JP4077276B2 - スライドドア用給電装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リールに電線を巻き取ることで弛みを吸収させる電線余長吸収装置を用いた自動車のスライドドア用給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワンボックスカー等のスライドドアの開閉に伴って電線を伸縮させる電線余長吸収装置の一例として、例えば図24に示す電線余長吸収装置が提案されている(特開平12−264136号公報参照)。
【0003】
この電線余長吸収装置71は、一対のリンクアーム72と、リンクアーム72の一端に連結されたスライダ73と、リンクアーム72の他端を連結し、且つスライダ73をスライド自在に係合させたガイドレール74とで構成される。
【0004】
電線余長吸収装置71はスライドドア75に配設され、ガイドレール74は金属製のドアパネル76に水平に固定され、一対のリンクアーム72はドアパネル76と合成樹脂製のドアトリム(図示せず)との間で開閉自在である。
【0005】
電線はワイヤハーネス(複数本の電線を結束した電線束)77として一対のリンクアーム72に沿って配索されつつスライダ73に固定され、ワイヤハーネス77の一方はスライダ73から大きく湾曲して車両ボディ78のステップ部79の近傍で固定されつつ車両ボディ側のワイヤハーネス80にコネクタ接続され、ワイヤハーネス77の他方はリンクアーム72の端部からスライドドア75に沿ってスライドドア側の電装品等の補機にコネクタ接続されている。
【0006】
このスライドドア用給電装置によって車両ボディ側(バッテリ側)からスライドドア側の補機類に常時給電が行われ、スライドドア75の開閉に関係なく補機類に信号電流や電源電流が供給される。補機としては例えばパワーウィンドモータやドアロックユニット、スイッチユニットやオートドア開閉ユニット等が挙げられる。
【0007】
スライドドア75を矢印Gの如く前方へスライドさせて閉じるに伴って、一対のリンクアーム72が「へ」の字状に開いて、スライダ73がガイドレール74の後部側に位置する。また、スライドドア75を後方へスライドさせて開けるに伴って、一対のリンクアーム72が閉じて、スライダ73がガイドレール74の前部側に位置する。このようにして、スライドドア75の開閉時におけるワイヤハーネス77の余長(弛み)が吸収される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電線余長吸収装置71にあっては、長いガイドレール74と一対のリンクアーム72によって構造が大型化・重量化したり、リンクアーム72に他の部品等が干渉しないようにスライドドア内の部品配置等に制限が加わると共に、車種に応じてガイドレール74やリンクアーム72の長さを変えなければならず、設計や製造にかかる工数が増し、コスト高になるという懸念があった。
【0009】
本発明は、上記した点に鑑み、構造が簡単・コンパクトで汎用性があり、しかもスムーズ且つ確実に電線の弛み吸収を行わせることのできるスライドドア用給電装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るスライドドア用給電装置は、ケースと、該ケース内に回転自在に設けられた電線巻回用のリールと、該リールを電線巻き方向に付勢する付勢部材とを備え、可動側の該電線を揺動させつつ導出させる長形の開口部が該ケースの全幅に渡って形成され、該リールの軸方向に隣接してリール回転吸収部が配設され、該開口部が該リールの径方向に対向して配置され、該リールと該ケースとの何れか一方に接触端子が設けられ、何れか他方に、該接触端子に接する環状の回路導体が設けられ、該接触端子と該回路導体との何れか一方に該可動側の電線が接続され、何れか他方に固定側の電線が接続されて、該リール回転吸収部が構成されて成る電線余長吸収装置を、スライドドア又は車両ボディに配設し、該可動側の電線を該スライドドアと該車両ボディとの何れか一方に配索し、該リール回転吸収部から導出された固定側の電線を何れか他方に配索することで、該スライドドアの全閉及び全開時に該可動側の電線が該リールから引き出され、該スライドドアの半開時に該可動側の電線が該リールに巻き取られて余長吸収されることを特徴とする。
上記構成により、電線を引っ張ることでリールが付勢部材の付勢力に抗して回動し、電線が引き出される。また、引張力を解除することで、付勢部材の付勢力でリールが回動して電線が巻き取られ、電線の弛みすなわち余長が吸収される。これら電線の引き出し及び巻き取りは、電線をケースの長形の開口部に沿って揺動させつつ広範囲に渡って行うことができる。電線は少なくとも二次元方向(XY方向)ないし三次元方向(XYZ方向)に可動に引き出される。
【0011】
また、開口部がケースの全幅に渡って長く形成されたことで、電線の揺動範囲が広がり、相手接続部側又は電線余長吸収装置の相対移動範囲が拡大する。
また、リールの軸方向に隣接してリール回転吸収部が配設され、開口部がリールの径方向に対向して配置されたことで、リールから引き出された電線が真直(接することなく直接的)に電線導出用の開口部に導かれ、電線のストレスが軽減する。また、電線の引き出しや巻取りあるいは揺動がスムーズに行われる。リール回転吸収部は、リールが回転した際に固定側の電線(リールの巻き始め位置で外部に引き出された電線)が引っ張られないようにするためのものである。
