験によれば、胴部材厚T1が5000μmを越えると利得の低下が飽和して一定となり、このときの値が最低値となることがわかった。このため、胴部材厚T1を0〜5000μmの間で設定すれば前記最低値に対して利得を向上させることができることになる。上記範囲内で、時計ケースとして使用可能な強度等を考慮すると、胴部材厚T1を300μmから実用上最大となる5000μmの範囲に設定することが好ましい。また、当該電子機器30のケースつまり金属外装部31として外観、加工性、耐食性等を考慮して最も適した胴部材を形成するには、500〜2000μmの範囲で胴部材厚T1を設定することが好ましい。
【0223】
第2の実験では、アンテナ部32と胴部材45との距離D1を0〜40000μmに変化させたときの受信した信号の利得を計測した。尚、図17には0〜20000μmまでの測定結果を示してある。この実験においては、胴部材45内に設置されるアンテナ部32として導体径65μm巻き線数1500の実験用アンテナを使用し、胴部材45として胴部材厚2000μmのものを使用し、裏蓋部材41として裏蓋部材厚800μmのものを使用し、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離を100μmで一定に設定し、所定位置に設置された送信アンテナから40kHzの信号を送信する実験を行った。
【0224】
この結果、図17に示すように、受信した信号の利得は、距離D1が0μm(胴部材45にアンテナ部32の一部が接触した状態)の約−54.5dBから距離が離れて行くと徐々に上昇する。この実験において、裏蓋部材41のみの場合(即ち、胴部材45を取り除いた場合)の受信信号の利得は−50.34dBとなるため、利得がこの値になったときのアンテナ部32と胴部材45との距離D1において利得の上昇は飽和することになる。このように利得の上昇が飽和する距離D1は40000μmであり、これ以上アンテナ部32と胴部材45を離しても、利得を上げることはできないことになる。なお、図17に示す実線は、実験データから求めた近似曲線である。
【0225】
上記第2の実験によれば、アンテナ部32と胴部材45との距離D1は離した方が利得が上昇し受信感度が良い状態になるが、距離D1が40000μmを越えると利得の上昇が飽和して一定となることがわかった。このため、距離D1を0〜40000μmの間で設定すれば利得を向上させることができることになる。上記範囲内で、時計ケースとして使用可能な大きさ等を考慮すると、距離D1を500〜10000μmに設定することが好ましい。
【0226】
第3の実験では、裏蓋部材厚T2を0〜5000μmに変化させたときの受信した信号の利得を計測した。尚、図18には0〜3000μmまでの測定結果を示してある。この実験においては、アンテナとして導体径65μm巻き線数1500の実験用アンテナを使用し、裏蓋部材41とアンテナ部32との距離を1000μmで一定に設定し、胴部材45として胴部材厚2000μmのものを使用し、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離を100μmで一定に設定し、所定位置に設置された送信アンテナから40kHzの信号を送信する実験を行った。
【0227】
この結果、図18に示すように、受信した信号の利得は、裏蓋部材厚T2が0μm(裏蓋部材41が無い状態)の約−43.4dBから800μmまでは急激に低下し、裏蓋部材厚T2が800μmから5000μmまでは利得にそれほど変化がないことがわかった。つまり、裏蓋部材厚T2が800μmのときに最低値になることがわかった。なお、図18に示す実線は、実験データから求めた近似曲線である。
【0228】
前記最低値でも実用上は差し支えなく、上記範囲内で、電子機器30の金属外装部31として使用可能な強度等を考慮すると、裏蓋部材厚T2を100μmから実用上最大となる5000μmの範囲に設定することが好ましい。また、金属外装部31として外観、加工性、耐食性等を考慮して最も適した裏蓋を形成するには、300〜2000μmの範囲で裏蓋部材厚T2を設定することが好ましい。
【0229】
第4の実験では、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離D2を0〜5000μmに変化させたときの受信した信号の利得を計測した。この実験においては、設置されるアンテナ部32として導体径65μm巻き線数2000の実験用アンテナを使用し、胴部材45として胴部材厚2000μmのものを使用し、裏蓋部材41として裏蓋部材厚800μmのものを使用し、胴部材45とアンテナ部32との距離D1を1000μmに設定し、所定位置に設置された送信アンテナから40kHzの信号を送信する実験を行った。
【0230】
