しかしながら、上記特許文献1に係るボトムエントリ型コネクタ100には、以下の問題点が指摘されている。
(1)補強金具300は、基板500に半田固定される固定片3002を水平方向に沿って突出させた状態でハウジング200に支持されている。そして、基板500に対する半田固定力を確保するためには、固定片3002の水平方向への突出量を十分確保する必要があるため、基板500に対する補強金具300の固定片3002を含む実装表面積が大きくなり、補強金具300の基板占有面積の拡大に繋がっている。その結果、基板500に実装される素子部品の配置や数に制限が生じているのが実情である。
(2)コネクタ100の基板500への実装時の基板500とコネクタ100との位置ずれを防止するために、いわゆるボス構造が採用されている。具体的には、ハウジング200側の位置合わせ突起2002Bを基板500側の位置合わせ孔に嵌め込むことによって、上記基板500及びコネクタ100同士の位置ずれ防止を図っている。このボス構造の場合にも、前述した(1)のものと同様に、ハウジング200に突起2002Bを設ける必要があるため、基板500に対するコネクタの実装面積の増大によって、基板500全体に対するコネクタの占有面積が大きくなり、基板500の大型化を招来している。また、基板500の大型化から、基板500の製造コストが高くなっている。
(3)弾性アーム3003の自由端部3003Aの湾曲面を基板500の開口500Aの周縁に係合させることによって、基板500をハウジング200の段部に保持しているので、弾性アーム3003の自由端部3003Aの湾曲面に応力が集中する。そのため、弾性アーム3003の自由端部3003Aに経年劣化が生じ、それによって補強金具300に強度的な問題が生じる。これは、基板500のコネクタ100から脱落を誘発する要因となる。その結果、基板500とコネクタ100との間に電気的短絡が生じ、所期の機能を発揮できない場合がある。このような問題は、微振動が常時生じるような使用環境にある車載用のコネクタにとっては致命的な問題となる。
(4)補強金具300の固定片3002は、把持ブロック2002の取付孔2002Aに圧入固定される基部3001に連続して形成されており、当該把持ブロック2002の側壁と隙間間隔を生じさせることなく基板500に半田固定されるので、図25に示すように、当該固定片3002の全周縁に亘って半田フィレットF1が形成されない。そのため、半田フィレットF1の端部から半田が剥離する虞がある。この半田剥離は、上記基板及びコネクタ同士の電気的短絡を誘発する原因となる。図25において、符号501は、基板500の表面に設けられた薄膜の実装用金属性パッドであって、当該実装用金属性パッド501の表面に金属製の固定片3002を実装した状態で、リフロー半田で半田付けしたり、クリーム半田を実装用金属性パッド501に塗布した後、焼成して半田付けするのである。そして、半田付けを行うと、実装用金属製パッド501の上の固定片3002との間で、当該固定片3002の外周に沿って半田フィレットF1が形成されるのである。
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたもので、補強金具の基板占有面積を小とすると共にボス構造を採用することなく実装時の基板及びコネクタ同士の位置ずれを防止でき、しかも基板とコネクタとの電気的導通を良好に保つことができるボトムエントリ型コネクタを提供することを目的とする。
第1の観点に係る発明は、基板に実装されるボトムエントリ型コネクタにおいて、所定数のリード端子を所要の状態で保持すると共に上記基板の所定位置に形成された開口に挿通されるハウジング本体、並びにこのハウジング本体の各側壁の上部から当該ハウジング本体の長さ方向及び幅方向に沿って突出した一対のブロックを備え、これらハウジング本体及びブロックによって段部が区画形成されたハウジングと、水平長さが上記ハウジング本体の幅寸法より大で且つ上記ブロックの長さ寸法より小とされた、十字状の線対称形状(図13参照)を有する薄肉の補強金具であって、上部に、平面形状が所要の曲げ形状を呈し且つ上記基板に対して線状に接触して当該基板に半田固定される左右一対の固定片を備える