JP4112858B2 - 物体の凹凸を測定する方法とシステム - Google Patents
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Description
(技術分野)
本発明は、一般に、物体の凹凸を測定する方法に関する。さらに具体的に言えば、本発明は、このようなシステムと方法を用いて、回路基板上のリード平坦度を検査することに関する。
(背景技術)
干渉計測法を利用して、物体の表面に欠陥がないか検査するか、あるいは、物体の凹凸を測定することがよく知られている。一般的に言うと、このような方法は、物体の表面上に干渉計測パターンを発生させ、次に、その結果得られた干渉計測像(すなわち、インターフェログラム)を分析して、その物体の凹凸を得る。この干渉計測像は、一般に、一連の白黒の縞模様を含む。
【0002】
レーザを利用して干渉計測パターンを発生させることを必要とする干渉計測法は、「代表的な干渉計測法」と呼ばれる。このような代表的な測定法では、レーザの波長と、測定アセンブリの構成が、一般に、結果として得られるインターフェログラムの周期を決定する。代表的な干渉計測法は、一般に可視スペクトルで利用されて、ミクロン・オーダーの高さ変化を測定する。
【0003】
しかしながら、高さ変化(凹凸)が可視スペクトルで実施されるときに、このような測定法を用いて、表面上で、0.5〜1μmを超える変化を示す高さ変化(凹凸)を測定することは困難であることが判明した。実際、結果として得られるインターフェログラムの白黒の縞模様の密度(濃度)が増して、それにより、その分析が煩雑なものとなる。
【0004】
代表的な干渉計測法の別の欠点は、これらの干渉計測法が、ノイズや振動に特に敏感な測定アセンブリを必要とすることである。
【0005】
モアレ干渉計測に基づく表面検査法は、代表的な干渉計測法の精度よりもさらに高い精度を用いて、可視スペクトルで物体の凹凸を測定できるようにしている。この表面検査法は、1)測定される物体の真上に置かれた格子と、その物体上の格子の陰影との間(「陰影モアレ技法」)、あるいは、2)物体上の一方の格子の投影と、物体と、その結果得られるインターフェログラムの写真を撮るのに使用されるカメラとの間に置かれた他方の格子との間(「投影モアレ技法」)で得られる周波数ビートの分析に基づいている。双方の場合に、2つの格子間の周波数ビートが、その結果得られるインターフェログラムの縞模様を発生させる。
【0006】
さらに具体的に言えば、「陰影モアレ」技法は、測定される物体の近くに格子を置く工程、その物体の平面からの第1の角度(例えば、45度)より照明を提供する工程、第2の角度(例えば、その物体の平面から90度)に置かれたカメラを使用して、このインターフェログラムの写真を撮る工程を含む。
【0007】
この格子と物体との間隔が変わるから、このような高さ変化が、そのインターフェログラムのパターンを変化させる。その場合、このようなパターンの変化を分析すれば、物体の凹凸を得ることができる。
【0008】
「陰影モアレ」技法を用いて物体の凹凸を測定することの欠点は、正確な結果をもたらすように、格子を、物体に非常に近づけて置かなければならず、そのことから、測定アセンブリのセットアップが制限されることである。
【0009】
「投影モアレ」技法は、「陰影モアレ」技法と非常によく似ている。すなわち、カメラと物体との間に置かれた格子は、「陰影モアレ」技法における格子の陰影と似た機能を持っているからである。しかしながら、「投影モアレ」技法の欠点は、その技法が多くの調整をともない、そえゆえ、結果の精度不良の危険性を高めることである。つまり、「投影モアレ」技法は、2つの格子の位置決めと追跡を必要とするからである。さらに、第2の格子は、カメラをおおい隠しがちであり、それゆえ、他の測定を行うために、カメラを同時に使用できないようにしている。
【0010】
したがって、従来技術の上記欠点のないような、物体の凹凸を測定する方法とシステムが望ましい。
(発明の目的)
それゆえ、本発明の目的は、物体の凹凸を測定する改良された方法とシステムを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、リード平坦度の検査に適するようなシステムを提供することである。
(発明の概要)
さらに具体的に言えば、本発明によれば、画素アレイを備えたカメラを用いて物体の凹凸を測定する方法であって、
a)上記のカメラと基準物体に対して、第1の位置に置かれた格子を、その基準物体上に投影する工程と、
b)この投影格子により照らされた基準物体の画像を、上記のカメラで撮る工程であって、基準物体の画像は各画素についての輝度値を有するものと、
c)上記の格子を、カメラと基準物体に対して、2つの異なる既知の位置に置いて、少なくとも2回、工程a)と工程b)を繰り返して、画素ごとに、少なくとも3つの輝度値をもたらす工程と、