この結果、図19に示すように、受信した信号の利得は、距離D2が0μm(裏蓋部材41にアンテナ部32の一部が接触した状態)の約−49.6dBから距離が離れて行くと徐々に上昇する。この実験において、胴部材45のみの場合(即ち、裏蓋部材41を取り除いた場合)の受信信号の利得は−38.8dBとなるため、利得がほぼこの値になったときのアンテナ部32と裏蓋部材41との距離D2において利得の上昇は飽和することになる。このように利得の上昇が飽和する距離D2は5000μmであり、これ以上アンテナ部32と裏蓋部材41を離しても、利得を上げることはできないことになる。なお、図19に示す実線は、実験データから求めた近似曲線である。
【0231】
上記第4の実験によれば、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離D2は離した方が利得が上昇し受信感度が良い状態になるが、距離D2が5000μmを越えると利得の上昇が飽和して一定となることがわかった。このため、距離D2を0〜5000μmの間で設定すれば利得を向上させることができることになる。上記範囲内で、時計ケースとして使用可能な大きさ等を考慮すると、距離D2を100〜700μmに設定することが好ましい。
【0232】
次に、上記実験の結果に基づく本発明の電子機器30の一具体例を図2を参照して説明する。図2は本発明に係る電波修正時計を示す断面図であり、基本的な構成に関しては、既に上記説明してある。
【0233】
そして、当該ムーブメント42と当該裏蓋部材41との間には所定の空間51が設けられており、その空間51の中にアンテナ部32が配置されている。このアンテナ部32は、当該ムーブメント42の下面に固定されている。
【0234】
尚、本発明に於いては、当該アンテナ部32は、前記金属外装部31の内面に接するように配設されているものであっても良く、当該金属外装部31の内面と隙間を持って配設されているもので有ってもよい。
【0235】
本具体例においては、胴部材45と裏蓋部材41が共にオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS316L)からなるものを用いている。また、前記実験結果に基づいて、胴部材45の胴部材厚を1600μmに設定し、アンテナ部32から当該胴部材45の内面までの距離を2000μmに設定している。また、当該裏蓋部材41の裏蓋部材厚を800μmに設定し、アンテナ部32から当該裏蓋部材41の内面までの距離を3000μmに設定している。
【0236】
上記構成からなる電波修正時計30においては、アンテナ部32が受信した標準電波に基づいて、ムーブメント42内のCPUが、表示駆動部を動作させて、指針36を常に修正するように駆動する。このときに、本具体例では、胴部材45及び裏蓋部材41が金属で形成されているが、胴部材厚、裏蓋部材厚、アンテナ部と胴部材45及び裏蓋部材41との距離を、それぞれ受信感度を最良にする実験結果に基づく値に設定しているので、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度を向上させている。
【0237】
尚、裏蓋部材41の内面あるいは胴部材45の内面に、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金のような、電気抵抗率が7.0μΩ・cm以下である非磁性部材を取り付けると、利得が2〜3dB程度向上することが実験にて確認されている。
【0238】
また、胴部材45と裏蓋部材41の一方又は両方に浸炭処理等の硬化処理を施すことも可能であり、硬化処理を施したことによる受信感度の低下は認められなかった。
【0239】
本発明に於ける上記具体例とは異なる具体例としては、図2に示す基本的な構成は同じであるが、胴部材45と裏蓋部材41の材質、胴部材45の胴部材厚、アンテナ部32と胴部材45との距離、裏蓋部材41の裏蓋部材厚、アンテナ分部32と裏蓋部材41との距離を前記具体例と異なる様に設定されている。
【0240】
即ち、本具体例における胴部材45と裏蓋部材41はチタンで形成されている。
【0241】
チタンからなる胴部材45と裏蓋部材41の場合、その胴部材厚は、高気圧防水に対応する規格を想定し、前記具体例よりも厚めの2000μmに設定し、裏蓋部材厚も同様に1000μmに設定している。
【0242】
また、胴部材45及び裏蓋部材41の材質との関係により、アンテナ部32と胴部材45及び裏蓋部材41との距離を狭めても、差し支えない受信感度を得ることが可能であるため、アンテナ部32と胴部材45との距離を500μmに設定し、アンテナ部32と裏蓋部材41との距離を400μmに設定している。
【0243】
尚、本具体例の場合にも、裏蓋部材41の内面あるいは胴部材45の内面に、前述した具体例と同様の非磁性部材を取り付けることにより、利得を2〜3dB程度向上させることが可能である。
【0244】
また、本具体例に於いては、当該胴部材45と当該裏蓋部材41の一方又は両方に窒化処理等の硬化処理を施すことも可能であり、硬化処理を施したことによる受信感度の低下も認められていない。
【0245】
本発明に於ける図22に示す別の具体例に係る電波修正時計としては、図2に示す構成と実質的に同一の構成を採用しているが、当該胴部材45と当該裏蓋部材41の材質を異なるものとしたものである。
【0246】
