JP2001162963A - ポジ型感熱性平版印刷用原板 - Google Patents

ポジ型感熱性平版印刷用原板

Info

Publication number
JP2001162963A
JP2001162963A JP34632299A JP34632299A JP2001162963A JP 2001162963 A JP2001162963 A JP 2001162963A JP 34632299 A JP34632299 A JP 34632299A JP 34632299 A JP34632299 A JP 34632299A JP 2001162963 A JP2001162963 A JP 2001162963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithographic printing
image forming
forming layer
sensitive lithographic
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34632299A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Kita
信行 喜多
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP34632299A priority Critical patent/JP2001162963A/ja
Publication of JP2001162963A publication Critical patent/JP2001162963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚れ難さなどの印刷性能を劣化させることな
く、レーザー露光による画像形成層のアブレーションに
伴うカスの飛散を抑え、露光装置の光学系などを汚染す
ることが少ない現像不要のポジ型感熱性平版印刷用原板
を提供する。 【解決手段】 親水性表面を有する基板上に、インキ受
容性で熱によりアブレーションされる画像形成層および
水溶性オーバーコート層をこの順に設けたポジ型感熱性
平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要のコンピ
ュータ・ツウ・プレートシステム用のポジ型感熱性平版
印刷用原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基
づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画
像記録したものは従来のような液体による現像工程を経
ることなしに、そのまま印刷機に装着して印刷すること
が可能なポジ型平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレートシステム用刷版については、多数の研究が
なされている。その中で、より一層の工程合理化と廃液
処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理
することなしに印刷機に架けられる現像不要な平版印刷
版用原板が研究され、種々の方法が提案されている。有
望な方法の一つは、半導体レーザ、YAGレーザ等の固
体高出力赤外線レーザで露光し、露光部分を光熱変換剤
で発熱させ、分解蒸発を起こさせるアブレーションを利
用した方法である。
【0003】特開平8−48018号公報およびWO9
9−37481号公報には、親水性金属支持体上に、ア
ブレーションを受けない親水層および放射線の吸収によ
りアブレーション可能なニトロセルロースを含むインキ
受容層をこの順に設けたポジ型感熱性平版印刷用原板が
開示されている。米国特許5,605,780号公報に
は、陽極酸化したアルミニウム支持体上にシアノアクリ
レートポリマー中に赤外線吸収剤を分散した層を設け、
レーザ照射部のアブレーションによって画像を形成する
ポジ型印刷版が開示されている。
【0004】このようなアブレーションを利用した方式
においては、アブレーションによって版面から飛散した
分解物がレーザー露光装置の光学系などの精密部品を汚
染したり、装置外の作業環境を汚染する問題があるた
め、これらの装置ではアブレーションカス捕捉装置を設
ける必要があり、さらに捕捉装置を設けても汚染を完全
に除くことは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、汚れ
難さなどの印刷性能を劣化させることなく、レーザー露
光による画像形成層のアブレーションに伴うカスの飛散
を抑えることによって、露光装置の光学系などを汚染す
ることが少ない現像不要のポジ型感熱性平版印刷用原板
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、画像形成層
の上に水溶性オーバーコート層を設けることで、上記課
題を達成できることを発見し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】1.親水性表面を有する基板上に、インキ
受容性で熱によりアブレーションされる画像形成層およ
び水溶性オーバーコート層をこの順に設けたポジ型感熱
性平版印刷用原板。 2.水溶性オーバーコート層および/または画像形成層
に光熱変換剤が含有された前記1記載のポジ型感熱性平
版印刷用原板。 3.画像形成層に、ニトロセルロース、セルロースアセ
テートブチレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン・
アクリロニトリルコポリマーおよびシアノアクリレート
ポリマーから選ばれた少なくとも一つの親油性ポリマー
が含有された前記1記載のポジ型感熱性平版印刷用原
板。
【0008】ここで、EP816070号公報には、親
水性支持体、疎水性熱可塑性ポリマー粒子と光熱変換剤
を親水性バインダー中に分散した画像形成層および親水
性ポリマーからなる水溶性または水膨潤性保護層をこの
順に設けた感熱性記録要素において、該保護層がアブレ
ーションの抑制をするとの記載がある。しかし、この公
報の感熱記録要素は、レーザー照射による発熱で疎水性
熱可塑性ポリマー粒子を融合させて画像部とし、レーザ
非照射部を現像で溶解除去して非画像部とするネガ型の
画像形成法によるものであり、ここでのアブレーション
とは、レーザ照射が、ポリマー粒子を熱融合させると同
時に、照射部分の画像に印刷品質劣化となる損傷を引き
起こすことを云っている。従って、この公報は、本発明
の如きレーザー照射でアブレーション的破壊により照射
部分を除去するポジ型画像形成法を用いた印刷用原板に
関するものではなく、まして、アブレーションを画像形
成法とする印刷用原板においてアブレーションカスの飛
散を防ぐという課題について何らの開示も示唆もしてい
ない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0010】本発明に使用される水溶性オーバーコート
層は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機
又は無機の高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。
ここで用いる水溶性の有機又は無機の高分子化合物とし
ては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を
有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水
分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸及びそのア
ルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル酸共重合
体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリ
ル酸及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタク
リル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、
ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリヒドロキシ
エチルアクリレート、ポリビニルピロリドン及びその共
重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチル
エーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリ
ルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそ
のアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体及
びそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガ
ム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロー
ズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ
等)及びその変性体 、ホワイトデキストリン、プルラ
ン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることが
できる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上
混合して用いることもできる。
【0011】本発明のオーバーコート層には、感度を高
めるために、赤外線を吸収して熱を発生する光熱変換剤
を含有させることができる。光熱変換剤としては、70
0nm以上の光を吸収する物質であればよく、種々の顔
料や染料を用いる事ができる。顔料としては、市販の顔
料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新
顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記
載されている顔料が利用できる。
【0012】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0013】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、
界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シ
リカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポ
キシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結
合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、
「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用
技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されてい
る。これらの顔料中、赤外線、もしくは近赤外線を吸収
するものが、赤外線もしくは近赤外線を発光するレーザ
での利用に適する点で特に好ましい。
【0014】そのような赤外線又は近赤外線を吸収する
顔料としてはカーボンブラック、親水性樹脂でコートさ
れたカーボンブラックやシリカゾルで変性されたカーボ
ンブラックが好適に用いられる。これらの中でも特に水
溶性の樹脂と分散しやすく、かつ親水性を損わないもの
として、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされた
カーボンブラックが有用である。
【0015】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、
サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミ
ル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミ
ル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加
圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0016】染料としては、市販の染料および文献(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料などの染料が挙げられる。これらの染料中、赤外
線、もしくは近赤外線を吸収するものが、赤外線もしく
は近赤外線を発光するレーザでの利用に適する点で特に
好ましい。
【0017】赤外線又は近赤外線を吸収する染料として
は、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59
−84356号、特開昭60−78787号等に記載さ
れているシアニン染料、特開昭58−173696号、
特開昭58−181690号、特開昭58−19459
5号等に記載されているメチン染料、特開昭58−11
2793号、特開昭58−224793号、特開昭59
−48187号、特開昭59−73996号、特開昭6
0−52940号、特開昭60−63744号等に記載
されているナフトキノン染料、 特開昭58−1127
92号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特
許434,875号記載のシアニン染料や米国特許第
4,756,993号記載の染料、米国特許第4,97
3,572号記載のシアニン染料、特開平10−268
512号記載の染料を挙げることができる。
【0018】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号(米国特許第4,327,169号)記載
のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1810
51号、同58−220143号、同59−41363
号、同59−84248号、同59−84249号、同
59−146063号、同59−146061号に記載
されているピリリウム系化合物、特開昭59−2161
46号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,4
75号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公
平5−13514号、同5−19702号公報に開示さ
れているピリリウム化合物、エポリン社製Epolig
htIII−178、EpolightIII−130、Ep
olightIII−125等も好ましく用いられる。こ
れらの染料の中で、特に好ましい具体例を以下に構造式
で列挙する。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】顔料又は染料は、オーバーコート層全固形
分中の1〜70重量%、好ましくは2〜50重量%、染
料の場合、特に好ましくは2〜30重量%、顔料の場
合、特に好ましくは20〜50重量%の割合である。顔
料又は染料の添加量が上記範囲より少なすぎると感度が
低くなり、また上記範囲より多すぎると層の均一性が失