一方、下部に、上方に向かうに従って漸次外方に拡開するように切り起こして形成されており、上記基板を上記ハウジングの段部に向けて下側から支持する支持片を備えた補強金具と、を含み、上記各ブロックには、それぞれ、上記補強金具の上部が上記左右の固定片の下端部を当該各ブロックから突出させた状態で押し込まれる押し込み空間が下方に向かって開口して形成され、上記ハウジング本体の各側壁には、それぞれ、当該ハウジング本体の各側壁と上記補強金具の左右の固定片の内面との隙間間隔を保持すると共に上記補強金具の下部の挿入空間を規定して当該補強金具の下部の下及び左右方向の3方向の位置ずれを規制するリブが盛り上がって形成され、上記各ブロックの押し込み空間にそれぞれ上記補強金具の上部を押し込み且つ当該各補強金具の下部を上記ハウジング本体の各側壁のリブで規定される挿入空間に挿入した状態で、上記ハウジング本体の側壁及び固定片の内面の両者間の隙間間隔が保持され、上記ハウジング本体をその底面側から上記基板の開口に挿通したときに、当該基板は、上記ハウジングの段部において当該ハウジングの両側にそれぞれ装着された上記補強金具の左右の固定片の下端面と支持片の自由端面との間で挟持される。
なお、上記基板固定片の所要の曲げ形状としては、上記ブロックの外側方に向かって開口した平面視略コ字形を例示することができる。
上記押し込み空間の上記固定片の押し込み領域は、上記ブロックの外側方に向かって開口している。
上記構成によれば、固定片の基板への半田付け状態の確認やコプラナリティ測定が容易となる。
上記各ブロックは、それぞれ、上記リード端子の頂部よりも高くなるように、上記ハウジング本体の各側壁の上部から上方にも突出している。
上記構成によれば、コネクタの基板への実装に関する一連の工程において、リード端子が損傷を受けるのを防止できる。
上記補強金具の下部には、上記ハウジング本体の側壁に当接するように上記支持片の切り起こし方向とは反対の内方に向かって折り曲げて形成された左右一対の折曲片が含まれ、上記リブは、上記補強金具の下部の内周形状に略合致し且つ当該補強金具の下部の内周面が当接される当接部及びこの当接部の所定位置から連続して外側方に突出する段付部を備えた中央***体と、この中央***体を挟んで上記折曲片の厚みと略同寸の隙間間隔を開けて左右に配置された左右の***体とから構成され、上記リブで規定される上記補強金具の挿入空間は、上記中央***体の当接部、上記中央***体の段付部及び当接部同士の境界領域に生じた段付面、並びに上記中央***体及び左右の***体間に生じた左右の空隙によって区画されており、当該挿入空間において、上記当接部の縁部に沿わせて上記左右の折曲片が上記左右の空隙に挿入されたときに上記補強金具の下端面が上記段付面に下側から受け止められることによって、上記ハウジング本体の側壁及び固定片の内面の両者間の隙間間隔が保持される。
上記構成によれば、補強金具の強度が実質的に増すと共にハウジング本体の側壁及び固定片の内面同士間の隙間間隔がより強固に保持される。
上記中央***体の段付部の側面及び上記左右の***体の下部の側面は、上方に向かって末広がりに滑らかに傾斜して上記基板を上記ハウジングの段部に向けて案内する案内面とされている。
上記構成によれば、基板を円滑にハウジングの段部に導いて補強金具の固定片の下端面及び支持片の自由端面同士の間で容易に挟持させることができる。
第2の観点に係る発明は、基板に実装されるボトムエントリ型コネクタにおいて、所定数のリード端子を所要の状態で保持すると共に上記基板の所定位置に形成された開口に挿通されるハウジング本体、並びにこのハウジング本体の各側壁の上部から当該ハウジング本体の長さ方向及び幅方向に沿って突出した一対のブロックを備え、これらハウジング本体及びブロックによって段部が区画形成されたハウジングと、水平長さが上記ハウジング本体の幅寸法より大で且つ上記ブロックの長さ寸法より小とされた、十字状の線対称形状を有する薄肉の補強金具であって、上部に、自由端部が上記基板に対して面接触して当該基板に半田固定される、側面視略L字形をした左右一対の固定片を備える一方、下部に、上方に向かうに従って漸次外方に拡開するように切り起こして形成されており、上記基