JP4110034B2 - 平版印刷用の版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷などに使用される平版印刷用の版に関し、特に現像処理の不要な水あり印刷版用の版に関する。又、本発明は、該版を製造するための感光液及びその調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの普及につれ、版材構成とともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作成して平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われているが、該フィルムを介することなく版下から直接製版する電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTPで編集・作成された印刷画像情報を可視画像化することなく直接版材にレーザー若しくはサーマルヘッドで印字し製版する所謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイプの印刷版が登場するに至っている。特にCTPタイプは製版工程の合理化と短縮化、材料費節減が可能となることから、DTP化が完了した新聞製作等の分野で大いに期待されている。
【0003】
かかるCTP版材としては、感光性、感熱性あるいは電気エネルギーで製版する版材が知られている。感光性タイプの版材は、有機半導体、銀塩+感光性樹脂系、高感度感光性樹脂等の材料を塗布しArレーザー、半導体レーザー等で光照射による印字を行い、引き続き現像して製版される。しかしながら、これらの版材は、その製造装置が大型かつ高価であり、版価格も従来のPS版に比べ割高である。そのため、これらの版材および製版工程は実用化には至っていない。さらに、これらは現像液の廃棄処理の問題も有する。このほか、軽印刷向けに銀塩写真版があるが、耐刷性が低いため、軽印刷のみに用いられている。
【0004】
また、電気エネルギーで製版する版材(特許文献1:欧州公開公報200,488号等)が知られているが、これらは、製版装置が大がかりとなり、中には印刷版胴上で製版するため、汎用性に欠けるものもあった。感熱性タイプの版材は、社内印刷を始めとする軽印刷用途に幾つか開発されている。特許文献2(特開昭63−64747号公報)、特許文献3(特開平1−113290号公報)等には、感熱層に分散させた熱溶融樹脂および熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部を親水性から親油性に変化させる版材が、特許文献4(米国特許公報4,034,183号)、特許文献5(同4,063,949号)には、支持体上に設けられた親水性ポリマーをレーザー照射し親水性基を無くし親油性に転換させる版材が各々開示されている。
【0005】
またマイクロカプセル化された熱溶融物質を支持体に塗布し、加熱部を親油性に変化させるタイプ(特許文献6:特開平3−108588号公報)、熱溶融物質をマイクロカプセル化した上でシリコン樹脂とともに塗布し、加熱部を親油性に変化させ、湿し水無しで印刷するタイプ(特許文献7:特開平5−8575号公報)が知られている。しかし、マイクロカプセル化された熱溶融物質はいずれも反応性を有しない。親水性表面を有する支持体上に活性水素含有バインダーポリマーと共にブロックイソシアネートを親油性成分として用い、印字後、非印字部分を洗浄除去するタイプ(特許文献8:特開昭62−164596号公報、特許文献9:同62−164049号公報)、上層の熱溶融層を穿孔し、下層の親水層(または親油層)を露出するタイプ(特許文献10:特開平3−53991号公報等)といった版材とその製版方法も公知である。
【0006】
一方、支持体上に油性物質を加熱して親水性表面に転写するタイプ(特許文献11:米国特許公報3,964,389号、特許文献12:特開平1−209135号公報、特許文献13:同3−53991号公報等)、加えて、ポリオレフィンのシートにスルホン酸基を導入しサーマルヘッドで印字しスルホン酸基の表面濃度を低下させ画像部を形成する版材料も公知である(特許文献14:米国特許公報4,965,322号)。
【0007】
さらに、ダイレクト型平版印刷材料の一つに、親水層の表面に画像部をインキジェットやトナー転写等の外的手段で形成する直描型平版材料があるが、この中にマイクロカプセル化した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字でトナー受理層を設ける直描型の版材も知られている(特許文献15:特開昭62−1587号公報)。形成されたトナー受理層に親油性のトナー等を固着して初めて印刷版となるものであり、印字後、画像部が形成されるのではない。これら従来の感熱性平版印刷用の版材は、何れも耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、用途に限定があり、また多くはその製版工程においてウエット現像を要するものであった。
