JP4130786B2 - 自動車用スチールホイールディスクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用スチールホイールディスクの製造方法に係り、詳しくは、熱放射孔を形成するための孔抜き加工工程に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用スチールホイールには、表側(意匠面側)から見た意匠面積をより広く確保して意匠性を向上させた2ピースフルデザインホイールが提案されていることは良く知られている。このような2ピースフルデザインホイールは、外周部にフランジ部が形成されたスチールホイールディスクと、リムフランジ部等を有するリムとからなり、スチールホイールディスクのフランジ部がリムの内周面に嵌合して溶接接合された構成が一般的である。
【0003】
かかる2ピースフルデザインホイールのスチールホイールディスクについてさらに詳述すると、スチールホイールディスクは、通常、中央にハブ孔が形成されたハブ取り付け部を備え、このハブ取り付け部周縁には、ディスク主板部が形成されている。このディスク主板部は、中心(ハブ孔)から外方に向かう程、表側(意匠面側)へ緩やかに傾斜している。換言すれば、中心(ハブ孔)を底部とする皿形状を呈している。さらに、このディスク主板部には、ハブ孔を中心として、熱放射孔が周方向に複数設けられている。そして、各熱放射孔の間には、熱放射孔内周縁に対して***したスポーク部が形成されている。また、ディスク主板部の最外周縁には、ホイール軸方向とほぼ平行なフランジ部が形成されている。
【0004】
そして、このスチールホイールディスクがリムに嵌合されると、ディスク主板部一面が意匠面となるため、意匠面積を広く確保することが可能となる。
【0005】
ここで、2ピースフルデザインホイールのスチールホイールディスクは、上述のように、熱放射孔の間に、熱放射孔の形成面に対して所定高さだけ***したスポーク部が配置されたことを大きな特徴としており、熱放射孔が同一周面に周成されて、スポーク部が形成されない汎用スチールホイールディスクとはこの点で大きく相違している。
【0006】
これまでに述べた2ピースフルデザインホイールのスチールホイールディスクは、以下のような製造方法により得られる。
まず、円板形状のスチール板を孔抜き加工して、スチール板周縁に円弧状の切欠部を間欠的に複数形成する。これと共に、プレス機器等を用いて所定の金型によりスチール板を絞り加工する。この絞り加工により、スチール板は、ハブ孔を底部とする皿形状に成形される。そして、成形されたこのスチール板の傾斜面のうち、スポーク部となる部分を半径方向又は接線方向に湾曲加工して、当該部分を***させる。これにより、***部がハブ孔を中心として放射状に形成されることとなる。その後、放射状に形成された***部の間にそれぞれ形成された各凹部に、カム式孔開け用金型等を用いて孔抜き加工を施す。これにより、スポーク部と熱放射孔が得られる。
【0007】
ところで、このカム式孔開け用金型は、プレス機器の垂直方向作動を前記凹部底面に対応する所定傾斜角方向作動に変換するものである。これにより、傾斜した凹部底面に対しほぼ垂直に孔開け用パンチ及びダイスを作用させることが可能となる。ここで、このようにカム式孔開け用金型を用いて、凹部底面に熱放射孔を形成するのは、孔開け用パンチの凹部底面での滑りに起因するバリの発生、孔開け用パンチ等の部品の損傷を防止するためである。
【0008】
そして最後に、スチール板の最外周縁を、ホイール軸方向とほぼ平行となるように折曲加工してフランジ部を形成し、所望のスチールホイールディスクを得ている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−2201号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように皿形状のスチール板を湾曲加工して、スポーク部となる部分を***させる構成とすると、このスポーク部にいわゆる板引けが発生してしまう場合がある。この板引けは、意匠性を向上させるために、スポーク部を隣接部分に対して大きく***させる程、顕著に現れる。このような板引けは、スポーク部の肉厚が不均一となって、ホイールディスク全体として強度を低下させてしまう。また、図10に示されるように、スポーク部a表面に視認可能に板引けラインbが発生してしまうため、意匠性も低下させてしまう。したがって、従来構成の製造方法にあっては、板引けが発生しない程度にスポーク部を成形しなければならず、ダイナミックにスポーク部を***させたホイールディスクを製造できないため、意匠性の向上に限界があった。
