JP4082108B2 - 自動車ドアのシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ドアと車体のドア開口縁の間、特にドアパネルとドアフレームの境界部をシールする自動車ドアのシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車ドアは、ドアパネルとドアフレームを溶接等で一体に製造した後に、ドアガラスやドアガラス昇降機構を取付け、最後にドアパネルとドアフレームの外周にドアウエザストリップを取付けていた。そのドアウエザストリップは、図8、9に示すようにドアパネル1とドアフレーム2からなる自動車ドアと車体のドア開口縁8の間をシールするために、ドアパネル1とドアフレーム2の外周に取付けられていた。
ドアウエザストリップ15において、ドアフレームのウエザストリップ151は複数の押出成形部材151aを接続型成形部材151bで一連に接続し先端を複数の端部型成形部材151cで形成しており、ドアパネルのウエザストリップ152は押出成形部材152aの先端を複数の端部型成形部材152cで形成した形状をしており、それぞれドアパネル1とドアフレーム2の外周に取付けられていた。
【0003】
ところが、自動車の組付け工程で、ドアガラスやドアガラス昇降機構をドアパネルやドアフレームに取付けるような自動車ドアの組付けを行うことは必ずしも作業効率がよくないことから、ドアの構成部材を部分的にアッセンブリー化しておき、これらアッセンブリー化されたものを最終的に自動車の組付け工程で組付けて作業効率の向上を図ることが提案されている(例えば特開2000―127759号)。
【0004】
このように、予めアッセンブリー化した構成部材を組み付けてドアを完成させる場合において、フロントドアを例にとると図8に示すように、ドアパネル1にドアガラスやドアガラス昇降機構等を組み付けてアッセンブリー化し、これとは別にドアフレーム2にドアミラーブラケットを取付けるとともに、ドアフレーム2のフロント側の前縦枠2aからリヤ側の後縦枠2bに至る部分の内周に図略のガラスランを取付けてアッセンブリー化したものを準備する。ドアウエザストリップは、図9に示すように、ドアフレーム2用のドアフレームウエザストリップ151とドアパネル1用のドアパネルウエザストリップ152とをそれぞれドアフレーム2およびドアパネル1に取付けておく。さらに、ドアガラスの昇降を案内するドアフレーム2の前縦枠2aと後縦枠2bの下部をドアパネル1の上縁に形成したドアガラス昇降用の開口からドアパネル1内に挿入して、所定の高さ位置で図略のボルトで固定する取り付け構造とすることで、作業効率が向上する。
【0005】
このときドアフレーム2には、ドアフレーム2の傾斜枠2cから後縦枠2bにわたってドアフレームウエザストリップ151が取付けられ、ドアパネル1には、ドアパネルウエザストリップ152が取付けられる。ドアフレーム2の前縦枠2aと後縦枠2bの下部をドアパネル1内に挿入してボルト締め固定したとき、自動車のフロント側は、ドアフレームウエザストリップ151の先端の端部型成形部材151cとドアパネルウエザストリップ152の先端の端部型成形部材152cが当接し、自動車のリヤ側は、ドアフレームウエザストリップ151の先端の端部型成形部材151cとドアパネルウエザストリップ152の先端の端部型成形部材152cが当接する。これによって、ドアウエザストリップが一連に環状に形成され、ドア閉時にドアと車体のドア開口縁との間がシールされる(例えば特開2000―272352号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ドアフレーム2をドアパネル1に取付ける場合は、例えば、フロントドアのフロント側では、図12で示すとおりドアフレーム2の傾斜枠2cの先端がドアパネル1の中に若干入り込んでいる。このドアパネル1の上縁とドアフレーム2の境界部21においては、ドアフレーム2をドアパネル1に挿入するためにクリアランスが必要であり、ドアパネル1の板金の板厚もあるため、段差が生じている。この段差は見栄えが悪いとともに、図11に示すようにドア閉時に車体のドア開口縁8に取付けたオープニングウエザストリップ7の中空シール71がこの段差に当接した時に隙間が生じる。この隙間から騒音、雨水等が進入する場合があった。
【0007】
この隙間をカバーするものとしてドアウエザストリップに板状のシール部材を設けたものがある(特開平11―314523号)。しかし、このシール部材においてもその端部において板厚分の段差が生じ、騒音等をシールすることができず、よりシール性の高いシール材が求められていた。
また、シール部材は、ドアウエザストリップと同じ材料の柔軟性のあるゴムまたは、合成樹脂あるいはそれらの発泡体で形成され、しかも板状であるため剛性に乏しくて、シール部材のみではドアフレームとドアパネルを挟持してシール部材を固定することが困難であり、シール部材をドアフレームとドアパネルに確実に強固に固定することが求められていた。
