JP4097900B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な積層セラミック電子部品の一つである積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ素子本体を有し、このコンデンサ素子本体の両端部には、前記内部電極層と導通する外部端子電極が形成してある。外部端子電極は、通常、Ag、Ag−Pd、Cu、Ni、それらの合金などの金属粉末(導電成分)に、ガラスフリット、有機ビヒクル(バインダーおよび溶剤など)を配合してなる外部端子電極用ペーストを、コンデンサ素子本体の両端部に塗布し、焼き付けることにより固着されて形成される。
【0003】
外部端子電極が素子本体の両端部に固着するのは、主として、(1)外部端子電極に含まれるガラスフリットに由来するガラス成分と、素子本体に含まれる誘電体層に由来するセラミックとの結合力、および(2)外部端子電極に含まれる金属材料と、素子本体に含まれる内部電極層を構成する金属材料との接続による結合力、によるものと考えられている。
【0004】
一方、こうした構成の積層セラミックコンデンサの実装強度、特にコンデンサ素子本体に対する外部端子電極の固着強度が低いと、コンデンサの信頼性が著しく低下してしまうことから、この固着強度を向上させるために種々の提案がなされている。
【0005】
たとえば、特開平9−129476号公報では、静電容量に関与する通常の内部電極の他に、静電容量に関与しないダミー内部電極を素子本体中に形成し、当該ダミー内部電極を素子本体の端面に露出させることにより、外部端子電極と素子本体との固着強度を向上させた積層セラミックコンデンサが開示してある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この公報記載の技術では、確かに、素子本体に対する外部端子電極の固着強度を向上させることが期待できるが、製造工程が複雑になるのみならず、製造コストが大幅にかかるという新たな問題を生じうる。
【0007】
本発明の目的は、複雑な製造工程によらず、低コストで製造でき、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が大きく、高い信頼性を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品、およびその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品の製造方法は、
誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を形成する工程と、
前記素子本体の外面に、金属酸化物およびガラスフリットを含む外部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け処理して外部端子電極を形成する工程とを有する。
【0020】
あるいは、本発明に係る電子部品の製造方法は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体の外面に外部端子電極が形成してある電子部品を製造する方法であって、
誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を形成する工程と、
前記素子本体の外面に、金属酸化物およびガラスフリットを含む外部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け処理して外部端子電極を形成する工程とを有し、
前記外部端子電極が、前記素子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部とガラスとが反応している反応層と、
前記反応層の外面に形成され、内部に金属を含むガラス層と、
前記ガラス層の外面に形成された金属で構成してある導電層とを有し、
前記ガラス層の内部に含まれる金属が、前記導電層を構成する金属と同一成分の金属であり、
前記ガラス層内の金属の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記焼き付け処理の保持温度が600〜900℃である。
【0022】
好ましくは、前記焼き付け処理の保持時間が0.1〜60分である。
【0023】
好ましくは、前記外部端子電極用ペーストにおける各成分の含有量が、金属酸化物:80〜99重量%、ガラスフリット:1〜20重量%である。
【0024】
好ましくは、前記金属酸化物が、Cuの酸化物およびNiの酸化物の少なくとも1種である。
【0025】
好ましくは、前記焼き付け処理を行う前に、脱バインダー処理を行う。
【0026】
【作用】
従来の積層セラミックコンデンサなどの電子部品には、誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部とガラスとが反応している反応層と、前記反応層の外面に形成され、内部に金属を含まないガラス層と、前記ガラス層の外面に形成された金属で構成してある導電層とを有する外部端子電極が形成されている。
【0027】
ここで、素子本体とガラス層とは、素子本体の誘電体層に含まれるセラミックと、ガラス層を構成するガラスとが化学反応を伴い、これにより化学的に強固に接続している、と考えられている。
【0028】
一方、ガラス層を構成するガラスは酸化物であることから、ガラス層と導電層とは、前述した素子本体とガラス層との間に生じる強固な接続とは異なり、機械的に接続して強度を維持しているに過ぎない、と考えられている。
【0029】