板を上記ハウジングの段部に向けて下側から支持する支持片を備えた補強金具と、を含み、上記各ブロックには、それぞれ、上記補強金具の上部が上記左右の固定片の下面を当該各ブロックから突出させた状態で押し込まれる押し込み空間が下方に向かって開口して形成され、上記ハウジング本体の各側壁には、それぞれ、当該ハウジング本体の各側壁と上記補強金具の左右の固定片の自由端部内面との隙間間隔を保持すると共に上記補強金具の下部の挿入空間を規定して当該補強金具の下部の下及び左右方向の3方向の位置ずれを規制するリブが盛り上がって形成され、上記各ブロックの押し込み空間にそれぞれ上記補強金具の上部を押し込み且つ当該各補強金具の下部を上記ハウジング本体の各側壁のリブで規定される挿入空間に挿入した状態で、上記ハウジング本体の側壁及び固定片の自由端部の内面の両者間の隙間間隔が保持され、上記ハウジング本体をその底面側から上記基板の開口に挿通したときに、当該基板は、上記ハウジングの段部において当該ハウジングの両側にそれぞれ装着された上記補強金具の左右の固定片の自由端部下面と支持片の自由端面との間で挟持される。
第3の観点に係る発明は、基板に実装されるボトムエントリ型コネクタにおいて、所定数のリード端子を所要の状態で保持すると共に上記基板の所定位置に形成された開口に挿通されるハウジング本体、並びにこのハウジング本体の各側壁の上部から当該ハウジング本体の長さ方向に沿って突出した一対のブロックを備え、これらハウジング本体及びブロックによって段部が区画形成されたハウジングと、水平長さが上記ブロックの長さ寸法より小とされた薄肉の補強金具であって、上部に、自由端部が上記基板に対して面接触して当該基板に半田固定される、上記ブロックの外側方に向かって2度折り曲がった側面視略ガルウィング形をした左右一対の固定片を備える一方、下部に、上方に向かうに従って漸次外方に拡開するように切り起こして形成されており、上記基板を上記ハウジングの段部に向けて下側から支持する支持片を備えた補強金具と、を含み、上記各ブロックには、それぞれ、上記補強金具の上部が上記固定片の自由端部の下面を当該各ブロックから突出させた状態で押し込まれる押し込み空間が下方に向かって開口して形成され、上記ハウジング本体の各側壁には、それぞれ、上記補強金具の下部の挿入空間を規定して当該補強金具の下部の下及び左右方向の3方向の位置ずれを規制するリブが盛り上がって形成され、上記各ブロックの押し込み空間にそれぞれ上記補強金具の上部を押し込み且つ当該各補強金具の下部を上記ハウジング本体の各側壁のリブで規定される挿入空間に挿入した状態で、上記ハウジング本体の側壁と上記固定片の自由端部の内面との隙間間隔が保持され、上記ハウジング本体をその底面側から上記基板の開口に挿通したときに、当該基板は、上記ハウジングの段部において当該ハウジングの両側にそれぞれ装着された上記補強金具の固定片の自由端部下面と支持片の自由端面との間で挟持される。
本発明では、上部が一対のブロックの押し込み空間に押し込まれ、他方下部がハウジング本体の各側壁のリブで規定された挿入空間に挿入されることによって、補強金具は、ハウジングの両側に固定片の一部を上記ブロックから下方に向けて突出させた状態で強固に装着される。これにより、基板に半田固定される固定片は、ハウジングの各ブロック内に収められるので、基板の実装面に対する補強金具の固定片の表面積が小さくなり、補強金具の基板占有面積を縮小化できる。その結果、基板に実装される素子部品の配置や数に制限を受けず、コプラナリティが成立し易い。
第1の観点に係る発明では、前記コネクタを前記基板に実装する際には、まず、ハウジングの両側にそれぞれ装着された前記補強金具の支持片の弾性力に抗して、前記ハウジング本体を底面側から前記基板の開口に挿通させる。そうすると、前記支持片の自由端部が上記開口の内周壁との当接力によって内方に弾性変形する。このとき、上述したように、前記補強金具は、その上部がブロックの押し込み空間に押し込まれ、他方、下部がハウジング本体のリブで区画された挿入空間に挿入されて、前記ハウジングの両側に強固に装着されているので、当該ハウジングに対して位置ずれすることはない。