【0008】
これに対して、本出願人は、版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版材や製版、装置のコストの点および商業レベルでの実施に適し、高耐刷性、高寸法精度の平版印刷版が得られる平版印刷原版を低価格で供給する、特に、製版工程において、現像液などの廃棄物処理の必要な現像工程がなく、専用の大掛りかつ高価な製版装置を用いなくとも製版出来る平版印刷原版を提供することを目的として、親水性(撥インク性)表面を有する感光層に光照射することにより、照射部分を親インク性に変化する平版印刷用の原版を提案してきた。
【0009】
例えば、WO01/83234号(特許文献16)、特開2001−310565号公報(特許文献17)、特開2001−310566号公報(特許文献18)、特開2001−310567号公報(特許文献19)、特開2001−353976号公報(特許文献20)、特開2002−49147号公報(特許文献21)、特開2002−362052号公報(特許文献22)、特開2002−370467号公報(特許文献23)等では、感光層として親水性ポリマーマトリクス中に親油性ポリマーの微粒子を分散させており、感光層中に存在する光吸収剤が光照射することで光を熱に変換し、発生した熱により発泡したり、熱融着したりして、感光層の親水性が失われ、親インク性に変化することを利用している。
【0010】
このような現像不要の親水性感光層を有する印刷用原版においては、感光層の親水性を高めるため、又は水系溶媒を用いて感光層を形成していたため、感光層に含まれる光吸収剤についても親水性の高いものを用いていた。一般的に、このような光吸収剤は、明室での取り扱い性を考慮して、可視光領域に吸収の少ない色素が使用されている。しかしながら、親水性の高い色素は、感光層を架橋硬化させても濡れた手で感光層表面を触ると、手に付着したり、印刷時の湿し水に溶出して湿し水を着色し、例えば、薄い色のインキで印刷を行う場合、インキへの湿し水の混入のため、所望の色が得られないなどの問題があった。
【0011】
【特許文献1】
欧州公開公報200,488号
【特許文献2】
特開昭63−64747号公報
【特許文献3】
特開平1−113290号公報
【特許文献4】
米国特許公報4,034,183号
【特許文献5】
米国特許公報4,063,949号
【特許文献6】
特開平3−108588号公報
【特許文献7】
特開平5−8575号公報
【特許文献8】
特開昭62−164596号公報
【特許文献9】
特開昭62−164049号公報
【特許文献10】
特開平3−53991号公報
【特許文献11】
米国特許公報3,964,389号
【特許文献12】
特開平1−209135号公報
【特許文献13】
特開平3−53991号公報
【特許文献14】
米国特許公報4,965,322号
【特許文献15】
特開昭62−1587号公報
【特許文献16】
WO01/83234号
【特許文献17】
特開2001−310565号公報
【特許文献18】
特開2001−310566号公報
【特許文献19】
特開2001−310567号公報
【特許文献20】
特開2001−353976号公報
【特許文献21】
特開2002−49147号公報
【特許文献22】
特開2002−362052号公報
【特許文献23】
特開2002−370467号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感光層の親水性を損なうことなく、感光層表面に付着する水に光吸収剤である色素が溶出しにくい平版用印刷の版を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、感光層に添加する光吸収剤について鋭意検討した結果、水に対する溶解度がある範囲にある色素を光吸収剤として使用することにより、感光層の親水性を損なうことなく、又、水への溶出が抑制できることを見いだした。
【0014】
すなわち本発明は、支持体上に親水性感光層を設けた平版印刷用の版を製造するための感光液であって、少なくとも親水性ポリマー、親油性ポリマー粒子、光吸収剤及び水を含有し、該光吸収剤が、20℃の水に対する溶解度が0.1〜4.0g/100mlである色素であることを特徴とする感光液に関する。
また本発明は、上記感光液の調製方法であって、少なくとも親水性ポリマーと親油性ポリマー粒子を混合した樹脂溶液に、前記の光吸収剤を水、または水を一部含む溶媒にいったん溶解した後に加えることを特徴とする前記調製方法に関する。
加えて本発明は、支持体上に、前記感光液を用いて親水性感光層を形成したことを特徴とする平版印刷用の版に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の平版印刷用の版について詳細に説明する。
【0016】
[支持体]