即ち、図2の構成に於いて、当該胴部材45と当該裏蓋部材41は黄銅材で形成され、鏡面仕上げが施され、その後、図22に示す様に、湿式メッキにより表面にPd等のメッキ層221、222が形成されて仕上げられたものとなっている。黄銅材は、実験にて確認された受信感度を良好な状態にする電気抵抗率が7.0μΩ・cm以下の非磁性部材であり、胴部材厚等の設定と共に受信感度をより向上させるものである。
【0247】
本具体例における当該胴部材45と当該裏蓋部材41の場合、メッキを施した以外は前記具体例と同様であり、その胴部材厚は1600μmに設定し、裏蓋部材厚は800μmに設定している。また、アンテナ部32と当該胴部材45と当該裏蓋部材との距離は、アンテナ部32と胴部材45との距離を2000μmに設定し、アンテナ部32と当該裏蓋部材41との距離を3000μmに設定している。
【0248】
当該胴部材45と当該裏蓋部材41のメッキ層221、222は、以下に示すような湿式メッキにより形成される。
【0249】
はじめに、下地メッキ層を形成するため、本体部300、本体部301に、メッキ浴(組成:NaSnO・3HO 60g/l(リットル)、CuCN20g/l、KSOH 10g/l、KCN(フリー) 30g/l、KOH 60g/l、Zn(CN) 5g/l)、浴温50℃、電流密度2.4A/dm、pH12.5、析出速度0.33μm/min、時間6分の条件でメッキを施す。これにより当該本体部300、当該本体部301の表面に、約2μmのCu−Sn−Zn合金の下地メッキ層が形成される。
【0250】
次に、この下地メッキ層の上に以下の条件でメッキを施すことによりSn−Cu−Pd合金メッキ層を形成する。メッキ浴(組成:NaSnO・3HO60g/l(Sn換算量26.7g/l)、CuCN 20g/l(Cu換算量14.2g/l)、KSOH 10g/l、KCN(フリー) 30g/l、KOH 60g/l、KPd(CN)・3HO 30g/l(Pd換算量9.3g/l))。メッキ条件:浴温50〜55℃、電流密度2.0A/dm、電流効率47.8%、pH12.5〜13、析出速度0.33μm/min、時間9分。このメッキにより下地メッキ層の上に、厚み約3μm、硬度(Hv)約300、密度9.6g/cmのSn−Cu−Pd合金メッキ層が形成される。このメッキ層の組成を走査電顕とX線マイクロアナライザーで簡易定量したところ、Sn:17.12重量%、Cu:44.22重量%、Pd:38.66重量%の3元合金であることが確認された。
【0251】
その後、Sn−Cu−Pd合金メッキ層の上に次のような条件でメッキを施すことにより、仕上げメッキ層が形成される。メッキ浴(日本高純度化学(株)製の「パラブライト−SSS」(商品名))。メッキ条件:浴温55℃、電流密度1.5A/dm、pH7.6、析出速度0.33μm/min、時間6分。このメッキにより、厚み約2μmで白色光沢を有するPdメッキ層が形成され、メッキ層221,222が完成される。
【0252】
上記のようにメッキ層221、222が形成された当該胴部材45と当該裏蓋部材41は、塩化ナトリウム9.9g/l、硫化ナトリウム0.8g/l、尿素7.1g/l、アンモニア水0.19ml/l、サッカロース0.2g/l、乳酸(50%)0.8ml/lからなる人工汗(温度40℃)に24時間浸漬する耐食試験を行っても、表面が変色することはなく、良好な耐食性を有している。また、この当該胴部材45と当該裏蓋部材41は、温度200℃に5時間放置する加熱試験を行ってもメッキ層221,222の剥離が全く認められず、耐熱性も良好なものとなる。
【0253】
本具体例においても、当該胴部材45と当該裏蓋部材41が金属で形成されているが、胴部材厚、裏蓋部材厚、当該アンテナ部32と当該胴部材45と当該裏蓋部材41との距離を、それぞれ受信感度を最良にする実験結果に基づく値に設定しているので、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度の向上を果たしている。また、当該胴部材45と当該裏蓋部材41に表面仕上げを施しているため、時計として使用する際に必要な耐食性及び耐熱性を備えており、また、重厚で高級感のある白色系金属光沢を有しているため、外観品質も高いものとなる。
【0254】
尚、上記何れの具体例においても、図22に示す裏蓋部材41のように、裏蓋部材41に立ち上がり部を形成せずに内面を平坦にし、裏蓋部材41を平面的な2次形状にすると、立ち上がり部を設けた場合に比べてアンテナ部32周辺の共振現象の乱れを低減し、受信感度を約2dB向上させることができる。
【0255】
また、時計の更なる小型化、薄型化のため、アンテナ部32の指向性を考慮に入れて、アンテナ部32と当該胴部材45或いは当該裏蓋部材41との距離を0にすることも可能である。
【0256】
更に、アンテナ部32の指向性を考慮しつつ、アンテナ部32の外面と胴部材45の内面又は裏蓋部材41の内面が平行になるようにアンテナ部32を配置したり、裏蓋部材41の内面に対してアンテナ部32の一端面を略垂直方向に配置して縦に立てた状態に配置することも可能である。
【0257】