本発明は自動車ドアのドアフレームとドアパネルの境界部に取付け容易で、かつ該境界部のカバーおよびシールを確実にすることができる自動車ドアのシール構造を提供することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ドアガラスの外周を保持しドアガラスの昇降を案内するドアフレームを備え、ドアフレームの縦枠の下部がドアパネル内に挿入固定する自動車ドアの外周に沿って一連のドアウエザストリップを取付ける自動車ドアのシール構造において、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部には境界部をカバーするシール部材を形成し、
シール部材は、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の外周面側をカバーする第1シール片と、ドアパネルの上縁とドアフレーム境界部の車内側の面をカバーする第2シール片と、ドアフレームの内周面側をカバーする第3シール片から形成され、第2シール片は上下方向両端が中央部よりも薄肉で形成され、シール部材を、取付け部材によってドアパネルまたはドアフレームに取付けることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明では、ドアパネルとドアフレームの境界部をカバーしてシールするシール部材であって、ドアパネルおよびドアフレームの境界部の車内側の面をカバーするシール部材の第2シール片は上下の両端が中央部よりも薄肉に形成されているため、ドアパネルおよびドアフレームにつながる部分でシール部材のシール片の端との間に段差が生じていない。
ドア閉時に車体のドア開口縁に取付けられるオープニングウエザストリップの中空シールが、ドアパネルおよびドアフレームの境界部の車内側の面をカバーするシール部材の第2シール片に当接して、車体のドア開口縁をシールするが、ドアパネルおよびドアフレームとシール部材の第2シール片の端との間に段差が生じていないために、第2シール片の端においてオープニングウエザストリップの中空シールとドアパネルおよびドアフレームとの間に隙間が生じることはないのでシール性が向上する。
また、シール部材は、柔軟性のあるゴムまたは、合成樹脂製の板状であるため剛性に乏しくて、そのままではドアパネルまたはドアフレームを挟持して固定することができないが、シール部材に取付けた取付け部材によってドアパネルまたはドアフレームに取付けているため、シール部材がズレることがなく強固に取付けられる。
第1シール片でドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の外周の面をカバーし、第2シール片でドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の車内側の面をカバーするため、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部を車内側から蔽うことができ美感が向上するとともに、ドアパネルの上縁とドアフレーム境界部の外周の面のシール性が向上する。さらに、第3シール片でドアフレームの内周面をカバーして美観を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明は、取付け部材が、両面接着テープで構成されたものである。請求項2の発明では、両面接着テープによりシール部材をドアフレーム等に取付けたため、離形紙を剥がして押圧するのみで取付けることができ取付けが容易であるとともに、ドアフレームとドアパネルの接続部付近でドアフレーム等の表面に小さな凸凹や段差があったとしても、両面接着テープによってその取付表面の形状に沿って強固に取付けることができる。
【0012】
請求項3の発明は、シール部材がドアウエザストリップの型成形部において一体に構成されている。
請求項3の発明では、シール部材がドアウエザストリップと一体のため型成形用の金型を若干改良するだけで製造することができる。また、その取付けにおいても、大部分がドアウエザストリップの取付けによって保持されるので、取付け部材を小さくすることができる。
【0013】
請求項4の発明は、シール部材が、ドアウエザストリップと別体で構成している。
請求項4の発明では、シール部材は、ドアウエザストリップと別体で構成したため、ドアウエザストリップは一本の押出成形部材を一箇所の接続型成形部材で接続するのみで製造することができ、コストを低減できる。さらに、シール部材を製造する金型が必要になるが、その構造がドアウエザストリップの金型とは別になるため、単純な構造になり、シール部材の製造が容易である。また、ドアウエザストリップとは別の材料で製造することも可能である。そのためコストを下げることができ、また装飾効果を上げるために色彩を変えることも可能である。
【0014】
請求項5の発明は、シール部材が、ドアパネルの上縁とドアフレームのフロント側の傾斜枠の隙間に水平状に配置される第4シール片を有する。
請求項5の発明では、ドアパネルの上縁とドアフレームの傾斜枠の隙間に第4シール片を水平状に配置したため、ドアフレームの傾斜枠の先端がドアパネルの上縁の面に接触することを防止できる。ドア組付け時に生じるドアパネルとドアフレームの傾斜枠の隙間を塞ぎ、騒音、雨水等が車内に進入することを防止できる。
【0015】