本発明の平版印刷版用の版において、支持体上に直接又は他の層を介して撥インク性(親水性)を有する架橋樹脂からなる感光層を設けるが、この際用いられる支持体の具体例としては、アルミ板、鋼板、ステンレス板、銅板などの金属板、これら金属の合金板、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、酢酸セルロースなどのプラスチックフィルム、紙、アルミ箔ラミネート紙、金属蒸着紙、プラスチックラミネート紙などのラミネートフィルム等が挙げられる。特に好ましくはアルミ板(取り扱いが容易、さびにくく安価、伸びが小さく長時間印刷に適している)、プラスチックフィルムでは、ポリエステル(物理的性質(特に耐熱性)、機械的性質(特に引張強度)に優れ、安価である)である。これらの支持体の厚さには特に制限はないが、通常100〜500μm程度である。又、これらの支持体は、密着性の改良等を目的として、酸化処理、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理などの表面処理を施してもよい。又、支持体上に他の層(下地層)を介して感光層を形成する方法も有効である。
【0017】
[感光層]
本発明の平版印刷版用の版における感光層は、光未照射の状態ではその表面が撥インク性(親水性)を有するものであり、光照射することにより撥インク性から親インク性に変化する。特に、湿し水を用いるオフセット印刷に適用することにより、非画像部は親水性であることから湿し水に覆われてインクをはじく撥インク性を有する。又、感光層は湿し水との接触により溶解しないことが必要であり、そのため、親水性ポリマーを架橋させて耐水性を付与している。
【0018】
このような感光層を形成するための感光層用組成物としては、親水性ポリマー、架橋剤及び光吸収剤を含有する感光層用組成物あるいは、親水性ポリマー、架橋剤、親油性ポリマー及び光吸収剤を含有する感光層用組成物が挙げられるが、本発明では特に後者の親油性ポリマーを含有する感光層用組成物を支持体上に塗布した後架橋して、感光層を形成する方法に適している。
【0019】
該感光層の膜厚は特に制限はないが、熱処理後の膜厚として、通常0.5〜10μm程度、特に1〜4μmが好ましい。
【0020】
<親水性ポリマー>
本発明の感光層に用いられる親水性ポリマーは、親水基及び架橋剤と反応し得る官能基を側鎖に有している。
【0021】
該親水基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、リン酸基及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アミド基、アミノ基、スルホンアミド基、オキシメチレン基、オキシエチレン基などが挙げられる。
【0022】
又、架橋剤と反応し得る官能基としては、上記の親水基の他、イソシアナート基、グリシジル基、オキサゾリル基、メチロール基、及びメチロール基とメタノール、ブタノールなどのアルコールとが縮合したメトキシメチル基やブトキシメチル基などが挙げられる。
【0023】
水酸基を側鎖に有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール系ポリマー、及び水酸基を有する不飽和モノマーを重合して得られるホモポリマーやコポリマー及びこれらポリマーの種々の変性ポリマーが挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーを更に詳細に説明すると、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルモノマーのホモポリマーやコポリマーを完全又は部分加水分解して得られるポリマー、及びこのポリマーの部分ホルマール化、アセタール化、ブチラール化ポリマー等が挙げられる。また、水酸基を有する不飽和モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び、これらの(メタ)アクリレートにエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加したモノマー、メチロール(メタ)アクリルアミドや該メチロール(メタ)アクリルアミドとメチルアルコールやブチルアルコールとの縮合物であるメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0024】
カルボキシル基を側鎖に有するポリマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びその無水物等の二塩基不飽和酸やこれら二塩基不飽和酸のモノエステル、モノアミド等のカルボキシル基含有不飽和モノマーを重合して得られるホモポリマーやコポリマー及びこれらポリマーの種々の変性ポリマー等が挙げられる。
【0025】