【0011】
また、上述のような、カム式孔開け用金型等を用いた孔抜き加工は、金型構造が複雑であること、及び孔抜き用部品の寿命が短くなること等の問題がある。さらに、図10に示されるように、熱放射孔の周縁に形成される抜き断面cが、車体に装着された際に表側から視認可能となるため、見栄えが悪くなる問題もある。さらに、スポーク部間の凹部に上方から孔抜き加工を施すと、孔抜き加工後の熱放射孔の抜き断面とディスク主板部の裏面との角度が鋭角(いわゆるシャープエッジ)となり、この鋭角となった部位から亀裂が発生しやすくなる問題もある。これにより、ライフ試験に対応させるべく、スチールホイールディスクの厚肉化を余儀なくされていた。
【0012】
そこで本発明は、これらの問題を解決し得る自動車用スチールホイールディスクの製造方法を提案することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中央にハブ孔が形成されたハブ取り付け部周縁と、該ハブ取り付け部周縁に形成されたディスク主板部と、該ディスク主板部の最外周縁に形成された、ホイール軸方向とほぼ平行なフランジ部とを備え、前記ディスク主板部が、ハブ孔を中心として周方向に設けられた複数の熱放射孔と、各熱放射孔の間に配置された、熱放射孔内周縁に対して***するスポーク部とからなるものである自動車用スチールホイールディスクの製造方法において、
中心にハブ孔基準点となる角形のハブ基孔を有するスチール板に、熱放射孔となる熱放射基孔を、ハブ孔基準点を中心として周方向に複数形成する孔抜き加工工程と、
ハブ基孔にロケーションピンを嵌入して位置決めしてから、前記スチール板を湾曲加工することにより、各熱放射基孔の間を熱放射基孔内周縁に対して***させて、熱放射孔とスポーク部とが形成されたディスク状のスチール板を得る中間絞り加工工程と、
ディスク状のスチール板をフロートダイにより押圧加工して、自動車用スチールホイールディスクの形状の寸法精度を整え、熱放射孔、及び熱放射孔内周縁に対して***するスポーク部を得るとともに、パンチによりハブ孔を形成する最終加工工程
とを備えたことを特徴とする自動車用スチールホイールディスクの製造方法である。
【0014】
本発明にあっては、熱放射孔を得るための孔抜き加工を、スポーク部を得るための湾曲加工を施す前に行うことを特徴としている。すなわち、孔抜き加工を、整一な平板に対して行うことにより、例えば、孔開け用パンチ及びダイスの作用方向を偏向させる必要がなくなるため、孔抜き加工を実行する金型等の構造を従来構成に比して簡単にすることができる。また、従来構成に比して加工時の孔抜き荷重も小さくなるため、孔開け用パンチ等の部品の疲労寿命が向上する。したがって、メンテナンスのための費用が抑制され、熱放射基孔を形成する孔抜き加工工程の低コスト化が図れる。これに伴い、全体として自動車用スチールホイールディスクの製造コストを低くすることができる。
【0015】
ここで、湾曲加工してスポーク部を得る成形工程にあっては、湾曲加工対象となる部分が、孔抜き加工工程で形成された熱放射基孔と隣接していることとなる。このことは、湾曲加工時に、湾曲加工対象部分に作用する引張応力が、隣接する熱放射基孔が引張応力に伴って拡開することにより拡散され、かかる部分の肉厚がほぼ均一のまま湾曲成形されるという利点がある。したがって、スポーク部に局部的な板引けが発生することを防止することが可能となる。なお、当然のことながら、かかる製造方法により製造される自動車用スチールホイールディスクのスポーク部には、前記板引けに起因して発生する板引けラインは検出されない。
【0016】