また、上記各具体例における金属外装部31は、当該胴部材45と当該裏蓋部材41で構成されているが、胴部材45の上部にベゼルやリングを設けたものを用いることもできる。更に、この場合、後述するように、胴、ベゼル、裏蓋部材の何れかが非磁性部材で形成されていれば、受信感度をより向上させることができる。また、ベゼル等を胴部材45と別体とすることで、受信感度を向上させることができる。
【0258】
また、胴部材、ベゼル、裏蓋部材それぞれの全体を非磁性部材で形成するだけでなく、それらの一部分だけを非磁性部材で形成しても受信感度を向上させることができる。
【0259】
その場合、アンテナ部32が平行に投影される部分、あるいはアンテナ部32の端部に相対する部分のみを非磁性部材で形成することが効果的であり、好ましい。
【0260】
また、金属及び非磁性部材は一種類だけを用いるだけでなく、複数の金属及び非磁性部材を組み合わせて使用することも可能である。
【0261】
尚、当該胴部材45や当該裏蓋部材41に使用する材質の選定に関しては、前述した実験と同様に、使用する材質で形成した実験用の当該胴部材45と当該裏蓋部材41の中に、実験用アンテナを設置し、所定位置に設置された送信アンテナから信号を送信する実験を行って選定した。
【0262】
この実験の結果、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金及び超硬金属(タングステン―カーバイドを含む合金)の場合は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、タンタルカーバイドの場合に比べて、利得が2〜3dB(デシベル)高くなった。また、同様の実験により、受信感度が良好となる金属で外装部を形成した場合だけでなく、受信感度が低下する金属で外装部を形成したとしても、その一部に受信感度が良好となる金属を設けることで、外装部内側にあるアンテナの受信感度を向上させることが可能であることも検証した。
【0263】
また、実験に使用した金属の電気抵抗率を比較し、電気抵抗率が7μΩ・cm以下のものが良好な受信感度を保つことが可能であることが判明した。その結果、金、金合金、銀、銀合金、銅、胴合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウム合金及び超硬金属のような非磁性部材で外装部全体又はその一部を形成すれば、金属を使用した外装部であっても受信感度を良好にすることができることが判明した。
【0264】
更に、外観品質に優れたステンレス鋼、チタン、チタン合金、タンタルカーバイドのように電気抵抗率が高い金属からなる電子機器の外装部であっても、その一部に上記非磁性部材からなる部分があれば受信感度を良好にすることが可能であることも検証できている。
【0265】
また、当該胴部材45と当該裏蓋部材41等の材質については、色彩を豊かにするためベゼル等に樹脂部品を使用したり装飾のために胴部材の側面に樹脂のデコレーションを取り付けたものがあるが、このような構成のものであっても基本的な構成部分に金属を使用しているものは、本発明における金属外装部の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0266】
尚、本発明に有っては、当該金属外装部31の胴の内面と当該アンテナ部の外面とが略平行をなす様に構成されている事も望ましく、又、当該金属外装部31の裏蓋の内面と当該アンテナ部の外面とが略平行をなす様に構成されている事も望ましい。
【0267】
更には、本発明に於いて、当該金属外装部31の裏蓋部材41は平面的な2次元形状からなる様に構成されている事も好ましい。
【0268】
又、本発明に於いては、当該金属外装部31の裏蓋部材41の内面に対して当該アンテナ部の両端部の一端面を略垂直方向に配設する事も好ましい。
【0269】
一方、本発明に有っては,当該金属外装部31の内面に、電気抵抗率が7.0μΩ・cm以下の非磁性部材が少なくとも1つ固定されていることも望ましく、更には、当該非磁性部材は金、銀、銅、黄銅、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、またはそれらの合金中の少なくとも1つからなるものである。
【0270】
更に、本発明に於いては、当該アンテナ部32は、磁芯材38とこの磁芯材38に複数巻かれたコイル40とから構成され、当該磁芯材38の軸線を含む少なくとも1つの平面に沿って、当該アンテナ部32が平行に投影される部材または該部材の投影される部分が当該非磁性部材で出来ている様に構成する事も好ましい。
【0271】
又、本発明に有っては、当該アンテナ部32は、磁芯材38とこの磁芯材38に複数巻かれたコイル40とから構成され、少なくとも当該アンテナ部32の端部とそれぞれ相対する部材または該部材の相対する部分が当該非磁性部材でできていることも好ましい。
【0272】
上記した各具体例とは別に、本発明に於いては、当該電子機器30に於ける静電気対策を備える必要もあり、その為、当該金属外装部31の少なくとも一部に電気的導通部が設けられている事も好ましい。
【0273】
