JP4139129B2 - 偏光分離素子の作製方法、接着装置及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、偏光分離素子とその作製方法、接着装置及び光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク用の光ピックアップ装置では、光源からの入射光束と光ディスクにより反射され光ディスクの情報を帯びた戻り光束とを分離して、戻り光束を効率良く光検出手段に導くために偏光分離素子が用いられている。偏光分離素子としてプリズムを接着したビームスプリッタが、λ/4波長板と共に用いられているが、光ピックアップ装置の小型化・低コスト化の要請に答えるため、薄型化の可能な複屈折回折格子型の偏光分離素子の使用が意図されている。
【0003】
特開2000−7513号公報は、この種の偏光分離素子として、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率が異なる有機複屈折膜を接着し、この有機複屈折膜の表面に周期的な凹凸による回折格子を形成したものを開示している。有機複屈折膜としては、延伸した有機高分子膜が用いられている。
この偏光分離素子では、接着剤を用いて有機複屈折膜を透明基板に接着しているが、回折格子を透過する光束に対して光路長を一定にするためには、接着剤層の厚さを均一にして有機複屈折膜の表面を平坦化する必要がある。また、接着剤層に気泡が入ると、入射・射出光束が気泡により散乱されて回折効率が低下するため、気泡を巻き込まない接着法が必要となる。
【0004】
透明基板へ有機複屈折膜を接着する方法の一例として、貼り合わせ光ディスクで用いられているスピンナー法がある。スピンナー法による貼り合わせ光ディスクの作製工程を、図13を用いて説明する。図13(a)に示すように、第1の基板201に形成されたハブ202をスピンテーブル10のセンターピン203にさし込み、スピンテーブル10を回転させながら第1の基板201にディスペンサー12で紫外線硬化型接着剤3を滴下する。図13(b)に示すように、第1の基板201の全面に紫外線硬化型接着剤3が広がったらスピンテーブル10の回転を停止し、図13(c)に示すように、第2の基板204に形成されたハブ205をスピンテーブル10のセンターピン203にさし込み、第1の基板201と第2の基板204を接触させる。次に、図13(d)に示すように、第1の基板201と第2の基板204とが載置されたスピンテーブル10を回転させ、余分な紫外線硬化型接着剤3を振り切り接着層厚さを一定し、図13(e)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、紫外線(UV)を照射して紫外線硬化型接着層3を硬化し、貼り合わせ光ディスクを完成させる。
【0005】
スピンナー法を有機複屈折膜の接着に適応して、大きさが数mm程度の偏光分離素子を作製しようとする場合、直径4〜8インチの透明基板に接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子をアレイ状に形成し、その後ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出すことが考えられる。1枚の基板から取れる偏光分離素子数を多くしようとすると、有機複屈折膜や透明基板にはハブを、スピンテーブル10には、センターピンを設けない方が好ましい。例えば、図14(a)に示すように、センターピンのないスピンテーブル10に透明基板1を真空吸着し、その後、透明基板1の中央に紫外線硬化型接着剤3を滴下し、スピンテーブル10を回転して紫外線硬化型接着剤3を透明基板1の滴下面全面に広げた後、有機複屈折膜5を透明基板1上に載せることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図14に示す偏光分離素子の作製方法では、有機複屈折膜5にハブが、スピンテーブル10にセンターピンが夫々ないので、有機複屈折膜5は、スピンテーブル10上で固定されずフリーな状態で透明基板に乗ることになる。有機複屈折膜5を紫外線硬化型接着剤3が塗布された透明基板1に載せる場合、一般的に載置装置を用いるが、スピンテーブル10の回転中心に有機複屈折膜5の中心を正確に合わせることは、載置装置の機械的精度の点から困難な場合が多い。有機複屈折膜5がスピンテーブル10の回転中心に乗っていない場合、スピンテーブル10を回転させると、図14(b)に示すように、有機複屈折膜5が透明基板1に対して位置ずれを起こしてしまう。この位置ずれが大きい場合、透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出してしまう。
【0007】
紫外線照射によって紫外線硬化型接着剤3を硬化させた後、回折格子を形成するためリソグラフィー/ドライエッチングを行うが、装置内や工程間の搬送時には透明基板1の側面を側方からクランプして行うことが多く、透明基板1から有機複屈折膜3がはみ出しているとクランプできず搬送が困難となり、回折格子を形成できない。
【0008】
スピンテーブル10の回転中に有機複屈折膜5の位置ずれを防止するためには、回転中に紫外線を照射する方法が考えられる。例えば、特開平10-334521号公報や特開2000−268416号公報に記載の、貼り合わせ光ディスクの作製方法では、回転中に紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する方法が提案されている。しかしながら偏光分離素子の作製においては、接着層厚さを均一化するため基板をある程度回転させた後に紫外線を照射しなければならないので、有機複屈折膜の位置ずれを完全に防止することは困難であった。
【0009】
有機複屈折膜5を透明基板上に載置する載置装置にCCDなどを用いた画像認識機能を搭載し、スピンテーブ10の回転中心と有機複屈折膜5の中心を検出し、載置装置にフィードバック制御をかけながらスピンテーブルの回転中心に有機複屈折膜の中心を置く場合には、スピンテーブルの回転中心と有機複屈折膜の中心との位置合わせ精度を著しく向上できるため、スピンテーブルの回転中に有機複屈折膜の位置ずれが起きにくい。しかし、載置装置に画像認識機能やフィードバック機構を設ける必要があり、載置装置のコスト上昇を招いてしまう。また貼り合わせ時に位置検出やフィードバック制御を行うため、貼り合わせ工程のスループットが低下してしまい、安価に偏光分離素子を作製することが困難になる。
【0010】
本発明は、透明基板に有機複屈折膜を接着する際に有機複屈折膜の透明基板からのはみ出しや位置ズレを抑制する偏光分離素子の作製方法や接着装置を提供することを目的としている。
本発明は、基板間での接着層厚さのバラツキを小さくする偏光分離素子の作製方法、歩留の向上や個々の素子間で回折効率を揃えることができる偏光分離素子を提供することを目的とする。
本発明は、従来構造よりも小型化が実現できる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏光分離素子の作製方法は、透明基板上に、入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程と、有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸による回折格子を形成する工程とを有し、次のことを特徴としている。
【0012】
請求項1では、接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程、紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載せるセット工程、有機複屈折膜が載せられた透明基板を第1の回転で回転する第1回転工程、第1の回転で回転する透明基板の回転を止めて有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置修正を行う修正工程、透明基板を第2の回転で回転する第2回転工程、第2の回転で回転する透明基板の回転を止め、紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する硬化工程を有し、第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程と硬化工程とを行うことを特徴としている。
【0013】
請求項4では、接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程、紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載せるセット工程、有機複屈折膜が載せられた透明基板を第1の回転で回転する第1回転工程、第1の回転で回転する透明基板の回転を止めて有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置修正を行う修正工程、透明基板を第2の回転で回転する第2回転工程、第2回転工程中に紫外線を照射して、紫外線硬化型接着剤を半硬化する半硬化工程、第2の回転で回転する透明基板の回転を止め、紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する硬化工程を有し、第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程、半硬化工程、硬化工程を行うことを特徴としている。