かかる状態から更に前記基板の開口への前記ハウジング本体の挿通を続け、前記支持片の自由端部が前記基板の開口を通過すると、当該支持片の自由端部は、上記当接力から解放されて外方に弾性復元する。その結果、前記基板は、前記ハウジングの段部において、当該ハウジングの両側に強固に装着された補強金具の左右の固定片の下端面と支持片の自由端面との間で挟持されてロックされる。このように、ボス構造を採用することなく、前記基板及びコネクタ同士の位置ずれを防止して前記基板をハウジングの段部に固定することができる。そのため、特に前記基板の製造コストは低廉化される。また、前記補強金具の固定片は、前記基板の実装面に対して線状に接触するので、前記補強金具の基板占有面積の縮小化により貢献する。次に、半田リフローにより、ハウジング本体の保持された前記リード端子と補強金具の固定片とが前記基板の実装面に半田付けされる。このとき、前記ハウジング本体の側壁と前記補強金具の固定片の内面との間には、半田流入のための隙間間隔が保持されているので、前記基板の前記基板上の実装用金属性パッドと線状接触する前記固定片との間に、前記固定片の全周縁に亘って半田フィレットが形成される。そのため、前記固定片に溶融固着した半田に亀裂が生じず、当該半田が剥離することはない。その結果、前記基板とコネクタとの間の電気的導通は良好に保たれる。特に、前記基板を補強金具の固定片及び支持片の自由端面間に挟み込んで支持してロックする機構を採用することで、応力が基板へ分散され、当該応力は、前記基板を下側から支持する前記補強金具の支持片の自由端面に集中することはない。そのため、前記支持片の経年劣化が抑制され、前記補強金具に強度的な問題が生じることはない。この点においても、上記基板及びコネクタ間の電気的な導通は良好に保たれる。また、前記固定片の実装面への接触部分と前記支持片の切り起こし部分との距離寸法が異なる別の補強金具を用意しておけば、当該寸法の異なる補強金具の変更のみで、基板の厚さの段取り変えに対応することが可能となる。
第2の観点及び第3の観点に係る発明では、基板は、補強金具の固定片の自由端部の下面及び支持片の自由端面間で挟持されるので、上記第1の観点に係る発明と同様の効果を奏する。固定片の自由端部下面は、基板の実装面に対して面接触するが、当該固定片はブロック内に収まっているので、上記補強金具の基板占有面積の縮小化は十分に担保される。
特に、第1の観点及び第2の観点に係る発明では、補強金具は、線対称の十字形状を有しているので、上記応力の基板への分散はより顕著となる。また、固定片及び基板同士の半田付け箇所は4箇所となり、しかも補強金具に備えられた左右の固定片は、ブロック内において十分に長い間隔を開けた状態で基板に半田固定されるので、上記補強金具の基板占有面積の縮小化を担保しながら、補強金具の固定片及び基板同士の半田付け強度はより強固なものとなる。
また、第3の観点に係る発明では、固定片の側面形状を、ブロックの外側方に向かって2度折り曲がった略ガルウィング形としている。そのため、補強金具自体にハウジング本体の側面及び固定片の自由端部内面同士間の隙間間隔を保持する機能を持たせることができるので、リブに当該隙間間隔を保持するための機構を設けなくて済み、当該リブの構成が簡素化される。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図8を参照して、本発明の実施の形態に係るボトムエントリ型コネクタ1は、基板2に実装されるものであって、ハウジング3及び補強金具4を備えている。
ハウジング3は、合成樹脂を素材とした成形品である。このハウジング3は、上面側で左右に対をなす多数のリード端子5を長手方向に沿って保持すると共に底面側から基板2に形成された開口21に挿通されるハウジング本体31と、このハウジング本体31の各側壁の上部から上方向並びに当該ハウジング本体31の長さ方向及び幅方向に沿って突出した左右一対の把持ブロック32とを備えており、これらハウジング本体31及び把持ブロック32によって段部が区画区形成されている。