d)各画素についての基準物体の位相を、当該画素についての上記の少なくとも3つの基準物体の輝度値を用いて計算する工程と、
e)上記第1の位置に置かれた格子を物体上に投影する工程と、
f)この投影格子により照らされた物体の像を、カメラで撮る工程であって、物体の画像は各画素についての輝度値を有するものと、
g)上記の格子を、これら2つの異なる位置に置いて、少なくとも2回、工程e)と工程f)を繰り返して、画素ごとに、少なくとも3つの輝度値をもたらす工程と、
h)各画素についての物体の位相を、当該画素についての上記の少なくとも3つの物体の輝度値を用いて計算する工程と、
i)各画素についての物体と基準物体との高さの差を、当該画素についての基準物体の位相と物体の位相を用いて計算する工程と、
j)画素ごとに、物体と基準物体との高さの差を用いて、物体の凹凸を決定する 工程と、
を含む方法が提供される。
【0012】
本発明の他の側面によれば、画素アレイが設けられたカメラを用いてほぼ平担な基板にマウントされた少なくとも1つの物体を含むモジュールの高さを測定する方法であって、
l)カメラおよびモジュールに対して第1の位置に置かれた格子をモジュールに投影し、
m)該投影された格子によって照明されたモジュールの画像であって各画素についての輝度値を有するものをカメラで撮影し、
n)格子をカメラ及びモジュールに対して2つの異なる既知の位置に置いて少なくとも2回ステップl)およびm)を反復して各画素について少なくとも3つの輝度値をもたらし、
o)各画素についてのモジュールの位相を、当該画素の少なくとも3つのモジュールの輝度値を用いて計算し、
p)前記少なくとも1つの物体に対応しないモジュールの画像上の画素からの前記少なくとも3つの輝度値を用いることによって基板の相補位相を計算し、
q)各画素についての前記少なくとも1つの物体の高さを、当該画素についての前記基板の相補位相および前記モジュールの位相を用いて計算し、
r)前記第1の位置に置かれた格子を基準面に投影し、
s)該投影された格子によって照明された基準面の画像であって各画素位置について輝度値を有するものをカメラで撮影し、
t)前記2つの異なる位置に格子を置いて少なくとも2回ステップr)とs)を反復することによって各画素について少なくとも3つの輝度値をもたらし、
u)各画素位置についての基準面の位相を、当該画素についての少なくとも3つの基準面の輝度値を用いて計算し、
v)各画素についての基板の高さを、当該画素についての基板の相補位相および前記基準面の位相を用いて計算し、
w)基板の高さと前記少なくとも1つの物体の高さを加算することによってモジ ュールの高さを計算するステップを具備する方法が提供される。
【0013】
本発明の他の側面によれば、物体の凹凸を測定するシステムであって、
格子と、格子を経て物体を照明する光源を含む照明アセンブリと、格子を物体に投影するプロジェクタを含み、格子が支持体上に搭載される、格子投影アセンブリと、
画素アレイを備えたカメラを含む画像取得装置と、
a)物体と画像取得装置に対して格子を位置決めし、
b)それぞれが格子の異なる既知の位置に対応する、物体上に投影された格子の少なくとも3つの画像と、それぞれが格子のこれらの既知の位置の1つに対応する、基準物体上に投影された格子の少なくとも3つの画像を、上記の画像取得装置から受け取り、
c)各画素についての基準物体の位相を、当該画素についての少なくとも3つの基準物体輝度値を用いて計算し、
d)該当する画素に対して、各画素についての物体の位相を、当該画素についての上記の少なくとも3つの物体の輝度値を用いて計算し、
e)該当する画素に対して、各画素についての物体と基準物体との高さの差を、当該画素についての上記の基準物体の位相と、上記の物体の位相を用いて計算するように構成されているコンピュータと、
を備えるシステムが提供される。
【0014】
本発明の他の目的、利点、特徴は、例示としてのみ与えられた本発明の好ましい実施例の限定されない下記説明を、添付図面を参照して読めば、さらに明らかになるであろう。
(好適な実施形態の記述)
ここで、添付図面の図1と図2に移って、本発明の一実施例により、物体の凹凸を測定するシステム10を説明する。
【0015】
表面検査システム10は、格子投影アセンブリ11、画像取得装置12、および、好ましくは記憶装置16、出力装置18、入力装置20を備えたコンピュータから成っている。
【0016】
次に、さらに具体的に、添付図面の図2に移って、格子投影アセンブリ11と画像取得装置12を、さらに詳しく説明する。
【0017】
格子投影アセンブリ11は、照明アセンブリ22、可動支持体26に取り付けられた格子24、およびプロジェクタ28を含む。
【0018】
照明アセンブリ22は、好ましくは、格子24を通じて投影される白色光源34を含む。例えば、光源34は、白色光源(図示されてない)から光を提供する光ファイバ(図示されてない)の端部である。好ましくは、光源34と格子24との間には、非球面レンズ36、または他の任意の集光レンズも利用される。他の光源も利用される場合がある。当業者であれば、本発明の精神の範囲内で、容易に他の照明アセンブリを思いつくこともできると考えられる。
