JP4118089B2 - 接着性ポリイミド樹脂組成物及びそれを用いたフィルム状接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体分野で有用な、特定構造の接着性ポリイミド樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなり半導体素子を支持体に接着するのに好適なフィルム状接着剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年半導体素子を支持体に接着するのにダイアタッチフィルムと呼ばれるフィルム状接着剤が使われている。このフィルム状接着剤は、従来のペースト接着剤に比べ、厚みやはみ出しの制御性に優れているため、チップサイズパッケージ、スタックパッケージ、システムインパッケージなどの実装面積が小さい(高密度実装)半導体パッケージにおいて多く利用されている。
【0003】
これらの高密度実装においてはチップの薄型化が進んでおり、100μm以下の厚みのウエハにダイアタッチフィルムを貼り付ける工程は、ウエハ破損を防ぐため薄削り時の表面保護テープをつけた状態で実施される。しかし、ウエハの表面保護層(ポリイミドなどのバッファーコート膜など)や薄削り時の表面保護テープは、この貼り付け工程における加熱により変質し、ウエハに反りを生じ、ウエハのカートリッジへの収納、搬送などに不具合を生じることがあった。従って、より低温で接着できるダイアタッチフィルムが求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温接着性、耐熱性、低吸湿性に優れる接着性ポリイミド樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる半導体素子を支持体に接着するのに好適なフィルム状接着剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の(I)〜(IV)に記載の内容を包含する。
【0006】
(I)テトラカルボン酸二無水物と、下記式(1)で表されるジアミンおよび下記一般式
(2)で表されるジアミンを必須成分として含むジアミン成分とを反応させて得られる接着性ポリイミド樹脂
【化4】
【0007】
【化5】
(式(2)中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を、nは0〜20の整数を表わす。)
【0008】
(II)前記式(1)のジアミンが下記式(3)で表されるジアミンである(I)に記載の接着性ポリイミド樹脂
【化6】
【0009】
(III)前記テトラカルボン酸二無水物が、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた1種類以上のテトラカルボン酸二無水物である(I)ないし(II)に記載の接着性ポリイミド樹脂
【0010】
(IV)テトラカルボン酸二無水物aモルを酸成分とし、式(1)で表されるジアミンbモルと、式(2)で表されるジアミンcモルと、他のジアミンdモルとをアミン成分とし、a、b、c、dのモル比が、0.9≦a/(b+c+d)≦1.1、かつ0.01≦b/(b+c+d)≦0.99、0.01≦c/(b+c+d)≦0.99となるような割合で両成分を反応させて得られる(I)ないし(III)のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂
【0011】
(V)前記接着性ポリイミド樹脂が、ほぼ完全にイミド化された前記(I)ないし(IV)のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂。
(VI)テトラカルボン酸二無水物と、前記式(1)で表されるジアミンおよび前記一般式(2)で表されるジアミンを必須成分として含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂を含有する接着性ポリイミド樹脂組成物。
VII)(I)〜()のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂を主たる成分とするフィルム状接着剤。
(VIII)(VI)に記載の接着性ポリイミド樹脂組成物を用いたフィルム状接着剤。
(IX)前記接着性ポリイミド樹脂が、ほぼ完全にイミド化された(VIII)に記載のフィルム状接着剤。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、テトラカルボン酸二無水物と、前記式(1)で表されるジアミンおよび前記一般式(2)で表されるジアミンを必須成分として含むジアミン成分とを反応させて得られる接着性ポリイミド樹脂について詳細に説明する。
【0013】
前記式(1)で表される芳香族系ジアミンの各芳香環への結合位置は、特に限定されないが、合成されてなるポリイミドのガラス転移温度(Tg)を低くでき、低温接着性が改善できる点で、前記式(3)で表されるジアミンが好ましい。
【0014】
また、前記一般式(2)で表されるシリコーン系ジアミンにおいて、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基であり、具体的には炭素数3の脂肪族基や−Bz−O−(CH2)4−(Bzはベンゼン環)構造が挙げられる。これらのなかでも市販量産されており入手が容易な点で、炭素数3の脂肪族基が好ましい。
【0015】
式(1)で表されるジアミンは、芳香族ジアミンとしてはアミン間距離が長いため、イミド基密度を減じることができ、低吸湿性に効果がある。また、低温接着を可能とするためには低Tgが必要要件となるのだが、式(3)は柔軟な分子構造により、ポリイミド樹脂の低Tg化にも特に効果がある。
【0016】
式(2)で表されるシリコーン系ジアミンもポリイミド樹脂を低Tg化するのに有効である。特にn=0〜10のものが接着性の点から好ましい。また、部分構造としては、R1、R6が芳香族基であるものが耐熱性、反応性という観点でより好ましいが、市販の炭素数3の脂肪族基構造のものでも耐熱性は発揮される。R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基であり、具体的にはメチル基、フェニル基が挙げられる。これらのなかでもフェニル基は芳香族系の熱硬化性樹脂との相溶性の点で好ましいが、近年環境ホルモンの関係で問題が指摘されている面もあるため、一般的なメチル基が好ましい。
【0017】