【0014】
請求項2,5では、第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつ第1回転工程での透明基板の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転の最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係にあることを特徴としている。
【0015】
請求項3、6では、第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつR1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和が透明基板間一定であることを特徴としている。
【0017】
本発明の有機複屈折膜の接着装置は、透明基板を保持するスピンテーブル、このスピンテーブルを回転させる回転機構、スピンテーブルに保持された透明基板に、紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構、透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載置する載置機構、有機複屈折膜を介して紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射する紫外線照射機構と、透明基板上に載置された有機複屈折膜を当該透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構とを有することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に偏光分離素子の作製方法の実施の形態を、幾つかの具体的な実施例に即して説明する。偏光分離素子の作製方法は、透明基板上に、入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程と、この有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸による回折格子を形成する工程とを有している。
【0019】
【実施例】
実施例1
図1を参照して実施例1の作成方法を説明する。図1(a)〜図1(k)は、偏光分離素子の作製方法の工程を示すものである。図1(a)では、直径165mm、厚さ1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定し、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52、粘度:500cpのアクリル系の紫外線硬化型接着剤3を8〜11g滴下する。滴下後、スピンテーブル10を300rpmで回転し、図1(b)に示すように、透明基板1の滴下面全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後スピンテーブル10の回転を停止する。図1(a)、図1(b)は、透明基板1上に紫外線硬化型接着剤3を塗布する工程を示す。
【0020】
図1(c)において、スピンテーブル10の回転停止後、広げられた紫外線硬化型接着剤3の上に、後述する載置装置を用いて透明基板1の直径よりも小径な、直径155mm、厚さ80μmの有機複屈折膜5を、その中心をスピンテーブル10の回転中心に略合わせながら載置する。図1(c)は、紫外線硬化型接着剤3上に有機複屈折膜5を載せるセット工程を示す。
【0021】
載置後、図1(d)に示すように、スピンテーブル10を400rpmで第1の回転を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。ここで、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、X回目の第1の回転の回転時間をT1(X)とすると、R1(1)=400rpm、T1(1)=3秒となる。図1(d)は、第1回転工程を示す。
【0022】
図1(e)において、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、図2(a)に示すように、有機複屈折膜5が透明基板1上で外側に5mm程度動いており、有機複屈折膜5の中心とスピンテーブル10の回転中心が合わなくなっていた。そのため、調整治具20を用いて有機複屈折膜5の外側にずれた側の端部を透明基板1の中心側へ押し、透明基板1上を滑るように有機複屈折膜5を動かし(以後、滑るように動かすことを「滑動」と略す)、図2(b)に示すように、有機複屈折膜5の位置修正を行った。つまり透明基板1と有機複屈折膜5の中心を合わせ、有機複屈折膜5が透明基板1からはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を動かした。図1(e)は修正工程を示す。
【0023】
このような修正工程後、図1(f)に示すように、スピンテーブル10を再度400rpmで第1の回転(R1(2)=400rpm、回転時間T1(2)=7秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切り、その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0024】
観察後、スピンテーブル10を700rpmで第1の回転(R1(3)=700rpm、回転時間T1(3)=2秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。この後、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約8mm程度動いていた。このため、図1(e)、図2(a)に示すように調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0025】
修正後、図1(f)でスピンテーブル10を再度700rpmで第1の回転(R1(4)=700rpm、回転時間T1(4)=6秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切り、その後にスピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約2mm程度動いていた。観測後、図1(e)、図2(a)に示す調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0026】
修正後、図1(f)でスピンテーブル10を再度700rpmで第1の回転(R1(5)=700rpm、回転時間T1(5)=10秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そして、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0027】
観察後、スピンテーブル10を再度700rpmで第1の回転(R1(6)=700rpm、回転時間T1(6)=12秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0028】
観察後スピンテーブル10を900rpmで第1の回転(R1(7)=900rpm、回転時間T1(7)=4秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約8mm程度動いていた。
【0029】
観測後、図1(e)、図2(a)に示す調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。修正後、図1(f)でスピンテーブルを再度900rpmで第1の回転(R1(8)=900rpm、回転時間T1(8)=10秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約2mm程度動いていた。観察後、調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0030】
修正後、スピンテーブル10を再度900rpmで第1の回転(R1(9)=900rpm、回転時間T1(9)=22秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0031】
観察後、スピンテーブル10を再度900rpmで第1の回転(R1(10)=900rpm、回転時間T1(10)=54秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。図3に、第1回転工程での第1の回転の回転数及び回転時間の推移を示す。
