JP4136131B2 - 版胴装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置の版胴装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の印刷装置では、印刷用インキとしてエマルジョンインキを使用することが多い。エマルジョンインキはカーボンを含む油相成分と水相成分、さらにインキによっては溶剤とからなるが、空気に触れた状態で放置されると、水相成分及び溶剤成分は徐々に蒸発し、インキ中の油相成分の相対比率が上昇してくる。油相成分率が増大してくると、インキは粘度が下がり、印刷用紙への転移量が増えるとともに用紙への浸透性も増大してくるので、印刷後のインキの滲みが大きくなり、細かな文字が滲んでしまい、印刷品質の低下をもたらす。また、インキの転移量の増大は、印刷用紙上での過剰インキも増大させてしまい、未乾燥インキが次の印刷用紙の裏面に付着する、いわゆる、裏移りも増大してしまう。
【0003】
このような問題点を解決する提案例として、特開平8−282078号公報がある。この特開平8−282078号公報では、版胴の内面にインキを供給するインキ供給装置(インキローラとドクタロッドとインキ溜り部よりなる)に保持されたインキを、印刷終了後に、密封されたインキ回収容器内に回収することで、インキ水相成分や溶剤成分の蒸発を防止した状態で保存し、次回の印刷時には、このインキ回収容器内に保存されたインキをインキローラに供給してインキ溜り部を形成し、印刷を行なうようにしている。
【0004】
この公報例による場合、インキローラ、ドクタロッド、及び、インキ溜り部におけるインキの変成は防止でき、上記の問題点を改善し得るものの、版胴の内周面に付着したインキの変成を防止することはできない。特に、この種の版胴装置にあっては、インキ溜り部やインキローラの表面積に比べて版胴の内周面の面積は非常に大きく(版胴は内径が160〜190mm程度ある)、空気との接触面積は非常に大きいものとなる。従って、インキの重量に対する水相成分の蒸発量は大きくなり、その分、インキの変成の度合いはインキ溜り部やインキローラ表面におけるインキの変成の度合いに比べて非常に大きくなってしまう。そして、放置後の再使用時(印刷開始時)にはインキ溜り部のインキが印刷に使用される前に版胴の内周面のインキが使用されることとなる。従って、版胴の内周面に付着しているインキの変成をできるだけ抑制しなければ、放置後の印刷初期での文字の滲みや裏移りを効果的に防止できないといえる。
【0005】
ちなみに、版胴装置内におけるインキの変成を防止するという観点では、特開昭58−208086号公報による提案例がある。この特開昭58−208086号公報では、版胴装置内のインキの乾燥変成による固着や目詰まりを防止するため、版胴内に内円筒部材を設け、版胴内面と内円筒部材外周面との間の空間や、インキングローラ周りのインキ溝にインキを常に充填し、空気との接触を防止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開昭58−208086号公報例による場合、版胴内に内円筒部材を有する二重構造であり、構造が複雑で重量が増えてしまう。この結果、版胴装置の交換(近年では、色替えのために版胴装置をユーザが交換できるタイプの孔版印刷装置が多い)の作業性が悪くなるとともに、版胴装置がコスト高となってしまう。
【0007】
また、特開昭58−208086号公報例による場合、回転しない内円筒部材に対して、間の空隙にインキを満たした状態のまま、版胴のみを回転させるため、インキの粘性によって版胴回転負荷が増大し、版胴回転駆動装置の容量が大きくなってしまう。この結果、コスト高になるだけでなく、版胴自身も回転負荷に耐え得るだけの剛性を持つように厚くする必要があり、印刷時のプレスローラによる変形が難しくなり、適正な印刷ができなくなってしまう、という問題を生ずる。
【0008】
さらに、このようなインキの粘性に関する問題であるが、特開昭58−208086号公報例の出願当時の孔版印刷用マスタは放電破壊方式により作成されていたので、孔が小さく穿孔されることか多く、インキとしても比較的低粘度のものが使用されていた事情があり、あまり問題とはならないものの、現在では、孔版印刷用マスタはサーマルヘッドで穿孔され、孔が比較的大きく穿孔され、これに適した印刷インキとしては比較的粘度が高くなってきている現状にあるため、この問題は重要となる。
【0009】
この他、版胴内の空間容積や表面積を、版胴内に保持しているインキの量や表面積に対して或る一定比率以下に抑え、インキの変質を抑えようという試みもなされているが、インキの変成を抑えるには十分ではない。
【0010】
そこで、本発明は、印刷終了後、放置された場合に印刷品質の低下に最も影響を及ぼす版胴の内周面のインキの空気との接触による変成を防止できる版胴装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、上記目的を達成する上で、版胴の重量増加を抑えて交換性に優れ、コスト増を少なくする。
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成する上で、インキの粘性が版胴の回転に影響を及ぼさないようにする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、版胴内に配置されて前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラを備えた版胴装置において、非印刷時に前記版胴の内周面に面接触する可撓性シート部材を備えた。
【0014】
従って、印刷装置を使用せずに放置されるような場合に可撓性シート部材を版胴の内周面に面接触させておけば、版胴の内周面に付着しているインキが空気に触れずその水相成分の蒸発を防止でき、よって、そのインキの変成を防止できるので、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを回避できる。
【0015】
請求項2記載の発明は、版胴内に配置されて前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラを備えた版胴装置において、前記版胴の内周面に面接触する接触位置とこの内周面から離れた離間位置とで移動可能な可撓性シート部材を備えた。
【0016】
従って、印刷装置を使用せずに放置されるような場合には、可撓性シート部材を版胴の内周面に面接触する接触位置に位置させておけば、版胴の内周面に付着しているインキが空気に触れずその水相成分の蒸発を防止でき、よって、そのインキの変成を防止できるので、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを回避でき、印刷時には可撓性シート部材を離間位置に位置させておけば版胴の回転動作に支障を来さない。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の版胴装置において、前記可撓性シート部材が前記版胴の内周面に面接触する領域は、ほぼ印刷画像範囲に対応する領域である。
