JP4125887B2 - アクリル系粘着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水分散型のアクリル系粘着剤組成物を少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けた、アクリル系粘着シート(テープ、シート、フィルムなどの形状を含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】
水分散型のアクリル系粘着剤を用いた粘着シートは、溶剤を用いないため、環境衛生上望ましく、耐溶剤性の点でも優れるなどの利点を有している。一般に、この粘着シートは、粘着剤層の保持力等に影響を及ぼす溶剤不溶分を調整するため、アクリル系モノマーを主成分とする単量体混合物の重合終了後に架橋剤を添加して粘着剤組成物を調製し、これを基材上に塗布することにより製造している。しかし、このようにして得られた粘着シートでは、粘着剤層を構成する粘着剤の溶剤不溶分及び該粘着剤の溶剤可溶分の分子量が経時的に変化し、それに伴って端末剥がれ性(被着体貼付後において端部が剥がれにくい性質)も変化するという問題があった。また、溶剤型の粘着剤を用いた粘着シートと比較した場合、上記の水分散型粘着剤を用いた粘着シートは端末剥がれ性と保持性の2つの性能を両立することが困難であるという欠点を有していた。
【0003】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討し、水分散型(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物において、シラン系単量体と必要に応じて連鎖移動剤を添加して重合すると、溶剤不溶分、溶剤可溶分の分子量及び端末剥がれ性の経時安定性が良好な粘着剤組成物が得られることを見出した。また、特に、ポリマーとした時の溶剤不溶分が特定値以下となるような(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物に対しシラン系単量体を特定の割合で添加して共重合させると、水分散型粘着剤であっても、優れた端末剥がれ性と高い保持性とを両立できることを見出した(特開2001−131511号公報)。
【0004】
このような優れた効果が奏される理由は必ずしも明確ではないが、シラン系単量体が有するケイ素原子含有基の縮合反応が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物との共重合時(乳化重合時)よりもむしろ粘着剤組成物を基材等に塗布した後の乾燥工程で主に起こるため、共重合工程では溶剤不溶分が過剰に生成することがなく、それ故優れた保持性が発現するとともに、乾燥後には水が介在しないため加水分解が起こらず、縮合反応が進行しないことから、構造及び物性が変化しにくく、よって良好な経時安定性が得られるものと推察された。
【0005】
また、特に、シラン系単量体を含まない組成で重合した場合の重合終了時の溶剤不溶分が5%以下となるような単量体混合物にシラン系単量体を共重合する場合には、熱架橋時において、水分散型粘着剤の粒子の内部と外側が均一に架橋されるため、端末剥がれ性と保持性能とを高いレベルで両立できるものと推測された。
【0006】
しかしながら、シリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーや背面処理層を設け、これらに粘着剤層が接する構成の粘着シートを作製した場合、経時で剥離部が重剥離化する場合があり、更なる改良が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物とシラン系単量体を共重合させて得られる水分散型粘着剤を、少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けたアクリル系粘着シートにおいて、シリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーや背面処理層に対する剥離力の上昇の少ない水分散型のアクリル系粘着シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、水分散型の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物とシラン系単量体とを共重合して得られた重合体からなる水分散型のアクリル系粘着剤を用いた場合、シリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーや背面処理層に対する剥離力が上昇するのは、重合体中に残存するシラノ−ル基が剥離剤層表面の活性基と反応するためと推測された。そして粘着剤層中に残存するアンモニアがこの反応の触媒として機能するため、アンモニアの残存量を特定値以下に減少させることにより、重剥離化現象を防ぐことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物を、少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けたアクリル系粘着シートであって、粘着剤層中の残存アンモニア量が粘着剤1gあたり400μg以下であり、粘着剤層がシリコーン系剥離処理剤を塗布した剥離ライナーあるいはシリコーン系剥離処理剤からなる背面処理層に接する構成であることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。
【0010】
上記水分散型アクリル系粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含まない組成で重合した場合に溶剤不溶分が5%以下となる樹脂組成物が得られる単量体混合物と、該単量体混合物100重量部に対して0.005〜1重量部のシラン系単量体とを前記と同一条件下で共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物であってもよい。
【0011】
また本発明においては、上記水分散型アクリル系粘着剤組成物が、重合体100重量部あたりシラン系単量体と結合しうる有機化合物0.005〜1重量部を含む水分散型アクリル系粘着剤組成物であってもよい。