また、熱放射基孔を形成する孔抜き加工工程にあって、孔抜き断面が板面に対して垂直となるように、スチール板に熱放射基孔を形成するようにした構成が提案される。
【0017】
かかる構成とすることにより、傾斜した板面に孔抜き加工を施す構成に比べて、加工時の条件設定が簡略化される。また、孔抜き断面とディスク主板部の裏面との角度が鋭角(いわゆるシャープエッジ)となることを防止でき、亀裂の発生を防ぐことができる。さらに、かかる構成にあっては、当初スチール板面に対して垂直であった抜き断面が、スポーク部を形成するための湾曲加工に伴って、成形工程後にはディスク主板部の裏面側に臨むこととなる(図8参照)。これにより、自動車用スチールホイールディスクを表側(意匠面側)から見た場合に、孔抜き断面がディスク主板部の裏側に隠れて視認不能となるため、見栄えが良くなる利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1は、自動車用スチールホイールAの縦断面図である。この自動車用スチールホイールAは、タイヤ(図示省略)が装着されるリム1と、車軸が接続されるハブ孔3が中央に形成された自動車用スチールホイールディスク2とからなり、自動車用スチールホイールディスク2の外周縁に形成されたフランジ部5が、リム1の内周面に内嵌されて、一体化されている。なお、リム1と自動車用スチールホイールディスク2とは、隅肉溶接、又はスポット溶接により接合される。そして、前記隅肉溶接としては、アーク溶接、又はレーザー溶接等が良く知られている。
【0019】
次に、自動車用スチールホイールディスク2を図1,2に従って詳述する。
前記ハブ孔3の周縁には、表側(意匠面側)へほぼ垂直に立ち上がるハブ孔フランジ部4が形成されている。さらに、このハブ孔フランジ部4の周縁には、ボルト孔6が周方向に均等間隔で五個形成されている。なお、前記したハブ孔3、ハブ孔フランジ部4、及びボルト孔6により、ハブ取り付け部10が構成される。
【0020】
前記ハブ取り付け部10の周縁には、熱放射孔9とスポーク部11とを備えるディスク主板部15が形成される。このディスク主板部15は、中心(ハブ孔3)から外方に向かう程、表側(意匠面側)へ緩やかに傾斜している。換言すれば、中心(ハブ孔3)を底部とする皿形状を呈している。
【0021】
さらに、ハブ孔3を中心として、周方向に、角の取れたほぼ台形状の熱放射孔9が五個形成されている。この熱放射孔9もボルト孔6と同様に、均等間隔に設けられている。
【0022】
さらに、各熱放射孔9の間には、熱放射孔9内周縁に対して***したスポーク部11が形成されている。このスポーク部11は、ハブ孔3を中心として放射状に五本形成されている。したがって、かかるスポーク部11の間にある凹部底面に、熱放射孔9がそれぞれ形成されていることとなる。なお、前記熱放射孔9を形成する理由としては、意匠性の向上、剛性の向上、軽量化、放熱性の向上等があげられる。また、スポーク部11を熱放射孔9内周縁に対して***させる理由としては、意匠性の向上、剛性の向上等が挙げられる。
【0023】
また、本実施形態例にあっては、より一層意匠性を向上させるため、スポーク部11の頂部には、底が極めて浅い溝が半径方向に沿って形成されている。
【0024】
なお、上述のボルト孔6、熱放射孔9、又はスポーク部11は、自動車の種類、あるいは求められる意匠によって、その個数が異なる場合もある。
【0025】
さらに、ディスク主板部15の最外周縁には、ホイール軸方向とほぼ平行なフランジ部5が周成されている。このフランジ部5がリム1の内周面に内嵌されて溶接接合されることにより、自動車用スチールホイールAが一体化される。
【0026】
次に本発明の要部にかかる自動車用スチールホイールディスク2の製造方法について、図3〜図7に従って説明する。
まず、図3に示されるようなスチール板20Bを得るために、図4に示されるように、中心をハブ孔基準点21と設定した円板形状のスチール板20Aを孔抜き加工する。これにより、図3に示されるような、熱放射基孔9a等が形成されたスチール板20Bが得られる。
【0027】
