JP4135221B2 - 写像型電子顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームを用いて試料面の観察、検査等を行うための写像型電子顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より微細化、高集積化した半導体素子等の観察、検査をするために、電子ビームを用いた電子顕微鏡が多く用いられている。電子顕微鏡の中には、写像光学系を用いた低エネルギー電子顕微鏡と呼ばれるものがある(K.Tsuno,Ultramicroscopy 55(1994)127-140「Simulation of a Wien filter as beam separator in a low energy electron microscope」)。
【0003】
図3にて、低エネルギー電子顕微鏡について簡単に説明する。電子銃1より発せられた照射用電子ビームSは、照明レンズ2、3によって整形された後、イー・クロス・ビー(E×B)4に入射する。イー・クロス・ビー4によって偏向された照射用電子ビームSは、開口絞り5を通過した後、カソードレンズ6を通過して試料7に落射照明される。
試料7に照射用電子ビームSが照射されると、試料7から2次電子、反射電子、後方散乱電子等が放出される。これらの電子のうち少なくとも1つが、写像用電子ビームKとなる。
【0004】
試料7から放出された写像用電子ビームKは、カソードレンズ6、開口絞り5を通過して、イー・クロス・ビー4に入射する。そして、ウィーン条件を満たすことにより、イー・クロス・ビー4を直進通過した写像用電子ビームKは、結像レンズ前群8、視野絞り9、結像レンズ後群10を通過した後に、MCP(Micro Channel Plate)等の電子ビーム検出器11上に結像する。ここで、照明レンズ2、3、カソードレンズ6、結像レンズ前群8、結像レンズ後群10は、アインツェルレンズ等の静電レンズである。
電子ビーム検出器11に写像用電子ビームKが入射すると、写像用電子ビームKは光に変換される。電子ビーム検出器11から放出された光、すなわち試料7の光学像は、リレーレンズ12を透過して、CCD等の撮像素子13に入射される。撮像素子13に入射した光は、光電信号に変換されて制御部14に伝達される。
【0005】
次に図4にて、イー・クロス・ビー4の構成について簡単に説明する。イー・クロス・ビー4は、主に、ヨーク20、電極21a、21b、コイル22a、22b等で構成される。ヨーク20は、接地されている。そして、電極21aには電圧(−V2)が印加されて、電極21bには電圧(+V2)が印加されて、コイル22a、22bには電流が流される。これにより、イー・クロス・ビー4の中央部において、X方向へは電場が発生し、Y方向へは磁場が発生する。
イー・クロス・ビー4は、その中心軸が、図3におけるカソードレンズ6及び結像レンズ前群8、結像レンズ後群10の光軸に一致するように配置され、更に前述した電場のベクトルが照射系入射面内に含まれるように配置される。
【0006】
こうして、イー・クロス・ビー4に斜入射した照射用電子ビームSは、偏向されて+Z方向ヘ進む。他方、試料7から放出された写像用電子ビームKは、写像用電子ビームKに対するウィーン条件が満たされることによって、−Z方向に直進する。このように、イー・クロス・ビー4は、いわゆるビームセパレータとしての機能をもつ。
ここで、ウィーン条件とは、写像用電子ビームKに対する運動方程式が、F=q・(E−vB)=0を満たす電磁場による直進条件をいう。照射用電子ビームSにおいては、イー・クロス・ビー4内での進行方向が、写像用電子ビームKの進行方向とは逆であるため、電場と磁場による力が同じ方向に働き、その合成された力により偏向される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の写像型電子顕微鏡は、非点隔差や倍率隔差が発生しており、精度の高い観察、検査の大きな妨げになっていた。これらの隔差の発生原因は、イー・クロス・ビーの電子ビームに対する電場方向(X方向)のパワーと、磁場方向(Y方向)のパワーとが異なることによる。すなわち、イー・クロス・ビーは、電場方向では凸パワーをもち、磁場方向ではノーパワーであった。
