JP4089234B2 - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4089234B2 JP4089234B2 JP2002018542A JP2002018542A JP4089234B2 JP 4089234 B2 JP4089234 B2 JP 4089234B2 JP 2002018542 A JP2002018542 A JP 2002018542A JP 2002018542 A JP2002018542 A JP 2002018542A JP 4089234 B2 JP4089234 B2 JP 4089234B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aqueous electrolyte
- secondary battery
- battery
- lithium secondary
- electrolyte solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電解液及びこれを用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池はエネルギー密度が高く、しかも自己放電を起こしにくいという利点がある。そこで近年、携帯電話やノートパソコン、PDA等の民生用モバイル機器用の電源として広く利用されている。リチウム二次電池用の電解液は支持電解質であるリチウム塩と非水系の有機溶媒から構成される。非水系の有機溶媒は、リチウム塩を解離させるために高い誘電率を有すること、広い温度領域で高いイオン伝導度を発現させること、電池中で安定であることが要求される。これらの要求を一つの溶媒で達成するのは困難であるので、通常はプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等に代表される高沸点溶媒とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点溶媒とを組み合わせて使用している。またカーボネート類をスルホラン等のイオウ含有溶媒またはジメチルホルムアミド等の窒素含有溶媒と混合して使用することもある。例えば特許第3054435号公報ではエチレンカーボネートとN−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体とを含有する非水系電解液を用いることで、保存特性及び充放電サイクル特性が向上することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年高性能化への要求はますます高くなり、中でも過充電防止等の安全対策が望まれている。前述の非水系有機溶媒は通常の使用条件であれば電池中で安定であるが、電池が過充電状態になると分解を開始する。時には急激に反応が進行し、熱暴走を引き起こし、ついには発火に至る場合すらある。従ってリチウム電池には過充電防止対策としてPTC、CID、充電保護回路等の安全装置が設けられているのが通例である。しかしながらこれらの安全装置は比較的高コストであり、また作動が不十分である場合があることから、より早期の段階で安全装置を作動させる非水系電解液が切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非水系電解液に特定の化合物を含有させることによって、電池の過充電特性が大幅に改善されることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、リチウム塩が非水系有機溶媒に溶解されてなる非水系電解液であって、該非水系有機溶媒が下記一般式(1)で表されるピロリジン誘導体を、該非水系電解液に対して0.01〜10重量%含有し、該ピロリジン誘導体は過充電状態におけるガス発生の増強作用を有することを特徴とするリチウム二次電池用非水系電解液、に存する。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、XはR 5 又はNR 6 R 7 を表し、R 1 〜R 7 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数3
以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数8以下の芳香族炭化水素基を表す。またR1とR2、R2とR3、R3とR4、及びR6とR7はそれぞれ結合して環を形成していてもよい)
また、本発明の他の要旨は、上記非水系電解液を用いたことを特徴とするリチウム二次電池、に存する。
【0007】
上記のピロリジン誘導体を含有した非水系電解液を用いると、過充電状態の比較的早期にガスが発生するため、CID等の電池内圧を感知して電流遮断する安全装置が設けられている電池においては、より安全な段階で過充電を停止することができる。上記のガスを発生するメカニズムの詳細は不明であるが、上記のピロリジン誘導体におけるピロリジン環にカルボニル基が結合した構造が大きく関与しているものと考えられる。この結合においては窒素上のローンペアがC=Oの二重結合に供与されるために、窒素の塩基性は低下している。しかし電池が過充電状態になると正極においてC=O上のπ電子が奪われ、窒素の塩基性が高まる。すると炭酸エステルなどの非水系有機溶媒はこの塩基性触媒により分解して二酸化炭素等を発生することになる。なお上記ピロリジン誘導体自身も一酸化炭素を生成するものと考えられる。即ち、上記ピロリジン誘導体は過充電時には一酸化炭素ガスを発生しつつ、非水系有機溶媒を分解させる触媒へと変化しているものと推定されるのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の非水系電解液は、非水系有機溶媒にリチウム塩が溶解され、さらに特定のピロリジン誘導体が含有されているものである。
本発明では下記一般式(1)で表されるピロリジン誘導体を添加剤として使用する。
【0009】
【化3】
【0010】
(式中、XはR 5 又はNR 6 R 7 を表し、R 1 〜R 7 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数3
以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数8以下の芳香族炭化水素基を表す。またR1とR2、R2とR3、R3とR4、及びR6とR7はそれぞれ結合して環を形成していてもよい)
上記一般式(1)において、R 1 〜R 7 は水素原子、炭素数3以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数8以下の芳香族炭化水素基を表すが、このうちR1〜R4は水素原子であるのが好ましい。またR5〜R8は炭素数3以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数8以下の芳香族炭化水素基であるのが好ましく、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であるのがより好ましい。
【0011】