【0018】
従って、面接触させる必要最小限の領域をほぼ印刷画像範囲に対応する領域とすることで、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを最低限回避できる。ここに、「ほぼ印刷画像領域に対応する領域」とは、版胴における孔版印刷用マスタのクランプ部分を除くとともに、印刷画像領域全域に一致することが望ましいが、少なくとも印刷画像領域の60〜80%程度をカバーし得る範囲であればよいことを意味する。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の版胴装置において、前記可撓性シート部材を前記接触位置と前記離間位置との間で変位移動させるシート部材駆動手段と、少なくとも前記版胴の回転時には前記可撓性シート部材を前記離間位置に位置決めするよう前記シート部材駆動手段を制御する制御手段とを備えた。
【0020】
従って、印刷等のために少なくとも版胴が回転する時には可撓性シート部材が版胴の内周面に対して離れた離間位置に位置決めされているので、印刷時に可撓性シート部材が版胴の内周面に接触していることにより回転を阻害したり、可撓性シート部材を破損させたり、版胴の内周面のインキ層の擦りムラを生じたり、する不具合を回避できる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の版胴装置において、前記制御手段は、印刷終了後には前記可撓性シート部材を前記接触位置に位置決めし、製版開始指令又は印刷開始指令が入力された後に前記可撓性シート部材を前記離間位置に位置決めするよう前記シート部材駆動手段を制御する。
【0022】
従って、印刷終了後には可撓性シート部材が版胴の内周面に対して接触位置に位置決めされ、製版開始指令又は印刷開始指令が入力された後には、可撓性シート部材が離間位置に位置決めされるので、印刷後には常に可撓性シート部材が接触位置にあり、内周面のインキの変成を防止でき、かつ、印刷や製版の開始前に中断が入っても可撓性シート部材を接触位置に維持でき、離間位置で放置されるのを防止できる。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の版胴装置において、前記シート部材駆動手段は、前記版胴回転軸線方向にほぼ平行な回転軸線を有して前記可撓性シート部材の版胴回転方向における少なくとも一端が固定された回転部材と、前記可撓性シート部材が前記離間位置をとる巻取り方向と前記接触位置をとる巻戻し方向とに前記回転部材を回転させる正逆転自在な駆動モータとを備える。
【0024】
従って、可撓性シート部材を接触位置と離間位置とで移動させるために、少なくとも一端を固定させた回転部材の正逆転動作による巻取りと巻戻しとにより簡単かつ確実に行なわせることができ、円筒形状の版胴内の空きスペースを有効に活用した簡単な機構で済む。
【0025】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の版胴装置において、前記回転部材と平行な軸線を有し、前記回転部材とで前記可撓性シート部材を挟持可能なガイド部材を備える。
【0026】
従って、回転部材の回転による可撓性シート部材の巻取り方向への駆動時に、可撓性シート部材の内周面に沿った形状を維持させながら離間させることができ、特に、回転部材による巻取り部分での可撓性シート部材の曲率を抑制でき、部分的に版胴の内周面に接してしまうような動きを防止して離間位置に移動させることができる。ここに、「ガイド部材」は、回転部材に対して可撓性シート部材の厚さ以上の隙間を空けて位置固定的に設置されたものであってもよいが、回転部材の半径方向に対して進退自在で回転部材に弾性的に接触するように設けられたものであってもよい。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一に記載の版胴装置において、前記可撓性シート部材は、樹脂製薄板又は弾性金属薄板からなる。
【0028】
従って、可撓性シート部材を版胴の内周面に対して面接触させたり離間させる移動を内周面形状に合せて簡単かつ重量を増すことなく行なわせることができる。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか一に記載の版胴装置において、前記可撓性シート部材は、前記版胴の円周方向に複数枚に分割されている。
【0030】
従って、版胴の内周面に対して可撓性シート部材をより適正に面接触させることが簡単となり、より効果的にインキの変成を防止できる。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項2ないし9の何れか一に記載の版胴装置において、前記離間位置における前記可撓性シート部材と前記版胴の内周面との間の最接近距離が0.3mm以上である。
【0032】
従って、版胴の内周面に付着しているインキ膜厚は通常0.1mm程度であるので、可撓性シート部材を離間位置に位置させるとき最接近距離が0.3mm以上あれば印刷時に可撓性シート部材が版胴の内周面に接することはなく、必要最小限の離間動作で済ませることができる。
【0033】
請求項11記載の発明は、請求項6ないし10の何れか一に記載の版胴装置において、前記可撓性シート部材が前記版胴の内周面から離間した位置を検出する変位検出装置と、前記回転部材の回転位置を検出する回転部材位置検出装置とを有して、前記可撓性シート部材の前記版胴の内周面に対する状態を検出するシート部材監視手段を備える。
【0034】
従って、可撓性シート部材は版胴の内周面に対する離間位置をとる上でその可撓性により形状が変化しやすく不安定な状態となり一部が内周面に接してしまうようなこともあるが、変位検出装置により可撓性シート部材が版胴の内周面から離間した位置にあることを直接的に検出するとともにその離間位置への変化を生じさせるための回転部材の回転位置を回転部材位置検出装置により検出する二重検出方式としているので、確実な離間状態の検出となり、一部が内周面に接した状態で離間位置にあると見倣してしまうような不具合を回避できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、孔版印刷装置における版胴装置に適用されている。図1により孔版印刷装置の概略構成及びその概略動作を説明する。相対向する側板(図示せず)により回転自在に支持された円筒状の版胴1が設けられている。この版胴1は、内部にインキローラ2を含むインキ供給機構3を有し、外周に形成されたスクリーン(図示せず)からインキを滲み出すように構成され、外周の一部には製版済みのマスタ4の端部を把持するクランプ5が開閉自在に設けられている。また、版胴1の外周には、給紙される印刷用紙Pを版胴1に押圧する同径の印圧胴6と、版胴1から印刷用紙Pを剥離する進退自在な剥離爪7と、印刷工程前に版胴1に巻き付けられた使用済みのマスタを剥離して回収する排版部8と、マスタ4に製版する製版部9とが配設されている。製版部9では、プラテンローラ10及びこれに接離自在に対向配置させたサーマルヘッド11と、マスタ4を版胴1に向けて搬送するフィードローラ12と、マスタ4を所定長さで切断するカッタ13とを備えている。
