JP4109398B2 - 真空式下水道システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は真空式下水道システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
各家庭などから排出される汚水を、真空圧を利用して搬送して集める真空式汚水収集システムが開発されている。この真空式汚水収集システムでは、各家庭などから排出される汚水が貯留される汚水槽を有する真空弁ユニットと、汚水が集められる集水タンクとの間に真空汚水管が設けられている。集水タンクは、真空汚水管の内部を真空にする真空ポンプが配備された真空ステーションに設けられており、真空ステーションの真空ポンプによって真空汚水管の内部が真空状態とされる。
【0003】
真空弁ユニットには、汚水槽内に溜まった汚水を吸引する汚水吸引管と、汚水吸引管と真空汚水管とを連通および遮断する真空弁とが設けられている。真空弁は真空汚水管内の真空を利用して開閉制御されるようになっており、真空弁が開放されると、汚水槽内の汚水が真空汚水管内に吸引される。
【0004】
そして、汚水が吸引された後に、あるいは汚水とともに、空気が吸引されるようになっており、吸引された空気は、真空汚水管内にて汚水の流速よりも高速で流動する。このように、真空汚水管内を汚水に対して空気が高速で流動することにより、真空汚水管内には、汚水と空気との気液二相流が形成され、その気液二相流が真空汚水管内を高速で流動して汚水が搬送される。
【0005】
この真空式汚水収集システムでは、通常、真空汚水管は地表面側に、下り傾斜部分と、高低差30cm程度のリフト部とが交互に鋸歯状に連続して浅く埋設・配管されている。そして、真空弁ユニットと真空ステーションの間に、河川や他の埋設管などの障害物が存在する場合、真空汚水管はこれらの障害物を迂回して配管される。
【0006】
このような配管構造の真空汚水管では、内部に気液二相流が形成されると、高速で流動する空気が汚水よりも先に流れることになる。その結果、空気が通過した汚水はリフト部の最低位部に溜まり、汚水管内を封止する水栓を形成することになる。リフト部の最低位部分にて水栓を形成した汚水は、その上流側において吸引された空気が通過する際にその空気との気液二相流となって流動し、リフト部を通過する。
【0007】
そして、リフト部を通過した汚水が、次のリフト部の最低位部分に溜まって水栓を形成する。このように、真空汚水管内にて、気液二相流の形成と水栓の形成とが交互に繰り返されることによって、汚水はリフト部を越えて流動し、真空ステーションに設けられた集水タンクにまで搬送される。そして、集水タンクに集められた汚水は、圧送ポンプによって下水処理場などに搬送される。
【0008】
このような真空式下水システムでは、汚水槽内の汚水を真空下水管内に吸引した後に、空気を吸引する気液分離吸引方式と、汚水と空気とを当時に吸引する気液同時吸引方式とがある。
【0009】
気液分離吸引方式では、汚水吸引管によって汚水を吸引した後に、その汚水吸引管によって空気を吸引するようになっており、吸引された空気の流動によって汚水を効率よく搬送することができる。
【0010】
気液同時吸引方式では、通常、真空弁の下流側に、汚水を吸引するための汚水吸引管とは別に、汚水吸引管の口径よりも小さな口径の吸気管が設けられており、この吸気管によって、汚水の吸引と同時に、真空下水管内に空気を吸引するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、いずれの場合も、吸引される空気と汚水の比率は、比較的安定して設定されている。しかしながら、実際には、真空弁ユニットに流入する汚水量の時間帯による変動、近接して配置された真空弁ユニットにて汚水が吸引されることによる真空下水管内の真空圧の変動、大径の真空下水管のリフト部において空気のみが通過することによる気液二相流の非形成等が発生すると、水栓を解消するために予め設定された空気吸引量では空気不足となり、リフト部を汚水が越えられるだけの気液二相流が形成されず、リフト部を汚水が完全に水封するウォーターブロックが発生する。
【0012】
このようなウォーターブロックは、真空下水管に多数のリフト部が設けられていることによって、突発的に発生することもある。このように、リフト部を完全に水封するウォーターブロックが発生すると、真空式下水システム全体において、安定的に汚水を搬送することができないおそれがある。
【0013】
経験的に、真空下水管の中間部でのウォータブロックの発生は高低差が大きく、管路の管径の大きなリフト部において生じ易い。リフトの高低差が大きな場合、汚水が満管でリフトを通過する際、落差分の汚水の重力損失を生じ、通過空気量に比べて汚水が重力落下してリフト部の下部に滞留する傾向がある。この現象は管径が大きく落差の大きなリフトで顕著であり、大きな管径の管内上部空間を空気だけが素通りする現象が、ウォータブロック発生の一因になっている。
【0014】
たとえば、気液同時吸引方式の場合は、真空弁の下流側に空気を吸引するための比較的小径の吸気管が設けられているために、真空弁が開放されている間しか空気を吸引することができず、しかも、吸気管から吸引される空気量が、小径の吸気管の口径に依存していることによって、十分な空気を真空下水管内に供給することができないという問題がある。
【0015】
また、気液分離方式では、真空下水管と汚水吸引管とを連通および遮断する真空弁の弁開放時間を、真空弁のコントローラーによって、あるいは真空弁に設けられたタイマーによって調整することによって、空気の吸引時間が調整され、真空下水管への空気の吸引量が調整される。しかしながら、真空弁は、真空下水管内の真空を利用して弁体を開閉制御するようになっているために、真空弁における弁開放時間が一定に設定されていても、真空下水管内の真空度が極端に低下している場合には、汚水の吸引量に対して空気の吸引量が相対的に減少し、汚水と空気との比率が変化することになる。
