JP4111003B2 - Linc方式線形増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、線形増幅器に関し、特に、非線形素子を用いた線形増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムにおいては、基地局や移動局の低消費電力化と小型化を実現するために、電力効率が高く線形性に優れた増幅器が必要とされている。近年注目されている線形増幅器の一つに非線形素子を用いた線形増幅(LINC:LInear amplification using Nonlinear Components)方式のものがある。
【0003】
LINCでは、変調された信号を2つの定振幅信号に分解して、それぞれを電力効率の高い非線形素子で増幅し、それら出力を合成したものを出力する。
【0004】
図7は、従来のLINC方式線形増幅器の構成を示す。同図を参照して、この従来のLINC方式線形増幅器70は、信号分離部11と、非線形増幅器51,52と、加算器16とを含む。なお、このLINC方式線形増幅器70は、周波数変換部と、アナログ−デジタル変換部と、デジタル−アナログ変換部と、直交変調部なども含むが、これらの動作は、自明なものなので、ここでは、説明を省略する。
【0005】
信号分離部11には、入力信号s(n)が入力される。入力信号s(n)は、複素信号であり、
s(n)=A(n)exp(jθ(n))・・・(A1)
と表わせる。ここで、nは時刻、A(n)はs(n)の振幅、jは虚数単位、θ(n)はs(n)の位相である。
【0006】
信号分離部11は、入力信号s(n)を、次のように2系統の定振幅信号s1(n)とs2(n)とに分離する。
【0007】
s(n)=s1(n)+s2(n)・・・(A2)
1(n)=Vexp[j(θ(n)+ψ(n))]・・・(A3)
2(n)=Vexp[j(θ(n)−ψ(n))]・・・(A4)
ここで、Vは一定の振幅である。
【0008】
式(A1)、(A3)、および(A4)を式(A2)に代入することにより、
A(n)exp(jθ(n))=Vexp(jθ(n))(exp(jψ(n))+exp(−jψ(n))=2Vcos(ψ(n))exp(jθ(n))・・・(A5)
となるので、Vm=2Vとすると、
ψ(n)=cos-1(A(n)/Vm)・・・(A6)
となる。なお、Vmは、s(n)の最大振幅であるmax[A(n)]以上に設定する必要がある。
【0009】
非線形増幅器51は、定振幅信号s1(n)を増幅して、第1系統の増幅信号y1(n)を出力する。非線形増幅器52は、定振幅信号s2(n)を増幅して、第2系統の増幅信号y2(n)を出力する。非線形増幅器51および52の振幅利得をGとし、位相変化をφとすると、第1系統の増幅信号y1(n)および第2系統の増幅信号y2(n)は、
1(n)=Gs1(n)exp(jφ)=GVexp[j(θ(n)+ψ(n)+φ)]・・・(A7)
2(n)=Gs2(n)exp(jφ)=GVexp[j(θ(n)−ψ(n)+φ)]・・・(A8)
と表わされる。
【0010】
加算器16は、第1系統の増幅信号y1(n)と第2系統の増幅信号y2(n)とを加算して、出力信号y(n)を出力する。出力信号y(n)は、次のように表わされる。
【0011】
y(n)=y1(n)+y2(n)=Gs1(n)exp(jφ)+Gs2(n)exp(jφ)=Gs(n)exp(jφ)・・・(A9)
したがって、出力信号y(n)は、入力信号s(n)をG倍して、位相をφだけ変化させたものとなる。
【0012】
上述のs1(n)、s2(n)、s(n)、y1(n)、y2(n)、y(n)のベクトルで表すと図8のようになる。
【0013】
LINC方式線形増幅器では、上述のように、2つの非線形増幅器51および52の振幅利得および位相特性が同一であれば、2系統の伝送特性が同一となり、正常に動作する。しかし、実際には、2つの非線形増幅器51および52の振幅利得および位相特性には、製造ばらつきがあるとともに、温度変化や経年変化によって変動するので、非線形増幅器51および52の振幅利得および位相特性を補正することによって、2系統の伝送特性を同一にする必要がある。
【0014】
非特許文献1では、2台の増幅器の間の振幅利得差と位相差を推定して、この推定した値に基づいて、補正を行なうことによって、所望の値を出力する方法が記載されている。
【0015】
図9は、非特許文献1に記載の従来方式線形増幅器の構成を示す。同図を参照して、この従来方式線形増幅器80は、信号分離部11と、アンバランス推定部63と、乗算器64と、増幅器61,62と、加算器16とを含む。なお、この従来方式線形増幅器80は、周波数変換部と、アナログ−デジタル変換部と、デジタル−アナログ変換部と、直交変調部なども含むが、これらの動作は、自明なものなので、ここでは、説明を省略する。
【0016】
信号分離部11は、図7に示したものと同様である。したがって、式(A1)〜(A6)が成り立つ。
【0017】
増幅器61は、定振幅信号s1(n)を増幅して、第1系統の増幅信号y1(n)を出力する。増幅器61の振幅利得をG1とし、位相変化をφ1とする。第1系統の増幅信号y1(n)は、
1(n)=G11(n)exp(jφ1)・・・(A10)
と表わされる。
【0018】
乗算器64は、アンバランス推定部63から出力される補正係数γと、定振幅信号s2(n)とを乗算して、補正された定振幅信号s2’(n)を出力する。補正された定振幅信号s2’(n)は、
2’(n)=γs2(n)・・・(A11)
と表わされる。
【0019】
増幅器62は、補正された定振幅信号s2’(n)を増幅して、第2系統の増幅信号y2(n)を出力する。増幅器62の振幅利得をG2とし、位相変化をφ2とする。第2系統の増幅信号y2(n)は、
2(n)=G22’(n)exp(jφ2)・・・(A12)
と表わされる。
【0020】
加算器16は、第1系統の増幅信号y1(n)と第2系統の増幅信号y2(n)とを加算して、出力信号y(n)を出力する。出力信号y(n)は、次のように表わされる。
【0021】
y(n)=y1(n)+y2(n)=G11(n)exp(jφ1)+G22’(n)exp(jφ2)=G11(n)exp(jφ1)+G2γs2(n)exp(jφ2)・・・(A13)
ここで、増幅器61および増幅器62の振幅利得G1、G2、および、位相変化φ1、φ2には、次の関係があるとする。
【0022】
2=G1+ΔG・・・(A14)
φ2=φ1+Δφ・・・(A15)
定振幅信号s2(n)と補正係数γとの乗算によって、振幅利得差ΔGおよび位相差Δφが正確に補正されている場合には、出力信号y(n)は、所望の値、たとえば、
y(n)=G1s(n)exp(jφ1)・・・(A16)
と表わされる。
【0023】
式(A13)〜(A16)より、最適な補正係数γは、
γ={G1exp(jφ1)}/{G2exp(jφ2)}={G1/(G1+ΔG)}exp(−jΔφ)・・・(A17)
となる。
【0024】
1(n)、s2(n)、s2’(n)、s(n)、y1(n)、y2(n)、y(n)をベクトルで表すと図10のようになる。
【0025】
アンバランス推定部63は、s1(n)、s2(n)、およびy(n)より、最小2乗法を利用して、補正係数γを算出する。この最小2乗法について説明する。
【0026】
まず、式(A13)を次のように表わす。
y(n)=G11(n)exp(jφ1)+γG22(n)exp(jφ2)=a11(n)+γa22(n)・・・(A18)
ここで、
1=G11(n)exp(jφ1)・・・(A19)
