JP4104229B2 - 水系ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

水系ポリウレタン樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系ポリウレタン樹脂組成物、詳しくは、農業用フィルムや壁装材等のプラスチック製品用コーティング剤および/または接着剤として特に好適に用いることのできる、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから得られる密着性に優れた水系ポリウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、農業用フィルムを用いたハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われるようになってきた。このような栽培においては、農業用フィルムを展張使用する際に、内側に水滴が付着することによる曇が生じて、農作物の発育に悪影響を与えるという欠点を有していた。これを防止するために内壁に防滴剤を塗布あるいは練り込んだりする等の方法が取られているが、防滴剤が流れ出して通常1年程度で効果が低下し、再塗布する必要が生じ、この間は農作業が出来ないという問題があった。
【0003】
これらの持続性を改善する方法として、フィルムの表面に水系ポリウレタン樹脂を塗布して塗膜を形成する方法が提案されているが、密着性に劣る欠点があるばかりだけでなく、その防滴効果も不十分であり、この問題も合わせて解決しなければならなかった。
【0004】
また、壁紙として使用した場合においても、接着性の問題、光による退色あるいは着色などの問題があり、これを解決することは必須である。
【0005】
このため、水系ポリウレタン樹脂の組成を変化させることによって被塗布物との密着性を向上させようとする試みもなされている。
【0006】
例えば、特開昭62−246972号公報には、3官能以上のポリオールおよび/または多価アミン化合物を用いて分岐度を高めた水系ポリウレタン樹脂に中性ないし塩基性の体質顔料を配合することが提案されているが、この方法による改善効果は不十分であり、実用上満足しえるものではなかった。また、特開平2−269723号公報には、上記分岐度を高めた水系ポリウレタン樹脂との特性を改善するために、ポリイソシアネート化合物として、水との反応性の大きい芳香族ポリイソシアネート化合物と、水との反応性の小さい脂肪族または脂環族ポリイソシアネート化合物とを併用することが提案されているが、塗膜の強度が大きくなる反面、可撓性が小さくなる欠点があり、実用上満足できるものではなかった。
【0007】
また、特開平7−298791号公報には、合成樹脂フィルムの片面に、コロイダルシリカ粒子を含有する水性アクリル変性ウレタン樹脂塗膜層を使用することが提案されているが、実用上満足できるものではなかった。さらに、特開平10−17689号公報には、ポリウレタン樹脂および特定のアクリル樹脂を含有する塗膜を使用することが提案されているが、製造に手間がかかる欠点があり、実用上満足できるものではなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、特に農業用フィルムまたは壁装材用のコーティング剤や接着剤として好適に使用することのできる、密着性、耐候性、防曇性に優れた水系ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを必須成分とする水系ポリウレタン樹脂組成物を用いることによって、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分として10重量%以上含有するポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから製造された水系ポリウレタン樹脂が水に乳化分散されている水系ポリウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記ポリエステルポリオールが、12−ヒドロキシステアリン酸および2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつポリオールを必須成分とし、必要に応じてポリカルボン酸を用いて誘導されたポリエステルポリオールである水系ポリウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記ポリエステルポリオールが、12−ヒドロキシステアリルアルコールおよびポリカルボン酸を必須成分とし、必要に応じて2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつ他のポリオールとから誘導されたポリエステルポリオールである水系ポリウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物をその好ましい実施形態について詳述する。
【0014】
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は周知の方法で製造でき、例えば(1)12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートを鎖延長剤とともに反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを必要に応じて乳化剤の存在下に水に分散させる方法、(2)上記(1)の方法において、鎖延長剤の一部として分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールあるいは分子中に塩基性基を有するポリオールを反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、次いで、プレポリマーを中和剤により中和し自己乳化分散性を付与したプレポリマーを水に分散させる方法等があげられる。また、上記(1)および(2)の方法において、鎖延長剤は任意の段階で使用することができ、さらに、分散と鎖延長を同時に行わせる方法を採用することもできる。
【0015】
これらの方法の中でも、特に、上記(2)の方法は乳化剤を使用する必要がないので工程が簡便となるばかりでなく、塗膜中に残存する乳化剤による悪影響のおそれがなくなるので好ましい。
【0016】