【0016】
したがって、このように、真空下水管内の真空度が極端に低下している場合には、真空弁が開放されている間に吸引される空気量を増加させる必要があり、例えば、吸引される空気量を増加させるために、汚水の吸引と同時に空気を吸引する気液同時吸引方式を併用して、真空下水管に対して空気を補充する方法が採用される。しかしながら、前述したように、気液同時吸引方式でも、真空弁の開放時にのみ、比較的小径の吸気管から空気が吸引されるにすぎず、このように、気液同時吸引方式を採用しても、十分な空気を真空下水管内に供給することができないという問題がある。
【0017】
また、気液分離方式において、汚水槽内の汚水が吸引された後に空気が吸引されていることを検知して、その後に、所定時間にわたって空気を吸引した後に、真空弁を閉鎖する方法もあるが、この場合も、真空下水管内の真空度が極端に低下している場合には、必要とされる十分な空気を真空下水管内に吸引することができない。
【0018】
たとえば特開平8−319662号公報には、真空下水管におけるリフト部に近接した上流側部分に、上端部が地表に位置するように複数の吸気管を立ち上げ、各吸気管の上端部にそれぞれ吸気弁を設けた構造のものが開示されている。リフト部の最低位部に発生したウォーターブロックが発生した場合、このウォーターブロックの上流側の真空下水管内の真空度が低下することで、各吸気弁が開放され、地表の空気を真空下水管内に導入して、ウォーターブロックを解消するようになっている。
【0019】
しかしながら、このような吸気弁では、真空下水管の真空度の低下に応じて感度よく開閉されず、真空下水管内にて必要とされる十分な空気を迅速に供給することができない恐れがあった。
【0020】
また、このように、真空下水管に接続された複数の吸気管の各上端部に吸気弁を設ける構造では、真空下水管の破損等のトラブルが発生して、真空下水管内の圧力が大気に開放されると、各吸気弁はそれぞれ開放されることになる。その後、補修などによってトラブルが解消されると、真空下水管の内部が定常の真空状態に復帰される。この場合、全ての吸気弁が開放されているために、真空下水管を全体にわたって真空にさせることは容易でないという問題があった。
【0021】
このような問題を解決するためには、全ての吸気弁に開閉弁を設けて各開閉弁を閉鎖状態にすればよいが、広い範囲にわたって設けられた多数の開閉弁を全て閉鎖状態とすることは容易でない。
【0022】
本発明の目的は、真空下水管のリフト部におけるウォータブロックの発生を防止し、安定した汚水搬送環境を維持することができ、しかも、真空下水管内の真空度が低下した後に、真空下水管を定常の真空状態に迅速に復帰させることができる真空式下水システムを提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内部が真空状態とされた真空下水管と、この真空下水管の真空を発生させる真空ポンプを有する真空ステーションと、家庭などから汚水管を通じて自然流下にて流れ込む汚水を汚水槽に貯留し、この汚水槽内に配置された真空弁が開放されることによって、汚水槽内の汚水を前記真空下水管に送り込む複数の真空弁ユニットとから構成されている真空式汚水収集システムにおいて、
少なくとも前記複数の真空弁ユニット内に自動吸気弁が接続され、この自動吸気弁が真空下水管内の真空によって閉じられるとともに、真空下水管内の真空度が低下すると開けられて真空下水管内に空気が供給されるようになされているものである。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の真空式汚水収集システムにおいて、真空下水管の中間部に上り勾配のリフト部が設けられ、このリフト部の近くの上流側に自動吸気弁が配置されているものである。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の真空式汚水収集システムにおいて、真空弁ユニットが複数の真空弁を有する多弁式のものであり、そのうちの1つの真空弁に自動吸気弁が配置されているものである。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の真空式汚水収集システムにおいて、真空弁ユニットが真空下水管よりもかなり低い位置に埋設されており、この真空弁ユニットと真空下水管との間を接続している接続管の水平部分に自動吸気弁が配置されているものである。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の真空式汚水収集システムにおいて、真空下水管同士が合流する合流部の上流側双方に自動吸気弁が配置されているものである。
【0028】
(作用)
請求項1記載の発明の真空式汚水収集システムにおいては、複数の真空弁ユニット内に自動吸気弁が接続され、この自動吸気弁が真空下水管内の真空によって閉じられるとともに、真空下水管内の真空度が低下すると開けられて真空下水管内に空気が供給されるようになされているので、真空下水管の真空度の変化に対応して、必要とされる空気を確実に供給することができ、しかも、真空下水管内の真空度が上昇した後に、特別な作業を実施することなく、迅速に定常の真空度に復帰させることができる。真空弁ユニットにおいて過剰な空気吸引をせず、リフト部やウォータブロックの生じやすい所で効果的に空気を吸引し、二相流を形成することで、汚水の効果的な搬送と管路延長とランニングコストの低減が可能となる。