われ、層の耐久性が悪くなる。
【0022】その他、オーバーコート層には塗布の均一
性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオ
ン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める
割合は、0.05〜5重量%が好ましく、より好ましく
は1〜3重量%である。
【0023】本発明に用いるオーバーコート層の厚みは
0.05μmから4.0μmが好ましく、更に好ましい
範囲は0.1μmから1.0μmである。厚すぎると、
印刷時オーバーコート層を除去するのに時間がかかり、
また多量に溶けだした水溶性樹脂が湿し水に影響を与
え、印刷時ローラストリップが発生したり、インキが画
像部に着肉しない等の悪影響が出てくる。また薄すぎる
と皮膜性が損なわれる場合がある。
【0024】本発明の画像形成層には、熱によりアブレ
ーションを受ける親油性ポリマーが用いられる。好適な
親油性ポリマーとして、例えば、ニトロセルロース、セ
ルロースアセテートブチレート、ポリ酢酸ビニル、塩化
ビニリデン・アクリロニトリルコポリマー、シアノアク
リレートポリマーを挙げることができる。ここでシアノ
アクリレートポリマーとは米国特許5,605,780
号公報記載のシアノアクリレートホモポリマーおよびコ
ポリマーを意味する。特に好ましいポリマーとして、ニ
トロセルロース、シアノアクリレートポリマーを挙げる
ことができる。
【0025】本発明の画像形成層には、感度を高めるた
めに、赤外線を吸収して熱を発生する光熱変換剤を含有
させることができる。親油性の画像形成層に含有させる
光熱変換剤としては、前記の赤外線吸収剤や顔料であっ
ても良いが、親油性の染料や顔料が好ましい。特に好ま
しいものは、カーボンブラックや以下に例示するシアニ
ン染料を挙げることができる。
【0026】
【化3】
【0027】画像形成層への光熱変換剤の含有割合は、
画像形成層の全量の70重量%以下で、好ましくは60
重量%以下である。光熱変換剤の添加量が上記範囲より
多すぎると層の耐久性が低下する。オーバーコート層に
光熱変換剤を含有させる場合は、その含有量に応じて画
像形成層中の光熱変換剤を低含有量にするかあるいは無
添加にすることができる。
【0028】本発明の画像形成層を塗布する溶媒として
は、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、アセトン、メチルエ
チルケトン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸アミ
ル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ピロリド
ン、N−メチルピロリドン、ガンマーブチロラクトン、
乳酸メチル、乳酸エチル、アセトニトリル、ジクロロエ
タン等を用いることができる。これらの溶媒は単独ある
いは混合状態で使用される。
【0029】本発明での画像形成層の塗布乾燥後の厚み
は、0.1〜3μmであることが好ましい。より好まし
くは、0.2〜2μmである。薄すぎると画像形成層の
耐久性が劣り、印刷時の耐刷力が劣る。また厚すぎる
と、画像形成層をアブレーション的に除去するのに多大
なエネルギーを要し、レーザー露光が長時間となり、刷
版作製作業の生産性が低下する。
【0030】本発明に好適に使用される親水性表面を有
する支持体としては、アルミニウム板を挙げることがで
きる。アルミニウム板としては、純アルミニウム板およ
びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金
板であり、更にはアルミニウム薄膜にプラスチックがラ
ミネートされているものである。アルミニウム合金に含
まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネ
シウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンな
どがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以
下である。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板
は、従来より公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜
に利用することができる。
【0031】本発明で用いられる上記の基板の厚みはお
よそ0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm
〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3m
mである。
【0032】アルミニウム板を使用するに先立ちその表
面を粗面化することが好ましい。粗面化により有機高分
子からなるインキ受容層と塗布した場合、基板との接着
性が容易に確保できる。粗面化は先ずアルミニウム基板
表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機
溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行わ
れる。
【0033】アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種
々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化す
る方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および
化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラ
スト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いること
ができる。化学的方法としては、特開昭54−3118
7号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩
の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気
化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含
む電解液中で交流または直流により行う方法がある。ま
た、特開昭54−63902号に開示されているように
混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができ
る。
【0034】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエ
ッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望に
より耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質とし
ては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が
可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理
条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定
し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%
溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれ
ば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.