したがって、ガラス層と導電層との間の接続強度を向上させるためには、両者の間で化学反応を伴わせて化学的に接続させることが必要である。
【0030】
本発明に係る電子部品の製造方法では、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体の外面に、金属酸化物、ガラスおよび有機ビヒクルを含む外部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け処理して外部端子電極を形成する。すなわち本発明では、外部端子電極の焼き付け処理を還元雰囲気で行う。このため、ペーストに含まれる金属酸化物(たとえばCuO、CuO)が還元されて金属粒子(たとえばCu)としてガラス層中に析出し、これが導電層を構成する金属成分(たとえばCu)と結合する。これにより、ガラス層と導電層との間で化学的に強固な接続が生じる。そもそも素子本体とガラス層とは、前述した反応層を介して強固に接続しているのであるから、結果的に、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が向上する(素子本体のサイズがたとえば縦3.2mm×横1.6mm×厚み1.2mmの場合に、固着強度が100N以上)。
【0031】
本発明に係る電子部品は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体の外面に形成された外部端子電極が、内部に金属を含むガラス層を有する。このガラス層の内面には、好ましくは前記素子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部と反応している反応層が形成される。また前記ガラス層の外面には、好ましくは金属で構成してある導電層が形成される。ここで、素子本体とガラス層とは反応層を介して化学的に強固に接続してあり、またガラス層と導電層とは、このガラス層に含まれる金属粒子が導電層を構成する金属成分と結合した形で化学的に強固に接続してあることから、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が向上している(素子本体のサイズがたとえば縦3.2mm×横1.6mm×厚み1.2mmの場合に、固着強度が100N以上)。
【0032】
すなわち、本発明によれば、複雑な製造工程によらず、低コストで製造でき、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が大きく、高い信頼性を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品、およびその製造方法を提供できる。本発明では、固着強度が高い電子部品が得られることから、電子部品の撓み強度も向上する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの要部断面図、
図2は図1のII部分の拡大図、
図3は図2のIII 部分の拡大図、
図4は実施例1のコンデンサ試料において、外部端子電極と素子本体との間の断面微細構造をSEMにより観察した顕微鏡写真である。
【0034】
積層セラミックコンデンサ
図1に示すように、電子部品の一例としての本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層4と内部電極層6,8とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の形状は、特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、縦(0.6〜5.6mm)×横(0.3〜5.0mm)×厚み(0.3〜1.9mm)程度である。
【0035】
コンデンサ素子本体10のX方向両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層6,8と各々導通する一対の外部端子電極12,14が形成してある。本実施形態では、コンデンサ素子本体10のサイズがたとえば縦3.2mm×横1.6mm×厚み1.2mmである場合において、外部端子電極12,14は、素子本体に対して100N以上、好ましくは120N以上の固着強度で固着される。なお、従来の積層セラミックコンデンサにおいて、同一サイズでは、100N未満の固着強度が限界であった。
【0036】
外部端子電極
図2および図3に示すように、外部端子電極12は、内部電極層6側から順に、ガラス−素体反応層122、ガラス層124および導電層126が積層される3層構造で構成してある。導電層126の外面には、メッキ層(図示省略)が形成してあってもよい。なお、外部端子電極14は、外部端子電極12と同様の構成であるので、その説明を割愛する。
【0037】
ガラス−素体反応層
ガラス−素体反応層122は、後述する外部端子電極用ペースト中に含まれるガラスフリット(ガラス)と、素子本体10の誘電体層4とが化学反応を起こし、互いに混じり合って存在する層であり、主としてガラスと誘電体酸化物とで構成される。反応層122の厚みは、特に限定されないが、通常0.1〜10μm程度である。
【0038】
ガラス層
ガラス層124には、ガラス中に金属粒子124aが含有して構成される。
金属粒子124aは、たとえばAg、Au、Pt、Pd、CuおよびNiから選ばれる少なくとも一種(合金含む)が挙げられるが、好ましくはCu、Niあるいはそれらの合金、より好ましくはCuである。ガラス層124における金属粒子124aの含有量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%である。ガラス層124に含まれる金属粒子124aの平均粒径は、好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.1〜10μmである。ガラス層124の厚みは、特に限定されないが、通常、0.1〜5μm程度である。