非点隔差や倍率隔差が生じないようにするために、上記従来のイー・クロス・ビーの電磁場に、更に4重極子成分を重畳させる方法が考えられている。具体的には、図5に示すように、ヨーク20には所定の電圧(−V4)を印加し、電極21a、21bには予め印加されている電圧(−V2、+V2)に加えて、ヨーク20に印加した電圧(−V4)と逆極性の電圧(+V4)を印加する。これにより、Y方向にも電場によるパワーが発生することになり、このパワーによって非点隔差と倍率隔差を補正することができる。
【0008】
このような方法によれば、イー・クロス・ビーにて発生する非点隔差と倍率隔差を補正することができる。しかし、写像型電子顕微鏡全体でみた非点隔差及び倍率隔差には、その他に、機械的公差から生じるものや、照射粒子の汚染等により経時で生じるもの等がある。これらの隔差の方向は、イー・クロス・ビーで発生する隔差が特定な方向であるのに対して、不特定な方向である。したがって、イー・クロス・ビー内で発生する特定方向の隔差のみを補正する方法、すなわち、4重極子成分を重畳したイー・クロス・ビーでは、不特定方向の隔差を充分に補正することはできない。
【0009】
これに加えて、4重極子成分を重畳したイー・クロス・ビーは、耐久性の面で問題がある。すなわち、前述したように、イー・クロス・ビーに4重極子成分を重畳するため、コイル22a、22bを巻いた強磁性体からなるヨーク20に、電圧を印加している。ところが、イー・クロス・ビーは、通常、密閉された真空槽内に設置されており、放熱がされにくい。このような状態で、接地されていないヨーク20にコイル電流が長時間流されると、ヨーク20の温度は次第に上昇していく。この温度上昇に伴いイー・クロス・ビーは熱変形し、新たな非点隔差や倍率隔差の要因となる。このような経時での耐久性の問題を解決するため、温度上昇を抑えるための冷却機構を設けたとしても、装置の拡大化や高コスト化といった別の問題を招くことになる。
【0010】
また、写像光学系にスティグメータを1つ設置する方法も考えられている。スティグメータとは、複数の静電極子又は複数の電磁極子で構成されたものをいう。一般的に、8極子を1段で用いたものや、2段の4極子が中心軸で45度回転しているもの等が用いられている。スティグメータは、その中心軸に直交する面内において、任意の方向に非点隔差を発生させることができる。そして、このようなスティグメータを写像光学系に1つ追加すれば、イー・クロス・ビー等で発生する非点隔差と逆の非点隔差を発生させて、全体の非点隔差を補正することができる。
実際に、走査型電子顕微鏡(SEM)等においては、1つの電磁型8極子のスティグメータを用いて、非点隔差を補正している。ところが、走査型電子顕微鏡の場合、その集光点が1点であるのに対して、写像型顕微鏡の場合、2次元上のあらゆる点を歪みなく集光させる必要があるため、1つのスティグメータでは充分な隔差補正はできない。すなわち、非点隔差は補正され、それによる分解能劣化は改善されるものの、非点隔差を補正した方向に倍率隔差が生じる。そして、この倍率誤差による像歪みが発生する。
したがって本発明は、いかなる非点隔差及び倍率隔差も補正可能で、低コストで高分解能な耐久性に優れた写像型顕微鏡を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、添付図面に付した符号をカッコ内に付記すると、本発明は、照射用電子線(S)を試料面(7)に照射させる照射手段と、試料面(7)から放出される写像用電子線(K)を電子線検出手段(11)に結像させる写像手段とを備えた写像型電子顕微鏡において、写像手段は、複数のスティグメータ(16、17)を有し、複数のスティグメータ(16、17)のうちの少なくとも2つのスティグメータ(16、17)は、互いに共役と異なる位置に配置されたことを特徴とする写像型電子顕微鏡である。
【0012】
また本発明は、照射線源(1)から発する照射用電子線(S)を照射光学系(2、3)を介して光路切換手段(4)に入射させ、光路切換手段(4)を通過した照射用電子線(S)を対物光学系(6)を介して試料面(7)に入射させ、試料面(7)から放出される写像用電子線(K)を対物光学系(6)を介して光路切換手段(4)に入射させ、光路切換手段(4)によって照射線源(1)に至る方向とは異なる方向に写像用電子線(K)を導き、光路切換手段(4)を通過した後の写像用電子線(K)を結像光学系(8、10)を介して電子線検出手段(11)に入射させる写像型電子顕微鏡において、結像光学系(8、10)は、複数のスティグメータ(16、17)を有し、複数のスティグメータ(16、17)のうちの少なくとも2つのスティグメータ(16、17)は、互いに共役と異なる位置に配置されたことを特徴とする写像型電子顕微鏡である。