上記ピロリジン誘導体としては、例えば1−ホルミルピロリジン(R1〜R4=水素、X=水素)、N−アセチルピロリジン(R1〜R4=水素、X=メチル基)、N−プロピオニルピロリジン(R1〜R4=水素、X=エチル基)、N−ブチリルピロリジン(R1〜R4=水素、X=プロピル基)、1−ベンゾイルピロリジン(R1〜R4=水素、X=フェニル基)、t−ブチル−1−ピロリジンカルボキシレート(R1〜R4=水素、X=t−ブトキシ基)、ベンジル−1−ピロリジンカルボキシレート(R1〜R4=水素、X=ベンジルオキシ基)、1−アセチルインドリン(R1とR2とでベンゼン環を形成、X=メチル基)、1−ホルミル−2−メチルピロリジン(R1=メチル基、R2〜R4=水素、X=水素)、カルボニルジピロリジン(R1〜R4=水素、X=1−ピロリジニル基)等が挙げられる。これらの添加剤は2種類以上を混合して使用してもよい。
上記ピロリジン誘導体の添加量は特に限定されないが、非水系電解液に対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。添加量が多すぎるとイオン伝導度が低下してレート特性などの電池特性が低下する傾向にある。また添加量が少な過ぎる場合は、充分な過充電防止効果が発現しない。
【0012】
本発明で支持電解質として使用されるリチウム塩としては、特に制限はないが、例えばLiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に、溶媒に溶けやすくかつ高い解離度を示すLiPF6、LiBF4、CF3SO3Li及び(CF3SO2)2NLiからなる群から選ばれるリチウム塩は好適に用いられる。また非水系電解液中のリチウム塩の濃度は、非水系電解液に対して通常0.5〜2mol/Lの範囲で使用するのが好ましい。
【0013】
本発明で用いる非水系有機溶媒としては、リチウム塩を溶解させることができる限り特に限定はされないが、なかでも高いイオン導電性を発現させる溶媒として、通常、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート類、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等の不飽和カーボネート類、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類が好ましく用いられる。
【0014】
これらの有機溶媒は、通常、適切な物性を達成するように混合して使用される。例えば一般に上記鎖状カーボネート類と上記環状カーボネート類とを併用するのが好ましい。また上記鎖状カーボネート類の中でも特にエチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の非対称カーボネートを混合使用するのは好ましい。そのなかでもエチルメチルカーボネートは粘度が低いためリチウムの移動性を高めるだけでなく、沸点が比較的高いため揮散しにくくて取り扱いやすく、またLiとの反応も少ないので好適に用いられる。またビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等の不飽和カーボネート類を混合使用すると、これらの不飽和カーボネート類は初期充電時に還元されやすく、安定な界面保護皮膜(SEI)を形成するのに寄与するので好ましい。
【0015】
本発明の非水系電解液を調製するに際し、非水系電解液の各原料は、予め脱水しておくのが好ましい。各原料の水分量は通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下とするのがよい。水が多量に存在すると、水の電気分解及びリチウム金属との反応、リチウム塩の加水分解などが起こる可能性があり、リチウム二次電池用の電解質として不適当な場合がある。脱水の手段としては特に制限はないが、溶媒などの液体の場合はモレキュラーシーブ等を用いればよい。またリチウム塩などの固体の場合は分解が起きる温度以下で乾燥すればよい。
【0016】
本発明における非水系電解液はリチウム二次電池用の電解液として有用である。以下、本発明のリチウム二次電池について説明する。
本発明の非水系電解液を適用しうるリチウム二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウム二次電池と同様であり、正極と負極とが多孔膜及び本発明の非水系電解液を介してケースに収納されて構成される。本発明の二次電池に使用される正極及び負極としては、電池の種類に応じて適宜選択すればよいが、少なくとも正極、負極に対応した活物質を含有する。また、活物質を固定するためのバインダーを含有してもよい。
【0017】
本発明のリチウム二次電池に使用できる正極活物質としては、例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属を有する酸化物、リチウムとの複合酸化物、硫化物等の無機化合物が挙げられる。具体的には、MnO、V2O5、V6O13、TiO2等の遷移金属酸化物、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物が挙げられる。また、正極活物質として、例えばポリアニリン等の導電性ポリマー等の有機化合物を挙げることもできる。上記の活物質の複数種を混合して用いてもよい。活物質が粒状の場合の粒径は、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で通常1〜30μm、好ましくは1〜10μm程度である。
【0018】
本発明のリチウム二次電池に使用できる負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金を使用することもできるが、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物としてコークス,アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質物質を使用するのが特に好ましい。粒状の負極活物質の粒径は、初期効率、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μm程度である。
【0019】
また、上記炭素質物質を有機物等と混合・焼成した材料、あるいはCVD法等を用いて、少なくとも表面の一部に上記炭素質物に比べて非晶質の炭素を形成した材料もまた、炭素質物質として好適に使用することができる。
上記有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂や、焼成によりフェノール樹脂やイミド樹脂となるこれらの樹脂前駆体も使用することができる。
【0020】