当該本発明に於ける静電気処理機構としては、例えば、当該胴部材45或いは当該裏蓋部材41の一部に適宜の電気的な導通部を設けるものであって、当該導通部は、当該アンテナ部32から所定の距離離れた位置に設ける事が望ましく、更には、当該導通方法としては、例えば、溶接、銀ペースト、導電リング、或いは導電樹脂、カシメ等の処理が採用できる。
【0274】
例えば、当該電子機器或いは電波修正時計に於いては、プッシュボタン或いはりゅうず部の一部にそれらが押圧された場合或いは引き出された場合に適宜の接点が相互にコンタクトして静電気を放出する様に構成されているものであっても良く、適宜の導電リングを当該電子機器或いは電波修正時計内部に挿入するものであっても良い。
【0275】
更には、電波修正時計に於いては、胴部材とべゼル部と少なくとも一箇所を溶接するものであってもよく、或いは当該胴部材とべゼル部との間に少なくとも一箇所に銀ペーストを塗布するものであっても良い。
【0276】
次に、上記した本発明にかかる電子機器30に関し、当該接合部39の少なくとも一部の電気抵抗値を他の部位の電気抵抗値と異ならせるための別の構成をして、例えば、当該金属外装部31に於ける当該少なくとも2つの金属製部材が接合して形成されている接合部39の少なくとも一部の平面積が残りの当該接合部の平面積よりも小さくなる様に形成する事によっても実現する事が可能である。
【0277】
又、当該アンテナ部32のコイル部分40が投影される当該胴部材45及び/又は裏蓋部材41の少なくとも一部の肉厚をその他の胴部材45又は裏蓋部材41の肉厚よりも薄くなる様に構成する事によっても実現可能である。
【0278】
一方、本発明者等は、上記した本願発明を実用化する検討を行っている間に、当該電子機器30に於ける複数の金属部材から構成されている当該金属外装部31を構成する、当該複数の金属部材間で形成される当該接合部39の接合圧力によって、当該アンテナ部32の利得が変化する事を知得した。
【0279】
つまり、本発明者等は、当該金属外装部31が2乃至それ以上の複数種の金属部材で構成されている場合に、それらの複数の金属部材の所定の部位、通常は周縁部同士を相互に当接して、所定の加圧状態下に溶接固定するか、複数本のネジ付きボルトを使用して所定の締め付け力で固定するか、カシメ方式で相互に嵌合させるか、予め双方の金属部材に雄ネジと雌ネジを別々に形成しておき、その両者をネジ込み嵌合させ所定の締め付けトルクをもって固定する等の方法が実用的である。
【0280】
処で、本願発明者等は、当該金属外装部31に於ける当該複数個の金属部材の接合面の接圧条件の変化によって当該アンテナ部32のアンテナ利得が変化する事を知得したものである。
【0281】
つまり、図4に示す従来の構造からなる電子機器30に於ける当該胴部材45と当該裏蓋部材41とが相互に接続されている金属外装部31に於いて、当該裏蓋部材41の締め付けトルクを変化させると図23に示す様に、当該アンテナ部32のアンテナ利得(dB)が変化する事が判明した。
【0282】
即ち、当該締め付けトルクを0〜6N・mの間で変化させると、当該締め付けトルクが強くなるほどアンテナの利得が低下し、最大3dB程度減衰する事が判明した。
【0283】
尚、締め付けトルクが6N・m以上は、実質的に測定する装置がないので測定はしていないが、図23から判ることは、当該金属外装部31に於いて、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との接圧力を強くするとアンテナの利得が低下する事が理解される。
【0284】
従って、当該金属外装部31に於ける、当該胴部材45と当該裏蓋部材41との接合をネジ式では無く、上記した溶接固定方式、複数本のネジ付きボルトを使用した固定方式、或いはカシメ方式を使用した場合で有っても同様の結果を得るものと推測する。
【0285】
その為、本発明者等は、係る現象が発生する理由を検討するため、以下の様な実験を行った。
【0286】
先ず、図33(A)及び(B)に示す様に、上記した当該電子機器30内部にVdd接点バネFを使用した場合と当該Vdd接点バネFを取り外すか折り曲げて、当該裏蓋部材41との接点を断った場合の当該アンテナ部32の特性値を比較してその結果を図24に示す。
【0287】
図24中、変更前のデータは、当該Vdd接点バネRが通常使用されている状態で測定したデータであり、変更後のデータは、当該Vdd接点バネと当該裏蓋部材41との接点を断った場合に於いて測定したデータである。
【0288】
双方のデータを比較して見ると、当該アンテナ部32の特性値を見る限り、利得データを含めて、双方に実質的な相違は見られない。
【0289】
然しながら、当該裏蓋部材41を締めてもVdd接点バネRを無くすことにより、締め付けることによる当該Vdd接点バネRの影響を無くすことが出来る。
【0290】
又、本発明者等は、続いて、図34(A)及び(B)に示す様に、ムーブメント42と当該裏蓋部材41との接触点を無くし、裏蓋部材41の締め付けによるムーブメント42の変形の影響を無くした場合の当該アンテナ部32の特性値を比較して、その結果を図25に示す。