また、可動側の電線と固定側の電線とが接触端子と回路導体とを介して接続される。リールの回動に伴って例えば接触端子が一体的に回動し、環状の回路導体に沿って摺接する。あるいは回路導体がリールと一体に回動し、接触端子が回路導体に摺接する。この構成により、固定側の電線の緩く巻く部分が不要となり、リール及びケースが厚さ方向に小型化(薄型化)される。また、固定側の電線を緩く巻く工数が削減される。
また、電線余長吸収装置をスライドドア又は車両ボディに配設し、可動側の電線をスライドドアと車両ボディとの何れか一方に配索し、リール回転吸収部から導出された固定側の電線を何れか他方に配索したことで、スライドドアの開き操作時又は閉じ操作時に、電線余長吸収装置から導出された可動側の電線が長形の開口部に沿って揺動しつつ、引き出し、巻き取り、引き出しの三つの動作を順次行ってスムーズ且つ確実に弛み吸収される。巻き取り動作は電線余長吸収装置が車両ボディ又はスライドドアにおける電線固定部に最も接近した時点で行われる。スライドドアは三次元方向にスライド移動されるが、電線余長吸収装置は長形の開口部や電線ガイド壁に沿ってスムーズに三次元方向への電線の引き出しと巻き取り及び揺動を可能とする。
【0012】
請求項に係るスライドドア用給電装置は、請求項記載のスライドドア用給電装置において、前記開口部の周縁に湾曲状の電線ガイド壁が形成されたことを特徴とする。
上記構成により、電線が開口部において電線ガイド壁に沿って湾曲状に引き出され、あるいは電線ガイド壁に沿って湾曲状にケース内に引き込まれ、小さな力で引っ掛かりなくスムーズに電線の引き出し及び巻き取りが行われる。また、ケースから引き出された電線が電線ガイド壁に沿ってケース幅方向にスムーズに揺動する。
【0013】
請求項に係るスライドドア用給電装置は、請求項1又は2記載のスライドドア用給電装置において、前記ケースが前記リールと前記開口部との間で長く延長されたことを特徴とする。
上記構成により、車種等に応じて電線導出用の開口部の位置を一定に確保しつつ、リールを含む電線巻取り部の位置を開口部から遠く離間させて、種々の形態の取付部に対応することができる。例えば、電線巻取り部は厚くなりやすく、そのため取付側と干渉する場合があるが、ケースを延長することで、電線巻取り部の位置を干渉部からずらして取付を確実に行うことができる。ケースの延長部内で電線は真直に伸ばされて(他と干渉することなく)開口部に向かう。
【0018】
請求項に係るスライドドア用給電装置は、請求項請求項1〜の何れか1項に記載のスライドドア用給電装置において、前記電線余長吸収装置が横置きに配設され、前記ケースの長形の開口部が前記車両ボディ又はスライドドアに向けて配置されたことを特徴とする。
上記構成により、スライドドアの開閉に伴ってケースの開口部から電線がほぼ水平に導出され、その状態で電線が開口部に沿って揺動するから、電線に捩り力が作用せず、一層スムーズ且つ確実に電線の揺動や引き出し・巻き取り動作が行われる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明に係る電線余長吸収装置の一実施形態を示すものである。
【0021】
この電線余長吸収装置1は、合成樹脂製のケース2と、ケース2内に回動自在に設けられ、ワイヤハーネス(電線)3を巻回する合成樹脂製のリール4と、リール4を一方向に付勢する金属製の渦巻きばね5(図2,図3)とを備え、ケース2にハーネス導出用の長形(スリット状)の長い開口部6が形成されたことを特徴とするものである。
【0022】
ケース2は第一のケース本体7と第二のケース本体8とでリール軸方向に分割式に形成され、略円形のリール収容部9(図2)と、リール収容部9の接線方向にほぼ真直に続くハーネス導出部10とを備えている。一方のケース本体7は基板部38と円弧状の周壁39とを備え、他方のケース本体8は基板部21を備えている。両基板部38,21は平行に位置している。各ケース本体7,8は図示しない雄ねじや係止手段(可撓係止爪や係止穴)等で固定される。
【0023】
ハーネス導出部10は前端と後端の各開口6a,6bを含む連続した真直な長形の開口部6を有している。長形の開口部6からケース2内のワイヤハーネス3の一方すなわち可動側のワイヤハーネス3aが前後方向(ハーネス導出部10の長手方向)のみならず、鎖線3aの如く揺動しつつハーネス導出部10の長手方向と交差する方向に導出される。
【0024】
ワイヤハーネス3の他方すなわち固定側のワイヤハーネス3bはケース2に固定されつつ外部に導出されている。本実施形態で固定側のワイヤハーネス3bはケース外周の小さな孔部11から外部に導出され、孔部11の開口縁に突設された湾曲状の固定壁12にビニルテープやバンド等の結束手段(図示せず)で固定されている。なお、固定壁12の形態は固定側のワイヤハーネス3の導出方向に応じて適宜設定される。固定壁12を用いずにバンド等でワイヤハーネス3をケース2に直接固定することも可能である。
【0025】
本形態のワイヤハーネス3は複数本の電線を合成樹脂製の網状の保護チューブで覆って構成されている。なお、保護チューブとしてコルゲートチューブ(図示せず)を用いることも可能である。コルゲートチューブは周方向の凹溝と凸条とをハーネス長手方向に交互に配置して成るものである。保護チューブはこれらに限らず、電線の屈曲をスムーズに行わせるものであればよい。保護チューブを用いずに、複数本の電線をビニルテープで荒巻きしたものも使用可能である。接続回路数によっては電線は一本であってもよく、柔軟なキャブタイヤケーブルを用いることも可能である。
【0026】