ガラス層124を構成するガラスの組成は、特に限定されないが、たとえばケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミナケイ酸塩ガラスなどで構成される。ガラス層124には、必要に応じて、CuO、CuO、CaO、BaO、MgO、ZnO、PbO、NaO、KO、MnOなどの添加物が含有してあってもよい。
【0039】
導電層
導電層126は、上述した金属粒子124aと同一成分の金属で構成される。導電層126の厚みは、特に限定されないが、通常、5〜100μm程度である。
【0040】
メッキ層
必要に応じて形成されるメッキ層(図示省略)は、スパッタなどに代表されるような乾式法、あるいはメッキ液中で行う湿式法のいずれを用いて形成されていても構わない。従来より公知の湿式法、具体的には電解メッキ法あるいは無電解メッキ法で形成できるが、電解メッキ法により形成してあることが好ましい。
【0041】
電解メッキ法により外部端子電極12上にメッキ層を形成する場合、通常、外部端子電極12上からNiおよびSnの順、あるいはNiおよびSn−Pbはんだメッキの順に形成されるが、特に環境への配慮から、NiおよびSnの順でメッキ層が形成してあることが好ましい。メッキ層の厚みは、特に限定されないが、通常、総計0.1〜20μm程度である。
【0042】
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2では、誘電体層4と内部電極層6,8とが交互に積層してある素子本体10の外面に外部端子電極12,14が形成してある。外部端子電極12,14は、素子本体10の外面に直接に形成され、前記素子本体10の一部とガラスとが反応しているガラス−素体反応層122と、反応層122の外面に形成され、内部に金属124aを含むガラス層124と、ガラス層124の外面に形成された金属で構成してある導電層126とを有する。ここで、素子本体10とガラス層124とはガラス−素体反応層122を介して化学的に強固に接続してあり、ガラス層124と導電層126とはこのガラス層124に含まれる金属粒子124aが導電層126を構成する金属成分と結合して化学的に強固に接続してある。その結果、高い固着強度が得られる。
【0043】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、誘電体層用ペースト、内部電極層用ペースト、外部端子電極用ペーストをそれぞれ準備する。
【0044】
誘電体層用ペースト
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して製造される。
【0045】
誘電体原料には、誘電体層4の組成に応じた粉末を用いる。誘電体材料としては特に限定されるものではなく、種々の誘電体材料を用いて良いが、たとえば、チタン系酸化物、チタン系複合酸化物、あるいはこれらの混合物等が好ましい。チタン系酸化物としては、必要に応じてNiO,CuO,Mn,Al,MgO,SiO等を総計0.001〜30重量%程度添加したTiO系の酸化物が例示され、チタン系複合酸化物としては、チタン酸バリウムBaTiO等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は、0.95〜1.20程度が良く、BaTiOには、MgO,CaO,Mn,Y,V,ZnO,ZrO,Nb,Cr,Fe,P,NaO,KO等が総計0.001〜30重量%程度添加されていても良い。また、焼成温度、線膨張率の調整のため、(Ba,Ca)SiOガラス等のガラスが、誘電体層用ペースト中に添加されていても良い。
【0046】
誘電体原料の製造方法は、特に限定されず、たとえばチタン酸バリウムを用いる場合、水熱合成したBaTiOに、副成分原料を混合する方法を用いることができる。また、BaCOとTiOと副成分原料との混合物を仮焼して固相反応させる乾式合成法を用いても良い。また共沈法、ゾル・ゲル法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法等により得た沈殿物と副成分原料との混合物を仮焼して合成しても良い。なお、副成分としては、酸化物や、焼成により酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、有機金属化合物等の少なくとも一種以上を用いることができる。
【0047】
誘電体材料の平均粒径は、目的とする誘電体層の平均結晶粒径に応じて決定すれば良いが、通常、平均粒子径0.3〜1.0μm程度の粉末を用いる。
【0048】
有機ビヒクルは、バインダーを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダーは、特に限定されず、エチルセルロース等の通常の各種バインダーから適宜選択すれば良い。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法、利用する方法に応じて、ターピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すれば良い。
【0049】
誘電体層4の一層あたりの厚さは、特に限定されないが、通常1.5〜20μm程度である。また誘電体層4の積層数は、通常、100〜300程度である。
【0050】
内部電極層用ペースト