【0029】
また、各真空弁ユニットにおいて、過度の吸気が行われないようになるので、流入管に付与される圧力損失が低減し、宅地内配管における汚水トラップの破水が生じない。
【0030】
請求項2記載の発明の真空式汚水収集システムにおいては、真空下水管の中間部に上り勾配のリフト部が設けられ、このリフト部の近くの上流側に自動吸気弁が配置されているので、このリフト部に汚水が溜まって形成されるウォーターブロックは自動吸気弁の作動によって解消され、汚水の効果的な搬送を行うことができる。
【0031】
請求項3記載の発明の真空式汚水収集システムにおいては、真空弁ユニットが複数の真空弁を有する多弁式のものであり、そのうちの1つの真空弁に自動吸気弁が配置されているので、多数の住居から一度に多量の汚水流入が予想されるマンションなどの大型化真空弁ユニットに好適である。
【0032】
請求項4記載の発明の真空式汚水収集システムにおいては、真空弁ユニットが真空下水管よりもかなり低い位置に埋設されており、この真空弁ユニットと真空下水管との間を接続している接続管の水平部分に自動吸気弁が配置されているので、水平接続管と真空下水管との間に高いリフト部が存在しても、ウォーターブロックを解消して効果的な汚水の搬送を行うことができる。
【0033】
請求項5記載の発明の真空式汚水収集システムにおいては、真空下水管同士が合流する合流部の上流側双方に自動吸気弁が配置されているので、汚水の逆流によってウォータブロックや真空圧低下が生じても、自動吸気弁の作動によって解除できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の真空式下水システムの第1実施例を示す概略説明図、図2は図1における真空弁ユニットを示す説明図、図3は図2における自動吸気弁を示す縦断面図、図4は図3の自動吸気弁の動作を示す縦断面図である。
【0035】
図1に示すように、真空式下水道システムは、真空下水管31と、真空下水管31の真空を発生させる真空ポンプを有し、汚水を下水処理場へ送り出す圧送ポンプを具備する真空ステーション32と、家庭などにて発生した汚水を集め、真空下水管31に汚水を送り込む真空弁ユニット10とから構成されている。真空下水管31はポリエチレン樹脂管や硬質塩化ビニル樹脂管である。
【0036】
そして、家庭から排出される汚水が、汚水流入管12内を自然流下して真空弁ユニット10内に貯留され、この貯留された汚水が真空下水管31を通って、真空ステーション32に設けられた集水タンクに集められるようになっている。真空弁ユニット10と集水タンクとを連結する真空下水管31は、真空ステーション32に設けられた真空ポンプによって、内部が真空状態とされている。
【0037】
真空下水管31は、0.2%以上の緩やかに下り勾配になった下り傾斜部分31aと、この下り傾斜部分31aの下流側に連続して、高低差が30cm程度の上り勾配になったリフト部31bとが順次繰り返されるように浅く埋設されている。また、真空下水管31の前方に存在する障害物33である河川の下方を通過する迂回部分31cを設けて真空下水管31は配管されている。
【0038】
真空弁ユニット10は、図2に示すように、地中に埋設される樹脂製の汚水槽11を有している。汚水槽11の下部側壁には汚水流入管12の下端部が接続されている。この汚水流入管12を通じて、家庭から排出される汚水は汚水槽11内に自然流下して汚水溜まり11aに貯留されるようになっている。
【0039】
汚水槽11の上部側壁には、真空下水管31の上流側の端部が接続されている。真空下水管31の上流側の端部は汚水槽11の内部にほぼ水平な状態で挿入されており、汚水槽11内の端部に仕切弁13が接続されている。仕切弁13の上流側には真空弁14を介して汚水吸引管15が接続されている。汚水吸引管15は、汚水槽11の下部の汚水溜まり11a内に下端部の流入口が位置するように、下方に向かって屈曲されている。仕切弁13は、真空弁ユニット10のメンテナンスなどに際して、真空下水管31と、真空弁14および汚水吸引管15内との連通状態を遮断するために設けられている。
【0040】
真空下水管31の真空圧が付加されることで、真空弁14の流路が開状態とされ、真空下水管31と汚水吸引管15とを連通させるようになっている。そして、汚水吸引管15と真空下水管31とが連通状態になると、汚水吸引管15内が真空下水管31内の真空状態と同様の真空状態になり、汚水溜まり11a内の汚水が汚水吸引管15内に吸引されて真空下水管31に供給される。
【0041】
16は水位検出管であり、汚水溜まり11aに貯留される汚水の水位を検出するためのものである。水位検出管16は、汚水溜まり11aに貯留される汚水の水位上昇にともなって、その内部の気圧が上昇するようになっている。真空弁14は、水位検出管16内の圧力と、その下流側に仕切弁13を介して接続された真空下水管31内の圧力との差圧によって開閉されるようになっている。
【0042】
真空弁14は、その開放動作によって、汚水溜まり11a内の汚水の水位が低下して汚水吸引管15によって汚水が吸引されない状態になった後、所定時間が経過した時点で流路を閉じるように調整されている。したがって、汚水吸引管15は、汚水溜まり11a内の汚水を吸引した後、所定の時間にわたって汚水溜まり11a内の空気を吸引するようになっている。
【0043】
汚水槽11の下部に設けられた汚水溜まり11aの上部には、空気流入管17が接続されている。この空気流入管17は地中内に配管されており、その先端部は地表から上方に突出して大気中に配置されている。この空気流入管17の役割は、汚水溜まり11a内に貯留された汚水および空気が汚水吸引管15内に真空吸引される際、汚水槽11内に地表の空気を流入させ、汚水溜まり11a内の圧力低下を防止することである。