【0032】
図1(g)は、第2回転工程を示すもので、スピンテーブル10を回転(第2の回転、3ステップで回転数を400rpmから900rpmに上げ、900rpmで30秒間保持)し、紫外線硬化型接着剤3を振り切り、紫外線硬化型接着剤3の接着層厚さを面内で一定にした。ここで第2の回転での最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=900rpmとなる。また第2回転工程中に、硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解し、かつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒31(本例ではイソプロピルアルコールを使用)を有機複屈折5と透明基板1の境界近傍にリンス機構30より滴下し、透明基板1周辺の接着剤残を除去した。
【0033】
次に図1(h)に示すように、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5側から、図示しない高圧水銀灯を用いて紫外線UV(第1の紫外線)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化する。図1(h)は硬化工程を示す。以後、有機複屈折膜5が接着された透明基板1を基板60と略す。
【0034】
図1(i)に示すように、作製された基板60をスピンテーブル10から外し、有機複屈折膜5上にポジレジストを1.1μmの厚さに塗布し、60℃、30分のプリベークを行う。その後、基板60を周知の図示しない縮小投影露光装置(NA=0.45、σ=0.6、波長:I)に装着し、1000周期ある1.5μmラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3を用いて現像を行い、100℃、30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。その後、前記のレジストパターン上にスパッタ法によってアルミニウム(Al)を蒸着し、引き続きアセトンを用いてレジストを溶解してアルミニウム(Al)のリフトオフを行い、レジストパターンを反転させたアルミニウム(Al)パターンを完成させた。その後、ECRエッチング装置を用い酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で、前記のアルミニウム(Al)パターンを金属マスクにして有機複屈折膜5を深さ4μmエッチングした。
その後リン酸系のアルミニウム(Al)エッチング液を用いてアルミニウム(Al)パターンを除去し、1000周期ある凹凸状の格子となる回折格子61を完成させた。
【0035】
図1(j)に示すように、平面加工したφ250mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子を形成した基板60を置き、回折格子61面に光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤としての等方性接着剤11をマイクロシリンジで1.2ml滴下する。そして両面を光学研磨した直径165mm、厚み1mm、材質:ショット製光学ガラスBK7の対向透明基板9を載せ、さらに対向透明基板9上に光学研磨した光学ガラスを載せ、対向透明基板9に100gf/cm2の圧力を加え、等方性接着剤11を被接着面全面に広げる。なお、対向透明基板9の被接着面と対向する面となる自由表面(空気と接する面)には、入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成しておく。この状態で対向透明基板を通して紫外光を照射し、等方性接着剤11を硬化する。図1(j)において、符号1Aは、このようにして対向透明基板11を一体化した中間完成体と呼ぶ。
【0036】
次いで、図1(k)に示すように、中間完成体1Aに含まれている数100個の回折格子61を、ダイシングソー15を用いて5mm角(各々が、1個の回折格子を有する)」に切りだし、複数個の偏光分離素子100を完成させる。図1(i)、図1(j)は、回折格子を形成する工程を示す。
【0037】
図1(a)〜(h)の工程により有機複屈折膜5を接着した基板60を、ダイシングソー15を用いて切断し、200倍の金属顕微鏡で断面を観察し、基板60の直径方向での接着層厚さを測定(測定範囲:有機複屈折膜端から5〜130mm)した。この測定結果を図4に示す。本条件での接着層厚さは平均28μmで、直径方向で略均一であることが確認された。
【0038】
実施例1の作製方法によれば、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程と硬化工程とを行うので、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを防止することができる。
【0039】
また、第1回転工程と修正工程とを繰り返し、かつ第1回転工程での透明基板1の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転の最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係になっている。よって第1回転工程と修正工程とを繰り返す毎に回転数が増加し、最終的には第1の回転の回転数は第2の回転の最大値、つまりR2maxに一致する。
【0040】
ここで第1の回転の回転数が第2の回転の最大値(R2max)に一致した時も、有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返すので、第1の回転を行った後、第2の回転を実施しても有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動かず、透明基板1の中心と有機複屈折膜5の中心が略一致した状態に保たれる。このため、有機複屈折膜5の端部と透明基板1の端部の距離を小さく、すなわち、有機複屈折膜5の直径と透明基板1の直径の差を小さくすることができる。この結果、透明基板1上で偏光分離素子100を形成できる面積を大きくでき、1枚の透明基板1から取れる偏光分離素子100を多くできる。さらに上記の工程を取ることで、図4に示したように、有機複屈折膜5を接着する接着層厚さを面内で略均一にすることができる。
【0041】
本実施例では、有機複屈折膜5をそのまま透明基板1に接着したが、有機複屈折膜5の一面に粘着剤を介して有機高分子からなる保護膜が付いた有機複屈折膜を用い、かつ保護膜の付いていない面で透明基板1に接着し、硬化用の紫外線照射後に保護膜を剥離すると、透明基板1と有機複屈折膜5の貼り合わせ工程中は有機複屈折膜表面が保護膜で被覆されているため、有機複屈折膜5表面に異物やキズが付く確率を非常に小さくできる。このため、リソグラフィー工程において異物やキズによって発生するパターン欠陥を低減できるので、偏光分離素子100の製造歩留を向上することができる。
【0042】
実施例2
図1(a)において、直径165mm、厚さ1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定し、スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52、粘度:500cpのアクリル系の紫外線硬化型接着剤3を8〜11g滴下する。滴下後、スピンテーブルを300rpmで回転させ、図1(b)に示すように、透明基板1の滴下面全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後スピンテーブルの回転を停止する。
【0043】
図1(c)では、スピンテーブル10の回転停止後、広げられた紫外線硬化型接着剤3の上に、後述する載置装置を用いて透明基板1の直径よりも小径な、直径155mm、厚さ80μmの有機複屈折膜5を、その中心をスピンテーブル10の回転中心に略合わせながら載置する。
【0044】
載置後、図1(d)に示す第1回転工程では、スピンテーブル10を400rpmで第1の回転(R1(X)=400rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が図2(a)に示すように、透明基板1上で動いていた場合には、図2(b)に示すように調整治具20を用いて有機複屈折膜5の位置修正を行い、再度400rpmで回転し、有機複屈折膜5が透明基板1上で位置ズレを起こさなくなるまで図1(d)の工程を繰り返す。なお400rpmでのT1(X)の総和は10秒とした。
【0045】
図1(e)では、スピンテーブル10を700rpmで第1の回転(R1(X)=700rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が透明基板1上で動いていた場合は調整治具20を用いて有機複屈折膜5の位置修正を行い、再度700rpmで回転し、有機複屈折膜5が透明基板1上で位置ズレを起こさなくなるまで図1(e)の工程を繰り返す。なお700rpmでのT1(X)の総和は30秒とした。