図2の如く、リール4は、中心の小径な軸部13と、軸部13の一方に続く中径のボス部14と、軸部13の他方の径方向外側に位置する凹部15と、軸部13及びボス部14に続くリール本体16とで構成され、リール本体16は外周側に二枚の対向する円板部17と、両円板部17の間に形成された環状の溝部18とを有している。リール4は合成樹脂で一体成形可能である。
【0027】
軸部13の両端部は各ケース本体7,8の受け部19に回動自在に係合している。受け部19は各ケース本体7,8の基板部20,21の内面に突設された環状部と環状部の内側の穴部22とで構成され、穴部22に軸部13が進入している。リール4の一側方の凹部15内に渦巻きばね5が配置され、渦巻きばね5の基端が軸部13に固定され、渦巻きばね5の先端がケース本体7に固定されている。
【0028】
リール4の溝部18にワイヤハーネス3が巻回され、ワイヤハーネス3の一方すなわち可動側のワイヤハーネス3aがケース2の長形の開口部6から外部に導出されている。ワイヤハーネス3は渦巻きばね5の巻き方向とは反対の方向に巻かれ、リール4はワイヤハーネス3の引き出し方向(矢印B方向)とは反対の方向すなわちワイヤハーネス巻き取り方向に渦巻きばね5で弾性付勢されている。
【0029】
ワイヤハーネス3は円板部17の小孔23(図3)を貫通してリール4の他側面4bに沿ってボス部14の周囲に緩く巻かれ、ケース2の孔部11(図1)から外部に導出され、固定壁12にテープ巻き等で固定されている。固定側のワイヤハーネス3bの緩く巻かれる方向は可動側のワイヤハーネス3aの伸縮自在な部分3a’の巻き方向とは反対である。図4のワイヤハーネス3bの緩く巻かれた部分3b’はワイヤハーネス3の引き出し時にリール4の回転を吸収して、固定側のワイヤハーネス3bの引張を防止するリール回転吸収部として作用する。
【0030】
なお、弾性部材又は付勢部材である渦巻きばね5に代えて、リール4の回動角度が小さくてよい場合は引張コイルばねや圧縮コイルばね(図示せず)をケース2内に略径方向に配設することも可能である。また、付勢部材としてウェイトと糸(図示せず)を用いてリール4を回動させることも可能である。
【0031】
図5〜図7は、電線余長吸収装置の第二の実施形態として、ワイヤハーネス3の緩く巻かれる部分3b’(図4)を排除し、その代わりに接触端子25と環状の回路導体26とを用いてリール27の回転に対応したリール回転吸収部とした構造の電線余長吸収装置28を示すものである。接触端子25と環状の回路導体26以外の構成は前記実施形態と概ね同様であるので、同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0032】
図6の如くリール27の他側面27bに複数の接触端子25が設けられ、各接触端子25の一端が可動側のワイヤハーネス3aの各電線30に接続されている。リール27の他側面方に大きなボス部14(図2)は不要である。本例でワイヤハーネス3は四本の電線30で構成され、各電線30に対応して各接触端子25の一端25aがハンダ付けや圧着や加締め等の手段で接続され、且つリール27に固定されている。各接触端子25は長さ違いに形成され、且つ板厚方向の弾性を有して、自由端である他端に、各回路導体26に対する接点25bを有している。
【0033】
図7の如く各回路導体26はケース2の基板部21の内面に環状に且つ同心円状に形成されている。各回路導体26は印刷や銅箔の接着や銅板のインサート成形等によってケース2に設けられる。各回路導体26はケース2の基板部21を貫通して固定側の端子部31(図5)に続き、各端子部31に外部の固定側のワイヤハーネス3bの各電線32(図5,図7)がハンダ付けや圧着等の手段で接続されている。固定側のワイヤハーネス3bはケース2の基板部21の外側に位置し、例えば基板部21に一体に設けたフック等(図示せず)で保持される。本形態のケース2にはハーネス固定壁12(図1)は不要である。
【0034】
リール27の溝部18(図5)には可動側のワイヤハーネス3aが巻かれ、ワイヤハーネス3aの先端側がケース2の長形の開口部6(図1)から外部に導出され、他端側がリール27の小孔23を貫通して接触端子25に接続されている。リール27は渦巻きばね5でワイヤハーネス3aの引き出し方向とは反対の方向に付勢されている。
【0035】
図5〜図7の実施形態により、ワイヤハーネス3を緩く巻く部分3b’(図4)が排除されて、ワイヤハーネス3の全長が短縮されると共に、電線余長吸収装置28が厚さ方向にコンパクト化・軽量化され、しかも電線余長吸収装置28の組立作業が容易化・効率化する。
【0036】
なお、図5において、接触端子25をケース2の基板部21に設け、環状の回路導体26をリール27の他側面27b(図6)に設け、回路導体26に可動側のワイヤハーネス3aをハンダ付け等で接続することも可能である。この場合、固定側のワイヤハーネス3bは、ケース2の基板部21を貫通した接触端子25の基端部にハンダや圧着等で接続される。
【0037】
以下に図8〜図11を用いて、上記各実施形態の電線余長吸収装置1,28の作用を説明する。
図8の如く、ケース2は下部側に横長の開口部6を有し、開口部6の前後は断面略コの字状を呈し、開口部6の一側縁においてケース2は外開きに湾曲してハーネスガイド壁(電線ガイド壁)34を構成している。開口部6から導出された可動側のワイヤハーネス3aはコネクタ35で相手側のワイヤハーネス36(図9)と接続される。なお、開口部6の他側縁にも湾曲状のハーネスガイド壁34を形成してもよい。この場合、他側方のハーネスガイド壁は一側方のハーネスガイド壁34とほぼ平行に湾曲させてもよく、対称方向(逆方向)に湾曲させてもよい。
【0038】