【0036】
印刷用紙Pは給紙トレイ14上に積載され、給紙ローラ15、レジストローラ16を経て版胴1と同期して所定タイミングで給紙搬送される。印圧胴6の下流側には、排紙トレイ17が設けられている。
【0037】
これにより、製版部9で製版されたマスタ4がローラ12により版胴1に向けて送り出され、この動作に同期して版胴1はクランプ5がマスタ4を受け入れる位置に待機し、マスタ4の先端がクランプ5により把持される。従って、版胴1を時計方向に回転させ、製版済みのマスタ4をカッタ13でカットすることにより、マスタ4が版胴1の外周面に巻き付けられる。これにより、印刷可能となり、版胴1の回転に同期して印刷用紙Pが給紙・搬送されると、印刷用紙Pの先端が版胴1と印圧胴6との間を通過した時点で上方に変位させた印圧胴6により版胴1上のマスタ4に印刷用紙Pを押し付けることにより、版胴1内のインキがマスタ4の穿孔部分から滲み出て印刷用紙P上に転写される。即ち、印刷される。印刷後の印刷用紙Pは排紙トレイ17上に排紙される。
【0038】
次に、版胴装置付近の構成について図2及び図3に基づいて説明する。図2は製版開始指令又は印刷開始指令を受ける前の待機状態、図3は製版(排版、給版)動作中或いは製版動作に入る状態、又は、印刷動作中或いは印刷動作に入る状態の版胴装置を示している。
【0039】
まず、基本的構成について説明する。印刷領域に多数の微小貫通孔を有するステンレス等の弾性薄板からなる円筒状の版胴1の内部にはフレーム21が設置され、このフレーム21には版胴支持軸22が固定されている。このフレーム21の一端と反対側の版胴支持軸22の周りには2枚の版胴フランジ(図示せず)が、軸線方向で間隔をあけて各々回転可能に支持されている。版胴1はこれらのフランジ間に固定されている。つまり、円筒形の版胴1の軸線方向の両端に各々フランジが固定されることで、版胴1が版胴支持軸22の周りに回転自在とされている。
【0040】
なお、フレーム21は、図2及び図3における手前側が、孔版印刷装置本体の手前側フレームの一部に支持され、奥側が版胴支持軸22を支持してなり、フレーム奥側の駆動装置から奥側の版胴フランジを回転駆動することにより、版胴1を回転駆動し得るよう構成されている。
【0041】
また、版胴1の外表には、その内周面1aから供給されたインキを拡散するために、ポリエステル等で織られたスクリーンが1〜2枚巻装されている。また、版胴1の外表には、2つの版胴フランジを連結し、回転駆動力を伝達するクランパベース23が設けられている。このクランパベース23上に、製版済みマスタ4をクランプするためのマスタクランパ5が設けられている。製版済みマスタ4はこのマスタクランパ5に先端部を挟持されることで、スクリーン上の外表に巻装される。
【0042】
さらに、フレーム21の軸方向両端には、2つのサブフレーム24が固定されている。これらのサブフレーム24間には、まず、インキ供給機構3が取付けられている。インキ供給機構3の主となるインキローラ2は金属製であり、サブフレーム24間に回転自在に支持されている。このインキローラ2に対してはドクタローラ25が0.06〜0.1mm程度の微小隙間をあけて対向させつつ回転自在に設けられている。このドクタローラ25はインキローラ2の周速よりも遅い周速で回転される。また、印刷用のエマルジョンインキは、インキ容器(図示せず)からインキポンプで吸引され、インキ供給管26を通過し、その供給孔26aからインキローラ2とドクタローラ25との間の上に滴下される。このように滴下されたインキがインキ溜り27を形成しながら、インキローラ2とドクタローラ25との隙間でスクイズされ、この隙間と略等しい厚さのインキ膜をインキローラ2上に形成する。
【0043】
一方、版胴1と略等しい外径を有する印圧胴6は版胴1と同期して回転駆動される。この印圧胴6の最外層は、ゴム又は発泡ゴムからなり、揺動機構(図示せず)により版胴1に向けて一定の力で押圧される。この押圧時における印圧胴6とマスタクランパ5及びクランパベース23との干渉を避けるために、印圧胴6の一部には凹部28が形成されている。
【0044】
このような基本的構成において、印圧胴6が所定のタイミングで給紙された印刷用紙Pを間に挟んで版胴1に押圧されると、インキローラ2と版胴1の内周面1aとが接触し、インキローラ2表面のインキがこの内周面1aに塗布され、版胴1の微小開孔を通過し、版胴1の外に吐出する。そして、スクリーンを通過し、製版済みマスタ4の裏面に供給され、マスタ4の製版孔を通過して、印刷用紙P上に転移される。
【0045】
これにより、このような版胴装置では、版胴1の内周面は常にインキが塗布された状態となっており、このインキが空気と接触して水相成分が蒸発して変成すると、前述したような問題を生じ得る状況にある。
【0046】
なお、本実施の形態においては、図2及び図3に示すように、マスタクランパ5がほぼ真下に来ている状態が版胴1の定位置(ホームポジション)であり、製版又は印刷前はこの状態で待機する。
【0047】
つづいて、インキの変成を防止するための特徴的構成について説明する。まず、版胴1内には可撓性シート部材31が内周面1aに沿って設けられている。この可撓性シート部材31は内周面1aに対して接する接触位置と内周面1aから離れた離間位置とを取り得るように移動可能に設けらている。可撓性シート部材31は、ポリエステルフィルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)、その他の弾性を有する合成樹脂、又は、ステンレス等の弾性を有する金属薄板からなり、合成樹脂製の場合には0.1〜0.5mm程度、金属薄板製の場合には0.05〜0.2mm程度の厚さに形成されている。この可撓性シート部材31は、図2に示すように、版胴1の内周面1aに接触した状態ではその印刷画像範囲を概ね覆うような周長と軸線方向の長さ(接触面積)を有することが望ましいが、実質的には、印刷画像範囲の60〜80%程度を覆っていれば、空気と接触して変成するインキの量を実用上支障ない範囲に抑えることができる。
【0048】