スルホン酸基を側鎖に有するポリマーとしては、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルメチルスルホン酸、イソプロぺニルメチルスルホン酸、(メタ)アクリル酸にエチレンオキシド、又はプロピレンオキシドを付加したアルコールの硫酸エステル(例えば、三洋化成工業(株)の商品名:「エレミノールRS−30」)、(メタ)アクリロイロキシエチルスルホン酸、モノアルキルスルホ琥珀酸エステルとアリル基を有する化合物とのエステル(例えば、三洋化成工業(株)の商品名:「エレミノールJS2」、花王(株)の商品名:「ラテムルS−180」、又は「同S180A」)、モノアルキルスルホ琥珀酸エステルとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、及び日本乳化剤(株)の商品名:「Antox MS60」等を重合して得られるホモポリマーやコポリマー及びこれらポリマーの種々の変性ポリマー等が挙げられる。これらのスルホン酸基を有するポリマーに於いては、該スルホン酸基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基やアミン類で中和されていても良い。
【0026】
リン酸基を側鎖に有するポリマーとしては、ビニルリン酸、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート、リン酸モノアルキルエステルのモノ(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレート等を重合して得られるホモポリマーやコポリマー及びこれらポリマーの種々の変性ポリマー等が挙げられる。
【0027】
これらのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するポリマーは、無機塩基やアミン類で中和されて、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩を形成していても良い。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウムなどが、アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0028】
アミド基を側鎖に有するポリマーとしては、無置換又は置換のアミド基を有する不飽和モノマーを重合して得られるホモポリマーやコポリマー及びこれらポリマーの種々の変性ポリマー(例えば加水分解ポリマー、種々の化合物を付加したポリマー等)が挙げられる。無置換又は置換のアミド基を有する不飽和モノマーとしては、無置換又は置換の(メタ)アクリルアミド、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の二塩基酸のアミド化モノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。無置換又は置換(メタ)アクリルアミドのより具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、スルホン酸プロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。また、前記イタコン酸等の二塩基酸のアミド化モノマーの場合は一方のカルボキシル基がアミド化されたモノアミド、両方のカルボキシル基がアミド化されたジアミド、更に一方のカルボキシル基がアミド化され、他方のカルボキシル基がエステル化されたアミドエステルであってもよい。尚、本発明に於ける前記“(メタ)アクリル”、(メタ)アクリレート”、(メタ)アクロイル”等の記載はそれぞれアクリルとメタクリル、アクリレートとメタアクリレート、アクリロイルとメタアクリロイルの両者を意味する。
【0029】
更に、本発明の親水性ポリマーに於いては、前記親水性置換基を有する不飽和モノマー、架橋性官能基を有する不飽和モノマー以外に、本発明の効果を更に向上させるために、その他の共重合可能不飽和モノマーを共重合することもできる。共重合可能不飽和モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソポロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0030】
<架橋剤>