本発明に係るポリエステルポリオールの構成成分の1つとして使用する12−ヒドロキシステアリン酸を含むポリエステルポリオールは、12−ヒドロキシステアリン酸を必須成分とし、2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつポリオール、および必要に応じてポリカルボン酸から通常のエステル化反応により誘導されたポリエステルポリオールであることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るポリエステルポリオールの構成成分の1つとして使用する12−ヒドロキシステアリルアルコールを含むポリエステルポリオールは、12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須成分とし、ポリカルボン酸、および必要に応じて2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつ他のポリオールから通常のエステル化反応により誘導されたポリエステルポリオールであることが好ましい。
【0018】
上記ポリエステルポリオールの平均分子量は、通常200以上、好ましくは200〜10000、特に好ましくは300〜5000である。該平均分子量が200未満の場合は柔軟性が乏しくプラスチックへの密着性が低下するおそれがあり、また10000を超える場合は高粘度となり、取り扱いが困難になるばかりでなく、強度や耐溶剤性が低下する傾向にある。
【0019】
上記ポリエステルポリオールにおいて、12−ヒドロキシステアリン酸(12−ヒドロキシステアリン酸残基)または/および12−ヒドロキシステアリルアルコール(12−ヒドロキシステアリルアルコール残基)の含有量は、10重量%以上、更に好ましくは40重量%以上であるが、必要に応じて90重量%未満の範囲で他のポリオール、ポリカルボン酸を一種または数種を用いることが出来る。
【0020】
ここで、上記12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールの含有量が、ポリエステルポリオールの構成成分の10重量%未満の場合には、得られる水系ポリウレタン樹脂組成物の物性を低下させてしまうため好ましくない。
【0021】
上記ポリエステルポリオールを製造するために使用される2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつ上記ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物等の低分子量ポリオールがあげられる。
【0022】
上記ポリエステルポリオールを得るために使用される上記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸があげられる。
【0023】
また、上記のポリオールとともに、ポリエチレングリコール、ポリプリピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、前記低分子量ポリオールとコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサテトロフタル酸等の多塩基酸あるいは炭酸との縮合物であるポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリカプロラクトン等のポリオールを、必要に応じて水系ポリウレタン樹脂の製造の際併用することも出来る。
【0024】
上記水系ポリウレタン樹脂を製造するために使用される上記ポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートがあげられ、具体的には2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3' −ジメトキシ−4,4' −ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等があげられる。
【0025】
上記ポリイソシアネートは、前記のポリオール、カルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリオールおよび鎖延長剤の活性水素の合計に対し、好ましくは0.8〜3倍当量、より好ましくは1〜2倍当量となるように使用される。該イソシアネートの使用量が0.8倍当量未満の場合には過剰のポリオール等が残存することとなり、また3倍当量より多い場合には水を加えたときに尿素結合を多量に生成することとなり、いずれの場合もその特性を低下させるおそれがある。
【0026】
また、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造するために使用される鎖延長剤としては、通常用いられる鎖延長剤が用いられ、例えば、平均分子量200未満の低分子量ポリオール化合物および低分子量ポリアミン化合物があげられる。
【0027】
上記低分子量ポリオール化合物としては、前記ポリエステルポリオールの製造に用いられる前記低分子量ポリオールや、分子中にカルボキシル基、スルホン酸基または塩基性基を有する低分子量ポリオール化合物があげられる。分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する低分子量ポリオール化合物、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−メチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等を用いることができる。また、分子中に塩基性基を有するポリオールとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあげられる。特に、カルボキシル基を有するポリオールを用いた場合には分散性に優れる水系ポリウレタン樹脂が得られるので好ましい。特に、前述のように、自己乳化分散性を付与したプレポリマーを水に分散させて自己乳化型の水系ポリウレタン樹脂組成物を調製する場合は、上記鎖延長剤の一部または全部として、イオンセンターの機能を奏する、分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する低分子量ポリオール化合物やアルカノールアミン化合物を用いることが好ましい。この場合、該分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する低分子量ポリオール化合物やアルカノールアミン化合物は、水系ポリウレタン樹脂を構成する全ての反応成分に対して、好ましくは0.5〜50重量%,さらに好ましくは1〜30重量%が用いられ、0.5重量%未満の場合は自己乳化性が不十分となり、また、50重量%を超えて用いると伸び等の物性を低下させるおそれがある。さらに、上記鎖延長剤の一部として、3官能以上のポリオールを用いることもできる。例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等があげられる。