内部電極層用ペーストは、導電材(導電性金属やその合金、あるいは焼成後に前記導電性金属やその合金となる金属酸化物など)と、上記した有機ビヒクルとを少なくとも混練して調整される。
【0051】
内部電極層用ペーストに含まれる導電材は、特に限定されないが、Ni、Cuなどの卑金属またはその合金が好ましく、より好ましくはNiあるいはNi合金である。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAl等から選ばれる少なくとも一種の元素と、Niとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていても良い。誘電体層4の構成材料に耐還元性を有するものを使用することで、安価な卑金属を用いることが可能となる。
【0052】
内部電極層6,8の厚さは用途に応じて、適宜決定すれば良いが、0.5〜5μm程度であることが好ましい。
【0053】
外部端子電極用ペースト
外部端子電極用ペーストは、導電材と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを少なくとも含有して調整される。
【0054】
外部端子電極用ペーストに含まれる導電材には、少なくとも金属酸化物が含まれる。金属酸化物としては、特に限定されないが、Cuの酸化物(たとえばCuOまたはCuO)、またはNiの酸化物(たとえばNiO)が好ましく、より好ましくはCuの酸化物である。
【0055】
外部端子電極用ペーストに含まれる導電材には、さらに金属単体またはその合金が含有してあってもよい。金属としては、たとえばAg、Au、Pt、Pd、CuおよびNiから選ばれる少なくとも一種などが挙げられる。
【0056】
導電材の平均粒径は、特に限定されないが、たとえば0.01〜30μm程度である。0.01μmよりも平均粒径が小さい場合、粒子の凝集が激しくなり、外部端子電極用ペーストの塗布や乾燥時に、あるいは焼き付け時に、外部端子電極4にクラックが生じやすくなる傾向がある。30μmよりも平均粒径が大きい場合、ペースト化が困難になる傾向がある。
【0057】
外部端子電極用ペーストに含まれるガラスフリットは、主として素子本体10に対する外部端子電極12,14の接着を確保する機能を司る。
【0058】
ガラスフリットの組成は、特に限定されないが、後述するように本発明では外部端子電極12,14の焼き付け処理を還元性雰囲気で行うことから、その雰囲気下でもガラスとしての機能を果たすものであることが必要である。このようなものとしては、たとえば、ケイ酸塩ガラス{(SiO:20〜80重量%、NaO:80〜20重量%)や(SiO:7〜63重量%、ZnO:37〜93重量%)}、ホウケイ酸塩ガラス(B:5〜50重量%、SiO:5〜70重量%、PbO:1〜10重量%、KO:1〜15重量%)、アルミナケイ酸塩ガラス(Al:1〜30重量%、SiO:10〜60重量%、NaO:5〜15重量%、CaO:1〜20重量%、B:5〜30重量%)等が挙げられる。これらの各種ガラスは、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0059】
このようなガラスには、必要に応じて、CuO:0.01〜50重量%、CuO:0.01〜50重量%、CaO:0.01〜50重量%、BaO:0.01〜50重量%、MgO:0.01〜5重量%、ZnO:0.01〜70重量%、PbO:0.01〜5重量%、NaO:0.01〜10重量%、KO:0.01〜10重量%、MnO:0.01〜40重量%等の添加物を所定の組成になるように混合しても良い。ガラスフリットの平均粒径は、特に限定されないが、たとえば0.01〜30μm程度である。0.01μmよりも平均粒径が小さいと導電材の焼結が不均一となり、外部端子電極12,14にクラックを発生させる原因となる傾向があり、30μmよりも平均粒径が大きいと、ガラスの分散が悪くなり、外部端子電極12,14と素子本体10との接着性が低下する傾向にある。
【0060】
外部端子電極用ペーストにおける導電材の含有量は、好ましくは80〜99重量%、より好ましくは85〜93重量%である。ガラスフリットの含有量は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%である。
【0061】
有機ビヒクルとしては、上述のものを用いれば良い。
【0062】
有機ビヒクルの含有量
なお、上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえばバインダーは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%とすれば良い。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加剤が含有されていても良い。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
【0063】
(2)次に、誘電体層用ペーストと内部電極層用ペーストとの積層体(グリーンチップ)を作製する。
【0064】
グリーンチップの作製
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストをPET等の基板上に印刷する。このとき内部電極層用ペーストの端部の一方が誘電体ペーストの端部より交互に外部に露出するように積層する。その後、熱圧着し、所定形状に切断してチップ化した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
【0065】