本発明の親水性ポリマーを架橋するのに用いられる架橋剤としては、前記親水性ポリマーと架橋反応して親水性ポリマーを水不溶性にすることにより感光層の耐水性を向上させるものであればよく、例えば、親水性ポリマー中の架橋性官能基であるカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、グリシジル基、場合によってはアミド基と反応する公知の多価アルコール化合物類、多価カルボン酸化合物やその無水物類、多価グリシジル化合物(エポキシ樹脂)類、多価アミン化合物類、ポリアミド樹脂類、多価イソシアナート化合物類(ブロックイソシアナート類を含む)、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、グリオキザール等が挙げられる。本発明に於いては前記した架橋剤の中でも、硬化速度と感光層用組成物の安定性や感光層の親水性と耐水性のバランス等から公知の種々の多価グリシジル化合物(エポキシ樹脂)、オキサゾリン樹脂、アミノ樹脂、多価アミン化合物やポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂用の硬化剤、グリオキザールが好ましい。アミノ樹脂としては、公知のメラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂やグリコールウリル樹脂等やこれら樹脂の変性樹脂、例えばカルボキシ変性メラミン樹脂等が挙げられる。また、架橋反応を促進するために、前記したグリシジル化合物を用いる際には3級アミン類を、アミノ樹脂を用いる場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、塩化アンモニウム等の酸性化合物を併用しても良い。
【0031】
<光吸収剤>
本発明の感光層用組成物において、光吸収剤として、20℃の水に対する溶解度が0.1〜4.0g/100ml、好ましくは0.1〜3.5g/100mlの範囲にある色素を使用する。20℃の水に対する溶解度が0.1g/100mlより低い色素を使用すると、版面を濡れた手で触っても色落ちすることはないが、版面の親水性が損なわれ、又、感光層用組成物を含む感光液を調製する際の水又は水を一部(10容量%以上)含む溶媒などの水系溶媒中に対する溶解性が低すぎることから色素の凝集などが起こり、架橋硬化して形成される感光層中に均一な色素含有量が得られない場合がある。一方、4.0g/100mlより溶解度が高くなると、湿し水の接触により色素が一部溶解し、さらに5.0g/100ml以上では、簡単に湿し水中に溶解してしまう。
【0032】
また、明室での取り扱いを可能にするため、あるいは露光に用いる光源の出力や使いやすさから、700〜1200nm、特に市場に供されている高出力半導体レーザーの発振波長である800〜860nmに吸収域を有し、且つ感度、分解特性等に優れる光吸収剤を用いることが望ましい。これらの吸収波長域に関しては、置換基やπ電子の共役系の長さなどを変えることにより調整することが可能である。
【0033】
このような特定の溶解度を有する色素としては、水にある程度溶解するために、水酸基、カルボン酸基、エステル結合、エーテル結合、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、またはそれらの塩構造を持つ官能基等を有する構造が望ましい。これらの官能基を1個又は2個以上持つシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、アントラシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾ系化合物、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジチオール金属錯体類、ジアミンの金属錯体類等が挙げられる。これらは1種類単独でも、2種類以上を混合してもよい。
【0034】
<親油性ポリマー>
本発明の感光層用組成物に用いられる親油性ポリマーはポリマー微粒子が水に分散したエマルジョン型が好ましく、自己乳化型でも強制乳化型でもよい。これは乳化重合、懸濁重合、グラフト重合、ポリマーの後乳化等で作られる。親油性ポリマーとしてはウレタン系、(メタ)アクリル樹脂系エマルジョン、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、共役ジエン系ゴム、ブタジエンゴム系等が挙げられる。これらに用いられる親油性ポリマーは1種類だけでなく2種類以上を用いてもよい。これらを添加した場合、親水性樹脂感光層は架橋した親水性ポリマー相とこれらの親油性ポリマー相との相分離構造をとなる。このとき、非画像部の地汚れ防止の観点から、親油性ポリマー相が架橋した親水性ポリマー相中に分散していることがより好ましい。親油性ポリマーとして用いられるポリマー粒子の平均粒子径は、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。
【0035】
本発明の感光層用組成物には親水性添加剤を添加してもよい。親水性添加剤としては、水や有機溶媒に溶解するものが望ましい。この親水性添加剤によって印刷版表面の親水性を高め、印刷開始後すぐに湿し水が表面に付くような作用をするものであればどのような化合物でも使用できるが、特に界面活性剤や表面改質剤と呼ばれているものが特に好ましい。現在さまざまな親水性添加剤が入手できるが、「特殊機能界面活性剤」シーエムシー出版(1986)記載の親水性界面活性剤使用可能である。具体例を以下に示す。
【0036】