【0028】
また、上記分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する低分子量ポリオール化合物を用いた場合には、プレポリマーの製造時または製造後に中和剤によって中和することによって自己乳化性とすることができるが、この中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基があげられ、これらはカルボキシル基またはスルホン酸基を中和するのに十分な量が用いられる。
【0029】
さらに、分子中に塩基性を有するポリオールを用いた場合の中和剤としては、ギ酸、酢酸、こはく酸などのカルボン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、リン酸などの無機酸、ジアルキル硫酸、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤があげられ、これらはアミノ基を中和するのに十分な量が用いられる。
【0030】
また、上記鎖延長剤として用いられる上記の低分子量ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トレリンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、メラミン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、また、3官能以上のポリアミンとして、例えばメラミン、ジエチルトリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(アミニメチル)プロパン等があげられる。上記分子中にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する低分子量ポリオール化合物以外の鎖延長剤の使用量は、目的とする水系ポリウレタン樹脂を製造するのに必要な全成分に対して、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0031】
また、上記水系ポリウレタン樹脂を製造するために使用される上記反応に不活性で水との親和性の大きい溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトロヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等をあげることができる。これらの溶剤は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる上記原料の合計量に対して、10〜100重量%が用いられる。
【0032】
前述のように、これらの原料から水系ポリウレタン樹脂を製造することは周知であり、これらの原料の仕込み順序を適宜変更したり、あるいは分割して仕込むこと可能である。
【0033】
このようにして得られた水系ポリウレタン樹脂は、水に乳化分散されて本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物に調製される。本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、通常、樹脂固形分が好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%となるように調製される。該樹脂固形分が5重量%未満の場合には水を多量に含有するために乾燥に長時間を要することになり、また80重量%を超えると高粘度となり取り扱いが困難となる傾向にある。尚、ここでいう「樹脂固形分」の樹脂とは、水系ポリウレタン樹脂及び必要に応じて加えることができる他の水系樹脂を意味する。
【0034】
また、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じて他の水系樹脂組成物を加えることも出来る。具体的には、水系アクリル樹脂組成物、水系エポキシ樹脂組成物、水系酢酸ビニル樹脂組成物等があげられる。本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物と他の水系樹脂組成物との比率(重量比)は特に制限を受けないが、通常は3:7〜10:0である
【0035】
また、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物には、目的に応じてコロイダルシリカまたはコロイダルアルミナなどの無機コロイドゾル、防曇剤、着色剤、ワックス類、防腐剤、消泡剤、可塑剤、フィラー、溶剤、造膜助剤、分散剤、増粘剤、香料等の慣用の添加物を加えることもできる。
【0036】
本発明で使用することができるコロイダルシリカは、平均粒子径が5〜200nmの範囲にあるものが好ましく、該平均粒子径がこの範囲を逸脱すると本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。さらに、水系ポリウレタン樹脂とコロイダルシリカの含有量は、水系ポリウレタン樹脂(固形分):コロイダルシリカが重量比で1:0.01〜1:5となる量が好ましい。この重量比の範囲を逸脱すると本発明の効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0037】
また、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系抗酸化剤、有機ホスファイトなどの有機リン系抗酸化剤、チオエーテル系抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を加えることができる。
【0038】