【0046】
図1(f)では、スピンテーブルを900rpmで第1の回転(R1(X)=900rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が透明基板1上で動いていた場合は調整治具20を用いて有機複屈折膜5の位置修正を行い、再度900rpmで回転し、有機複屈折膜が透明基板上で位置ズレを起こさなくなるまで図1(f)の工程を繰り返す。なお900rpmでのT1(X)の総和は90秒とした。
【0047】
図1(g)では、その後スピンテーブルを回転(第2の回転、3ステップで回転数を400rpmから900rpmに上げ、900rpmで30秒間保持)し、紫外線硬化型接着剤3を振り切り、接着層厚さを面内で一定にする。また、第2の回転中に硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解し、かつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒31(本例ではイソプロピルアルコールを使用)を有機複屈折膜5と透明基板1の境界にリンス機構30より滴下し、透明基板周辺の接着剤残を除去する。
【0048】
図1(h)では、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5側から、例えば図示しない高圧水銀灯を用いて紫外線UV(第1の紫外線)を照射し、紫外線硬化型接着剤3を硬化する。
【0049】
上記の(a)〜(h)の工程を実行し、3枚の透明基板1に対して有機複屈折膜5を接着したものを基板A〜Cとする。なお3枚の基板A、B、Cは、第1の回転R1(X)が等しい時の回転時間の総和が一定である。つまり400rpmで10秒、700rpmで30秒、900rpmで90秒回転させているが、3枚の基板間ではT1(X)自体は一致していない。
【0050】
図1(i)では、ダイシングソー15を用いて前記の基板A〜Cを切断し、200倍の金属顕微鏡で断面を観察し、基板の直径方向での接着層厚さを測定(測定範囲:有機複屈折膜端から5〜130mm)した。直径方向での平均膜厚、最大値、最小値を図5に示す。基板A〜Cにおいて、接着層の平均膜厚は25〜26μmであり、実施例1の接着層厚さを加味しても、基板間での接着層の変動は数μm程度となり、接着層厚さの再現性が良いことが確認された。
【0051】
実施例2の作製方法によれば、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、第1の回転が複数の回転数を有する場合,X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転での最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係になっている場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を一定にすることによって基板間での接着層厚さの変動を抑制することができる。
【0052】
上記の(a)〜(h)と同じ工程で、3枚の透明基板1に対して有機複屈折膜5を接着し、実施例1と同様に有機複屈折膜3に回折格子を形成し、光学的に等方的なアクリル系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)11を用いて直径165mm、厚み1mmの対向透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7、裏面に反射防止膜あり)を接着し、ダイシングソー15を用いて5mm角に切りだし、複数の偏光分離素子100を完成させる。各基板の任意の5個の偏光分離素子について、回折効率を測定した結果、回折効率は略揃っていた。これは基板間で有機複屈折膜5を接着する接着層の膜厚変動が小さいためと予想される。
【0053】
実施例3
図6を参照して実施例3の作成方法を説明する。図6(a)〜図6(k)は、偏光分離素子の作製方法の工程を示すものである。
図6(a)では、直径165mm、厚さ1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度:600cpのエポキシ系の紫外線硬化型接着剤3を8〜12g滴下した。滴下後、スピンテーブル10を400rpmで回転させ、図6(b)に示すように、透明基板1全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後スピンテーブル10の回転を停止する。図6(a)、図6(b)は、透明基板1上に紫外線硬化型接着剤3を塗布する工程を示す。
【0054】
図6(c)において、スピンテーブル10の回転停止後、広げられた紫外線硬化型接着剤3の上に、後述する載置装置を用いて透明基板1の直径よりも小径な、直径155mm、厚さ100μmの有機複屈折膜5を、その中心をスピンテーブル10の回転中心に略合わせながら載置する。図6(c)は、紫外線硬化型接着剤3上に有機複屈折膜5を載せるセット工程を示す。
【0055】
図6(d)に示すように、スピンテーブル10を600rpmで第1の回転(R1(1)=600rpm、T1(1)=8秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。図6(d)は、第1回転工程を示す。
【0056】
図6(e)において、スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、図2(a)に示すように、有機複屈折膜5が透明基板1上で外側に1mm程度動いており、有機複屈折膜5の中心とスピンテーブル10の回転中心が合わなくなっていた。そのため、調整治具20を用いて有機複屈折膜5の外側にずれた側の端部を透明基板1の中心側へ押して、透明基板1上を滑動し、図2(b)に示すように、有機複屈折膜5の位置修正を行った。つまり透明基板1と有機複屈折膜5の中心を合わせ、有機複屈折膜5が透明基板1からはみ出さない位置へ有機複屈折膜5を動かした。図6(e)は修正工程を示す。
【0057】
図6(f)では、その後スピンテーブルを再度600rpmで第1の回転(R1(2)=600rpm、回転時間T1(2)=2秒)を行い、接着剤を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0058】
その後スピンテーブル10を1000rpmで第1の回転(R1(3)=1000rpm、回転時間T1(3)=5秒)を行い、接着剤を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約2mm程度動いていた。その後調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0059】
修正後、スピンテーブルを再度1000rpmで第1の回転(R1(4)=1000rpm、回転時間T1(4)=6秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約1mm程度動いていた。その後調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0060】
修正後、スピンテーブル10を再度1000rpmで第1の回転(R1(5)=1000rpm、回転時間T1(5)=10秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0061】
観測後、スピンテーブル10を再度1000rpmで第1の回転(R1(6)=1000rpm、回転時間T1(6)=9秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。
【0062】
観測後、スピンテーブルを1500rpmで第1の回転(R1(7)=1500rpm、回転時間T1(7)=2秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約5mm程度動いていた。その後調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0063】
修正後、スピンテーブル10を再度1500rpmで第1の回転(R1(8)=1500rpm、回転時間T1(8)=16秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上で約3mm程度動いていた。その後調整治具20を用い、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行った。
【0064】
修正後、スピンテーブル10を再度1500rpmで第1の回転(R1(9)=1500rpm、回転時間T1(9)=30秒)を行い、接着剤を振り切る。その後スピンテーブルの回転を停止して有機複屈折膜の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜は透明基板上でほとんど動いていなかった。
【0065】