可撓性シート部材31の版胴回転方向の両端は、回転部材32,33に固定されている。回転部材32,33はサブフレーム24間に回転自在に支持されており、その一部には可撓性シート部材31の端部を固定するためのスリット溝32a,33aが形成されている。回転部材32のサブフレーム24外の一端部にはウォームホイール34が固定されている。フレーム21にはウォームホイール34に噛み合うウォーム35を有する正逆転自在な駆動モータ36が取付けられている。一方、回転部材33のサブフレーム24外の一端部にはハス歯ギヤ37が固定され、フレーム21にはこのハス歯ギヤ37に噛み合う同径のハス歯ギヤ38が回転自在に設けられている。このハス歯ギヤ38をウォームホイールとしてハス歯ギヤ38に噛み合うウォーム39を有する正逆転自在な駆動モータ40がブラケット41を介してフレーム21に取付けられている。これらの回転部材32,33、対応する駆動モータ36,40及びその間の駆動伝達系によりシート部材駆動手段42が構成されている。ここに、回転部材32,33はウォーム・ウォームホイール駆動伝達系を介して駆動されるので、駆動モータ36,40の回転が停止すれば、可撓性シート部材31の巻戻し張力が生じても、その位置を維持することができる。
【0049】
ここで、本実施の形態では、可撓性シート部材31の両端に回転部材32,33を設けて、両端で巻取り及び巻戻し駆動させるようにしているが、例えば、回転部材33は省略し、可撓性シート部材31の一端は回転部材33の位置で固定的に設けるようにしてもよい。この場合、回転部材32側の回転によってのみ可撓性シート部材31を巻取ったり巻戻すことになる。もっとも、図3に示すように可撓性シート部材31が内周面1aに対する離間位置から図2に示すような内周面1aに対する接触位置に移動させたときに、均一に密着させて空気層を巻き込まないようにするためには、本実施の形態のように可撓性シート部材31の両端を駆動させることで、可撓性シート部材31の中央部から内周面1aに接触させるほうが好ましい。
【0050】
また、版胴1内の回転部材32,33の近傍には、回転部材32,33よりも外周側には各々ガイド部材としてのガイドローラ43,44が設けられている。これらのガイドローラ43,44は、図3に示すように回転部材32,33が可撓性シート部材32,33を巻取ったときに、可撓性シート部材31の両端固定部付近ではその弾性によって屈曲がきついため、ガイドローラ43,44付近でこの可撓性シート部材31が外周方向に膨らんで版胴1の内周面1aに接触してしまうことがあり得るため、この膨らみを防止して、可撓性シート部材31が回転部材32,33から出ていく角度を適正に保つ作用を果たす。これらのガイドローラ43,44は可撓性シート部材31の巻取り時又は巻戻し時にその抵抗を少なくするためにサブフレーム24に対して回転自在に支持されている。また、ガイドローラ43,44は回転部材32,33に対して少なくとも可撓性シート部材31の厚さ以上の間隔を持って設置される必要があり、可撓性シート部材31の許容屈折率にもよるが、可撓性シート部材31の厚さの4〜10倍程度の間隔を確保できることが望ましい。
【0051】
もっとも、ガイドローラ43,44は位置固定的である必要はなく、例えば、その軸心位置が回転部材32,33の半径方向に移動自在であって、回転部材32,33に向けて弾性的に押圧され、固定部であるスリット溝32a,33a部分が通過する際には外側に退避し、このスリット溝32a,33a部分が通過した後は回転部材32,33とで可撓性シート部材31をしかっり挟持できるように変位させるようにしてもよい。
【0052】
よって、本実施の形態においては、図3に示すように、回転部材32が反時計方向に回転し、回転部材33が時計方向に回転することにより、可撓性シート部材31はその両端が回転部材32,33により巻取られ、かつ、巻取り時の弛みがガイドローラ43,44により抑えられ、回転部材32,33からの飛出し角度が規制されることとなる。これにより、可撓性シート部材31は版胴1の内周面1aに接することなく、直径が小さくなって版胴1の内周面1aから離れた離間位置に移動させられる。一方、図2に示すように、回転部材32が時計方向に回転し、回転部材33が反時計方向に回転することにより、巻き取られた可撓性シート部材31はその両端が回転部材32,33により緩められるため、自身の弾性によって直径が徐々に大きくなっていくため、版胴1の内周面1aに面接触するように変位して接触位置に移動させられる。これにより、版胴1の内周面1aのインキが空気に触れるのが防止され、インキの変成を防止できる。
【0053】
なお、図3に示すように可撓性シート部材31が版胴1の内周面1aから離間したときの円周方向及び軸線方向での最小隙間(最接近距離)δは、可撓性シート部材31の外周面と版胴1の内周面1aに付着したインキとが接触しないように設定される。ここに、通常、インキローラ3の表面のインキ膜厚は0.1mm程度であり、版胴1の内周面1aに付着しているインキ膜厚も0.1mm程度であるので、インキローラ3と版胴1の内周面1aとの隙間は、通常、0.3mm程度確保されている。従って、最小隙間δも、最低限0.3mm程度確保されていればよいので、これを満たすように可撓性シート部材31の長さや回転部材32,33での巻取り量を設定しておけばよい。もっとも、可撓性シート部材31は剛性がなく変形しやすい上に、寸法精度も出にくいので、最小隙間δとしては数mm(2〜5mm)程度は確保した方がよい。10mm以上確保すれば、長期の放置時に、可撓性シート部材31の張力が変化しても、可撓性シート部材31が内周面1aに接触するのを確実に防止できる。
【0054】
また、版胴1内には可撓性シート部材31が接触位置にあるか離間位置にあるかを検出するためのシート部材監視手段45が設けられている。このシート部材監視手段45は、回転部材位置検出装置46と変位検出装置47とにより構成されている。まず、内周面1aに対して可撓性シート部材31を完全に接触する位置まで回転部材32,33を回転駆動させたことを検知するフォトインタラプタ型の接触駆動センサ48,49が回転部材32,33付近に設けられている。即ち、図2に示すように、回転部材32,33の一端に固定されて回転部材32,33とともに回転するシャッタ50,51の突起部を検出して出力がオフとなる位置で、接触位置への駆動位置であることを検出する。これにより、後述するように、この信号を受けることにより駆動停止指令が発せられて駆動モータ36,40が停止するように制御される。また、内周面1aに対して可撓性シート部材31を完全に離間する位置まで回転部材32,33を回転駆動させたことを検知するフォトインタラプタ型の離間駆動センサ52,53が回転部材32,33付近にて接触駆動センサ48,49とは異なる位置に設けられている。即ち、図3に示すように、回転部材32,33の一端に固定されたシャッタ50,51の突起部を検出して出力がオフとなる位置で、離間位置への駆動位置であることを検出する。これにより、後述するように、この信号を受けることにより駆動停止指令が発せられて駆動モータ36,40が停止するように制御される。これらの接触駆動センサ48,49、シャッタ50,51及び離間駆動センサ52,53により回転部材位置検出装置46が構成されている。
【0055】