フェノール系抗酸化剤としては、例えば、ステアリル−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリル−β−(3−第三ブチル−4ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサメチレンビス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4ヒドロキシ−5メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピオ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2' −メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2' −エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2' −エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4' −ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4' −チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等があげられる。
【0039】
これらのフェノール系抗酸化剤は、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.001〜5重量部、更に好ましくは0.05〜3重量部となるように使用される。
【0040】
有機リン系抗酸化剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)・ビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4' −ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタントリホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−α−クミルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2' −エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、2,2' −メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト等があげられる。
【0041】
これらの有機リン系抗酸化剤は、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.001〜5重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部となるよう使用される。
【0042】
チオエーテル系抗酸化剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−チオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート類、ペンタエリスリトールテトラ(ドデシルチオプロピオネート)等のアルキル(C =8〜18)チオプロピオン酸のエステルがあげられる。
【0043】
これらのチオエーテル系抗酸化剤は、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.001〜10重量部、更に好ましくは0.005〜5重量部となるように使用される。
【0044】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5' −メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;(2' 2−ヒドロキシ−5' ―メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2' 2−ヒドロキシ−5' −第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2' −ヒドロキシ−3' 5' −ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2' −ヒドロキシ−3' −第三ブチル−5' −メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2' −メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2' ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3' ,5' −ジ第三ブチル−4' −ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類; 2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ)1,3,5−トリアジン等のトリアジン系;2−エチル−2' −エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4' −ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類があげられる。
【0045】
これらの紫外線吸収剤は、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.05〜10重量部、更に好ましくは0.01〜5重量部となるように使用される。
【0046】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等があげられる。
【0047】
これらのヒンダードアミン系光安定剤は、添加される樹脂の種類や用途に応じ、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物100重量部中、好ましくは0.001〜5重量部、更に好ましくは0.05〜3重量部となるように使用される。
【0048】
上述のようにして得られた本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、常温乾燥によるだけで、密着性、防食性、各種機械物性に優れたポリウレタン皮膜を形成することができる。
【0049】
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、上記特性を有するため、繊維、編物、織物、不織布、木、紙、皮革、金属、ガラス、プラスチック製品等の含浸剤、コーティング剤、塗料、接着剤、インキ用ビヒクル、集束剤等として利用することができる。
【0050】