観察後、スピンテーブルを再度1500rpmで第1の回転(R1(10)=1500rpm、回転時間T1(10)=32秒)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止して有機複屈折膜5の位置ずれを観察したところ、有機複屈折膜5は透明基板1上でほとんど動いていなかった。図7は、第1の回転の回転数と回転時間の推移を示す。
【0066】
図6(g)では、図6(f)の終了後、スピンテーブル10を回転(第2の回転、3ステップで回転数を600rpmから1500rpmに上げた。よってR2max[rpm]は1500rpmとなる)し、1500rpmで5秒保持した後、1500rpmで回転させながら有機複屈折膜5側から図示しないメタルハライドランプを用いて第2の紫外線UVを照射し、紫外線硬化型接着剤3を徐々に半硬化する。なお、第2の紫外線照射のエネルギーは、第2の回転中に有機複屈折膜5が位置ずれを起こさない程度に紫外線硬化型接着剤3を半硬化できれば良いので、本例では実施例1で用いた第1の紫外線UVの約30%のエネルギーで照射した。図6(g)は第2回転工程と半硬化工程を示す
第2の紫外線を照射している間に、完全硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解し、かつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒31(本例ではアセトンを使用)を有機複屈折膜5と透明基板1の境界にリンス機構30より滴下し、透明基板周辺の接着剤残を除去した。
【0067】
図6(h)では、図6(g)の工程終了後、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜側から上記メタルハライドランプを用いて第1の紫外線UVを照射し、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化する。図6(h)は硬化工程を示す。以後、有機複屈折膜5が接着された透明基板1を基板62と略す。
【0068】
図6(i)に示すように、作製された基板62をスピンテーブル10から外し、有機複屈折膜5上にポジレジストを1.5μmの厚さに塗布し、60℃、30分のプリベークを行う。その後基板60を縮小投影露光装置(NA=0.54、σ=0.6、波長:i線)に装着し、1000周期ある1.0μmのラインアンドスペースパターンのレチクルを用いて露光を行い、現像液NMD−3を用いて現像を行い、100℃、30分のポストベークを行い、周期的なレジストパターンを完成させた。その後、前記のレジストパターンを110℃の雰囲気で1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラザン蒸気にさらし、レジスト表面に1,1,3,3−テトラメチルヘキサジシラザンをドープし、その後ECRエッチング装置を用いて酸素ガスを主成分とするエッチングガス雰囲気中で前記のレジストパターンをマスクとして有機複屈折膜を深さ4μmエッチングした。その後剥離液を用いてレジストパターンを除去し、1000周期ある凹凸状の格子となる回折格子63を完成させた。
【0069】
図6(j)に示すように、平面加工したφ200mm、厚み50mmのステンレス台上に回折格子63を形成した基板62を置き、回折格子62面に光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)11をマイクロシリンジで1.2ml滴下した。そして両面を光学研磨した直径165mm、厚み1mmの対向透明基板9(材質:ショット製光学ガラスBK7)を前記の等方性接着剤11を塗布した基板面に載せ、さらに対向透明基板上に光学研磨した光学ガラスを載せ、対向透明基板に100gf/cm2の圧力を加え、等方性接着剤11を被接着面全面に広げた。なお、対向透明基板9の被接着面と対向する面となる自由表面(空気と接する面)には、入射光の反射が最小となるよう反射防止膜(図示せず)を形成しておく。この状態で対向透明基板を通して紫外光を照射し、等方性接着剤11を硬化する。図6(j)において、符号1Bは、このようにして対向透明基板11を一体化した中間完成体を示す。
【0070】
図6(k)に示すように、中間完成体1Bに含まれている数100個の回折格子63を、ダイシングソー15を用いて5mm角(各々が、1個の回折格子を有する)」に切りだし、複数個の偏光分離素子101を完成させる。
【0071】
図6(a)〜図6(h)の工程によって有機複屈折膜を接着した透明基板1をダイシングソー15で切断し、200倍の金属顕微鏡で断面を観察し、基板の直径方向での接着層厚さを測定(測定範囲:有機複屈折膜端から5〜130mm)した結果を図8に示す。本条件での接着層厚さは平均32μmであり、直径方向でも略均一であることが確認された。
【0072】
実施例3の作製方法によれば、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで、第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程、半硬化工程、硬化工程を行うので、実施例1と同様に透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを防止することができる。さらに図6(g)に示すように、第2の回転を行いながら、第2の紫外線UVを照射して有機複屈折膜5を接着する紫外線硬化型接着剤3を半硬化させて高粘度化させるので、第2の回転中に透明基板1から有機複屈折膜5がはみ出すことをより確実に防止することができる。
【0073】
第1回転工程と修正工程とを繰り返し、かつ第1の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転での最大の回転数をR2max[rpm]すると、
R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧ R1(1) 但しX≧2の関係になっているので、第1回転工程と修正工程とを繰り返す毎に回転数が増加し、最終的には第1の回転の回転数は第2の回転の最大値、つまりR2maxに一致する。本実施例では、第1の回転の回転数が第2の回転の最大値(R2max)に一致した時も、有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、かつ第2の回転中に第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を半硬化して高粘度化させている。このため、第1の回転を行った後、第2の回転を実施しても有機複屈折膜5は透明基板1上でより動かなくなり、透明基板1の中心と有機複屈折膜5の中心が略一致した状態に保たれる。このため、有機複屈折膜5の端部と透明基板1の端部の距離を小さく、すなわち、有機複屈折膜5の直径と透明基板1の直径の差を小さくすることができる。この結果、透明基板1上で偏光分離素子100を形成できる面積を大きくでき、1枚の透明基板1から取れる偏光分離素子100を多くできる。加えて上記の工程を取ると、図8に示したように有機複屈折膜5を接着する接着層厚さを面内で略均一にすることができる。
【0074】
実施例4
本発明の実施例4の作成方法を説明する。
図6(a)直径165mm、厚さ1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定した。その後スピンテーブル10を10〜50rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.58、粘度:600cpのエポキシ系紫外線硬化型接着剤3を8〜12g滴下した。滴下後スピンテーブル10を400rpmで回転させ、図6(b)に示すように、透明基板1全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後スピンテーブル10の回転を停止する。
【0075】
図6(c)では、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心に略合わせながら、後述の載置装置を用いて紫外線硬化型接着剤3の上に、直径155mm、厚さ90μmの有機複屈折膜5を載せる。
【0076】
図6(d)では、載置後、スピンテーブル10を600rpmで第1の回転(R1(X)=600rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が透明基板1上で動いていた場合は調整治具20を用いて有機複屈折膜5の位置修正を行い、再度600rpmで回転し、有機複屈折膜5が透明基板1上で位置ズレを起こさなくなるまで図6(d)に示す工程を繰り返す。なお600rpmでのT1(X)の総和は10秒とした。
【0077】
図6(e)では、図6(d)の工程後、スピンテーブル10を1000rpmで第1の回転(R1(X)=1000rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が透明基板1上で動いていた場合は調整治具20を用いて有機複屈折膜5の位置修正を行い、再度1000rpmで回転し、有機複屈折膜5が透明基板1上で位置ズレを起こさなくなるまで図6(e)の工程を繰り返す。なお1000rpmでのT1(X)の総和は30秒とした。