図9の如く、電線余長吸収装置1に対して相対的に相手接続部側37が矢印D方向に移動すると、ワイヤハーネス3aが渦巻きばね5(図2)の付勢に抗して矢印Bの如くケース2から開口部6の一方向に引き出されつつ、リール4が矢印Cの如く回転する。この際、図2の固定側のワイヤハーネス3bの緩く巻いた部分3b’は縮径され、図5の接触端子25は回路導体26に沿ってリール27と一体に回動する。なお、図9は図2の実施形態に対応して図示している。
【0039】
図10の如く、相手接続部側37が電線余長吸収装置1に対して矢印Eの如く相対的に復帰方向に移動すると、相手接続部側37におけるワイヤハーネス3aの固定部(本例ではコネクタ35の付近の部分)が電線余長吸収装置1に最接近するまで、ワイヤハーネス3aが開口部6の長手方向中間部に位置しつつ、リール4に巻き取られて引き出し部分(3a)が短縮される。リール4は渦巻きばね5(図2)の力で矢印Fの如く図9とは反対方向に回動し、ワイヤハーネス3aを巻き取る。これにより、ワイヤハーネス3aの弛みすなわち余長が吸収される。
【0040】
図10の状態からさらに相手接続部側37が相対的に同方向(矢印E方向)への移動を続けると、今度は図11の如くワイヤハーネス3aが開口部6の他方向に引き出されつつ、リール4が渦巻きばね5の付勢に抗して図10とは逆向きに(図9と同じC方向に)回動する。
【0041】
このように、ワイヤハーネス3aが横長の開口部6に沿って揺動することで、リール4からの引き出しとリール4への巻き取りとがスムーズに行われる。固定側のワイヤハーネス3bは移動しないことは言うまでもない。相対的な移動と言うのは、相手接続部側37が移動しても、あるいは電線余長吸収装置1側が移動しても、あるいは相手接続部側37と電線余長吸収装置1との両方が逆方向にそれぞれ移動してもよいという意味である。
【0042】
なお、横長の開口部6を設けずに、ケース2の前後のみに各々ハーネス導出用の開口部(図1の6a,6bに相当する部分)を設けた場合には、図10のハーネス導出形態を得ることができず、図9と図11とに近いハーネス導出形態のみとなる。前後のみの開口部6a,6bは例えば図9で横長の下部開口6を横長の底壁(図示せず)で塞ぐことで、矩形状に形成される。
【0043】
図12〜図13は、図8の電線余長吸収装置1をワンボックスカー等の自動車のスライドドア40に適用したスライドドア用給電装置(構造)の一実施形態を示すものである。
【0044】
このスライドドア用給電装置41は、スライドドア40に縦置きに配設された電線余長吸収装置1と、電線余長吸収装置1の横長の下部開口6から車両ボディ42側にかけて伸縮自在に導出されたワイヤハーネス3とで構成されている。電線余長吸収装置1の構造は図1〜図4の形態のものでもよく、図5〜図7の形態のものでもよい。これは以下の各実施形態においても同様である。
【0045】
電線余長吸収装置1は金属製のドアパネル43に固定され、ドアパネル43に合成樹脂製のドアトリム(図示せず)を組み付けることで覆い隠される。電線余長吸収装置1はドアパネル43とドアトリムとの間に垂直(縦置き)に配置される。ワイヤハーネス3はケース2の下部開口6から湾曲状のハーネス導出壁34に沿って車両ボディ42のステップ44の上側又は好ましくは下側に配索され(上側の場合は例えば合成樹脂製のスカッフプレート等で保護される)、ボディパネル(符号44で代用)に固定具(図示せず)で支持されつつ、車両ボディ42側のワイヤハーネス(図示せず)とコネクタ接続される。固定具はワイヤハーネス3の外周のコルゲートチューブを周方向回動自在に支持してスライドドア開閉時の可動側のワイヤハーネス3aの捩りを吸収させるものであることが好ましい。
【0046】
本形態で固定側のワイヤハーネス3bはケース2の周壁39の孔部11から導出されてスライドドア40側の各補機(図示せず)にコネクタ45で接続されている。補機としては例えばパワーウィンドモータやドアロックユニットやスピーカや自動ドア開閉ユニットやスイッチユニット等が挙げられる。電線余長吸収装置1によってスライドドア40の開閉動作に関係なく常時給電が可能となっている。給電は電源電流に限らず信号電流も可能である。
【0047】
図12のスライドドア40の閉じ状態で可動側のワイヤハーネス3aはケース2の開口部6の後端側から後方に長く引き出されている(図9に対応する)。図13の如くスライドドア40を後方にスライドさせて開けるに伴って、ワイヤハーネス3aはケース2の横長の開口部6に沿って鎖線3aの如く揺動しつつリール4で巻き取られ(図10に対応する)、次いで図13の実線3aの如く開口部6の前端側に位置して、前端側から車両ボディ42のハーネス固定部(固定具)にかけてやや短く引き出される(図11に対応する)。ワイヤハーネス3aは湾曲状のハーネスガイド壁34に沿って引っ掛かり等なくスムーズに摺動する。
【0048】
図13の開き状態からスライドドア40を図12のように前方へスライドさせて閉じるに伴って、図13の可動側のワイヤハーネス3aは開口部6の前端側から長手方向に沿って鎖線3aの如く揺動し、ケース2がハーネス固定部に最接近した時点でワイヤハーネス3aがリール4に最大に巻き取られて余長吸収され(図10に対応)、次いで図12の如く後方へ引き出される(図9に対応)。
【0049】
このように、スライドドア40の開き動作又は閉じ動作に伴ってワイヤハーネス3aが揺動しつつ、リール4から引き出され、次いで巻き取られ、再度引き出されるという三つの動作を行うことで、スムーズで且つ正確な余長吸収が可能となる。
【0050】
