JP4111579B2 - 有機性汚水処理装置の運転方法および装置 - Google Patents
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Description
本発明は、窒素を含んだ有機性汚水を膜分離活性汚泥処理する有機性汚水処理装置の運転方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機性汚水の処理方法に、活性汚泥法と膜分離法とを併用した膜分離活性汚泥処理と呼ばれる方法がある。
【0003】
膜分離法は、たとえば図3に示したような膜分離装置を図4に示したように設置した処理槽において行う。膜分離装置21は、複数枚の平板状膜カートリッジ22と、その下方より膜面洗浄を兼ねた曝気空気を噴出する散気装置23とをケース24の内部に配置している。膜カートリッジ22は、濾板22Aの表裏各面に濾過膜22Bを配置し、濾板22Aと濾過膜22Bとの間、および濾板22Aの内部に形成された透過液流路に連通する透過液取出口22Cを濾板22Aに形成したものであり、各膜カートリッジ22の透過液取出口22Cにチューブ25を介して連通する集水管26をケース24に取り付けて設けている。そして、この集水管26に連通する透過液導出管27を設けている。
【0004】
窒素を含んだ有機性汚水を膜分離活性汚泥処理する場合を説明すると、図5に示したように、脱窒槽28の後段に配置した硝化槽29の内部に膜分離装置(膜として示す)を浸漬設置する。そして、前処理した汚水を脱窒槽28と硝化槽29とに順次導入し、硝化槽内液30の一部を脱窒槽28に循環返送するフローにおいて、汚水中のBOD分や窒素分を活性汚泥により処理するとともに、硝化槽内液30をその水頭を駆動圧として膜分離装置により重力濾過し(吸引ポンプを用いた吸引濾過も可能である)、膜面を透過した清澄な処理水を槽外へ導出する。このとき、硝化槽29では、上述した散気装置より噴出する曝気空気によって酸素供給するとともに、その気泡およびそれにより生起される上昇水流によって膜分離装置の膜面を洗浄し、それにより、分離機能が低下して膜分離装置全体が停止に至ることを防止するようにしている。
【0005】
このような膜分離活性汚泥処理は、処理水質が安定しており、維持管理も容易なことから広く普及し始めている。
しかし、膜分離装置に関して言うと、曝気空気によって洗浄しているとはいえ、次第に膜面が汚れてくることは避けられないので、逆洗などの手法によって定期的に膜面洗浄している。
【0006】
特に、重力濾過において、液位を制御要素として濾過量が少ない時に散気を停止するようにしていると、液位計等にトラブルが発生したり、あるいは散気装置自体にトラブルが発生した場合に、膜面洗浄流体がない状態で固液分離することになり、膜面に汚泥が堆積して濾過不能を来たすこともあり、そのような時には、膜分離装置全体の運転を停止し、膜カートリッジを槽外に取り出して洗浄するか、あるいは槽内で物理的手段によって洗浄しなければならない。
【0007】
また上記したような濾過不能に至ることがなくとも、年に1回程度は、膜カートリッジを槽外へ取り出して点検したり、あるいは槽内液を抜いて膜カートリッジを点検するようにしており、そのような時に、施設の全面停止が生じないように、図5にも示したように、硝化槽29に並列に同様の硝化槽29' を設置している。(29a,29a' は膜分離装置)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように硝化槽29,29' を並列に設置する場合には、図示したように、脱窒槽28にポンプ装置28aを設置し、このポンプ装置28aによって脱窒槽内液31を分配槽28’を経て硝化槽29へ移送し、硝化槽内液30はオーバーフローにて循環返送することが多い。しかしこの方法では、ポンプ装置28aを利用して余剰汚泥を引き抜こうとすると、脱窒槽内液31を引き抜くことになり、汚泥濃度が低くなってしまう。
【0009】
図6に示したように、硝化槽29,29' にポンプ装置29b,29b' を設置して、このポンプ装置29b,29b' によって硝化槽内液30,30' を脱窒槽28へ循環返送し、脱窒槽内液31をオーバーフローにて硝化槽29,29' へ流入させるようにすると、固液分離によって濃縮された硝化槽内液30,30' を余剰汚泥として引き抜くことになり、汚泥濃度は高くなる。しかしこの場合、硝化槽29,29' における汚泥引抜量を等しくするために、各ポンプ装置29b,29b' およびその予備機のみならず、各ポンプ装置に相応する計量装置(図示せず)を操作しなければならず、管理が複雑である。
【0010】
