JP4127953B2 - 感熱性平版印刷用原板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像不要のコンピュータ・ツウ・プレートシステム用の感熱性平版印刷用原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものは従来のような液体による現像工程を経ることなしに、そのまま印刷機に装着して印刷することが可能な平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究がなされている。その中で、より一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしに印刷機に架けられる現像不要な平版印刷版用原板が研究され、種々の方法が提案されている。有望な方法の一つは、親水性ポリマー中にマイクロカプセル化された親油性成分を分散した親水性の感熱層を有する平版印刷用原板である。感熱層に熱を加えるとマイクロカプセルが破壊されて親油性成分が融合し、親水性感熱層表面を親油性画像部に変換することを応用した方法である。
【0003】
このような熱記録を赤外線レーザ露光によって行う製版システムにおいては、版材の感度が高いことが、作業の迅速性にとって重要である。そのために、感熱性平版印刷用原板には光熱変換剤と呼ばれる赤外線を吸収し発熱する染料または顔料が使用される。
【0004】
特開平7−1849号公報、同7−1850号公報、特開平10−6468号公報には、親水性ポリマー中にマイクロカプセル化された親油性成分を分散した親水層(感熱層)を有する感熱性平版印刷用原板が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報には、レーザー印字の場合、用いるレーザの発光波長領域に吸収帯を有する光―熱変換物質(光熱変換剤)を使用することができると記載されているが、光熱変換剤を上記親油性成分に含有させても、十分な感度が得られないという問題があった。更に十分な感度を得るために、親油性成分へ中に光熱変換剤を多量に添加すると光熱変換剤が析出したり、露光後に生成する親油性画像の強度が劣化して耐刷力が低下するなどの問題を生ずることが分かった。
【0006】
種々検討の結果、支持体上に、熱により画像部に転換するマイクロカプセル化された親油性成分と親水性ポリマーとを含有する親水層(感熱層)および光熱変換剤を含有する水溶性オーバーコート層をこの順に設けた感熱性平版印刷用原板とすることによって、上記問題が解決できることが分かった(特願平11−346320号参照)。
しかしながら、この感熱性平版印刷用原板においてもなお、湿気の多い手で版面を触ったときに指紋跡が付着するため、取り扱い時は手袋を着用しなければならない問題があることが分かった。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記新たな問題を更に解決することであり、露光後処理を行うことなく直接印刷機に装着して印刷することが可能であり、高感度で高い耐刷力を有し、しかも素手で取り扱っても指紋跡付着を起こさない感熱性平版印刷用原板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、オーバーコート層に水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有させることによって、上記目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0009】
支持体上に、(1)熱により画像部に転換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性ポリマーとを含有する感熱層、及び(2)親水性オーバーコート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバーコート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有する感熱性平版印刷用原板であって、該親水性オーバーコート層が水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有することを特徴とする感熱性平版印刷用原板。
【0010】
本発明の親水性オーバーコート層は、水溶性樹脂を部分架橋した水膨潤性樹脂を含有する。水溶性樹脂を部分架橋して耐水性を向上させることによって、本発明の目的である表面粘着性を抑え、指紋跡の付着を防止し、平版印刷用原板の取り扱い性を向上できる。
その上、この親水性オーバーコート層は、湿し水で膨潤し、印刷スタート時にブランケット上に転写し、更にそれが紙に転写して除去されるため、従来の印刷機上現像のように、湿し水にオーバーコート層が溶解して印刷に悪影響を及ぼす問題もない。
【0011】
しかし、架橋が進み過ぎるとオーバーコート層が親油性に変化して、印刷機上におけるオーバーコート層の除去が困難になり、印刷スタート時の着肉性も劣化してくるため、本発明に好適な部分架橋の程度は、25℃の水中に印刷用原板を浸したときに、30秒〜10分の間において親水性オーバーコート層が溶出せず残存している程度の耐水性を有するものである。この範囲において、架橋の過不足無く、本発明の効果をより有効に発揮でき、好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の親水性オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂は、水溶性の天然高分子及び合成高分子から選ばれ、架橋剤とともに用い、塗布乾燥された皮膜がフィルム形成能を有するものである。
【0013】
本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、等を挙げることができる。
また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0014】
次に、水溶性樹脂の架橋方法について説明する。