2=G22(n)exp(jφ2)・・・(A20)
とする。最適な補正係数γは、式(A17)で与えられ、式(A17)を(A19)および(A20)を用いて、書換えると、
γ=a1/a2・・・(A21)
となる。このとき出力信号y(n)は、式(A18)および(A21)より、
y(n)=a11(n)+(a1/a2)a22(n)=a1[s1(n)+s2(n)]・・・(A22)
と表わされる。
【0027】
γは、未知の値なので、最初は、γ=1とする。γ=1のとき、式(A18)を変形すると、
1(n)+(a2/a1)s2(n)−(1/a1)y(n)=0・・・(A23)
となる。式(A23)を用いて、誤差信号e(n)を次のように定義する。
【0028】
e(n)=s1(n)−w1 *2(n)−w2 *y(n)・・・(A24)
ここで、
1 *=−(a2/a1)・・・(A25)
2 *=(1/a1)・・・(A26)
である。ここで、‘*’は、共役複素演算を表わす。
【0029】
(A24)をベクトルで表わすと、
e(n)=s1(n)−WHX(n)・・・(A27)
となる。ここで、
W=[w1、w2T・・・(A28)
X(n)=[s2(n)、y(n)]T・・・(A29)
である。ここで、[…]T は、[…]の転置を示し、[…]Hは、[…]の共役転置を示す。
【0030】
評価関数Jを
J=Σ|e(n)|2・・・(A30)
とする。ここで、Σは、総和を示す。最小2乗法とは、結局のところ、この評価関数Jを最小とするw1とw2とを求めることである。
【0031】
最適な解は、
W=R-1r・・・(A31)
として与えられる。ここで、
R=Σ{X(n)XH(n)}・・・(A32)
r=Σ{X(n)s1 *(n)}・・・(A33)
である。[…]-1は、[…]の逆行列を示す。
【0032】
式(A31)〜(A33)によって、N個のs1(n)、s2(n)、およびy(n)からWを計算する。
【0033】
Wを計算した後、式(A28)からw1が得られる。さらに、式(A25)より、w1の複素共役をとると、−(a2/a1)が得られる。さらに、これに、(−1)を乗算して、(a2/a1)が得られる。この得られた(a2/a1)は、式(A21)によると、補正係数γである。以上により、補正係数γが推定されたことになる。
【0034】
ところで、非特許文献1に記載の増幅器61および62は、線形動作することを前提としている。つまり、式(A10)および(A12)に示すように、増幅器の振幅利得をG、位相変化をφとしたときに、増幅器の出力は、増幅器の入力をGexp(jφ)倍した値となる。
【0035】
このような線形動作が可能な増幅器には、たとえばA級増幅器やAB級増幅器がある。図11は、A級またはAB級増幅器の入出力信号の関係を示す図である。同図に示すように、これらの増幅器は、飽和特性を示す。すなわち、増幅器の入力信号がPin以下のときには、入力信号に対して出力信号は線形性を示すが、増幅器の入力信号がPinを越えたときには、入力信号に対して出力信号は非線形を示す。
【0036】
図12(a)は、入力信号の時間変化を示す。同図に示すように、入力信号はは、Pinを越える時間帯がある。図12(b)は、出力信号の時間変化を示す。同図に示すように、増幅器の飽和特性によって、出力信号の振幅は削られる(クリッピング)。
【0037】
このような増幅器の飽和特性によって、出力信号の振幅が削られると、図13に示すように、出力信号は、所望の信号帯域成分外に新たな周波数成分をもつことになる。このような所望の信号帯域外の周波数成分は、別の通信に影響を与えることになる。
【0038】
したがって、このような信号帯域外の周波数成分の発生を防止するために、図11に示すようなバックオフを設けることによって、線形領域内に動作点を設けることが必要となる。
【0039】
【非特許文献1】
流田理一郎、府川和彦、鈴木博、「最小2乗法によるLINC用送信電力増幅器の振幅・位相バランス調整法」、電子情報通信学会技術報告、2001、Vol.101、No.436、p.7−12
【0040】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、A級増幅器およびAB級増幅器では、一般に電力効率が低いところ、このようなバックオフを設けることによって、さらに電力効率が低下してしまう。
【0041】
そこで、LINC方式線形増幅器における増幅器として、D級増幅器、E級増幅器、またはF級増幅器のような電力効率の高い非線形増幅器を用いることが有効と考えられる。
【0042】
たとえば、D級増幅器は、非線形の動作を行なう。すなわち、D級増幅器は、入力信号が0のときには、0を出力するが、入力信号が0以外のときには、入力の大きさに無関係に定振幅信号を出力する。
【0043】
2台の非線形増幅器の出力振幅をそれぞれV1、V2とし、位相変化をそれぞれφ1、φ2とすると、V1=V2、およびφ1=φ2である場合には、これらの非線形増幅器を用いたLINC方式線形増幅器は正常に動作する。
【0044】
一方、製造ばらつき、温度変化、または経年変化などによって、V1≠V2、またはφ1≠φ2である場合には、正常に動作しない。
【0045】
図14は、2台の非線形増幅器の出力振幅および位相特性にばらつきがないときの出力信号y(n)と、ばらつきがあるときの出力信号y*(n)とを示す。同図に示すように、2台の非線形増幅器の出力振幅と位相変化が、いずれもV1およびφ1であるときには、一方の非線形増幅器の増幅信号y1(n)と、他方の非線形増幅器の増幅信号y2(n)とが合成されて、出力信号y(n)が得られる。出力信号y(n)の大きさは、所望の値である(V1/V)A(n)となる。
【0046】
一方の非線形増幅器の出力振幅がV1で位相変化がφ1であり、他方の非線形増幅器の出力振幅がV2(≠V1)で位相変化がφ2(≠φ1)のときには、一方の非線形増幅器の増幅信号y1 *(n)と、他方の非線形増幅器の増幅信号y2 *(n)とが合成されて、出力信号y*(n)が得られる。出力信号y*(n)の大きさは、所望の値である(V1/V)A(n)とならない。
【0047】
したがって、V1≠V2、またはφ1≠φ2である場合には、非特許文献1のように補正が必要となる。非特許文献1の増幅器62では、式(A4)、(A11)および(A12)に示すように、出力振幅は、G2|γ|Vとなり、補正係数γによる補正の効果が出力振幅に現れる。
【0048】
ところが、非線形増幅器に対して、非特許文献1のような補正では、非線形増幅器の出力振幅は、補正係数γの大きさに無関係に一定であるため、補正係数γによる補正の効果は現れない。
【0049】
それゆえ、本発明の目的は、高い電力効率で動作する複数台の非線形増幅器を用いて線形増幅を行ない、複数台の非線形増幅器の間に振幅差または位相差がある場合においても、適切な補正によって所望の値に近い値を出力することができるLINC方式の線形増幅器を提供することである。
【0050】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明に係わるLINC方式線形増幅器は、入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と、各系統の位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、各系統の非線形増幅器の出力を合成して出力信号として出力する加算部と、各系統の非線形増幅器の出力振幅および位相の相違を示す相違量に基づいて、出力信号が所望の値となるように、各系統の前記位相補正部で補正すべき位相量を算出する位相補正量計算部とを備える。