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリーンシート上に内部電極層用ペーストを印刷し、これらを交互に繰り返して積層し、所定形状に切断してグリーンチップとする。
【0066】
(3)次に、グリーンチップを、脱バインダ後に焼結(焼成、アニール)することにより、積層セラミックコンデンサの素体本体10である焼結チップを作製する。
【0067】
脱バインダー工程
焼結前に行う脱バインダー処理の条件は、通常のものであっても良いが、内部電極層6,8の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜100℃/時間、
保持温度:200〜400℃/時間、特に250〜300℃/時間、
温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間、
雰囲気:空気中。
【0068】
焼成工程
グリーンチップの焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペーストの導電材の種類に応じて適宜選択すれば良いが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気はNを主成分とし、H:1〜10容積%を、10〜35℃における水蒸気圧によって加湿してHOガスとしたものが好ましい。酸素分圧は10−8〜10−3Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、内部電極層6,8中の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を越えると、内部電極層6,8が酸化してしまう傾向にある。
【0069】
焼成時の保持温度は、好ましくは1100〜1400℃、より好ましくは1200〜1300℃である。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分であり、前記範囲を越えると、内部電極層6,8が途切れやすくなる傾向がある。また、焼成時の温度保持時間は、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間である。
【0070】
アニール工程
還元雰囲気で焼成した場合、焼成後の素体本体10にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層4を再酸化するための処理であり、これにより得られるコンデンサ2の絶縁抵抗の加速寿命を著しく長くすることができる。
【0071】
アニール雰囲気の酸素分圧は、好ましくは10−3Pa以上、より好ましくは10−3〜10−1Paである。酸素分圧が前記範囲未満であると、誘電体層4の再酸化が困難であり、前記範囲を越えると内部電極層6,8が酸化する傾向がある。
【0072】
アニールの保持温度は、好ましくは1100℃以下、より好ましくは500〜1000℃である。保持温度が前記範囲未満であると、誘電体層4の酸化が不十分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなる傾向を示し、前記範囲を越えると内部電極6,8が酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命も短くなる傾向がある。なお、アニール工程は昇温および降温だけから構成しても良い。この場合、温度保持時間をとる必要なく、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持時間は、好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間が好である。雰囲気ガスには、Nと加湿したHガスを用いることが好ましい。
【0073】
なお、上記した脱バインダー処理、焼成およびアニールの各工程において、N,Hや混合ガス等を加湿するには、たとえば、ウエッター等を使用すれば良い。この場合の水温は、5〜75℃程度が好ましい。
【0074】
脱バインダー工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行っても、独立して行っても良い。
【0075】
これらを連続して行う場合、脱バインダー処理後、冷却せず雰囲気を変更、独立して行っても良い。これらを連続して行う場合、脱バインダー処理後、冷却せず雰囲気を変更し、続いて焼成の保持温度まで昇温して焼成を行い、ついで冷却し、アニール工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行うことが好ましい。また、これらを独立して行う場合は、脱バインダー処理工程では、所定の保持温度まで昇温し、所定時間保持した後、室温まで降温する。その際の脱バインダー雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。また、脱バインダー工程と焼成工程とを連続して行い、アニール工程だけを独立して行うようにしても良く、または、脱バインダー工程だけを独立して行い、焼成工程とアニール工程を連続して行うようにしても良い。
【0076】
(4)次に、焼結チップ(素子本体10)における内部電極層6,8の端部が露出している両端面に、外部端子電極12および14を形成する。
【0077】
外部端子電極の形成
外部端子電極12,14の形成に際しては、上述した外部端子電極用ペーストを用いる。
【0078】
まず、素子本体10の両端面に外部端子電極用ペーストを塗布する。塗布工程としては特に限定されるものではないが、ディップ法等によれば良い。外部端子電極用ペーストの塗布量は、特に限定されるものではなく、塗布する焼結体チップの大きさなどにより適宜調整すれば良いが、通常、5〜100μm程度である。
【0079】
次に、外部端子電極用ペーストを乾燥する。乾燥は60〜150℃程度で、10分〜1時間程度行うことが好ましい。
【0080】
次に、バインダーの除去(脱バインダ)を行う。脱バインダ条件は、特に限定されるものではないが、通常、300〜600℃程度、1〜60分程度、空気中で行うことが好ましい。この脱バイ中に、内部電極層6,8であるNiが酸化するため、この酸化したNiを還元するために、還元処理を行う。還元は、特に限定されるものではないが、250〜600℃程度、0.1〜60分程度、NとHの混合雰囲気中で行うことが好ましい。
【0081】
その後、以下に示す条件で、素子本体10への焼き付け処理を行う。
雰囲気:NとHとの混合ガス等の還元雰囲気、
保持温度:好ましくは600〜900℃、より好ましくは650〜850℃、
保持時間:好ましくは0.1〜60分、より好ましくは1〜10分。
【0082】
(5)なお、必要に応じて、上記外部端子電極12,14上には、Ni層とSn層、またはSn−Pb合金層を電解メッキ法にて形成してもよい。メッキ層の厚みは特に限定されないが、通常、0.1〜20μm程度である。
【0083】
(6)以上のような工程を経ることにより、上述した図1および図2に示す構成の積層セラミックコンデンサが得られる。本実施形態のセラミックコンデンサ1は、はんだ付け等によってプリント基板上に実装され、各種電子機器に用いられる。
【0084】
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法では、外部端子電極12,14の焼き付け処理を還元雰囲気で行うことにより、ペーストに含まれる金属酸化物が還元され、導電層126を構成する金属成分と同一成分の金属粒子124aを、ガラス層124(図2参照)の中に析出させることができる。そして、このガラス層124中に析出した金属粒子124aは、導電層126を構成する金属成分と結合し、その結果、ガラス層124と導電層126との間に強固な接続を生じさせることができる。素子本体10とガラス層124とは、ガラス−素体反応層122を介して強固に接続していることから、素子本体10に対する外部端子電極12,14の固着強度が向上する。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0086】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有し、この素子本体の外面に上記構造の外部端子電極が形成してあるものであれば何でも良い。
【0087】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0088】
実施例1
誘電体層の主原料としてBaCO(平均粒径:2.0μm)およびTiO(平均粒径:2.0μm)を用意した。Ba/Tiの原子比は1.00である。また、これに加えて、100重量%のBaTiOに対し、添加物としてMnCOを0.2重量%、MgCOを0.2重量%、Yを2.1重量%、(Ba,Ca)SiOを2.2重量%、それぞれ準備した。各原料粉末を水中ボールミルで混合し、乾燥した。得られた混合粉を1250℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を水中ボールミルで粉砕し、乾燥した。得られた仮焼粉に、有機バインダーとしてアクリル樹脂と、有機溶剤として塩化メチレンとアセトンを加えてさらに混合し、誘電体スラリーとした。得られた誘電体スラリーをドクターブレード法にて誘電体グリーンシートとした。
【0089】
内部電極層材料としてNi粉末(平均粒径:0.8μm)を用意し、これに有機バインダーとしてエチルセルロースと、有機溶剤としてターピネオールを加え、三本ロールを用いて混練し、内部電極ペーストとした。
【0090】
外部端子電極の材料として、CuO粉末(平均粒径:0.5μm)とCuO粉末に対して亜鉛系マンガン含有ガラスフリット(平均粒径:2.0μm)を5重量%添加し、これらの合計100重量部に対して、有機バインダーとしてのアクリル樹脂を3重量部と、有機溶剤としてのターピネオールを22重量部とを加え、三本ロールを用いて混練し、外部端子電極用ペーストとした。
【0091】
所定の厚みを得るために誘電体グリーンシートを数枚積層し、その上にスクリーン印刷法により内部電極層用ペーストの端部が誘電体層用グリーンシートの端部から交互に外部に露出するように印刷されたグリーンシートを200枚積層し、熱圧着した。次いで、焼成後のチップ形状が、縦3.2mm×横1.6mm×厚み1.2mmになるように切断し、グリーンチップを得た。
【0092】
得られたグリーンチップを、加湿したN+H(H:3容積%)雰囲気中、1300℃にて3時間保持して焼成し、さらに加湿したHガスを含む酸素分圧10−2Paの雰囲気にて1000℃で2時間保持し、チップ焼結体を得た。得られた焼結体の両端部に、外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行い、空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために還元処理をした後に、N−H(H :3容量%)雰囲気(還元雰囲気)中、750℃で1分間保持して焼き付け処理を行い、外部端子電極を形成した。
【0093】
その後、外部端子電極上に、Ni,Snの順に電解メッキ法にてメッキ膜を形成して積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた試料の静電容量は設計通り、100nFであった。
【0094】
得られたコンデンサ試料の1個を、厚み方向に沿って切断して、断面を露出させた後、外部端子電極と素子本体との間の断面微細構造をSEM−EDX(日本電子製)により観察した結果を図4に示す。その結果、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、亜鉛系マンガン含有ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、亜鉛系マンガン含有ガラスフリットおよびCu粒子を含有するガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。なお、反応層の厚みは3μm程度、ガラス層の厚みは4μm程度、導電層の厚みは40μm程度であった。
【0095】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価した。固着強度は、20個のコンデンサ試料を用いて行い、得られた値の平均値を算出して評価した。その結果、本実施例のコンデンサ試料では、固着強度が120Nであった。
【0096】
比較例1
Cu粉末(平均粒径:1.0μm)を用い、外部端子電極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、750℃で1分間行った以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサ試料を得た。
【0097】
そして、得られたコンデンサ試料の1個を用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、実施例1と異なり、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、亜鉛系マンガン含有ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、亜鉛系マンガン含有ガラスフリットで構成されたガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。
【0098】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価したところ、固着強度は82Nであり、これにより実施例1の優位性が確認できた。
【0099】
実施例2
CuO粉末に対してバリウム系ガラスフリット(平均粒径:2.0μm)を5重量%添加した以外は、実施例1と同様にして外部端子電極用ペーストを得た。そして、実施例1と同様にして得られたチップ焼結体の両端部に、この外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行い、空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために還元処理をした後に、N−H雰囲気中、750℃で1分間保持して焼き付け処理を行い、外部端子電極を形成した。その後、外部端子電極上に、実施例1と同様のメッキ膜を形成して積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた試料の静電容量は設計通り、100nFであった。
【0100】
得られたコンデンサ試料の1個を用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、実施例1と同様に、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、バリウム系ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、バリウム系ガラスフリットおよびCu粒子を含有するガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。なお、反応層の厚みは1μm程度、ガラス層の厚みは1.2μm程度、導電層の厚みは40μm程度であった。
【0101】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価したところ、本実施例のコンデンサ試料では、固着強度が155Nであった。
【0102】
比較例2
Cu粉末(平均粒径:1.0μm)を用い、外部端子電極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、750℃で1分間行った以外は、実施例2と同様にして積層セラミックコンデンサ試料を得た。
【0103】
そして、得られたコンデンサ試料の1個を用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、実施例2と異なり、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、バリウム系ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、バリウム系ガラスフリットで構成されたガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。
【0104】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価したところ、固着強度は76Nであり、これにより実施例2の優位性が確認できた。
【0105】
実施例3
CuO粉末に対してカリウム系ガラスフリット(平均粒径:2.0μm)を5重量%添加した以外は、実施例1と同様にして外部端子電極用ペーストを得た。そして、実施例1と同様にして得られたチップ焼結体の両端部に、この外部端子電極用ペーストを塗布、乾燥を行い、空気中で脱バインダを行い、Niを還元するために還元処理をした後に、N−H雰囲気中、750℃で1分間保持して焼き付け処理を行い、外部端子電極を形成した。その後、外部端子電極上に、実施例1と同様のメッキ膜を形成して積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた試料の静電容量は設計通り、100nFであった。
【0106】
得られたコンデンサ試料の1個を用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、実施例1と同様に、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、カリウム系ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、カリウム系ガラスフリットおよびCu粒子を含有するガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。なお、反応層の厚みは2μm程度、ガラス層の厚みは4μm程度、導電層の厚みは40μm程度であった。
【0107】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価したところ、本実施例のコンデンサ試料では、固着強度が106Nであった。
【0108】
比較例3
Cu粉末(平均粒径:1.0μm)を用い、外部端子電極の焼き付け処理を、還元雰囲気以外の中性雰囲気、750℃で1分間行った以外は、実施例3と同様にして積層セラミックコンデンサ試料を得た。
【0109】
そして、得られたコンデンサ試料の1個を用い、外部端子電極と素子本体との間の断面を観察したところ、実施例3と異なり、外部端子電極は、チップ焼結体(素子本体)側から順に、カリウム系ガラスフリットおよびBaTiOが混合して存在するガラス−素体反応層と、カリウム系ガラスフリットで構成されたガラス層と、Cuで構成される導電層とが積層して構成されていることが確認できた。
【0110】
得られたコンデンサ試料において、素子本体(焼結体チップ)に対する外部端子電極の固着強度を評価したところ、固着強度は80Nであり、これにより実施例3の優位性が確認できた。
【0111】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、複雑な製造工程によらず、低コストで製造でき、素子本体に対する外部端子電極の固着強度が大きく、高い信頼性を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品、およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの要部断面図である。
【図2】 図2は図1のII部分の拡大図である。
【図3】 図3は図2のIII 部分の拡大図である。
【図4】 図4は実施例1のコンデンサ試料において、外部端子電極と素子本体との間の断面微細構造をSEMにより観察した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
2… 積層セラミックコンデンサ
4… 誘電体層
6,8… 内部電極層
10… 素子本体
12,14… 外部端子電極
122… ガラス−素体反応層
124… ガラス層
124a… 金属粒子
126… 導電層

Claims (5)

  1. 誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体の外面に外部端子電極が形成してある電子部品を製造する方法であって、
    誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を形成する工程と、
    前記素子本体の外面に、金属酸化物およびガラスフリットを含む外部端子電極用ペーストを塗布し、還元雰囲気で焼き付け処理して外部端子電極を形成する工程とを有し、
    前記外部端子電極が、前記素子本体の外面に直接に形成され、前記素子本体の一部とガラスとが反応している反応層と、
    前記反応層の外面に形成され、内部に金属を含むガラス層と、
    前記ガラス層の外面に形成された金属で構成してある導電層とを有し、
    前記ガラス層の内部に含まれる金属が、前記導電層を構成する金属と同一成分の金属であり、
    前記ガラス層内の金属の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記焼き付け処理の保持温度が600〜900℃であり、前記焼き付け処理の保持時間が0.1〜60分であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記外部端子電極用ペーストにおける各成分の含有量が、金属酸化物:80〜99重量%、ガラスフリット:1〜20重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記金属酸化物が、Cuの酸化物およびNiの酸化物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記焼き付け処理を行う前に、脱バインダー処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
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