リード端子5は、導電性を有する金属を素材として製作されている。このリード端子5は、図5に示すように、ハウジング本体31に圧入固定される圧入部51と、基板2の上面に接触して半田固定されるリード部52と、図外の相手側コネクタの端子と接触するコンタクト部53とを備えており、コンタクト部53をハウジング本体31内に臨ませた状態でリード部52を当該ハウジング本体31よりも外方に突出させ得る曲げ形状を有している。すなわち、リード端子5のリード部52は、上記圧入部51の一端から連続して基板2の上面よりも上方に一旦延びた後にハウジング本体31の幅方向に関する外方に向かって湾曲して斜め下方に延び且つ当該ハウジング本体31よりも水平方面に突出している。他方、リード端子5のコンタクト部53は、上記圧入部51から真下に向かって延びている。
図12〜図16を参照して、補強金具4は、薄肉の金属板材料に打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことによって製作されており、線対称形状を有している。この補強金具4は、金具本体41と、基板2の上面に半田固定される左右一対の固定片42と、基板2を下側から支持する支持片43と、ハウジング本体31の各側壁に当接される左右一対の折曲片44とを備えており、ハウジング3の両側に装着される。
金具本体41は、上端及び下端がそれぞれテーパとされた短冊片411と、この短冊片411を挟んで同一線上に沿って水平方向に延び且つ当該短冊片411の両側辺に片持ち支持された左右一対の舌片412とによって十字状をなしている。この金具本体41の水平長さは、ハウジング本体31の幅寸法よりも大きく且つ把持ブロック32の長さ寸法よりも小さく設定されている。
固定片42は、金具本体41の各舌片412の自由端部にそれぞれ下方に向かって吊持されている。この固定片42は、本コネクタ1の実装対象である基板2に対して線状に接触するように、平面視略コ字形に形成されている。
支持片43は、金具本体41の短冊片411の舌片412との交差領域より下側領域において上方に向かって漸次外方に拡開するように切り起して形成されている。
折曲片44は、上記金具本体41の下側領域の各側辺からハウジング本体31の側壁に当接するように上記支持片43の切り起し方向とは反対の内方に向かって折り曲げて形成されている。
金具本体41の短冊片411の舌片412との交差領域より上側領域の各側辺には、複数の逆とげ45が形成されている。
なお、以下の説明において、金具本体41の短冊片411の舌片412との交差領域より上側領域、金具本体41の舌片412及び左右の固定片42を総称するときは「補強金具4の上部」と称し、他方支持片43、当該支持片43が切り起こされた金具本体41の短冊片411の舌片412との交差領域より下側領域及び左右の折曲片44を総称するときは「補強金具4の下部」と称する。
図9〜図11を参照して、ハウジング本体31は、内部に端子収容室311を備えており、この端子収容室311は、ハウジング本体31の底面に向かって大きく開口している。端子収容室311の内壁には、上記相手側コネクタの端子に係合する係合爪311Aが形成されている。他方、ハウジング本体31の上面には、左右に対をなす2条の挟持片群312,313が長手方向に沿って互いに平行に並設されている。
左側の挟持片群312は、上記の長手方向に沿って間隔を隔てて立設された多数の挟持片312Aから構成されており、これら互いに隣する挟持片312A同士によって、上記左側のリード端子5各々の保持空間が区画区形成されている。他方、右側の挟持片群312は、上記の長手方向に沿って間隔を隔てて立設された多数の挟持片313Aから構成されており、これら互いに隣接する挟持片313A同士によって、上記右側のリード端子5各々の保持空間が区画形成されている。
加えて、ハウジング本体31の上面には、上記挟持片群312,313間において左右に対をなし且つ挟持片群312,313よりも高い2条の補強リブ314,315が長手方向に沿って互いに平行に並設されている。これら補強リブ314,315の形状は、リード端子5の湾曲形状と略合致している。