0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好
ましい。
【0035】本発明で用いられる親水性表面を有する基
板としては、上記のような表面処理され酸化皮膜を有す
る基板をそのまま用いても良いが、さらに親水性の向上
あるいは基板上に塗布される画像形成層との接着性向上
の目的で、酸化皮膜を有する基板に、ケイ酸ナトリウム
などのアルカリケイ酸塩水溶液に浸す処理やポリビニル
ホスホン酸、ポリアクリル酸、スルホン酸基を側鎖に有
するポリマーまたはコポリマーなどの水溶液による下塗
り処理を行った基板も好適である。
【0036】また、本発明で用いられる親水性表面を有
する基板としては、レーザー照射で親水性支持体表面の
親水性が破壊されるのを保護する目的で、表面処理され
た基板上に、特開平8−48018号公報に記載の親水
性保護層を必要により設けてもよい。
【0037】本発明のポジ型感熱性平版印刷用原板は熱
により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等に
よる直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キ
セノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ラン
プ露光などが用いられるが、波長700〜1200nm
の赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固
体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。画像露
光された本発明の印刷用原板はそれ以上の処理なしに印
刷機に装着することができる。インキと湿し水を用いて
印刷を開始すると、オーバーコート層は湿し水との接触
により速やかに溶解除去され、画像形成層の親油性部分
にインキが着肉し印刷が開始される。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】実施例1 (アルミニウム基板の作製)厚み0.24mmのアルミ
ニウム板(材質1050)を、ナイロンブラシと400
メッシュのパミストン水懸濁液を用いてその表面を砂目
立てし、水でよく洗浄した。この板を15重量%水酸化
ナトリウム水溶液に浸してエッチングをした後、水洗し
た。さらに1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝
酸水溶液中で矩形波交番波形電流を用い、160クーロ
ン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。
水洗後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸して
エッチングした後、水洗した。次に30重量%硫酸水溶
液中に浸してデスマットした後、水洗した。さらに、2
0重量%硫酸水溶液中で直流電流を用いて陽極酸化処理
を行い、酸化皮膜量2.7g/m2とし、次いで水洗、
乾燥した。
【0040】(画像形成層の塗布) 上記の表面処理済みのアルミニウム板に、下記の画像形
成層用塗布液Aを塗布し、80℃で3分間乾燥して平版
印刷用原版を得た。乾燥後の塗布量は0.36g/m2
であった。 塗布液A ポリ(メチルー2−シアノアクリレート) (重量平均分子量10万) 1.0g 本明細書記載の染料(IR−24) 1.3g アセトニトリル 44g
【0041】(オーバーコート層の塗布)上記の画像形
成層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液を塗布
し、100℃2分間乾燥させて、乾燥塗布重量約0.6
g/m2のオーバーコート層を有するポジ型感熱性平版
印刷用原板を作製した。 オーバーコート層塗布液(OC−I) ポリアクリル酸(重量平均分子量25,000) 4g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール 0.1g 水 76g
【0042】(露光および印刷評価)得られた平版印刷
用原版を、カナダCREO社製のトレンドセッター(4
0Wの830nm半導体レーザーを搭載プレートセッタ
ー)に取付け、800mJ/cmのエネルギーで露光
した。比較のため、オーバーコート層を塗布する前の原
板を同様に露光した。露光後の両印刷版の版表面を観察
した結果、オーバーコート層のない刷版では、露光部が
アブレーションによりほとんど飛び散っていたが、オー
バーコート層のある刷版では、アブレーションにより飛
び散っていた形跡は少なく、明らかにオーバーコート層
によりアブレーションによる飛散が抑制されたことが分
かった。露光した原板はそのまま何の処理もしないでハ
リスオーレリア印刷機に取付け、エッチ液含有10容量
%イソプロピルアルコール水溶液からなる湿し水とイン
キを用いて印刷した。その結果、汚れのない良好な印刷
物が得られた。
【0043】実施例2 実施例1の画像形成層から本明細書記載の染料(IR−
24)を除いた画像形成層を設けた。次いで、下記組成
(OC−II)のオーバーコート層を乾燥塗布重量0.
6g/m2で塗布して平版印刷用原板を作製した。 オーバーコート層塗布液(OC−II) ポリアクリル酸(重量平均分子量25,000) 4g 本明細書記載の染料(IR−11) 1g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール 0.1g 水 100g
【0044】このようにして作製したポジ型平版印刷用
原板を実施例1と同じプレートセッターで900mJ/
cm2で露光した。露光後の版面観察では、アブレーシ
ョンによる飛散が抑制されていることが分かった。実施
例1と同じ条件の印刷で汚れのない良好な印刷物が得ら
れた。
【0045】実施例3 実施例1で用いた陽極酸化された支持体上に、ポリアク
リル酸(重量平均分子量25万)の0.25重量%メタ
ノール溶液からなる下塗り液を塗布液量10g/m2
塗布し、100℃で60秒間乾燥して乾燥塗布重量25
mg/m2の下塗りを有するアルミニウム基板を作製し
た。この基板上に下記の画像形成層塗布液Bを塗布し、
100℃で60秒間乾燥して、乾燥塗布重量1.0g/
2の画像形成層を有する基板を作製した。 塗布液B ニトロセルロース(30%イソプロパノール溶液) 10.0g ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン 0.4g カーボンブラック 1.2g p―トルエンスルホン酸のジイソプロパノールアミン塩 (33%イソプロパノール溶液) 4.0g メチルエチルケトン 85g
【0046】このように作製した画像形成層の上に、実
施例1と同様にしてオーバーコート層を設けポジ型感熱
性平版印刷用原板を作製した。このポジ型平版印刷用原
板をプレステック社製パールセッターを用い400mJ
/cm2で露光した。露光後の版面観察で、オーバーコ
ート層未塗布の比較版より明らかにアブレーションによ
るカスの飛散が少ないことが分かった。印刷では、汚れ
のない印刷物が得られ、オーバーコート層の有無による
差はなかった。
【0047】実施例4〜6 実施例1のオーバーコート層のアクリル酸に代えて、実
施例4ではポリメタクリル酸ナトリウム(重量平均分子
量15,000)、実施例5ではポリビニルアルコール
(ケン化度88モル%、重合度1000)、実施例6で
はポリアクリルアミド(重量平均分子量10,000)
を用いた。それ以外は実施例1と同様にしてポジ型感熱
性平版印刷用原板を作製した。実施例1と同様に露光、
印刷した。各版とも、露光ではアブレーションによるカ
スの飛散が抑制され、印刷では汚れのない良好な印刷物
が得られれた。
【0048】実施例7〜9 実施例3で作製された画像形成層を有する基板上に、下
記組成のオーバーコート層塗布液(OC−III)を実
施例3と同様に塗布してポジ型感熱性平版印刷用原板を
作製した。ここで、本明細書記載の染料は、実施例7で
は(IR−1)、実施例8では(IR−9)、実施例9
では(IR−11)を用いた。 オーバーコート層塗布液(OC−III) ポリアクリル酸(重量平均分子量25,000) 1g 本明細書記載の染料 0.2g ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテール 0.025g 水 19g 以上のようにして作製した印刷用原板を実施例3と同様
に露光し、印刷したところ、各版とも、露光ではアブレ
ーションによるカスの飛散が抑制され、印刷では汚れの
ない良好な印刷物が得られれた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、汚れ難さなどの印刷性
能を劣化させることなく、レーザー露光による画像形成
層のアブレーションに伴う分解物の飛散を抑え、露光装
置や光学系の汚染が少ない現像不要のポジ型感熱性平版
印刷版用原板を提供できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有する基板上に、インキ受
    容性で熱によりアブレーションされる画像形成層および
    水溶性オーバーコート層をこの順に設けたポジ型感熱性
    平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 水溶性オーバーコート層および/または
    画像形成層に光熱変換剤が含有された請求項1記載のポ
    ジ型感熱性平版印刷用原板。
  3. 【請求項3】 画像形成層に、ニトロセルロース、セル
    ロースアセテートブチレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビ
    ニリデン・アクリロニトリルコポリマーおよびシアノア
    クリレートポリマーから選ばれた少なくとも一つの親油
    性ポリマーが含有された請求項1記載のポジ型感熱性平
    版印刷用原板。