【0012】
また本発明は、特に上記シリコーン系剥離処理剤中にさらに剥離コントロールレジンが5重量%以下含まれていることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。
【0013】
なお本発明において「残存アンモニア量」とは、粘着シートから所定量(約0.15g)の粘着剤試料を精秤し、純水に浸漬させ120℃×1時間の煮沸抽出を行ない、その抽出液中のアンモニウムイオン(NH4+)量をイオンクロマトグラフを用いて定量したものである。
【0014】
また「溶剤不溶分」とは、所定量(約0.5g)の試料を精秤し(そのうち不揮発分の重量をW1mgとする)、これを酢酸エチル中に室温で3日間浸漬した後、不溶物を取り出し、この不溶物を100℃で2時間乾燥させて重量(W2mg)を測定し、下記式
溶剤不溶分(重量%)=(W2/W1)×100
に従って算出したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物を、少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けたアクリル系粘着シートであって、粘着剤層中の残存アンモニア量が粘着剤1gあたり400μg以下、好ましくは350μg以下、更に好ましくは300μg以下であることを特徴とするアクリル系粘着シートを提供する。アンモニアの残存量を粘着剤1gあたり400μgより多くすると、アンモニアが重合体中に残存するシラノ−ル基と剥離剤層表面の活性基との反応の触媒として機能するため、重剥離化現象を効果的に防ぐことができない。
【0016】
以下、本発明のアクリル系粘着シートの実例を図面にもとづいて説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0017】
図1は、基材フィルムの両面に粘着剤層を有するアクリル系粘着シートの一例を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1において、1は粘着剤層を、2は基材を、3は剥離ライナーをそれぞれ示している。これは図示するように巻回されることが好ましいが、そのまま保管することもできる。また剥離ライナー3上に粘着剤層1を形成した後、基材2と貼り合せることもできる。また剥離ライナー3上に粘着剤層1を形成しそのまま巻回することで、基材を含まない、いわゆる基材レスの両面粘着シートとすることもできる。
【0019】
本発明において基材2としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルム類;和紙やクラフト紙などの紙類;綿布やスフ布などの布類;ポリエステル不織布やビニロン不織布などの不織布類;金属箔などを使用できる。前記プラスチックフィルムは、無延伸フィルム及び延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムの何れであってもよい。また、基材のうち粘着剤を塗布する面には、通常使用される下塗剤やコロナ放電方式などによる表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは、目的に応じて適宜選択できるが、一般には10〜500μm程度である。
【0020】
本発明において、粘着剤層1は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物を、少なくとも基材の片面に設けたものであって、粘着剤層中の残存アンモニア量が粘着剤1gあたり400μg以下であることを特徴とする。特に上記水分散型アクリル系粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含まない組成で重合した場合に溶剤不溶分が5%以下となる樹脂組成物が得られる単量体混合物と、該単量体混合物100重量部に対して0.005〜1重量部のシラン系単量体とを前記と同一条件下で共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物であり、さらに本発明においては、上記水分散型アクリル系粘着剤組成物が、重合体100重量部あたりシラン系単量体と結合しうる有機化合物0.005〜1重量部を含む水分散型アクリル系粘着剤組成物であってもよい。
【0021】
図1において、粘着剤層1は基材2の両面とも同じ水分散型アクリル系粘着剤組成物により粘着剤層を設けてよいが、その用途に応じて異なる水分散型アクリル系粘着剤組成物を設けることもできる。
【0022】
以下、本発明の粘着剤層について詳述する。
【0023】
粘着剤層1は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物より構成される。
【0024】
本発明において主構成単量体として用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、一般式(1)
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基を示す)
で表される化合物が挙げられる。
【0025】
前記R2として、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などが例示できる。なかでも、R2として、ブチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数2〜10のアルキル基が好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独でまたは2種以上混合して使用できる。例えば、アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸ブチル単独、又はアクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとを組み合わせて使用できる。この場合、アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸ブチルとの割合は、前者/後者=0/100〜55/45(例えば、5/95〜60/40)程度である。