オーバーコート層は、上記水溶性樹脂の少なくとも1種を部分架橋し、感熱層上に形成される。架橋は、水溶性樹脂の有する反応性官能基を用いて架橋反応することにより行われる。架橋反応は、共有結合性の架橋であっても、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0015】
架橋反応に用いられる化合物(架橋剤)としては、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリアルコキシシリル化合物、チタネート化合物、アルデヒド化合物、多価金属塩化合物、ヒドラジンなどが挙げられる。該架橋反応は公知の触媒を添加し、反応を促進することもできる。
【0016】
架橋性を有する公知の多官能性化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0017】
ポリエポキシ化合物の具体例としては、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類もしくはそれらの水素添加物とエピハロヒドリンとのポリ縮合物などが挙げられる。
【0018】
ポリアミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0019】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、などの芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、またポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネート付加反応物などが挙げられる。
【0020】
ポリアルコキシシリル化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
【0021】
チタネート化合物としては、テトラエチルオルトシリケート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリアクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピル(ジオクチルホスフェート)チタネート)、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、イソプロピルトリインステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリジシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2ージアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどが挙げられる。
【0022】
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。
【0023】
多価金属塩化合物としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属の水溶性塩が挙げられる。
【0024】
これらの架橋剤は単独または2種以上を混合して使用することが可能である。これらの架橋剤のうち特に好ましい架橋剤は、水溶性の架橋剤であるが、非水溶性のものは分散剤によって水に分散して使用することができる。
【0025】
特に好ましい水溶性樹脂と架橋剤の組み合わせとしては、カルボン酸含有水溶性樹脂/多価金属化合物、カルボン酸含有水溶性樹脂/水溶性エポキシ樹脂、水酸基含有樹脂/ジアルデヒド類が挙げられる。
【0026】
印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、良好な耐水性が得られる架橋剤の添加量は、水溶性樹脂と架橋剤の組み合わせによって異なるので一概に特定しがたいが、一般的には水溶性樹脂の2〜10重量%である。
【0027】
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは1〜3重量%である。
【0028】
本発明に用いるオーバーコート層の厚みは0.1〜0.5μmが好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜0.3μmである。
【0029】
本発明に用いる感熱層は、熱により画像部に転換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性ポリマーとを含有する層である。
【0030】
本発明の感熱層に用いられる親水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖類系あるいはそれらの複合系等の、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を一種類以上かつ複数個含有する炭素−炭素結合から構成される網目化されたポリマー、酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で連結された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成される網目化されたポリマー、またはその側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を一種類以上かつ複数個含有する網目化されたポリマー等が挙げられる。
【0031】
中でも、側鎖に水酸基、カルボキシル基もしくはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基もしくはそのアミン塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、アミノ基もしくはそのハロゲン化水素酸塩、アミド基のいずれかをあるいはこれらを組み合わせたセグメントを繰り返し有する親水性ポリマー、さらにこれらの親水性官能基と主鎖セグメントの一部にポリオキシエチレン基を有するものは親水性が高く好ましい。これらに加えて親水性ポリマーの主鎖もしくは側鎖にウレタン結合もしくはウレア結合を有するものは、親水性のみならず非画像部の耐刷性も向上するのでさらに好ましい。