請求項6の発明は、ドアウエザストリップが、シール部材が形成された型成形部によりドアフレームのウエザストリップとドアパネルのウエザストリップが一体に接続され、環状となり、ドアパネルと上記ドアフレームの外周に取付けられる。
請求項6の発明では、環状となるようにドアウエザストリップはシール部材が形成された接続部により一体に接続されるため、ドアパネルとドアフレームの外周に1度に取付けることができ、取付けが容易である。また、シール部材の取付けも、ドアウエザストリップの取付けが強固になされるので、その取付け部材を小さくすることができる。
【0016】
請求項7の発明は、自動車ドアが、ドアパネルと、ドアガラスの昇降を案内する縦枠の下部がドアパネル内に挿入固定されてドアパネルに取付けられるドアフレームを備え、自動車ドアと車体のドア開口縁の間をドアウエザストリップでシールする自動車ドアのシール構造において、ドアフレームのドアミラーを取付けるミラーブラケット取付け部を車内側からカバーするガーニッシュを取付け、ガーニッシュに、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部をカバーする断面L字状の2辺を有するシール部材を延設し、シール部材は、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の外周面側をカバーする第1シール片と、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の車内側をカバーする第2シール片と、ドアフレームの内周面側をカバーする第3シール片から形成された。
【0017】
請求項7の発明では、ガーニッシュに、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部をカバーする断面L字状の2辺を有するシール部材を延設し、シール部材は、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の外周面側をカバーする第1シール片と、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部の車内側をカバーする第2シール片と、ドアフレームの内周面側をカバーする第3シール片から形成されたため、ドア閉時に車体のドア開口縁に取付けられるオープニングウエザストリップの中空シールが車内側をカバーするシール片に当接した時に両者の間に隙間が生じることなく、ドアパネルの上縁とドアフレームの境界部のシール性を確保することができる。さらに、第3シール片でドアフレームの内周面側をカバーして、ドアフレームの部分の美観を向上させることができる。
また、車内側からはガーニッシュとシール部材がデザイン的に一体的に見ることができ美感が向上する。また、ガーニッシュとシール部材を一体的に同時に成形できるため、コストを低減することができる。
【0018】
請求項8の発明は、ガーニッシュとシール部材が軟質合成樹脂で一体に形成している。
請求項8の発明では、ガーニッシュとシール部材は軟質合成樹脂で一体に形成されている。このためドアパネルの上縁とドアフレームの形状に沿う柔軟性を有するとともに取付けるに必要な剛性を有することができ、ガーニッシュをドアフレームに固定することによりシール部材が固定され、ガーニッシュの取付け部材をシール部材の取付け部材として用いることができる。
またガーニッシュと同じ色彩、模様等を設けることができ美感が向上する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下第1の実施形態を図1とともに図10により説明する。図1は本発明のシール部材の第1の実施形態の主要部分を示すものである。図10はドアウエザストリップ5の全体を示すものである。ドアウエザストリップ5は、ドアパネルウエザストリップ52とドアフレームウエザストリップ51と両者を型成形により接続するドアウエザストリップ接続部53、53からなり、夫々型成形により一体的に形成されている。
ドアフレームウエザストリップ51は、図10に示すように、2本の押出成形部材51a,51aとその2本の押出成形部材51a,51aを接続する接続型成形部材51bからなる。ドアパネルウエザストリップ52は、一本の押出成形部材52aをドアパネルに沿って略U字形に曲げたものからなる。
【0023】
自動車のフロント側のドアウエザストリップ接続部53は、車体のフロントピラーに沿うドアフレーム2の傾斜枠2cの先端に取付けられ、自動車のリヤ側のドアウエザストリップ接続部53は、ドアフレーム2の後縦枠2bに取付けられる。自動車のフロント側のドアウエザストリップ接続部53を例に説明するが、リヤ側の先端のドアウエザストリップ接続部53も同様である。
ドアウエザストリップ接続部53は、ドアフレームウエザストリップ51の押出成形部材51aと接続される近傍では押出成形部材51aの断面形状と略共通な形状を有しており、ドアパネルウエザストリップ52の押出成形部材52aと接続される近傍では押出成形部材52aの断面形状と略共通な形状を有している。ドアウエザストリップ接続部53は、基部53aとその基部53a上に車内側に中空シール53bと車外側にシールリップ53cとを設けている。ドアウエザストリップ接続部53の基部53a、中空シール53bとシールリップ53cは、押出成形部材51a、52aの基部51c、52c、中空シール51d、52dとシールリップ51e、52eと夫々対応して、型成形時に一体的に接続される。