【0013】
以上の構成の写像型電子顕微鏡において、互いに共役でない位置に配置された少なくとも2つのスティグメータによって、非点隔差と倍率隔差を同時に補正することができる。
前述したようにスティグメータは、非点隔差に寄与するだけでなく、倍率隔差にも寄与する。そして、スティグメータを配置する光学的位置によって、それらの寄与の割合が異なってくる。すなわち、非点隔差と倍率隔差は、概ねトレードオフの関係にあり、スティグメータを非点隔差への寄与が大きい位置に配置すると倍率隔差への寄与は小さくなり、逆に、倍率隔差への寄与が大きい位置に配置すると非点隔差への寄与は小さくなる。したがって、非点隔差と倍率隔差を同時に補正するには、少なくとも2つのスティグメータを、光学的に共役でない位置に配置すれば良い。
【0014】
このように、スティグメータの配置位置によって、両隔差への寄与の割合が異なってくるのは以下のことに起因する。すなわち、スティグメータ内において、光軸から離れた位置を通過する電子ビームは、光軸に近い位置を通過する電子ビームに比べて、スティグメータから受ける偏角が大きくなる。しかし、その偏角が像に影響する度合いは、スティグメータの配置位置が、結像面又はその共役位置に近づくにつれて小さくなっていく。
【0015】
まず、スティグメータを開口絞り又はその共役位置に配置した場合、電子ビームの主光線は光軸近傍を通過するので倍率隔差への影響は小さいが、周辺光は開口絞りの開口面の全域に広がっているので非点隔差ヘの影響は大きくなる。すなわち、開口絞り近傍に配置したスティグメータは、非点隔差を効率良く補正することができる。
次に、スティグメータの配置位置を、開口絞り又はその共役位置から離していくと、次第に、主光線は軸外に広がるため倍率隔差ヘの影響は大きくなっていくが、周辺光は開口絞りの開口面に比べてそれ程広がることはないので、非点隔差への影響は小さくなるか殆ど変わらなくなる。すなわち、開口絞りと視野絞りの中間に配置したスティグメータは、倍率隔差を効率良く補正することができる。
【0016】
更に、スティグメータの配置位置を、視野絞り等の結像位置又はその共役位置に近づけると、次第に両隔差への影響は低減していく。そして、スティグメータを結像位置上、又はその共役位置上に配置したとき、両隔差への影響は殆どなくなる。
したがって、2つのスティグメータのうちの一方を、例えば、開口絞り近傍に配置し、他方を、開口絞りと視野絞りの中間に配置することによって、両隔差を効率良く補正することができる。すなわち、開口絞り近傍に配置したスティグメータは非点隔差を効率良く補正することができ、開口絞りと視野絞りの中間に配置したスティグメータは倍率隔差を効率良く補正することができる。
【0017】
また、イー・クロス・ビーを用いた写像型顕微鏡においては、前述したようにイー・クロス・ビー自体に非点隔差の発生要因があるため、2つのスティグメータのうちの一方を、イー・クロス・ビーの近傍、又はイー・クロス・ビーの共役点若しくはその近傍に配置させることで、より効率良く非点隔差を補正することができる。このとき、その他の原因で発生する非点隔差、すなわち、機械的公差や経時汚染等による非点隔差が無視できるものであれば、このスティグメータのみで、非点隔差の大半を補正できることになる。このような場合、イー・クロス・ビーで発生する非点隔差の方向は明らかであるので、スティグメータとして4極子を用いることができる。ただし、ズーム等で共役点が変動する写像型顕微鏡については、その限りではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面によって説明する。図1は、本発明による写像型電子顕微鏡の一実施例を示す。電子銃1より発せられた照射用電子ビームSは、照明レンズ2、3によって整形された後、イー・クロス・ビー4に入射する。イー・クロス・ビー4によって偏向された照射用電子ビームSは、開口絞り5を通過した後、カソードレンズ6を通過して試料7に照射される。
試料7に照射用電子ビームSが照射されると、試料7から2次電子、反射電子、後方散乱電子等が放出される。これらの電子のうち少なくとも1つが、写像用電子ビームKとなる。
試料7から放出された写像用電子ビームKは、カソードレンズ6、開口絞り5を通過して、イー・クロス・ビー4に入射する。そして、ウィーン条件を満たすことにより、イー・クロス・ビー4を直進通過した写像用電子ビームKは、第1スティグメータ16、結像レンズ前群8、第2スティグメータ17の順に通過した後、視野絞り9上に中間結像を形成する。視野絞り9を通過した写像用電子ビームKは、更に結像レンズ後群10を通過して、電子ビーム検出器11上に拡大投影像を形成する。