【0078】
図6(f)では、さらにスピンテーブル10を1500rpmで第1の回転(R1(X)=1500rpm)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。そしてスピンテーブル10の回転を停止し有機複屈折膜5の位置ずれを観察し、有機複屈折膜5が透明基板1上で動いていた場合は調整治具20を用いて有機複屈折膜の位置修正を行い、再度1500rpmで回転し、有機複屈折膜5が透明基板1上で位置ズレを起こさなくなるまで図6(f)の工程を繰り返す。なお1500rpmでのT1(X)の総和は80秒とした。
【0079】
図6(g)では、図6(f)の工程後、スピンテーブル10を回転(第2の回転、3ステップで回転数を600rpmから1500rpmに上げた。よってR2max[rpm]は1500rpmとなる)し、1500rpmで5秒保持した後、1500rpmで回転させながら有機複屈折膜5側から図示しないメタルハライドランプを用いて第2の紫外線UVを照射し、紫外線硬化型接着剤3を徐々に半硬化させた。なお第2の紫外線照射のエネルギーは、実施例3と同様に実施例1で用いた第1の紫外線の約30%のエネルギーで照射した。また第2の紫外線を照射している間に、完全硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解し、かつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒31(本例ではアセトンを使用)を有機複屈折膜5と透明基板1の境界にリンス機構30より滴下し、透明基板周辺の接着剤残を除去した。
【0080】
図6(h)では、半硬化工程後、スピンテーブル10の回転を停止し、有機複屈折膜5側からメタルハライドランプを用いて第1の紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤3を完全に硬化させた。
【0081】
図6(a)〜図6(h)の工程を行い、3枚の透明基板1に対して有機複屈折膜5を接着した基板D〜Fを作製した。この3枚の基板D〜Fは、第1の回転R1(X)が等しい時の回転時間の総和が一定である。つまり600rpmで10秒、1000rpmで30秒、1500rpmで80秒回転させているが、3枚の基板間ではT1(X)自体は一致していない。
【0082】
図6(i)では、硬化後ダイシングソー10を用いて前記の基板D〜Fを切断し、200倍の金属顕微鏡で断面を観察し、基板の直径方向での接着層厚さを測定(測定範囲:有機複屈折膜端から5〜130mm)した。直径方向での平均膜厚、最大値、最小値を図9に示す。基板D〜Fにおいて、接着層の平均膜厚は32〜33μmであり、実施例2と同様に基板間での紫外線硬化型接着剤3の変動は数μm程度であった。
【0083】
実施例4の作製方法によれば、透明基板1上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜5を接着工程が、上記の工程からなり、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で略動かなくなるまで、第1回転工程と修正工程とを繰り返し、かつ第1の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転での最大の回転数をR2max[rpm]すると、
R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧ R1(1) 但しX≧2の関係になっている場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を一定にすることによって複数の基板間での接着層厚さの変動を抑制することができる。また図6(a)〜図6(h)と同じ工程で、3枚の透明基板に対して有機複屈折膜5を接着し、実施例3と同様に有機複屈折膜5に回折格子63を形成し、光学的に等方的なエポキシ系紫外線硬化型接着剤(等方性接着剤)11を用いて直径165mm、厚み1mmの対向透明基板(材質:ショット製光学ガラスBK7、裏面に反射防止膜あり)を接着し、図6(k)に示すダイシングソー15を用いて5mm角に切りだし、複数の偏光分離素子101を完成させた。各基板の任意の5個の偏光分離素子101について回折効率を測定した結果、回折効率は略均一であった。これは各基板間で有機複屈折膜を接着する接着層の膜厚が均一であるためと予想される。
【0084】
実施例1〜4において、透明基板1に紫外線硬化型接着剤3を塗布する方法は、透明基板1を回転しながらディスペンサー12から紫外線硬化型接着剤3を滴下し、その後回転数を上げて均一な塗布厚さを得る方法を採用しているが、スピンテーブル10を停止してディスペンサー12から紫外線硬化型接着剤3を滴下し、その後透明基板1、すなわち、スピンテーブル10を回転させて紫外線硬化型接着剤3を透明基板全面に広げても良い。また、本発明は上記の塗布方法に限定される必要は無く、均一な塗布厚さが得られる方法であれば何ら構わず、例えばスプレー法やロールコート法を用いることでも無論構わない。
【0085】
実施例5
図10は、本発明の光ピックアップ装置の一構成例を示す。図10に示すCD−RW用の光ピックアップ装置200は、CDからの情報の読み取りと、CD−RWに対する情報の書き込みと情報の読み取りを行うものである。光ピックアップ装置では、レーザーダイオード81から出射された波長780nmの光は実施例1の偏光分離素子100とコリメータレンズ85、λ/4波長板86、対物レンズ87を通った後、CD−RW90を照射する。照射された光は、CD−RW90の記録ピットで反射され、その反射光はλ/4波長板86で直線偏光になった後、偏光分離素子83で回折してフォトダイオード89に導かれ、フォーカス検出、トラック検出、信号検出が行われる。
【0086】
本実施例の光ピックアップ装置を用い、CD−RW90に信号を記録し、その後同じ光ピックアップ装置で信号の再生を行った所、プリズムを接着したビームスプリッタとλ/4波長板を組み合わせた従来のCD−RW用の光ピックアップ装置と同等の再生信号出力を得ることができ、本実施例の光ピックアップ装置が従来の光ピックアップ装置と同等の記録/再生特性を持つことが確認できた。また本実施例のピックアップ装置では、偏光分離素子100がプリズムを接着したビームスプリッタよりも小さくなっており、従来の光ピックアップ装置と比較して小型化が実現できた。
【0087】
実施例6
図11は、本発明の光ピックアップ装置の別な構成例を示す。図11に示すDVD用の光ピックアップ装置300は、CDからの情報の読み取りと、DVD−ROM91に対する情報の読み取りを行うものである。DVD用の光ピックアッ装置では、レーザーダイオード82から出射された波長680nmの光は実施例3の偏光分離素子101とコリメータレンズ85、λ/4波長板86、対物レンズ87を通った後、DVD−ROM91を照射する。DVD−ROM91の記録ピットからの反射光はλ/4波長板86で直線偏光になった後、偏光分離素子101で回折してフォトダイオード89に導かれ、フォーカス検出、トラック検出、信号検出が行われる。
【0088】
本実施例の光ピックアップ装置を用い、DVD−ROM91から情報信号の再生を行った所、プリズムを接着したビームスプリッタとλ/4波長板を組み合わせた従来のDVD用の光ピックアップ装置と同等の信号出力を得ることができ、本例の光ピックアップ装置が従来の光ピックアップ装置と同等の再生特性を持つことが確認できた。また、本実施例の光ピックアップ装置では、偏光分離素子101がプリズムを接着したビームスプリッタよりも小さくなっているため、従来の光ピックアップ装置よりも小型化となった。
【0089】
実施例7
図12は、本発明の有機複屈折膜の接着装置の一例を示す。この接着装置400は、透明基板1を保持するスピンテーブル10、スピンテーブル10を回転させるステッピングモーター71と図示しない駆動伝達機構を有する回転機構70、透明基板1に紫外線硬化型接着剤3を塗布する塗布機構としてのディスペンサー12、2本の吸着アーム50,50によって有機複屈折膜5の両端を吸着保持し、透明基板1上に塗布された紫外線硬化型接着剤3上に有機複屈折膜5を載置する載置機構55、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動して位置を修正する位置調整機構40、硬化前の紫外線硬化型接着剤を溶解しかつ有機複屈折膜を溶解しない有機溶媒(図1、図6参照)を透明基板1に滴下するリンス機構30、透明基板1に紫外線を照射する高圧水銀灯やメタルハライドランプ等からなる紫外線照射機構60等から構成されている。位置調整機構44は、X、Y方向に可動できる2軸アーム41の先端に調整治具20が装着されていて、この調整治具20を用いて実施例1〜4で説明したように有機複屈折膜5を押し、透明基板1上を滑らせる機構になっている。