【0024】
ドアウエザストリップ接続部53の基部53aから車内方向にシール部材6が延設される。シール部材6は、ドアフレーム2とドアパネルの上縁の外周車両フロント側をカバーする第1シール片61と、ドアフレーム2とドアパネルの上縁の車内側をカバーする第2シール片62と、ドアフレーム2の車両リヤ側をカバーする第3シール片63からなる。
第1シール片61は、ドアウエザストリップ接続部53の基部53aから車内方向に板状に延設される。第1シール片61の肉厚は、図1における上下方向、即ちドアウエザストリップ5長手方向と同じ方向の端部が最も薄く、中央部が最も厚くて、中央部から端部にかけて、徐々に肉厚が減少している。
【0025】
第2シール片62は、第1シール片61の車内側端部から車両リヤ方向に板状に延設される。第2シール片62の肉厚は、第1シール片61と同様に、図1における上下方向の端部が最も薄く、中央部が最も厚くて、中央部から端部にかけて、徐々に肉厚が減少している。
第3シール片63は、第2シール片62のリヤ側端部から、上方略半分にわたるドアフレーム2をカバーする部分の車外方向に延設される。
【0026】
第1シール片61と第2シール片62は、断面略L字状に形成される。ドア閉時には、第2シール片62に、図11に示すオープニングウエザストリップ7の中空シール71が当接する。第1シール片61と第2シール片62は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21との段差部分をカバーしてシールしている。第3シール片63は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21において、ドアフレーム2の部分のみカバーする。
【0027】
ドアフレーム2をドアパネル1に取付ける際のボルト止め位置は、ドアパネル1のフロント側にある。第1シール片61は、このねじや上記の段差部分をカバーしてドアフレーム2及びドアパネル1との間をシールすることができる。第2シール片62は、肉厚は、図1における上下方向の端部が最も薄く、中央部が最も厚くて、中央部から端部にかけて、徐々に肉厚が減少しているため、オープニングウエザストリップ7の中空シール71が当接するときに、第2シール片62の端部において、ドアフレーム2およびドアパネル1と第2シール片62との間に段差が生じていないことに伴って、中空シール71と第2シール片62の端部との間に隙間が生じない。そのため、ドア閉時のオープニングウエザストリップ7の中空シール71と第2シール片62との間のシール性が向上する。
【0028】
第2シール片62には、ドアフレーム2とドアパネル1に接触する部分に取付け部材として両面接着テープ64が設けられる。両面接着テープ64によりシール部材6をドアフレーム2とドアパネル1に強固に取付けることができる。このため、ドアの開閉時、オープニングウエザストリップ7との接触等によりシール部材6が剥がれたり、ずれることがない。両面接着テープ64は柔軟性があるためドアフレーム2とドアパネル1の取付表面に凹凸や段差があってもその凹凸や段差に応じてシール部材6を取付けることができる。
第1シール片61と第2シール片62によりドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21をドア開時、ドア閉時にかかわらずカバーすることができるため、美感が向上する。
【0029】
第3シール片63は、ドアフレーム2のリヤ側をカバーしてドアフレーム2の境界部21をカバーして美感を向上させることができる。
取付け部材として、両面接着テープ64の代わりにクリップを取付けてもよい。ドアフレーム2またはドアパネル1にクリップの取付け孔を設けて、取付け孔にシール部材6に取付けたクリップを挿入して、ドアフレーム2またはドアパネル1に取付ける。
また、取付け部材として、両面接着テープ64の代わりに接着剤を用いることもできる。
【0030】
また、シール部材6には、図2に示すように第4シール片65が設けられている。ドアフレーム2の傾斜枠2cがドアパネル1の中に入り込まないで上縁の上面に配置される場合は、傾斜枠2cの先端とドアパネル1の接触防止、組付けのためのクリアランス、寸法誤差の吸収等のためドアフレーム2の傾斜枠2cの先端とドアパネル1の上縁の上面の間に隙間が生じる。この隙間をシールするため、図2に示すように、シール部材6にシール片65を取付けてもよい。
【0031】
ドアフレーム2の傾斜枠2cの先端とドアパネル1上縁の間の隙間に第4シール片65を水平状に挿入する。
このシール片65によりドアフレーム2の傾斜枠2cの先端とドアパネル1の上縁の上面の間の隙間をシールすることができるとともに、車体の振動等でドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1の上縁の上面が接触することを防止することができる。