【0051】
好ましくは、信号分離部は、入力信号を二系統の定振幅信号に分離し、nを時刻、入力信号s(n)の振幅をA(n)、各定振幅信号の振幅をV、第1系統の定振幅信号との入力信号との位相差をψ(n)、第2系統の定振幅信号との入力信号との位相差を−ψ(n)、第1系統の非線形増幅器の出力振幅をV1、位相変化をφ1、第2系統の非線形増幅器の出力振幅をV2、位相変化をφ2とし、V2=αV1、φ2−φ1=Δφであって、加算部で出力される出力信号y(n)を(V1/V)s(n)exp(jφ1)とするときに、位相補正量計算部は、第1系統の位相補正部で補正すべき位相量Δθ1(n)を、Δθ1(n)=cos-1[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]−ψ(n)に基づいて算出し、第2系統の位相補正部で補正すべき位相量Δθ2(n)を、Δθ2(n)=ψ(n)−cos-1[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]−Δφに基づいて算出する。
【0052】
好ましくは、位相補正量計算部は、x=[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]としたときに、x>1のときに、cos-1(x)=0として、Δθ1(n)を算出し、x<−1のときに、cos-1(x)=πとして、Δθ1(n)を算出し、x=[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]としたときに、x>1のときに、cos-1(x)=0として、Δθ2(n)を算出し、x<−1のときに、cos-1(x)=πとして、Δθ2(n)を算出する。
【0053】
好ましくは、LINC方式線形増幅器は、さらに、出力信号と、位相補正された第1系統の定振幅信号と、位相補正された第2系統の定振幅信号とに基づいて、最小2乗法によって、αおよびΔφを推定するアンバランス推定部を備える。
【0054】
また、この発明に係わるLINC方式線形増幅器は、入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、第1系統を除く各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と、各系統の定振幅信号または位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、各系統の非線形増幅器の出力の振幅を指定された減衰量だけ減衰させる振幅減衰部と、各系統の振幅減衰部の出力を合成して、出力信号として出力する加算部と、第1系統の非線形増幅器の位相変化と、各系統の非線形増幅器の位相変化との差を、位相補正部で補正すべき位相量として位相補正部に与える指定部と、各系統の非線形増幅器の出力振幅の相違を示す相違量に基づいて、出力信号が所望の値となるように、各振幅減衰部で減衰すべき減衰量を算出する振幅減衰量計算部とを備える。
【0055】
好ましくは、信号分離部は、入力信号を二系統の定振幅信号に分離し、nを時刻、入力信号s(n)の振幅をA(n)、各定振幅信号の振幅をV、第1系統の定振幅信号と入力信号との位相差をψ(n)、第2系統の定振幅信号と入力信号との位相差を−ψ(n)、第1系統の非線形増幅器の出力振幅をV1、位相変化をφ1、第2系統の非線形増幅器の出力振幅をV2、位相変化をφ2、第1系統の振幅減衰部による振幅減衰量をβ1、第2系統の振幅減衰部による振幅減衰量をβ2とし、V2=αV1、φ2−φ1=Δφであって、加算部で出力される出力信号y(n)を(V1/V)β1s(n)exp(jφ1)とするときに、位相補正部は、第2系統の定振幅信号を−Δφだけ回転し、振幅減衰量計算部は、(β1/β2)=αの関係を満たすように、β1およびβ2を算出する。
【0056】
好ましくは、振幅減衰量計算部は、α=1のときに、β1=1、かつβ2=1とし、α<1のときに、β1=α、かつβ2=1とし、α>1のときに、β1=1、かつβ2=1/αとする。
【0057】
好ましくは、LINC方式線形増幅器は、さらに、出力信号と、第1系統の定振幅信号と、第2系統の定振幅信号とに基づいて、最小2乗法によって、αおよびΔφを推定するアンバランス推定部を備える。
【0058】
以上のように、この発明に係るLINC方式線形増幅器によれば、高い電力効率で動作する複数台の非線形増幅器を用いて線形増幅を行ない、複数台の非線形増幅器の間に振幅差または位相差がある場合においても、適切な補正によって所望の値を出力することができる。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0060】
<第1の実施形態>
本実施の形態は、2系統の定振幅信号の位相を補正するLINC方式線形増幅器に関する。
【0061】
図1は、第1の実施形態に係るLINC方式線形増幅器の構成を示す。同図を参照して、このLINC方式線形増幅器100は、信号分離部11と、位相補正部12,13と、非線形増幅器14,15と、加算器16と、位相補正量計算部17と、アンバランス推定部18とを含む。なお、このLINC方式線形増幅器100は、周波数変換部と、アナログ−デジタル変換部と、デジタル−アナログ変換部と、直交変調部なども含むが、これらの動作は、自明なものなので、ここでは、説明を省略する。
【0062】
信号分離部11には、入力信号s(n)が入力される。入力信号s(n)は、複素信号であり、
s(n)=A(n)exp(jθ(n))・・・(B1)
と表わせる。ここで、nは時刻、A(n)は、s(n)の振幅、θ(n)は、s(n)の位相である。
【0063】
信号分離部11は、入力信号s(n)を、次のように二系統の定振幅信号s1(n)とs2(n)とに分離する。
【0064】
s(n)=s1(n)+s2(n)・・・(B2)
1(n)=Vexp[j(θ(n)+ψ(n))]・・・(B3)
2(n)=Vexp[j(θ(n)−ψ(n))]・・・(B4)
式(B1)、(B3)、および(B4)を式(B2)に代入することにより、
A(n)exp(jθ(n))
=Vexp(jθ(n))(exp(jψ(n))+exp(−jψ(n))
=2Vcos(ψ(n))exp(jθ(n))・・・(B5)
となるので、Vm=2Vとすると、
ψ(n)=cos-1(A(n)/Vm)・・・(B6)
となる。なお、Vmは、s(n)の最大振幅であるmax[A(n)]以上に設定する必要がある。
【0065】
位相補正部12は、定振幅信号s1(n)の位相を、位相補正量計算部17から出力される位相補正量Δθ1(n)だけ回転して、補正された定振幅信号s1’(n)を出力する。
【0066】
1’(n)=s1(n)exp(j(Δθ1(n))・・・・(B7)
と表わされる。
【0067】
位相補正部13は、定振幅信号s2(n)の位相を、位相補正量計算部17から出力される位相補正量Δθ2(n)だけ回転して、補正された定振幅信号s2’(n)を出力する。
【0068】
2’(n)=s2(n)exp(j(Δθ2(n))・・・・(B8)
と表わされる。
【0069】
非線形増幅器14は、補正された定振幅信号s1’(n)を増幅して、第1系統の増幅信号y1(n)を出力する。非線形増幅器14の振幅利得を(V1/V)とし、位相変化をφ1とする。第1系統の増幅信号y1(n)は、
1(n)=V1[j(θ(n)+ψ(n)+Δθ1(n)+φ1)]・・・(B9)
と表わされる。
【0070】