【0019】
格子24の構成は、物体30の凹凸を適切に測定するのに必要な解像度に応じて様々である。例えば、250ライン/インチのロンキー規則により、約1mmの解像度を必要とする回路基板のリード平坦度を測定できることがわかった。
【0020】
好ましくは、可動支持体26に格子24を取り付けることにより、格子24上の線にも、光の入射方向(図2の破線42)にも垂直な方向に(図2上の両頭矢印40を参照のこと)、格子24を移動させることができる。
【0021】
可動支持体26は、ステッピングモータ(図示されてない)によって作動される。このステッピングモータは、好ましくは、コンピュータ14でトリガされるマイクロコントローラ(図示されてない)によって制御される。もちろん、このステッピングモータは、コンピュータ14で直接に制御されることもある。
【0022】
好ましくは、50mmのTVレンズの形を取るプロジェクタ28を使用して、物体38上に格子24を投影する。
【0023】
光の入射方向(図2の破線42)と、画像取得装置12の目視線(図2の破線44)との成す角度は、測定される物体30の性状によって様々である。
【0024】
当業者であれば、物体30に対して、照明アセンブリ22、格子24、格子プロジェクタ28を位置決めして、物体30上に所望のピッチρを持つ投影格子をもたらすことが理解できると考えられる。
【0025】
例えば、密度が250ライン/インチのロンキー格子は、物体30とプロジェクタ28との間隔を43〜22cmにし、また角度θを30度にした場合に、0.5mmピッチρを取る投影格子を提供する。このようなピッチは、物体30の表面上で、約1mmの高さ変化に相当する。
【0026】
明らかに、この投影格子のピッチは、格子24のピッチによって変わる。
【0027】
以下に説明される通り、物体30上の投影格子24の変位は、格子24の位置を固定し、かつ、物体30とカメラ46をともに移動させることによっても達成される場合もある。
【0028】
システム10は、カメラ46と物体30との間に格子を必要としないことに留意されたい。このような利点は、以下で述べる。
【0029】
画像取得装置12は、画素アレイを備えたカメラ46を含み、これは、好ましくは、CCDカメラ46の形を取っている。このようなカメラは、例えば、1300×1024画素の解像度を提供する。
【0030】
画像取得装置12は、好ましくはオプションの接写リング50でカメラ46に取り付けられたテレセントリックレンズ48も含む。
【0031】
画像取得装置12の構成、および、画像取得装置12と物体30との間隔が、画像取得装置12の視野を決定する。別法として、カメラ46を物体30から遠ざければ、接写リング50なしで、所望の視野を得ることができる。
【0032】
コンピュータ14が、取得された画像をディジタル化するように構成されているときには、CCDカメラを、通常のカメラに代えることができる。
【0033】
好ましくは、コンピュータ14は、格子24の移動を制御し、カメラ46で撮られた物体30の画像を処理し、さらにこれらの画像を分析して、物体30の凹凸を測定するように、構成されている。
【0034】
好ましくは、コンピュータ14は、画像をコンピュータ14で処理するときに、これらの画像を蓄積することによって処理速度を上げられるようにする記憶手段を備えている。
【0035】
記憶装置16は、例えば、ハードドライブ、書込み可能なCD−ROMドライブ、または、他の公知のデータ記憶手段である。記憶装置16は、じかにコンピュータ14に接続できるか、あるいは、インターネットなどのコンピュータネットワークを通じてリモート接続できる。本発明の一実施例によれば、記憶装置16を利用して、画像取得装置12で撮られた画像も、物体30の凹凸も、さらに、他の中間結果も蓄積する。これらのファイルは、コンピュータ14で読み取り可能な形式や解像度であれば、どんなものでも蓄積できる。
【0036】
出力装置18は、コンピュータ14により生成された画像やデータを表示できるようにし、またディスプレイモニタから印刷装置まで多くの形式を取ることができる。入力装置20は、データやコマンドをコンピュータ14に入力できるようにする通常のマウス、キーボード、または他の任意の公知の入力装置、あるいは、それらの組合せである。
【0037】
記憶装置16、ディスプレイモニタ18、入力装置20はすべて、データケーブルなどの標準の接続手段を通じて、コンピュータ14に接続される。
【0038】
コンピュータ14は、通常のパーソナルコンピュータ、あるいは、プロセッサ、メモリ、入出力ポート(図示されてない)を含む他の任意のデータ処理装置である。これらの入出力ポートは、画像を、記憶装置16に、また記憶装置16から転送するためのネットワーク接続を含む場合がある。