これらの中でも特にプラスチック製品に対して、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、密着性が優れている。本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物を使用するプラスチック製品とは、合成樹脂類であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンランダムおよびブロック共重合体等のα−オレフィン単独重合体および共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;非晶性またはシンジオタックポリスチレン、スチレン及び/またはシンジオタクチックポリスチレン、スチレン及び/またはα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、ブタジエン、フェニルマレイミド等)との共重合体(例えばHiPS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂、超耐熱ABS樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等の直鎖ポリエステル;ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド;直鎖状または分岐鎖状の芳香族ポリカーボネート;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール;ポリオキシメチレン;ポリメチルメタクリレート;アクリル樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン;石油樹脂;クマロン樹脂;インデン樹脂;ポリウレタン;繊維素系樹脂などの熱可塑性樹脂およびこれらの混合物があげられる。
また、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合エラストマー等のエラストマーと上記熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。
【0051】
さらに、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、上記にあげたプラスチックの中でも特にポリオレフィンへの密着性に優れる特徴を有しているので、自動車、農ポリ、建材、情報記録関連機器、食品包装材等のポリオレフィン素材のようなプラスチック製品用のコーティング剤または/および接着剤として用いるのに好適である。とりわけ、該プラスチック製品が農業用フィルムまたは壁装材である場合に好適である。
【0052】
【実施例】
以下に実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、特に断りのない限り「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
【0053】
〔ポリエステルポリオールの合成〕
過剰量のポリオール成分、カルボキシアルコール成分およびポリカルボン酸成分を220〜240℃で常法によって脱水縮合させ、その後過剰のポリオール成分を減圧下に留去することによって、末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを製造した。下記表1及び表2に、用いたポリオール成分、カルボキシアルコール成分及びポリカルボン酸成分、得られたポリエステルポリオールの平均分子量(数平均)、酸化(AV)および水酸基価(OHV)を示す。また、製造例1〜6で得られたポリエステルポリオールは、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物(実施例1〜6)の製造に用い、ポリエステルポリオールNo.7〜8は、比較例1〜4の水系ポリウレタン樹脂組成物の製造に用いた。
【0054】
【表1】
Figure 0004104229
【0055】
【表2】
Figure 0004104229
【0056】
〔水系ポリウレタン樹脂組成物の製造〕
以下の実施例1〜6及び比較例1〜4の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。下記表3及び表4に、反応成分、イオンセンター、乳化型及び性状値(樹脂固形分、粘度、pH)を示す。
【0057】
実施例1
ポリエステルポリオールNo.1を222部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)78部、ジメチロールプロピオン酸22部、N−メチル−2−ピロリドン83部を反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0058】
次いで、トリエチルアミン17.8部を加えて中和した後、ヘキサメチレンジアミン8.3部を加え、水を添加しながら35℃以下で架橋反応を行い、反応終了までに568部の水を加えて樹脂固形分33.1%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0059】
実施例2
ポリエステルポリオールNo.2を140部、水添メタキシリレンジイソシアネート(H6XDI)151部、1,4−ブタンジオール25部、ジメチロールプロピオン酸20部、N−メチル2−ピロリドン80部を反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0060】
次いで、トリエチルアミン17部を加えて中和した後、水を538部加えて樹脂固形分34.6%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0061】
実施例3
ポリエステルポリオールNo.3を200部、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)90部およびメチルエチルケトン90部を反応容器にとり、75℃で十分に混合した後、ジメチロールプロピオン酸20部を加え、70℃で12時間反応させた。5%アンモニア水60部を加え中和した後、エチレンジアミン5部を加え、減圧下にメチルエチルケトンを留去し水535部を加えて樹脂固形分31.5%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0062】
実施例4
ポリエステルポリオールNo.4を235部、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)82部およびメチルエチルケトン58部、1,4−ブタンジオール3 部、N −メチルジエタノールアミン17部を反応容器にとり、80℃〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0063】