非イオン性活性剤としてはポリエチレングリコール型、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等や、多価アルコール型例えばアルキルアルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、やし油やひまし油を原料とした活性剤、ポリエチレングリコール、アルキルフェニルエーテルやアルキルエーテル、アルキルアリルエーテル、ラウリルエーテル系の活性剤等がある。また陽イオン系活性剤としては第1級アミン塩系、第2級アミン塩系、第3級アミン塩系、第4級アンモニウム塩系、四級ピリジニウム塩系、ラウリルイミダゾリン系、アルキルアミン系等がある。両性活性剤としてはアルキルベタイン系、アミノ酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型、アミンオキシド型、ポリオキシエチレンアルキルアミン型、ポリアルキレンポリアミン型、ポリエチレンイミン型、カルボン酸型、硫酸エステル型等の両イオン性のものが使用できる。また陰イオン系活性剤としてはスルホン酸塩系、例えばアルキルフェニルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物のナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウムやジアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム等がある。また、カルボン酸塩系、例えばジアルキル琥珀酸エステルナトリウム、モノアルキルコハク酸エステルナトリウム、ポリカルボン酸等がある。硫酸エステル塩系、例えばアルキルジフェニル硫酸オキシド、アルキル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エーテルナトリウムまたはアンモニウム等が挙げられる。また、リン酸エステル塩系、例えばアルキルエーテルリン酸エステルナトリウムやアルコールリン酸エステルナトリウム等が使用できる。特にジアルキル琥珀酸エステルナトリウムやモノアルキルスルホ琥珀酸エステルナトリウム系は感光層表面が水に濡れても溶出しにくいため特に好ましい。さらに2種類以上の添加剤を同時に用いてもよい。
【0037】
[感光層の組成比]
本発明の感光層用組成物に於いて、親水性ポリマー、親油性ポリマー、架橋剤、光吸収剤使用割合は刷版の感光層の親水性と耐水性のバランスや、感度、その他種々の印刷特性の点や経済性の観点から、固形分で親水性ポリマー97〜10質量部、親油性ポリマー80〜10質量部、架橋剤3〜50質量部、及び光吸収剤は前記親水性ポリマー、親油性ポリマーと架橋剤の固形分の合計100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。更に、親水性ポリマー60〜20質量部、親油性ポリマー70〜20質量部、架橋剤5〜40質量部、及び光吸収剤は前記親水性ポリマー、親油性ポリマーと架橋剤の固形分の合計100質量部に対し3〜15質量部が好ましい。
【0038】
支持体と感光層との間には下地層を設けてもよい。この時に用いる下地層は感光層用組成物に含まれる親油性ポリマーと同じ樹脂系を用いることが望ましい。この樹脂系は特にウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、合成ゴム系、エチレン系の親油性ポリマーが望ましい。下地層を構成する親油性ポリマーは、感光層用組成物に用いられるものと同種類のものを用いる場合、分子量その他の諸物性は同一である必要はない。下地層を成膜する際に用いられる樹脂は、水溶液又は有機溶媒に溶解した均一溶液でもよいし、エマルジョンでも良い。特に望ましいのはポリマーエマルジョン型である。この親油性ポリマーエマルジョンは強制乳化型でもよいし自己乳化型でもよい。エマルジョンを用いた場合、下地層の表面凹凸を防ぐため、ポリマーの平均粒径は5〜500nm以下が望ましい。
【0039】
エマルジョンの平均粒径は、一般的には水で薄めて粒度測定器(例えば「マイクロトラック」等)により測定される。その他、エマルジョンを凍結後スライスして透過型電子顕微鏡で測定することもでき、特に平均粒径が10nm以下の場合には好ましく用いられる。
【0040】
このエマルジョンは塗布後、分散溶媒が蒸発すると融着して造膜する特性が必要である。製造上問題がなければ造膜温度は何度でもよい。
【0041】
下地層には1種類または2種類以上の前記親油性ポリマー樹脂を混合して使用できる。さらに、架橋剤を加えて強靭な膜を作ることも可能である。この下地層を塗布するときには例えば、バーコーター、ロールコータ、ブレードコータ、グラビアコータ、カーテンフローコータ、ダイコータ、ディップコータやスプレー法等を用いれば良い。この際、塗布溶液の消泡のためや、塗布膜の平滑化の支持体との密着性向上、親水性の感光層との密着性向上のために塗布溶液に消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、カップリング剤等の各種添加剤を用いても良い。