【0039】
もちろん、コンピュータ14は、以下に記述されるように、本発明の方法を織り込んだソフトウェアを実行する。
【0040】
システム10は、調整可能な支持手段(図示されてない)を含んで、画像取得装置12と格子投影アセンブリ11を、互いに、また物体30に対して位置決めすることに留意されたい。別法として、本発明の性質と精神から逸脱することがなければ、他の位置決め手段も利用できる。
【0041】
本発明の一実施例による、物体の凹凸を測定する方法を詳しく説明する前に、このような方法の基礎になる一般理論を、まず最初に述べる。この理論は、当業界では周知のものであると考えられるから、簡明さのために、ここでは、簡潔にのみ説明する。
【0042】
干渉画像上の各画素(x,y)の輝度l(x,y)は、以下の式によって表すことが可能である。
【0043】
l(x,y)=A(x,y)+B(x,y)・cos(ΔΦ(x,y)) (1)
ただし、ΔΦは、位相の変化(または位相変調)であり、AおよびBは、画素毎に算出することが可能な係数である。
【0044】
位相変化ΔΦがわかっている場合、基準面に対する各点h(x,y)での対象物の高さ分布(起伏)は、以下の式を用いて算出することが可能である(図3参照)。
【0045】
h(x,y)=ΔΦ(x,y)・p/2π・tan(θ) (2)
ただし、上述のように、pは格子のピッチ、θは投影角度である。
【0046】
上記の式は、図3に図示するように、対象物上の格子の平行投影に対して有効であるが(格子投影からの投影線60は平行である)、格子投影が平行でない場合、別の式を使用することは、当業者の到達可能な範囲内である。
【0047】
たとえば、ピンホール投影では、基準面(図3のX参照)の平面上の格子から離れるとともにピッチpおよび角度θが増加することがわかっている。第1次近似の概算において、pとθの変化は互いに相殺し、式2は、パラメーターの特定の制限内において依然として有効である。
【0048】
高さh(x,y)と位相ΔΦの変化間の関係を再評価し、起伏を計測するために使用されるシステムの構成にしたがってその関係に修正を加えることは、当業者が到達可能な範囲であると考えられる。
【0049】
添付の図面のうちの図4において、本発明の実施形態に従う対象物の起伏を計測する方法をより詳細に説明する。
【0050】
一般的に述べると、本方法は、以下の工程を実行することによって、システム10を使用して対象物30の起伏を計測することを含む。
【0051】
100−基準物を基準として第1の位置に格子24を配置する。
【0052】
102−基準物上に格子24を投影する。
【0053】
104−カメラ46を用いて、画像の各画素に対する輝度値を収集するために基準物の画像を撮影する。
【0054】
106−画素毎に少なくとも3つの輝度値を求めるために、工程100〜104を、2つの新規の異なる既知の位置に配置された格子を用いて少なくとも2回反復する。
【0055】
108−3つの輝度値を用いて各画素の位相を算出する。
【0056】
110−基準物を計測される対象物30と置換することによって、工程100〜108を反復する。
【0057】
112−各画素に対して、画素毎のそのそれぞれの位相を使用することによって、対象物30と基準物との高さの差を算出する。
【0058】
114−各画素における高さの差を使用して、各画素に対する対象物の起伏を決定する。
【0059】
計測する対象物62が板66に取り付けられた球64である第1の例を参照して、以上の一般的な工程をさらに説明する。上記対象物62の画像を図5に示す。
【0060】
基準物として同様の板を選択することによって、対象物62と基準物との高さの差は、球64の高さとなる。対象物62と基準物との共通の要素は、この例において、板66である。
【0061】
工程100において、格子24は、ステッピング・モータによって作動される支持体26を用いて第1の所定の位置に移動される。上述のように、システム10は、基準物(後に対象物)を基準として格子24およびカメラ46を位置決めし固定する手段を含む。
【0062】
工程102において、格子24は、基準物上に投影される。
【0063】
工程104において、カメラ46は、基準物の画像を撮影する。
【0064】
その画像は、画像の各画素に対する輝度値を含む。コンピュータ14は、後の処理のために、それらの輝度値を格納する。
【0065】
その後、工程100〜104は、2つの新しい既知の異なる位置に配置される(工程106)格子を用いて、少なくとも2回反復される。これは、各画素に対して、わずかに異なる3つの画像と、したがって3つの輝度値とを提供する。格子24によって照明される板の3つの画像のうちの1つを図6に示す。
【0066】
式1が3つの未知数(すなわちA,B, ΔΦ)を含むため、各画素に対する3つの輝度値l1,l2,およびl3と、したがって3つの画像が、位相変化ΔΦを算出するために必要である。
【0067】