【0032】
第2の実施形態を図3、4により説明する。
図3、4は、シール部材6の斜視図である。シール部材6は、ドアウエザストリップ5とは別に、別体として型成形される。
シール部材6は、第1実施形態と同様に、ドアフレーム2とドアパネルの上縁の外周即ち車両フロント側をカバーする第1シール片61と、ドアフレーム2とドアパネルの上縁の車内側をカバーする第2シール片62と、ドアフレーム2の車両リヤ側をカバーする第3シール片63からなる。
シール部材6は、第2シール片62を底として第1シール片61と第3シール片63を両側の辺とした断面略U字状の形状であるが、第3シール片63は第2シール片62の寸法の略半分であり、上方向の半分である。
【0033】
第1シール片61の肉厚は、図3における上下方向の端部が最も薄く、中央部が最も厚くて、中央部から端部にかけて、徐々に肉厚が減少している。
第2シール片62の肉厚は、第1シール片61と同様に、図3における上下方向の端部が最も薄く、中央部が最も厚くて、中央部から端部にかけて、徐々に肉厚が減少している。
第3シール片63は、第2シール片62の端部の上半分から、ドアフレーム2をカバーする部分に延設される。
【0034】
第1シール片61と第2シール片62は、断面略L字状に形成される。ドア閉時には、第2シール片62に、図11に示すオープニングウエザストリップ7の中空シール71が当接する。第1シール片61と第2シール片62は、ドアフレーム2とドアパネル1の上縁境界部21との段差部分をカバーする。第3シール片63は、ドアフレーム2とドアパネル1の上縁境界部21において、ドアフレーム2の部分のみカバーする。
第2シール片62には、ドアフレーム2とドアパネル1に接触する部分に取付け部材として両面接着テープ64を取付けることができる。両面接着テープ64によりシール部材6をドアフレーム2とドアパネル1に強固に取付けることができる。このため、ドアの開閉時、オープニングウエザストリップの中空シール71との接触等によりシール部材6が剥がれたり、ずれることがない。
【0035】
シール部材6をドアウエザストリップ5とは別体で作成したため、ドアウエザストリップ5は一本の押出成形部材を一箇所の接続型成形部材で接続して製造することができ、コストを低減できる。さらに、シール部材6の金型の構造が単純になり、シール部材の製造が容易であり、ドアウエザストリップとは別の材料で製造することも可能である。そのためコストを下げることができ、また装飾効果をあげるために色彩を変えることも可能である。シール部材6のみをドアフレーム2とドアパネル1に取付ければよいため、取付け作業が容易である。
【0036】
第1の実施形態と同様に、シール部材6には図4に示すように傾斜枠2cとドアパネル1の接触防止、組付けのためのクリアランス、寸法誤差の吸収等のためドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1の上縁の上面の間に隙間が生じる。この隙間をシールするため、図4に示すように、シール部材6に第4シール片65を取付けてもよい。
この第4シール片65によりドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1上縁の上面の間の隙間をシールすることができるとともに、車体の振動等でドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1上縁が接触することを防止することができる。
【0037】
第3の実施形態を図5と図12により説明する。
図5は、ドアフレーム2の前縦枠2a,傾斜枠2cとドアパネル1上縁の間の略三角形状のドアミラー(図略)が取付けられる部分を車内側からカバーするミラーベースのガーニッシュ67である。このガーニッシュ67の先端にシール部材6が一体的に延設されている。ガーニッシュ67のフロント側下端からドアフレーム2とドアパネル1上縁をカバーする第2シール片62が下方に延設され、第2シール片62のフロント側先端からドアフレーム2とドアパネル1の外周即ちフロント側面を蓋うように車外方向に第1シール片61が延設されている。
【0038】
ガーニッシュ67は、車内側とは反対の面である裏面の上部にドアフレーム2に取付ける取付突起67aと、裏面の下部にドアパネル1のフランジ11に取付ける逆L字状の取付鉤部67bが設けられている。ガーニッシュ67をドアに取付けるには、まず、取付鉤部67bをドアパネル1のフランジ11に引っ掛けて、さらに取付突起67aをドアフレーム2の取付け孔に挿入する。ガーニッシュ67を取付けることによりドアフレーム2の前縦枠2a,傾斜枠2cとドアパネル1上縁の間の略三角形状の部分を車内側からカバーすることができ美感が向上する。このときガーニッシュ67に一体的に延設されたシール部材6は、第2シール片62がドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1上縁の近傍の車内側の面をカバーする。第1シール片61はドアフレーム2の傾斜枠2cとドアパネル1の近傍の外周即ちフロント側面をカバーする。
【0039】
第1シール片61と第2シール片62は、断面略L字状に形成される。ドア閉時には、第2シール片62に、図11に示すオープニングウエザストリップ7の中空シール71が当接する。第1シール片61と第2シール片62は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21との段差部分をカバーする。第3シール片63は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21において、ドアフレーム2の部分のみカバーする。
【0040】
ドアフレーム2をドアパネル1に取付ける際のボルト止め位置は、フロント側にある。第1シール片61は、このねじや上記の段差部分をカバーすることができる。そのため、オープニングウエザストリップ7の中空シール71と当接するが、第2シール片62の端部が薄肉に形成されて、ドアフレーム2とドアパネル1との間で段差がほとんど生じないことにともなって第2シール片62と中空シール71との間に隙間が生じることはほとんどない。従って、この部分でのシール性が向上する。
シール部材6はガーニッシュ67と一体のためガーニッシュ67のみを取付ければシール部材6は所定に位置に取付けられるので取り付けが容易であるとともに、シール部材6の取付け部材である両面接着テープを小さくすることができる。シール部材6はガーニッシュ67と同じ材料、例えば軟質合成樹脂で製造することができる。このため、車内の装飾部材と色彩を統一することもできる。
【0041】
第4の実施形態を図6により説明する。
図6は、ドアトリム4のフロント側上部の部分斜視図である。
ドアトリム4は、板状の部材をドアパネル1の形状に合わせて成形して、ドアパネル1の車内側の略全面をカバーする装飾部材であり、軟質合成樹脂等の装飾用の表皮と、合成樹脂製の基材からなる。ドアトリム4は、ドアパネル1のインナパネルに取付けられて車内側をカバーする本体部41と、ドアパネル1の本体部41のフロント側端面から車外方向に延出してドアトリムのフロント側端面を構成する端面部43と、端面部43の端部からフロント方向に張り出した張出部44と、張出部44の端部から車外方向に張り出した第1シール片61と、上端面をカバーする上面部42と、上面部42の車外側の端部から下方に延出するフランジ部45からなる。フランジ部45、上面部42と本体部41は断面略逆U字状をなす。
【0042】
ドアトリム4がドアパネル1に取付けられると、本体部41は、ドアパネル1の車内側を蓋い、上面部42は、ドアパネル1の上端面をカバーする。ドアパネル1のフロント側では端面部43が、ドアトリム4のフロント側の端面を構成し、張出部44は、ドアパネル1の車内側面であってフロント側の先端部である図12において斜線を付した部分をカバーする。張出部44の上端は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21をカバーする第2シール片62を兼ねている。
【0043】
張出部44の端部から車外方向に張り出した第1シール片61は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21の外周即ちフロント側の面をカバーする。ドア閉時には、張出部44、即ち第2シール片62に、図11に示すオープニングウエザストリップ7の中空シール71が当接する。第1シール片61と第2シール片62は、ドアフレーム2とドアパネル1上縁境界部21との段差部分をカバーする。
ドアトリム4の張出部44は、ドアトリム4の表皮のみを張り出すことで形成してもよい。
これにより、ドアトリム4を取付けるのみで、ドアフレーム2とドアパネル1上縁の境界部21をカバーすることができるとともに、ドアパネル1の車内側の装飾もでき美感が向上する。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、ドアパネルおよびドアフレームの境界部の車内側の面をカバーしてシールするシール部材を設け、このシール部材のシール片は両端が薄肉で中央部が厚肉であるため、シール片の端においてオープニングウエザストリップの中空シールとドアパネルおよびドアフレームとの間に隙間が生じることはないのでシール性が向上する。
また、シール部材に取付け部材を設けたため、シール部材をドアパネルおよびドアフレームに強固に取付けることができる。
【0045】
また本発明は、シール部材をガーニッシュまたはドアトリムと一体に設けたため、車内側からはシール部材がデザイン的に一体的に見ることができ美感が向上する。また、シール部材を一体的に同時に成形できるため、コストを低減することができる。
シール部材は軟質合成樹脂で一体に形成したため、軟質の合成樹脂で形成することができる。このためドアパネルの上縁とドアフレームに取付けるに必要な剛性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシール部材を、フロント側のドアウエザストリップ接続部53に一体に形成した第1の実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明のシール部材の第4シール片を有するものの斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態であるシール部材の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の、シール部材の第4シール片を有するものの斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態であるドアミラーのガーニッシュにシール部材を一体に形成したものの斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態であるドアトリムにシール部材を一体に形成したものの斜視図である。