さらに詳述すると、この孔抜き加工を施す孔抜き加工工程にあっては、抜き断面25がスチール板20Aの板面と垂直となるように、熱放射孔抜きパンチ30を垂直作動させる。そして、図3に示されるように、ハブ孔基準点21に四角形のハブ基孔26を形成すると共に、ハブ孔基準点21を中心として、周方向に、五個の熱放射基孔9aを均等間隔に形成する。さらに、スチール板B周縁に円弧状の切欠部22を間欠的に五個形成する。この切欠部22は、外縁から所定幅だけ内方へ切り込まれた形状を呈しており、各切欠部22の間に位置する外周縁部23が、後にフランジ部5となる。
【0028】
ところで、孔抜き加工時の熱放射基孔9aの平面形状は、図3に示されるように、角の取れたほぼ台形状をしているが、本発明にあっては、孔抜き加工工程実行後に、スチール板20Bを湾曲加工する成形工程を実行するため、成形工程後には熱放射基孔9aの平面形状が変化する。したがって、この孔抜き加工工程にあっては、予めシミュレーションにより変形過程を推定して、湾曲加工後に所望の最終平面形状となるような形状で孔抜き加工することとなる。
【0029】
なお、本発明にあっては、この孔抜き加工工程は、整一な板材に対して垂直方向に孔抜き加工する構成であるから、プレス機器等の金型が複雑にならず、熱放射孔抜きパンチ30等の孔抜き用部品の寿命が短くなることもない。また、孔抜き荷重が小さいため、バリ等の不具合も生じにくい。
【0030】
なお、上述の孔抜き加工工程にあっては、ボルト孔6となるボルト基孔6a(図5参照)も、ハブ孔基準点21を中心として周方向に五個形成しても良い。
【0031】
次に、孔抜き加工されたスチール板20Bを湾曲加工する成形工程を実行することとなる(図5〜図7参照)。
この成形工程は、プレス機器による絞り加工を主な内容としている。ここで、成形工程は、第一から第三の絞り加工工程により構成されている。なお、プレス機器による絞り加工を行う圧力負荷方向(垂直方向)は、ホイール軸方向とほぼ平行となるようにしている。以下詳細に説明する。
【0032】
まず、第一絞り加工工程を実行する。
図5(a)のように、熱放射基孔9a、ハブ基孔26、及びボルト基孔6aが既に形成されたスチール板20Bを、上方に突出したロケーションピン34にハブ基孔26を嵌入して位置決めして、環状の絞りダイス31、及び座面ブロック36上に置く。この座面ブロック36は、絞りダイス31の中央に配設される。そして、このスチール板20Bの上方から、環状の皺押さえブロック32を押し当て、前記絞りダイス31と協動してスチール板20Bを挟圧する。
【0033】
そして、図5(b)に示されるように、皺押さえブロック32の中央に配設された絞りパンチ33を、座面ブロック36に支持されるスチール板20Bに押圧する。これと共に、絞りパンチ33及び座面ブロック36を一体的に最下位置まで変移させる。そして、これによりスチール板20Bを湾曲して、受け皿状のスチール板20Cを得る。なお、座面ブロック36は、下方からスチール板Bを絞りパンチ33に押し付ける力を作用させており、この上方向の力に抗して絞りパンチ33が下降することにより、座面ブロック36と絞りパンチ33とが一体的に前記最下位置まで変移する構成としている。
【0034】
次に第二絞り加工工程を実行する。
図6(a)に示されるように、上記第一絞り加工工程で成形した受け皿状のスチール板20Cを、ロケーションピン34にハブ基孔26を嵌入して位置決めしてプレス機器にセットし、図6(b)に示されるように、上ディスク型40を、ロケーションピン34をガイドとして、受け皿状のスチール板20Cを押圧成形し、所望形状のディスク状のスチール板20Dを形成する。この第二絞り加工工程では、受け皿状のスチール板20Cを、ハブ基孔26を中心として外方にいく程上方傾斜させると共に、熱放射基孔9aの隣接部分を***させる。換言すれば、受け皿状のスチール板20Cを、熱放射基孔9aが凹部の底面に位置するように成形すると共に、***させた部分をハブ基孔26を中心として放射状に形成することとなる。
【0035】
次に第三絞り加工工程を実行する。