正極又は負極に使用できるバインダーとしては、耐候性、耐薬品性、耐熱性、難燃性等の観点から各種の材料が挙げられる。具体的には、シリケート、ガラスのような無機化合物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,1−ジメチルエチレンなどのアルカン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの不飽和系ポリマー;ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリドンなどの環を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドなどのアクリル誘導体系ポリマー;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンシアニドなどのCN基含有ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが使用できる。また上記のポリマーなどの混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などであっても使用できる。これらの樹脂の重量平均分子量は、通常1万〜300万、好ましくは10万〜100万程度である。分子量が低すぎると電極の強度が低下する傾向にある。一方、分子量が高すぎると粘度が高くなり電極の形成が困難になることがある。好ましいバインダー樹脂は、フッ素系樹脂、CN基含有ポリマーである。
【0021】
バインダーの使用量は、活物質100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下である。バインダーの量が少なすぎると電極の強度が低下する傾向にあり、バインダーの量が多すぎるとイオン伝導度が低下する傾向にある。電極中には、電極の導電性や機械的強度を向上させるため、導電性材料、補強材など各種の機能を発現する添加剤、粉体、充填材などを含有させてもよい。導電性材料としては、上記活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末や、各種の金属のファイバー、箔などが挙げられる。補強材としては各種の無機、有機の球状、繊維状フィラーなどが使用できる。
【0022】
電極は、活物質やバインダー等の構成成分と溶剤とを含む塗料を塗布・乾燥することによって形成することができる。電極の厚さは、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、また通常200μm以下、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。薄すぎると塗布が困難になり均一性が確保しにくくなるだけでなく、電池の容量が小さくなりすぎることがある。一方、あまりに厚すぎるとレート特性が低下しすぎることがある。
【0023】
正極及び負極の少なくとも一方の電極は、通常、集電体上に形成される。集電体としては、各種のものを使用することができが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極の集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS等が挙げられ、負極の集電体としては、銅やニッケル、SUS等が挙げられる。好ましくは、正極の集電体としてアルミニウムを使用し、負極の集電体として銅を使用する。正負極層との結着効果を向上させるため、これら集電体の表面を予め粗面化処理しておくのが好ましい。表面の粗面化方法としては、ブラスト処理や粗面ロールにより圧延するなどの方法、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤ−ブラシなどで集電体表面を研磨する機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。
【0024】
また、電池の重量を低減させる、即ち重量エネルギー密度を向上させるために、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。この場合、その開口率を変更することで重量も自在に変更可能となる。また、このような穴あけタイプの集電体の両面に活物質を存在させた場合、この穴を通しての塗膜のリベット効果により塗膜の剥離がさらに起こりにくくなる傾向にあるが、開口率があまりに高くなった場合には、塗膜と集電体との接触面積が小さくなるため、かえって接着強度は低くなることがある。
【0025】
集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。あまりに厚すぎると、電池全体の容量が低下しすぎることになり、逆に薄すぎると取り扱いが困難になることがある。
本発明の非水系電解液は、これを高分子によってゲル化して半固体状にしてもよい。半固体状電解質における上記電解液の使用量は、半固体状電解質の総量に対して、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上であり、また通常99.95重量%以下、好ましくは99重量%以下、さらに好ましくは98重量%以下とする。使用量が多すぎると、電解液の保持が困難となり液漏れが生じやすくなり、逆に少なすぎると充放電効率や容量の点で不十分となることがある。
【0026】
正極と負極との間には、短絡を防止する上で、多孔性のスペーサが設けられているのが好ましい。即ち、この場合、非水系電解液は、多孔性のスペーサに含浸されて使用される。スペーサの材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン等を用いることができるが、好ましくはポリオレフィンである。スペーサの厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また通常50μm以下、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。多孔膜が薄すぎると、絶縁性や機械的強度が悪化することがあり、厚すぎるとレート特性等の電池性能が悪化するばかりでなく、電池全体としてのエネルギー密度が低下することがある。スペーサの空孔率としては、通常20%以上、好ましくは35%以上、さらに好ましくは45%以上であり、また通常90%以下、好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下である。空孔率が小さすぎると膜抵抗が大きくなりレート特性が悪化する傾向にある。また大きすぎると膜の機械的強度が低下し絶縁性が低下する傾向にある。スペーサの平均孔径は、通常0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下であり、また通常0.05μm以上である。あまりに大きいと短絡が生じやすくなり、小さすぎると膜抵抗が大きくなりレート特性が悪化することがある。
【0027】
リチウム二次電池の構造は特に限定されるものではなく、コイン型電池、円筒型電池、角型電池などが挙げられるが、現行の円筒型電池のようにCID等の電池内圧を感知して電流遮断する安全装置が設けられていることが好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の具体的態様を更に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
[正極の製造]