【0042】
下地層の膜厚は特に制限はないが、通常0.1〜10μm程度、好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。
【0043】
下地層塗布後そのまま感光液を塗布してもよいし、加熱または送風乾燥してから使用してもよい。このように設けた下地層によって、支持体/下地層界面、下地層/感光層界面の密着性が上がるため耐刷性がよく、湿し水が供給されても界面での剥離は起きない。さらにレーザー照射部分の熱の拡散を防止でき、感度が向上する効果も有する。
【0044】
[感光層の製造]
前記支持体に感光層を設けるには、本発明の感光層用組成物を含有する溶液(感光液)を支持体に直接又は下地層表面に塗布し、乾燥、硬化すればよい。
【0045】
この際、感光液の消泡のためや、塗布膜の平滑化のために感光液に消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、カップリング剤等の各種添加剤を用いても良い。
【0046】
<感光液組成>
本発明の感光層を形成するための感光液組成は、前記感光層用組成物の各成分を溶剤に溶解又は分散させて使用する。ここで、使用する溶剤としては、少なくとも水を含むものであって、さらにエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルあるいはこれらの混合溶剤を使用することができる。
【0047】
本発明の光吸収剤は水に対する溶解性が低いために、親水性感光層の感光液を作成する際に、光吸収剤を水、または水を一部含む溶媒にいったん溶解した後、少なくとも親水性ポリマーと親油性ポリマーと粒子を混合した樹脂溶液に加えることが望ましい。光吸収剤を水、または水を一部含む溶媒にいったん溶解せずに樹脂溶液に直接混合すると、溶解時間が長くかかったり、色素が固まってゲル化し、強く攪拌しても溶解しないことがある。また、pHの差や温度、溶解性の差等で混合時にショックを生じる場合があるため、少しずつ加えて混合するのがさらにのぞましい。
【0048】
また、感光層の耐水性等の特性を改良するために有機や無機のフィラーを用いてもよい。
【0049】
本発明の平版印刷用の版においては、感光層を成膜した後、該感光層を保護するために感光層の上にフィルムを積層しても良い。
【0050】
[感光層の性質の概要]
次に本発明の感光層に関して詳しく説明する。本発明の平版印刷用の版は湿し水を用いるオフセット印刷用の版であり、従って感光層は親水性と、耐水性(湿し水に溶けないこと)が求められる。そして露光により光を照射した部分の感光層は部分的に溶融、融着、発泡し、親水性から親油(インク)性に変化する。従って、露光後には現像や拭き取り等の操作を必要としない。
【0051】
本発明の印刷原版の露光に用いられる光の波長は700〜1200nmであり、この波長域の中で、光吸収剤の吸収波長域に合致する光を用いればよい。露光に用いる光源としては、使用しやすく高出力の光源が適している。この点からはレーザー、特に800〜1100nmの波長域に発振波長を有するレーザーが好ましく、例えば830nmの高出力半導体レーザーや1064nmのYAGレーザーが好ましく、これらのレーザーを搭載した露光機は所謂サーマル用プレートセッター(露光機)として既に市場に供されている。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
(親水性ポリマーAの合成)
1000mlのフラスコに水400gを入れ、窒素をバブリングして溶存酸素を除去した後、80℃に昇温した。窒素ガスをフラスコに流しながら、アクリルアミド90g、ヒドロキシエチルアクリレート10g、水67gからなるモノマー溶液と過硫酸カリ0.5gを水50gに溶解した開始剤の水溶液を、内温を80℃に維持しながら、別々に3時間に渡り連続滴下した。滴下終了後80℃で2時間重合を続けた後、更に90℃で2時間重合した。最後に水150g加え親水性ポリマーAの水溶液を得た。このポリマーの水溶液は粘度が6000mPa・s、固形分は15質量%であった。
【0054】
(感光性組成物の調製)
下記の4種類の色素を用いて感光性組成物を調製した。
【0055】
【表1】
【0056】
【化1】
【0057】
【化2】
【0058】
【化3】
【0059】
【化4】
【0060】
〔実施例1〕
次に前記親水性ポリマーA(NV=15%)を固形分として40質量部に、ウレタン系エマルジョン(NV=40%、第一工業製薬製「スーパーフレックス(登録商標)750」)を固形分として40質量部、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(NV=80%、三井サイテック(株)製「サイメル(登録商標)350」)を固形分として20質量部、親水性添加剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NV=60%、第一工業製薬(株)製「ネオゲンR」〔商品名〕)の不揮発分として3質量部の順に混合した樹脂混合液に、▲1▼の色素5質量部を水:エタノール(1:1容量比)溶液95質量部に溶解した溶液を少しずつ加え、均一になるまでディスパーでかき混ぜて感光液B−1を得た。