【0026】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物中の該(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、上記(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル]の比率は、一般に80重量%以上(例えば80〜99.8重量%程度)、好ましくは85重量%以上(例えば85〜99.5重量%程度)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば90〜99重量%程度)である。
【0027】
前記単量体混合物は、熱架橋するための架橋点を導入するため、通常、官能基含有単量体(熱架橋性官能基含有単量体)を含んでいる。該官能基含有単量体をコモノマー成分として用いることにより被着体に対する接着力も向上する。
【0028】
前記官能基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその酸無水物;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基含有単量体又はその酸無水物などが好ましい。上記の官能基含有単量体は1種または2種以上使用することができる。
【0029】
また特に重剥離化現象を抑制するためには、メタクリル酸を使用することが好ましい。メタクリル酸を共重合した重合体を用いた場合に更に剥離力の上昇が少なくなるのは、水分散液中においてメタクリル酸はアクリル酸より疎水性が高く、微粒子の内部まで分布するため、重合体内部に取り込まれたシラン系単量体の加水分解を促進したためと推測される。
【0030】
上記官能基含有単量体の使用量は、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば0.5〜12重量部、好ましくは1〜8重量部程度である。
【0031】
また、前記単量体混合物には、凝集力等の特性を高めるため、必要に応じて、その他の共重合性単量体が含まれていてもよい。このような共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらの共重合性単量体も1種または2種以上使用できる。
【0032】
本発明において、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合されるシラン系単量体としては、ケイ素原子を有する重合性化合物であれば特に限定されないが、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対する共重合性に優れている点で(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン誘導体などの(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物が好ましい。シラン系単量体としては、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。これらのシラン系単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0033】
また、上記以外に、共重合可能なシラン系単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなども使用できる。
【0034】
これらのシラン系単量体の中でも、重剥離化現象を抑制するために、シラン系単量体のSi−OR基のRがメチル基であるメトキシシラン系単量体を用いることが好ましい。メトキシシラン系単量体を使用した場合、メトキシシラン系単量体は加水分解速度が速く重合中に大部分のメトキシ基がシラノ−ル基に加水分解されるため、乾燥時に重合体に取り込まれたシラン系単量体の大部分が架橋に消費されることで、経時保存時に剥離層と反応し得るシラン系単量体が減少するためと推測される。
【0035】
メトキシシラン系単量体としては、例えば3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシランなどを挙げることが出来る。
【0036】
シラン系単量体の量は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの種類や用途などに応じて適宜選択できるが、シラン系単量体の共重合量が、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物(シラン系単量体を除く)100重量部に対して、1重量部を超えると接着できない程度まで粘着力が低下する場合があり、また0.005重量部未満ではポリマー強度の不足で凝集力が低下しやすくなる。従って、本発明では、前記単量体混合物(シラン系単量体を除く)100重量部に対するシラン系単量体の量は、0.005〜1重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲である。
【0037】
本発明において、水分散型アクリル系粘着剤組成物を構成する重合体は、例えば、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし且つシラン系単量体を含む単量体混合物を慣用の乳化重合に付して、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水分散液として調製できる。
【0038】
重合方法としては、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合などを採用でき、重合温度は、例えば20〜100℃程度である。
【0039】
重合に用いる重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせなどのレドックス系開始剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。重合開始剤の使用量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、例えば0.005〜1重量部程度である。
【0040】