変位検出装置47は、可撓性シート部材31の中央部分が版胴1の内周面1aから離間したことを直接的に検出するフォトインタラプタ構成の変位検出センサ54を主に構成されている。この変位検出センサ54の検知が異常になったことを検出することで可撓性シート部材31の動作又は状態の異常を検出するために用いられる。変位検出センサ54はフレーム21上に設けられている。この変位検出センサ54により検出される突起部55aを有するシャッタ55がフレーム21上に固定されたブラケット56に対して支軸57により回動変位自在に設けられている。このシャッタ55では突起部55aとは反対側に版胴1の内周面1aに当接し得る長さの作用部55bが形成されている。ここに、シャッタ55において作用部55b側に対して突起部55a側の方が重量的に重いように形成されており、強制力が作用しない状態では突起部55aが真下向きとなるように設定されている。
【0056】
よって、図2に示すように、可撓性シート部材31が実際に版胴1の内周面1aに接触している場合には、シャッタ55は突起部55a側の重量によって図示の如く状態にあり、突起部55aによって変位検出センサ54の出力がオフしている。一方、可撓性シート部材31が離間位置へ駆動されて図3に示す状態になると、シャッタ55の作用部55bが可撓性シート部材31により強制的に押し下げられる。これにより、シャッタ55の突起部55aが変位検出センサ54から外れ、その出力がオンになるので、可撓性シート部材31が実際に版胴1の内周面1aから離間した位置に変位していることが検出される。
【0057】
可撓性シート部材31を版胴1の内周面1aに接触させる動作を行なわせる場合、製版開始(排版動作や給版動作の開始時)や、印刷開始に際して版胴1を回転させるときに、可撓性シート部材31が内周面1aから完全に離間していないと、インキの粘性により、可撓性シート部材31が破損し、さらには、インキローラ3に傷を付けてしまうという不具合を生じ得る。ここに、本来的には、回転部材位置検出装置46だけで可撓性シート部材31の状態を検出し得るが、可撓性シート部材31が切断していたり、固定部が外れていた場合には、回転部材位置検出装置46だけで検出しきれない(離間していなくても離間位置として検出してしまう)。この点、本実施の形態では、変位検出装置47が併用されているので、確実な状態検出となる。即ち、離間動作に際して回転部材32,33がそのように駆動されて離間駆動センサ52,53が検出したとしても、変位検出センサ54がオンしていなければ、可撓性シート部材31に切断等の異常があることを検出できる。
【0058】
なお、離間駆動センサ52,53の出力が実際にオフとなるのは、変位検出センサ54の出力がオンとなった後、回転部材32,33をさらに回転させて可撓性シート部材31を少し巻取った状態である。これは、可撓性シート部材31が変形しやすく、変位検出センサ54の出力が不安定になりやすいのでこれを防止するとともに、長期の放置時に可撓性シート部材31の張力が変化しても版胴1の内周面1aに接触しないようにするためである。
【0059】
従って、版胴1の回転時にはその版胴1の回転に先立って回転部材32,33を巻取り方向に回転させて可撓性シート部材31が巻取られることで版胴1の内周面1aから離れた離間位置に移動変位され、離間駆動センサ52,53及び変位検出センサ54の出力を検知して駆動モータ36,40を停止させることでその位置(離間位置)を保持し、印刷終了後の待機時には、回転部材32,33を巻戻し方向に回転させて可撓性シート部材31が巻戻されることで版胴1の内周面1aに接する接触位置に移動変位され、接触駆動センサ48,49の出力を検知して駆動モータ36,40を停止させその位置(接触位置)を保持させることで、版胴1の内周面1aのインキが空気に触れるのを防止でき、インキの変成を防止できることとなる。
【0060】
次に、孔版印刷装置において、可撓性シート部材31の位置制御を主体としたハードウェア構成を図4に示すブロック図を参照して説明する(製版・印刷等に関するハードウェア構成はその大半を省略する)。まず、CPU61、ROM62及びRAM63を備えて各部を制御するマイクロコンピュータ64が設けられている。このマイクロコンピュータ64のCPU61には、バスライン65を介して、印刷装置本体における操作部のLCD表示部66用のコントローラ67、タイマ68、版胴1等を回転駆動させるための版胴モータ69用のモータ駆動部70、回転部材32,33を回転駆動させるための駆動モータ36,40用のモータ駆動部71,72が接続されている。また、CPU61にはI/Oインタフェース73を介して各センサ48,49,52,53,54が接続されている。CPU61はROM62に格納されたプログラムに従い各種の動作制御を行なうもので、その一つとして、シート部材駆動手段42の動作を制御する以下のフローチャートに示すような制御手段の機能が実行される。
【0061】
このようなハードウェア構成において、本実施の形態における可撓性シート部材31に関する動作制御を、図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。図5は印刷終了後の待機時における可撓性シート部材31の動作制御の概要を示す。この処理は、印刷装置本体において所定枚数の印刷が終了して印刷終了信号が入力されることにより起動される(ステップS1)。可撓性シート部材31は、本来、印刷終了後、次の印刷又は製版までの比較的長時間、待機状態が継続されるときのみ版胴1の内周面1aに接触してその内周面1aにおけるインキと空気との接触を防止すればよいが、印刷終了後、どの程度の時間に渡って装置が放置されるかは機械側では分からないため、印刷終了信号が出た時点で起動させるようにしている。これにより、基本的に、非印刷時には、如何なる時でも版胴1の内周面1aのインキと空気との接触を防ぎ、内周面1aのインキの水相成分蒸発によるインキ変成を防ぎ、インキの滲みや裏移りを大幅に軽減させることができる。
【0062】
もっとも、印刷終了信号が出ても、予め設定された時間内に印刷を再開させる場合には、インキが空気に触れるのを防止するよりも即座に再開させ得る方が好ましい。そこで、タイマ68により管理される所定時間が経過する前に(S3のN)、次の印刷指令が入力された場合には(S2のY)、印刷を再開させるものとし、印刷指令が入力されないまま(S2のN)、所定時間が経過した場合には(S3のN)、可撓性シート部材31を接触位置に移動させる処理を行なわせることも可能である。そうすれば、電源ONのまま、印刷機を待機させておく使用方法の場合、次の製版・印刷までの待ち時間を短縮しやすくなる。
【0063】
この処理により、即座に印刷処理が終了とはならないので、LCDコントローラ67に「お待ち下さい」なる旨のメッセージの表示指令を出し、LCD表示部66に表示させる(S4)。つづいて、駆動モータ36,40を巻戻し方向に回転させる回転指令を出す(S5)。従って、駆動モータ36にあっては回転部材32を時計方向、駆動モータ40にあっては回転部材33を反時計方向に回転させる駆動方向となる。これにより、可撓性シート部材31は巻戻される方向に駆動されることにより、版胴1の内周面1aに接するように変位する。この動作において、変位検出センサ54がオンからオフに変化したか否かを判断する(S6)。つまり、可撓性シート部材31が実際に図3に示す離間位置(変位検出センサ54がオンしている)から図2に示す接触位置に変位移動しているかどうかの判断を行なう。