左側の補強リブ314は、上記左側の挟持片群312との間隔を隔てて配置されており、当該補強リブ314の内面に沿って、上記左側のリード端子5各々の圧入孔316が上記左側のリード端子保持空間各々と対応して開口されている。他方、右側の補強リブ315は、上記右側の挟持片群313と間隔を隔てて配置されており、当該補強リブ314の内面に沿って、上記右側のリード端子5各々の圧入孔317が上記右側のリード端子保持空間各々と対応位置して開口されている。これら左右の圧入孔316,317は、上記端子収容室311に連通している。したがって、左右のリード端子5の各々は、図5に示すように、リード部52の湾曲面を補強リブ314,315に沿わせ且つコンタクト部53を端子収容室311内に上方から臨ませた状態で圧入部51を圧入孔316,317に圧入することによって、ハウジング本体31の上面側で上記の状態で保持される。
ハウジング本体31の各側壁には、当該ハウジング本体31の各側壁と補強金具4の左右の固定片42の内面との隙間間隔C1(図8参照)を保持すると共に補強金具4の下部の挿入空間を規定して当該補強金具4の下部の下及び左右方向の3方向の位置ずれを防止するリブ6が盛り上がって形成されている。
リブ6は、中央の***体61と、この中央***体61を挟んで補強金具4の折曲片44の厚みと略同寸の隔間間隔を開けて左右に配置された左右の***体62,63とから構成されている。
中央***体61は、補強金具4の下部の内周形状に略合致し且つ当該補強金具4の下部の内周面が当接される当接部611と、この当接部611の下端から連続して外側方に突出する段付部とを備えている。
上記リブ6で規定される補強金具4の挿入空間は、図10及び図11によく示されているように、上記中央***体61の当接部611と、上記中央***体61及び当接部611同士の境界領域に生じた段付面613と、上記中央***体61及び左右の***体62,63間に生じた左右の空隙C2とによって区画されている。この挿入空間において、上記当接部611の縁部に沿わせて上記左右の折曲片44が上記左右の空隙C2に挿入されたときに補強金具の下部の下端面(短冊片411の下端面)が上記段付面613に下側から受け止められ、それによって上記ハウジング本体31の側壁及び固定片42の内面の両者間の隙間間隔C1が保持される。したがって、補強金具4の強度が実質的に増すと共にハウジング本体31及び固定片42の内面同士の隙間間隔C1がより強固に保持される。
中央***体61の段付部612の側面及び左右の***体62,63の下部の側面は、図2によく示されているように、上方に向かって末広がりに滑らかに傾斜しており、本コネクタ1を基板2に実装するときに当該基板2をハウジング3の段部に向けて案内する案内面とされる。
把持ブロック32には、図11によく示されているように、上記補強金具4の上部が左右の固定片42の下端部を当該ブロック32から突出させた状態で押し込まれる押し込み空間7が下方に向かって開口して形成されている。この押し込み空間7は、金具本体41の短冊片411の舌片412との交差領域より上側領域、金具本体41の舌片412及び左右の固定片42を含んだ上記補強金具4の上部の形状と略合致した形状を有している。したがって、押し込み空間7の段部に金具本体41の短冊片411と舌片412とが交差した上記補強金具4の上部の肩部を当接させた状態で、当該補強金具4の上部が当該押し込み空間7内に押し込まれる。このとき、左右の固定片42の下端部がブロック32から突出するのである。なお、補強金具4の上部には逆とげ45が形成されているので、この逆とげ45が押し込み空間7の段部から上方に延びる内壁面に喰い込み、それによって当該補強金具4の上部が当該押し込み空間7内にいわゆる嵌め殺しされる。
また、押し込み空間7の固定片42の押し込み領域は、把持ブロック32の外側方に向かって開口されている。これにより、固定片42の基板2への半田付け状態の確認やコプラナリティ測定が容易となる。
上記把持ブロック32の上方への突出量は、当該ブロック32の上面がハウジング本体31の上面側に保持されたリード端子5のリード部52の頂部よりも高くなるように設定されている。したがって、本コネクタ1の基板2への実装に関する一連の工程において、リード端子5は、損傷を受けることはない。
