JP4249997B2 - ハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のスライドドアに常時給電を行わせるワイヤハーネスの車両ボディ−スライドドア間における屈曲方向及び屈曲半径を規制して干渉等を防ぐように構成した柔軟なハーネス用外装部材とそれを用いたハーネス配索構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、自動車のスライドドア41の電装品や補機等に常時給電を行うべく、車両ボディ(図示せず)側からスライドドア側にワイヤハーネス42を配索し、スライドドア側で合成樹脂製のプロテクタ43内にワイヤハーネス42を屈曲させて収容し、スライドドア41の開閉に伴うワイヤハーネス42の余長(弛み)を吸収させる構造を示すものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
プロテクタ43はドアパネル49とドアトリム50との間に配設されている。ワイヤハーネス42はプロテクタ43のスリット状の下部開口44から導出されて車両ボディ側に向かい、プロテクタ43の前部開口45からスライドドア側の補機等に向けて配索されている。鎖線で示すワイヤハーネスは図8(平面図)のスライドドア41の全閉状態に対応し、実線で示すワイヤハーネス42は図9(平面図)のスライドドア41の全開状態に対応している。
【0004】
図8〜図9で、符号46はハーネス固定部を示し、車両ボディ47のステップ部48に固定され、ワイヤハーネス42はスライドドア41の開閉に伴ってハーネス固定部46を支点に前後に揺動する。符号53は取っ手を示す。
【0005】
スライドドア41は図8の全閉時に車両ボディ47と同一面に位置し、全閉から図20の全開に移行する際に、車両ボディ47から外向きに離間しつつ二次元的に後方に移動する。ワイヤハーネス42は図8の全閉時に後方(ハーネス固定部46側)に引っ張られ、図9の全開時に前方(ハーネス固定部側)に引っ張られる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−354085公報(第7〜9頁、図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスライドドア41におけるハーネス配索構造にあっては、図8のスライドドア41の全閉時には何ら問題ないが、図9の全開時に、プロテクタ43の配設位置によっては、ワイヤハーネス42がスライドドア41と車両ボディ47との間(渡り部51)で鎖線で示す如く車両ボディ47のセンターピラー52等に干渉しやすくなるので、プロテクタ等の配設位置に注意が必要となり、必要以上に設計に時間を要した。また、万が一ワイヤハーネス42が干渉した場合には、ワイヤハーネス42の摩耗や変形等によって給電の信頼性が低下したり、プロテクタ内への収容性(余長吸収性)が悪化するという心配があった。
【0008】
また、スライドドアへの給電に限らず、ワイヤハーネスを屈曲させつつ例えば車両ボディ等に配索する場合に、ワイヤハーネスを一方向に小さな半径で屈曲させ、他方向に大きな半径で屈曲させることで、他の構造物等との干渉を防ぐ必要が生じることがあり、その場合に、作業者が一々ワイヤハーネスの屈曲半径を考えながら配索を行うために、配索作業が面倒であり、しかも屈曲半径を変えることを忘れて配索を行った場合には、ワイヤハーネスが他の構造物等と干渉して摩耗や傷付きを生じるといった懸念があった。
【0009】
また、ワイヤハーネスの外周に合成樹脂製のコルゲートチューブといった比較的剛性の高いハーネス用外装部材を装着した場合には、屈曲半径に限界があり、小さな半径で柔軟に屈曲させることが困難であった。
【0010】
本発明は、上記した点に鑑み、スライドドア等の開閉時におけるワイヤハーネスと車両ボディ等との干渉を防止することができ、しかもワイヤハーネスを小さな半径で柔軟に屈曲させることのできるハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造は、電線を挿通させる柔軟なハーネス用外装部材で、周方向の複数の凸条と該凸条間の凹溝とを長手方向に並列に配置して成る蛇腹部を備え、該蛇腹部の一側方に大きな内幅の凹溝が配置され、該蛇腹部の他側方の前半側に大きな内幅の凹溝が配置され、該他側方の後半側に小さな内幅の凹溝が配置されたハーネス用外装部材を用い、固定構造体から可動構造体に該電線を配索し、該固定構造体と可動構造体との間に該ハーネス用外装部材を配索し、該一側方を該可動構造体の閉じ側に配置し、該他側方を該可動構造体の開き側に配置し、該前半側を該可動構造体側に配置し、該後半側を該固定構造体側に配置することで、該可動構造体の全閉時に該ハーネス用外装部材を固定構造体側から小さな半径で屈曲させ、該可動構造体の全開時に、該ハーネス用外装部材を該固定構造体側から大きな半径で屈曲させ、且つ該可動構造体側から小さな半径で屈曲させることを特徴とする。