【0064】
ここに、変位検出センサ54がオフに変化しておらず(S6のN)、かつ、離間駆動センサ52,53もオンしていない場合には(S7のN)、回転部材32,33が回転していないため、変位検出センサ54の出力がオフにならないと判断し、駆動モータ36,40等の駆動モータ部に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S8)。一方、変位検出センサ54がオフに変化していないが(S6のN)、離間駆動センサ52,53はオンした場合には(S7のY)、接触駆動センサ48,49がオフしたか否かを判断する(S9)。接触駆動センサ48,49がオフした場合には(S9のY)、回転部材32,33が巻戻し位置まで回転したが可撓性シート部材31が現実には接触位置まで移動していないこととなるので、可撓性シート部材31に切断、固定部からの抜け等があると判断し、可撓性シート部材31に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S10)。ステップS9で接触駆動センサ48,49がオフしていない場合には、変位検出センサ54がオフするまで、駆動モータ36,40の回転を続行させる。
【0065】
これにより、変位検出センサ54がオフした場合には(S6のY)、接触駆動センサ48,49がオフしたか否かを判断する(S11)。つまり、回転部材32,33が巻戻し方向に所定の位置まで回転したか否かを判断する。接触駆動センサ48,49がオフしなければ(S11のN)、オフするまで続行させるが、タイマ68により管理される一定時間以上経過してもオフしない場合には(S12のY)、可撓性シート部材31自体は変位検出センサ54がオフする位置まで変位したが、その後、駆動モータ36,40又は可撓性シート部材31がロックしたと判断し、可撓性シート部材及び駆動モータ部に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S13)。
【0066】
ステップS11の判断において、接触駆動センサ48,49がオフした場合には、その後、駆動モータ36,40の回転を停止させる指令を出す(S14)。ここに、変位検出センサ54がオフした後も駆動モータ36,40の回転を続行させているのは、変位検出センサ54がオフした時点では、版胴1の内周面1aに可撓性シート部材31が全面的には密着していないので、これを密着させるためである。そして、接触駆動センサ48,49がオフする時点で可撓性シート部材31が版胴1の内周面1aに密着するように長さが設定されている。
【0067】
なお、ステップS11、S14間において、駆動モータ36,40をさらに一定時間又は一定角度回転させるような処理を入れる方が、駆動モータ36,40の停止後の放置時の接触駆動センサ48,49の出力状態を安定させるため、及び、可撓性シート部材31を内周面に密着させるためには、より好ましい。
【0068】
可撓性シート部材31の版胴1の内周面1aへの密着が終了すると、「スタート可能」等のスタンバイ状態の旨をLCD表示部66に表示させ(S15)、電源オフを可能とする。
【0069】
このようにして、印刷終了後には、可撓性シート部材31が版胴1の内周面1aに対して確実に接触する接触位置に位置決め維持され、長期間に渡って放置されても緩んだりすることなく、安定して接触位置の状態及びその検出状態が維持される。
【0070】
図6は待機後、印刷開始又は製版開始時の可撓性シート部材31の動作制御の概要を示す。印刷開始、製版開始の何れであっても、版胴1の回転開始前には、可撓性シート部材31が版胴1の内周面1aから離れた離間位置に位置していなければならない。図6はこのような印刷開始又は製版開始前で版胴1が回転を開始する前の動作制御を示しており、この処理は、孔版印刷装置の操作部上で製版スタートキー又は印刷開始キーが押下されて製版開始又は印刷開始指令信号が与えられることにより起動する(S21)。まず、変位検出センサ54の出力がオフになっているか否かを判断する(S22)。即ち、可撓性シート部材31が版胴1の内周面1aに密着した接触位置にあるかどうかの判断である。この時、変位検出センサ54の出力がオフでない場合は(S22のN)、待機中において可撓性シート部材31が切断した等の異常が発生している可能性があるので、可撓性シート部材31に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S23)。
【0071】
変位検出センサ54の出力がオフしていた場合には(S22のY)、接触駆動センサ48,49の出力がオフになっているか否かを判断する(S24)。この時、接触駆動センサ48,49がオフでない場合は、待機中において回転部材32,33が所定の位置まで回転しておらず、可撓性シート部材31が切断していたり回転部材32,33の回転駆動機構が異常の可能性があるので、可撓性シート部材及び駆動モータ部に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S25)。
【0072】
変位検出センサ54の出力がオフで(S22のY)、接触駆動センサ48,49の出力がオフの場合には(S24のY)、待機時における可撓性シート部材31が正常な状態であるので、製版又は印刷処理に移行する前に可撓性シート部材31を離間位置に移動させる処理を行なう。この処理の間、製版又は印刷処理を開始させることはできないが、孔版印刷装置が異常ではないことを使用者に知らせるため、LCDコントローラ67に「お待ち下さい」なる旨のメッセージの表示指令を出し、LCD表示部66に表示させる(S26)。
【0073】
なお、これらのステップS22〜S26の処理は、ステップS21の処理に先立って、孔版印刷装置の電源がオンされた時点や、製版又は印刷開始前に印刷枚数が置数された時点で行なうようにしてもよい。これによれば、使用者にとって待ち時間が少なくて済む。もっとも、電源オン後や印刷枚数の置数後の待機時間が長く経過してしまう場合には、版胴1の内周面1aのインキに若干でも変成が生じてしまうので、インキの変成を極力少なくする観点からは、開始指令を受けた直後に、これらのステップの処理を実行させるのが好ましい。
【0074】
つづいて、駆動モータ36,40を巻取り方向に回転させる回転指令を出す(S27)。従って、駆動モータ36にあっては回転部材32を反時計方向、駆動モータ40にあっては回転部材33を時計方向に回転させる駆動方向となる。これにより、可撓性シート部材31は巻取られる方向に駆動され、版胴1の内周面1aから離れるように変位する。この動作において、変位検出センサ54がオフからオンに変化したか否かを判断する(S28)。つまり、可撓性シート部材31が実際に図2に示す接触位置(変位検出センサ54がオフしている)から図3に示す離間位置に変位移動しているかどうかの判断を行なう。