本コネクタ1を組み立てるには、補強金具4の上部を一対の把持ブロック32の押し込み空間7に押し込み、他方補強金具4の下部をハウジング本体31の各側壁のリブ6で規定された押入空間に挿入して、同補強金具4をハウジング3の両側に固定片42の下端部を上記把持ブロック32から突出させた状態で強固に装着する。このとき、補強金具4の上部の水平長さは、ハウジング本体31の幅寸法より大で且つ把持ブロック32の長さ寸法よりも小とされているので、基板2の上面(以下、「実装面」という)に半田固定される左右の固定片42は、ハウジング3の把持ブロック32内に収められる。そのため、基板2の実装面に対する補強金具4の固定片42の表面積が小さくなり、補強金具4の基板占有面積を縮小化できる。その結果、基板2に実装される素子部品の配置や数に制限を受けずコプラナリティが成立し易い。また、上記ハウジング本体31の側壁及び固定片42の内面の両者間の隙間間隔C1が保持される。特に、本実施の形態においては、上記固定片42の平面形状を略コ字形としているので、当該固定片42は、基板2の実装面に対して線状に接触する。そのため、上記補強金具4の基板占有面積の縮小化はより顕著となる。
上記のように組み立てられた本コネクタ1を基板2に実装するときには、把持ブロック32を所要のクランプ手段(手や指を含む概念である)で掴み、ハウジング3の両側に装着された補強金具4の支持片43の弾性力に抗して、ハウジング本体31を底面側から基板2の開口に挿通する。そうすると、支持片43の自由端部が上記開口21の内周壁との当接力によって内方に弾性変形する。このとき、上述したように、補強金具4は、上部が把持ブロック32の押し込み空間7に押し込まれ、他方下部がハウジング本体31のリブ6で区画された挿入空間に挿入されて、ハウジング3の両側に強固に装着されているので、ハウジング3に対して位置ずれすることはない。かかる状態から更に基板2の開口21へのハウジング本体31の挿入を続け、支持片43の自由端部が基板2の開口21を通過すると、当該支持片43の自由端部は、上記当接力から解放されて外方に弾性復元する。その結果、基板2は、ハウジング3の段部において、当該ハウジング3の両側方に装着された補強金具4の左右の固定片42の下端面と支持片43の自由端面との間で挟持されてロックされる。このように、ボス構造を採用することなく、上記基板2及びコネクタ1同士の位置ずれを防止して基板2をハウジング3の段部に固定することができる。そのため、特に基板2の製造コストは低廉化される。また、リブ6(中央***体61及び左右の***体62,63)の下部側面は、ハウジング3の段部に向かって末広がりに滑らかに傾斜しているので、基板2を円滑に当該ハウジング3の段部に導いて補強金具4の固定片42の下端面及び支持片43の自由端面同士の間で容易に挟持させることができる。
次に、上記のようにハウジング3の段部にロックされた基板2の実装面にリード端子5のリード部52の端部と補強金具4の左右の固定片42の下端面とを載置した状態で、本コネクタ1を半田付け工程まで移動させて半田リフローを行い、当該リード端子5のリード部52の端部及び補強金具4の固定片42を基板2の実装面に一括して半田付けする。この時点で、本コネクタ1の基板2への実装が完了する。このとき、図17に示すように、ハウジング本体31の側壁と固定片42の内面との間には、上記の隙間間隔C1が保持されているので、半田フィレットFは、固定片42の全周縁42Aに亘って形成される。そのため、固定片42と基板2の実装面との剥離を生じ難くすることができる。その結果、基板2とコネクタ1との間の電気的な導通は良好に保たれる。なお、図17中、参照符合22は固定片42と厚みで線状に接触した状態で半田付けするための、平面視矩形状を呈する実装用金属製パッドであって、この実装用金属製パッド22は固定片42の全周縁を取り囲むように半田フィレットFが形成され基板2に実装面に固着されている(図17参照)。
その後、上記のように基板2に実装された本コネクタ1と上記相手側コネクタとが嵌合されることによって、ハウジング本体31の端子収容室311内に上方から臨むリード端子5のコンタクト部と当該相手側コネクタの端子との電気的な接続が得られる。