【0032】
本発明に用いられる親水性ポリマーは、特開平7−1849号公報、同11−70756号公報に記載されている親水性ポリマー架橋手段と共に用いることができる。例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、光重合開始剤、熱重合開始剤または多価金属イオンなどの架橋手段と共に用いることができる。
【0033】
本発明の感熱層に用いる親油性成分としては、例えば、フェニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのオリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネート化合物;
【0034】
N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量600)等の重合性化合物、
【0035】
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコール ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ基含有反応性ワックス等の多官能エポキシ化合物等が使用できる。さらには、既存のPS版の画像成分として使用されている架橋前の公知の、(メタ)アクリルコポリマーやウレタンアクリレート、ジアゾ樹脂も使用できる。
【0036】
親油性成分のカプセル化は、公知のカプセル化法、例えばカプセル膜を作る界面重合法、in−situ法、コンプレックスコアセルベート法、有機溶液系からの相分離法等により行うことができる。
【0037】
カプセル外殻表面は、マイクロカプセルが感熱層に含有された状態で印刷した際に、非画像部の地汚れが発生しなければ特に限定されるものではないが、親水性であることが好ましい。マイクロカプセルのサイズは、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5μm以下が好ましい。カプセル全体に対する親油性成分の割合が低すぎると画像形成効率が低下するので平均0.01μm以上であることが好ましい。
【0038】
マイクロカプセル化された親油性成分の使用量は、印刷用途毎の必要とされる感度、耐刷性の観点から決めればよい。通常は、マイクロカプセル/親水性ポリマー重量比率が1/20〜10/1の範囲で使用される。好ましくは、1/15〜5/1の範囲で使用される。この範囲より親油性成分の割合が少なすぎると感度の低下が顕著になり、親油性成分の割合が多すぎると耐刷力の低下が顕著になる。
【0039】
本発明の親油性成分と併用して、露光部の可視化を図り検版をしやすくするため、露光部のみが発色する公知の感熱色素を用いることができる。例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノールAなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等がある。
【0040】
本発明の感熱層の塗布溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールといったアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンといったケトン類、ジエチレングリコールジエチルエテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールといったエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルといったエステル類、トルエン、キシレンといった芳香族炭化水素、n−ヘキサン、デカリンといった脂肪族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルまたはこれらの混合溶剤を使用することができる。
【0041】
本発明の感熱層の塗布、乾燥後に得られる支持体上の固形分塗布量は、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0042】
本発明の感熱性平版印刷用原板は、支持体と感熱層の間に、有機ポリマーを含有する断熱層を有することができる。断熱層は、赤外線照射により生じた熱が支持体、特にアルミニウム等金属支持体に拡散して感度低下させるのを防止する。かかる有機ポリマーとしては、支持体およびインキ受容層との親和性がよいポリマーが望ましく、感熱層でバインダーポリマーとして用いられるものが好適である。また、別の好適な有機ポリマーとして、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
【0043】
水溶性ポリマーを用いる場合は、該水溶性ポリマーの架橋剤、例えば、グリオキサール、炭酸亜鉛、加水分解されたテトラメトキシオルトシリケートあるいはテトラエトキシオルトシリケート、アンモニウムジルコニルカーボネートなどと共に用いることが好ましい。架橋剤で水溶性をコントロールすることにより、水溶性が高すぎて印刷中に網点が細る問題を回避できる。
断熱層には、塗布の均一性を確保する目的で、非イオン系界面活性剤あるいはフッ素系界面活性剤を添加することができる。
断熱層の乾燥塗布量は、0.1〜5.0g/m2であることが好ましい。
【0044】
本発明においては、感熱層及びオーバーコート層のうち少なくとも一つの層に、赤外線に対する感度を高めるため、赤外線を吸収して発熱する機能を有する光熱変換剤が添加される。また、光熱変換剤は断熱層に添加することもできる。
【0045】
光熱変換剤としては、700nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の顔料や染料を用いる事ができる。顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0046】
顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0047】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で好ましい。そのような赤外線を吸収する顔料としてはカーボンブラックが特に好ましい。
【0048】
本発明の感熱層及びオーバーコート層に添加する顔料としては、特に水溶性又は親水性の樹脂と分散しやすく、かつ親水性を損わないように親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたカーボンブラックが有用である。
【0049】
顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル
、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0050】
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又は特許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0051】
さらに、赤外線吸収染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開平10−268512号記載の染料、特開平11−235883号記載のフタロシアニン化合物を挙げることができる。
【0052】
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン染料、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125等も好ましく用いられる。
これらの中で、オーバーコート層及び感熱層に添加するのに特に好ましい染料は水溶性染料で、以下に具体例を構造式で列挙する。
【0053】
【化1】
Figure 0004127953
【0054】
【化2】
Figure 0004127953
【0055】
マイクロカプセル中の親油性成分と共に用いる光熱変換剤、あるいは断熱層用の親油性有機ポリマーと共に用いる光熱変換剤としては、前記の赤外線吸収染料であっても良いが、好ましくはより親油性の染料が良い。より好ましい染料として、以下に例示する染料を挙げることができる。
【0056】
【化3】
Figure 0004127953
【0057】
【化4】
Figure 0004127953
【0058】
光熱変換剤のオーバーコート層への添加割合は、オーバーコート層固形分の1〜70重量%、好ましくは2〜50重量%、光熱変換剤が染料の場合、特に好ましくは2〜30重量%、光熱変換剤が顔料の場合、特に好ましくは20〜50重量%の割合である。この範囲内で、オーバーコート層の均一性や膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
【0059】
感熱層への光熱変換剤の添加割合は、好ましくは感熱層固形分の1〜70重量%、より好ましくは2〜50重量%である。
【0060】
オーバーコート層に光熱変換剤を添加する場合は、その添加量に応じて、感熱層の光熱変換剤の添加量を上記範囲より減少するか、あるいは、無添加にすることができる。この添加量削減によって、感熱層への光熱変換剤の多量添加による光熱変換剤の析出や親油性画像の強度劣化などを防止できる。
【0061】
本発明に使用する支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。紙、親油性のプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス鋼板等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の金属がラミネートまたは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0062】
好ましい基板は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボートフィルム、アルミニウムまたは鋼板、もしくは親油性のプラスチックフィルムがラミネートされているアルミニウムまたは鋼板である。
【0063】
本発明に使用されるアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウムまたはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来より公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
【0064】
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0065】
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理によりインキ受容層との接着性の確保が容易になる。
【0066】
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。
【0067】
上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。
【0068】
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、断熱性などの一層の改良のため、必要に応じて、特願2000−65219号や特願2000−143387号等に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理、親水性化合物の下塗り処理などを適宜選択して行うことができる。
【0069】
上記親水化処理のための好適な親水性化合物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などを挙げることができる。
【0070】
親水性化合物の下塗り処理としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するポリマー又はその塩の水溶液の下塗り、もしくはこの水溶液に酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の水溶性金属塩を加えた水溶液による下塗り等を挙げることができる。
【0071】
本発明の感熱性平版印刷用原板は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
画像露光された本発明の印刷用原板は、それ以上の処理なしに印刷機に装着することができる。又は、印刷用原板を印刷機に取り付けた後に印刷機上でレーザ露光し、そのまま印刷することも可能である。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
[アルミニウム支持体の製造例]
アルミニウム99.5重量%に、銅を0.01重量%、鉄を0.3重量%、チタンを0.03重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJISA1050アルミニウム材の厚み0.24mm圧延板を、400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と回転ナイロンブラシとを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗した。更に、1重量%硝酸水溶液で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧10.5V、陰極時電圧9.3Vの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて160C/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、水洗した。さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用いて、陽極酸化処理を行った。すなわち、電流密度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により、陽極酸化皮膜重量2.7g/m2の基板を作製した。
次にこの支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナトリウムの0.2重量%水溶液に浸漬処理し、水洗乾燥した。付着量はケイ素として5mg/m2であった。
【0074】
[親油性成分を内包したマイクロカプセルの製造例]
コロネートL(25重量%酢酸エチル含有物)1.26gをグリシジルメタクリレート7.2g中に均一に溶解させて油性成分を調製した。次いで、蒸留水120gに、アルギン酸プロピレングリコールエステル(ダックロイドLF、紀文フードケミファ(株)製、数平均分子量:2×105)2g、ポリエチレングリコール(PEG 400、三洋化成(株)製)0.86gを混合した水相を調製した。続いて、上記油性成分と水相をホモジナイザーを用いて6000rpmで室温下混合乳化した後、60℃で3時間反応させて平均粒径1.8μmのマイクロカプセルを得た。
【0075】
実施例1
[感熱層の塗布]
上記製造例で得たアルミニウム支持体上に、予めペイントシェーカーで室温下30分間よく攪拌した下記組成の感熱層塗布液をブレードコーターで塗布し、次いで乾燥して、厚み3.5μmの感熱層を設けた。
【0076】
(感熱層塗布液)
親水性樹脂(1)の10重量%水溶液 20.0g
製造例のマイクロカプセル 80.0g
アルギン酸エステルの3重量%水溶液 300g
【0077】
ここで、親水性樹脂(1)は、ポリアクリル酸(日本純薬(株)製、ジュリマーAC10MP)数平均分子量8万であり、アルギン酸エステルはアルギン酸プロピレングリコールエステル(紀文フードケミファ(株)製、ダックロイドLF)である。
【0078】
次に、この感熱層を有する基板を塩化第二錫五水和物(東京化成(株)製)の5%水溶液1.5リットル中に3分間浸漬後、精製水1リットルを用いて1分間水洗し、感熱層を架橋させた。
【0079】
[感熱性平版印刷用原板の作製]
上記感熱層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液OC−1をバー塗布し、100℃、90秒間乾燥して、乾燥塗布重量0.22g/m2のオーバーコート層を有する感熱性平版印刷用原板(1)を作製した。
【0080】
(オーバーコート層塗布液OC−1)
アラビアガム(28重量%水溶液) 1.5g
光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール
(10重量%水溶液) 0.168g
酢酸カルシウム(10重量%水溶液) 0.3g
イオン交換水 22g
【0081】
[露光および印刷評価]
上記のように作製した印刷用原板を、CREO社製TRENDSETTER(40Wの830nm半導体レーザーを搭載したプレートセッター)に取付け、エネルギー量を振って露光した。次いで、版全面をケミカルランプで6J/cm2照射した。印刷原板をそれ以上の処理をしないでハリスオーレリア印刷機に取付け、プレートエッチ液EU−3(富士写真フイルム(株)製)/水/イソプロピルアルコール(容量比1/99/10)からなる湿し水と、大日本インキ化学工業(株)製ジオスG墨インキを用いて印刷した。その結果、400mJ/m2が適正な露光エネルギー量(感度)であった。この適正露光量で露光した印刷版を印刷したところ、3万枚の汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0082】
感熱性平版印刷用原板(1)は、素手で版面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、上記オーバーコート層から酢酸カルシウムを除いて作製した感熱性平版印刷用原板は、若干指紋跡が付着した。機上現像性は、酢酸カルシウムの有無で差異はなかった。25℃の水に1分間浸してオーバーコート層の除去性を調べたところ、酢酸カルシウム有りでは、ほぼ完全にオーバーコート層は残存していたが、酢酸カルシウム無しでは、約半分近くが溶解流出した。25℃の水に11分間浸した場合は、酢酸カルシウム有りでもオーバーコート層の流出が起こっていた。この結果から、オーバーコート層を部分架橋することによって、版面の耐水性が向上したことが分かる。
【0083】
実施例2
実施例1のオーバーコート層塗布液OC−1を下記組成のオーバーコート層塗布液OC−2に代えた以外は実施例1と同様にして感熱性平版印刷用原板(2)を作製した。オーバーコート層の乾燥塗布重量0.24g/m2であった。
【0084】
(オーバーコート層塗布液OC−2)
ソヤガムK−31(28%含有水溶液) 1.5g
光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール
(10重量%水溶液) 0.168g
酢酸マグネシウム(10重量%水溶液) 0.4g
イオン交換水 22g
ここで、ソヤガムK−31は、不二製油(株)製の水溶性大豆多糖類である。
【0085】
感熱性平版印刷用原板(2)を実施例1と同様に400mJ/m2で露光し、印刷したところ、3万枚の汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0086】
感熱性平版印刷用原板(2)は、素手で版面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、実施例2のオーバーコート層から酢酸マグネシウムを除いて作製したものは、指紋跡がはっきり付着した。機上現像性は、酢酸マグネシウムの有無で差異はなかった。25℃の水に1分間浸した時のオーバーコート層除去性は、酢酸マグネシウム有りでは、ほぼ完全にオーバーコート層は残存していたが、酢酸マグネシウム無しでは、ほぼ100%が溶解流出した。25℃の水に11分間浸した場合は、酢酸マグネシウム有りでもオーバーコート層の流出が起こっていた。この結果から、版面の耐水性が向上したことが分かる。
【0087】
実施例3
実施例1のオーバーコート層塗布液OC−1を下記組成のオーバーコート層塗布液OC−3に代えた以外は実施例1と同様にして感熱性平版印刷用原板(3)を作製した。オーバーコート層の乾燥塗布重量0.26g/m2であった。
【0088】
(オーバーコート層塗布液OC−3)
ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5万、
28重量%水溶液) 1.5g
光熱変換剤(本明細書記載の染料IR−10) 0.042g
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール
(10重量%水溶液) 0.168g
酢酸マグネシウム(10重量%水溶液) 0.8g
イオン交換水 22g
【0089】
感熱性平版印刷用原板(3)を実施例1と同様に露光、印刷したところ、刷り出し5枚目で完全にインキが着肉し、その後3万枚の汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0090】
感熱性平版印刷用原板(3)は、素手で版面に触れても指紋跡の付着はなかった。一方、実施例3のオーバーコート層から酢酸マグネシウムを除いて作製したものは、指紋跡がはっきり付着した。機上現像性は、酢酸マグネシウムの有無で差異はなかった。25℃の水に1分間浸した時のオーバーコート層除去性は、酢酸マグネシウム有りでは、ほぼ完全にオーバーコート層は残存していたが、酢酸マグネシウム無しでは、100%完全に溶解流出した。25℃の水に11分間浸した場合は、酢酸マグネシウム有りでもオーバーコート層の流出が起こっていた。この結果から、版面の耐水性が向上したことが分かる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、露光後処理を行うことなく直接印刷機に装着して印刷することが可能であり、高感度で高い耐刷力を有し、しかも素手で取り扱っても指紋跡付着を起こさない感熱性平版印刷用原板を提供できる。

Claims (6)

  1. 支持体上に、(1)熱により画像部に転換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性ポリマーとを含有する感熱層、及び(2)親水性オーバーコート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバーコート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有する感熱性平版印刷用原板であって、該親水性オーバーコート層が水溶性樹脂を多価金属塩化合物により部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有することを特徴とする感熱性平版印刷用原板。
  2. 前記親水性オーバーコート層中の水溶性樹脂に対する、前記多価金属塩化合物の添加量が2〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の感熱性平版印刷用原板。
  3. 前記親水性オーバーコート層が、25℃の水に1分間浸漬した際に、溶出しないことを特徴とする請求項1または2に記載の感熱性平版印刷用原板。
  4. 支持体上に、(1)熱により画像部に転換する親油性成分を内包するマイクロカプセルと親水性ポリマーとを含有する感熱層、及び(2)水溶性樹脂を多価金属塩化合物により部分的に架橋した水膨潤性樹脂を含有する親水性オーバーコート層をこの順に有し、感熱層及び親水性オーバーコート層のうち少なくとも一つの層が光熱変換剤を含有する感熱性平版印刷用原板を、赤外線レーザにより画像様に露光した後、そのまま印刷機に装着し、湿し水で該親水性オーバーコート層を膨潤させ、ブランケット上に転写させ、それを紙に転写させ除去することを特徴とする製版方法。
  5. 前記親水性オーバーコート層中の水溶性樹脂に対する、前記多価金属塩化合物の添加量が2〜10重量%であることを特徴とする請求項4に記載の製版方法
  6. 前記親水性オーバーコート層が、25℃の水に1分間浸漬した際に、溶出しないことを特徴とする請求項4または5に記載の製版方法。
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