【0075】
ここに、変位検出センサ54がオンに変化しておらず(S28のN)、かつ、接触駆動センサ48,49もオンしていない場合には(S29のN)、回転部材32,33が回転していないため、変位検出センサ54の出力がオンにならないと判断し、駆動モータ36,40等の駆動モータ部に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S30)。一方、変位検出センサ54がオンに変化していないが(S28のN)、接触駆動センサ48,49はオンした場合には(S29のY)、離間駆動センサ52,53がオフしたか否かを判断する(S31)。離間駆動センサ52,53がオフした場合には(S31のY)、回転部材32,33が巻取り位置まで回転したが可撓性シート部材31が現実には接触位置まで移動していないこととなるので、可撓性シート部材31に切断、固定部からの抜け等があると判断し、可撓性シート部材31に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S32)。ステップS31で離間駆動センサ52,53がオフしていない場合には、変位検出センサ54がオンするまで、駆動モータ36,40の回転を続行させる。
【0076】
これにより、変位検出センサ54がオンした場合には(S28のY)、離間駆動センサ52,53がオフしたか否かを判断する(S33)。つまり、回転部材32,33が巻取り方向に所定の位置まで回転したか否かを判断する。離間駆動センサ52,53がオフしなければ(S33のN)、オフするまで続行させるが、タイマ68により管理される一定時間以上経過してもオフしない場合には(S34のY)、可撓性シート部材31自体は変位検出センサ54がオンする位置まで変位したが、その後、駆動モータ36,40又は可撓性シート部材31がロックしたと判断し、可撓性シート部材及び駆動モータ部に異常有りの旨をLCD表示部66に表示させるとともに機械を停止させる(S35)。
【0077】
ステップS33の判断において、離間駆動センサ52,53がオフした場合には、その後、駆動モータ36,40の回転を停止させる指令を出す(S36)。ここに、変位検出センサ54がオンした後も駆動モータ36,40の回転を続行させているのは、可撓性シート部材31は剛性がなく形状が変化しやく、変位検出センサ54の出力が不安定となりやすいので、これを防止するためである。また、版胴1の内周面1aから離れる位置まで余裕を持って可撓性シート部材31を引き戻し、長期の放置後に可撓性シート部材31の張力(特に、ガイドローラ43,44で抑えられているループ形状部分の張力)が変化しても、版胴1の内周面1aに接触することがないようにするためである。
【0078】
なお、ステップS33,S36間において、駆動モータ36,40をさらに一定時間又は一定角度回転させるような処理を入れる方が、駆動モータ36,40の停止後の放置時の離間駆動センサ52,53の出力状態を安定させるためには、より好ましい。
【0079】
可撓性シート部材31の版胴1の内周面1aからの離間処理が終了すると、「お待ち下さい」なる旨の表示を消滅させるとともに、実際に製版又は印刷処理を開始させるための開始指令を出し、版胴1の回転を開始させる(S37)。後は、製版工程又は印刷工程に従う処理制御が実行される。
【0080】
このような処理制御により、製版開始又は印刷開始の指令による版胴1の回転に先立って、可撓性シート部材31を版胴1の内周面1aから確実に離れた離間位置に位置決め維持されるので、可撓性シート部材31が版胴1によって外力を受けて破損するようなことがなく、可撓性シート部材31が直前まで密着していたことにより変成していないインキを使用して、印刷動作を行なわせることができる。
【0081】
なお、本実施の形態では、可撓性シート部材31として1枚構成のものを用いたが、円周方向に複数枚、例えば、図7に示す変形例のように2枚の可撓性シート部材31A,31Bに分割されたものであってもよい。特に、図1等で示したように1枚の可撓性シート部材31の場合には180°以上のループ形状を作らなくてはならず、その形状が安定しにくく、版胴1の内周面1aに密着させるとき、円周方向で中央部から両端へ、或いは、端部から順に版胴1の内周面1aに密着していかないときがあり、一部に空気を巻き込んでしまう可能性があり、離間させて放置させているときにもループ形状が崩れることがあるが、分割された可撓性シート部材31A,31Bによれば、円周方向の長さが短くなることで剛性が上がるので、内周面1aに対する密着動作が安定して空気巻き込みが少なくて済むとともに、放置時にも形状の安定性が向上するものとなる。
【0082】
変形例として示す図7では、可撓性シート部材31A,31Bの円周方向の一端は各々回転部材32,33に連結固定されているが、他端はフレーム21上に取り付けられた固定部81に固定され、回転部材32,33の正逆転により各々の可撓性シート部材31A,31Bを離間位置に巻取ったり接触位置に巻戻す構成とされている。もっとも、これらの可撓性シート部材31A,31Bに対してもその円周方向の両端で巻取り・巻戻し駆動させる構成としてもよい。また、図7中には図示しないが、可撓性シート部材31A,1Bの各々の中央部付近に対しては変位検出装置47と同様な変位検出装置が個別に設けられている。
【0083】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、印刷装置を使用せずに放置されるような場合に可撓性シート部材を版胴の内周面に面接触させておけば、版胴の内周面に付着しているインキが空気に触れずその水相成分の蒸発を防止することができ、よって、そのインキの変成を防止できるので、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを回避することができる。
【0084】
請求項2記載の発明によれば、印刷装置を使用せずに放置されるような場合には、可撓性シート部材を版胴の内周面に面接触する接触位置に位置させておけば、版胴の内周面に付着しているインキが空気に触れずその水相成分の蒸発を防止することができ、よって、そのインキの変成を防止できるので、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを回避することができ、印刷時には可撓性シート部材を離間位置に位置させておけば版胴の回転動作に支障を来すこともなく、可撓性シート部材の破損も防止することができる。
【0085】
請求項3記載の発明によれば、可撓性シート部材が版胴の内周面に面接触する必要最小限の領域をほぼ印刷画像範囲に対応する領域とすることで、次回の印刷時におけるインキ滲みによる印刷文字の滲みや裏移りを最低限回避することができる。
【0086】