上記構成により、可動構造体の全閉時に、大きな内幅の凹溝を有する側が屈曲内側となって車両前方向に小さな屈曲半径で屈曲し、ハーネス用外装部材と可動構造体の内側トリムとの干渉が防止され、可動構造体の全開時に小さな内幅の凹溝を有する側が屈曲内側となって車両後方向に大きな屈曲半径で屈曲し、ハーネス用外装部材と固定構造体との干渉が防止される。
すなわち、ハーネス用外装部材が大きな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側として一方向に小さな屈曲半径で屈曲し、小さな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側として他方向に大きな屈曲半径で屈曲する。これは、大きな内幅の凹溝に隣接する凸条同士が大きく撓んだ位置で当接し、小さな内幅の凹溝に隣接する凸条同士が小さく撓んだ状態ですぐに当接するからである。
ハーネス用外装部材をスライドドアと車両ボディとの間(渡り部)において給電用ワイヤハーネスに装着した場合、スライドドアの全閉時に、大きな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側として車両前方向に小さな屈曲半径で屈曲させ、スライドドアの全開時に小さな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側として車両後方向に大きな屈曲半径で屈曲させることができ、これにより車両ボディとハーネス用外装部材との干渉が防止される。ハーネス用外装部材は柔軟性を有しているから、例えば小さな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側とした場合に、凹溝に隣接する凸条同士が強く当接しても、凸条が凹んだり傷んだする心配がなく、たとえ凹んでもすぐに復元するから、ストレスがかからず初期形状が安定に保持される。
【0012】
また、可動構造体の全開時に可動構造体側の例えばハーネス余長吸収装置に向けてハーネス用外装部材の前半部がスムーズに屈曲し、可動構造体の動きにスムーズに追従してハーネス用外装部材へのストレスが軽減される。
すなわち、ハーネス用外装部材が他側方を屈曲内側として後半の小さな内幅の凹溝によって大きな半径で屈曲し、それ同時に前半の大きな内幅の凹溝によって小さな半径で同方向に屈曲する。スライドドアの給電用ワイヤハーネスに適用した場合、スライドドアの全開時にハーネス用外装部材の後半部が車両ボディ側から大きな半径で屈曲し、前半部がスライドドア側から小さな半径で屈曲することで、ハーネス用外装部材と車両ボディとの干渉が防止されると共に、スライドドア側の例えばハーネス余長吸収装置に向けてハーネス用外装部材の前半部がスムーズに屈曲し、ハーネス用外装部材へのストレスが軽減される。
【0013】
請求項2に係るハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造は、請求項1記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造において、大きな外幅の凸条に隣接して前記小さな内幅の凹溝が形成され、小さな外幅の凸条に隣接して前記大きな内幅の凹溝が形成されたことを特徴とする。
上記構成により、大きな外幅の凸条と小さな外幅の凸条とを同一ピッチで形成し、両凸条の内面側の形状を同一にして、ハーネス用外装部材の成形金型の形状の簡素化を図ることができる。また、幅広の凸条同士の当接により、強い停止力を得ることができる。
【0014】
請求項3に係るハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造は、請求項2記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造において、前記大きな外幅の凸条の外面が断面矩形状に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、幅広な凸条の外面が断面矩形状であるから、幅広な凸条と幅狭な凸条との外径を同一に設定して、幅広な凸条の外面と外部との干渉を防止することができる。また、幅広な凸条の外面は断面直線状の外周面を有するから、幅広な凸条を屈曲内側として大きな半径で屈曲させた際に、それ以上の屈曲が阻止され(屈曲しにくく)、上記車両ボディとの干渉が確実に防止される。