なお、電線余長吸収装置1の位置は、スライドドア40の全開時と全閉時においてケース2からのワイヤハーネス3aの引き出し長さが等しくなる位置に配設されることが好ましく、これにより、ワイヤハーネス3の長さが短縮化され、電線余長吸収装置1が径方向にコンパクト化される。これは以下の実施形態においても同様である。
【0051】
図14〜図15は、スライドドア用給電装置の他の実施形態として、電線余長吸収装置1を車両ボディ42に横置き(水平)に配設したスライドドア用給電装置46を示すものである。
【0052】
電線余長吸収装置1はステップ44の上側又は好ましくは下側に配置され、スカッフプレート等で乗員の踏み付け等なく保護される。ケース2の横長の開口部6はスライドドア40に対面してほぼ平行に配置されている。開口部6の上縁は上向きに湾曲したハーネスガイド壁34とすることが好ましく、開口部6の下縁にも下向きに湾曲したハーネスガイド壁を形成してもよい。
【0053】
ケース2から導出された可動側のワイヤハーネス3aは車両ボディ42との間の渡り部を経てスライドドア40に配索され、コネクタ45でスライドドア側のワイヤハーネス47に接続されている。ケース2から導出された固定側のワイヤハーネス3bはコネクタを介して又は直接的に電源側等に配索されている。
【0054】
図14のスライドドア40の閉じ状態で可動側のワイヤハーネス3aはケース2の開口部6の前端側からスライドドア40に向けてほぼ水平に導出されている。コネクタ45の近傍でワイヤハーネス3aはスライドドア40にバンドや固定具等(図示せず)で固定される。ケース2の開口部6が水平で、開口部6からのワイヤハーネス3aの導出部分がほぼ水平であるから、スライドドア40の開閉時(ワイヤハーネス3aの揺動時)にワイヤハーネス3aに捩り力が作用せず、捩り吸収式のハーネス固定具は不要である。
【0055】
図14の閉じ状態(図9に対応)からスライドドア40を後方へスライドさせて開くに伴って、ワイヤハーネス3aはスライドドア40と一体的に横長の開口部6に沿って鎖線の如く揺動しつつ、リール4(図9)に巻き取られ(図10に対応)、次いで図15の実線3aの如くリール4から引き出されて、開口部6の後端側に位置する(図11に対応)。図15の開き状態からスライドドア40を図14の如く閉じる際には、図15で後方に引き出されたワイヤハーネス3aは鎖線3aの如く開口部6に沿って揺動しつつリール4に巻き取られ、次いで図14の如く開口部6の前端側に移動しつつ引き出される。これにより、スムーズなハーネス余長吸収が行われる。
【0056】
なお、図12〜図13でスライドドア40内のスペースさえ確保できれば、電線余長吸収装置1をスライドドア40に横置き(水平)に配置することも可能である。この場合もハーネス捩り吸収機構は不要となる。
【0057】
図16〜図17は、ケース2のハーネス導出用の横長の開口部6に代えて、ケース48の前後端にそれぞれ狭い開口部6a,6bを設けた電線余長吸収装置49を用いて、スライドドア用給電装置50を構成した実施形態を示すものである。この電線余長吸収装置49はケース49以外は図1〜図4の実施形態と概ね同様である。
【0058】
電線余長吸収装置49はスライドドア40に縦置き(垂直)に配設され、可動側のワイヤハーネス3aは車両ボディ42の前側のハーネス固定部(図示せず)で固定されている。ハーネス捩り吸収機構は不要である。固定側のワイヤハーネス3bはスライドドア側のワイヤハーネス47にコネクタ45で接続されている。可動側のワイヤハーネス3aはステップ44の上側(スカッフプレート等で覆われて保護される)又は好ましくは下側に沿って配索されている。
【0059】
図16のスライドドア40の閉じ状態で可動側のワイヤハーネス3aはケース48内のリール4(図2)に巻き取られて、ケース48の開口部6aから車両ボディ42側に向けて短く導出されている。図16の閉じ状態から図17の如くスライドドア40を後方へスライドさせて開けるに伴って、可動側のワイヤハーネス3aが開口部6aから相対的に前方へ長く引き出されつつ、リール4がばね付勢に抗して回転する。
【0060】
図17の開き状態からスライドドア40を前方へスライドさせて閉めるに伴って、可動側のワイヤハーネス3aは、渦巻きばね5(図2)の付勢によって回転するリール4に巻き取られ、弛み(余長)が吸収される。固定側のワイヤハーネス3bは開口部6bから導出された状態で何ら移動することはない。本実施形態ではスライドドア40の開き又は閉じ動作時にワイヤハーネス3aは長手方向に引き出されるか巻き取られるかの二つの挙動を行うのみである。
【0061】
なお、図16〜図17の形態の電線余長吸収装置49を車両ボディ42側に横置き又は縦置きに配設することも可能である。この場合、可動側のワイヤハーネス3aはスライドドア40の前端側に固定され、スライドドア40の閉じ時にリール4からワイヤハーネス3aが長く引き出され、スライドドア40の開き時にリール4に巻き取られて余長吸収される。
【0062】
図18〜図21は、図1の電線余長吸収装置1に改良を施して、ケース52のハーネス導出用の横長の開口部55の周囲に(正面側と左右両側とに)湾曲状(断面円弧状)のハーネスガイド壁(電線ガイド壁)56を形成した電線余長吸収装置51を示すものである。
【0063】
図1の実施形態では開口部6の正面側の一側縁のみにハーネスガイド壁34を形成したが、本実施形態では正面側(スライドドアに電線余長吸収装置51を配設した場合は車両ボディに向く側)と左右両側(車両組付時は前後両側)とに裾広がり(外広がり)のハーネスガイド壁56を連続して一体に形成している。背面側の他側縁にはハーネスガイド壁は不要である。これは、ワイヤハーネス(複数本の電線)57が開口部55から正面側(車両ボディ側)と左右両側(車両の前後方向)に向けて導出され、背面側には導出されないからである。