また、重合には連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、慣用の連鎖移動剤、例えば、ドデカンチオール等のメルカプタン類等が例示できる。連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、例えば0.001〜0.5重量部程度である。
【0041】
また、乳化剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤などを使用できる。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤の使用量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、例えば0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部程度である。
【0042】
なお、水分散型粘着剤組成物は、上記方法のほか、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体を乳化重合以外の方法で得た後、乳化剤により水に分散させて調製してもよい
【0043】
本発明において用いられる水分散型粘着剤組成物には、重剥離化現象を抑制するために前記シラン系単量体を含む(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水分散液に、シラン系単量体と結合しうる有機化合物を添加することが好ましい。後添加するシラン系単量体と結合しうる有機化合物が、剥離層表面に残存する官能基と積極的に反応し、重合体と剥離処理層との反応を抑制するためと推察される。本発明において用いられるシラン系単量体と結合しうる有機化合物は、シラン系単量体のSi−OR基(Rはメチル、エチルなどのアルキル基)が加水分解して生じるSi−OH基と反応し結合しうる活性基(例えば水酸基やカルボキシル基)を有するものであれば特に限定されないが、シラン系単量体との反応性が良好であるシラン化合物が望ましい。
【0044】
本発明において用いられるシラン化合物は、分子内にSi−H基やSi−OH基およびSi−OR基(Rはメチル、エチルなどのアルキル基)を有する化合物であって、例えばメチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノールなどを挙げることができる。
【0045】
本発明においてシラン化合物は、重合体と反応する官能基を持たないほうが好ましいが、著しく反応しない官能基であれば差し支えない。このような官能基を有するシラン化合物としては、例えば3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリル酸系シラン化合物や、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
シラン系単量体と結合しうる有機化合物の量は前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合体100重量部に対して、0.005重量部未満では重剥離化を防止できない場合がある。また1重量部を超えると凝集力が低下したり、被着体への汚染が生じる場合があり、さらに多官能のシラン系単量体と結合しうる有機化合物を用いる場合は、逆に剥離が重くなる場合がある。これは未反応の有機化合物が存在すると架橋剤として機能するためと推定される。従って、本発明では、前記高分子100重量部に対するシラン系単量体と結合しうる有機化合物の量は、0.005〜1重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲である。
【0047】
本発明では、粘着剤の用途に応じて架橋剤を用いることができる。前記架橋剤としては、通常用いる架橋剤を使用することができ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、油溶性及び水溶性の何れであってもよい。
【0048】
また本発明では、粘着剤の用途に応じて粘着付与成分を混合することもできる。粘着付与成分としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、およびエラストマーなどを挙げることができる。
【0049】
また本発明において用いられる水分散型アクリル系粘着剤組成物は、粒子を安定化するため通常アンモニアのような塩基を用いてそのpHを7〜9に調整する。この場合pHを高くしすぎると加えるアンモニア量が増加するため、残存アンモニア量も増加することになり、重剥離化が進行する恐れがある。このため水分散型アクリル系粘着剤組成物のpHは8未満とすることが望ましい。
【0050】
本発明において用いられる水分散型粘着剤組成物は、その他、必要に応じて粘着剤に通常使用される添加剤、例えば、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤などが添加されていてもよい。
【0051】
本発明において用いられる水分散型粘着剤組成物において、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし且つシラン系単量体を含まない組成で重合した場合に溶剤不溶分が5%以下となる樹脂組成物が得られる単量体混合物と、該単量体混合物100重量部に対して0.005〜1重量部のシラン系単量体とを、前記シラン系単量体を含まない組成で重合した場合と同一条件下で重合して得られる共重合体を含有する水分散型粘着剤組成物では、水分散型であるにもかかわらず、優れた端末剥がれ性と高い保持性とを両立させることが可能である。
【0052】
上記の「同一条件下」とは、シラン系単量体の有無を除く他の重合条件、例えば、反応温度、反応時間、重合開始剤の種類及び使用量、連鎖移動剤の種類及び使用量等が同一であることを意味する。
【0053】
なお、シラン系単量体を含まない組成で重合した場合に溶剤不溶分が5%を超える樹脂組成物が得られる単量体混合物とシラン系単量体とを重合に付す場合には、端末剥がれ性が低下しやすい。
【0054】