【0015】
請求項4に係るハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造は、請求項2又は3記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造において、前記大きな外幅の凸条と前記小さな外幅の凸条とのピッチが同じであり、一側方の小さな外幅の凸条と他側方の大きな外幅の凸条とが外径の1/2の位置で一体に続いていることを特徴とする。
上記構成により、大きさの異なる凸条が外径の1/2の位置で周方向に一体化されたことで、幅狭な凸条を屈曲内側とする場合と幅広な凸条を屈曲内側とする場合とでハーネス用外装部材の屈曲がそれぞれ正確な半径でスムーズに行われ、屈曲性が高まると共に、各凸条のピッチが同じであることで、成形金型の形状が簡素化され、ハーネス用外装部材の製造が容易化・低コスト化される。
【0016】
請求項5に係るハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造において、前記ハーネス用外装部材が合成ゴムを材料として一体に形成されたことを特徴とする。
上記構成により、柔軟で且つ弾性を有するハーネス用外装部材を型抜き性良く容易に形成することができる。ハーネス用外装部材は弾性を有しているから、外部との干渉等によっても傷付きを生じにくく、内側の電線(ワイヤハーネス)を安全に保護する。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、本発明に係るハーネス用外装部材の一実施形態を示すものである。図1は平面図,図2は側面図、図3は図2のA−A断面図をそれぞれ示している。
【0021】
このハーネス用外装部材60はEPDM等の合成ゴムを材料として一体に形成され、長手方向前半の一側方と他側方とに通常の大きさの蛇腹状の凸条61と凹溝62とを有し、後半の一側方に通常の大きさの蛇腹状の凸条61と凹溝62とを有し、後半の他側方に幅広の凸条63と幅狭の凹溝64とを有するものである。各凸条61,63と凹溝62,64とで蛇腹部56が構成されている。
【0022】
通常の大きさの凸条61や凹溝62とは例えば車両用ワイヤハーネスの屈曲部分に通常使用される防水グロメットの蛇腹部の凸条や凹溝とほぼ同じ大きさ・形状の凸条や凹溝を意味し、特許請求の範囲では小さな外幅の凸条及び大きな内幅の凹溝と表現している。
【0023】
幅広の凸条63の外面は断面矩形状に形成され、隣接する各凸条63の外面側の対向面63aが近接して位置し、ハーネス用外装部材60の屈曲時に対向面63a同士がすぐに当接して大きな屈曲半径を得るようになっている。凸条63の外面は垂直な前後の対向面63aと、前後の対向面63aに直交する水平な周面63cとで断面矩形状に構成されている。通常の大きさの凸条61の外面は断面略円弧状に形成され、各凸条61,63の内面61a,63b(図3)及び各凹溝62,64の谷部62a,64aはそれぞれ断面略円弧状に形成されている。幅広の凸条63及び凹溝64は通常の凸条61及び凹溝62よりも厚肉に形成されて剛性を有している。幅狭の凹溝64の深さは通常の凹溝62よりも少し浅い。幅広の凸条63の内面63bと通常の大きさの凸条61の内面61aの大きさ・形状は同じである。これにより、内側の成形金型(図示せず)の形状が一定で簡素化されている。
【0024】
図1の如く幅広の凸条63の径方向反対側に直角な段差部69を介して通常の大きさの凸条61が続き、幅広の凸条63の間の幅狭の凹溝64の径方向反対側に通常の大きさの凹溝62が続いている。幅狭の凹溝64の内幅P1は通常の大きさの凹溝62の内幅P2の半分程度である。大小の凸条61,63や凹部62,64の切り替わり位置はハーネス用外装部材60の中心線を通る平面上(55)にある。各凸条61,63のピッチや山高さ(ハーネス用外装部材60の外径)は蛇腹部56の全長に渡って一定である。蛇腹部56の長手方向中間部(前半と後半の境部)で幅広の凸条63’は幅狭な凸条61と一体化し、幅方向の一方に矩形状の外面部63d、他方に円弧状の外面部61bをそれぞれ有している。
【0025】