【0064】
ハーネスガイド壁56は左右両側の部分56aから正面側の部分56bにかけて滑らかに続いており、左右両側から正面側にかけての全域に渡って縦断面円弧状に形成されている。従ってワイヤハーネス57は左右両側から正面側にかけて引っ掛かりなくスムーズに揺動可能である。図では左側にワイヤハーネス57が導出された状態を実線で示し、右側と正面側とに導出された状態を鎖線で示している。ワイヤハーネス57は可動側の電線として作用する。
【0065】
ハーネス導出用の開口部55及びその周囲のハーネスガイド壁56はケース52の正面側半部の第一のケース本体(カバー)53に形成されている。図20(下面図)の如く、ハーネス導出用の開口部55の外側(周囲)に湾曲状のハーネスガイド壁56が位置し、第一のケース本体53内の空間58の下部がハーネスガイド壁56の内面に沿って拡がってハーネス導出用の横長の開口部55となっている。空間58の下部において第一のケース本体53の正面側の左右の角部59は滑らかな湾曲(円弧)形状に形成され、ワイヤハーネス57の揺動時の引っ掛かりが防止されている。
【0066】
図21の如く、第一のケース本体53の内部にはリール60とコイル状の巻きばね(付勢部材)61とが収容され、リール60にワイヤハーネス57が巻かれ(図では一巻きだが二巻き程度で使用することも可能)、リール60は巻きばね61でハーネス巻取方向に付勢されている。第一のケース本体側の部分(リール60やばね61を含む)はハーネス伸縮部62として作用する。
【0067】
リール60の下方にハーネス導出用の開口部55が位置している。リール60の下端部は湾曲状のハーネスガイド壁56の基端(ケース本体53との交差部)とほぼ同じ高さに位置している。リール60から導出されワイヤハーネス57はハーネスガイド壁56の内面に沿って滑らかに湾曲し、開口部55におけるワイヤハーネス57の曲げ応力(ストレス)が低減され、ワイヤハーネス57の傷みや変形が防止される。図20の如く、リール60の左右両端部は開口部55の左右両側及びハーネスガイド壁56の左右両側部分56aに対応して位置している。
【0068】
図18の如く第一のケース本体53はビス63で背面側の略短円筒状の第二のケース本体(ベース)54に固定されている。図21の如く、第二のケース本体54の内部には緩く巻かれたワイヤハーネス57’が収容され、この緩く巻かれた部分57’はリール60の孔部を経て可動側のワイヤハーネス57に一体に続いている。リール60は中心の軸部64を各ケース本体53,54の受け部65に回動自在に支持され、且つ軸部64の中心の孔部に第二のケース本体54から突出した小径な支持軸66を係合させている。緩く巻かれたハーネス部分57’は第二のケース本体54の背面側から外部に導出されつつ固定壁67(図20)に固定され、固定側の電線として作用する。第二のケース本体54の下端側が垂直に屈曲されてハーネス導出用の開口部55の背面側の壁部68となっている。第二のケース本体側の部分(緩く巻かれたハーネス部分57’を含む)は主にリール回転吸収部69(図21)として作用する。
【0069】
上記電線余長吸収装置51を図12の如くスライドドア40に組み付けた場合、スライドドア40の閉じ時にワイヤハーネス57は図18の実線の如く車両後方へ引き出され、後側(図18で左側)のハーネスガイド壁56aに沿って滑らかに湾曲する。スライドドア40を開けるに従って、図18の実線のワイヤハーネス57がハーネスガイド壁56に沿って鎖線の如く正面側にスムーズに移動(揺動)し、さらに図13のスライドドア全開時にかけてハーネスガイド壁56に沿って鎖線の如く車両前方(図18で右側)にスムーズに移動(揺動)する。これらの移動時においてもワイヤハーネス56は開口部55で湾曲状に滑らかに屈曲して、ストレスが防止される。スライドドア40を全開から全閉に移動させる場合は上記とは逆の動作で同様にワイヤハーネス57はハーネスガイド壁56に沿ってケース横幅方向(開口部長手方向)に引っ掛かりなくスムーズに揺動する。
【0070】
図22〜図23は、図18の実施形態におけるケース52の下側のハーネス導出用の開口部55の位置又は上側のハーネス巻取り部85の位置を変動させるべく、ハーネス巻取り部85に対して開口部87を含むハーネス取出し部86を下方に長く延長した電線余長吸収装置81を示すものである。
【0071】
これは、例えば図18の実施形態ではスライドドア内で裏側(ドアパネル側)の第二のケース本体54が補強バー等の構造物に干渉して上手く組付ができない等の場合に、ハーネス導出用の開口部87の位置は一定に維持し、ハーネス巻取り部82を補強バー(干渉物)の上方に位置させて、ケース82の垂直方向の延長部88を含むハーネス取出し部86の背面側のスペース89内に補強バー(干渉物)を位置させることで、スライドドアに電線余長吸収装置81を難なく組み付けることができるものである。これにより、電線余長吸収装置81の汎用性が高まる(一つの種類の電線余長吸収装置81を複数の車種に搭載することができる)。電線余長吸収装置81はスライドドア内に垂直(縦置き)に配置されることは言うまでもない。
【0072】
ハーネス導出用の開口部87の位置は通常、図12〜図13の如く車両ボディ42側のハーネス固定部の位置に対応して決まるため(ハーネス固定部からスライドドア40にかけてワイヤハーネスがほぼ水平に位置するように配索される)、車種ごとに一定であり、変えることは困難である。従って通常、ハーネス導出用の開口部87の位置は一定に維持する必要があり、ケース82の延長部88によってハーネス巻取り部85の位置を上方に移動させることで、これらの場合に容易に対処することができる。スライドドア内の構造物の干渉以外に、構造物の形状やスライドドア40への電線余長吸収装置81の固定構造や固定方法等にも容易に対応することができる。また、車種によって上側のハーネス巻取り部85の位置を一定として下側のハーネス導出用の開口部87の位置を変動させたい場合にも適用できる。
【0073】
図22の如く第一のケース本体(カバー)83と第二のケース本体(ベース)84はビス63で固定されている。図22,図23ではワイヤハーネスは図示を省略している。ケース82の延長部88の下端側すなわちハーネス取出し部86の下端側に図18と同様の湾曲状のハーネスガイド壁90が形成されている。
【0074】
第一のケース本体83の正面側の壁部(符号88で代用)と第二のケース本体84の背面側の壁部91とで略矩形筒状のハーネス取出し部86が構成されている。ハーネス取出し部86は垂直に(上下方向に真直に)延長されている。ハーネス取出し部内の空間92にワイヤハーネスがリール60から導出されて位置し、ハーネスガイド壁90に沿ってスムーズに屈曲しつつ車両ボディ側に配索される。
【0075】
図9〜図11の如くスライドドアの開閉に伴ってハーネス取出し部86内でワイヤハーネスは前後に揺動して位置する。ハーネス取出し部86内でワイヤハーネスはリール60から下向きに長く伸ばされるから、ハーネス導出用の開口部87においてワイヤハーネスを滑らかに湾曲させるハーネスガイド壁90は必須である。
【0076】
第二のケース本体84には、ハーネス取出し部86の壁部91に続いて背面側に突出した短円筒状の壁部93を含むリール回転吸収部(緩く巻かれたワイヤハーネスを収容する部分)95が一体に形成されている。背面側のリール回転吸収部95と正面側のハーネス伸縮部94とでハーネス巻取り部85が構成されている。リール回転吸収部95の下側に外部構造物との干渉を防ぐスペース89が確保されている。ハーネス巻取り部85は段差状にハーネス取出し部86に続いている。
【0077】
本形態のハーネス巻取り部85とハーネス取出し部86の長さ(高さ)寸法はほぼ同程度であるが、スライドドアの内部形状に応じてハーネス取出し部86の長さ(延長部88の長さ)を適宜設定することができる。ハーネスガイド壁90やリール60や軸部64や受け部65やハーネス固定壁67の形状は図21と同じであるので説明を省略する。
【0078】
なお、図18〜図23の各実施形態のリール回転吸収部として図5〜7の実施形態の摺動接触部を適用することも可能である。この場合、摺動接触部は背面側の第二のケース本体84内に収容される。また、図18〜図23の実施形態において両ケース本体53,54をビス以外に係止手段や接着や溶着等で固定することも可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、電線をケースの長形の開口部に沿って揺動させつつ広範囲に渡って且つ三次元の方向に電線の引き出し及び巻き取りを行うことができるから、電線余長吸収装置を設置する一方の接続部側と、電線余長吸収装置から電線を引き出す相手接続部側との相対移動を三次元的に行うものにおいて、スムーズ且つ確実に電線の弛み吸収を行うことができる。また、従来のアームリンク式の電線余長吸収装置に較べて構造が簡単且つコンパクトであるから、スライドドア等の狭いスペース内に容易に装着でき、しかも電線巻き取り長さを比較的長く設定して、種々の接続部側に汎用(共用)することができ、それにより部品コストや管理コストが大幅に低減される。
【0080】
また、開口部がケースの全幅に渡って長く形成されたことで、電線の揺動範囲が広がり、相手接続部側又は電線余長吸収装置の相対移動範囲が拡大されるから、汎用性が高まり、種々の形態の接続部側及び相手接続部側に対応可能となる。
また、リールから引き出された電線が直接的に電線導出用の開口部に導かれ、それにより電線にかかるストレスが軽減され、電線の摩耗等が防止されると共に、電線の引き出しや巻取りあるいは揺動がスムーズに行われ、これらにより、給電の信頼性が高まる。
また、接触端子と回路導体との摺動接触によってリールの回動が許容され、スムーズな余長吸収が行われると共に、固定側の電線の緩く巻く部分が不要となり、電線余長吸収装置が一層コンパクト化される。
また、スライドドアの開き操作時又は閉じ操作時に、電線余長吸収装置から導出された可動側の電線が長形の開口部に沿って揺動しつつ、引き出し、巻き取り、引き出しの三つの動作を順次行ってスムーズ且つ確実に弛み吸収され、且つ自動車のスライドドアの三次元方向へのスライド移動に対応して、電線余長吸収装置の長形の開口部に沿って三次元方向への電線の引き出しと巻き取りを可能とするから、スライドドアと車両ボディとの間への電線の挟み込みが確実に防止され、スライドドアの各補機類への電源供給や信号供給の信頼性が向上する。また、コンパクトな電線余長吸収装置をスライドドアや車両ボディの狭いスペース内に容易に且つ確実に組み付けることができるから、スライドドアや車両ボディにおける他部品や他の構造物との干渉が確実に防止され、且つ他部品や他の構造物のレイアウトの自由度が向上する。
【0081】
請求項記載の発明によれば、電線が電線ガイド壁に沿って湾曲状に引き出され、且つ電線ガイド壁に沿って湾曲状にケース内に引き込まれ、且つ電線ガイド壁に沿って引っ掛かりなくスムーズに揺動するから、小さな力で引っ掛かりなくスムーズに電線の引き出し及び巻き取りが行われ、操作フィーリングが向上し、且つ付勢部材を小型化でき、電線余長吸収装置のコンパクト化に寄与できると共に、電線の摩耗や傷みや変形が防止され、電源電流や信号電流の給電の信頼性が高まる。