【0044】
空気流入管17内には小口径の空気導入管18が設けられている。この空気導入管18は、自動吸気弁20を介して、真空下水管31内に空気流入管17内の空気を直接供給するものである。このように、空気流入管17内に空気導入管18が設けられていることで、真空弁ユニット10の汚水槽11内が水没したような場合でも、真空下水管31内に空気導入管18を通じて確実に空気を供給することができる。
【0045】
なお、真空弁ユニット10の汚水槽11内の水没状態を考慮する必要がない場合には、自動吸気弁20の流入口側を汚水槽11内に開口して、この開口部を通じて汚水槽11内の空気を真空下水管31に供給するようにしてもよい。
【0046】
自動吸気弁20は、図3に示すように、空気導入管18の上流側部分18aおよび下流側部分18bにそれぞれ連結される弁箱21と、この弁箱21内に設けられた弁体22と、弁箱21に取り付けられたキャップ体23とを有している。空気導入管18の下流側部分18bは、仕切弁13を介して真空下水管31に接続されている。
【0047】
弁箱21は、軸方向中央部に側方に円筒状に突出した弁体収容部21dが設けられた円筒体に構成されており、一方の端部が空気導入管18の上流側部分18aに連結される流入部21aとされている。流入部21aと同心状にされた他方の端部は、空気導入管18の下流側部分18bに連結される円筒状の流出部21bとされている。
【0048】
弁体収容部21dは、流入部21aおよび流出部21bとそれぞれ直交状態とされており、流出部21bに連通している。弁箱21の流入部21aは隔壁部21cによって流出部21bおよび弁体収容部21dと隔絶された状態とされており、弁体収容部21dと流入部21aとを連通する吸気口21eが隔壁部21cに弁体収容部21dの軸心と同心状に設けられている。
【0049】
弁収容部21dの先端部には、その先端開口部を気密状態で覆うダイヤフラム24を介して、中空円錐台形状のキャップ体23がダイヤフラム24とともに、弁体収容部21dにボルト23bにて一体的に取り付けられている。円筒状の弁体収容部21dには、円柱状の弁体22が隔壁部21cに設けられた吸気口21eと同心状に、かつ、吸気孔21eに対して接離する方向にスライド可能に設けられている。ダイヤフラム24はEPDMなどの熱可塑性エラストマー製のものである。
【0050】
キャップ体23の外径は、弁体収容部21dから離れるにつれて順次外径が小さくなっており、その先端部における軸心部分に、ナット部材23aが取り付けられている。ナット部材23aには、キャップ体23の軸心部を挿通する調整ボルト23cがネジ結合され、調整ボルト23cの頭部が弁体収容部21dに近接するように配置されている。調整ボルト23cの頭部とは反対側の先端部は、キャップ体23の先端部から上方に突出しており、キャップ体23から突出した部分が、キャップ体23に対して着脱可能になったカバー部材26によって覆われている。
【0051】
調整ボルト23cは、キャップ体23から突出した先端部を操作して、正逆回転させることにより、キャップ体23の先端部に取り付けられたナット部材23aに対してネジ送りされ、軸方向に沿って上下方向にスライドされる。
【0052】
キャップ体23内に配置された調整ボルト23cの軸部には、圧縮バネ23eが嵌合されている。圧縮バネ23eは、調整ボルト23cの頭部に隣接して取り付けられた下側バネ受け23fと、調整ボルト23cの中程にスライド可能に設けられた上側バネ受け23hとによって、圧縮状態で調整ボルト23cに嵌合されている。上側バネ受け23hは、C型止め輪23gによって抜け止めされている。
【0053】
圧縮バネ23eは、調整ボルト23cに同心状に嵌合された円筒状のピストン部材23d内に収容されている。ピストン部材23dにおけるナット部材23aに近接した端面は、圧縮バネ23eの上端部を支持するバネ受け23fに、C型止め輪23gを介して係合されている。この結果、ピストン部材23dは、圧縮バネ23eによって、弁体収容部21dから離れるように上方に付勢された状態で、調整ボルト23cに沿ってスライドできるように支持されている。
【0054】
ピストン部材23dにおける弁体収容部21dに近接した下端面の軸心部には、弁棒22aの上端部が支持されている。弁棒22aは、ピストン部材23dの下端面およびダイヤフラム24の軸心部を貫通して弁体収容部21d内に挿入されており、弁体収容部21dの軸心部を挿通しており、弁体収容部21d内に設けられた弁体22の軸心部を貫通している。弁棒23dの下端部は、弁体収容部21dと流入部21aとを連通する吸気口21e内に同心状態で挿入されている。吸気口21e内に挿入された弁棒22aの下端部には、パッキン22bを介して、ガイド体25が取り付けられている。
【0055】
ガイド体25は、弁箱21の隔壁部21cに設けられた吸気口21e内を挿通して、弁箱21の流入部21a内に進入している。ガイド体25は、弁体22に近接した上端部を除いて、弁棒22aおよび吸気口21eとは同心状態になった円柱状に構成されており、吸気口21eとは一定の間隔が設けられている。ガイド体25の上端部は、上側になるにつれて順次外径が大きくなった円錐台形状のガイド部25aになっている。
【0056】
弁体22とガイド体25との間に設けられたパッキン22bは、ゴム等の弾性体によって、ガイド体25が挿通した吸気口21eの外径よりも若干大きな外径を有する円板状に構成されており、弁体22の下端面の中心部に形成された凹部内に嵌入されて、弁体22の下端面に圧接されている。パッキン22bは、吸気口21eの周囲の弁座部21fに全周にわたって気密状態で圧接されるようになっている。