このハーネス用外装部材60は例えば車両用の防水グロメット(図示せず)の蛇腹部を成形するための金型(特に外側の成形金型)に改良を加えることで簡単に成形可能である。材質がゴムであるから、合成樹脂材で同様なハーネス用外装部材を成形する場合のように製品を分割させる必要がない(合成樹脂材では型抜きが困難なために製品を分割せざるを得ない)。
【0026】
ハーネス用外装部材60の長手方向の両端部には、蛇腹部56の外径よりも小径で蛇腹部56の内径にほぼ等しい径の円筒状の部分66,67が形成され、例えば幅広の凸条63に続く後端側の長めの筒状部66が車両ボディ側のハーネス固定部68(図4)内でワイヤハーネス5の外周にビニルテープ巻きで固定されたり、あるいはハーネス固定部68内に回動自在に保持された回動部材(図示せず)に固定される。端部の凹溝62,64をハーネス固定部68内の突条(図示せず)に係止させてもよい。
【0027】
但し、ハーネス用外装部材60がゴムで弾性を有するから、スライドドア2(図4)の開閉時に合成樹脂製のハーネス外装部材(図示せず)のように回動部材でハーネス用外装部材60の捩れを吸収させる必要性は極めて少ない。通常の使用形態ではよほど大きな捩れが作用する場合以外は回動部材等の捩れ吸収機構は必要ない。前端側の短めの筒状部67は例えばワイヤハーネス5の外周にテープ巻き等で固定される。あるいは筒条部67を小径に形成して緊迫力でワイヤハーネス5に密着させてもよい。
【0028】
図4〜図5は、上記ハーネス用外装部材60を自動車のスライドドア給電用のワイヤハーネスに適用したハーネス配索構造の一形態を示すものである。
【0029】
ワイヤハーネス5は予めハーネス用外装部材60内に挿通され、ワイヤハーネス5の一方はスライドドア側の余長吸収装置24を経てスライドドア内の各補機等に接続され、ワイヤハーネス5の他方は車両ボディ側のハーネス固定部(固定部材)68を経て車両ボディ側(バッテリ側)のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続される。ハーネス用外装部材60の一端はワイヤハーネス5に固定され、他端はハーネス固定部68に固定ないし保持される。
【0030】
図4の如くスライドドア2の全閉時にハーネス用外装部材60の一側面の通常の大きさの各凸条61が屈曲方向内側に位置して、ハーネス用外装部材60の後半部がハーネス固定部68を支点に車両ボディ側から小さな半径で車両前方に向けて(スライドドア閉じ方向に)スムーズに屈曲する。ハーネス用外装部60の前半部はハーネス余長吸収装置に向けてほぼ真直に位置する。これにより、スライドドア2の合成樹脂製のドアトリム2aの内面とハーネス用外装部材60との干渉が防止される。
【0031】
ワイヤハーネス5及びハーネス用外装部材60はドアトリム2aの内面に沿って外部に導出されている。ワイヤハーネス5は複数本の電線をテープ巻きで結束させたり、あるいは薄肉の柔軟なチューブで覆って構成されている。
【0032】
図4のスライドドア2の全閉時には、図6(a)の如く屈曲内側の通常の大きさの各凸条61が通常の大きさすなわち幅広の凹溝62内の隙間によって大きな角度で屈曲した状態で相互に当接し、あるいは近接し、これによってハーネス用外装部材60が一方向に小さな屈曲半径で屈曲する。その際、屈曲外側の幅広の凸条63が屈曲内側の凸条61と同一ピッチであるから幅狭の溝部64から大きく開いて、屈曲をスムーズに行わせる。これは、幅広の凸条63の内面側の形状(図3の内面63bや谷部64aの形状)が通常の凸条61の内面側の形状と同じに形成されていることからも助長される。
【0033】
図5のスライドドア2の全開時には、後半部に幅広の凸条63と幅狭な凹溝64(図1)とを有するハーネス用外装部材60の他側面が屈曲内側に位置して、幅広の凸条63同士の当接によってハーネス固定部68を支点に車両ボディ側から大きな半径で湾曲し、これによりハーネス用外装部材60と車両ボディ3のセンタピラー8との干渉が防止される。
【0034】
これと同時にハーネス用外装部材60の他側面の前半部すなわちハーネス固定部68から長手方向に遠く離れた側の通常の大きさの凸条61と凹溝62(図1)によって、ハーネス用外装部材60の前半部がスライドドア内の余長吸収装置24に向けて後半部よりも小さな半径でスムーズに屈曲する。すなわちハーネス用外装部材60がスライドドア側で小径に屈曲する。
【0035】