【0291】
図25中、変更前のデータは、図34(A)に示す様に当該ムーブメント42と当該裏蓋部材41との接触点をダンパーPを介して残している状態で測定したデータであり、変更後のデータは、図34(B)に示す様に、当該ムーブメント42と当該裏蓋部材41との接触点を無くした場合に於いて測定したデータである。
【0292】
双方のデータを比較して見ると、当該アンテナ部32の特性値を見る限り、利得データを含めて、双方に実質的な相違は見られない。
【0293】
然しながら、当該裏蓋部材41を締めてもダンパーPを無くすことにより、締め付けることによるムーブメント42の影響を無くすことが出来る。
【0294】
更に、本発明者等は、図26(A)に示す様に、当該金属外装部31に於ける当該胴部材45と当該裏蓋部材41との間に適宜の絶縁物を挿入して、当該裏蓋部材41がムーブメント42を押し付ける程度を軽減させた場合の影響を調べた。
【0295】
その結果を図26(B)に示す。
【0296】
図26(B)中、変更前のデータは、当該絶縁物を挿入しない状態で測定したデータであり、変更後のデータは、当該絶縁物を挿入した場合に於いて測定したデータである。
【0297】
双方のデータを比較して見ると、ムーブメント42への影響を軽減させても全く利得の向上が見られない事から、当該裏蓋部材41を締め付ける事によってムーブメント42が変形し、アンテナ32の特性が低下するとは考え難い。
【0298】
そこで、本発明者等は、図6及び図8の実験結果を再検討して見た。
【0299】
当該図6及び図8の実験は、ネジ締め付けトルクを3N・mで行ったものである。
【0300】
そして、図8の様に当該扇形領域内に、接合部を一部残存させると、当該アンテナ部32の利得は若干低下することが理解される事は上記したとおりである。
【0301】
そこで、本願発明者等は、更に、別の実験を行って見た。
【0302】
即ち、図6に示す構成に於いて、当該間隙部55を設ける扇形領域をその中心角度を90度となる様に設定した金属外装部31を使用し、当該裏蓋部材41の締め付けトルクを変化させたときの当該アンテナ部32の利得を測定した。
【0303】
その結果を図27に示す。
【0304】
図27中、90度のグラフは、今回の実験により得られたアンテナの利得を示すグラフであり、現のグラフは、当該間隙部55を形成しない従来の金属外装部31でのアンテナの利得を示すグラフである。
【0305】
かかる実験結果より判る事は、当該実験による構成の場合では、裏蓋部材41の締め付けトルクによるアンテナ部の利得の減衰量が、従来の構造のものに比べて大幅に減少している。
【0306】
かかる結果からアンテナの周辺のネジ部をカットする事によってアンテナの利得が大幅に向上する事から、当該裏蓋部材の締め付けトルクが高くなる事によって、アンテナ周辺のネジ部が磁気的結合を起し、アンテナの共振現象を阻害する渦流損が発生し、アンテナの利得が減少するものと推定される。
【0307】
従って、本発明に於いては、当該金属外装部31に於ける当該胴部材45と当該裏蓋部材41との接合力は、あまり強くする事は好ましくないと考えられ、従って、それぞれの接合方式に応じて、適切な締め付け力或いは接合力が求められる事になる。
【0308】
然しながら、実験に使用する全サンプルの締め付けトルクを一定にしても、防水試験後の緩みトルクの値はばらつきが生じる。
【0309】
例えば、締めトルクを2N・mにした場合、防水試験後の緩みトルクは最大1.6N・m、最小0.8N・m、平均1.1N・m(測定数30サンプル)であり、締めトルクを3N・mにした場合、防水試験後の緩みトルクは最大3.5N・m、最小1.7N・m、平均2.5N・m(測定数30サンプル)であった。
【0310】
又、締めトルクの値によらず、締めトルクが0.1N・mに満たないサンプルでは、防水試験が不合格になるものもあった。
【0311】
上記より、締めトルクが6N・mより強いと測定が困難であり、且つアンテナ利得の値からも6N・mより強い必要性は無い事から、緩みトルクも6N・m以下で良いと考えられる。
【0312】
以上の事から、緩みトルクが0.6〜6N・m、実用上好ましくは、0.2〜4.5N・mで有ると良い。
【0313】
従って、本発明の別の態様としては、少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電子機器で有って、当該金属外装部は、当該アンテナ部が当該金属外装の外部から当該金属外装を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ、当該金属外装部は、胴部(側部)材と裏蓋部材とから構成されると共に、当該胴部(側部)材と裏蓋部材が相互に接合されており、然も、当該胴部(側部)材と裏蓋部材との相互剥離力が、10−4N・m〜6.0N・mである事を特徴とする電子機器で有ってもよく、或いは、少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電子機器で有って、当該金属外装部は、当該アンテナ部が当該金属外装の外部から当該金属外装を介して磁束を受信し、共振しえる様に構成されており、且つ、当該金属外装部は、胴部(側部)材と裏蓋部材とから構成されると共に、当該胴部(側部)材と裏蓋部材が相互にネジ機構を解して接合されており、然も、当該胴部(側部)材と裏蓋部材との相互緩みトルクが0.1N・m〜6.0N・mであり、好ましくは、0.2N・m〜3.5N・mである事を特徴とする電子機器で有っても良い。