本発明は上記課題を解決するもので、有機性汚水の浄化および余剰汚泥の処理を効率よく行える有機性汚水処理装置の運転方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の有機性汚水処理装置の運転方法は、窒素を含んだ有機性汚水を活性汚泥により処理する脱窒槽および硝化槽と、硝化槽の内部に浸漬設置されて固液分離を行う膜分離装置とを有した有機性汚水処理装置の運転方法であって、前記有機性汚水を脱窒槽に導入し、脱窒槽内液をオーバーフローにて硝化槽へ流入させるとともに、硝化槽内液を膜分離装置により固液分離して清澄な処理水を導出し、それにより濃縮された硝化槽内液をポンプ装置によって一旦汚泥貯溜槽に移送し、汚泥貯溜槽より槽上部液をオーバーフローにて脱窒槽へ返送するものである。
【0012】
請求項2記載の有機性汚水処理装置は、窒素を含んだ有機性汚水を活性汚泥により処理する有機性汚水処理装置であって、前記有機性汚水を導入する脱窒槽と、脱窒槽からオーバーフローで脱窒槽内液が流入する硝化槽と、硝化槽の内部に浸漬設置して硝化槽内液を固液分離して処理水を導出するとともに、硝化槽内液を濃縮する膜分離装置と、硝化槽から取り出す硝化槽内液をポンプ装置で移送し、槽上部液をオーバーフローで脱窒槽へ返送する汚泥貯溜槽とを備えるものである。
【0013】
上記した請求項1記載の有機性汚水処理装置の運転方法によれば、有機性汚水は脱窒槽と硝化槽に順に流入し、汚泥貯溜槽を経て脱窒槽へ循環返送されるフローにおいて硝化脱窒され、固液分離されて清澄な処理水として導出される。
【0014】
このフローは概ね硝化液循環法に相当し、硝化液循環法には一般に、循環液量を多くなると、硝化槽内液(硝化液)によって脱窒槽に持ち込まれる溶存酸素が汚水中の水素供与体と反応し、脱窒率が低下しやすいという欠点があるが、上記したフローでは硝化槽内液中の溶存酸素は汚泥貯溜槽において完全に消費されてしまい、脱窒反応の阻害は起らず、循環液量を多くできることもあって、脱窒効率が向上する。
【0015】
また、汚泥貯溜槽で一部脱窒が生じて酸化態窒素濃度が低減されるため、脱窒槽でリンが吐出され、硝化槽でリンが過剰に取込まれる生物学的脱リンが生じ、リン除去率が向上する。
【0016】
汚泥貯溜槽内の汚泥は硝化槽と同じ高濃度であるため、余剰汚泥として引き抜いた時に後段の処理が容易である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、窒素を含んだ有機性汚水を活性汚泥により処理する有機性汚水処理装置は、脱窒槽1と、並列に配置した硝化槽2,3とを有しており、硝化槽2,3の後段に汚泥貯溜槽4を設けている。
【0020】
詳しい図示は省略するが、脱窒槽1には、汚水導入管が上部に開口し、槽内液を攪拌する攪拌手段が内部に設置され、硝化槽2,3へ至る越流路が設けられている。
【0021】
硝化槽2には、脱窒槽1からの越流路が開口し、固液分離を行う膜分離装置5が内部に浸漬設置され、槽内型あるいは槽外型のポンプ装置6を介装して汚泥貯溜槽4へ至る移送路が設けられている。
【0022】
同様に、硝化槽3には、脱窒槽1からの越流路が開口し、固液分離を行う膜分離装置7が内部に浸漬設置され、槽内型あるいは槽外型のポンプ装置8を介装して汚泥貯溜槽4へ至る移送路が設けられている。
【0023】
膜分離装置5,7はそれぞれ、先に図2を用いて説明したものと同様の構成を有していて、膜カートリッジの下方に散気装置を設置し、透過液導出管に連通している。
【0024】
汚泥貯溜槽4には、硝化槽2,3からの移送管の他端が連通し、槽内液を攪拌する攪拌手段および曝気手段が内部に設置され、脱窒槽1へ至る越流路が設けられるとともに、底部に汚泥引抜手段が設けられている。
【0025】
上記した有機性汚水処理装置の運転を説明する。
前処理した有機性汚水を脱窒槽1に連続的に導入し、脱窒槽内液9をオーバーフローにて硝化槽2,3へ流入させるとともに、硝化槽内液を膜分離装置5,7により固液分離して処理水を導出し、それにより濃縮された硝化槽内液10,11をポンプ装置6,8によって汚泥貯溜槽4に移送し、汚泥貯溜槽4の槽上部液12をオーバーフローにて脱窒槽1へ返送する。
【0026】
これにより、有機性汚水は脱窒槽1と硝化槽2,3に順次流入し、汚泥貯溜槽4を経て脱窒槽1へ循環返送されるフローにおいて、BOD分や窒素分が活性汚泥の作用により分解除去され、硝化槽2,3において固液分離されて清澄な処理水とされる。
【0027】
このとき、硝化槽内液10,11が汚泥貯溜槽4を経由するため、硝化槽内液10,11中の溶存酸素は完全に消費されてしまい、従来のように脱窒槽1内で汚水中の水素供与体と反応することがないため、脱窒効率が向上する。
【0028】