非線形増幅器15は、補正された定振幅信号s2’(n)を増幅して、第2系統の増幅信号y2(n)を出力する。非線形増幅器15の振幅利得を(V2/V)とし、位相変化をφ2とする。第2系統の増幅信号y2(n)は、
2(n)=V2[j(θ(n)−ψ(n)+Δθ2(n)+φ2)]・・・(B10)
と表わされる。
【0071】
加算器16は、第1系統の増幅信号y1(n)と第2系統の増幅信号y2(n)とを加算して、出力信号y(n)を出力する。出力信号y(n)は、次のように表わされる。
【0072】
y(n)=y1(n)+y2(n)=V1[j(θ(n)+ψ(n)+Δθ1(n)+φ1)]+V2[j(θ(n)−ψ(n)+Δθ2(n)+φ2)]・・・(B11)
ここで、非線形増幅器14および非線形増幅器15の出力振幅V1、V2、および、位相変化φ1、φ2には、次の関係があるとする。
【0073】
2=αV1・・・(B12)
φ2=φ1+Δφ・・・(B13)
位相補正量計算部17は、以下のようにして、アンバランス推定部18で推定されたαとΔφに基づいて、位相補正量Δθ1(n)およびΔθ2(n)を算出する。なお、αとΔφが推定される前には、Δθ1(n)=0、Δθ2(n)=0としておく。
【0074】
位相補正部12および13による補正によって、適切に補正されている場合には、出力信号y(n)は、所望の値、たとえば、
y(n)=(V1/V)s(n)exp(jφ1)・・・(B14)
と表わされる。
【0075】
式(B1)、(B12)および(B13)により、式(B11)および(B14)を整理すると、次式が成り立つ。
【0076】
A(n)=Vexp[j(ψ(n)+Δθ1(n)]+αVexp[j(−ψ(n)+Δθ2(n)+Δφ]・・・(B15)
式(B15)の関係を図示すると、図3のようになる。図3に示す幾何的な関係に、三角関数の余弦定理を利用すると、Δθ1(n)およびΔθ2(n)は、次のように表わされる。
【0077】
Δθ1(n)=cos-1[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]−ψ(n)・・・(B16)
Δθ2(n)=ψ(n)−cos-1[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]−Δφ・・・(B17)
ただし、式(B16)における、cos-1(x)において、x>1のときには、強制的にcos-1(x)=0とし、x<−1のときには、強制的にcos-1(x)=πとすることによって、計算値が異常になるのを防止する。ここで、x=[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]である。
【0078】
また、式(B17)における、cos-1(x)において、x>1のときには、強制的にcos-1(x)=0とし、x<−1のときには、強制的にcos-1(x)=πとすることによって、計算値が異常になるのを防止する。ここで、x=[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]である。
【0079】
つまり、位相補正量計算部17は、各時刻nごとに、式(B16)および(B17)によって、位相補正量Δθ1(n)およびΔθ2(n)を算出し、位相補正部12および13は、式(B7)および(B8)のように、それぞれの定振幅信号をこの算出された位相補正量Δθ1(n)またはΔθ2(n)だけ回転する。
【0080】
図2は、y1 *(n)、y2 *(n)、およびy*(n)と、y1(n)、y2(n)、およびy(n)の相違を示す図である。
【0081】
図14に示したように、一方の非線形増幅器の出力振幅がV1で位相変化がφ1であり、他方の非線形増幅器の出力振幅がV2で位相変化がφ2のときには、一方の非線形増幅器の増幅信号y1 *(n)と、他方の非線形増幅器の増幅信号y2 *(n)とが合成されて、出力信号y*(n)が得られる。出力信号y*(n)の大きさは、所望の値である(V1/V)A(n)とならない。
【0082】
位相補正部12による位相補正によって、非線形増幅器14の増幅信号y1(n)は、補正なしの増幅信号y1 *(n)をΔθ1(n)だけ回転したものとなる。位相補正部13による補正によって、非線形増幅器15の増幅信号y2(n)は、補正なしの増幅信号y2 *(n)をΔθ2(n)だけ回転したものとなる。この2つの非線形増幅器の増幅信号y1(n)とy2(n)とが合成されて出力信号y(n)が得られる。
【0083】
位相補正部12および13による位相補正によって、出力信号y(n)の出力振幅と位相を所望の値に設定することができる。
【0084】
つまり、出力信号y(n)の出力振幅(つまり、ベクトルの大きさ)は、増幅信号y1(n)と増幅信号y2(n)との位相差(つまり、ベクトルのなす角度)に依存する。したがって、位相補正部12および13による位相補正によって、増幅信号y1(n)とy2(n)の位相差を調整することで、出力信号y(n)の出力振幅を所望の値に設定することができる。
【0085】
また、出力信号y(n)の位相(つまり、ベクトルの方向)は、増幅信号y1(n)の位相(つまり、ベクトルの方向)と増幅信号y2(n)の位相(つまり、ベクトルの方向)とに依存する。したがって、位相補正部12および13による位相補正によって、増幅信号y1(n)の位相とy2(n)の位相とを調整することで、出力信号y(n)の位相を所望の値に設定することができる。
【0086】
以上のように位相補正部12による位相補正量Δθ1(n)およびΔθ2(n)は、出力信号y(n)の出力振幅と位相とを同時に補正するための補正量である。
【0087】
ただし、位相補正が可能なのは、入力信号s(n)の振幅A(n)と、2つの非線形増幅器の出力振幅の差ΔV=|V2−V1|との間に、A(n)≧ΔVという条件が満たされているときに限られる。以下にこの理由について説明する。
【0088】
たとえば、入力信号の振幅A(n)=0のときには、図4(a)に示すように、第1系統の定振幅信号s1(n)と第2系統の定振幅信号s2(n)の位相差はπである。また、入力信号の振幅A(n)=0なので、出力信号y(n)=0とならなければならない。
【0089】
一方、第1系統の非線形増幅器14によって、増幅信号y1(n)は、V1となり、第2系統の非線形増幅器15によって、増幅信号y2(n)は、V2となり、位相補正によって得られる出力信号y(n)の最小値は、図4(b)に示すように、(V2−V1)である。したがって、この場合には、位相補正によっては、出力信号y(n)=0にすることができない。
【0090】
さらに、より一般的に説明すると次のようになる。出力信号y(n)が式(B14)のように表されるときには、出力信号y(n)の振幅は(V1/V)A(n)となる。
【0091】
したがって、この出力信号y(n)の振幅(V1/V)A(n)は、位相補正による出力信号の振幅の最小値であるΔV以上でなければならない。つまり、(V1/V)A(n)≧ΔVでなければならない。任意のV1(>V)について、これが成り立つためには、A(n)≧ΔVでなければならない。
【0092】
アンバランス推定部18は、s1’(n)、s2’(n)、およびy(n)より、最小2乗法を利用して、α、およびΔφを算出する。このαとΔφの算出は、温度変化や経年変化に対応するために、適当な時間間隔で行なうものとする。
【0093】
以下に、この最小2乗法について説明する。
まず、式(B11)を、式(B3)および(B4)により書換えると、
y(n)=(V1/V)s1(n)exp(jΔθ1(n))exp(jφ1)+(V2/V)s2(n)exp(jΔθ2(n))exp(jφ2)・・・(B18)