基準物の表面を基準として格子24がわずかに変位した形の2つの新規な画像が得られる。画像Δφ1,Δφ2,およびΔφ3における位相変化を発生させるように移動量が選択される。この結果、カメラ46の画素アレイの各画素に対して、式1と同様の3つの式ができる。
【0068】
ln=A+B・cos(ΔΦ+Δφn) (3)
ただし、n=1,3である。
【0069】
式3の式を解くことによって、Δφの値が得られる。格子24の移動量は、Δφ1,Δφ2,およびΔφ3の異なる値が提供されるように選択される。
【0070】
本発明の好適な実施形態によれば、4つ以上の画像が撮影される。これによって、算出された位相の精度を増加させるために使用されることが可能な、さらなる輝度値が得られる。
【0071】
従来技術による方法は4つの画像の使用を必要とし、これらの画像からの全4つの値は位相推定のために撮影される。本発明による方法は、3つの画像のみを必要とするため、本方法の精度と信頼性を増加させるために、さらなる画像を使用可能である。
【0072】
たとえば、4つ(またはそれ以上)の画像を取得することによって、ノイジーな画素または画像を破棄し、最も有効な輝度値を有する画素のみを取得することが可能である。実際、4つの輝度値のうちの1つがノイジー(たとえば画像の飽和が原因となる場合がある)の場合、その輝度を、この特定の画素に対して得られる位相の精度を損うことなく削除することが可能である。
【0073】
もしくは、少なくとも最小自乗フィットなどの数値的方法を用いて位相を従来通り計算するために、4つ以上の輝度値を使用することが可能である。しかしながら、そのような方法は、特定の画素に対して算出される誤りの位相値を防ぐことができず、それによって対象物の起伏の計算が不正確となってしまう可能性がある。
【0074】
本発明の別の好適な実施形態によれば、第2の画像と第3の画像と(第4の画像と)の間の格子の移動量は、180度の位相変化Δφ(式3参照)を有する3つの画像を供給するように選択される。これによって、格子を投影することなく基準物の(または対象物の)画像を取得することが可能となる。これは、180度移動された2つの画像の輝度値を加えることによって実現可能である。
【0075】
より一般的に、カメラ46によって撮影された3つ以上の画像のうちのいくつかの位相変化の合計が360度である場合、対応する二次元画像は、各画素に対するこれらの画像の輝度値を加えることによって得られる。この再構成された二次元画像は投影格子を含まない。この画像は、工程112の結果である画像または値に対して施される後続の分析を加速可能である基準物の(または対象物の)予備分析を実行するために使用されることが可能である。
【0076】
工程108において、位相は、式3を解くことによって各画素に対して3つの輝度値(または3つの最良な輝度値)を用いて算出される。これは、たとえば従来の数値的方法を用いることによって実現されることが可能である。そのような式を解く数値的方法は、当業界において周知であると考えられ、ここではこれ以上説明しない。
【0077】
各画素に対する基準物について得られた位相を図7に示す。
【0078】
図4の方法が一連の対象物を検査するために使用される場合、工程100〜108は、その検査の前に基準物に対して1度だけ実行されることが可能で便利である。これによって、検査の速度を加速することができる。
【0079】
工程100〜108は、基準物を、計測対象物、すなわち対象物62と置換することによって反復される。
【0080】
格子24によって照明される、板66を有する球64の画像の1つを図8に示す。
【0081】
対象物と基準物とに対する工程100〜108の実行においてまったく差異がないため、さらに簡略にするため、これらの工程は、対象物を参照することによって再度説明されない。
【0082】
板66を有する球64について得られた位相を図9に示す。なお、図9の画像中の領域68は、球64の影によって発生されるものである。
【0083】
工程112において、対象物30と基準物との間の高さの差は、検査対象物の位相から基準物の位相を差し引くことによって、工程108で得られるように、各画素に対して算出される。この結果得られた画像を図10に示す。
【0084】
なお、対象物および基準物に対して工程108で算出され、図7および図9に示された位相は、仮想的な投影面に対する表面位相に対応する。
【0085】
格子24の非平行投影が行われると、この仮想的な投影面はわずかにカーブするようになる。これは、対象物と基準物の両方の画像が同一のシステム10で撮影されるためであり、本発明による対象物の起伏を計測する方法の欠点ではない。
【0086】
各画素での対象物および基準物の位相は対象物(または基準物)と同一の仮想的な投影面との高さの差に対応するため(同一の光学機構を有する同一のシステムが使用されるため)、それらを差し引くことによって、対象物と基準物との間の差が算出される。これによって、対象物と基準物との画像取得を、異なる照明の下で実行することが可能となる。