【0057】
ガイド体25aは、弁体22との間に設けられたパッキン22bを弁体22とともに挟み込んだ状態で、しかも、弁体22の上端面がダイヤフラム24を介して、ピストン部材23dの下端面に圧接されるように、弁棒22aの下端部に一体的に取り付けられている。従って、キャップ体23内に設けられたピストン部材23dと、弁体収容部21d内に設けられた弁体22と、これらピストン部材23dおよび弁体22間に設けられたダイヤフラム24とともに一体化されており、また、弁体22およびガイド体25も、パッキン22bとともに一体化されている。
【0058】
ガイド体25は、圧縮バネ23eのバネ力に抗してピストン部材23dが下方にスライドされることによって、弁体22とともに下方にスライドされ、ガイド体25と弁体22との間に設けられたパッキン22bが、吸気口21eの周囲の弁座21fに圧接されて、この吸気口21eを気密状に閉鎖するようになっている。
【0059】
反対に、図4に示すように、ガイド体25が上方にスライドすることによって、パッキン22bと弁座21fとの圧接状態が解除され、吸気口21eの内周面とガイド体25の外周面との間隙を通して、弁箱21の流入部21aと弁体収容部21dの内部とが連通状態になる。この結果、地表の空気が流入する空気流入管17と真空下水管31とが連通状態になり、空気流入管18および自動吸気弁20を通って、地表の空気が真空下水管31に供給される。
【0060】
このような構成の真空式下水システムは、真空弁ユニット10における仕切弁13が開状態とされることで稼動状態になり、真空下水管31の内部が、真空ステーションに設けられた真空ポンプによって真空状態とされる。
【0061】
そして、真空下水管31の内部が真空状態になると、自動吸気弁20は、弁体収容部21dの内部が真空下水管31の内部と同様の真空状態になり、弁体収容部21dとキャップ体23とを気密状態に隔絶しているダイヤフラム24に、弁体収容部21dの内部に向かう吸引力Pが作用する。
【0062】
そして、この吸引力Pが調整ボルト23cによって設定された圧縮バネ23eのバネ力Fよりも大きくなると、ダイヤフラム24は弁体収容部21d内に吸引され、ピストン部材23d,弁体22およびガイド体25が一体となって下方にスライドして、パッキン22bが弁座21fに気密状態で圧接される。この結果、図3に示すように、弁箱21の流入部21aと弁体収容部21dとを連通する吸気口21eが気密状態で閉じられる。
【0063】
その後、水位検出管16によって、汚水槽11の汚水溜まり11a内に貯留された汚水の水位が、あらかじめ設定された所定の水位に達したことが検出されると、真空弁14は真空下水管31内の真空を取り込んで、流路を開いた状態となる。この結果、汚水吸引管15と真空下水管31とが連通して、汚水吸引管15の内部が真空下水管31の内部と同様の真空状態になり、汚水溜まり11a内に貯留された汚水が、汚水吸引管15を通じて真空下水管31内に吸引される。そして、汚水溜まり部11a内の汚水が真空下水管31内に吸引されて、汚水溜まり部11a内の汚水の水位が低下し、汚水吸引管15によって汚水が吸引されない状態になると、汚水吸引管15は引き続いて汚水槽11内の空気を吸引し、その後、真空弁14は流路を閉じた状態となる。
【0064】
真空下水管31内に汚水および空気が吸引されると、汚水は空気とともに気液二相流となって真空下水管31内を真空ステーション32側に向かって流動する。ところで、空気は汚水よりも高速で流動するために、真空下水管31の上り傾斜部分31bでは、空気のみが通過して、汚水が上り傾斜部分31bの最低位部分に滞留する。
【0065】
この結果、図5に示すように、真空下水管31の上り傾斜部分31bに汚水が溜まって、上り傾斜部分31bの下部を封止する水栓が形成される。その後、さらに空気量を上回る汚水流入などによって、上り傾斜部分31b全体が完全に水封されたウォーターブロックWが形成されると、このウォーターブロックWが形成された部分よりも下流側の真空下水管31内の真空圧が、ウォーターブロックWの上流側に伝達されず、ウォーターブロックWよりも上流側部分の圧力が上昇する。これにより、ウォーターブロックWが形成された部分よりも上流側の真空下水管31内の圧力が上昇してその内部の真空度が低下することになる。
【0066】
ところで、この第1実施例では、図5に示すように、真空下水管31の中間部に設けられた上り勾配のリフト部31bの近くの上流側に位置する下り傾斜部31aの上面に接続して地表に立ち上げられた吸気管4aの上端部に、図3にて示したものと同じ自動吸気弁20の一端が接続されて配置されている。
【0067】
したがって、上記のような状態になると、自動吸気弁20の流出部21bおよび弁体収容部21d内の圧力が上昇する。そして、図4に示すように、ダイヤフラム24に作用する吸引力Pが、圧縮バネ23eのバネ力Fよりも小さくなると、ピストン部材23dが圧縮バネ23eのバネ力Fによって上方にスライドするとともに、ピストン部材23dと一体となった弁体22およびガイド体25も上方にスライドする。そして、流入部21aと弁体収容部21dとを連通する吸気口21eの周囲の弁座21fに圧接されたパッキン22bも上方にスライドされる。この結果、吸気口21eが開状態とされて、流入部21aが弁体収容部21dを介して流出部21bに連通した状態になる。
【0068】
このとき、流出部21bは、真空下水管31の内部と同様に、真空度が低下しているものの、大気圧よりも低い真空状態になっているため、吸気口21eが開かれることによって、地表の空気が上流側部分18aを通じて、流入部21aに吸引される。そして、この空気が、弁体収容部21d,流出部21bおよび吸気管4aを通って真空下水管31内に供給されることになる。