上述したように、本コネクタ1では、基板2を補強金具4の固定片42の下端面及び支持片43の自由端面間に挟み込んで支持してロックする機構を採用しているので応力が基板2(特に、SMT部)へ分散され、当該応力は、基板2を下側から支持する補強金具4の支持片43の自由端面に集中しない。そのため、支持片43の経年劣化が抑制され、補強金具4に強度的な問題が生じることはない。この点においても、上記基板2及びコネクタ1同士の電気的導通が良好に保たれる。また、補強金具4の変更のみで、基板2の厚さの段取り変えに対応することが可能となる。
特に、本実施の形態では、補強金具4は、線対称の十字形状を有しているので、上記応力の基板2への分散はより顕著となる。また、固定片42及び基板2同士の半田付け箇所は4箇所となり、しかも補強金具4に備えられた左右の固定片42は、把持ブロック32内において十分に長い間隔を開けた状態で基板2に半田固定されるので、上記補強金具の基板占有面積の縮小化を十分に担保しながら、補強金具4の固定片42及び基板2同士の半田付け強度はより強固なものとなる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、図18及び図19を参照して、補強金具4の固定片42を、その自由端部が基板2の実装面に対して面接触して半田固定されるように当該自由端部を把持ブロック32の外側方に向けた側面視略L字形とすると共に、ハウジング本体31の側壁と固定片42の自由端部の内面との隙間間隔C1を保持した状態で、基板2を、補強金具4の固定片42の自由端部下面と支持片43の自由端面との間で挟持するように構成しても良い。この構成においても、コネクタ1を基板に実装するときには、上記ハウジング本体31の側壁及び固定片42の自由端部の内面の両者間の隙間間隔C1を確保して半田付け工程が実施されることになるので、図18に示すように、固定片42の自由端部の全周縁に亘って無端状に半田フィレットFが形成される。その結果、固定片42と基板2の実装面との剥離を生じ難くすることができる。固定片42の自由端部の下面が基板2の実装面に線状に面接触するが、当該固定片42を含む補強金具4の上部は、把持ブロック32内に収められているので、上記補強金具4の基板占有面積の縮小化は十分に担保される。つまり、補強金具4は、把持ブロック32への結合部分と基板2への半田付け部分とが上下に位置するようにしているので、従来のように水平方向に広がって配置されるコネクタに比べて基板占有面積を小さくすることができるのである。
また、図20及び図21を参照して、補強金具4の固定片42を、その自由端部が基板2の実装面に対して面接触し半田固定されるように把持ブロック32の外側方に向かって2度折り曲がった側面視略ガルウィング形とすると共に、上記隙間間隔C1を保持した状態で基板2を補強金具4の固定片42の自由端部下面及び支持片43の自由端面同士の間で挟持するように構成してもよい。図21(B)に示すように、特に、固定片42の自由端部の長さ寸法L2は、補強金具4の上部に片持ち支持される基部の長さ寸法L1よりも大きく設定されている。この構成においても、コネクタ1の基板2への実装時には上記隙間間隔C1を確保して半田付け工程が実施されることになるので、図20に示すように、固定片42の自由端部の全周縁に亘って半田フィレットFが形成される。よって、固定片42に溶融固着した半田が剥離する虞れを回避することができる。また、固定片42の自由端部の下面が基板2の実装面に面接触するものの、補強金具4の上部(固定片42を含む)が把持ブロック32内に収まっているので、上記補強金具4の基板占有面積が大となることはない。この変形例においては、固定片42の側面形状を、把持ブロック32の外側方に向かって2度折り曲がったガルウィング形としているので、補強金具4自体に上記隙間間隔C1を保持する機能を持たせることができる。それゆえ、補強金具4の下部に上記左右の折曲片44を設けたり、ハウジング本体31のリブ6に当該折曲片44の挿入を許容する上記空隙C2や上記隙間間隔C1を保持する機構を設けたりしない構成としても構わない。この場合には、リブ6の構成は簡素化される。また、補強金具4を十字状の線対称形状としなくても、本発明の目的は十分に達成される。
その他、本明細書に添付した特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。