図5のスライドドア2の全開時には、図6(b)の如く屈曲内側の幅広な各凸条63が幅狭の凹溝64内の小さな隙間によって小さな角度で屈曲した状態ですぐに当接し、これによってハーネス用外装部材60が他方向に大きな屈曲半径で屈曲する。この際、屈曲外側の通常の凸条61と凹溝62はそれらの円弧形状によって小さな力で開いて屈曲をスムーズに行わせる。
【0036】
図4,図5の余長吸収装置24は例えば従来同様にプロテクタ内で板ばね(弾性部材)によってワイヤハーネス5を上向きに付勢して余長を吸収させるもの(特開2001−354085公報参照)や、リールを巻きばねで付勢してワイヤハーネス5を巻き取ることで余長を吸収させるもの等が適宜使用される。
【0037】
上記実施形態によれば、車両ボディ3やドアトリム2aとの干渉によるハーネス外装部材60の摩耗や傷付きの防止効果に加えて、材料にEPDM等のゴムを使用することで安価なハーネス用外装部材60を得ることができる。また、左右のスライドドア2で同じ品番のハーネス外装部材60を共用することができ、経済的である。
【0038】
なお、ハーネス用外装部材60の幅広の凸条63に代えて通常の大きさの凸条61のピッチを小さくして凸条61間の凹溝62を幅狭にすることで、ハーネス用外装部材60の大きな屈曲半径を得るようにすることも可能である。また、ハーネス用外装部材60の使用形態によっては、ハーネス用外装部材60の一側に通常の大きさの凸条61と凹溝62、他側の全長に渡って幅広の凸条63と幅狭の凹溝64のみを形成することも可能である。また、上記実施形態においては外周側に幅狭の凹溝64を形成したが、内周側に幅狭の凹溝(64)を形成して、逆方向の屈曲時に内周側の凸条(63)同士を当接させるようにすることも可能である。また、ゴムに代えて他の弾性材料や柔軟材料を用いてハーネス用外装部材60を一体成形することも可能である。
【0039】
また、自動車のスライドドア以外のスライドドアと車両ボディ以外のボディとの間、あるいは回転式のドアとボディとの間でのワイヤハーネスの配索に上記ハーネス用外装部材60を適用することも可能である。この場合、スライドドアやドアを可動構造体、車両ボディ又はボディを固定構造体と表現する。
【0040】
可動構造体(2)への給電以外の使用形態として、ハーネス用外装部材60を例えば車両ボディに配索する場合、例えばワイヤハーネスを車両ボディに沿って小さな半径で屈曲させつつ配索する場合は、ハーネス用外装部材60の通常の大きさの凸条61と凹溝62を有する側を屈曲内側として配索し、ワイヤハーネスを大きな半径で屈曲させつつ配索する場合は、ハーネス用外装部材60の幅広の凸条63と幅狭の凹溝64を有する側を屈曲内側として配索する。
【0041】
これにより、車両ボディの曲線状の配索経路に合わせてワイヤハーネスを盲作業でも容易に且つ正確に配索することができる。この場合も、配索形態に応じてハーネス用外装部材60の凸条61,63や凹溝62,64の大きさ・配置等が設定される。幅広の凸条63と幅狭の凹溝64の位置は後半に限らず前半又は中央部や中央寄りに設定される場合もあり得る。
【0042】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、可動構造体の全開時に小さな内幅の凹溝を有する側を屈曲内側として車両後方向に大きな屈曲半径で屈曲させて、ハーネス用外装部材と固定構造体との干渉を防止することができるから、電線の摩耗や傷付きが防止され、可動構造体への給電の信頼性が向上する。すなわち、ハーネス用外装部材をスライドドアの給電用ワイヤハーネスに適用した場合に、スライドドアの全開時におけるハーネス用外装部材と車両ボディとの干渉が防止されるから、内側の電線の摩耗や傷付きが防止され、給電の信頼性が向上する。
【0043】
また、可動構造体の全開時にハーネス用外装部材の前半を可動構造体に向けて小さな半径でスムーズに屈曲させることで、可動構造体のスムーズな開閉操作が可能となる。スライドドアの全開時にハーネス用外装部材の後半が大きな半径で屈曲して車両ボディとの干渉が防止され、ハーネス用外装部材の前半がスライドドアに向けて小さな半径で同方向にスムーズに屈曲して、スライドドアのスムーズな開閉操作が可能となる。
【0044】
請求項2記載の発明によれば、幅広の凸条同士の当接により、強い停止力を得ることで、大きな屈曲半径を正確に保つことができ、上記車両ボディとの干渉防止効果が助長される。
【0045】
請求項3記載の発明によれば、幅広な凸条の断面直線状の外周面によって、凸条同士の当接時に一層強い停止力が得られ、大きな屈曲半径が正確に保たれて、上記車両ボディとの干渉防止効果が一層助長される。