【0090】
本実施例の接着装置を用いて有機複屈折膜5を接着する手順を次に説明する。直径165mm、厚さ1.5mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板1をスピンテーブル10に載せ、真空吸着によってスピンテーブル10に固定する。その後透明基板1の中央部にロボットアーム31によってディスペンサー12を移動し、スピンテーブル10を20rpmで回転させながら、透明基板1の中央部にディスペンサー12を用いて屈折率1.52、粘度500cpのアクリル系紫外線硬化型接着剤3を10g滴下する。
【0091】
その後ディスペンサー12を図に示す元の位置に戻し、スピンテーブル10を300rpmで回転させ、透明基板1全面に紫外線硬化型接着剤3を広げ、その後スピンテーブル10の回転を停止する。その後直径155mm、厚さ80μmの有機複屈折膜5の両端を載置機構55の2本の吸着アーム50,50に真空吸着して保持し、載置機構55を透明基板1上へ移動し、有機複屈折膜5の中心をスピンテーブル10の回転中心に略合わせながら2本の吸着アーム50,50の真空吸着を徐々に解除して、透明基板全面に広げられた紫外線硬化型接着剤3の上に有機複屈折膜5を載せる。
【0092】
その後載置装置55を図に示す元の位置に戻し、スピンテーブル10を400rpmで回転(第1の回転)させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。その後スピンテーブル10の回転を停止し、2軸アーム41を動かして調整治具20を有機複屈折膜5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アームをX,Y方向に動かし、調整治具20で有機複屈折膜5を押して透明基板1上で滑動し、有機複屈折膜5の位置修正を行う。
【0093】
位置調整終了後、2軸アーム41を元の位置に戻し、再度透明基板1を400rpmで回転(第1の回転)し、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で動かなくなるまで上記の操作を繰り返す。その後スピンテーブル10を700rpmで回転(第1の回転)させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。
【0094】
その後スピンテーブル10の回転を停止し、2軸アーム41を動かして調整治具20を有機複屈折膜5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アーム41をX,Y方向に動かし有機複屈折膜5を調整治具20で押し、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動して有機複屈折膜5の位置修正を行う。
【0095】
位置調整終了後、2軸アーム41を図に示す元の位置に戻し、再度透明基板1を700rpmで回転(第1の回転)し、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で動かなくなるまで上記の操作を繰り返す。その後スピンテーブルを900rpmで回転(第1の回転)させ、紫外線硬化型接着剤3を振り切る。
【0096】
その後スピンテーブル10の回転を停止し、2軸アーム41を動かして調整治具20を有機複屈折膜5の側面に突き当て、有機複屈折膜5の位置ズレに応じて2軸アーム41をX,Y方向に動かし有機複屈折膜5を調整治具20で押し、有機複屈折膜5を透明基板1上で滑動して、その位置修正を行う。位置調整終了後、2軸アーム41を図に示す元の位置に戻し、再度、透明基板1を900rpmで回転(第1の回転)し、第1の回転によって有機複屈折膜5が透明基板1上で動かなくなるまで上記の操作を繰り返す。
【0097】
その後第2の回転(3ステップで400rpmから900rpmに回転数を上げる)を行い、紫外線硬化型接着剤3を振り切り、接着層厚さを面内で一定にする。また、第2の回転中に有機複屈折膜上にリンス機構30を移動して、硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解しかつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒(本例ではイソプロピルアルコールを使用)を滴下し、基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤を除去する。
【0098】
その後スピンテーブル10の回転を停止し、リンス機構30を元の位置に戻す。そして透明基板1上に紫外線照射機構60を移動し、有機複屈折膜5側、すなわち本例では紙面垂直方向から第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を硬化させる。紫外線照射終了後、紫外線照射機構60を図に示す元の位置に戻し、スピンテーブル10の真空吸着を解除して有機複屈折膜5を接着した透明基板1を取り出す。
【0099】
図12に示すような構成の接着装置を用いると、実施例1、2の偏光分離素子100の作製方法を実現できるため、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しを防止できる。またリンス機構30から硬化前の紫外線硬化型接着剤3を溶解し、かつ有機複屈折膜5を溶解しない有機溶媒を滴下するため、基板周辺部に残っていた紫外線硬化型接着剤3を除去できる。
【0100】
また、第1の回転R1(X)が複数個の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を一定にすることによって、実施例3の偏光分離素子101の作製方法を実現できることから、基板間での接着層厚さの変動(バラツキ)を抑えることができる。
【0101】
本例では第2の回転の終了後に第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化したが、第2の回転中に透明基板1上に紫外線照射機構60を移動し、有機複屈折膜5側から第2の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を半硬化させ、その後スピンテーブ10ルの回転を停止し、リンス機構30を元の位置に戻し、さらに紫外線照射機構60から有機複屈折膜5側から第1の紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤3を硬化させると、実施例3、4の偏光分離素子の作製方法を実現できるため、透明基板1からの有機複屈折膜5のはみ出しや位置ズレをより確実に抑制することができる。
【0102】
さらに第1の回転R1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を一定にすることによって、実施例4の偏光分離素子の作製方法を実現できることから、基板間での接着層厚さの変動(バラツキ)を抑えることができる。
【0103】
本例では紫外線照射機構60は1つであるため、第1、第2の紫外線照射では照射時間や照射距離等を変えて第1の紫外線と第2の紫外線を照射するが、光強度の異なる2つの紫外線照射機構を配設し、各々第1の紫外線と第2の紫外線を照射する構成であっても良い。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程及び硬化工程を行うことで、透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しが抑制され、回折格子を形成するためのリソグラフィー/ドライエッチング工程等において、装置内や工程間の搬送で基板側面をクランプすることができ、搬送不良の発生を抑制することができる。
【0105】
本発明によれば、第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程、半硬化工程、硬化工程を行うことで、紫外線硬化型接着剤が第2の回転中に半硬化して高粘度化されるので、透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しがさらに抑制され、回折格子を形成するためのリソグラフィー/ドライエッチング工程等において、装置内や工程間の搬送で基板側面をクランプすることができ、搬送不良の発生をより抑制することができる。
【0106】
本発明によれば、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転での最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係としているので、第1回転工程と修正工程とを繰り返す毎に回転数が増加し、最終的には第1の回転の回転数は第2の回転の最大値、つまりR2maxと一致する。このため、第1の回転の回転数が第2の回転の最大値(R2max)に一致した時も、有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返すことで、第1の回転を行った後、第2の回転を実施するので有機複屈折膜は透明基板上で動きにくくなり、有機複屈折膜の端部と透明基板の端部の距離を小さくできる。このため、基板上での偏光分離素子を形成できる面積が大きくなり、1枚の基板から取れる偏光分離素子を多くすることができて生産効率がよくなるとともに、有機複屈折膜を接着する接着層厚さを面内で略均一にすることができる。また、半硬化工程を有する場合、紫外線硬化型接着剤の高粘度化により透明基板上で有機複屈折膜が動きにくくなるので、有機複屈折膜の端部と透明基板の端部の距離をさらに小さくでき、基板上で偏光分離素子を形成できる面積をより一層広くでき、1枚の基板から取れる偏光分離素子をさらに多くできて、生産効率がより良くなる。
【0107】
本発明によれば、第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつR1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を透明基板間で一定としているので、基板間において有機複屈折膜を接着する接着層厚さの変動を抑制することができる。
【0108】
本発明によれば、有機複屈折膜の接着工程で透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しや位置ズレを抑制できるので、リソグラフィー/ドライエッチング工程等において、装置内や工程間の搬送で基板側面をクランプしても搬送不良が発生しにくいので、歩留が向上する。特に、R1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和を一定として作製した場合、基板間で接着層の厚さ変動が小さいので、個々の偏光分離素子間での回折効率を揃えることができる。
【0109】
本発明によれば、有機複屈折膜に回折格子を設けた偏光分離素子を光ピックアップ装置に用いることで、従来のプリズムを接着したビームスプリッタよりも小型化が可能なので、光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。
【0110】
本発明によれば、上記効果を有する偏光分離素子の作製方法を実現できるので、有機複屈折膜の接着工程において透明基板からの有機複屈折膜のはみ出しや位置ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光分離素子の作製方法の一例を示す工程図である。
【図2】有機複屈折膜の位置ずれ状態と修正後の状態を示す斜視図である。
【図3】実施例1における第1の回転の回転数と回転時間の推移を示す図である。
【図4】実施例1での接着層の膜厚の変位状態を示す図である。
【図5】実施例2での接着層の膜厚の変化状態を示す図である。
【図6】偏光分離素子の作製方法の別な例を示す工程図である。
【図7】実施例3における第1の回転の回転数と回転時間の推移を示す図である。
【図8】実施例3での接着層の膜厚の変位状態を示す図である。
【図9】実施例4での接着層の膜厚の変位状態を示す図である。
【図10】光ピックアップ装置の一例を示す図である。
【図11】光ピックアップ装置の別な例を示す図である。
【図12】有機複屈折膜の接着装置の一例を示す図である。
【図13】従来の偏光分離素子の作製方法を示す工程図である。
【図14】貼り合わせ光ディスクの作製方法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 透明基板
3 紫外線硬化型接着剤
5 有機複屈折膜
10 スピンテーブル
12 塗布機構
40 位置調整機構
55 載置機構
60 紫外線照射機構
61,63 凹凸による回折格子
70 回転機構
100,101 偏光分離素子
200,300 光ピックアップ装置
400 接着装置
Claims (7)
- 透明基板上に、入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する接着工程と、上記有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸による回折格子を形成する工程とを有する偏光分離素子の作製方法において、
前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程、紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載せるセット工程、有機複屈折膜が載せられた透明基板を第1の回転で回転する第1回転工程、第1の回転で回転する透明基板の回転を止めて有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置修正を行う修正工程、透明基板を第2の回転で回転する第2回転工程、第2の回転で回転する透明基板の回転を止め、紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する硬化工程を有し、
第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程と硬化工程とを行うことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項1項に記載の偏光分離素子の作製方法において、
第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつ第1回転工程での透明基板の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転の最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係にあることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項2項に記載の偏光分離素子の作製方法において、
第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつR1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和が透明基板間で一定であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 透明基板上に入射光の異なる振動面に対して屈折率が異なる有機複屈折膜を接着する工程と、前記の有機複屈折膜上に周期的なマスクパターンを形成し、前記のマスクパターンを用いて有機複屈折膜をエッチングして周期的な凹凸状の回折格子を形成する工程からなる偏光分離素子の作製方法において、
前記接着工程が、透明基板上に紫外線硬化型接着剤を塗布する工程、紫外線硬化型接着剤上に有機複屈折膜を載せるセット工程、有機複屈折膜が載せられた透明基板を第1の回転で回転する第1回転工程、第1の回転で回転する透明基板の回転を止めて有機複屈折膜を透明基板上で滑動して位置修正を行う修正工程、透明基板を第2の回転で回転する第2回転工程、第2回転工程中に紫外線を照射して、紫外線硬化型接着剤を半硬化する半硬化工程、第2の回転で回転する透明基板の回転を止め、紫外線を照射して紫外線硬化型接着剤を硬化する硬化工程を有し、
第1の回転によって有機複屈折膜が透明基板上で略動かなくなるまで第1回転工程と修正工程とを繰り返し、その後、第2回転工程、半硬化工程、硬化工程を行うことを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項4項に記載の偏光分離素子の作製方法において、
第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつ第1回転工程での透明基板の回転が複数の回転数を有する場合、X回目の第1の回転の回転数をR1(X)[rpm]、第2回転工程での第2の回転の最大の回転数をR2max[rpm]すると、R2max=R1(X)≧R1(X−1)≧・・・≧R1(1) 但しX≧2の関係にあることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 請求項5項に記載の偏光分離素子の作製方法において、
第1回転工程と修正工程を繰り返し、かつR1(X)が複数の回転数を有する場合、R1(X)が等しい時の回転時間の総和が透明基板間で一定であることを特徴とする偏光分離素子の作製方法。 - 透明基板を保持するスピンテーブルと、
このスピンテーブルを回転させる回転機構と、
上記スピンテーブルに保持された透明基板に、紫外線硬化型接着剤を塗布する塗布機構と、
上記透明基板上に塗布された紫外線硬化型接着剤の上に有機複屈折膜を載置する載置機構と、
上記透明基板上に載置された有機複屈折膜を当該透明基板上で滑動して位置を修正する位置調整機構と、
上記有機複屈折膜を介して上記紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射する紫外線照射機構とを有する有機複屈折膜の接着装置。
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