コバルト酸リチウム(LiCoO2)90重量%とポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とアセチレンブラック5重量%を混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものをアルミニウムからなる集電体の片面に塗布・乾燥して正極を得た。
【0029】
[負極の製造]
グラファイト粉末87.4重量%とPVdF9.7重量%とアセチレンブラック 2.9重量%を混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の両面に塗布・乾燥して負極を得た。
[電解液の調合]
LiPF6を1.25mol/Lの割合で含有するエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(混合体積比2:3:3)100重量部にビニレンカーボネート2重量部を加えたものをベース電解液とし、これにN−アセチルピロリジン4重量部を加えて電解液とした。
【0030】
[リチウム二次電池の製造]
上記正極、負極、及び膜厚16μm、空孔率45%、平均孔径0.05μmのポリエチレン製2軸延伸多孔膜フィルムに、それぞれ前記電解液を塗布・含浸させた後、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を、まずPETフィルムで挟んだ後、アルミニウム層の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムに正極負極の端子を突設させつつ、真空封止してシート状のリチウム二次電池を作製した。さらに電極間の密着性を高めるためにシリコンゴム及びガラス板でシート状電池を挟んだ上で0.35kg/cm2で加圧した。図1に二次電池の概略断面図を示す。
【0031】
[電池初期特性評価]
コバルト酸リチウムの1時間当たりの放電量を138mAh/gとし、これと評価用リチウム二次電池の正極の活物質量とから放電速度1Cを求めてレート設定をした上で、0.2Cで4.2Vまで充電した後、0.2Cで3Vまで放電し、初期のフォーメーションを行った。ついで0.5Cで4.2Vまで充電した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。結果を表−1に示した。なお充電時のカット電流は何れも0.05Cとした。
【0032】
[過充電特性評価]
初期特性評価の終了した電池を0.5Cで4.2Vまで充電した後、2Cの電流値で過充電を開始し、21分後(SOC170%に相当)に通電を停止した。ついでガスの発生量をエタノール浴に電池を漬けて浮力を測定(アルキメデスの原理)して求めた。結果を表−1に示した。
【0033】
実施例2
添加剤としてN−アセチルピロリジンの代わりにカルボニルジピロリジンを添加した電解液を使用したこと以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、実施例1と同様の電池特性試験を実施した。結果を表−1に示した。
比較例1
N−アセチルピロリジンを添加しない電解液を使用したこと以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、実施例1と同様の電池特性試験を実施した。結果を表−1に示した。
【0034】
比較例2
添加剤としてN−アセチルピロリジンの代わりにN−シクロヘキシルマレイミドを添加した電解液を使用したこと以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、実施例1と同様の電池特性試験を実施した。結果を表−1に示した。本比較例で使用されたピロリジン環の内部にカルボニル基を有する構造のN−シクロヘキシルマレイミドを含有する電解液では、過充電時のガスの発生量が添加剤無添加の場合(比較例1)と同程度の低いレベルに留まることがわかった。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表−1から明らかなように、本発明の非水系電解液を用いれば過充電状態の初期の段階でガスが多量に発生するので、円筒型電池等の、電池内圧を感知して電流遮断するタイプの電池においてより安全な状態で電流遮断することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、高容量で、かつ安全性に優れた二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したリチウム二次電池の構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 PETフィルム
5 シリコンゴム
6 ガラス板
7 ラミネートフィルム
8 封止材つきリード
Claims (4)
- 非水系有機溶媒が、不飽和カーボネートを含有する、請求項1に記載の非水系電解液。
- 非水系有機溶媒が、非対称カーボネートを含有する、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解液を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002018542A JP4089234B2 (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002018542A JP4089234B2 (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003217655A JP2003217655A (ja) | 2003-07-31 |
JP4089234B2 true JP4089234B2 (ja) | 2008-05-28 |
Family
ID=27653857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002018542A Expired - Lifetime JP4089234B2 (ja) | 2002-01-28 | 2002-01-28 | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4089234B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2003901144A0 (en) | 2003-03-13 | 2003-03-27 | Monash University School Of Chemistry | Room temperature ionic liquid electrolytes for lithium secondary batteries |
KR102165175B1 (ko) * | 2013-10-10 | 2020-10-13 | 삼성전자주식회사 | 리튬 이차 전지용 전해질 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 |
JP6488812B2 (ja) * | 2015-03-25 | 2019-03-27 | 株式会社豊田自動織機 | 電池モジュール |