【0314】
次に、本発明に於いて、当該電子機器30に於ける当該金属外装部31の接合部を相違による本発明の効果の差異が有るか否かを検証するため、以下の様な実験を行った。
【0315】
即ち、当該金属外装部31の胴部材45を上胴部と中胴部で構成し、当該上胴部と中胴部との間にパッキンを圧入したものを裏蓋部材で閉鎖した後、当該裏蓋部材の締め付けトルクを3N・mで接合したサンプル(A,B,C,F)と当該上胴部と中胴部をレーザー溶接で接合し、裏蓋部材で閉鎖した後、当該裏蓋部材の締め付けトルクを3N・mで接合したサンプル(D,E)とを作成し、それぞれのサンプル内に同一のアンテナ部32を図28に示す様な同一の位置に配置して当該アンテナの特性値を測定した。
【0316】
その結果を図29に示す。
【0317】
図29の比較実験結果から明らかな通り、Ti製のサンプル(D)とSS製のサンプル(E)に関する当該アンテナの利得値が低下している事が判明した。
【0318】
この原因としては、前記した様に、当該上胴部と中胴部との接合面に強い磁気結合が形成されているものと推測する
その為、上記サンプル(D)と(E)に於ける図28に示す当該上胴部と中胴部との接合面に形成されているレーザー溶接部分39の内、中心角90度の扇形領域部分57に相当する部分を除去して間隙部55を形成して絶縁機能を持たせる様にした結果、他のサンプルと同様の利得値が得られた。
【0319】
その結果を図30に示す。
【0320】
【発明の効果】
本発明は、上述した様な構成を採用しているので、上記した従来技術の問題点を解決し従来の電波修正時計を含む電子機器の構造、外装材料、或いはデザイン等を大幅に変更することなく、簡易な構成を有するアンテナ部を採用して、受信効率が良好で、当該電子機器そのものの大きさも厚みも従来のものとは相違せず、デザイン面の自由度を高めた、製造コストを安価に抑えることが可能な電子機器が容易に得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る電子機器の一具体例の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係る電子機器の他の具体例の構成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る電子機器の具体例に於ける一部断面図である。
本発明と従来に於けるアンテナ本体部の金属板の影響によるQ値の変化を示すグラフである。
【図4】図4(A)は、本発明に係る金属外装部に於ける胴部材と裏蓋部材との接合部面の形状例とアンテナの配置関係を示す図であり、図4(B)は、図4(A)の一部断面図である。
【図5】図5(A)は、本発明に係る金属外装部に於ける他の具体例の一部断面図であり、図5(B)は、扇形領域の中心角度とアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図6】図6(A)は、本発明に係る金属外装部に於ける別の具体例の一部断面図であり、図6(B)は、扇形領域を説明するための説明図である。
【図7】図7(A)は、本発明に係る金属外装部に於ける更に他の具体例の一部断面図であり、図7(B)は、扇形領域を説明するための説明図である。
【図8】図8(A)は、本発明に係る金属外装部に於ける扇形領域部に接合部を部分的に残存させる場合の具体例を示す平面図であり、図8(B)は、図8(A)の構造の効果を説明する実験データを示す図である。
【図9】図9は、本発明に係るアンテナ構造体の一具体例の構成を示す図である。
【図10】図10は、アンテナ構造体に於けるL値と利得との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、アンテナ構造体に於ける巻き線数(T)と利得との関係を示すグラフである。
【図12】図12(A)は、アンテナ構造体に於ける巻き線抵抗(Ω)と利得との関係を示すグラフであり、図12(B)はコイルの構成の例を示す図である。
【図13】図13は、アンテナ構造体に於ける巻き線抵抗(Ω)と利得との関係を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明に係る電子機器の一具体例である電波利用時計における各部品の配置構成の一例を示す図である。
【図15】図15(A)及び図15(B)は、金属外装部とアンテナ部との位置関係を説明する平面図及び断面図である。