【0046】
請求項4記載の発明によれば、幅狭な凸条を屈曲内側とする場合と幅広な凸条を屈曲内側とする場合とでハーネス用外装部材の屈曲がそれぞれ正確な半径でスムーズに行われ、ハーネス用外装部材の屈曲性が高まると共に、各凸条のピッチが同じになることで、成形金型の形状が簡素化され、ハーネス用外装部材の製造が容易化・低コスト化される。
【0047】
請求項5記載の発明によれば、柔軟で且つ弾性を有するハーネス用外装部材を型抜き性良く容易に形成することができ、且つハーネス用外装部材は外部との干渉等によっても傷付きを生じにくく、内側の電線を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るハーネス用外装部材の一実施形態を示す平面図である。
【図2】同じくハーネス用外装部材を示す側面図である。
【図3】同じくハーネス用外装部材を示す図2のA−A断面図である。
【図4】ハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造の一実施形態を示すスライドドア全閉時の平面図である。
【図5】同じくハーネス配索構造を示すスライドドア全開時の平面図である。
【図6】(a)は図4に対応し、(b)は図5に対応する状態のハーネス用外装部材の断面図である。
【図7】従来のハーネス配索構造の一形態を示す斜視図である。
【図8】同じくハーネス配索構造のスライドドア全閉時の状態を示す平面図である。
【図9】同じくハーネス配索構造のスライドドア全開時の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
2 スライドドア(可動構造体)
3 車両ボディ(固定構造体)
56 蛇腹部
60 ハーネス用外装部材
61 凸条(小さな外幅の凸条)
62 凹溝(大きな内幅の凹溝)
63 凸条(大きな外幅の凸条)
64 凹溝(小さな内幅の凹溝)
Claims (5)
- 電線を挿通させる柔軟なハーネス用外装部材で、周方向の複数の凸条と該凸条間の凹溝とを長手方向に並列に配置して成る蛇腹部を備え、該蛇腹部の一側方に大きな内幅の凹溝が配置され、該蛇腹部の他側方の前半側に大きな内幅の凹溝が配置され、該他側方の後半側に小さな内幅の凹溝が配置されたハーネス用外装部材を用い、
固定構造体から可動構造体に該電線を配索し、該固定構造体と可動構造体との間に該ハーネス用外装部材を配索し、該一側方を該可動構造体の閉じ側に配置し、該他側方を該可動構造体の開き側に配置し、該前半側を該可動構造体側に配置し、該後半側を該固定構造体側に配置することで、
該可動構造体の全閉時に該ハーネス用外装部材を固定構造体側から小さな半径で屈曲させ、該可動構造体の全開時に、該ハーネス用外装部材を該固定構造体側から大きな半径で屈曲させ、且つ該可動構造体側から小さな半径で屈曲させることを特徴とするハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造。 - 大きな外幅の凸条に隣接して前記小さな内幅の凹溝が形成され、小さな外幅の凸条に隣接して前記大きな内幅の凹溝が形成されたことを特徴とする請求項1記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造。
- 前記大きな外幅の凸条の外面が断面矩形状に形成されたことを特徴とする請求項2記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造。
- 前記大きな外幅の凸条と前記小さな外幅の凸条とのピッチが同じであり、一側方の小さな外幅の凸条と他側方の大きな外幅の凸条とが外径の1/2の位置で一体に続いていることを特徴とする請求項2又は3記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造。
- 前記ハーネス用外装部材が合成ゴムを材料として一体に形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003033434A JP4249997B2 (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | ハーネス用外装部材を用いたハーネス配索構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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