WO2020130575A1 (ko) | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 주식회사 엘지화학 | 리튬 이차전지용 전해액 및 이를 포함하는 리튬 이차전지 |
KR102455341B1 (ko) | 2019-01-17 | 2022-10-18 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 리튬 이차 전지용 전해질 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지 |
EP3883037B1 (en) | 2019-01-17 | 2023-03-01 | LG Energy Solution, Ltd. | Electrolyte for lithium secondary battery and lithium secondary battery including the same |
KR20220007851A (ko) * | 2019-03-28 | 2022-01-19 | 바이에리쉐 모토렌 베르케 악티엔게젤샤프트 | 리튬 배터리 및 이에 함유되는 우레아 기반 전해질 첨가제의 전해질 첨가제로서의 용도 |
-
2002
- 2002-01-28 JP JP2002018542A patent/JP4089234B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003217655A (ja) | 2003-07-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4337324B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5391944B2 (ja) | 非水系電解液およびそれを用いた電池 | |
JP5699465B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5391938B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4229615B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
WO2007043624A1 (ja) | 非水電解液、それを用いたリチウム二次電池 | |
JP4137452B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2006351337A (ja) | リチウム二次電池 | |
JP4051947B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4283566B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4283565B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4089234B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4007011B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2008218425A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5066788B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4867208B2 (ja) | リチウム二次電池 | |
JP4200677B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4465944B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4127355B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4089235B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4013538B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP5532584B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4179033B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP2003297417A (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 | |
JP4581454B2 (ja) | 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040909 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070726 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070807 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070907 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071113 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080109 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080205 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080218 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4089234 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110307 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120307 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130307 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140307 Year of fee payment: 6 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313121 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313121 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |