JP4112993B2 - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車や建設機械の部品には高強度鋼板が広く用いられている。そのうち、板厚が比較的厚く、意匠性も特に要求されないような用途には熱延鋼板が採用されている。こうした用途に用いられる鋼板には、狭義での加工性、すなわち延性とともに穴広げ試験値などで代表される伸びフランジ性の高さが求められている。この特性のうち、前者の向上を追及したものとしては、いわゆるDP鋼やTRIP鋼のような複相組織鋼が知られているが、それらの鋼を高延性ならしめている機構は伸びフランジ性には劣化要因となるものであるから、延性を大きく損ねることなく伸びフランジ性を高めるための鋼板開発が進められて来ている。
【0003】
そうした鋼板の例として、特開平6−172924号公報(特許文献1)や特開2001−20030号公報(特許文献2)をあげることが出来る。特許文献1には所定の化学成分を有し、ベイニティック・フェライトを主たるミクロ組織とすることで、引張強度が500N/mm2級以上で伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。特許文献2には、所定の化学成分を有し、グラニュラー・ベイニティック・フェライトまたは/およびベイニティック・フェライトを主たるミクロ組織とすることで、著しく伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。
【0004】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平6−172924号公報)
(2)特許文献2(特開2001−20030号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、まず上記の先行技術を詳細に検討した。それによれば、これらの鋼板を良伸びフランジ性たらしめている最も本質的なものは、それらを構成しているベイニティック・フェライト組織やグラニュラー・ベイニティック・フェライト組織であり、それらの組織を得るために、圧延後に為される冷却方法こそがキー・テクノロジーであるとの結論に至った。具体的に述べれば、特許文献1には当該組織を得るための条件例として熱延終了後に50℃/秒の冷却速度で所定の温度まで冷却する方法が記載されている。一方、特許文献2には、当該組織を得るための条件として熱延後に15〜70℃/秒の冷却速度で所定の温度まで冷却する方法が開示されている。
【0006】
このように、先行技術によれば、熱延後、比較的速い冷却速度で冷却することが必要となるが、最終圧延スタンドから冷却床までの距離が長いタイプの熱延設備や、冷却床の最前部が温度計測系への悪影響を回避する目的で低冷却能力に設定されているような熱延設備ではこうした冷却速度での冷却、すなわち組織の作り込みは極めて難しく、こうした点を解消するには設備を改造あるいは新設する必要があり、製造コストの上昇を招くという困難のあることが明らかとなった。
【0007】
また、本発明者らの実験によれば、比較的速い冷却速度で冷却して組織の作り込みを行うと、冷却ムラ(部位による温度変化のバラツキ)が増大することに起因すると思われる、特性、特に伸びフランジ性のムラ(バラツキ)が懸念されるようになった。勿論冷却ムラを最小限にするよう考慮された最新鋭の設備であればこのような問題も杞憂と言えるが、能力の低い設備しか有しない製造者にとっては設備の改造無くしては容易に実行できないものであることも明白である。
【0008】
そこで、圧延直後の冷却速度や鋼板を均一に冷却する能力に上記のような制約がある場合においても、伸びフランジ性に優れ、かつそのバラツキも小さい鋼板を得るための方法が強く求められているがこうした点に着目した例は見当たらない。本発明は、伸びフランジ性に優れ、かつそのバラツキも小さい高強度熱延鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、所定の化学成分と冷却条件を特徴とする熱延条件を組み合わせることが有効な手段であることを見出し、本発明を完成させた。特に熱延後に、まず、緩冷却し、その後所定の冷却速度で冷却する冷却条件が最も重要であり、その要旨は以下の通りである。すなわち
(1)質量%にて、C:0.02〜0.06%、Si:0.05〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.005〜1.0%、Ti:4×[C]+0.01〜4×[C]+0.07([C]はC濃度を表す)を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、ベイニティック・フェライトとポリゴナル・フェライトで構成されるミクロ組織を有する鋼板を製造する方法であって、前記化学成分を有する鋼材を1200℃以上に加熱し、Ar 3 点以上の温度で圧延を完了後、冷却速度をRc(℃/秒)、冷却時間をtc(秒)として、Rc≦14℃/秒、かつ11−0.4×Rc≦tc≦33.5−1.7Rcを満たす冷却を行い、それに引き続いてRc≧30℃/秒で冷却を行い、450〜600℃で巻き取ることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0010】
(2)上記(1)に記載の化学成分に加えて、質量%で、更にCu:0.8〜2.0%、Ni:0.4〜1.0%を含有することを特徴とする上記(1)に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0011】
(3)上記(1)または(2)に記載の化学成分に加えて、質量%で、更にNb:0.01〜0.3%、Mo:0.05〜0.3%、V:0.025〜0.20%のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず本発明を完成するに至った実験について説明する。
本発明者らは、質量%にて、C:0.035%、Si:1.0%、Mn:1.5%、P:0.01%、S:0.001%、N:0.0035%、Al:0.033%、Ti:0.12〜0.22%を含有し残部がFeである鋼片を溶製し、これらを熱延して熱延コイルを製造した。スラブの加熱温度は1250℃、圧延終了温度は900℃、圧延終了後の冷却は、最初、Rc:8℃/秒でtc:12秒として804℃まで冷却し、それに引き続きRc:35℃/秒で450℃まで冷却し、450℃で巻き取った。得られた熱延コイルを酸洗するとともに、その先端部、中央部、末尾部から鋼板を採取した。そしてそれら3つの部位における鋼板の各々について、幅方向の、両端部および中央部から特性評価用の試験片とミクロ組織調査試料の採取を行った。試験片は、強度延性評価用の引張り試験片(JIS5号、引張り方向を圧延方向と垂直となるように採取)と穴広げ値測定用の試験片(150mm×150mm)であり、各5体を作製した。
【0013】
これらの試験片を用いて強度(引張り強さ)σB(MPa)、延性(伸び)δ(%)、穴広げ値λ(%)を調査した。引張り試験は、インストロン型試験機を使用してJIS Z 2241に準拠した方法で行った。穴広げ値λの測定は、日本鉄鋼連盟規格JFS T1001に準拠して行い、クリアランスは12.5%とした。得られた特性値を、同一部位から採取した5点、幅方向の部位3箇所、およびコイル上の位置3箇所について整理し、特性値の分布(バラツキ)と鋼板のTi濃度との関係について検討した。その結果、引張り強さσB、延性δは同一部位5点間、および幅方向の3箇所間のいずれにおいても大きなバラツキはなく、最大値と最小値の差は単純平均値に対して2%以内であった。
【0014】
これに対して穴広げ値λのバラツキの程度は同一部位間ですら大きい場合があった。そこで多角的に分析を試みた結果、このバラツキの程度はTi濃度そのものに依存するのではなく、Ti濃度とC濃度の関係が特定の条件から外れた場合に大きくなることがわかった。そこで次に、Tiを0.17%含有し、他の成分は上記と同じである鋼片を用いて圧延終了後の冷却条件を検討する実験を行った。その結果、冷却速度と冷却時間の組み合わせが特定の範囲内にある場合にバラツキの程度が小さくなることを見出した。
【0015】
以上述べてきた検討の詳細は実施例にて説明するが、本発明はこうした基礎実験の上に立脚し、更に鋭意研究を重ねた結果なされたものであり、所定の伸びフランジ性をバラツキ少なく示す熱延鋼板とその製造方法を提供するものである。なお、「バラツキの少ない」ことこそ、今日鋼板使用者から求められている特徴であるとの考えから、バラツキが少なく、かつ、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板を、単に、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板と表記した。
【0016】
以下に本発明の限定理由を述べる。
まず化学成分の限定理由について述べる。成分の表記は全て質量%である。
Cは、鋼板の強度を確保するために必須の元素であり、高強度鋼板を得るためには少なくとも0.02%が必要である。しかし、過剰に含まれると、セメンタイトやマルテンサイトなど伸びフランジ性に好ましくない相の生成が避けられなくなるので0.06%以下とする。
【0017】
Siは、伸びフランジ性を劣化させることなく強度を確保するのに有効な元素であり、0.05%以上含有するものと規定するが、過剰に含まれると表面性状を損ねるのでその上限は1.2%とする。
Mnは、鋼板の高強度化に有効な元素であり、0.5%以上は含有させるべきであるが、2.0%を越えて含有させると延性が劣化するため上限を2.0%とする。
Pは、固溶強化元素として有効であるが、偏析による加工性の劣化が懸念されるので0.05%以下にする必要がある。
【0018】
Sは、MnSなどの介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させるので出来るだけ抑制すべきであるが0.01%以下であれば許容される。
Nは、窒化物を形成して延性や伸びフランジ性を低下させる。従って、出来るだけ抑制すべきであるが0.01%以下であれば許容される。
Alは、脱酸剤として使用されるもので、適切な清浄度を得るためには0.005%は必要であるが、過剰に含有されていると延性や伸びフランジ性を劣化させるので1.0%を上限とする。
【0019】