【0069】
真空下水管31内に空気が吸引されると、真空下水管31内を封止するウォーターブロックWにより、真空下水管31におけるウォーターブロックWよりも上流側部分の圧力が上昇して真空度が低下する。そして、吸気口21eの開状態が継続されていることによって、真空下水管31内の圧力が上昇すると、真空下水管31内に供給された空気がウォーターブロックWを通過する。その際、図6に示すように、ウォーターブロックWを空気が通過する際に、ウォーターブロックWを形成している汚水は、高速で流動する空気とともに気液二相流となって真空下水管31内を下流側に向かって流動する。この結果、汚水は真空下水管31内における上り傾斜部分31bを通過することになる。
【0070】
このように、真空下水管31内に滞留した汚水が流動してウォーターブロックWが解消されると、真空下水管31の内部は全体にわたって真空度が上昇する。そして、自動吸気弁20のダイヤフラム24に作用する吸引力Pが圧縮バネ23eのバネ力Fよりも大きくなると、吸気口21eが閉じられる。
【0071】
同様に、図2にて示す真空弁ユニット10側に近い真空下水管31の上り傾斜部分31bにおいてウォーターブロックWが形成されて上記のような状態になると、真空弁ユニット10内において真空下水管31に接続された空気導入管18の下流側部分18bの真空度が低下し、自動吸気弁20の流出部21bおよび弁体収容部21d内の圧力が上昇する。そして、図4に示すように、ダイヤフラム24に作用する吸引力Pが、圧縮バネ23eのバネ力Fよりも小さくなると、ピストン部材23dが圧縮バネ23eのバネ力Fによって上方にスライドするとともに、ピストン部材23dと一体となった弁体22およびガイド体25も上方にスライドする。そして、流入部21aと弁体収容部21dとを連通する吸気口21eの周囲の弁座21fに圧接されたパッキン22bも上方にスライドされる。この結果、吸気口21eが開状態とされて、流入部21aが弁体収容部21dを介して流出部21bに連通した状態になる。
【0072】
このとき、流出部21bは、真空下水管31の内部と同様に、真空度が低下しているものの、大気圧よりも低い真空状態になっているため、吸気口21eが開かれることによって、空気流入管17および空気導入管18の上流側部分18aを介して、流入部21aに地表の空気が吸引される。そして、流入部21a内に流入した空気が、弁体収容部21d,流出部21b,空気導入管21の下流側部分18bおよび仕切弁13を通って真空下水管31内に供給される。
【0073】
真空下水管31内に空気が吸引されると、真空下水管31内を封止するウォーターブロックWにより、真空下水管31におけるウォーターブロックWよりも上流側部分の圧力が上昇して真空度が低下する。そして、吸気口21eの開状態が継続されていることによって、真空下水管31内の圧力が上昇すると、真空下水管31内に供給された空気がウォーターブロックWを通過する。その際、図6に示すように、ウォーターブロックWを空気が通過する際に、ウォーターブロックWを形成している汚水は、高速で流動する空気とともに気液二相流となって真空下水管31内を下流側に向かって流動する。この結果、汚水は真空下水管31内における上り傾斜部分31bを通過する。
【0074】
このように、真空下水管31内に滞留した汚水が流動してウォーターブロックWが解消されると、真空下水管31の内部は全体にわたって真空度が上昇する。そして、吸気弁20のダイヤフラム24に作用する吸引力Pが圧縮バネ23eのバネ力Fよりも大きくなると、吸気口21eが閉じられる。
【0075】
以下、同様の動作が繰り返されることによって、汚水は気液二相流となって順次、真空ステーション32側に向かって真空下水管31内を搬送され、真空ステーション32の集水タンクに収集される。
【0076】
このように、本発明の真空式下水システムでは、真空弁14が開かれて汚水および空気が真空下水管31内に吸引されると、真空弁14が閉じられるが、真空弁14が閉じられた状態になった後にも、真空下水管31内の真空度に応じて吸気弁20が開放されて、必要とされる空気が真空下水管31内に吸引されるようになっているため、真空下水管31内で気液同時分離吸引方式における気液二相流に近い気液二相流とすることができる。このため、真空下水管31内において頻繁に変化する真空度に対応した適切な空気量の供給が可能になる。
【0077】
吸気弁20が吸気口21eを開閉する際の真空下水管31内の真空度の調整は、圧縮バネ23eのバネ力Fを変更することによって行える。すなわち、調整ボルト23cを回転させて調整ボルト23c全体を吸気口21eから離れる方向に移動させると、圧縮バネ23eのバネ力Fが増加し、吸気口21eを閉じるために必要とするダイヤフラム24の吸引力P、すなわち、真空下水管31内の真空度が大きくなる。反対に、調整ボルト23c全体を吸気口21eに接近する方向に移動させると、圧縮バネ23eのバネ力Fが減少し、吸気口21eを閉鎖するために必要とするダイヤフラム24の吸引力P、すなわち、真空下水管31内の真空度は小さくなる。たとえば真空下水管31内の圧力が−4.5mAqに設定されている場合は、吸気弁20における吸気口21eが開かれる圧力として、−3.0mAq程度に設定するのが望ましい。
【0078】
吸気口21eを開放するための真空度を、真空下水管31内の定常状態の真空度との差が大きくなるように小さく設定すると、ウォーターブロックを解消した後、真空下水管31内が定常の真空度に復帰するまでに時間がかかる恐れがあるのであまり好ましくない。しかしながら、上り傾斜部分31bが少ない長い真空下水管31の上流側の末端部に設けられた真空弁ユニット10の自動吸気弁20では、真空弁が作動しないような低い真空度でも開かれるようにしておくと、比較的長時間にわたって空気が真空下水管31内に吸引され、真空下水管31に滞留する汚水が緩やかに流動されることになる。
【0079】
定常状態の真空下水管31内の真空度との差が小さくなるように、吸気口21eが開かれる真空度を大きく設定すると、真空下水管31内の真空度がわずかに低下することで自動吸気弁20が開かれることになる。したがって、真空弁ユニット10の真空弁14が開かれて汚水吸引管15からの汚水の吸引が開始された当初に真空下水管31内の真空度が低下すると、直ちに吸気弁20の吸気口21eが開かれて、真空下水管31内に空気が吸引されることになる。その結果、汚水の吸引開始当初において、真空下水管31内に吸引される空気とともに汚水が流動する気液二相流を形成することができ、気液同時吸引方式に類する吸引形態とすることができる。
【0080】
図7は、本発明の真空式下水システムの第2実施例を示す説明図である。
この第2実施例では、橋梁部分を利用して、障害物33である河川の上方を跨ぐようにして迂回部分31cを設けた以外は、基本的に上記第1実施例と同一である。
【0081】
この場合、図7に示すように、真空下水管31の迂回部分31cの上流側に位置する下り傾斜部分31aの下流側位置に、上端部が地表上に位置するように上方に立ち上げられた吸気管4aの上端部に、図3と同一の自動吸気弁20の一端が接続されている。この場合、自動吸気弁20の周りを防水部材にて保護するのが望ましい。
【0082】
このような状態で、真空下水管31内を汚水が気液二相流となって搬送され、真空下水管31における吸気管4aが接続された位置よりも少し下流側の部分、すなわち、下り傾斜部分31aと上り傾斜部分31bとの境界部分などの屈曲部分においてウォーターブロックが形成されると、そのウォーターブロックよりも上流側の真空下水管31内の圧力が上昇して真空度が低下した状態になる。
【0083】
この場合も上記と同様に、図5に示したウォーターブロックが形成された状態となる。そして、下り傾斜部分31a側の真空下水管31内の真空度が自動吸気弁20の設定圧力よりも低くなると、自動吸気弁20が開いて空気を吸引し、図6と同様に、汚水をブローして二相流を形成する。汚水がブローした後、ウォーターブロックが解けて下流側の真空度が上流側に伝達し、上流側の真空度が上がって自動吸気弁20が閉じられる。
【0084】
図8および図9は本発明の真空式下水システムの第3実施例の要部を示す平面図と正面説明図である。この第3実施例では、真空弁ユニット10を3個の真空弁14を有する多弁式の大型構造のものとし、そのうちの1つの真空弁14に自動吸気弁20を配置した以外は、基本的に上記第1実施例と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、この第3実施例の場合、3本の真空下水管31は汚水槽11を出てから一本の大口径の真空下水管に合流している。
【0085】
このような多弁式の真空弁ユニット10は、自然流下式にて多数戸の住居から多量の汚水の流入があったり、マンホールポンプからの圧送によって長時間の連続流入があったりするマンションなどの場合に好適である。
【0086】
図10は本発明の真空式下水システムの第4実施例の要部を示す説明図である。この第4実施例では、真空下水本管31の位置に比べ、真空弁ユニット10の埋設位置がかなり低くなっており、真空弁ユニット10から送り出される汚水が通る水平接続管31dと真空下水本管31との間に高いリフト部31bが形成されている。そして、真空弁ユニット10とリフト部31bとの間に位置している水平接続管31dの上面に吸気管4aが接続されて地表に立ち上げられ、この吸気管4aの上端部に、図3にて示したものと同じ自動吸気弁20の一端が接続されて配置されている。
【0087】
この第4実施例では、住居5にて発生した汚水は宅地内の排水ますなどの排水設備51および公共ます52を経由して流入管12より真空弁ユニット10に流れ込む。そして、汚水溜まり11a内に一定量の汚水が溜まると、水位検知管16にて検知され、このことをコントローラーが検知して真空弁14を作動させ、汚水は仕切弁13を通って水平接続管31dに排出されることになる。
【0088】
この場合、吸気管4aを介して、自動吸気弁20が水平接続管31dに配置されていることによって、高いリフト部31bが水平接続管31dと真空下水本管31との間に存在していても、自動吸気弁20がウォーターブロックを解除するまで吸気するので、真空弁ユニット10の汚水溜まり11aに溜まった汚水の排出は良好に行われることになる。
【0089】
図11は本発明の真空式下水システムの第5実施例を示す説明図である。
この実施例では、真空下水管311,312同士が合流する合流部313の上流側の双方に自動吸気弁201,202が配置されている。
【0090】
そして、真空下水本管31がT字状に合流している場合、図11に示すように、たとえば真空下水管311側の真空弁ユニット10aの作動により汚水が流入する場合、合流部313にて汚水のすべてが矢印方向Xに真空下水本管31に流入するわけではなく、汚水の一部は矢印方向Y側、つまり、真空下水管312側に逆流することになる。
【0091】
この逆流した汚水は、真空下水管312側のリフト部や管内に滞留するものとなる。そして、真空下水管312側の管路において、真空弁の作動があまり無い場合、この滞留汚水によってウォータブロックを生じ、その下流部の真空度を低下させ、真空弁の作動に影響を与えることになる。
【0092】
このように、汚水が合流する合流部の近傍において、汚水の滞留発生が予想される部位に自動吸気弁201,202が設置されているので、自動吸気弁202側に汚水流入によるウォータブロックや真空圧低下が生じても、上記実施例の場合と同様に、自動吸気弁202が作用することで、真空下水管312側にて発生するウォータブロックは解除される。また、これとは逆に、真空弁ユニット10bの作動により汚水が流入する場合も、上記と同様に自動吸気弁201が作用することで、真空下水管311側にて発生するウォータブロックは解除される。
【0093】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の発明では、複数の真空弁ユニット内に自動吸気弁が接続され、この自動吸気弁が真空下水管内の真空によって閉じられるとともに、真空下水管内の真空度が低下すると開けられて真空下水管内に空気が供給されるようになされているので、真空下水管の真空度の変化に対応して、必要とされる空気を確実に供給することができ、しかも、真空下水管内の真空度が上昇した後に、特別な作業を実施することなく、迅速に定常の真空度に復帰させることができる。真空弁ユニットにおいて過剰な空気吸引をせず、リフト部やウォータブロックの生じやすい所で効果的に空気を吸引し、二相流を形成することで、汚水の効果的な搬送と管路延長とランニングコストの低減が可能となる。
【0094】
また、各真空弁ユニットにおいて、過度の吸気が行われないようになるので、流入管に付与される圧力損失が低減し、宅地内配管における汚水トラップの破水が生じない。
【0095】
請求項2記載の発明では、真空下水管の中間部に設けられた上り勾配のリフト部の近くの上流側に自動吸気弁が配置されているので、このリフト部に汚水が溜まって形成されるウォーターブロックは自動吸気弁の作動によって解消され、汚水の効果的な搬送を行うことができる。
【0096】
請求項3記載の発明では、複数の真空弁を有する多弁式の真空弁ユニットの1つの真空弁に自動吸気弁が配置されているので、多数の住居から一度に多量の汚水流入が予想されるマンションなどの大型化真空弁ユニットに好適である。
【0097】
請求項4記載の発明では、低位置に埋設された真空弁ユニットと真空下水管との間を接続している接続管の水平部分に自動吸気弁が配置されているので、水平接続管と真空下水管との間に高いリフト部が存在しても、ウォーターブロックを解消して効果的な汚水の搬送を行うことができる。
【0098】
請求項5記載の発明では、真空下水管同士が合流する合流部の上流側双方に自動吸気弁が配置されているので、汚水の逆流によってウォータブロックや真空圧低下が生じても、自動吸気弁の作動によって解除できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空式下水システムの第1実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1における真空弁ユニットを示す説明図である。
【図3】図2における自動吸気弁を示す縦断面図である。
【図4】図3の自動吸気弁の動作を示す縦断面図である。
【図5】図1の要部を示す拡大説明図である。
【図6】図5の自動吸気弁の動作を示す拡大説明図である。
【図7】本発明の真空式下水システムの第2実施例を示す説明図である。
【図8】本発明の真空式下水システムの第3実施例を示す平面説明図である。
【図9】図8対応の正面説明図である。
【図10】本発明の真空式下水システムの第4実施例を示す説明図である。
【図11】本発明の真空式下水システムの第5実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 真空弁ユニット
11 汚水槽
11a 汚水溜まり
12 汚水流入管
14 真空弁
15 汚水吸引管
16 水位検出管
17 空気流入管
20,201,202 自動吸気弁
31,311,312 真空下水管
313 合流部
31a 下り傾斜部分
31b 上り傾斜部分(リフト部)
31c 迂回部分
31d 水平接続管
32 真空ステーション
4a 吸気管
W ウォーターブロック

Claims (5)

  1. 内部が真空状態とされた真空下水管と、この真空下水管の真空を発生させる真空ポンプを有する真空ステーションと、家庭などから汚水管を通じて自然流下にて流れ込む汚水を汚水槽に貯留し、この汚水槽内に配置された真空弁が開放されることによって、汚水槽内の汚水を前記真空下水管に送り込む複数の真空弁ユニットとから構成されている真空式汚水収集システムにおいて、
    少なくとも前記複数の真空弁ユニット内に自動吸気弁が接続され、この自動吸気弁が真空下水管内の真空によって閉じられるとともに、真空下水管内の真空度が低下すると開けられて真空下水管内に空気が供給されるようになされていることを特徴とする真空式下水システム。
  2. 真空下水管の中間部に上り勾配のリフト部が設けられ、このリフト部の近くの上流側に自動吸気弁が配置されている請求項1記載の真空式汚水収集システム。
  3. 真空弁ユニットが複数の真空弁を有する多弁式のものであり、そのうちの1つの真空弁に自動吸気弁が配置されている請求項1記載の真空式汚水収集システム。
  4. 真空弁ユニットが真空下水管よりもかなり低い位置に埋設されており、この真空弁ユニットと真空下水管との間を接続している接続管の水平部分に自動吸気弁が配置されている請求項1記載の真空式汚水収集システム。
  5. 真空下水管同士が合流する合流部の上流側双方に自動吸気弁が配置されている請求項1記載の真空式汚水収集システム。
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