【図16】図16は、本発明に係る電子機器に於ける胴部材厚とアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図17】図17は、本発明に係る電子機器に於ける胴部材とアンテナとの間の距離とアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図18】図18は、本発明に係る電子機器に於ける裏蓋部材厚とアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明に係る電子機器に於ける裏蓋部材とアンテナとの間の距離とアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図20】図20は、本発明に係る電子機器の一具体例としての電波修正時計の構成の概略を説明する図である。
【図21】図21は、従来における電波修正時計の構成の詳細を説明する図である。
【図22】図22は、本発明に係る電子機器の一具体例としての電波修正時計の構成の詳細を説明する図である。
【図23】図23は、トルクとアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図24】図24は、本発明に係る電子機器に於いて、Vdd接点バネと裏蓋部材との接点の有無によるアンテナの特性値の変化を示すデータを示す図である。
【図25】図25は、本発明に係る電子機器に於いて、ムーブメントと裏蓋部材との接点の有無によるアンテナの特性値の変化を示すデータを示す図である。
【図26】図26(A)は、本発明に係る電子機器に於いて、胴部材と裏蓋部材との間に絶縁物を挿入した具体例の構成を示す一部断面図であり、図26(B)は,絶縁物の挿入有無によるアンテナの特性値の変化を示すデータを示す図である。
【図27】図27は、トルクとアンテナの利得との関係を示すグラフである。
【図28】図28は、本発明に係る電子機器に於ける扇形領域とアンテナとの配置関係を説明する平面図である。
【図29】図29は、本発明に係る電子機器の複数種の具体例に於けるアンテナの特性値の変化を示すデータを示す図である。
【図30】図30は、本発明に係る電子機器の他の具体例に於けるアンテナの特性値の変化を示すデータを示す図である。
【図31】図31は、金属外装部を構成する胴部材と裏蓋部材との接合部に間隙部を設けた場合に於いて、アンテナ部を配置位置による効果に付いて実験した結果を説明する図である。
【図32】図32は、金属外装部を構成する胴部材と裏蓋部材との接合部に間隙部を設けた場合に於いて、アンテナ部を配置位置と当該間隙部の長さ及び当該扇形領域の中心角度との関係を説明する図である。
【図33】図33は、金属外装部に有ってVdd接点の影響を無くすための構成例を説明する図である。
【図34】図34は、金属外装部に有ってムーブメントの影響を無くすための構成例を説明する図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 電波時計受信機
3 CPU
4 表示駆動部
5 入力装置
10 ケース10
11 胴
12 裏蓋部材
13 風防
14 ムーブメント
15 文字板
16 針
17 バーアンテナ
18,38 磁芯部材
20 コイル
21 導線
22 環状の縁枠
221,222 メッキ層
23 ガラス
30 電子機器、電波修正時計
31 金属外装部
32 アンテナ部
33、情報処理装置
34 CPU
35 情報表示・報知手段
36 指針
37a 段部
37b 内方突出部
37c 胴部材45の内側面
38 磁芯材
39 接合部
41 裏蓋部材
42 ムーブメント
44 パッキン
45 胴部材
451、452 副胴体部材
46 リューズ、操作ボタン、操作ピン
47 スイッチ回路
48 貫通孔部
49 間挿部材、絶縁物質
50 立ち上がり部
51 空間
52 ネジ機構
54 渦電流
56 扇形領域内に包含される接合部分
57 扇形領域
60 扇形領域内の間隙部内に間歇的に形成された接合部分

Claims (5)

  1. 少なくともアンテナ部、当該アンテナ部により取り込まれた情報を処理する為の情報処理装置及び当該アンテナ部と当該情報処理装置とをその内部に収納することが可能な金属外装部とから構成されている電波修正腕時計で有って、当該金属外装部は、胴部材と裏蓋部材から構成され、当該胴部材と当該裏蓋部材の接合面に接合部が形成され、当該アンテナ部の磁心部の両端部と当該胴部材の中心部とを結ぶそれぞれの線により形成される領域内に包含される当該接合部に絶縁部材からなる間挿部材が配置されている事を特徴とする電波修正腕時計
  2. 当該間挿部材は、膜体である事を特徴とする請求項1に記載の電波修正腕時計。
  3. 当該膜体は、表面処理及び/又は硬化処理を施して形成されたものである事を特徴とする請求項2に記載の電波修正腕時計。
  4. 当該表面処理は、湿式メッキ方式、乾式メッキ方式及び熱処理から選択された一つの方式で形成されたものである事を特徴とする請求項3に記載の電波修正腕時計。
  5. 当該間挿部材は、樹脂、ゴム(有機物)、インキ及び塗料からなる群から選択された一つで構成されている事を特徴とする請求項1に記載の電波修正腕時計。
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