【0087】
オプションの工程114において、対象物の起伏(すなわち高さ)が、各画素における対象物と基準物との高さの差を使用して画素毎に決定され、基準物の寸法が認識される。
【0088】
当業者には明らかなように、本発明の実施形態に従う方法を、2つの対象物(そのうち1つは基準物)の高さの差を計測するために使用することが可能である。その場合、工程114は、当然ながら実行されない。
【0089】
いくつかの応用において、計測時に計測対象物が置かれる面の表面を基準物として使用することが望ましい。
【0090】
いくつかの応用において、カメラに対して既知の位置に対象物と基準物とを配置する上で役立つ位置決めシステムをシステム10に設けることが望ましい。実際、対象物と基準物との比較は画素毎に実行されるため、位置決めシステムによって、対応する点を確実に比較することが可能となる。
【0091】
このような位置決めシステムは、面表面上のしるし、台、またはコンピュータに実装されるソフトウェア・プログラムを含む多くの形態をとることが可能である。
【0092】
なお、画像はまず取得され、その後、本発明の精神から逸脱することなく、将来のある時点において処理されることが可能である。
【0093】
本発明を読み取ることで明らかなように、本発明の実施形態に従う方法によって、白光を用いた対象物の起伏の計測が可能となる。
【0094】
本発明は球形対象物が計測される例を用いて説明されたが、他の構成を有する対象物の検査および計測が可能である。
【0095】
また、システム10が対象物の起伏の時間変化を調べるために使用される場合、同一の対象物が基準物としての役割も果たすことが可能である。
【0096】
もしくは、基準物の代わりに、たとえばシステム10の機構にしたがって仮想的に置かれたコンピュータ支援設計(CAD)によって生成される、対象物のコンピュータ・モデルを使用することも可能である。
【0097】
また、基準物は、許容可能なパラメーター以内の欠落点を有する同様の物体でもよい。その場合に、対象物と基準物との位相の差し引きは、検査対象の対象物の欠落点を明らかにする。本発明のこの局面は、起伏の重要な変化を有する対象物の起伏を検査する上で、特に重要である。
【0098】
実際、位相値は0〜2πの範囲に限定されるため、従来技術の大部分のシステムによって検出することが可能な最大の高さh0は、
h0=p/tan(θ)となる(式2参照)。
【0099】
通常、位相のアンラッピングは、すべての高さの変化が単一位相オーダー(0〜2π)にあることが確実なほど十分に大きいピッチpを有する格子を用いることによって実行される。
【0100】
この欠点は、それが伴う精度の損失である。たとえば、計測される対象物が画像取得装置にしたがって傾いている場合、精度の損失は重要な場合がある。
【0101】
以下の例は、本発明による方法が、どのように上記の欠点の防止を可能とし、回路基板上のリード(lead)平坦度検査に関係するかを図示する。
【0102】
図11は、基板72上の複数個のリードボール70を含むモジュール69の起伏を示す画像である。図11の画像は、図4の工程110〜工程114を実行することによって取得される。この例において、対象物は、モジュール69(基板72とリードボール70とを含む)であり、基準物は基準面表面(不図示)である。
【0103】
図11において、画像中のグレーの影部分の変化によって、基板72は面表面に平行でないことがわかる。したがって、そのような画像は、基板が平面である場合よりも対象物の高さの計測時に低い精度を提供する。実際、画像上の基板72における傾きの原因はシステム12ではなく、基板72の実際の構成を反映していることに注意すべきである。各リードボール70の高さにおけるわずかな変化は、基板72の輪郭における全体的な変化において消失されることがある。
【0104】
画像上の基板を仮想的に修正するコンピュータアルゴリズムも考えられるが、そのようなアルゴリズムはその検査の処理時間を増大させる場合がある。これは、その検査が実時間において製造ラインで実行される場合に欠点となる可能性がある。
【0105】
提案される解決策は、第2の基準物として基板の表面の近似値を使用することである。
【0106】
実際、各画素において、最初に面表面を基準とした基板72の高さを見つけ、第2に、基板72を基準としたリードボール70の高さを見つけ、最後にそれら2つの高さを加えて、対象物、すなわちボールを有する基板の全体的な高さを求めることが有効な場合がある。
【0107】
モジュールの位相は、図12に図示されており、図4の方法の工程100〜108において得られる。
【0108】
その後、基板72の表面に関する情報が、補足面の擬似位相画像が算出される図12の画像上の基板72(ボール70の間)に対応する画素を分析することによって得られる。
【0109】