Tiは、Cと炭化物を形成し伸びフランジ性にとって好ましくないセメンタイトの成形を抑制する働きをする。特に、圧延後に緩やかな冷却を受ける場合にはその働きを最大限に活用してセメンタイトの生成を抑制することが必要である。一方、必要以上、すなわち炭化物を形成してCを固定するのに十分な量を相当に越えて添加された場合には、それらは固溶Tiとして鋼中に存在し、延性を損ねる原因となるので添加量には細心の注意が必要である。その範囲は実施例に示すように4×[C]+0.01〜4×[C]+0.07([C]はC濃度)である。 尚、上記の式は後述する実施例により穴広げ値λのバラツキが10%以内となる範囲を求めて本発明者らが新たに見出した式である。
【0020】
Cuは、固溶強化元素または析出強化元素として鋼板の高強度化に利用できる。またその添加によって疲労強度を一層向上させることができる。その効果は0.8%以上を添加しないと発現せず、一方、2.0%を越えて含有されていると熱延後の鋼板表面性状を悪化させるので2.0%を上限とする。
Niは、上記Cuによる熱延表面性状悪化を緩和する効果があり、Cuの半分程度を目安に添加することが望ましい。従ってその下限は0.4%である。一方、1.0%を超えて添加してもその効果は飽和し、コストの上昇につながるだけなので、1.0%を上限とする。
【0021】
Nb、MoおよびVはともに炭化物を形成して強度を高める働きをするとともに、生成した炭窒化物が溶接の熱影響による鋼板の軟化を抑制する効果も期待出来る。こうした効果はNb:0.01%、Mo:0.05%又はV:0.025%以上で発現し、一方、Nb:0.3%、Mo:0.3%又はV:0.20%を越えて含有されると硬質相を形成して穴広げ値λの劣化を招くので、これらを上限とする必要がある。
なお、本発明において上記以外の成分はFeとなるが、スクラップなどの溶解原料から混入する不可避的不純物は許容される。
【0022】
次に鋼板の組織について説明する。
優れた伸びフランジ性を得るには、ベイニティック・フェライトおよびポリゴナル・フェライトで構成されるミクロ組織とすることが必要である。これら以外の残部組織として、パーライト、残留オーステナイト、マルテンサイトの1つ又は2つ以上は極力なくすべきであり、少なくともそれらの合計の面積率で3%以下にすることが望ましい。一方、ベイニティック・フェライトおよびポリゴナル・フェライトの2相の組み合わせであれば、どのような構成比(面積比)でもよく、要求される強度、延性、伸びフランジ性に基づいて設計することが出来る。例えば、特に高延性を主眼とし、加えて高伸びフランジ性が要求されるような用途においては、ポリゴナル・フェライトを主相とし、析出物を活用して必要な強度を確保する方法が選択出来る。これに対して、出来るだけ構成元素を削減して低価格な鋼板であることが最も重視されるような用途においてはベイニティック・フェライトを主相とする方法が選択出来る。
【0023】
最後に加熱、圧延、冷却および巻き取りの各条件について述べる。
加熱温度は鋼中の炭窒化物を一旦固溶させるため1200℃以上とすることが必要である。これらを固溶させておくことにより、圧延後の冷却過程で炭窒化物を微細に分散させて鋼板の高強度化が達成出来る。一方、炭窒化物を溶解させる目的からは加熱温度に上限はないが、1300℃を超えるとスラブ表面の酸化が著しくなり、特に粒界が選択的に酸化されたことに起因すると思われる楔状の表面欠陥がデスケーリング後に残り、それが圧延後の表面品位を損ねるので1300℃を上限とすることが望ましい。
【0024】
圧延終了温度は鋼板の組織制御上重要である。Ar3 点未満では特に表層部の組織が不均一となり材質が安定せず特性上好ましくない。一方、Ar3 点+100℃超では、圧延終了後の緩冷却中にオーステナイト粒径が粗大になり、その後の冷却中に生成する相の構成とその分率が不安定で操業が難しくなるのでこの温度を上限とすることが望ましい。圧延後の冷却速度Rc(℃/秒)と冷却時間tc(秒)は本発明上最も重要な条件である。中でも圧延終了後最初の冷却条件が特定の組み合わせの範囲内にないと穴広げ値λのバラツキが小さい鋼板が得られない。
【0025】
その範囲は実施例の中で述べるように、Rc≦14(℃/秒)、かつ11−0.4×Rc≦tc≦33.5−1.7Rcである。この範囲内であればなぜバラツキが小さくなるかは現在のところ明確には出来ていないが、恐らく、特定条件の緩冷却をすることによってオーステナイトからフェライトへの変態が広い視野でみて均一化することが穴広げ性λの安定性、すなわち分布範囲の縮小に寄与しているものと推察している。なお上記の関係式は、後述する実施例により、穴広げ値λのバラツキが10%以内となる範囲を求めて本発明者らが新たに見出したものである。また、上記の冷却速度Rcの下限は製造設備の最低速度で通板した時の空冷速度であり、圧延終了温度、鋼板形状(板厚、幅など)、搬送ロール、雰囲気温度などにより変動するものであるが、実用的には2.5℃/秒とすればよい。
【0026】
緩冷却に引き続き行う冷却はRc≧30℃/秒とする必要がある。この速度未満ではベイニティック・フェライトを生成させることが困難であり、その場合、析出強化や固溶強化に依存した高強度化設計をする必要が生じるが、それでは優れた穴広げ値λが得られないからである。一方100℃/秒超では、特にコイルの幅方向の冷却むらに起因する材質バラツキが懸念されるので緩冷却後の冷却速度CR の上限は100℃、好ましくは70℃とすることが望ましい。