【0019】
ここで、第1スティグメータ16、第2スティグメータ17は、例えば、静電型8極子である。そして、第1スティグメータ16は、イー・クロス・ビー4の近傍に配置されており、非点隔差を効率良く補正する。他方、第2スティグメータ17は、結像レンズ前群8と視野絞り9の中間に配置されており、倍率隔差を効率良く補正する。
また、照明レンズ2、3、カソードレンズ6、結像レンズ前群8、結像レンズ後群10は、アインツェルレンズ等の静電レンズである。
電子ビーム検出器11に写像用電子ビームKが入射すると、写像用電子ビームKは光に変換される。電子ビーム検出器11から放出された光、すなわち試料7の光学像は、リレーレンズ12を透過して、CCD等の撮像素子13に入射される。撮像素子13に入射した光は、光電信号に変換されて制御部14に伝達される。
なお、本実施例においては、電子銃1、照明レンズ2、3、イー・クロス・ビー4、カソードレンズ6が照射手段となっており、カソードレンズ6、イー・クロス・ビー4、結像レンズ前群8、結像レンズ後群10が写像手段となっている。
【0020】
次に図2にて、本発明による写像型電子顕微鏡の写像手段の一実施例を示す。同図は、写像手段を通過する電子ビームの軌道を、X方向(電場方向)とY方向(磁場方向)に分けて表した図である。更に、試料7から放出される写像用電子ビームを、実線で示す主光線K1と、破線で示す周辺光K2とに分けて表した。ここで周辺光K2は、開口絞り5より無限遠系で射出された軸上周辺光である。以下同図にて、第1スティグメータ16と第2スティグメータ17による非点隔差及び倍率隔差の補正について詳しく説明する。試料7から放出された電子ビームは、カソードレンズ6、開口絞り5を通過した後、イー・クロス・ビー4に入射する。前述したように、イー・クロス・ビー4内の電子ビームは、イー・クロス・ビー電場方向4Xでは凸パワーを受け、イー・クロス・ビー磁場方向4Yではノーパワーである。これにより、電場方向に対し磁場方向に非点隔差及び倍率隔差が発生する。イー・クロス・ビー4を通過した電子ビームは、以後、第1スティグメータ16、結像レンズ前群8、第2スティグメータ17の順に通過した後、中間結像面Mに像を形成する。この中間結像面Mは、視野絞り9の位置である。
【0021】
ここで、第1スティグメータ16はイー・クロス・ビー4の近傍に配置され、第2スティグメータ17は結像レンズ前群8と中間結像面Mの間に配置されている。そのため、第1スティグメータ16位置での主光線K1の入射高と周辺光K2の入射高との隔たりと、第2スティグメータ17位置での主光線K1と周辺光K2との隔たりとは大きく異なる。こうして、イー・クロス・ビー4で発生した両隔差のうち、非点隔差については主に第1スティグメータ16で効率良く補正し、倍率隔差については主に第2スティグメータ17で効率良く補正することができる。
【0022】
具体的には、第1スティグメータ16において、周辺光K2の非点隔差を補正するように、第1スティグメータ電場方向16Xに凹パワーが発生し、第1スティグメータ磁場方向16Yに凸パワーが発生するような電圧を印加する。このとき、主光線K1については、過剰補正となるため、電場方向に拡大された倍率隔差が生じる。この倍率隔差は、所定条件に基づく数値解析によれば、磁場方向の倍率を1としたとき、電場方向の倍率は1.2となる。
このように第1スティグメータ16で発生した過剰補正された主光線K1を更に補正するために、第2スティグメータ17では、第2スティグメータ電場方向17Xに凸パワーが発生し、第2スティグメータ磁場方向17Yに凹パワーが発生するような電圧を印加する。
【0023】
以上のように本実施例では、第1スティグメータ16による補正と、第2スティグメータ17による補正のバランスをとることによって、非点隔差と倍率隔差を同時に効率良く補正することができる。
なお、本実施例では、イー・クロス・ビー4にて発生する隔差の補正について述べたが、その他の原因で発生する隔差、すなわち、機械的公差や経時汚染等による隔差についても、第1スティグメータ16、第2スティグメータ17の印加電圧を調整することによって、容易に補正することができる。
【0024】