次いで、酢酸10部を加え中和した後、減圧下にメチルエチルケトンを留去し水592部を加えて樹脂固形分33.8%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0064】
実施例5
ポリエステルポリオールNo.5を166部、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)108部、1,4−ブタンジオール5部、N −メチルジエタノールアミン25部、N−メチル2−ピロリドン75部を反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0065】
次いで、酢酸15部を加えて中和した後、水を605部加えて樹脂固形分30.5%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0066】
実施例6
ポリエステルポリオールNo.6を181部、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)117部、1,4−ブタンジオール5部、N−メチルジエタノールアミン3部、ジメチロールプロピオン酸11部、N−メチル2−ピロリドン81部をを反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0067】
次いで、トリエチルアミン9部を加えて中和した後、反応終了までに水589部を加えて樹脂固形分32.0%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0068】
比較例1
ポリエステルポリオールNo.7を200部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)81.6部、ジメチロールプロピオン酸20部、N−メチル2−ピロリドン75部を反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0069】
次いで、トリエチルアミン16部を加えて中和した後、ヘキサメチレンジアミン7.5部を加え、水を添加しながら35℃以下で架橋反応を行い、反応終了までに水553部を加えて樹脂固形分32.4%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0070】
比較例2
ポリエステルポリオールNo.8を200部、水添メタキシリレンジイソシアネート(H6XDI)78.2部、ジメチロールプロピオン酸20部、メチルエチルケトン58部、1,4−ブタンジオール15部、N−メチル−2−ピロリドン90部を反応容器にとり、80℃〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0071】
次いで、トリエチルアミン17.8部を加え中和した後、水592部を加えて樹脂固形分31.7%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0072】
比較例3
ポリエステルポリオールNo.8を200部、水添ジフェニルジイソシアネート(H12MDI)109部、メチルエチルケトン50部、1,4−ブタンジオール2.5部、N−メチルジエタノールアミン15部を反応容器にとり、80℃〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0073】
次いで、酢酸9部を加え中和した後、減圧下にメチルエチルケトンを留去し水503.5部を加えて樹脂固形分36.7%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0074】
比較例4
ポリエステルポリオールNo.7を216部、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)124部、1,4−ブタンジオール6.4部、N−メチルジエタノールアミン4.4部、ジメチロールプロピオン酸14部、N−メチル2−ピロリドン97.2部をを反応容器にとり、80〜100℃に保ちながら反応させ、プレポリマーを製造した。
【0075】
次いで、トリエチルアミン10.8部を加えて中和した後、反応終了までに水702部を加えて樹脂固形分31.1%の水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した。
【0076】
【表3】
Figure 0004104229
【0077】
【表4】
Figure 0004104229
【0078】
使用例1
上記表3及び表4に示す、ポリエステルポリオールを原料にした水系ポリウレタン樹脂組成物を樹脂固形分20%となるように希釈して、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、及びコロナ放電処理したポリプロピレン(PP)フィルムに塗布し、乾燥の後、JIS K 5400に準拠し、塗膜の密着性を評価した。その結果を下記表5に示す。
【0079】
【表5】
Figure 0004104229
【0080】
使用例2
次に、厚さ0.165mmのポリエチレンテレフタレートの片面に下記配合の水系ポリウレン樹脂組成物及びコロイダルシリカの混合物をグラビアコーター(グラビアロール:160メッシュ)により塗布し、120℃で乾燥して塗膜を形成させた農業用防滴性フィルムを作成し、その性能を下記(1)〜(3)の基準に従って評価した。その結果を下記表6及び表7に示す。
【0081】
〔配合〕
水系ポリウレタン樹脂組成物 固形分として 50重量部
コロイダルシリカ 固形分として 50重量部
[旭電化工業(株)製、商品名 アデライトAT−30A、平均粒径15nm、水分散]
【0082】
(1)透明性
スガ試験機製、ヘイズメーターにてヘイズ値を測定して評価した。
○(良好):0〜3%、 △(やや劣る):3%超〜5%、×(劣る):5%超
(2)密着性
セロテープによる剥離テスト
○:はがれない、△:一部はがれ、×:全面はがれ
(3)初期防滴性および防滴持続性
水温40℃、外気温5〜10℃の水槽の上に傾斜30°でフィルムを展張し、初期防滴性および防滴持続性を次の基準に従って評価した。
初期防滴性;○:展張後30分未満に水滴の付着なく流れる、△:展張後30〜60分に水滴の付着なく流れる、×:展張後60分を超え90分以内に水滴の付着なく流れる、
防滴持続性;○:フィルム全面が水滴の付着なく流れる、△:フィルムの約50%が水滴の付着なく流れる、×:フィルムのほぼ全面に水滴が付着する
【0083】
【表6】
Figure 0004104229
【0084】
【表7】
Figure 0004104229
【0085】