巻き取り温度は450℃〜600℃の範囲とする。450℃未満ではマルテンサイトが生成したり、転位密度が高過ぎる組織となったりする懸念がある。一方、600℃超では熱延スケールの生成が著しく、酸洗性を損ねるので600℃以下とする。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
(実施例1)
表1に化学成分を示す鋼のスラブを表2に示す条件で熱間圧延し、厚さ3.2mmのコイルを得た。それらコイルの前記の9箇所(先端部、中央部、末尾部、各々の幅方向両端部と中央部)の引張強さσB、延性δおよび穴広げ値λを調べた。9箇所のそれぞれについて試験体数5で調査した。その結果、引張強さσBと延性δのバラツキは小さく45個(9箇所×試験体数5)の測定値の最大値と最小値の差をそれらの単純平均値で除した値は2%以下であったので、単純平均値を以って特性値とした。一方、穴広げ値λのバラツキの程度は多様であったので、各箇所において(試験体数5について)最大値と最小値の差
【0028】
【式1】
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
その結果を表3にまとめて示す。
また断面組織を観察して構成する組織を調べた。組織は鏡面研磨後、ナイタール液で現出させ、表面から板厚の1/4相当内部位置を400倍で観察し、下記の技術文献1を参考に存在する組織を同定した。その結果、認められた相は、いずれの鋼板、箇所においてもベイニティック・フェライトおよびポリゴナル・フェライトの2相のみであり、その他の相は認められなかった。
[「鋼のベーナイト写真集−1」(平成4年6月29日、(社)日本鉄鋼協会発行、例えば21頁・Fig2.9)](技術文献1)
表3から明らかなように、本発明を用いれば、引張強さ、延性、および穴広げ性に優れ、穴広げ値のバラツキも10%以下の鋼板を得ることができた。
【0032】
【表3】
【0033】
(実施例2)
表4に化学成分を示す鋼のスラブを表5に記載の条件にて熱間圧延し、厚さ2.6mmの熱延板を得た。このようにして得られたコイルの引張強さσB、延性δ、および穴広げ値λを上記実施例1と同様に調べた。その結果の内、Δλmaxと圧延終了後最初に行う緩冷却の条件との関係を、Δλmaxが10%以下のものとそれ以外に分けて図1に示す。横軸は冷却速度Rc(℃/秒)、縦軸は冷却時間tc(秒)である。図を用いてΔλmax≦10%(白丸(〇))を囲む境界線I、II、およびIIIを求めた。なお、境界線上もΔλmax≦10%である。
【0034】
3本の境界線は下記のように求められた。
すなわち、(I):tc=33.5−1.7×Rc
(II):Rc=14
(III):tc=11−0.4×Rc
である。
以上より、冷却速度をRc(℃/秒)、冷却時間をtc(秒)として、圧延完了後、最初に、Rc≦14(℃/秒)、かつ11−0.4×Rc≦tc≦33.5−1.7Rcを満たすような緩冷却を行えば穴広げ性のバラツキが10%以下と小さい鋼板を得ることができることが示された。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板を得ることが出来る優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼板の伸びフランジ性のバラツキを冷却速度を横軸に、冷却時間を縦軸にして表したグラフである。
Claims (3)
- 質量%にて、
C:0.02〜0.06%、
Si:0.05〜1.2%、
Mn:0.5〜2.0%、
P:0.05%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下、
Al:0.005〜1.0%、
Ti:4×[C]+0.01〜4×[C]+0.07([C]はC濃度を表す)を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、ベイニティック・フェライトとポリゴナル・フェライトで構成されるミクロ組織を有する鋼板を製造する方法であって、前記化学成分を有する鋼材を1200℃以上に加熱し、Ar 3 点以上の温度で圧延を完了後、冷却速度をRc(℃/秒)、冷却時間をtc(秒)として、Rc≦14℃/秒、かつ11−0.4×Rc≦tc≦33.5−1.7Rcを満たす冷却を行い、それに引き続いてRc≧30℃/秒で冷却を行い、450〜600℃で巻き取ることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 請求項1に記載の化学成分に加えて、質量%で、更に
Cu:0.8〜2.0%、
Ni:0.4〜1.0%
を含有することを特徴とする請求項1記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の化学成分に加えて、質量%で、更に
Nb:0.01〜0.3%、
Mo:0.05〜0.3%、
V:0.025〜0.20%
のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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