また、本実施例の写像手段では、イー・クロス・ビー4、第1スティグメータ16、第2スティグメータ17による合成の凸パワーが発生するが、結像レンズ前群8の焦点距離、すなわち、凸パワーの調整によって、狙いの倍率と全長を確保することができる。そして、このように倍率と全長が最適に確保された写像手段を用いれば、収差の少ないテレセントリック光学系を構成することもできる。
また、本実施例の写像型顕微鏡では、非点隔差を発生させずに、縦横比の等しい像を形成したが、予め定めた縦横比の異なる像を形成することもできる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明では、いかなる非点隔差及び倍率隔差も補正可能で、低コストで高分解能な耐久性に優れた写像型顕微鏡を提供することができる。
すなわち、製造が容易な低コストタイプのイー・クロス・ビーを使用しても、そこで発生する非点隔差と倍率隔差を容易且つ確実に同時補正できる写像型電子顕微鏡を提供することができる。また、製造誤差等の機械的要因で発生する非点隔差と倍率隔差も同時補正できるので、装置全体の機械公差が緩く、製作が容易な写像型電子顕微鏡を提供することができる。また、照射粒子等の汚染で発生する非点隔差と倍率隔差も同時補正できるので、経時変化に対する耐久性の高い写像型電子顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による写像型電子顕微鏡を示す図である。
【図2】本発明の一実施例による写像手段を示す図である。
【図3】従来の写像型電子顕微鏡を示す図である。
【図4】従来のイー・クロス・ビーを示す図である。
【図5】4重極子成分を重畳させたイー・クロス・ビーを示す図である。
【符号の説明】
1…電子銃 2、3…照明レンズ
4…イー・クロス・ビー 5…開口絞り
6…カソードレンズ 7…試料
8…結像レンズ前群 9…視野絞り
10…結像レンズ後群
11…電子ビーム検出器 12…リレーレンズ
13…撮像素子 14…制御部
16…第1スティグメータ
17…第2スティグメータ
20…ヨーク 21a、21b…電極
22a、22b…コイル
S…照射用電子ビーム K…写像用電子ビーム
M…中間結像面
Claims (5)
- 照射用電子線を試料面に照射させる照射手段と、
前記照射用電子線の光路を切り替える光路切替手段と、
前記照射用電子線及び前記試料面から放出される写像用電子線が通過する開口絞りと、
前記写像用電子線が中間結像を形成する視野絞りと、
前記写像用電子線を電子線検出手段に結像させる写像手段とを備えた写像型電子顕微鏡において、
前記写像手段は、複数のスティグメータを有し、
該複数のスティグメータのうちの少なくとも2つのスティグメータは、前記開口絞り、前記視野絞り、前記光路切替手段又はこれらの共役位置と、前記開口絞り、前記視野絞り、前記光路切替手段又はこれらの共役位置と異なる位置とにそれぞれ配置されたことを特徴とする写像型電子顕微鏡。 - 照射線源から発する照射用電子線を照射光学系を介して光路切換手段に入射させ、該光路切換手段及び開口絞りを通過した前記照射用電子線を対物光学系を介して試料面に入射させ、該試料面から放出される写像用電子線を前記対物光学系を介して前記開口絞り及び前記光路切換手段に入射させ、該光路切換手段によって前記照射線源に至る方向とは異なる方向に前記写像用電子線を導き、前記光路切換手段を通過した後の前記写像用電子線を視野絞りにて中間結像を形成させ、さらに前記写像用電子線を結像光学系を介して電子線検出手段に入射させる写像型電子顕微鏡において、
前記結像光学系は、複数のスティグメータを有し、
該複数のスティグメータのうちの少なくとも2つのスティグメータは、前記開口絞り、前記視野絞り、前記光路切替手段又はこれらの共役位置と、前記開口絞り、前記視野絞り、前記光路切替手段又はこれらの共役位置と異なる位置とにそれぞれ配置されたことを特徴とする写像型電子顕微鏡。 - 前記少なくとも2つのスティグメータは、前記光路切換手段と、前記視野絞りとの間に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の写像型電子顕微鏡。
- 前記少なくとも2つのスティグメータの間に、静電レンズを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の写像型電子顕微鏡。
- 前記スティグメータは、静電型8極子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の写像型電子顕微鏡。
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