JP34632299A 1999-12-06 1999-12-06 ポジ型感熱性平版印刷用原板 Pending JP2001162963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34632299A JP2001162963A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 ポジ型感熱性平版印刷用原板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34632299A JP2001162963A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 ポジ型感熱性平版印刷用原板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001162963A true JP2001162963A (ja) 2001-06-19

Family

ID=18382632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34632299A Pending JP2001162963A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 ポジ型感熱性平版印刷用原板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001162963A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6838226B2 (en) 2003-05-20 2005-01-04 Eastman Kodak Company Imaging member with microgel protective layer
US6899996B2 (en) 2003-05-20 2005-05-31 Eastman Kodak Company Method of preparing imaging member with microgel protective layer
WO2007007504A1 (ja) 2005-07-08 2007-01-18 Mitsui Chemicals, Inc. 平版印刷用原版

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6838226B2 (en) 2003-05-20 2005-01-04 Eastman Kodak Company Imaging member with microgel protective layer
US6899996B2 (en) 2003-05-20 2005-05-31 Eastman Kodak Company Method of preparing imaging member with microgel protective layer
WO2007007504A1 (ja) 2005-07-08 2007-01-18 Mitsui Chemicals, Inc. 平版印刷用原版

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4778738B2 (ja) ネガ作用性感熱性平版印刷版前駆体の作製方法
JP2001253181A (ja) ポジ型感熱性平版印刷用原板
EP1614539A1 (en) Method for making a lithographic printing plate
EP1614540A1 (en) Method for making a lithographic printing plate
JP2001260553A (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP2001162960A (ja) 感熱性平版印刷版用原板
JP2001183816A (ja) ネガ型感熱性平版印刷用原板
JP3797530B2 (ja) 感熱性平版印刷版用原板
JP2001162963A (ja) ポジ型感熱性平版印刷用原板
JP4048518B2 (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP4127954B2 (ja) 感熱性平版印刷版用原板
JP4127951B2 (ja) 感熱性平版印刷版用原板
JP6012871B2 (ja) 平版印刷版原版及びその製版方法
JP4127953B2 (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP4806222B2 (ja) 平版印刷版の製造方法
JP2003118248A (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP4116759B2 (ja) 平版印刷方法
JP2003039842A (ja) 平版印刷用原板
JP2001253180A (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP2002029166A (ja) 感熱性平版印刷版原版及び画像形成方法
JP4116760B2 (ja) 平版印刷方法
JP2002086950A (ja) 感熱性平版印刷用原板
JP2002029167A (ja) 平版印刷版原版及び画像形成方法
JP2002283758A (ja) 平版印刷版用原版
JP2001083692A (ja) 感熱性平版印刷版用原板