以上のように調整される水分散型アクリル系粘着剤組成物は、少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けることにより本発明のアクリル系粘着シートを構成する。特に本発明のアクリル系粘着シートは、上記粘着剤層がシリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーあるいはシリコーン系剥離剤からなる背面処理層に接することを特徴とするアクリル系粘着シートである。
【0055】
粘着剤層1は上記水分散型粘着剤組成物を慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて基材1に塗布することで行うことができる。前記水分散型粘着剤組成物は、乾燥後の粘着剤層の厚みが、例えば10〜100μm程度となるように塗布される。
【0056】
塗布された前記水分散型粘着剤組成物は、加熱により乾燥し同時に熱架橋され粘着剤層1を形成する。加熱乾燥は、熱風や赤外線による慣用の方法により行うことができ、シラン系単量体や架橋剤の種類に応じて架橋反応が進行する温度にまで加熱することにより行われる。この際、乾燥条件を可能な限り強化することで、粘着剤組成物中のアンモニアを飛散させることができ、粘着剤層中の残存アンモニア量を低減することができる。乾燥条件を強化する手段は、例えば乾燥温度を高くする、乾燥時間を長くする、風量を多くするなどの方法を選択することができる。本発明の水分散型アクリル系粘着剤組成物において、乾燥後の粘着剤層の厚みを10〜100μm程度とする場合、通常乾燥および熱架橋のためには熱風温度100℃、熱風の風量は10m/sで2分間乾燥すれば目的は達せられる。これに対して、粘着剤層中の残存アンモニア量が粘着剤1gあたり400μg/g以下であることを特徴とする本発明のアクリル系粘着シートを得るためには、熱風温度は120℃以上、熱風の風量は10m/s以上、乾燥時間は3分以上とすることが好ましい。
【0057】
熱架橋後の粘着剤層の溶剤不溶分は、例えば15〜70重量%程度である。また、架橋後の粘着剤層の溶剤可溶部の分子量(重量平均分子量;標準ポリスチレン換算)は、例えば10万〜60万程度、好ましくは20万〜45万程度である。架橋後の粘着剤層の溶剤不溶分や溶剤可溶部の分子量は、例えば、単量体混合物総量に対する前記シラン系単量体又は官能基含有単量体の割合、連鎖移動剤や架橋剤の種類や量、特にシラン系単量体と連鎖移動剤の量を適宜調整することにより任意に設定することができる。
【0058】
本発明において剥離ライナー3は、薄葉基材の片面あるいは両面に適宜な剥離処理剤からなる剥離層を設けたものであって、従来から用いられてきたものが使用される。その厚さは特に限定されないが、好ましくは15μm以上、さらに好ましくは25〜500μmである。
【0059】
本発明において剥離処理剤としてシリコーン系剥離処理剤を用いる場合、一般に剥離力を調整するために添加される剥離コントロールレジン(例えば信越化学工業(株)社製『MQ型シリコーンレジン』)が含まれると、重剥離化現象が著しくなる場合があり好ましくない。このため剥離コントロールレジンの配合量は、シリコーン系剥離処理剤全体の5重量%以下であることが望ましい。
【0060】
図2は、本発明の粘着シートの別の一例を模式的に示す断面図であって、基材2の片面に粘着剤層1が設けられ、これに剥離ライナー3が貼り合わされている構成を示している。これは図示するように巻回されることが好ましいが、そのまま保管することもできる。
【0061】
図3は本発明の粘着シートの別の一例を模式的に示す断面図であって、背面処理層4を設けた基材2に粘着剤層1を付設した構成を示している。これは図示するように、背面処理層4に粘着剤層1が接するように巻回され、保管される。
【0062】
本発明において背面処理層4は、シリコーン系背面処理剤を従来周知の方法によって基材1に設けたものを用いることができる。
【0063】
本発明の粘着シートは、水分散型の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合物とシラン系単量体とを共重合して得られた重合体からなる水分散型のアクリル系粘着剤を用いるにもかかわらず、シリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーや背面処理層に対して経時での剥離力の上昇の少ない粘着シートを得ることができる。剥離ライナーからの剥離力は高くなりすぎると作業性が悪くなるため、その使用時において好ましくは1.1N/50mm以下、更に好ましくは0.2〜0.7N/50mmである。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、水分散型のアクリル系粘着剤を用いるので環境衛生上望ましく、溶剤不溶分、溶剤可溶部の分子量及び端末剥がれ性の経時安定性に優れ、特にポリマーとした時の溶剤不溶分が特定値以下となるような単量体混合物に対してシラン系単量体を特定の割合で共重合させた場合に、極めて優れた端末剥がれ性と保持性とが発現する水分散型粘着剤組成物において、シリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナーや背面処理層に対して経時での剥離力の上昇を改善することができ、さらに実用性の高い粘着シートを得ることができる。
【0065】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
【0066】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器を用い、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸2−エチルヘキシル10部、アクリル酸4部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン株式会社製『KBE−503』)(シラン系単量体)0.06部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.05部、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(開始剤)0.1部を、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.5部を添加した水100部に加えて乳化重合して重合体を得た。なお、シラン系単量体を混合しない組成で同様にして重合した場合の重合終了時の重合体の溶剤不溶分は0%であった。
これに10%アンモニウム水を添加してpH7に調整して水分散液を得た。これに固形分100部に対し粘着付与剤としてロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製『スーパーエステルE−100』)を固形分で30部加え、水分散型アクリル系粘着剤組成物を得た。
【0067】
これをシリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナー(カイト化学工業株式会社製『SLB−80W5D』)の重剥離面に塗工し、120℃、10m/分の熱風で3分乾燥して厚さ50μmの粘着剤層を設けて粘着シートを作製した。この時の粘着シートに含まれる残存アンモニア量は、粘着剤1gあたり300μgであった。
【0068】
実施例2
実施例1の水分散型アクリル系粘着剤組成物において、重合体100重量部に対してシラン化合物として3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン株式会社製『KBE−503』)を0.06部添加したこの時の粘着シートに含まれる残存アンモニア量は、粘着剤1gあたり300μgであった。
【0069】
比較例1
水分散液をpH8に調整した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この時の粘着シートに含まれる残存アンモニア量は、粘着剤1gあたり500μgであった。
【0070】
比較例2
塗工後、100℃、10m/分の熱風で2分乾燥した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この時の粘着シートに含まれる残存アンモニア量は、粘着剤1gあたり1500μgであった。
【0071】
比較例3
水分散液をpH8に調整し、塗工後、100℃、10m/分の熱風で2分乾燥した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。この時の粘着シートに含まれる残存アンモニア量は、粘着剤1gあたり1800μgであった。
【0072】
以上の実施例および比較例で得た粘着シートについて次の特性を調べた。結果を表1に示した。
【0073】
(剥離力)
実施例および比較例で得た粘着シートについて、初期および70℃保存での剥離ライナーの剥離力を調べた。剥離力の測定は以下の手順で行った。実施例および比較例で作製した粘着シートに厚さ40μmのPETフィルムに貼り合わせ、これを幅50mm、長さ150mmに切断し評価用サンプルとした。PETフィルム側を両面テープによって塗装板に貼り合わせ、剥離ライナーを剥離するのに要する力を測定した。測定条件は、ミネベア株式会社製万能引張試験機『TCM−1kNB』を用い、180度ピール、剥離速度300mm/分、23℃、60%RH雰囲気中で行った。
【0074】
(端末剥がれ性試験)
実施例および比較例で作製した粘着シートを、厚さ0.5mmのアルミニウム板(面積:10mm×100mm)に貼り付けた後、前記剥離ライナーを剥がし、露出した粘着剤層面を直径50mmの円筒状のアクリルの丸棒の側面に貼り合わせた。これを70℃の雰囲気下に2時間置き、その時のアルミニウム板の端部の剥がれた高さを測定した。
【0075】
(保持力試験)
実施例および比較例で作製した粘着シートをフェノール樹脂板に対し10mm×20mmの接触面積で貼り付け、20分経過後80℃に20分放置した後、フェノール樹脂板を垂下し、粘着テープの自由端に600gの均一荷重を負荷して、80℃での粘着シートの落下時間を測定した。
【0076】
【表1】
Figure 0004125887
【0077】
表1より明らかなように、粘着剤層に含まれる残存アンモニア量が、粘着剤1gあたり400μgより多い比較例では、剥離ライナーへの剥離力が初期から高く、経時でも増大し、重剥離化現象が顕著に見られた。これに対し実施例では、良好な端末剥がれ性や保持性は保たれたまま剥離力の上昇は低減されており、実用性の高い粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粘着シートの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】 本発明の粘着シートの別の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】 本発明の粘着シートの別の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1: 粘着剤層
2: 基材
3: 剥離ライナー
4: 背面処理層

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体からなる水分散型アクリル系粘着剤組成物を、少なくとも基材の片面に粘着剤層として設けたアクリル系粘着シートであって、粘着剤層中の残存アンモニア量が粘着剤1gあたり400μg以下であり、粘着剤層がシリコーン系剥離処理剤を塗布した剥離ライナーあるいはシリコーン系剥離処理剤からなる背面処理層に接する構成であることを特徴とするアクリル系粘着シート。
  2. 水分散型アクリル系粘着剤組成物が(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、且つシラン系単量体を含まない組成で重合した場合に溶剤不溶分が5%以下となる樹脂組成物が得られる単量体混合物と、該単量体混合物100重量部に対して0.005〜1重量部のシラン系単量体とを前記と同一条件下で共重合して得られる重合体からなることを特徴とする、請求項1記載のアクリル系粘着シート。
  3. 水分散型アクリル系粘着剤組成物が、重合体100重量部あたりシラン系単量体と結合しうる有機化合物0.005〜1重量部を含む水分散型粘着剤組成物であることを特徴とする、請求項1または2記載のアクリル系粘着シート。
  4. シリコーン系剥離処理剤中にさらに剥離コントロールレジンが5重量%以下含まれていることを特徴とする請求項記載のアクリル系粘着シート。
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