ボール70の高さは、モジュール(図12)の位相と補足面の位相とを差し引くことによって、画素毎に算出される(工程112)。その結果得られた画像を図13に示す。
【0110】
同様に、基板72の高さは、補足面の位相と基準面の位相とを差し引くことによって、画素毎に算出される(工程112)。その結果得られた画像を図14に示す。その後、この位相画像はアンラッピングされる(図15参照)。
【0111】
その後、モジュール69の高さは、図13および図15の位相の高さを加えることによって得られる。
【0112】
本発明は、その好適な実施形態を使用して上述したが、特許請求の範囲に定義されるように、本発明の精神および特徴から逸脱することなく修正されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例により、物体の表面を検査するシステムの略図である。
【図2】 図1の画像取得装置と格子投影アセンブリの双方の略図である。
【図3】 物体上の格子の投影を図示した略図である。
【図4】 本発明の一実施例により、物体の凹凸を測定する方法のブロック線図である。
【図5】 図1のシステムで検査されるような、基板に実装された球体の画像の説明図である。
【図6】 格子で照らされた図5の基板の画像の説明図である。
【図7】 図6の基板の位相を表わす、図1のシステムで計算された画像の説明図である。
【図8】 格子で照らされた、基板に実装された図5の球体の画像の説明図である。
【図9】 図8の基板とともに球体の位相を表わす、図1のシステムで計算された画像の説明図である。
【図10】 図7の像と図9の像の間の位相変化を図示した画像の説明図である。
【図11】 基板上にリードボールを備えるモジュールと、基準表面との位相変化を表わす画像の説明図である。
【図12】 図11のモジュールの位相を表わす画像の説明図である。
【図13】 図12の像の位相と、相補形表面の位相像との位相変化を表わす画像の説明図である。
【図14】 相補形表面と基準平面の像の位相間の位相変化を表わす画像の説明図である。
【図15】 アンラップされた後の図14の画像の説明図である。
Claims (13)
- 画素アレイを備えたカメラを用いて物体の凹凸を測定する方法であって、
a)前記カメラと基準物体に対して、第1の位置に置かれた格子を、前記基準物体上に投影する工程と、
b)前記投影格子により照らされた前記基準物体の画像を、前記カメラで撮る工程であって、基準物体の画像は各画素についての輝度値を有するものと、
c)前記格子を、前記カメラと前記基準物体に対して、2つの異なる既知の位置に置いて、少なくとも2回、工程a)と工程b)を繰り返して、画素ごとに、少なくとも3つの輝度値をもたらす工程と、
d)各画素についての基準物体の位相を、当該画素についての前記少なくとも3つの基準物体の輝度値を用いて計算する工程と、
e)前記第1の位置に置かれた格子を前記物体上に投影する工程と、
f)前記投影格子により照らされた前記物体の画像を、カメラで撮る工程であって、物体の画像は各画素についての輝度値を有するものと、
g)前記格子を、前記2つの異なる位置に置いて、少なくとも2回、工程e)と工程f)を繰り返して、画素ごとに、少なくとも3つの輝度値をもたらす工程と、
h)各画素位置についての物体の位相を、当該画素についての前記少なくとも3つの物体の輝度値を用いて計算する工程と、
i)各画素についての前記物体と前記基準物体との高さの差を、当該画素についての基準物体の位相と物体の位相を用いて計算する工程と、
j)前記画素ごとに、前記物体と前記基準物体との前記高さの差を用いて、前記物体の凹凸を決定する工程と、を含み、
工程c)において、前記格子を、前記カメラと前記基準物体に対して、3つ以上の異なる既知の位置に置いて、3回以上、工程a)と工程b)を繰り返して、4つ以上の輝度値をもたらし、また、工程d)において、前記4つ以上の輝度値から、もっとも好ましい3つの輝度値を選択して用いて、画素ごとに、前記基準物体の位相を計算する、方法。 - 工程d)と工程h)の少なくとも1つにおいて、
In=A+B・cos(ΔΦ+Δφn)
ここで、Inは少なくとも3つの輝度値を表わし、AとBは既知の係数であり、またΔφnは、前記格子の異なる位置で発生する位相変化である、
の方程式系を解くことで、画素ごとに、前記位相ΔΦを計算することを特徴とする請求項1記載の方法。 - 工程g)において、前記格子を、前記カメラと前記物体に対して、3つ以上の異なる既知の位置に置いて、3回以上、工程e)と工程f)を繰り返して、4つ以上の輝度値をもたらし、また、工程h)において、前記4つ以上の輝度値から、もっとも好ましい3つの輝度値を用いて、画素ごとに、前記物体の位相を計算することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程c)において、前記格子の前記異なる既知の位置を選択して、工程g)において、互いに180度の位相差を持つ前記物体の少なくとも2つの画像を提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 互いに180度の位相差を持つ前記物体の前記少なくとも2つの画像を加えることで、前記物体の二次元画像を計算し、また、前記二次元画像を用いて、前記物体の予備分析を行うことを特徴とする請求項4記載の方法。