図7(a)に示されるように、上記第二絞り加工工程で成形したディスク状のスチール板20Dを、絞りパンチ61の型に沿ってセットする。そして、図7(b)に示されるように、スチール板20Dをフロートダイ60と絞りパンチ61とにより押圧加工して、自動車用スチールホイールディスク2の形状の寸法精度を整え、熱放射孔9、及び熱放射孔9内周縁に対して***するスポーク部11を得る。
【0036】
さらに、図7(b)に示されるように、最外位置に配設されたフランジ絞りリング62により、ディスク状のスチール板20Dの外周縁のうち、切欠部22が形成されていない外周縁部23を下方に折り曲げ加工して、ホイール軸方向とほぼ平行となるフランジ部5を形成する。これと共に、ハブ孔絞りパンチ63によりハブ基孔26周端縁をホイール軸方向とほぼ平行となるように上方へ折り曲げ加工して、ハブ孔フランジ部4を形成する。
【0037】
その後、意匠面等に、バフ研磨仕上げ等の表面仕上げ加工を施す。このような一連の工程を備えた製造方法により、自動車用スチールホイールディスク2が製造される。
【0038】
ところで、上述の製造方法により製造された自動車用スチールホイールディスク2のスポーク部11には、板引けが発生しない。これは、スポーク部11を形成するために施された湾曲加工の際に、その加工対象部分に作用する引張応力が、予め形成された熱放射基孔9aが引張応力に伴って拡開することにより拡散され、かかる加工対象部分の肉厚がほぼ均一のまま湾曲成形されるためである。
【0039】
ここで、本発明にかかる自動車用スチールホイールディスク2のスポーク部11(図8(イ)参照)と、湾曲加工した後に熱放射孔を形成する従来構成の製造方法にかかるスチールホイールディスクのスポーク部a(図8(ロ)参照)とを比較検討する。
【0040】
図8(ロ)に示されるように、従来構成のものは、湾曲するスポーク部の凸頂点部位xで板引けが発生し、熱放射孔周辺の肉厚に比して頂部の肉厚が薄く、全体として肉厚が不均一となる。一方、図8(イ)に示されるように、本発明にかかる構成は、湾曲するスポーク部11の頂部の肉厚が、他の部分と等しく、均一に成形される。したがって、本発明の製造方法で製造される自動車用スチールホイールディスクは、肉厚が不均一となって強度が低下することがないと共に、スポーク部11上面に板引けラインが発生しないため、意匠性が損なわれることもない。
【0041】
また、上述した本発明の製造方法により製造された自動車用スチールホイールディスク2は、図9に示されるように、孔抜き断面25が、熱放射孔9周辺のディスク主板部15の裏面側に臨んでいる。これは、スポーク部11等を形成するための湾曲加工に起因するものであって、当初スチール板20Aの板面に対して垂直であった抜き断面25が、湾曲加工に伴って、上述のように偏向することになる。これにより、自動車用スチールホイールディスク2を車体に装着させ、かかる状態で表側(意匠面側)から見た場合には、この孔抜き断面25がディスク主板部15の裏側に隠れて視認不能となるため、見栄えが良くなる優れた利点がある。
【0042】
また、本発明の製造方法は、従来構成のように凹部底面に上方から孔抜き加工する構成と異なり、板材に上方から孔抜き加工する構成であるから、熱放射孔9の孔抜き断面25とディスク主板部15の下面(裏面)との角度が鋭角(シャープエッジ)となることを防止できる。これにより、かかる部位からの亀裂の発生を防ぐことができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、ハブ孔基準点を有するスチール板を孔抜き加工して、熱放射基孔を複数形成する孔抜き加工工程と、該孔抜き加工後のスチール板を湾曲加工して、各熱放射基孔の間を、熱放射基孔内周縁に対して***させ、熱放射孔とスポーク部とを得る成形工程とを備えた構成としたから、前記孔抜き加工を平板に対して行うことが可能となり、従来のように、例えばカム式孔開け用金型等を用いる必要がなくなり、孔抜き加工を実行する金型等の構造を簡単にすることができる。したがって、メンテナンスの容易化、設備費用の低減化が図れ、全体として自動車用スチールホイールディスクの製造コストを低減できる優れた効果が生ずる。また、成形工程にあって、湾曲に伴って、予め形成した熱放射基孔が拡開することにより、湾曲後のスポーク部の肉厚をほぼ均一にすることができる利点がある。これにより、スポーク部に板引けが発生することを防止することが可能となり、スポーク部の肉厚が不均一となって強度が低下することもない。勿論、板引けラインが発生しないため、自動車用スチールホイールディスクの意匠性が損なわれることもない。