上記芳香族系ジアミンとシリコーン系ジアミンを含むジアミン成分中のシリコーン系ジアミンの割合は、全ジアミン中1〜90mol%であることが好ましい。特に低温接着性を重視する点で、20〜90mol%がさらに好ましい。芳香族系ジアミンの割合は99〜10mol%であることが好ましい。
【0018】
本発明のポリイミド系樹脂組成物は、前記ジアミンの混合物にテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる。本発明で用いるテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等が挙げられる。これらは、1種類単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
これらのなかでも4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた1種類以上のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0020】
特に耐熱性架橋構造を構築するためには、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が有効であり、望ましくは酸無水物中10〜100モル%の範囲にあるとよい。低温接着性を可能にするためにはTgを接着温度より十分低くする必要があり、その面で4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物などは優れている。
【0021】
本発明においては、前記ジアミンに加えて、必要に応じ、本発明の目的を損ねない範囲で他のジアミンを添加してもよい。
他のジアミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン;
【0022】
o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフエノキシ)フエニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、o−トリジンスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン等の芳香族系ジアミンを挙げることができる。
【0023】
重縮合反応における酸成分とアミン成分の当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する重要な因子である。ポリマーの分子量と物性、特に数平均分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れている。従って、実用的に優れた強度を得るためには、ある程度高分子量であることが必要である。本発明では、テトラカルボン酸二無水物aモルを酸成分とし、式(1)で表されるジアミンbモルと、式(2)で表されるジアミンcモルと、他のジアミンdモルとをアミン成分とし、a、b、c、dのモル比が、0.9≦a/(b+c+d)≦1.1、より好ましくは0.975≦a/(b+c+d)≦1.06の範囲にあることが好ましい(a/(b+c+d)を当量比と言うことがある。)。当量比が0.9未満では、分子量が低く脆くなる傾向があるため、接着力が弱くなることがある。また当量比が1.1を越えると、未反応のカルボン酸が加熱時に脱炭酸してガスが発生する傾向が見られ、発泡の原因となり好ましくないことがある。
【0024】
また、ジアミン成分は、式(1)で表されるジアミンをbモル、式(2)で表されるジアミンをcモル、他のジアミンをdモルとしたとき、b、c、dのモル比が、0.01≦b/(b+c+d)≦0.99、0.01≦c/(b+c+d)≦0.99となるような割合で反応させることが好ましい。
【0025】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われる。非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライム、トリグライム、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサンなどがあげられる。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0026】
この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。非極性溶媒としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶媒中における非極性溶媒の割合は、30質量%以下であることが好ましい。これは非極性溶媒が30重量%を超えると、溶媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れがあるためである。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、良く乾燥したジアミン成分を脱水精製した前記反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好ましくは99%以上の良く乾燥したテトラカルボン酸二無水物を添加して反応を進める。
【0027】
反応を進め、得られたポリアミック酸ワニスの流延成形は、フローコーター、ロールコーターなどの塗布設備と熱風乾燥炉を組み合わせた装置などを用いることができる。ポリアミック酸ワニスを支持体に塗工後、熱風乾燥炉に導きワニスの溶剤を揮散させ、イミド化を進めるのに十分な温度と風量でもって乾燥する。フィルム単体として使用する場合は、支持体より剥離し、支持体を一体で使用する場合は、支持体の片面又は両面に付けたまま使用する。本発明のフィルム接着剤の使用方法は特に限定されるものではないが、加熱した半導体ウエハ裏面にロール圧着し、ダイシング工程を経て接着剤付きチップを得、これをチップ支持体(リードフレーム、リジッド基板、フレキシブル基板、チップを積層する場合はチップやスペーサなど)に接着するなど、フィルム状接着剤として使用することができる。
【0028】
本発明のフィルム接着剤は、特定構造のほぼ完全にイミド化されたポリイミド樹脂を主たる構成成分とすることを特徴とする。
また、低温接着性、低吸水性と耐熱性に優れる。フィルム状に加工することにより、接着作業性、接着部の寸法精度を優れたものにすることができる。以下実施例で本発明を詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
(合成例1)