【図7】自動車の側面のドアまわりを示す図である。
【図8】自動車のドアフレームとドアパネルの組み付けを示す図である。
【図9】自動車のドアフレームウエザストリップとドアパネルウエザストリップの全体を示す図である。
【図10】自動車の一体に接続されたドアウエザストリップの全体を示す図である。
【図11】自動車の車体のドア開口縁の、図7のA−A線に沿う位置での断面図である。
【図12】自動車のドアフレームとドアパネルの上縁の接合部のフロント側の一部斜視図である。
【符号の説明】
1 ドアパネル
2 ドアフレーム
21 境界部
3 ミラーブラケット取付け部
4 ドアトリム
41 本体部
44 張出部
45 フランジ
5 ドアウエザストリップ
51 ドアフレームウエザストリップ
52 ドアパネルウエザストリップ
53 ドアウエザストリップ接続部
6 シール部材
61 第1シール片
62 第2シール片
63 第3シール片
64 両面接着テープ
65 第4シール片
67 ガーニッシュ
8 車体のドア開口縁
Claims (8)
- ドアガラスの外周を保持しドアガラスの昇降を案内するドアフレームを備え、該ドアフレームの縦枠の下部がドアパネル内に挿入固定する自動車ドアの外周に沿って一連のドアウエザストリップを取付ける自動車ドアのシール構造において、
上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームの境界部には境界部をカバーするシール部材を設け、
該シール部材は、上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームの境界部の外周面側をカバーする第1シール片と、上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレーム境界部の車内側の面をカバーする第2シール片と、上記ドアフレームの内周面側をカバーする第3シール片から形成され、上記第2シール片は上下方向両端が中央部よりも薄肉で形成され
上記シール部材を、取付け部材によって上記ドアパネルまたは上記ドアフレームに取付けることを特徴とする自動車ドアのシール構造。 - 上記取付け部材は、両面接着テープである請求項1記載の自動車ドアのシール構造。
- 上記シール部材は、ドアウエザストリップの型成形部において一体に構成されている請求項1又は2記載の自動車ドアのシール構造。
- 上記シール部材は、上記ドアウエザストリップと別体で構成している請求項1又は2記載の自動車ドアのシール構造。
- 上記シール部材は、上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームのフロント側の傾斜枠の隙間に水平状に配置される第4シール片を有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の自動車ドアのシール構造。
- 上記ドアウエザストリップは、シール部材が形成された型成形部により上記ドアフレームのウエザストリップと上記ドアパネルのウエザストリップが一体に接続され、環状となり、上記ドアパネルと上記ドアフレームの外周に取付けられる請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の自動車ドアのシール構造。
- 自動車ドアは、ドアパネルと、ドアガラスの昇降を案内する縦枠の下部が上記ドアパネル内に挿入固定しているドアフレームを備え、上記自動車ドアと車体のドア開口縁の間をドアウエザストリップでシールする自動車ドアのシール構造において、
上記ドアフレームのドアミラーを取付けるミラーブラケット取付け部を車内側からカバーするガーニッシュを取付け、該ガーニッシュに、上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームの境界部をカバーする断面L字状の2辺を有するシール部材を延設し、
該シール部材は上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームの境界部の外周面側をカバーする第1シール片と、上記ドアパネルの上縁と上記ドアフレームの境界部の車内側をカバーする第2シール片と、上記ドアフレームの内周面側をカバーする第3シール片から形成されたことを特徴とする自動車ドアのシール構造。 - 上記ガーニッシュと上記シール部材は軟質合成樹脂で一体に形成している請求項7記載の自動車ドアのシール構造。
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