【0044】
また、熱放射基孔を形成する孔抜き工程にあって、スチール板を、孔抜き断面が平板面に対して垂直となるように孔抜き加工するようにした場合には、孔抜き工程を実行するに際して、孔抜き加工の条件設定が簡略化される利点がある。さらに、成形工程での湾曲加工に伴って孔抜き断面が偏向し、成形工程後には熱放射孔周辺のディスク主板部裏面側に臨むこととなる。これにより、車体に装着された自動車用スチールホイールディスクを表側から見た場合に、孔抜き断面がディスク主板部の裏側に隠れて視認不能となるから、車体装着時の見栄えを飛躍的に向上させることが可能となる。また、かかる構成によれば、孔抜き断面がいわゆるシャープエッジとなることがないため、熱放射孔周縁における亀裂の発生を排除し得る効果がある。これによりライフ試験に対応すべく、熱放射孔周縁を厚肉化する必要がなくなり、自動車用スチールホイールディスクの軽量化を実現することができ、全体として製造コストを低減することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用スチールホイールAの縦断面図である。
【図2】自動車用スチールホイールディスク2の正面図である。
【図3】熱放射基孔9aが形成されたスチール板20Bの正面図である。
【図4】孔抜き加工工程にかかる孔抜き加工を示す説明図である。
【図5】第一絞り加工工程を示す工程図である。
【図6】第二絞り加工工程を示す工程図である。
【図7】第三絞り加工工程を示す工程図である。
【図8】イは、本発明にかかるスポーク部11を接線方向で切断した縦断側面図であり、ロは、従来構成にかかるスポーク部の縦断側面図である。
【図9】板引けラインが発生していない、本発明にかかる自動車用スチールホイールディスク2の縦断面図である。
【図10】板引けラインbが発生している、従来構成の自動車用スチールホイールディスクの縦断面図である。
【符号の説明】
2 自動車用スチールホイールディスク
3 ハブ孔
5 フランジ部
9 熱放射孔
9a 熱放射基孔
10 ハブ取り付け部
11 スポーク部
15 ディスク主板部
20A〜20C スチール板
21 ハブ孔基準点
25 孔抜き断面
Claims (1)
- 中央にハブ孔が形成されたハブ取り付け部周縁と、
該ハブ取り付け部周縁に形成されたディスク主板部と、
該ディスク主板部の最外周縁に形成された、ホイール軸方向とほぼ平行なフランジ部とを備え、
前記ディスク主板部が、ハブ孔を中心として周方向に設けられた複数の熱放射孔と、各熱放射孔の間に配置された、熱放射孔内周縁に対して***するスポーク部とからなるものである自動車用スチールホイールディスクの製造方法において、
中心にハブ孔基準点となる角形のハブ基孔を有するスチール板に、熱放射孔となる熱放射基孔を、ハブ孔基準点を中心として周方向に複数形成する孔抜き加工工程と、
ハブ基孔にロケーションピンを嵌入して位置決めしてから、各熱放射基孔の平面形状が変化するよう湾曲させて、前記スチール板を湾曲加工することにより、受け皿状のスチール板を得る第一絞り加工工程と、
ハブ基孔にロケーションピンを嵌入して位置決めしてから、前記スチール板を湾曲加工することにより、各熱放射基孔の平面形状が変化するよう湾曲させて、各熱放射基孔の間を熱放射基孔内周縁に対して***させ、熱放射孔とスポーク部とが形成されたディスク状のスチール板を得る第二絞り加工工程と、
ディスク状のスチール板をフロートダイにより押圧加工して、自動車用スチールホイールディスクの形状の寸法精度を整え、熱放射孔、及び熱放射孔内周縁に対して***するスポーク部を得るとともに、パンチによりハブ孔を形成する第三絞り加工工程
とを備えたことを特徴とする自動車用スチールホイールディスクの製造方法。
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