温度計、攪拌機を備えた300mlの四つ口フラスコに、APB5(前記式(3)のジアミン)10.86g、シリコーン系ジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)、平均分子量906)30.97g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)84g、テトラヒドロフラン(THF)56gをとり、窒素フロー下、温水で加温しで攪拌し、ジアミンを溶解させた。フラスコを氷浴中で冷却しながら、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)18.17gを少量ずつ添加した。氷水温で4時間反応させ、ポリアミック酸ワニスを得た。
【0030】
(合成例2)
表1の配合に変更した以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸ワニスを得た。
表1中の酸無水物、ジアミンの数字は、それぞれにおけるモル比を表す。BTDAは3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を、APBは1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを示す。
【0031】
【表1】
【0032】
このようにして得たポリアミック酸ワニスを、乾燥フィルム厚さが25μmになるようにテフロン(登録商標)をコートしたカプトンフィルム上に塗布し、80℃で10分間、続いて180℃で15分間加熱乾燥し、フィルム状接着剤を得た。フィルム状接着剤はテフロン(登録商標)コートカプトンフィルムより容易に剥離でき、単層フィルムとして扱えた。このフィルムの物性を測定し、合成例1で得られたフィルムについては実施例1とし、合成例2で得られたフィルムについては比較例1として示す。
【0033】
得られたフィルム状接着剤の接着強度を試験した。フィルム状接着剤を5×5mmの大きさに切断し、これを5×5mmのシリコンチップ鏡面に110℃で空気を巻き込まないように接着し、180℃で1分間加熱した。接着剤つきチップをシリコン鏡面に乗せ、10kgの荷重をかけて、200℃、30秒間圧着させたのち、180℃、3hr無加重で加熱してせん断試験片とした。せん断接着力はプッシュプルゲージを用いて、室温及び260℃加熱30秒後の熱時に測定した。結果を表2に示した。
【0034】
また、フィルム状接着剤(25μm厚)を25枚重ねて50mm×50mm×0.5mmの枠にセットし、直径6cmシリンダーのプレスで20〜40kgf/cm2、100℃の条件でプレスし、50mm×50mm×0.5mmの試験片を作成した。この試験片を125℃で5時間乾燥後、乾燥重量を測定し、85℃、85%RHで1週間吸湿させ、恒温恒湿槽から取り出した直後に蒸留水に投入して冷却後、水をふき取って吸湿重量を測定し吸湿率を測定した。結果を表2に示した。
また、フィルム状接着剤のガラス転移温度(Tg)を、TMA装置を用いて測定した。結果を表2にまとめた。
【0035】
【表2】
【0036】
また、フィルム状接着剤を50μm厚のポリイミドフィルムに130℃で熱圧着し、これを5mm幅短冊状に切りだし、これを各種接着条件でシリコン鏡面に接着させ、90度ピール強度(kgf/cm)を測定した。接着条件、ピール強度の結果を表3にまとめた。
【0037】
【表3】
【0038】
以上の実施例から公知のAPBを用いた処方に比べ、本発明のポリイミド樹脂組成物を用いたフィルム状接着剤は、より低温接着性(ピール強度)、低吸湿性(吸湿率)に優れ、耐熱性(260℃せん断強度)も維持していることが示された。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、低温接着性、低吸湿性、耐熱性と接着作業性を兼ねそろえたフィルム状接着剤を提供することができる。これはマイクロエレクトロニクス材料、半導体実装材料として工業的に極めて利用価値が高い。

Claims (9)

  1. テトラカルボン酸二無水物と、下記式(1)で表されるジアミンおよび下記一般式(2)で表されるジアミンを必須成分として含むジアミン成分とを反応させて得られる接着性ポリイミド樹脂
    (式(2)中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を、nは0〜20の整数を表わす。)
  2. 前記式(1)のジアミンが下記式(3)で表されるジアミンである請求項1に記載の接着性ポリイミド樹脂
  3. 前記テトラカルボン酸二無水物が、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれた1種類以上のテトラカルボン酸二無水物である請求項1ないし2に記載の接着性ポリイミド樹脂
  4. テトラカルボン酸二無水物aモルを酸成分とし、式(1)で表されるジアミンbモルと、式(2)で表されるジアミンcモルと、他のジアミンdモルとをアミン成分とし、a、b、c、dのモル比が、0.9≦a/(b+c+d)≦1.1、かつ0.01≦b/(b+c+d)≦0.99、0.01≦c/(b+c+d)≦0.99となるような割合で両成分を反応させて得られる請求項1ないし3のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂
  5. 前記接着性ポリイミド樹脂が、ほぼ完全にイミド化された請求項1ないし4のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂。
  6. テトラカルボン酸二無水物と、下記式(1)で表されるジアミンおよび下記一般式(2)で表されるジアミンを必須成分として含むジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド樹脂を含有する接着性ポリイミド樹脂組成物。
    (式(2)中、R1、R6は二価の炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基を、R2〜R5は一価の脂肪族基または芳香族基を、nは0〜20の整数を表わす。)
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の接着性ポリイミド樹脂を主たる成分とするフィルム状接着剤。
  8. 請求項6に記載の接着性ポリイミド樹脂組成物を用いたフィルム状接着剤。
  9. 前記接着性ポリイミド樹脂が、ほぼ完全にイミド化された請求項8に記載のフィルム状接着剤。
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