また、汚泥貯溜槽4内で一部脱窒が生じ、酸化態窒素濃度が低減されるため、生物学的脱リンが生じ、リン除去率が向上する。
汚泥貯溜槽4の汚泥は適宜に余剰汚泥として引き抜くが、引き抜いた余剰汚泥は汚泥濃度が高いため脱水などの後段の処理が容易である。
【0029】
定期的にあるいは適宜に、たとえば硝化槽2において、膜カートリッジを槽外へ取り出したり、あるいは硝化槽内液を抜くような膜分離装置5のメンテナンスを行うが、その時には、脱窒槽内液9を硝化槽3のみに流入させ、逆に膜分離装置7のメンテナンス時には、脱窒槽内液9を硝化槽2のみに流入させるようにし、それにより、施設の全面停止を回避する。
【0030】
図2に示したように、脱窒槽1および硝化槽2、脱窒槽1' および硝化槽3を並列に設けた装置においては、膜分離装置5のメンテナンス時には硝化槽2のみの運転を停止し、逆に膜分離装置7のメンテナンス時には硝化槽3のみの運転を停止すればよい。その時には、脱窒槽1または脱窒槽1'は必ずしも運転停止する必要はなく、運転している硝化槽2または硝化槽3へ流入させればよい。
【0031】
なお、脱窒槽1,1' 、硝化槽2,3、汚泥貯溜槽4、膜分離装置5,6は上述したような構成に限定されず、たとえば膜分離装置5,6を管状膜などを有した他のタイプの外圧型膜分離装置に変更することなども可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、窒素を含んだ有機性汚水を膜分離活性汚泥処理するに際し、汚水を脱窒槽と硝化槽に順次流入させ、汚泥貯溜槽を経て脱窒槽へ循環返送するようにしたことにより、硝化槽内液中の溶存酸素が汚泥貯溜槽で完全に消費されて脱窒効率が向上するとともに、汚泥貯溜槽で一部脱窒が生じて酸化態窒素濃度が低減されるため生物学的脱リンが生じ、リン除去率が向上する。このとき、脱窒槽から硝化槽、および汚泥貯溜槽から脱窒槽へはオーバーフローで送液し、硝化槽から汚泥貯溜槽へはポンプ送液するようにしたため、汚泥貯溜槽において汚泥濃度の高い余剰汚泥を引き抜くことができ、後段の処理が容易になる。また、汚泥貯溜槽に常に新鮮な汚泥濃縮液が移送されるので、攪拌や曝気が不十分であることに起因する悪臭や蝿の発生が全くなくなる。
【0033】
硝化槽を並列に設けたり、あるいは脱窒槽と硝化槽とを互いに直列にかつ同一槽どうし並列に配置した処理装置においては、膜分離装置などのメンテナンス時には、メンテナンスに係る硝化槽および脱窒槽のみの運転を停止すればよく、施設の全面停止を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態において運転される有機性汚水処理装置の概略構成およびその処理フローを示した説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態において運転される有機性汚水処理装置の概略構成およびその処理フローを示した説明図である。
【図3】上記した各有機性汚水処理装置に設置される従来よりある膜分離装置の全体構成を示した斜視図である。
【図4】上記した膜分離装置を処理槽に設置した状態を示した説明図である。
【図5】従来の方法によって運転される有機性汚水処理装置の概略構成およびその処理フローを示した説明図である。
【図6】従来の方法によって運転される他の有機性汚水処理装置の概略構成およびその処理フローを示した説明図である。
【符号の説明】
5,7 膜分離装置
6,8 ポンプ装置
9,9' 脱窒槽内液
10,11 硝化槽内液
12 槽上部液
Claims (2)
- 窒素を含んだ有機性汚水を活性汚泥により処理する脱窒槽および硝化槽と、硝化槽の内部に浸漬設置されて固液分離を行う膜分離装置とを有した有機性汚水処理装置の運転方法であって、前記有機性汚水を脱窒槽に導入し、脱窒槽内液をオーバーフローにて硝化槽へ流入させるとともに、硝化槽内液を膜分離装置により固液分離して清澄な処理水を導出し、それにより濃縮された硝化槽内液をポンプ装置によって一旦汚泥貯溜槽に移送し、汚泥貯溜槽より槽上部液をオーバーフローにて脱窒槽へ返送することを特徴とする有機性汚水処理装置の運転方法。
- 窒素を含んだ有機性汚水を活性汚泥により処理する有機性汚水処理装置であって、前記有機性汚水を導入する脱窒槽と、脱窒槽からオーバーフローで脱窒槽内液が流入する硝化槽と、硝化槽の内部に浸漬設置して硝化槽内液を固液分離して処理水を導出するとともに、硝化槽内液を濃縮する膜分離装置と、硝化槽から取り出す硝化槽内液をポンプ装置で移送し、槽上部液をオーバーフローで脱窒槽へ返送する汚泥貯溜槽とを備えることを特徴とする有機性汚水処理装置。
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