- 工程g)において、前記格子の前記異なる既知の位置を選択して、互いに180度の位相差を持つ前記基準物体の少なくとも2つの画像を提供することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 互いに180度の位相差を持つ前記基準物体の前記少なくとも2つの画像を加えることで、前記基準物体の二次元画像を計算し、また、前記二次元画像を用いて、前記基準物体の予備分析を行うことを特徴とする請求項6記載の方法。
- 前記基準物体が平担な表面であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記基準物体が、過去の所定の時刻における前記物体であり、また前記基準物体が、過去の時刻を中心として計算され、それにより、工程i)が、前記過去の時刻と、前記物体の位相が計算される近接時刻との間で、各画素における高さ変化を与えることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記基準物体が、前記物体のCADであり、工程a)において、前記格子を、仮想的に、前記CAD内に置いて投影し、また工程b)において、前記基準物体の前記画像をシミュレートすることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 画素アレイが設けられたカメラを用いてほぼ平担な基板にマウントされた少なくとも1つの物体を含むモジュールの高さを測定する方法であって、
l)カメラおよびモジュールに対して第1の位置に置かれた格子をモジュールに投影し、
m)該投影された格子によって照明されたモジュールの画像であって各画素についての輝度値を有するものをカメラで撮影し、
n)格子をカメラ及びモジュールに対して2つの異なる既知の位置に置いて少なくとも2回ステップl)およびm)を反復して各画素について少なくとも3つの輝度値をもたらし、
o)各画素についてのモジュールの位相を、当該画素の少なくとも3つのモジュールの輝度値を用いて計算し、
p)前記少なくとも1つの物体に対応しないモジュールの画像上の画素からの前記少なくとも3つの輝度値を用いることによって基板の相補位相を計算し、
q)各画素についての前記少なくとも1つの物体の高さを、当該画素についての前記基板の相補位相および前記モジュールの位相を用いて計算し、
r)前記第1の位置に置かれた格子を基準面に投影し、
s)該投影された格子によって照明された基準面の画像であって各画素位置について輝度値を有するものをカメラで撮影し、
t)前記2つの異なる位置に格子を置いて少なくとも2回ステップr)とs)を反復することによって各画素について少なくとも3つの輝度値をもたらし、
u)各画素位置についての基準面の位相を、当該画素についての少なくとも3つの基準面の輝度値を用いて計算し、
v)各画素についての基板の高さを、当該画素についての基板の相補位相および前記基準面の位相を用いて計算し、
w)基板の高さと前記少なくとも1つの物体の高さを加算することによってモジュールの高さを計算するステップを具備する方法。 - 請求項11の方法のリード平担度検査への使用。
- 物体の凹凸を測定するシステムであって、
格子と、該格子を経て物体を照明する光源を含む照明アセンブリと、格子を物体に投影するプロジェクタとを含み、該格子が支持体上に搭載される、格子投影アセンブリと、
画素アレイを備えたカメラを含む画像取得装置と、
a)物体と画像取得装置に対して格子を位置決めし、
b)それぞれが前記格子の異なる既知の位置に対応する、前記物体上に投影された格子の少なくとも3つの画像と、それぞれが前記格子の前記既知の位置の1つに対応する、前記基準物体上に投影された格子の少なくとも3つの画像を、前記画像取得装置から受け取り、
c)各画素についての基準物体の位相を、当該画素についての少なくとも3つの基準物体輝度値を用いて計算し、
d)各画素についての物体の位相を、当該画素についての少なくとも3つの物体輝度値を用いて計算し、
e)各画素についての物体と基準物体との高さの差を、当該画素についての前記基準物体の位相と、前記物体の位相を用いて計算するように構成されているコンピュータと、
を備え、
ステップb)において、前記基準物体上に投影された格子の4つ以上の画像を前記画像取得装置から受け取り、また、ステップc)において、4つ以上の基準物体輝度値から、もっとも好ましい3つの基準物体輝度値を選択して用いて、画素ごとに、前記基準物体の位相を計算するシステム。
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