使用例3
下記配合によりインフレーション加工法により0.1mm厚のフィルムを作成した。
【0086】
〔配合〕 重量部
低密度ポリエチレン(0.923g/cm2 、MFR=2.0) 100
トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト 0.2
2−ヒドロキシベンゾフェノン 0.1
メチレンビスアマイド 0.2
DHT−4A 0.2
【0087】
次に、このポリエチレンフィルムの片面に、使用例2と同様に水系ポリウレタン樹脂組成物とコロイダルシリカとの混合物を130メッシュグラビアレコーダーにより塗布し、厚さ2μmの塗膜を形成した。ここで得られたフィルムを塗布面を外側にして屋外(埼玉県浦和市)暴露して、6ケ月後および12ケ月後のサンプルについて表面状態を観察した。評価は目視により汚れや傷の発生状況を総合して10段階で評価(耐候性)し、1が暴露前とほとんど差のない状態を表し、数値が大きくなるに従って劣化が進行している状態を表す。またこれに加え、オリジナル(スタート時)と6ケ月後のフィルムについてJIS K 7105に従い光線透過率を測定した。
【0088】
また、フィルムと塗布層との密着性を確認するため未暴露および暴露6ケ月後のフィルムの塗布面にセロテープを指で擦り付けて貼った後に強く引き剥がして評価した。評価基準は、○が完全に塗布層が残っていろことえを表し、△が部分的に剥離がみられることを表し、×がほぼ完全に剥離したことを表す。
さらに未暴露のフィルムを使用して防曇性の試験を行った。試験方法は四方を木板で囲んだ曇観察用のフレームの天井傾斜面に塗布面を内側にして試験フィルムを張り、予め用意した水温約40℃の水槽上に乗せ、25℃の室温で48時間放置する。次いで水浴を40℃に保持したまま室温を5℃に下げ、1時間後にフィルム内表面(水槽に面した側の表面)の曇の発生状態を目視により確認した。×(曇発生)、△(やや曇発生)および○(曇発生せず)の三段階で評価した。それらの結果を下記表8及び表9に表す。
【0089】
【表8】
Figure 0004104229
【0090】
【表9】
Figure 0004104229
【0091】
使用例4
前記表3及び表4に示す、ポリエステルポリオールを原料にした水系ポリウレタン樹脂組成物を樹脂固形分20%となるように希釈して、厚さ0.1mmのポリプロピレンシート/合板の間に塗布し、90℃で熱圧着し、室温で1週間養生した後、常態及び60℃温水48時間浸水後(耐温水)のはく離接着強度を測定した。その結果を下記表10に示す。
【0092】
【表10】
Figure 0004104229
【0093】
以上の各表の結果から、水系ポリウレタン樹脂組成物において、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分としないポリエステルポリオールから製造された水系ポリウレタン樹脂組成物(比較例)の場合は、フィルムに対する密着性に著しく劣っており、実用上不満足である。これ対し、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから得られた水系ポリウレタン樹脂組成物(実施例)は、PETやPPに対して優れた密着性を有していることが確認できた。
【0094】
また、農業用防滴フィルムにコロイダルシリカを含有させた水系ポリウレタン樹脂組成物を塗布した場合の結果から、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分としない比較例の場合は、接着強度、防曇性は劣っており、実用上不満足である。これ対し、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから得られた水系ポリウレタン樹脂組成物(実施例)は、優れた接着強度、防曇性を有していることが確認できた。
【0095】
さらに、ポリオレフィンシート/合板におけるはく離接着強度においても、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分としない比較例の場合は、はく離接着強度は劣っており、実用上不満足である。これ対し、12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分とするポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから得られた水系ポリウレタン樹脂組成物(実施例)は、優れたはく離接着強度を有していることが確認できた。
【0096】
【発明の効果】
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、密着性、耐候性、防曇性およびはく離接着強度の優れた塗膜を与えることのできるものである。

Claims (5)

  1. 12−ヒドロキシステアリン酸または/および12−ヒドロキシステアリルアルコールを必須の構成成分として10重量%以上含有するポリエステルポリオールとポリイソシアネートとから製造された水系ポリウレタン樹脂が水に乳化分散されている水系ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 上記ポリエステルポリオールが、12−ヒドロキシステアリン酸および2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつポリオールを必須成分とし、必要に応じてポリカルボン酸を用いて誘導されたポリエステルポリオールである請求項1記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 上記ポリエステルポリオールが、12−ヒドロキシステアリルアルコールおよびポリカルボン酸を必須成分とし、必要に応じて2ないし3官能の炭素数2〜40の炭化水素をもつ他のポリオールとから誘導されたポリエステルポリオールである請求項1記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
  4. プラスチック製品用コーティング剤または接着剤として使用することを特徴とする請求項1記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
  5. 上記プラスチック製品が、農業用フィルムまたは壁装材であることを特徴とする請求項4記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
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