【0061】
〔実施例2〕
実施例1と同様に樹脂混合液を作成し、そこに▲2▼の色素5質量部を水195質量部に溶解した色素水溶液を少しずつ加え、均一になるまでディスパーでかき混ぜて感光液B−2を得た。
【0062】
〔比較例1〕
実施例1と同様に樹脂混合液を作成し、そこに▲3▼の色素5質量部を水:エタノール(1:3容量比)溶液195質量部に溶解した色素溶液を少しずつ加え、均一になるまでディスパーでかき混ぜて感光液B−3を得た。
【0063】
〔比較例2〕
実施例1と同様に樹脂混合液を作成し、そこに▲4▼の色素5質量部を水95質量部に溶解した色素水溶液を少しずつ加え、均一になるまでディスパーでかき混ぜて感光液B−4を得た。
【0064】
〔比較例3〕
前記親水性ポリマーA(NV=15%)を固形分として40質量部に、ウレタン系エマルジョン(NV=40%、第一工業製薬製「スーパーフレックス(登録商標)750」)を固形分として40質量部、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(NV=80%、三井サイテック(株)製「サイメル(登録商標)350」)を固形分として20質量部、親水性添加剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NV=60%、第一工業製薬(株)製「ネオゲンR」〔商品名〕)の不揮発分として3質量部、水95質量部の順に混合した樹脂混合液に、▲2▼の色素5質量部を固体のまま少しずつ加え、均一になるまでディスパーでかき混ぜて感光液B−5を得た。
【0065】
(印刷用原版の作成)
厚み188mmのポリエステルフィルムに上記で得られた感光液B−1〜B−5をそれぞれワイヤーバー#10を用いて均一に塗布した後、120℃で1時間乾燥し、約2μmの膜厚の感光層を成膜した。
【0066】
(評価)
印刷特性を評価するために、印刷用原版に830nmの半導体レーザー光を集光した光を走査して情報の記録を行った。レーザー光を照射した部分は緑色から灰色に変色した。レーザー照射パワーを5mJ/cm2刻みに上げながら照射した。実施例1及び比較例3それぞれの原版は450mJ/cm2、実施例2及び比較例1それぞれの原版は約350mJ/cm2、比較例2の原版は500mJ/cm2で画像部が白く変化した。この露光した版を湿し水を用いるオフセット印刷機(シナノケンシ(株)製カード印刷機「プレクスター(登録商標)ARX010」、印刷インク:「エコピュア(登録商標)HP墨」(サカタインクス株式会社製)、湿し水添加剤:「アストロマーク3(登録商標)」(日研化学株式会社(株)製)1.5%添加)にセットしてコート紙を用いて印刷を行った。
【0067】
感光液評価
○:#300メッシュのナイロンろ布でろ化しても残留物なし
×:残留物あり
印刷評価
○:500枚印刷時の湿し水への色素流失なし。印刷初期と500枚目の非画像部の親水性変化なし。
×:500枚印刷時の湿し水への色素流失あり。印刷初期と500枚目の非画像部の親水性が低下し、地よごれ発生。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、感光層の親水性を損なうことなく、色落ちのない平版印刷用の版が提供できる。
Claims (4)
- 支持体上に親水性感光層を設けた平版印刷用の版を製造するための感光液であって、少なくとも親水性ポリマー、親油性ポリマー粒子、光吸収剤、及び水を含有し、該光吸収剤は、20℃の水に対する溶解度が0.1〜4.0g/100mlである色素であることを特徴とする感光液。
- 請求項1に記載の感光液の調製方法であって、少なくとも親水性ポリマーと親油性ポリマー粒子とを含む樹脂混合液に、前記の光吸収剤を水、または水を一部含む溶媒にいったん溶解した後に加えることを特徴とする前記調製方法。
- 支持体上に、請求項1に記載の感光液を用いて親水性感光層を形成したことを特徴とする平版印刷用の版。
- 前記色素は、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、アントラシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾ系化合物、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジチオール金属錯体類、ジアミンの金属錯体類である、請求項1に記載の感光液。
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