【0082】
請求項記載の発明によれば、車種等に応じて電線導出用の開口部の位置を一定に確保しつつ、リールを含む電線巻取り部の位置を開口部から遠く離間させて、種々の形態の取付部に対応することができるから、電線余長吸収装置の共用化が可能となり、汎用性が高まることで、部品点数が削減され、部品管理が容易化し、コストが低減される。
【0087】
請求項記載の発明によれば、スライドドアの開閉に伴ってケースの開口部から電線がほぼ水平に導出され、その状態で電線が開口部に沿って揺動するから、電線に捩り力が作用せず、一層スムーズ且つ確実に電線の揺動や引き出し・巻き取り動作が行われ、電線の余長吸収が一層スムーズに行われると共に、電線捩れ吸収機構が不要で、スライドドアや車両ボディの全体構造が一層簡素化・低コスト化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電線余長吸収装置の第一の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】同じく電線余長吸収装置のリール部分の一側面方を示す斜視図である。
【図4】同じくリール部分の他側面方を示す斜視図である。
【図5】電線余長吸収装置の第二の実施形態を示す縦断面図である。
【図6】同じく電線余長吸収装置のリール部分の他側面方を示す斜視図である。
【図7】同じく電線余長吸収装置のケースの外側部分を示す斜視図である。
【図8】電線余長吸収装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図9】同じく電線余長吸収装置の作用(電線引き出し時の状態)を示す正面図である。
【図10】同じく電線引き込み(巻き取り)時の状態を示す正面図である。
【図11】同じく逆方向への電線引き出し時の状態を示す正面図である。
【図12】電線余長吸収装置を用いたスライドドア用給電装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図13】同じくスライドドア用給電装置におけるドア開時の状態を示す斜視図である。
【図14】スライドドア用給電装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図15】同じくスライドドア用給電装置におけるドア開時の状態を示す斜視図である。
【図16】スライドドア用給電装置のその他の実施形態を示す斜視図である。
【図17】同じくスライドドア用給電装置におけるドア開時の状態を示す斜視図である。
【図18】電線余長吸収装置の第三の実施形態を示す斜視図ある。
【図19】同じく電線余長吸収装置を示す正面図である。
【図20】同じく電線余長吸収装置を示す下面図(底面図)である。
【図21】図19のH−H断面図である。
【図22】電線余長吸収装置の第四の実施形態を示す斜視図ある。
【図23】同じく電線余長吸収装置を示す縦断面図である。
【図24】従来の電線余長吸収装置を用いたスライドドア用給電装置の一形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,28,49,51,81 電線余長吸収装置
2,52,82 ケース
3,57 ワイヤハーネス(電線)
3a 可動側のワイヤハーネス(電線)
3b 固定側のワイヤハーネス(電線)
4,27,60 リール
5,61 巻きばね(付勢部材)
6,55,87 長形の開口部
6a,6b 開口部
25 接触端子
26 回路導体
34,56,90 ハーネスガイド壁(電線ガイド壁)
40 スライドドア
41,46,50 スライドドア用給電装置
42 車両ボディ
69,95 リール回転吸収部
88 延長部

Claims (4)

  1. ケースと、該ケース内に回転自在に設けられた電線巻回用のリールと、該リールを電線巻き方向に付勢する付勢部材とを備え、可動側の該電線を揺動させつつ導出させる長形の開口部が該ケースの全幅に渡って形成され、該リールの軸方向に隣接してリール回転吸収部が配設され、該開口部が該リールの径方向に対向して配置され
    該リールと該ケースとの何れか一方に接触端子が設けられ、何れか他方に、該接触端子に接する環状の回路導体が設けられ、該接触端子と該回路導体との何れか一方に該可動側の電線が接続され、何れか他方に固定側の電線が接続されて、該リール回転吸収部が構成されて成る電線余長吸収装置を、スライドドア又は車両ボディに配設し、該可動側の電線を該スライドドアと該車両ボディとの何れか一方に配索し、該リール回転吸収部から導出された固定側の電線を何れか他方に配索することで、該スライドドアの全閉及び全開時に該可動側の電線が該リールから引き出され、該スライドドアの半開時に該可動側の電線が該リールに巻き取られて余長吸収されることを特徴とするスライドドア用給電装置。
  2. 前記開口部の周縁に湾曲状の電線ガイド壁が形成されたことを特徴とする請求項1記載のスライドドア用給電装置。
  3. 前記ケースが前記リールと前記開口部との間で長く延長されたことを特徴とする請求項1又は2記載のスライドドア用給電装置。
  4. 前記電線余長吸収装置が横置きに配設され、前記ケースの長形の開口部が前記車両ボディ又はスライドドアに向けて配置されたことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のスライドドア用給電装置。
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