請求項4記載の発明によれば、印刷等のために少なくとも版胴が回転する時には可撓性シート部材が版胴の内周面に対して離れた離間位置に位置決めされているので、印刷時に可撓性シート部材が版胴の内周面に接触していることにより回転を阻害したり、可撓性シート部材を破損させたり、版胴の内周面のインキ層の擦りムラを生じたり、する不具合を回避することができる。
【0087】
請求項5記載の発明によれば、印刷終了後には可撓性シート部材が版胴の内周面に対して接触位置に位置決めされ、製版開始指令又は印刷開始指令が入力された後には、可撓性シート部材が離間位置に位置決めされるので、印刷後には常に可撓性シート部材が接触位置にあり、内周面のインキの変成を防止することができ、かつ、印刷や製版の開始前に中断が入っても可撓性シート部材を接触位置に維持でき、離間位置で放置されるのを防止することができる。
【0088】
請求項6記載の発明によれば、可撓性シート部材を接触位置と離間位置とで移動させるために、少なくとも一端を固定させた回転部材の正逆転動作による巻取りと巻戻しとにより簡単かつ確実に行なわせることができ、円筒形状の版胴内の空きスペースを有効に活用した簡単な機構で済ませることができる。
【0089】
請求項7記載の発明によれば、回転部材の回転による可撓性シート部材の巻取り方向への駆動時に、ガイド部材によって可撓性シート部材の内周面に沿った形状を維持させながら離間させることができ、特に、回転部材による巻取り部分での可撓性シート部材の曲率を抑制でき、部分的に版胴の内周面に接してしまうような動きを防止して離間位置に移動させることができる。
【0090】
請求項8記載の発明によれば、可撓性シート部材を版胴の内周面に対して面接触させたり離間させる移動を内周面形状に合せて簡単かつ重量を増すことなく行なわせることができる。
【0091】
請求項9記載の発明によれば、可撓性シート部材版胴の円周方向に複数枚に分割されているので、版胴の内周面に対して可撓性シート部材をより適正に面接触させることが簡単となり、より効果的にインキの変成を防止することができる。
【0092】
請求項10記載の発明によれば、版胴の内周面に付着しているインキ膜厚は通常0.1mm程度であるので、可撓性シート部材を離間位置に位置させるとき最接近距離が0.3mm以上あれば印刷時に可撓性シート部材が版胴の内周面に接することはなく、必要最小限の離間動作で済ませることができる。
【0093】
請求項11記載の発明によれば、可撓性シート部材は版胴の内周面に対する離間位置をとる上でその可撓性により形状が変化しやすく不安定な状態となり一部が内周面に接してしまうようなこともあるが、変位検出装置により可撓性シート部材が版胴の内周面から離間した位置にあることを直接的に検出するとともにその離間位置への変化を生じさせるための回転部材の回転位置を回転部材位置検出装置により検出する二重検出方式としているので、確実な離間状態の検出となり、一部が内周面に接した状態で離間位置にあると見倣してしまうような不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す孔版印刷装置の概略構成図である。
【図2】製版開始指令又は印刷開始指令を受ける前の待機状態の版胴装置を示す概略断面図である。
【図3】製版動作中又は印刷動作中等の版胴装置を示す概略断面図である。
【図4】ハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図5】印刷終了後の待機時における可撓性シート部材の動作制御を示すフローチャートである。
【図6】待機後、印刷開始又は製版開始時の可撓性シート部材の動作制御を示すフローチャートである。
【図7】変形例の版胴装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 版胴
1a 内周面
2 インキローラ
31,31A,31B 可撓性シート部材
32,33 回転部材
36,40 駆動モータ
42 シート部材駆動手段
43,44 ガイド部材
45 シート部材監視手段
46 回転部材位置検出装置
47 変位検出装置
Claims (11)
- 版胴内に配置されて前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラを備えた版胴装置において、非印刷時に前記版胴の内周面に面接触する可撓性シート部材を備えたことを特徴とする版胴装置。
- 版胴内に配置されて前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラを備えた版胴装置において、前記版胴の内周面に面接触する接触位置とこの内周面から離れた離間位置とで移動可能な可撓性シート部材を備えたことを特徴とする版胴装置。
- 前記可撓性シート部材が前記版胴の内周面に面接触する領域は、ほぼ印刷画像範囲に対応する領域であることを特徴とする請求項1又は2記載の版胴装置。
- 前記可撓性シート部材を前記接触位置と前記離間位置との間で変位移動させるシート部材駆動手段と、少なくとも前記版胴の回転時には前記可撓性シート部材を前記離間位置に位置決めするよう前記シート部材駆動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の版胴装置。
- 前記制御手段は、印刷終了後には前記可撓性シート部材を前記接触位置に位置決めし、製版開始指令又は印刷開始指令が入力された後に前記可撓性シート部材を前記離間位置に位置決めするよう前記シート部材駆動手段を制御することを特徴とする請求項4記載の版胴装置。
- 前記シート部材駆動手段は、前記版胴回転軸線方向にほぼ平行な回転軸線を有して前記可撓性シート部材の版胴回転方向における少なくとも一端が固定された回転部材と、前記可撓性シート部材が前記離間位置をとる巻取り方向と前記接触位置をとる巻戻し方向とに前記回転部材を回転させる正逆転自在な駆動モータとを備えることを特徴とする請求項4又は5記載の版胴装置。
- 前記回転部材と平行な軸線を有し、前記回転部材とで前記可撓性シート部材を挟持可能なガイド部材を備えることを特徴とする請求項6記載の版胴装置。
- 前記可撓性シート部材は、樹脂製薄板又は弾性金属薄板からなることを特徴とする請求項1ないし7の何れか一に記載の版胴装置。
- 前記可撓性シート部材は、前記版胴の円周方向に複数枚に分割されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一に記載の版胴装置。
- 前記離間位置における前記可撓性シート部材と前記版胴の内周面との間の最接近距離が0.3mm以上であることを特徴とする請求項2ないし9の何れか一に記載の版胴装置。
- 前記可撓性シート部材が前記版胴の内周面から離間した位置を検出する変位検出装置と、前記回転部材の回転位置を検出する回転部材位置検出装置とを有して、前記可撓性シート部材の前記版胴の内周面に対する状態を検出するシート部材監視手段を備えることを特徴とする請求項6ないし10の何れか一に記載の版胴装置。
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