ここで、
1’(n)=s1(n)exp(jΔθ1(n))・・・(B19)
2’(n)=s2(n)exp(jΔθ2(n))・・・(B20)
とすると、出力信号y(n)は、
y(n)=(V1/V)s1’(n)exp(jφ1)+(V2/V)s2’(n)exp(jφ2)・・・(B21)
となる。さらに、
1=(V1/V)exp(jφ1)・・・(B22)
2=(V2/V)exp(jφ2)・・・(B23)
とすると、出力信号y(n)は、
y(n)=b11’(n)+b22’(n)・・・(B24)
と表わされる。式(B24)を変形すると、
1’(n)+(b2/b1)s2’(n)−(1/b1)y(n)=0・・・(B25)
となる。式(B25)を用いて、誤差信号e(n)を次のように定義する。
【0094】
e(n)=s1’(n)−w1 *2’(n)−w2 *y(n)・・・(B26)
ここで、
1 *=−(b2/b1)・・・(B27)
2 *=(1/b1)・・・(B28)
である。ここで、‘*’は、共役複素演算を表わす。
【0095】
(B26)をベクトルで表わすと、
e(n)=s1’(n)−WHX(n)・・・(B29)
となる。ここで、
W=[w1、w2T・・・(B30)
X(n)=[s2’(n)、y(n)]T・・・(B31)
である。ここで、[…]T は、[…]の転置を示し、[…]Hは、[…]の共役転置を示す。
【0096】
評価関数Jを
J=Σ|e(n)|2・・・(B32)
とする。ここで、Σは、総和を示す。最小2乗法とは、結局のところ、この評価関数Jを最小とするw1とw2とを求めることである。
【0097】
最適な解は、
W=R-1r・・・(B33)
として与えられる。ここで、
R=Σ{X(n)XH(n)}・・・(B34)
r=Σ{X(n)s1*(n)}・・・(B35)
である。[…]-1は、[…]の逆行列を示す。
【0098】
式(B33)〜(B35)によって、N個のs1’(n)、s2’(n)、およびy(n)からWを計算する。
【0099】
Wを計算した後、式(B30)からw1が得られる。さらに、式(B27)より、w1の複素共役をとると、−(b2/b1)が得られる。さらに、これに、(−1)を乗算して、(b2/b1)が得られる。
【0100】
(B12)、(B13)、(B22)および(B23)より、
(b2/b1)=(V2/V1)exp(jφ2)/exp(jφ1)=αexp(jΔφ)・・・(B36)
が成り立つ。したがって、得られた(b2/b1)の絶対値がαであり、位相がΔφとなる。以上により、αとΔφとが得られたことになる。
【0101】
以上のように、本実施の形態に係るLINC方式線形増幅器によれば、位相補正部12および13によって、2系統の定振幅信号の位相を補正することによって、補正を行なわない場合と比べて、出力信号の波形歪み、すなわち、実際の出力信号と所望の出力信号との差を小さくすることができ、その結果、出力信号の帯域外成分を小さくすることができる。
【0102】
<第2の実施形態>
本実施の形態は、1系統の定振幅信号の位相を補正するとともに、2系統の非線形増幅器の出力信号の振幅を減衰させるLINC方式線形増幅器に関する。
【0103】
図5は、第2の実施形態に係るLINC方式の線形増幅器の構成を示す。同図を参照して、このLINC方式線形増幅器200は、信号分離部11と、位相補正部21と、非線形増幅器14,15と、振幅減衰部24,25と、加算器16と、アンバランス推定部22と、振幅減衰量計算部23と、乗算器26とを含む。なお、このLINC方式線形増幅器200は、周波数変換部と、アナログ−デジタル変換部と、デジタル−アナログ変換部と、直交変調部なども含むが、これらの動作は、自明なものなので、ここでは、説明を省略する。
【0104】
信号分離部11には、入力信号s(n)が入力される。入力信号s(n)は、複素信号であり、
s(n)=A(n)exp(jθ(n))・・・(C1)
と表わせる。ここで、nは時刻、A(n)は、s(n)の振幅、θ(n)は、s(n)の位相である。
【0105】
信号分離部11は、入力信号s(n)を、次のように二系統の定振幅信号s1(n)とs2(n)とに分離する。
【0106】
s(n)=s1(n)+s2(n)・・・(C2)
1(n)=Vexp[j(θ(n)+ψ(n))]・・・(C3)
2(n)=Vexp[j(θ(n)−ψ(n))]・・・(C4)
式(C1)、(C3)、および(C4)を式(C2)に代入することにより、A(n)exp(jθ(n))=Vexp(jθ(n))(exp(jψ(n))+exp(−jψ(n))=2Vcos(ψ(n))exp(jθ(n))・・・(C5)
となるので、Vm=2Vとすると、
ψ(n)=cos-1(A(n)/Vm)・・・(C6)
となる。なお、Vmは、s(n)の最大振幅であるmax[A(n)]以上に設定する必要がある。
【0107】
乗算器26は、アンバランス推定部22から出力される位相補正量Δφに−1を乗算して、−Δφを出力する。
【0108】
位相補正部21は、定振幅信号s2(n)の位相を、乗算器26から出力される−Δφだけ回転して、補正された定振幅信号s2’(n)を出力する。補正された定振幅信号s2’(n)は、
2’(n)=s2(n)exp(j(−Δφ))・・・・(C7)
と表わされる。
【0109】
非線形増幅器14は、定振幅信号s1(n)を増幅して、第1系統の増幅信号y1(n)を出力する。非線形増幅器14の振幅利得を(V1/V)とし、位相変化をφ1とする。第1系統の増幅信号y1(n)は、
1(n)=V1[j(θ(n)+ψ(n)+φ1)]・・・(C8)
と表わされる。
【0110】
非線形増幅器15は、補正された定振幅信号s2’(n)を増幅して、第2系統の増幅信号y2(n)を出力する。非線形増幅器15の振幅利得をV2とし、位相変化をφ2とすると、第2系統の増幅信号y2(n)は、
2(n)=V2[j(θ(n)−ψ(n)−Δφ+φ2)]・・・(C9)
と表わされる。
【0111】
振幅減衰部24は、第1系統の増幅信号y1(n)の振幅を減衰させる。振幅減衰部24での振幅減衰量をβ1(≦1)とすると、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)は、
1’(n)=β11(n)・・・(C10)
と表わされる。
【0112】
振幅減衰部25は、第2系統の増幅信号y2(n)の振幅を減衰させる。振幅減衰部25での振幅減衰量をβ2(≦1)とすると、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)は、
2’(n)=β22(n)・・・(C11)
と表わされる。
【0113】
加算器16は、第1系統の減衰した増幅信号y1(n)と第2系統の減衰した増幅信号y2(n)とを加算して、出力信号y(n)を出力する。出力信号y(n)は、次のように表わされる。
【0114】
y(n)=y1’(n)+y2’(n)・・・(C12)
式(C8)〜(C12)より、次式が成り立つ。
【0115】
y(n)=V1β1exp[j(θ(n)+ψ(n)+φ1)]+V2β2exp[j(θ(n)−ψ(n)−Δφ+φ2)]・・・(C13)
振幅減衰量計算部21は、以下のようにして、αに基づいて、振幅減衰量β1およびβ2を算出する。
【0116】
ここで、非線形増幅器14および非線形増幅器15の出力振幅V1、V2、および、位相変化φ1、φ2には、次の関係があるとする。
【0117】
2=αV1・・・(C14)
φ2=φ1+Δφ・・・(C15)
位相補正部21および振幅減衰部24,25による補正によって、適切に補正されている場合には、出力信号y(n)は、たとえば、
y(n)=(V1/V)s(n)β1exp(jφ1)・・・(C16)
と表わされる。
【0118】
式(C1)、(C6)、(C14)、(C15)を用いて、式(C13)および(C16)を整理すると、次式が成り立つ。
【0119】
2cos(ψ(n))=exp(jψ(n))+α(β2/β1)exp(−jψ(n))・・・(C17)
式(C17)が常に成り立つためには、
α(β2/β1)=1・・・(C18)
でなければならない。(C18)を変形すると、
β1/β2=α・・・(C19)
となる。振幅減衰量計算部23は、式(C19)を満たした上で、出力信号y(n)が大きくなるように、振幅減衰量β1およびβ2を次のようにして算出する。
【0120】
1)α=1のとき、
このときには、(C19)より、β1=β2となる。β1≦1、かつβ2≦1なので、出力y(n)を大きくするために、
β1=1、かつβ2=1・・・(C20)
とする。
【0121】
このときには、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11は、V1となり、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β22は、V2となる。α=1より、V2=V1なので、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11と、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β12とは、等しくなる。
【0122】
2)α<1のとき、
このときには、(C19)より、β1<β2となる。β1≦1、かつβ2≦1であり、出力y(n)を大きくするために、
β1=α、かつβ2=1・・・(C21)
とする。このときには、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11は、αV1となり、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β22は、V2となる。V2=αV1なので、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11と、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β12とは、等しくなる。
【0123】
3)α>1のとき、
このときには、(C19)より、β1>β2となる。β1≦1、かつβ2≦1であり、出力y(n)を大きくするために、
β1=1、かつβ2=1/α・・・(C22)
とする。
【0124】
このときには、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11は、V1となり、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β22は、(1/α)V2となる。V2=αV1なので、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)の振幅β11と、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)の振幅β12とは、等しくなる。
【0125】
図6は、y1 *(n)、y2 *(n)、およびy*(n)と、y1(n)、y2(n)、およびy(n)の相違を示す図である。
【0126】
図14に示したように、一方の非線形増幅器の出力振幅がV1で位相変化がφ1であり、他方の非線形増幅器の出力振幅がV2で位相変化がφ2のときには、一方の非線形増幅器の増幅信号y1 *(n)と、他方の非線形増幅器の増幅信号y2 *(n)とが合成されて、出力信号y*(n)が得られる。出力信号y*(n)の大きさは、所望の値である(V1/V)A(n)とならない。
【0127】
振幅減衰部24による補正によって、第1系統の減衰した増幅信号y1’(n)は、補正なしの増幅信号y1 *(n)をβ1(=1)だけ減衰したものとなる。位相補正部21および振幅減衰部25による補正によって、第2系統の減衰した増幅信号y2’(n)は、補正なしの増幅信号y2 *(n)を−Δφだけ回転し、かつβ2(=1/α<1)だけ減衰したものとなる。
【0128】
この2つの減衰した増幅信号y1’(n)とy2’(n)とが合成されて出力信号y(n)が得られる。
【0129】
振幅減衰部24,25および位相補正部21による補正によって、出力信号y(n)の出力振幅と位相を所望の値に設定することができる。
【0130】
つまり、出力信号y(n)の出力振幅(つまり、ベクトル大きさ)は、減衰した増幅信号y1’(n)の振幅(つまり、ベクトルの大きさ)と、減衰した増幅信号y2’(n)の振幅(つまり、ベクトルの大きさ)と、2つの減衰した増幅信号y1’(n)とy2’(n)との位相差(つまり、ベクトルのなす角度)に依存する。したがって、振幅減衰部24および25による振幅減衰と、位相補正部21による位相補正とによって、出力信号y(n)の出力振幅を所望の値に設定することができる。
【0131】
また、出力信号y(n)の位相(つまり、ベクトルの方向)は、減衰した増幅信号y1’(n)の振幅(つまり、ベクトルの大きさ)と、減衰した増幅信号y2’(n)の振幅(つまり、ベクトルの大きさ)と、2つの減衰した増幅信号y1’(n)とy2’(n)との位相差(つまり、ベクトルのなす角度)に依存する。したがって、振幅減衰部24および25による振幅減衰と、位相補正部21による位相補正によって、出力信号y(n)の位相を所望の値に設定することができる。
【0132】
アンバランス推定部22は、s1(n)、s2(n)、およびy(n)より、最小2乗法を利用して、α、およびΔφを算出する。この最小2乗法について説明する。
【0133】
まず、式(C13)を、式(C3)および(C4)により書換えると、
y(n)=(V1/V)β11(n)exp(jφ1)+(V2/V)β22(n)exp(jφ2)exp(−jΔφ)・・・(C23)
と表わされる。
【0134】
最初は、Δφ=0、β1=1、およびβ2=1とすると、出力信号y(n)は、y(n)=(V1/V)s1(n)exp(jφ1)+(V2/V)s2(n)exp(jφ2)・・・(C24)
と表わされる。
【0135】
ここで、
1=(V1/V)exp(jφ1)・・・(C25)
2=(V2/V)exp(jφ2)・・・(C26)
とすると、出力信号y(n)は、
y(n)=c11(n)+c22(n)・・・(C27)
となる。式(C27)を変形すると、
1(n)+(c2/c1)s2(n)−(1/c1)y(n)=0・・・(C28)
となる。式(C28)を用いて、誤差信号e(n)を次のように定義する。
【0136】
e(n)=s1(n)−w1 *2(n)−w2 *y(n)・・・(C29)
ここで、
1 *=−(c2/c1)・・・(C30)
2 *=(1/c1)・・・(C31)
である。ここで、‘*’は、共役複素演算を表わす。
【0137】
(C29)をベクトルで表わすと、
e(n)=s1(n)−WHX(n)・・・(C32)
となる。ここで、
W=[w1、w2T・・・(C33)
X(n)=[s2(n)、y(n)]T・・・(C34)
である。ここで、[…]T は、[…]の転置を示し、[…]Hは、[…]の共役転置を示す。
【0138】
評価関数Jを
J=Σ|e(n)|2・・・(C35)
とする。ここで、Σは、総和を示す。最小2乗法とは、結局のところ、この評価関数Jを最小とするw1とw2とを求めることである。
【0139】
最適な解は、
W=R-1r・・・(C36)
として与えられる。ここで、
R=Σ{X(n)XH(n)}・・・(C37)
r=Σ{X(n)s1 *(n)}・・・(C38)
である。[…]-1は、[…]の逆行列を示す。
【0140】
式(C36)〜(C38)によって、N個のs1(n)、s2(n)、およびy(n)からWを計算する。
【0141】
Wを計算した後、式(C33)からw1が得られる。さらに、式(C30)より、w1の複素共役をとると、−(c2/c1)が得られる。さらに、これに、(−1)を乗算して、(c2/c1)が得られる。
【0142】
(C14)、(C15)、(C25)および(C26)より、
(c2/c1)=(V2/V1)exp(jφ2)/exp(jφ1)=αexp(jΔφ)・・・(C39)
が成り立つ。したがって、得られた(c2/c1)の絶対値がαであり、位相がΔφとなる。以上により、αとΔφとが得られたことになる。
【0143】
以上のように、本実施の形態に係るLINC方式線形増幅器によれば、位相補正部21、および振幅減衰部24,25によって、1系統の定振幅信号の位相を補正するとともに、2系統の増幅信号の振幅を補正することによって、補正を行なわない場合と比べて、出力信号の波形歪み、すなわち、実際の出力信号と所望の出力信号との差を小さくすることができ、その結果、出力信号の帯域外成分を小さくすることができる。
【0144】
また、振幅減衰量計算部23は、α=1のときに、β1=1、かつβ2=1とし、α<1のときに、β1=α、かつβ2=1とし、α>1のときに、β1=1、かつβ2=1/αとするので、出力信号の出力振幅を大きくすることができる。
【0145】
また、位相補正部21における位相補正量Δφ、振幅減衰部24,25における振幅減衰量β1およびβ2は、各時刻ごとに計算する必要がないので、補正のための処理負担を軽くすることできる。
【0146】
<変形例>
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、以下の変形例も当然ながら包含する。
【0147】
(アンバランス推定部)
第1および第2の実施形態では、アンバランス推定部18,22によって、αおよびΔφの値を推定するものとしたが、αおよびΔφの値が既知の場合には、アンバランス推定部18,22によるこれらの値の推定は不要である。また、アンバランス推定部18,22によってαおよびΔφの値を一度推定し、それ以降これらの値が変動しない場合には、それ以降のこれらの値の推定は不要である。
【0148】
アンバランス推定部18が不要のときには、図示しない指定部が、αおよびΔφを保持し、これらを位相補正量計算部17に与えるものとすることができる。
【0149】
また、アンバランス推定部22が不要のときには、図示しない指定部が、αおよびΔφを保持し、αを振幅減算量計算部23に与え、Δφを位相補正部21に与えるものとすることができる。
【0150】
(3以上の複数系統への分離)
本発明の実施形態では、入力信号を2系統の定振幅信号に分離して、各系統の定振幅信号に対して、位相の補正、または振幅の補正を行なうことによって、出力信号の振幅と位相を所望の値に設定したが、これに限定されるものではない。たとえば、入力信号を3系統以上の定振幅信号に分離して、そのうちの2系統の定振幅信号に対して、位相の補正、または振幅の補正を行なうことによって、出力信号の振幅と位相を所望の値に設定するものとしてもよい。
【0151】
あるいは、入力信号を3系統以上の定振幅信号に分離して、分離した各系統の定振幅信号に対して、位相の補正、または振幅の補正を行なうことによって、出力信号の振幅と位相を所望の値に設定するものとしてもよい。
【0152】
第1の実施形態では、各系統の位相補正部が、分離された各系統の定振幅信号の位相の補正、つまり、図2のベクトル平面において各系統の定振幅信号を示すベクトルを回転する補正を行なう。この位相補正量(回転量)は、補正後のベクトルを合成したベクトルが所望の出力信号y(n)を示すベクトルと一致するように位相補正量計算部が計算すればよい。
【0153】
第2の実施形態では、位相補正部が、第1系統を除く各系統の分離された定振幅信号の位相の補正、つまり、図6のベクトル平面において各系統の定振幅信号を示すベクトルを回転する補正を行なう。この位相補正量(回転量)は、第1系統の非線形増幅器の位相変化と、各系統の非線形増幅器の位相変化との差とする。そして、非線形増幅器で増幅された各系統の増幅信号の振幅を減衰させる補正、つまり、図6のベクトル平面において、各系統の増幅信号を示すベクトルの大きさを縮小する補正を行なう。この縮小率(振幅減衰量)は、補正後のベクトルを合成したベクトルが所望の出力信号y(n)を示すベクトルと一致するように振幅減衰量計算部が計算すればよい。
【0154】
そして、これら3系統以上の定振幅信号に分離するときには、アンバランス推定部は各系統のαおよびΔφを推定し、指定部は各系統のαおよびΔφを保持する。アンバランス推定部および指定部は、これらのαまたはΔφの値を、位相補正量計算部、振幅減算量計算部、または位相補正部に与えるものとすることができる。
【0155】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0156】
【発明の効果】
この発明に係わるにLINC方式線形増幅器によれば、入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と、各系統の位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、各系統の非線形増幅器の出力を合成して出力信号として出力する加算部と、各系統の非線形増幅器の出力振幅および位相の相違を示す相違量に基づいて、出力信号が所望の値となるように、各系統の前記位相補正部で補正すべき位相量を算出する位相補正量計算部とを備えるので、高い電力効率で動作する複数台の非線形増幅器を用いて線形増幅を行ない、複数台の非線形増幅器の間に振幅差または位相差がある場合においても、適切な補正によって所望の値に近い値を出力することができる。
【0157】
また、この発明に係るLINC方式線形増幅器によれば、入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、第1系統を除く各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と、各系統の定振幅信号または位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、各系統の非線形増幅器の出力の振幅を指定された減衰量だけ減衰させる振幅減衰部と、各系統の振幅減衰部の出力を合成して、出力信号として出力する加算部と、第1系統の非線形増幅器の位相変化と、各系統の非線形増幅器の位相変化との差を、位相補正部で補正すべき位相量として位相補正部に与える指定部と、各系統の非線形増幅器の出力振幅の相違を示す相違量に基づいて、出力信号が所望の値となるように、各振幅減衰部で減衰すべき減衰量を算出する振幅減衰量計算部とを備えるので、高い電力効率で動作する複数台の非線形増幅器を用いて線形増幅を行ない、複数台の非線形増幅器の間に振幅差または位相差がある場合においても、適切な補正によって所望の値に近い値を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係るLINC方式線形増幅器の構成を示す図である。
【図2】 y1 *(n)、y2 *(n)、およびy*(n)と、y1(n)、y2(n)、y(n)の相違を示す図である。
【図3】 式(B15)の関係を表す図である。
【図4】 (a)は、入力信号の振幅A(n)=0のときの、2系統の定振幅信号の状態を示す図であり、(b)は、位相補正による出力信号が最小となるときの、2系統の増幅信号の状態を示す図である。
【図5】 第2の実施形態に係るLINC方式線形増幅器の構成を示す図である。
【図6】 y1 *(n)、y2 *(n)、およびy*(n)と、y1(n)、y2(n)、およびy(n)の相違を示す図である。
【図7】 従来のLINC方式線形増幅器の構成を示す図である。
【図8】 図7に示す従来のLINC方式線形増幅器におけるs1(n)、s2(n)、s(n)、y1(n)、y2(n)、y(n)をベクトルで表した図である。
【図9】 非特許文献1に記載の従来方式線形増幅器の構成を示す図である。
【図10】 図9に示す従来方式線形増幅器におけるs1(n)、s2(n)、s2’(n)、s(n)、y1(n)、y2(n)、y(n)をベクトルで表した図である。
【図11】 A級またはAB級増幅器の入出力信号の関係を示す図である。
【図12】 (a)は、入力信号の時間変化を示し、(b)は、出力信号の時間変化を示す波形図である。
【図13】 出力信号の周波数を示す図である。
【図14】 2台の非線形増幅器の出力振幅および位相特性にばらつきがないときの出力信号y(n)と、ばらつきがあるときの出力信号y*(n)とを示す図である。
【符号の説明】
11 信号分離部、12,13 位相補正部、14,15、51,52 非線形増幅器、16 加算器、17 位相補正量計算部、18,22,63 アンバランス推定部、23 振幅減衰量計算部、24,25 振幅減衰部、26 乗算器、61,62,64 増幅器、70 従来のLINC方式線形増幅器、80 従来方式線形増幅器、100,200 LINC方式線形増幅器。

Claims (4)

  1. 入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、
    各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と
    各系統の前記位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、
    各系統の前記非線形増幅器の出力を合成して出力信号として出力する加算部と、
    各系統の前記非線形増幅器の出力振幅および位相の相違を示す相違量に基づいて、前記出力信号が所望の値となるように、各系統の前記位相補正部で補正すべき位相量を算出する位相補正量計算部とを備え、
    前記信号分離部は、入力信号を二系統の定振幅信号に分離し、
    nを時刻、
    前記入力信号s(n)の振幅をA(n)、
    前記各定振幅信号の振幅をV、
    第1系統の前記定振幅信号と前記入力信号との位相差をψ(n)、
    第2系統の前記定振幅信号と前記入力信号との位相差を−ψ(n)、
    第1系統の前記非線形増幅器の出力振幅をV1、位相変化をφ1
    第2系統の前記非線形増幅器の出力振幅をV2、位相変化をφ2とし、
    2=αV1
    φ2−φ1=Δφであって、
    前記加算部で出力される出力信号y(n)を(V1/V)s(n)exp(jφ1)とするときに、
    前記位相補正量計算部は、第1系統の前記位相補正部で補正すべき位相量Δθ1(n)を、Δθ1(n)=cos-1[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]−ψ(n)に基づいて算出し、
    第2系統の前記位相補正部で補正すべき位相量Δθ2(n)を、Δθ2(n)=ψ(n)−cos-1[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]−Δφに基づいて算出するLINC方式線形増幅器。
  2. 前記位相補正量計算部は、x=[{A(n)2+V2−(αV)2}/{2A(n)V}]としたときに、x>1のときに、cos-1(x)=0として、Δθ1(n)を算出し、x<−1のときに、cos-1(x)=πとして、Δθ1(n)を算出し、
    x=[{A(n)2+(αV)2−V2}/{2αA(n)V}]としたときに、x>1のときに、cos-1(x)=0として、Δθ2(n)を算出し、x<−1のときに、cos-1(x)=πとして、Δθ2(n)を算出する、請求項記載のLINC方式線形増幅器。
  3. 前記LINC方式線形増幅器は、さらに、
    前記出力信号と、前記位相補正された第1系統の定振幅信号と、前記位相補正された第2系統の定振幅信号とに基づいて、最小2乗法によって、前記αおよびΔφを推定するアンバランス推定部を備えた請求項記載のLINC方式線形増幅器。
  4. 入力信号を複数の定振幅信号に分離する信号分離部と、
    第1系統を除く各系統の分離された定振幅信号を指定された位相量だけ回転して位相補正を行なう位相補正部と、
    各系統の定振幅信号または前記位相補正された定振幅信号を増幅して、一定振幅の信号を出力する非線形増幅器と、
    各系統の前記非線形増幅器の出力の振幅を指定された減衰量だけ減衰させる振幅減衰部と、
    各系統の前記振幅減衰部の出力を合成して、出力信号として出力する加算部と、
    第1系統の前記非線形増幅器の位相変化と、各系統の前記非線形増幅器の位相変化との差を、前記位相補正部で補正すべき位相量として前記位相補正部に与える指定部と、
    各系統の前記非線形増幅器の出力振幅の相違を示す相違量に基づいて、前記出力信号が 所望の値となるように、前記各振幅減衰部で減衰すべき減衰量を算出する振幅減衰量計算部とを備え
    前記信号分離部は、入力信号を二系統の定振幅信号に分離し、
    nを時刻、
    前記入力信号s(n)の振幅をA(n)、
    前記各定振幅信号の振幅をV、
    第1系統の前記定振幅信号と前記入力信号との位相差をψ(n)、
    第2系統の前記定振幅信号と前記入力信号との位相差を−ψ(n)、
    第1系統の前記非線形増幅器の出力振幅をV 1 、位相変化をφ 1
    第2系統の前記非線形増幅器の出力振幅をV 2 、位相変化をφ 2
    第1系統の前記振幅減衰部による振幅減衰量をβ 1
    第2系統の前記振幅減衰部による振幅減衰量をβ 2 とし、
    2 =αV 1
    φ 2 −φ 1 =Δφであって、
    前記加算部で出力される出力信号y(n)を(V 1 /V)β 1 s(n)exp(jφ 1 )とするときに、
    前記位相補正部は、前記第2系統の定振幅信号を−Δφだけ回転し、
    前記振幅減衰量計算部は、(β 1 /β 2 )=αの関係を満たすように、β 1 およびβ 2 を算出し、
    前記振幅減衰量計算部は、α=1のときに、β 1 =1、かつβ 2 =1とし、α<1のときに、β 1 =α、かつβ 2 =1とし、α>1のときに、β 1 =1、かつβ 2 =1/αとし
    前記LINC方式線形増幅器は、さらに、
    前記出力信号と、前記第1系統の定振幅信号と、前記第2系統の定振幅信号とに基づいて、最小2乗法によって、前記αおよびΔφを推定するアンバランス推定部を備えたLINC方式線形増幅器。
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